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魔法少女リリカルなのは
日時: 2009/02/15 22:19
名前: fanfa 

こんにちは、ふぁんふぁと申します。

まだ右も左もわからない新参者ですが、がんばりたいと思うのでよろしくお願いします。
メンテ

Page: 1 | 2 |

Re: 白銀の魔法使い ( No.23 )
日時: 2009/03/31 01:06
名前: ふぁんふぁ 

なのは「・・・・もう十日目だね」

撫子「うん、そうだね」

    お久しぶりです!なのはです!

    今は休憩中でアースラの食堂でおやつを食べてます。

なのは「ふう・・・」

ユーノ「なのは・・・大丈夫?」

なのは「う、うん、大丈夫・・・・」

    ・・・もう裕里くんと分かれてジュエルシード集めを始めてから十日ほどがたち
    
    順調に集めることが出来て現在三つほど集めました。

なのは「(でも・・・・)」

    実はこの十日間の間にフェイトちゃんたちに一度も会ってません。

    どうやら管理局の人に見つからないように集め続けているらしく

    反応があった場所に無かったことが2回ほどありました。

撫子「・・・・すもも」

なのは「・・・・・」

    しかもどうやら撫子さんの探していたお友達があのフェイトちゃんと一緒にいた

    桃色の服を着た女の子らしいのです。

    会えば話す機会もあると思うのですが会うことが出来なければ話になりません。

    いつもお友達のことを心配している撫子さんは本当にそのすももさんのことが好きなんだと思います。

なのは「(好き・・・か)」

    わたしは好きと言う言葉を聞くと何故か裕里くんの顔が浮かびます。

    確かに裕里くんのことは好きですが・・・なぜか裕里くんのことを思い出すと動悸が激しくなります。

なのは「(裕里くん・・・なにしてるかな)」

    裕里くんが心配です。






                   



                               魔法少女リリカルなのは 白銀の魔法使い



 
                            
                            第十六話「あなたには大切な人がいますか?、なの」







                                         始まります








・アースラ

クロノ「・・・じゃあ残りのジュエルシードは海にあると?」

エイミィ「うん・・・それしか考えられないかな」

    アースラでは今残りのジュエルシードについての話し合いが行われていた。

    現在三個ほど手に入れたのだがどうしても他のジュエルシードが見つからず

    広範囲に散らばっていることから海にも落ちているのではないか?

    と言う考えに至ったのだ。

リンディ「でもそうなると・・・結構厄介ね」

    リンディの言うことはもっともだ。

    あの広大な海のをいちいち探索するのはいくら管理局でも困難・・・

リンディ「いっそのこと強制発動でもさせる?」

クロノ「艦長・・・それは」

エイミィ「でもそれしかないかも・・・・」

    ビー!!!!!!

