チュンチュンチュンチュン・・・・

どこかで鳥の鳴き声がする。

時刻はちょうど七時過ぎ。

外の天気は清々しい程に晴れている。

雲一つない天気は季節柄寒すぎず暑すぎずで、実に過ごしやすい感じであろう。

その恩恵はここにも及んでいる。

ここはとある国のとある場所にある海鳴市と呼ばれる都市、その郊外に位置する他には類を見ない程の敷地面積を持つ少し古びた洋館である。

これだけの広さを持つ屋敷は海鳴にはここ以外には世界的大企業であるバニングス邸ぐらいだろう。

その屋敷の一室では一人の少年が健やかな寝息を立てていた。

年の頃は17程。

整った顔立ちをしており、結構な美形の部類に入るだろう。

体つきも程なく鍛えられており、無駄な筋肉は一切ないように見える。

 

「ぅ・・・んん・・・・すぅ・・・・すぅ・・・」

 

一人で使うにはいささか大きすぎるキングサイズのベッドで少年は変わらず寝息を立てている。

部屋の広さはおおよそ20畳ほどもあり、部屋の窓は少し空いており、そこから気持ちよさそうな風が部屋の中へと侵入してくる。

暖かな太陽の陽も入っている為、余計に眠るには最適な環境だろう。

 

コンコン・・・

 

ふと部屋の戸を叩く音がした。

しかし、深い眠りに入っている少年は気付くような気配は無い。

 

ガチャ、

 

部屋の戸がゆっくりと開かれる。

扉を開けて部屋の中へと入ってきたのは紫の長い髪の少女だった。

年の頃は15ぐらいだろうか。

小柄な体形で、部屋の主を気遣ってかあまり足音を立てないように歩いてくる。

実に可愛らしい容姿をしたまだ幼さの残る顔立ちだが、その振る舞いは実に洗礼されたものであった。

強いて言うなれば彼女の身につけている衣服がエプロンのようなもの――――つまりはメイド服である事だろうか。

目指すは今なおベッドの上で夢の中に居る少年の元。

その仕草はもう何度も経験しているのか、いつもと同じような道をたどるかのようにゆっくりと歩いて行く。

ふと、開かれた窓から少し強めの風が部屋に入ってきた。

 

「きゃっ!・・・・・・もう、いたずら好きな風さんですね」

 

部屋に入ってきた風で少女のスカートが若干目くれてしまったらしい。

とは言え、見られて困るような人物は未だ夢の中の為何事も起こる事は無かった。

 

「はぁ・・・まったく、今日もお寝坊さんですよ・・・・昨日あれだけ大丈夫だって言っていたのに・・・・」

 

少女は少し困ったと言うような表情をした。

どうやら少女は少年を起こしに来たらしい。

 

「さて、今日はどうやって起こしましょうか・・・・この間の手はもう通用しないだろうし・・・・・・・よし!あの手で行きましょう♪」

 

そう言って少女はベッドから少し離れた所にあるクローゼットに向かう。

 

ギギィ・・・

 

ゆっくりとクローゼットの戸を開け、少女は何かを探すように中を探る。

 

「えっと・・・・たしかここら辺に置いたような・・・・・・・あっ、ありましたね♪」

 

少女は目的の物を見つけたらしい。

何をするつもりなのか、少女は少しばかり楽しそうにそれをクローゼットから取り出す。

そして取り出されたそれは・・・・・何故かお玉とフライパンだった。

少女はそれを持って再び、今なお眠り続ける少年の元へと戻って行く。

少女は今度は少年の顔が向いている方へと歩みより、ちょうど少年の顔の前ぐらいでその歩を止める。

 

「さぁ、早く起きて下さいね。これも約束を破ったあなたが悪いんですから♪では・・・・・・・・・・・・・・・・行きます!」

 

少女がお玉とフライパンを掲げる。

一体何が起こるのか、それはすぐに分かる事になる。

 

「秘儀!死者の目覚めっ!!」

 

ガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガン!!!

 

「うわっ!!何だっ!?地震か、火事か!?隕石でも墜落したか!?って言うかうるせぇ〜〜〜〜〜〜!!!」

 

刹那、思いもしないような轟音が部屋中に響き渡る。

眠っていたはずの少年も一瞬にして目が覚めて飛び起きるほどの轟音が。

その音源は何を隠そう、少女が持っているお玉とフライパンであった。

 

「あっ、ようやく起きましたか♪もう朝ですよ、大和(やまと)(くん)

 

少女が笑顔で少年――皇 大和へと言葉を掛ける。

ちゃっかり少女は極太の耳栓をしたが。

 

 

 

 

Intersecting fate 〜交差する運命〜

 

プロローグ「寝起きであの一撃はちとキツイ」

 

 

 

 

Side―――大和

 