クロノ「なんだ!何があった!!!」

    突然、館内にアラームが鳴り響く。

    何事かとクロノがエイミィに聞くとエイミィは慌てたようにこう言った。

エイミィ「か、海上で強力な魔力反応!・・・あの金髪の女の子だよ!」

    ・
    ・
    ・
    ・
    ・

プレシア「まさか・・・管理局とはね・・・・」

    プレシアは管理局が現れたことをこの前の報告で聞きその厄介な敵に頭を悩ませていた。

    そのとき、ふとプレシアは後ろを振り向いた。

プレシア「・・・・・アリシア」

    プレシアは後ろにある水槽のようなものに浮かんでいる少女・・・・

    フェイトに瓜二つの少女を見つめた。

プレシア「必ず生き返らせて見せる・・・・でも最近、お母さん変なのよ・・・・」

    プレシアは目も開いていない死でいるような・・・・実際死んでいるのだろう

    その少女に一方的に語りかけた。

プレシア「あの娘・・・・すももちゃんが来てからどうしてもあなたと被ってしまう・・・

     変ね・・・声も顔も性格も全然違うのに・・・・笑顔だけはあなたとそっくりなんて・・・」

    プレシアはすももの笑顔をアリシアに重ねていた。

プレシア「それにすももちゃんと楽しそうに話しているあの娘・・・フェイトがすももちゃんと仲のいい姉妹みたい

     に思えて・・・あなたに妹がいたら・・・ああなっていたのかと思えてならないのよ・・・・」

    プレシアは感じていた・・・すももが来てから変わったのは自分だけでなく・・・・あのまったく

    笑わなかった・・・感情を見せなかったフェイトが自分の前で笑ったり恥ずかしがったりするように

    なった・・・フェイトも変わったのだと・・・

プレシア「・・・私はどうすればいいのかしら・・・・・」

    正直、プレシアはフェイトたちにジュエルシードの探索をさせないほうが・・・危険なことをさせないほうが

    いいのでは?と思い始めていた・・・プレシアは今の・・・すももとフェイトたちが笑っていられる現状が

    なにかの拍子に壊れてしまうのが怖くなってきていたのだった。

???「このままでいいのですよ」

プレシア「誰!?」

    突然の聞こえた声にプレシアがその方向を向くと・・・・そこには一人の男がいた。

プレシア「何者!!」

???「私の名はパラケルスス・・・・今回はあなたを捕らえに来ました」

    プレシアは男・・・パラケルススの言葉を聞きとっさに杖を向け魔法を放とうとしたが・・・

パラケルスス「ふふふ無駄ですよ?」

プレシア「な!?」

    男は一瞬でプレシアの背後に回りこんだ。

    そしてアリシアの入っている水槽に何処からか出した銃を向けた。

パラケルスス「さあ・・・あなたの娘がどうなってもいいのですか?」

プレシア「くっ!・・・・なにが目的なの?」

    プレシアはまったく反応できなかったこととこの男が侵入者用の傀儡兵をすべて突破してきたことを

    考え無駄なことはしないほうがいいと思い・・・もっともアリシアのことが第一だが冷静に男に

    聞いた。

    そのプレシアの問いに男は笑いながら答えた。

パラケルスス「ふふふ・・・あなたには私と一緒に来てもらう」

プレシア「・・・・何のために?」

    男は特に隠すようなことでもないのかプレシアにそのことを告げた。

パラケルスス「なに・・・ただ私はあなたを捕らえることであなたのもう一人の娘と秋姫すももに空咲裕里と

       行動を共にしてもらいたいだけだ・・・私たちがあなたを捕らえることで我らが共通の敵に

       なるだろうからな」

プレシア「・・・・・・」

    プレシアは何のことかよく分からなかったが何かたくらんでいることは分かった。

パラケルスス「では、とりあえずついて来て貰います」

プレシア「・・・・分かったわ」

    そしてプレシアはパラケルススに捕らえられどこかに転送させられた。

    ・
    ・
    ・
    ・
    ・

裕里「えっと・・・それで音夢ちゃんはまだ記憶取り戻してないの?」

純一「・・・・ああ」

    裕里はこの間の戦いの後、音夢に再会した純一が音夢の記憶喪失によって忘れられていたことに

    ショックを受けていたことが心配になり何度か部屋から出てこない純一のところに出向き話し相手

    になっていた。

    しかもあのとき音夢はとどめとばかりに

音夢「あの・・・本当に私の兄さんなんですか?戻っている記憶の中にあなたはいないんですけど・・・」

    なんて言ったものだから余計にショックが大きかったらしい。

純一「美月さんが俺と音夢を会わせなかったのは記憶喪失のこともあったらしいんだ・・・」

裕里「なるほど・・・」

    裕里は美月が以外に考えてるんだなと思いながらもう一つの疑問を口にした。

裕里「でもさくらちゃんのことは覚えてるんだよね?」

純一「・・・そうなんだよな・・・なんで俺のことだけ忘れてるんだろう・・・」

    そうなのだ、音夢はさくらのことは覚えており忘れてしまっている自分のことなどを聞いたり

    していたのだ。

純一「・・・・ず〜ん」

裕里「(口で言ってるし・・・そろそろやばいな・・・)そ、そういえばよく言うよね!」

純一「ん?何がだ?」

    純一は顔を上げ裕里を見た。

    そんな純一を見てまだ話を聞くくらいの元気はあるのかと少し安心し話を続けた。

裕里「記憶喪失の人は自分の一番大事な人のことをなかなか思い出さないって!」

純一「・・・・・・な、なるほど!そう言うことか!!音夢は俺のことが一番大事だから忘れてるんだな!!!」

    裕里の言葉で純一はどうやら少しは立ち直ったらしく

    裕里は「はぁ・・・」と心の中でため息をつきながらどうにかなったと安心した・・・そのとき

    コンコン

裕里「あ、は〜い!」

    ノックの音がして裕里は扉を開けた。

美月「裕里くん、今からアースラに行くんだけど一緒に行く?」

    すると美月が部屋に入ってきてどうやらアースラに用があるらしく裕里に「ついてこない?」

    と聞いてきた。

美月「それになのはちゃんに会いたいでしょ?」

    そしてさらに「なのはに会える」と言われ

裕里「はい!行きます!!!」

    裕里は嬉しそうに二つ返事でそう答えた。

    ・
    ・
    ・
    ・
    ・

裕里「・・・なにかあったんでしょうか?」

美月「そうね・・・なにかしら?」
   
    裕里と美月はアースラについたがなぜか中があわただしかった。

美月「う〜ん・・・ブリッジに行ってみましょうか?」

裕里「はい、そうですね」

    そして美月の提案で・・・ことのしだいを確かめるためアースラのブリッジに行くことにした。

    ビシュ

裕里「・・・・・え?あれは!?」

美月「・・・・あの娘は」

    入ってすぐ目に付いたのはモニター・・・そして映っているのはジュエルシードを封印するために戦っている

    フェイトとアルフ、すももとユキちゃんだった。

なのは「わたし、あそこ行きたいです!!」

撫子「私もです!」

    なのはと撫子はその光景を見てリンディとクロノに自分たちも現場に行きたいと申し出るが

クロノ「それはダメだ」

なのは「そ、そんな・・・」

撫子「どうして!!!」

    却下されたことになのはと撫子はもちろん抗議するがクロノはそのことに関して戦略を説明する。

クロノ「このまま行けばあの少女は自滅する・・・たとえそうじゃなかったとしても魔力を使い果たしている

    所を狙えばこちらになんの損害も出さずにいられるんだ」

リンディ「残酷に思えるかも知れないけど、これが現実なのよ・・・」

    クロノの言葉とリンディの言葉にうつむくなのは・・・

撫子「でも!あそこにはすももとヒツジくんが!!!」

    撫子はまだ抗議をするがクロノは撫子に

クロノ「残念だが君一人のために我々は動いているわけではないんだ」

    そう言い放ちクロノの言葉に撫子は悔しそうな顔をしながらうなだれる。

裕里「・・・・管理局って言うのは偽善者の集まりなんですね」

クロノ「・・・何?」

なのは「・・・・裕里くん」

    そのとき・・・今までの話を聞いていた裕里は怒りを隠すこともなくそう言った。

裕里「・・・そんなクズみたいな組織ないほうがいいんじゃないですか?」

クロノ「なんだと!?」

    いつもの裕里からは考えられないような言葉を吐き静かに怒りをあらわにする裕里。

美月「あいかわらずね・・・管理局は・・・」

    突然、美月はそう言うと後ろを振り向き裕里となのはと撫子にこう言った。

美月「私が転移魔法で連れて行くわ・・・だからついて来て」

   そう言って歩き出す美月

裕里・なのは・撫子「「「はい!」」」

    裕里たちは美月の言葉を聞きうなずきあうと美月の後ろについて行った。

クロノ「なにを勝手に!!!」

    クロノは美月に向かってまずそう言うが美月は

美月「残念だけど・・・あなたに私を止める権利はないわ」

    クロノにそう言い放つ。

    そう言われたクロノは去っていく美月に対して

クロノ「・・・あなたは指導者に向いていないんじゃないですか?」

    と最後に皮肉をこめたように言った・・・だが美月は振り向きもしないでクロノに言った。

美月「そうね・・・私は向いてないわね・・・でも目の前に傷ついてる少女がいるのにそれを救おうともしない
  
   あなたたちのような人でなしになるくらいだったら・・・私はそれでいいわ」

    美月はそう言うと颯爽と裕里たちを連れてブリッジから出て行った。

    ・
    ・
    ・
    ・
    ・

アルフ「フェイト!!」

ユキちゃん「フェイトちゃん!!」

すもも「フェイトちゃん!!私も手伝うよ!!」

フェイト「大・・丈夫!!すももに危険なことさせられないよ」

    海鳴市の海上ではフェイトが必死にジュエルシードの封印を行っていた。

    そしてそれを見守るすももとアルフとユキちゃん・・・と、そのとき

すもも「・・・・・?(誰かこっちに向かって来てる?)」

ユキちゃん「どうしたの?すもも?」

    すももはこちらに向かってきている魔力があることに気づいた。

    それにフェイトとアルフも気づいたようでそちらを向いた・・・・すると

???「ふっふっふっふっふ・・・・どうやらお困りのようだな?」

    目の前に変な”奴”が現れた。

    その変な”奴”を見て敵意はないと思ったのかアルフは一応警戒しながら話しかけた。

アルフ「あんた・・・何者だい?どうやら魔導師みたいだけど・・・・」

    アルフの問いに”奴”は自分の名を名乗ることが好きなのかなんとも嬉しそうな顔をして自分の名前を述べた。

???「俺の名は「杉並」!!この世の未知を探すことを生きがいとしている者だ!!!・・・ちなみに愛読書は「ヌー」」

全員「「「「・・・・・」」」」

    杉並の妙ちくりんな答えに全員、言葉を失った・・・だがそのとき

杉並「む?・・・何か来るな」

    突然、ある部分の空間がゆがみそこから

裕里「うわっとと・・・もう!美月さん!海の上に出るんだったら早く言ってくださいよ!!」

なのは「あ〜びっくりした・・・」

ユーノ「なんか僕・・・これが出番初めてじゃない?」

撫子「・・・さすがに海に叩きつけられたくないからね」

美月「あはは・・・ごめんなさいね」

    杉並に続いて裕里たちがそろって現れた。

フェイト「・・・・・・」

アルフ「あ!あんたたちは!!」

   アルフは裕里たちを見ると攻撃を仕掛けようとする・・・だがそのとき

すもも「アルフさん!まって!!」

アルフ「?・・・すもも?」

    突然のすももの大声にアルフは攻撃をやめる。

    そしてすももはある方向・・・・撫子のほうを見つめた。

すもも「・・・・・ナコちゃん?」

フェイト「え?」

アルフ「なんだって?」

    すももがそう撫子に向けて言うと・・・撫子は目に涙を溜めながら

撫子「すもも!!」

    すももの名前を呼び近づいた。

撫子「良かった・・・無事で本当に良かった!!!」

すもも「ナコちゃん・・・ふえぇ・・・」

    ガシッ!

    すもも、も本当の撫子だと分かると泣き出し抱きついた。

    その様子を見ていた裕里たちは

裕里「よかったね」

なのは「うん・・・撫子ちゃんずっと気にしてたもん」

フェイト「すもも・・・本当によかった」

アルフ「うう〜!!よかったね〜すもも!!!」

ユーノ「涙が止まらないよ〜!!!」

ユキちゃん「よかったな・・・すもも」

    口々に2人の再会に「よかった、よかった」と言っていた。

杉並「・・・・ちょっとお取り込み中のところ悪いが・・・」

    するとそのとき杉並が全員に向かって話しかけた。

アルフ「ぐすっ!なんだい!感動の再会の途中で!!」

    アルフは涙ぐみながら再会の場面で話し出した杉並をにらんだが杉並はため息をつきながら

杉並「ジュエルシード・・・どうするんだ?」

    まだ封印されていないジュエルシードを指差した。

美月「出来るなら・・・早くして欲しいな〜」

    そしていつの間にかジュエルシードの暴走を抑えていた美月もそう言った。

全員「「「「「「「「・・・・・あ」」」」」」」」

    杉並以外の全員はようやくそのことを思い出した。

全員「「「「「「「「・・・・・・・・・・」」」」」」」」

    気まずい雰囲気・・・

アルフ「と、ところでいったいなにしに来たんだい!」

    気を取り直しまずアルフが第一声をあげ裕里たちにここに来た理由を聞いた。

なのは「・・・・・」

    するとなのはが前に進み出てフェイトに向かってこう言った。

なのは「わたし・・・ジュエルシード封印するの・・・手伝うね」

フェイト「・・・え?」

    なのははそう言うとレイジングハートを通してフェイトに自分の魔力を分け与えた。

なのは「これではんぶんこ♪」

    そしてフェイトににっこり笑いかけ

なのは「2人でせーので一気に封印しよ」

    そう言うと先にジュエルシードに向かって飛んで行った。

フェイト「・・・・・」

アルフ「・・・なんなんだい?」

    一瞬あっけにとられるフェイトとアルフだったが

裕里「ほら早く行こう?君のデバイスもそれを望んでる」

フェイト「・・・・バルディシュ」

    いつの間にかシーリングフォームになっていたバルディシュを見てフェイトは何かを決意したような

    顔になると「分かった」とそれだけ言ってなのはのもとに飛んでいった。

裕里「さてと・・・・・」

    それを裕里は満足そうに見送ると今度は何もない方向をじっと見つめだした。

    隣にいたアルフは「なにやってんだ?コイツ」と思いながらも特に何もするでもなく

    自分が行けば邪魔になるだろうなのはとフェイトの方向を見つめた。

すもも「ナコちゃん・・2人とも大丈夫かな?」

撫子「2人を信じよう?・・・・ね?」

    すももと撫子も傍観を決めたらしく二人を応援するように見守る・・・そして

ユーノ「僕たち・・・空気か?」

ユキちゃん「うん・・・空気だ・・・」

    人間状態のユーノといまだに人形のユキちゃんは自分たちが明らかに話しに絡んでいない
 
    空気になっていることを嘆いていた。

    一方、なのはとフェイトは初めてとは思えないほどのコンビネーションで

なのは「行くよ!フェイトちゃん!!」

フェイト「・・・うん」

なのは・フェイト「「せ〜の!!」」

   「せ〜の」の掛け声と共に

なのは「ディバインバスター!!!!!」

フェイト「サンダーレイジ!!!!!!」

    なのははフルパワーのディバインバスター、フェイトはサンダーレイジを同時に放ち

    一気にすべてのジュエルシードを封印した。

なのは「・・・・・」

    なのははジュエルシードを見ながら自分がずっと思ってきたことを思い返してみていた。

    なんで自分はフェイトのことがこんなに気になるんだろうと・・・そして

なのは「(そうか・・そうだったんだ)」

    ようやく分かった。

    なのははフェイトに昔の自分・・・士郎が大怪我を負いその看病のため家に誰もおらず

    いつもひとりぼっちだった自分と同じ感じがしたこと・・・そしてたぶん始めてあったときに

    決めていたのだ・・・フェイトの「友達になる」と・・・

フェイト「・・・・・」

    そして同じくジュエルシードを見つめているフェイトを見るなのは

フェイト「・・・・?」

    フェイトも気づいたらしくなのはを見つめる・・・そしてなのはは自分の気持ちを伝えた。

なのは「わたし・・・あなたの友達になりたいんだ」

フェイト「・・・・え?」

    だが・・・・そのとき

裕里「2人とも!!!防御魔法を展開するんだ!!!」

なのは・フェイト「「え!?」」

    裕里の叫び声を聞き驚くなのはとフェイト

    ゴォッ!

なのは「!?攻撃魔法!!」

フェイト「間に合わない!!」

    ≪protection≫

    ≪Defensor≫

    だがレイジングハートとバルディシュがオートでプロテクションとディフェンサーを張ったため

    間一髪で防ぐことが出来た・・・・だが

フェイト「くっ!」

    フェイトのディフェンサーは防ぐことよりも避けることを目的としているため

    衝撃を完全に殺しきれず吹き飛ばされる。

なのは「フェイトちゃん!!」

すもも「あぶない!!」

    なのはが叫ぶがフェイトは完全に体勢を崩しており立て直せない。

    そしてそんなフェイトに追撃のように魔力弾が飛んでいく。

フェイト「!?」

     当たる!・・・フェイトがそう思い目をつぶった・・・すると

裕里「エリュシオン!!ディスペルセイバー!!!」

     ≪Dispel saver≫

フェイト「え?」

裕里「はあ!!!」

     裕里がすでにフェイトの前まで来ており魔法による攻撃を剣で切り裂く要領でかき消す技で

     魔力弾を切り裂く。

     そしてフェイトのほうを向き無事を確かめると

裕里「あ・・・・そうだ」

     何かをつぶやきなにを思ったかすぐにフェイトの下まで行き

裕里「ほいっと」

フェイト「ふえ!?」

なのは「・・・・・・」

     まだ吹き飛ばされたせいと疲れているせいもあるのだろう・・・ふらふらしていた

     フェイトを裕里はひょいっとお姫様抱っこをした。

フェイト「えっと///その///」

     男の子にお姫様抱っこをされたことなど初めてなのか顔を真っ赤にしているフェイト。

     そんなフェイトに裕里は優しく笑いかけながら

裕里「疲れてるみたいだし・・・このまま・・・ね?」

     優しくそう言い

フェイト「/////(コク)」

     裕里の笑顔と優しい声にさらに顔を赤くしながらフェイトはうなずいた。

???「・・・・そろそろ終わったかな?」

裕里「・・・・・ええ終わりました」

なのは「ふえ!?」

フェイト「誰!?」

     突然、声のしたほうを向くとそこには若い男性が空を飛びながらこちらを見ていた。

     だが裕里はその男の正体がわかっているらしく睨みつけるように見ると

裕里「ウイルス・・・ですね?」

     そう言い裕里の言葉に男は微笑むように笑いながら・・・こう言った。

???「ああそうだよ・・・私の名はパラケルスス・・・君に手ひどくやられたエラスムスと同じ

    特級ウイルスだ」

     自分の名前を述べると男はまわりを見渡し杉並たちを見るとまた穏やかに微笑み「ようやく同じ場所に・・・・」

     などと口走りながら少しの間思案するような態度をとった。

パラケルスス「・・・う〜ん・・・そうだね・・・やっぱりこれで行こう」

     何かをつぶやきゆっくりと顔を上げ何故かフェイトを見ると・・・笑みを崩さずこう言った。

パラケルスス「フェイト・テスタロッサ・・・・君の母親は預かった」

フェイト「な!!!?」

アルフ「なに!?」

すもも「プレシアさんを!?」

ユキちゃん「なんだって!?」

     フェイトはもちろんアルフとすもも、ユキちゃんも驚く。

     そしてパラケルススはまるで「証拠だ」と言わんばかりに空中に鏡のようなものを出し

     そこに・・・捕らわれていて牢屋のようなところに入れられているプレシアの姿を映し出した。

パラケルスス「これが証拠さ・・・まあ時の庭園に帰ればいないのだからすぐに分かると思うけどね」

     パラケルススは話し終わる・・・と今まで唖然としていたフェイトは「はっ!」と我を取り戻すと

     パラケルススを睨みつけ

フェイト「なんで母さんをさらった!!!」

     そうパラケルススに怒鳴るように聞いた。

     そんなフェイトを見ながらパラケルススは・・・静かにこう言った。

パラケルスス「ふふふ・・・なに・・・私たちの願いのためさ」
   
裕里「願い?」

     パラケルススの言葉に今まで聞いていただけの裕里が反応する。

パラケルスス「ふふふ・・・・では伝えることももうないのでそろそろ失礼させてもらう」

     パラケルススは裕里の問いに答えることもなく消えようとする。

フェイト「くっ!!!!まて!!!!」

裕里「うわっ!とと!フェイトちゃん!!!そんな魔力じゃ無理だよ!!!」

     裕里はパラケルススを追いかけようとするフェイトを必死で止めようとするが

     フェイトは一向に止まろうとせず裕里の腕の中で暴れる。

     それを見たパラケルススは消える直前にこう言った。

パラケルスス「大丈夫だよフェイト・テスタロッサ・・・すぐに救い出す機会は訪れる」

フェイト「まて〜!!!!!」

     フェイトの声もむなしくパラケルススは消えて行った。









                                魔法少女リリカルなのは 白銀の魔法使い



 
                             
                             第十六話「あなたには大切な人がいますか?、なの」完











あとがき

第十六話も終わり一息ついているふぁんふぁです!

予告していた通り管理局組みを出しましたがどうでしたでしょうか?