「たくっ、朝っぱらから何て音を鳴らすんだよ、ファリン。近所迷惑じゃねぇか」

「大丈夫ですよ、この屋敷はちゃんとした防音使用ですから。特に大和君の部屋には万全の対策が施されているんですよ♪」

「おいおい、そんなの初めて聞いたぞ?誰が言ったんだよ、そんな事・・・」

「忍お嬢様ですけど・・・・何か?」

「はぁ・・・・また(しのぶ)(ねぇ)か〜〜〜」

 

俺の名は『皇 大和』。

今年で17歳になる現役の高校生だ。

ちなみに俺の目の前に居る、この女性はファリン。

見た通りのメイドさんって奴だ。

見た目はちっこいし、俺より年下に見えるが実は俺より年上なんだぜ?

ファリンはこの屋敷―――月村邸のメイドをしている。

とは言っても俺のメイドと言う訳じゃない。

正確には実質この屋敷の主である俺の幼馴染の専属メイドだ。

なんせ俺は居候だからな!

 

「で、なんて起き仕方をしてくれるんだよ。人が折角気持良く寝てたって言うのによ・・・・」

 

まったく、安眠を妨害された身にもなれっての!

だいたい何だよ、お玉とフライパンって。

某有名ゲームの二代目主人公とその息子と同じ扱いかよ!?

つぅ〜〜〜まだ耳鳴りがするぜ・・・・・・まさか実際に味わう日がこようとは・・・・

 

「何でも何も、大和君。ちゃんと起きるって昨日あれだけ自信を持って宣言していたのに時間になっても起きてこないからじゃないですか。心配して私が起こしに来てあげたんですよ?」

 

はぁ、時間だって?

馬鹿言え、ちゃんと朝起きる為の対策はバッチリなんだぜ?

ほら、ちゃんとここに忍姉特製の『目覚まし君99号』が・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ないな。

右を見る。

左を見る。

一応、上も見る。

 

「?・・・・・どうかしましたか、大和君?」

 

やっぱりないな。

おっかしいな、確かちゃんと時間をセットして枕元に置いておいたはずなんだが・・・・

もう一度右を見る。

もう一度左を見る。

ないとは思うが、やっぱり一応上も見る。

ついでに目の前の布地に隠れた所もめくってみる。

おぉ、今日は白か・・・・

 

「って・・・・キ、キャァァァァァァァァァァァ!!!」

 

ドガンッ!

 

「ぐはっ!?」

 

何かやたらと硬い物で思い切り頭を殴打された。

ってか、痛ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!

 

「いきなり何すんだよ、ファリン!?」

「そ、それはこっちのセリフです!!突然私のスカートをめくらないで下さい!!//////////

「良いじゃねぇか、減るもんでもねぇし!」

「減るんです!!」

「減らねぇよ!!だいたい今更だろ!?もう見飽きるぐらいに見てるぞ、ファリンの下着なんて!」

「は、はぅ///////

「何も無い平地ですっ転んではその中を俺に向けてさらし出し、服のチャックを閉め忘れた揚句自分でスカートの裾を踏んだ拍子に服が脱げて偶然通りかかった俺にぶつかってきたり、果ては俺が風呂に入っている所に幾度となく入ってきたり、それからete・・・・・・」

「うぅ・・・恥ずかしいです//////

 

おいおい、そこまで気落ちされるとまるで俺が悪者みたいじゃねぇか。

俺の口から赤裸々に語られるファリンのこれまでのドジっ子ぶり。

『ドジっ子メイド』の名を欲しいままにするその姿は伊達じゃない。

もっとも、言いだしっぺは俺だが。

しょうがねぇ、フォローを入れとくか。

何にせよ、ファリンに恥をかかせてしまった事には違いないようだしな。

 

「まぁ・・・その・・・なんだ・・・・・・人間、誰だって失敗の一つや二つぐらいはするもんさ。だから気にするな、ファリン」

「―――――――――今日で4096回目です・・・・・・」

「・・・・」

「―――――――――それに私、人間じゃないですし・・・・・・」

「・・・・」

 

人が折角フォローしてやってんのにあげ足を取るんじゃねぇよ!?

むしろ本当の事だけに言葉を続けられないじゃん!?