かなり悪者になっているように見受けられますが原作でもこんな感じだったので

こんな感じに書いてみました!


そして次は第十七話ですが・・・またどうすればいいか浮かんできません。

原作とはかなり違う展開になってきているので・・・というかなっているので

ここら辺から完全オリジナルになると思います!ぜひ読んでみてくださいね!


それでは〜
メンテ
Re: 白銀の魔法使い ( No.24 )
日時: 2009/04/01 01:54
名前: ふぁんふぁ 

ことり「これで全部ですね」

裕里「・・・・なんだ・・・たいしたことはなかったな」

   みなさん、久しぶりだな俺は空咲裕里だ。

   今は守護機関の任務中でJS事件の後いろいろとどこかの組織とかに流れているガジェットを殲滅したところだ。

ことり「裕里くん相変わらず絶好調ですね♪」

   ちなみに今回は通称「朝倉の愛人」こと白河ことりと任務に当たっている。

  (ちなみに音夢は「朝倉の嫁」さくらは「朝倉のさくらたん」だそうだ・・・なんだ?「さくらたん」って?)

裕里「このくらい当然さ」

   俺にしてみればたいしたこともなくいつもの通りだ。

   それに俺じゃなくことりでもこれくらい軽く出来るだろうしな。

ことり「ふふふ・・・「白銀の死天使」の異名は伊達じゃないですね♪」

   伊達に戦争のとき何度もウイルス数十万体を一人で相手にしていたわけじゃないさ・・・まあ剣一振りで

   一万体のウイルスを消し飛ばしていたわけだが・・・今思えば面倒なことをしていたもんだあのときでも

   広域魔法で一瞬で氷漬けにしてやれたのに・・・その代わりまわりは大惨事だが・・・俺の氷は太陽でも溶かせない

   しな・・・

裕里「じゃあこれで任務終了か?」

   俺がそう聞くとことりはなにやら意味深な表情をして・・・

ことり「裕里くん・・・今日が何の日か知ってますか?」

   そんなことを言った。

   今日?・・・・・なんだ?なにか・・・あったか?

   考えても答えは出ない・・・そんな俺にことりは笑いながら・・・こう言った。

ことり「今日は・・・結婚式ですよ?」

裕里「は?・・・誰の?」

   結婚式?・・・聞いてない・・・そもそも誰が?

   さらに悩む俺にことりは・・・・・・とんでもないことを言った。

ことり「裕里くんとなのはちゃんのに決まってるじゃないですか♪」

裕里「・・・・・・・」

    俺が結婚?・・・誰と?・・・・なのはと・・・・・

裕里「・・・・・・は、はあ!?」

   な・・なに言ってるんだ!?・・・・俺となのはが・・・け、けけ結婚!?

   でも今日って・・・・・・あ

裕里「おい・・・・・ことり」

ことり「はい♪なんですか♪」

   そのとき俺はあることに気づいた・・・そういえば今日は・・・

裕里「残念だがエイプリルフールはミッドにはないぞ?」

   そんな俺の言葉にことりはちろっと舌を出すと・・・さらにとんでもないことを言いやがった。

ことり「でも・・・フェイトちゃんたちは信じたみたいですよ?ほら♪」

裕里「・・・・何?」

   ことりが後ろを指差したのでそちらを見ると・・・

フェイト「裕里〜!!!!いったい・・・いったいどういうことぉ!!!?」

クラリア「お父上様〜!!私は!!!私はぁ!!許しませんよぉ!!!?」

エセル「マスター!!!聞いてませんよ!!!!!」

エアリス「・・・・お父様を殺して私も死ぬ!!!」

アリシア「なのは!!なのはは何処!!!なのはを狩るわよ!!!!」

   おい・・・・・なんてことを・・・・なんてことをしてくれやがった!!!!

   俺はその光景を見ながら一番こんなことをやりそうな人物を頭に思い浮かべた・・・・あの人しかいないか

裕里「ちいい!!!どうせ美月さんの策略だろ!!」

   俺は逃げ腰になりながらことりに聞いた・・・するとことりは

ことり「はい美月さんもですけど・・・桃子さんもですよ♪でも2人とも本気みたいでしたけど♪

    あ・・・あと杉並くんとはやてちゃんもでした♪」

裕里「あ・・・悪夢だ・・・」

   俺は絶望しながら・・・・逃げた。






                                魔法少女リリカルなのは 白銀の魔法使い




                       
                       外伝「今時エイプリルフールに盛り上がってるのって週刊誌くらいじゃない?」





                                         始まります








裕里「始まんな〜!!!!!!」

   くそ!!!いったいなんなんだ!!!

フェイト「まて〜!!!!」

アリシア「逃げるな〜!!!!」

   逃げても逃げても追いかけてくる・・・・・

ヴィータ「はやてを弄んだのか!!このヤロ〜!!!!」

シグナム「断じて許せるものではない!!!!」

ザフィーラ「わんわんわん!!!」

   しかもなんか増えてるし!!!

   逃げても逃げても・・・追いかけてくるし!!!だんだん増えてくるし!!!

   ゾク・・・
  
裕里「!?魔法か!?」
  
   そのとき殺気を感じて振り向いてみた・・・て!おい!!

ヴィータ「アイゼン!!!!シュワルベフリーゲン」

    ≪Schwalbefliegen≫

裕里「ちい!!」

   俺は舌打ちするととっさに追いかけてきている一人・・・エセルにこう言った。

裕里「エセル!!!俺に味方してくれたら今日は添い寝なら許してやるぞ!!!」

エセル「!?」

   いつもは絶対に許さないところだが(見つかると殺られる・・・)今回は仕方ない!

エセル「イエス!マスターの仰せのままに!!」

   どうやらエセルは俺に手を貸してくれるらしい・・・・よし!!!

エセル「重力結界!!!!」

    そしてお得意の重力結界を展開した。

クラリア「くっ!動けん!!!!」

エアリス「う、裏切るんですか!!」

エセル「私はマスターの物・・・マスターの命は絶対です!!!」

    よく言う・・・まあエセルの重力結界のおかげでシュワルベフリーゲンも重力に引き寄せられて

    停止したわけだ・・・今日くらいは添い寝くらい許すか。

ヴィータ「まだまだ!!!コメットフリーゲン!!!!」

    ≪Kometfliegen≫

裕里「!?」

    はあ!!!なにやってんだヴィータ!!!!

裕里「おい!!!こんなところでそんな魔法使ったら!!!」

    やべぇ!!ちい!!

裕里「エリュシオン・ソレイユ!!!セットアップ!!!!」

    ≪standby ready,set up≫

   俺はとっさにエリュを起動した・・・まあやることはただ一つ

裕里「エリュ!!!ライトムーブ!!!」

    ≪light move≫

   ・・・高速移動魔法で逃げることだ。

   ドギャ〜〜〜ン!!!!!!!!!!

裕里「間に合った・・・」

   後ろでは悲鳴やら罵声やらまだ俺を呼ぶ声が聞こえるが気にしない・・・俺は逃げる!!!

   そして俺は逃げながら思ったことが一つあった。

裕里「はやては自業自得だな・・・・」

   俺はボロボロになった新・起動六課の隊舎を見てそう思った・・・

   ・
   ・
   ・
   ・
   ・

裕里「はあ・・・逃げ切れた」

   俺はすでに外まで逃げていた。

   やっと一息つけると思い座ろうとしたら・・・

春愛「あ〜!!いた〜!!!」

ヴィヴィオ「パパ〜!!」

裕里「・・・ん?春愛?ヴィヴィオ?」

   声のしたほうを向くと・・・向かなくても分かるが俺の娘である春愛とヴィヴィオが

   こちらに向かって走ってきた。

裕里「どうしたんだ?こんなところで?」

春愛「えっとね〜美月ちゃんがパパを探してきて〜って言ったから来たの!!」

ヴィヴィオ「来たの!!」

   相変わらず仲がいいことがほほえましい・・・それにしても・・・とうとう元凶がじきじきに俺を呼び出しか・・・

ヴィヴィオ「なんかいいものが見れるって言ってたよ?」

裕里「いいものか・・・」

   ふむ・・・あの人は基本的に良い意味でも悪い意味でも嘘はつかない・・・でもこの2人を使って

   呼び出したってことは悪いことじゃない・・・だろ・・・たぶん。

   どうせ行かないとひどい目に遭うのは目に見えているし・・・仕方ないか・・・

裕里「じゃあ連れて行ってくれるか?」

春愛・ヴィヴィオ「「うん!!!」」

   俺は腹をくくり元気に返事をした2人と手を繋いで元凶の呼び出し場所に向かった。

   さて・・・吉と出るか凶と出るか・・・

   ・
   ・
   ・
   ・
   ・

裕里「・・・・ここは・・・・教会?」

   2人に連れられてきたのは教会だった・・・もちろん聖王教会は遠すぎるので近くの教会だが・・・

春愛「ここにいるよ」

裕里「じゃあ・・・入るか」

   ここでいろいろ考えたところで意味はないので俺は恐る恐る入ってみることにした。

   カチャ・・・

裕里「・・・・・・」

   中に入っても誰もいな・・・・・・ん?

???「・・・・・・」

   ステンドグラスからの光でよく見えなかったが誰かいる・・・

   俺は恐る恐る近づいていった・・・ん?

裕里「・・・いない」

   まわりを見ると春愛とヴィヴィオがいない・・・

   あの2人は俺に何も言わずどこかに行くようなことはしない・・・

   まあ・・・そこらへんの誘拐犯くらいに捕まるようなこともないだろうし大丈夫だと思うが(聖王と最強のホムンクルスだしな)

   特に気にしないことにして前にいる人に近づいていった。

???「・・・・裕里くん?」
 
裕里「?」

   その人・・・どうやら女性のようだが俺のことに気づいたらしい・・・と言うか俺のこと知ってるのか?

   その女性はどうやらウエディングドレスを着ているらしく・・・とても綺麗だった・・・

裕里「///」

???「どうしたの?」

裕里「///・・・はっ!」

   ヤバイヤバイ!!固まってた。

   目の前の女性があまりにも綺麗すぎてつい見とれてしまった。

   と言うかさすがに俺でももうすでにこの女性の正体には気づいた。

裕里「なんでそんな格好してるんだ?・・・・・なのは?」

   俺が目の前の女性・・・なのはにそう聞くとなのはは困ったような顔になった。

なのは「それよりも・・・どうかな?」

   そして俺が聞いたことはスルーして自分の格好について聞いてくる・・・

   言いにくい・・・そりゃあ言いにくいさ・・・

なのは「じ〜〜〜・・・・・・」

   そんな目で俺を見るな〜!!!

   くそ〜!!!絶対どこかで美月さんとか桃子さんとか杉並に見られているのに!!!

   ダメだ!!!綺麗すぎる!!!目が離せない!!!!

なのは「おかしい・・かな?」

裕里「うっ!」

   悲しそうな顔で聞いてくるなのは・・・反則さ〜それ。

   ぐうぅぅぅううう!!!よっしゃあぁぁぁぁああああ!!!!

   俺も男だ!!!!腹をくくるぞ!!!!!

裕里「えっと・・・・・綺麗だ・・・・とても///」

   俺がそう言った瞬間

なのは「えへへへへ///ありがとう♪」

   なのはは花が咲いたような笑顔になった・・・・

   やべ・・・俺もうダメだわ・・・一発K.O.だ・・・

   俺がそんな感想を抱いていたそのとき・・・・とうとう現れやがった。

美月「うっふっふっふっふ・・・・ラブラブね〜♪」

桃子「もう!なのはと裕里くんかわいすぎるわ!!!」

杉並「は〜っはっはっはっは!!!今の場面はバッチリ!カメラに収めたぞ!!!!」

春愛「わ〜!!」

ヴィヴィオ「ママ綺麗!!!」

   元凶三人組と先ほど消えた我が娘2人・・・まあもう一人は今頃泣きながら始末書を書いているんだろうが・・・

   こいつらは・・・・また性懲りもなく・・・・こんな悪戯みたいなことをして・・・・

美月「裕里くん♪見れてよかったでしょ♪」

裕里「・・・・まあ・・・はい」

   くうぅぅぅううう!!だが今回は怒れない・・・確かにいいもの見させてもらった!!!

桃子「もういっそこのまま結婚しちゃえばいいのにね♪」

なのは「も、もう///お母さん!!!」

裕里「・・・・・」

   なのはは恥ずかしがって桃子さんをポカポカ叩いている・・・その光景すら・・・///

   杉並はそんなことを考えている俺を見て考えを読んだようにニヤけながらこう言った。

杉並「ふふ〜ん!どうやら骨抜きにされたようだな?」

裕里「・・・・ほっとけ///」

   俺はいつものように言い返すことが出来なかった。

   でも・・・・いつか・・・かならず気持ちを伝えよう・・・

   そして今度は今日みたいな嘘ではなく・・・本番でその姿を見たい・・・・

   そのとき俺は本当にそう思った。

   



   
  
  

  
                              魔法少女リリカルなのは 白銀の魔法使い




                       
                     外伝「今時エイプリルフールに盛り上がってるのって週刊誌くらいじゃない?」完

















あとがき

エイプリルフールとのことで書いてみた短編だったのですが

どうでしたか?外伝では主に未来の裕里たち・・しかもJS事件が

終了したあとくらいを書いているのですが・・・大人の裕里を

書くとしても平和になってから・・・ぐらいがいいかななんて思って

時間設定を考えて書いてみました。楽しんでいただけたなら幸いです!


それでは!!
メンテ
Re: 白銀の魔法使い ( No.25 )
日時: 2009/04/03 01:43
名前: ふぁんふぁ 

裕里「・・・・・滅べ」

エラスムス「ひっ!・・・来るな!来るなぁ!!!!」

美月「・・・・・」

    こんにちは・・・かしら?私は天城美月よ。

    実は今、大変なことになっているの。

なのは「裕里くん!!」

純一「裕里!!!!」

音夢「正気に戻ってください!!!」

フェイト「だめ!!」

    みんなが裕里くんに呼びかけているけど・・・

裕里「死をもって償え」

エラスムス「寄るな!!寄るなぁぁああ!!!」

    裕里くんの耳にはまったく入っていないみたい。

アジフ「美月!!!いったい裕里はどうしたというのだ!!」

    アジフも珍しくパニックになってる。

美月「・・・魔力が暴走してるのよ」

アジフ「魔力の暴走だと!?・・・だがならなんだあの禍々しい魔力は!!!暴走だけでああなるのか!?」

    まさか・・・私がエリュシオンにつけた”あの機能”がここまでになるなんて・・・

    でも・・・仕方がなかった・・・”あの機能”がなければ今のようなとき裕里くんは・・・

美月「(こんな形でしか制御できなかったなんて・・・私は無力ね・・・)」

    私は無力感に打ちひしがれていた。  





                             魔法少女リリカルなのは 白銀の魔法使い



                          
                           