それだけに、普段は使わない“無い頭“をフル回転で働かしていると、

 

「―――――でも、大和君の気持ちは嬉しいですよ♪」

「・・・・たく、相変わらずファリンが相手だとシリアスが続かねぇよな〜〜」

 

拍子抜けした俺は、あっさりと考えるのをやめた。

そうだよ、ファリンはこう言う奴なんだ。

 

「それで結局何を探していたんですか?」

「あぁ、そうだったそうだった。ファリン、ここに置いてあった目覚まし知らないか?こう、丸くて顔みたいなのが書いてあってちょうど頭の部分がパタパタ開く赤い奴なんだけど」

「丸くて顔みたいなのが書いてあってちょうど頭の部分がパタパタ開く赤い目覚まし、ですか?・・・・・・・・・・・・・もしかしてこれの事ですか?」

 

そう言ってファリンが差し出してきたのは、先程俺を殴打したやたらと硬い何かだった。

 

「おぉ、それだよそれ!前に忍姉が起きるのに効果抜群だって言ってたのを思い出してな。ちょいと忍姉の作業部屋から拝借してきたんだよ」

「えぇ!?これ、忍お嬢様のなんですか!?」

 

おいおい、それりゃ〜いくらなんでも忍姉に失礼だろう?ファリン。

たしかにちぃ〜〜〜〜〜〜っとばっかし怪しさを感じるけど、ただの目覚ましだろう?

 

「いけない!!大和君、早くここから脱出を!!」

「お、おい・・・いきなりどうしたんだよファリン!?」

 

忍姉が作ったものだと知るや、いきなりファリンが俺の手を握って部屋から逃げ出そうとする。

こう見えてファリンは結構な力持ちだから、俺の身体も軽々と中に浮いてしまっている。

ほら、そんなに勢い良く動くからまたスカートが捲れ上がって中身丸見えだぞ?

ん?さっきまでいた所から何か聞こえるな?何だ・・・・機械音?

 

『イタイジャネェカ!イタイジャネェカ!』

 

赤い丸い目覚ましがどう言う訳か一部分を耳のようにパタパタしながら俺のベッドで飛び跳ねている。

あぁ、そっか。

どっかで見たようなフォルムだと思ったら、アレって良く見ると何から何までハ・・・・

 

『ジバクシテヤル!ジバクシテヤル!』

「だめ!間に合わ・・・・・」

 

 

『ダ・イ・バ・ク・ハ・ツ』

 

 

その後の俺達がどうなったかはこれで察してほしい。

って言うか、何で朝っぱらからこんな目に合うんだよ!? by 大和

 

 

 


 

 

現在状況

大和&ファリン:謎の球体状のメカの自爆に巻き込まれる。

紫髪の少女:快適な朝風呂を堪能していたが、謎の大爆発が大和の自室で起きた事を察知する。

謎のメイド:大爆発が大和の自室から起きた事を確認するも、慌てず騒がす、まずはガスの元栓を閉め、窓をいくつか空けてから移動を開始する。

元凶の姉君:不意に自爆する危険性のあるメカを放置したままだった事に遠き異国の地で気付く。

元シスコンで現親馬鹿な某剣士:可愛い盛りの娘達の相手をしつつも、不意に弟的存在のピンチに何となく気付く。

 

今回の被害

大和の自室:木端微塵

ファリンの羞恥心:大和にスカートをめくられる(とは言え本気で嫌がっている訳ではない)

 

フラグ

なし

 

 


 

あとがき

 

どうも、M.O.です。

宣告通り二足わらじを始めてみました。

いやね、たまには別のを描く事で刺激を与えたかったんですよ。脳に。

そうすれば現行の方でも良い案が浮かぶかも知れないから。

 

ちなみに大和シリーズこと、『intersecting fate 〜交差する運命〜』はほぼ日常路線のギャグ仕様です。

戦闘とかのシリアス色はほぼ皆無です(少なくとも今の所は予定は無い)

加えて、一部ネタ仕様に走る場面も多々あるかと。

 

内容的には『アルシリーズ()』に対してSHUFFLE色の方が強い感じです。

でも忍やら恭也やらも交じってくるので基本世界観などは同じです。

要するに誠(アル)が居なかった場合のIF世界のようなものです。

ぶっちゃけるとパラレルワールド。

具体的には「リリカルなのは」の原作と「SHUFFLE!」の原作がそのまま交りあった感じですね。

とは言え、一部のキャラにおいては立ち位置がかなり違うキャラも居ます。

あっちでは重要な役所でも、こっちでは普通に生活していたりとか。

まぁ、ネタバレに繋がるんで誰、とは言いませんが。

 

尚、こっちの主人公である大和はやたらとレベルの高い美女達に囲まれて育ったせいか女性に慣れています。

女性の裸を見てもさほど反応しません((アル)とは別の意味で)

それどころか、悪意なしで女性のスカートをめくったりする事さえあったり(ただし親しい異性限定。他人が居る時とかはやらない)

性格的に子供がそのまま成長したようなキャラです。

主な被害者はすずかとかアリサとかファリンとか。なのは、フェイト、はやてにも過去に同様の事をした経歴有。

まぁ、それにもちょっとした理由もあるのですが、忍を見て育ったと言う事も割と一因?

 

 

取り合えず、むこうとこっちは並行して執筆していく事になります。

こんな私ですが、これからもお付き合い頂ければ幸いです<(_ _)>

ではでは〜〜また次回にて♪

 

 



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