                             第十七話「目覚める白銀の死天使、なの」




                          
                                       始まります









・美月の家

裕里「アルフさん・・・フェイトちゃんの様子はどうですか?」

アルフ「ああ・・うん、まだ寝てるよ」

    昨日のプレシアがさらわれると言う出来事の後・・・フェイトは今までの無理がたたったのか
 
    倒れてしまいもちろんアースラに連れて行けるわけもなく美月の家に運び込んだのだった。

アルフ「でもすまないね・・・いろいろと助けてもらっちゃって」

    アルフは敵であった裕里たちを多少はまだ警戒はしているものの管理局に引き渡さなかった
  
    ことなどいろいろ助けてくれたこともあり少しは信頼していた。

裕里「いいえ当然のことをしたまでですから・・・・でもなんでフェイトちゃんのお母さんを
   
   さらったんでしょうか?」

    裕里はパラケルススがプレシアをさらったことの意味がよく分からなかった。

    アルフたちの話を聞いてみても特に何かあるわけでもない・・・そもそもウイルスのことなど知らない・・・

    とのことで今のところまったく手詰まりの状況だった。

アルフ「う〜ん・・・あのパラケルススとか言う奴は「願いがある」とか言ってたけど何も言わなかったからね・・・・」

裕里「そうですよね・・・・」

    2人でうんうん唸っていると「くすくす」と何処からか笑い声が聞こえてきた。

    裕里とアルフは少し驚き笑い声が聞こえたほうを向くと・・・・美月がいた。

美月「もう・・・フェイトちゃんの部屋の前で唸ってたらうるさくてフェイトちゃん起きちゃうわよ?」

裕里「そ、そうですね」

アルフ「あはは・・・」

    2人は「そうだった」と言う顔をして唸るのをやめた。

裕里「あ・・・フェイトちゃんのご飯ですか?」

美月「ええそうよ」

    美月はお盆を持っており病人食ではないおいしそうな和食が乗っていた。

    そして美月は「お腹すいてるだろうしね♪」と穏やかに笑いながらフェイトが寝ている部屋の扉を開けた・・・

美月「・・・・・・・」

裕里「?」

    だが部屋の扉を開けた美月が一向に部屋に入ろうとしない・・・・裕里は「どうしたんだろう?」

    と部屋を覗き込んだ・・・すると

裕里「・・・・いない!?」

アルフ「なんだって!?」

美月「ふう・・・まったく」

    窓が開いておりもぬけの殻となっているベットがあった。

    ・
    ・
    ・
    ・
    ・

フェイト「・・・・・母さん」

    フェイトはひたすら歩き回っていた。

    部屋を抜け出したあとプレシアの行方を捜すため・・・少しでも手がかりがないかと

    無駄だと分かっていても探し続けていたのだ。

フェイト「(でも・・・アイツは「いつか助け出す機会が訪れる」とか言ってた・・・)」

    今むやみに探さなくてもいつか助けられる・・・たとえそう言われていたとしても

    言った相手は敵信じられるわけがない・・・それに母にいつまでも苦しい思いはさせたくない・・・

フェイト「それに・・・///」

    フェイトは何かを思い出したのかとたんに顔を赤くし何かをぶつぶつ言い始めた。

フェイト「わ、私初めて男の子に抱っこされた・・・それもお姫様抱っこ・・・・は、はずかしくて顔合わせ

     られないよ〜///」

    先ほどの雰囲気と変わりすぎだが実は部屋を抜け出した理由はもう一つありそれはたまたま起きた

    とき部屋の前から自分をお姫様抱っこした張本人・・・裕里の声が聞こえたので顔を合わせるのが

    恥ずかしくなり抜け出した・・・・と言うものもあったのだ(80%くらい)

    そのとき

    むにゅ

フェイト「?」

    フェイトは何かを踏んづけた感覚をおぼえ足元を見た・・・すると・・・

???「う、うにゃ〜・・・・」

フェイト「ふえ!?」

    白い物体・・・いや白い仔猫を踏んづけていた。

フェイト「だ、大丈夫!?」

    フェイトは慌ててその仔猫を拾い上げた。

    すると仔猫は頭に靴のあとがくっきりと残っているものの特に怪我もないのか「うにゃ〜ん」

    と大丈夫と言っているかのように鳴いた。

フェイト「ごめんね・・・」

    フェイトは汚れた頭をハンカチで拭きながら仔猫に申し訳なさそうに謝った。

    すると仔猫はフェイトの顔を見上げ

???「うにゃうにゃ」

フェイト「へ?私の名前?」

    フェイトに名前を聞いてきた?らしい・・・フェイトは「あれ?なんで猫の言葉が分かるんだろう?」と

    疑問に思ったが仔猫がじ〜と見上げてくるので気にしないことにし早く名前を教えてあげることにした。

フェイト「私の名前はフェイト・テスタロッサ・・・君は?」

???「うにゃにゃ〜」

フェイト「そう・・・うたまるって言うんだ」

うたまる「うにゃ」

    こうしてフェイトは謎の仔猫うたまると出会ったのだった。

    ・
    ・
    ・
    ・
    ・

裕里「フェイトちゃ〜ん!!!」

なのは「どこ〜!!フェイトちゃ〜ん!!!」

音夢「どこですか〜!!!」

純一「返事しろ〜!!!」

アジフ「まったく・・・世話の焼ける!!!」

    裕里たちはあのあとなのはや音夢たちも呼びフェイトを探すために町を歩き回っていた。

    効率よく探すためともしものとき戦闘があっても大丈夫なように二手に別れることにして

    裕里、なのは、音夢、純一、アジフとさくら、すもも、撫子、ユーノ、アルフの二手に別れ美月さんと

    ユキちゃんは家に残った(ユキちゃんは人形なので戦力外通告をされた)

裕里「ふう・・・あと探してないところあったけ?」

純一「うう〜ん・・・」

    正直、何処を探していいかなんてまったく分からないので手詰まりの状態だった。

    美月曰く「たぶん恥ずかしいだけなのよ」とよく分からないことをいっていたが
   
    それはつまり目的がない・・・何処に行くのか分からないから探すのは困難と言うことでもある。

なのは「一人で出歩いたらウイルスに襲われるかもしれないのに・・・・」

音夢「はい・・・危険です・・・」

    なのはと音夢の心配も、もっともだった。

    すると・・・そのとき・・・

アジフ「!?・・・・どこかにウイルスが現れた」

裕里「・・・うん・・・僕も感じた・・・」

    ウイルスがあまりよくないタイミングで現れたことを裕里とアジフは感じとった。

    そして裕里はみんなにむけて

裕里「早くフェイトちゃんを探そう!・・・イヤな予感がする・・・」

みんな「「「「うん(おう)!!!」」」」

    そして裕里たちはまた走りだした。


    
    ・・・・ちょうどそのころ



フェイト「う〜ん・・・ここ・・・どこら辺だろう?」

うたまる「うにゃ・・・・」

    フェイトはうたまると会ってから「そろそろ家に帰らないと・・・」と思い帰ろうとしたのだが・・・

うたまる「うにゃ・・・うにゃ」

フェイト「あはは・・・いいよ誰かに道を聞いてみればいいんだから・・・ね?」
   
    うたまるが「自分について来い」とばかりにこちらに尻尾をふったのでフェイトはついていったのだが・・・

    しばらくすると見たこともないような道に出たり行き止まりにたどりついたりなどしているうちに迷ってしまったのだ。

フェイト「誰かいないかな・・・・」

    フェイトはあたりを見渡した・・・・すると

???「・・・・・・」

    目の前に線の細そうな男性がおり身動き一つせずに空をじっと見つめていた。

    フェイトはようやく人を見つけ「あの人に聞いてみよう」と早速、道を聞くために近づいていった。

???「これで・・・やく・・・・」

フェイト「・・・?」

    男性に近づいて行くとなにやらぶつぶつ言っている。

    それが気になりフェイトは立ち止まり耳をかたむけた・・・すると男性は・・・

???「くくく・・・・空咲裕里・・・今日こそ貴様を・・・・・・殺す」

フェイト「!?(裕里って・・・もしかして)」

    フェイトは驚いた・・・なぜなら裕里とは昨日自分をお姫様抱っこしてくれた人物と同じ名前だったからだ・・・

    苗字は知らないが確かそんな名前だった・・・

フェイト「(早く・・・知らせないと!!)」

    そう考えるとフェイトはうたまるを胸に抱いて走り出そうとする・・・だが

???「どこにいくんだ?・・・・フェイト・テスタロッサ?」

フェイト「え!?」

    驚き後ろを振り向くと・・・いつのまにか男性はフェイトの真後ろにいた。

フェイト「!! バルディシュ!!!」

    ≪Get set≫

    フェイトは瞬時にバルディシュを起動させると男性に振りかぶると同時に距離をとった。

???「ほう・・・意外とやるな・・・だが”その程度”だ」

フェイト「くっ!」

    フェイトは感覚的に”コイツには勝てない”と感じながらも”絶対に逃げられない”ことも悟っていた。

フェイト「うたまる!逃げて!!」

うたまる「うにゃ!?」

    フェイトはうたまるにそう言うと

フェイト「やあぁぁああ〜!!!!!」

    力強く叫びエラスムスに向かって行ったのだった。

    ・
    ・
    ・
    ・
    ・

裕里「!?・・・魔力がぶつかってる!?」

なのは「え!?」

    裕里はちょうどウイルスの発生を確認した方向から二つの魔力がぶつかっていることを感じとっていた。

    しかも二つともよく知っているものだった。

裕里「これは・・・フェイトちゃんと・・・もう一つはエラスムスだ!!!」

音夢「フェイトさんとあのウイルスさんが!?」

純一「一人じゃあぶない!!」

アジフ「ちっ!本当に世話の焼ける!!」

    そういいながらも裕里たちは急がなければならないと悟りデバイスを起動させる。

裕里・なのは「「セットアップ!!!」」

    ≪≪standby ready,set up≫≫

音夢「行きますよ!!!アジフ!!」

アジフ「うむ!!」

   ≪マギウス・スタイル!!≫

純一「ゲットセット!!!」

   ≪Anfang≫

   そして全員空中に飛び上がりその場所まで急いだ。

   ・
   ・
   ・
   ・
   ・

   人目につかないようにしながらしばらく飛んでいると目の前に結界のようなものが見えてきた。

   そしてその中で魔力の光がぶつかりあうような光景が見える。

裕里「・・・・いた!!あそこだ!!」

   裕里はそう言うとその結界に近づくと・・・

美月「(裕里くん?みんな?私よ)」

裕里「(美月さん?)」

   美月からの念話が届いた。

美月「(今私もそっちに向かってるわ・・・それと今そのあたり一帯に普通の人の目には見えなくなる結界を

    遠距離から張ってるの・・・だから思いっきりやっちゃっていいわよ)」

全員「「「「「(はい(うむ)!!)」」」」」

   美月の言葉に裕里は念話だが元気よく返事をするとそれと同時に結界の一部に穴が開いた。

美月「(今あけた穴から結界内に入ってくれる?・・・それと実は別の場所でもウイルスが出てそっちのほうは

   さくらちゃんたちがどうにかしてくれてるんだけど・・・その代わり救援はないと思っていて)」

   美月はそれだけ言うと念話をきった。

   そして裕里たちは結界内に入っていくと・・・先ほどまでの光がやんでいた。

裕里「・・・・・・(まさか・・・いや・・・でもフェイトちゃんの魔力はまだ感じる・・・)」

   最悪のことも考えながら先に進んでいくと・・・・そこには

エラスムス「おそかったな・・・この娘だけでは物足りなかったところだ」

フェイト「うっ・・・・」

なのは「フェイトちゃん!!!」

   そこには余裕の表情のエラスムスとボロボロになり倒れているフェイトがいた。

裕里「くっ・・・」

   裕里はすぐにフェイトに駆け寄るとする・・・だが

   エラスムスは裕里をみて二ヤッと笑うといつの間にか持っていた剣をフェイトの首に突きつけた。

裕里「な!?」

純一「何を!?」

エラスムス「くくく・・・一度やってみたかったんだ・・・さあ!・・・貴様たちその場にデバイスを置け!!」

   裕里たちはフェイトを人質にとられてしまい仕方なくデバイスを地面に置いた。

   するとエラスムスは性根の腐ったような顔をして

エラスムス「あははははは!!!!!!いいぞ!!!実にいい!!!」

   笑い声を上げながら唐突に剣を持っていないほうの手に魔力を集め音夢に向けた。

音夢「!?」

エラスムス「動くなよ!!動くと・・・この娘は・・・死ぬぞ?」

   そしてエラスムスは魔力弾を作り出すと・・・音夢に向けて放った。

音夢「きゃあぁああ!!!」

裕里・なのは「「音夢ちゃん!!!」」

純一・アジフ「「音夢!!!」」

   音夢は吹き飛ばされるが裕里たちは下手に動けないため助けに行くことができない。

エラスムス「あはははは!!!!どうだぁ!!空咲裕里!!!仲間がいたぶられる場面を見るのはぁ!!!!」

   さらに続いて今度はかなり強力な魔力を手に集めると裕里以外のなのは、純一、アジフに向かって

   魔力弾を放った。

なのは「きゃあぁぁあああ!!!」

純一「ぐうぅぅぅううう!!!」

アジフ「にゃあぁぁあああ!!!」

裕里「みんなぁ!!!」

  裕里は吹き飛ばされ壁やに激突したり地面を転がっていくなのはたちを見ながら悲痛な声を上げた。

エラスムス「あはははは!!!!」

   エラスムスは無抵抗のなのはたちが吹き飛ばされていく様子を見ながら大笑いする。

エラスムス「貴様だけは・・・特別だ」

   そう言うとエラスムスは今までよりも小さい・・・だが明らかに魔力の質の違う魔力弾を作り出すと

   裕里にそれを向けた。

エラスムス「くくく・・・・貴様はこの魔力弾が当たれば死ぬ・・・どうする?貴様はよけることも出来るが

      その瞬間この娘は死ぬぞ?」

裕里「・・・・・・・」

   エラスムスは裕里に向かってそう言うが裕里はうつむいたままで微動だにしない。

   そんな裕里を見たエラスムスは「フン」と鼻を鳴らすと突然つまらなさそうな顔になった。

エラスムス「・・・所詮は人間などそんなものか・・・くくく・・・我らにたてついたことを後悔しながら
   
      死んでいくといい・・・安心しろ・・・仲間にもこの娘にも・・・そしてあの我を愚弄した

      天城美月もすぐに後を追わせる」

裕里「・・・・・・・」

   そう言って裕里に向かって魔力弾を放つ・・・

エラスムス「死ね」

   エラスムスがそう言った瞬間。

裕里「誰が・・・死ぬって?」

エラスムス「・・・・え?」

    突然、右側から裕里の声が聞こえた。

    エラスムスは裕里の声が聞こえた方向をむこうとする・・・だが

エラスムス「な!?がはあぁぁぁぁああああああ!!!!!」

    ドゴォン!!!!

    吹き飛ばされ壁に叩きつけられた。

エラスムス「いったい・・なにが・・・」

    エラスムスは何が起こったかが理解出来ず・・・呆然と先ほどまで自分がいたところを見る。

裕里「・・・・・・」

    そこには先ほどまでうつむき何の反応も示していなかった裕里がおり体から膨大な量の魔力を噴出しながら

    こちらを見ていた。

エラスムス「・・・・・なんなんだ・・・お前は・・・・」

    エラスムスは先ほどの威勢もなくし・・・裕里を恐怖したように・・・実際恐怖していたのだろう・・・

    おびえた目で見ていた。

エラスムス「いったいなんなんだぁ!!!!」

    そしてついに耐え切れなくなったのか叫び声をあげた。

    すると裕里はいつもの裕里かからは考えられないような視線を向けると

裕里「・・・・・・貴様には生きている価値など微塵もない」

エラスムス「ひっ!」

    冷酷な声でそう告げる・・・そしてその瞬間・・・エリュシオンが・・・裕里のためにつけられた

    ・・・これからの裕里の最大の課題となる機能を起動させた。

    ≪Luciferd mode・・・・set up≫<ルシファードモード・・・・セットアップ>

    すると突然裕里の背中から白と黒の翼が右と左に五枚ずつ・・・計十枚の翼が現れ裕里を包み込んだ。

エラスムス「なにが起こっているんだ!?」

    エラスムスがさらにそう叫ぶと裕里を包んでいた翼が開く・・・すると

裕里「・・・・・・」

    裕里は銀髪となり瞳は翡翠のような綺麗な緑・・・バリアジャケットも今までと違い鎧が消え

    純白と漆黒の二種類の色が使ってある軽そうなものとなり・・・見た目はまるで天使のような

    格好となっていた。

なのは「うう・・・・」

音夢「痛・・・」

純一「いつつ・・・」

アジフ「くっ!よくも音夢と妾を!!!」

    そのときちょうど気絶していたなのはたちは目を覚ました。

なのは「・・・・え?・・・ゆ・・・裕里くん?」

純一「な、なんだ・・・あれ・・・」

    だが目の前の光景を見て驚く。

    裕里の姿が変わっており先ほどまで人質をとり勝ち誇っていたエラスムスは地面に座り込み恐怖するように

    裕里を見ている。

アジフ「くっ・・・それになんだあの禍々しく強大な魔力は!」

音夢「体が震えてきます・・・・・・」

    さらに裕里の体から出ている魔力はいつもの裕里の魔力とは違い禍々しく見るだけで震えが来るほど

    強力なものだった。

フェイト「う・・・・」

    そのときさらにちょうどフェイトも目を覚ました。

なのは「フェイトちゃん!!!」

    それに気づいたなのははすぐさま駆け寄る・・・

フェイト「え?・・・・ど、どうなってるの?」

    だがフェイトも今、目の前で起こっている状況を見て驚いていた。

    そしてそのとき裕里はエラスムスに向かってこう言った。

裕里「・・・・・死ね」

    まるで死刑宣告のように・・・淡々と・・・何の興味もないように・・・

    

    そのころアースラでは・・・



クロノ「どうしたエイミィ!?何があった!?」

    クロノは突然鳴り響いたアラームに少し慌てながらエイミィに聞いた。

    するとエイミィも慌てるようにクロノに報告する。

エイミィ「海鳴町で強力な魔力を確認・・・ランクは測定不能!!!!」

クロノ「なんだと!?」

    クロノは驚いていた・・・それはそうだろう・・・測定不能と言うことは最高ランクである

    SSSランクを超えていると言うこと・・・つまり管理局始まって以来の魔力を感知したこととなるからだ。

リンディ「クロノ執務官!!!至急、海鳴町に向かってください!!!」

クロノ「りょ、了解しました!!」

    リンディはクロノにそう告げながら

リンディ「(いったいなにが・・・不吉な感じがする・・・そう闇の書のときのような・・・)」

    そう感じずにはいられなかった。

    



    そして最初に戻る・・・





美月「・・・・・・(どうすれば・・・)」

    美月が駆けつけたときにはすでに裕里はルシファードモードを起動させており手に負えない

    状況となっていた。

エラスムス「行け!!!私を守れぇ!!!」

    エラスムスは今までで最高の数であろう・・・五十体ほどのウイルスを召還する。

    だが裕里はそれを一瞥すると

裕里「・・・・・・邪魔だ」

    ビュン!!!

    軽くエリュシオンを一閃させる・・・すると

    グシャアァァァアアアア!!!!

ウイルス「!?!?!?!?!?・・・・・・・」 

エラスムス「・・・・・な・・に?」

    一瞬ですべてのウイルスが・・・消し飛んだ。

裕里「・・・・・・逃げ場などない・・・貴様を守るものなどない・・・・あるのは死だ」

エラスムス「イヤだあぁぁぁぁあああああ!!!!」

    裕里はエラスムスの前に立つとエリュシオンを振りかぶる。

    そのとき・・・

なのは「裕里くん!」

音夢「ダメ!危ないです!!!なのはちゃん!!!」

    なのはが止めようと裕里に向かって走っていく・・・・そして

なのは「裕里く〜ん!!!!」

    ガシッ!

    裕里に抱きついた。

裕里「!?・・・・・・・く・・・・な・・のはちゃん?」  

    すると裕里は今まで放出していた膨大な魔力が嘘のように突然消える。

裕里「く・・・う・・・・」

なのは「裕里くん!?」

    そして裕里はなのはに寄りかかるようにして・・・・・倒れた。

純一「ゆ、裕里!!!」

音夢「裕里さん!!」

アジフ「裕里よ!!!」

フェイト「は、運ばないと!!」

    倒れる裕里を見て純一たちはすぐさま裕里に駆け寄る・・・だが

美月「・・・・・・こんなことが」

    美月は駆け寄らず・・・今の出来事に驚いていた。

美月「ルシファードモードが・・・停止した?」

    美月はそうつぶやき「信じられない・・・」と言った顔で裕里を見ていた。

    ・
    ・
    ・
    ・
    ・

エラスムス「はあ、はあ、はあ」

    エラスムスは裕里の動きが止まった瞬間にどさくさにまぎれて逃げていた。

エラスムス「はあ、はあ、やはり空咲裕里は化け物だ!!!!」

    そう叫びながら足元もおぼつかない様子でふらふらしながら歩いている。

    と、そのとき

エラスムス「・・・・・・ん?」

???「・・・・・・」

    エラスムスの前に一人の男が現れた。

エラスムス「・・・・メルクリウスか・・・何ようだ?」

メルクリウス「・・・・・・」

    エラスムスはその男をメルクリウスと呼ぶとそのメルクリウスに近づく。

エラスムス「どうした?・・・迎えなど頼んでは・・・」

    ドス!

エラスムス「・・・?」

    エラスムスは一瞬なにが起こったかわからず下をむく・・・・すると

エラスムス「・・・・なんだ・・・と?」

    胸に剣が刺さっており大量の血が流れていた。

メルクリウス「貴様は我らウイルスの名誉を汚した・・・・・死んで償え」

エラスムス「がはぁ!!メル・・クリウ・・・ス・・・貴・・様ぁ!!」

     ギュン!

    エラスムスは最後にメルクリウスに向かって魔力弾を放つ・・・だが簡単によけられてしまい

エラスムス「・・・・死にたく・・な・・・い」

    最後にそうつぶやき・・・エラスムスは絶命した・・・・そして魔力の霧となり消える。

メルクリウス「・・・・・・」

    その光景を眺めていたメルクリウスは無表情のままその場を後にした。

        

        

    

                            魔法少女リリカルなのは 白銀の魔法使い



                          
                           
                           第十七話「目覚める白銀の死天使、なの」完


    

        


        







あとがき

十七話・・・どうでしたか?

タイトルや外伝でも書いていた「白銀の死天使」の意味が分かってくれたのなら

幸いです。それにしても・・・とうとう特級ウイルスも一人死んでしまい

そろそろ終わりに近づいてきた・・・のか?

一応、二十話は確実に超えて二十五話くらいまで行くかも・・・それ以上かも・・・です。

みなさん是非飽きることなく最後まで読んでくださいね?

では今回はここまでということで!!!


それでは〜〜〜
メンテ
Re: 白銀の魔法使い ( No.26 )
日時: 2009/04/11 23:25
名前: ふぁんふぁ 

裕里「・・・う・・ん?・・・ここは・・・」

    僕は・・・目を覚ますと見慣れない部屋にいた。

???「うん・・・ゆ・・うりくん」

???「すう・・・すう・・・」

裕里「?」

    不意に声が聞こえたので下を向くとそこには・・・

なのは「く〜・・・」

フェイト「すう・・・すう・・・う・・ん」

    なのはちゃんとフェイトちゃんが足元でベットに寄りかかるようにして眠っていて・・・

裕里「えっと・・・何ゆえに?・・・何があったんだっけ?」

    なんでこう言う状況に?

    そう思って少し考えて見た・・・・・・あ!

裕里「そうだ!思い出した!僕はエラスムスと戦っていて・・・確かフェイトちゃんを人質に取られて・・・

   そのあとなのはちゃんたちがエラスムスの攻撃を無抵抗で受けて・・・それで・・・・それで?・・・

   どうなったんだっけ?・・・あれ?・・・思い出せない・・・」

    それ以上が思い出せない・・・なぜかスパッと何か刃物で切り取られたかのように記憶が無い。


    シュン!


裕里「!?」

    そのとき突然部屋の扉が開いて驚きながらそっちを向くと・・・

美月「あら・・・・裕里くん目を覚ましたのね♪」

    入ってきたのは美月さんで僕が起きてるのを見て嬉しそうに笑ったのだった。





                            


                            魔法少女リリカルなのは 白銀の魔法使い


                        


              第十八話「今回は題名が思いつかなかったのでこのままこの文を題名にしてみた・・・悪いか?、なの」





                                      始まります








・アースラ

クロノ「・・・・・」

リンディ「・・・・・」

裕里「・・・・・(気まずい・・・)」

    裕里は目を覚ました後、美月に連れられてアースラの会議室のような場所にいた。

    なんでも「ちょっと説明したいことがあるの」とのことだったのだが・・・・・・

    部屋に着くと異様な空気が漂っていた。

なのは「え・・えと・・・」

フェイト「・・・・・・(キョロキョロ)」

アジフ「・・・・・ふう」

    美月が起こして一緒に着いてきたなのはとフェイトは困惑したようにまわりを見渡し

    何故か部屋にいたアジフもため息をついた。

美月「ねえ裕里くん・・・昨日のこと覚えてる?」

    美月が突然そう聞いてきた。

裕里「へ?・・・その・・・実は」

    裕里はそう言うと美月になのはたちが攻撃されて吹き飛ばされたのを見た当たりから記憶がなくなっていることを

    告げる。

    すると美月は「そう・・・」と言うとクロノを見る。

クロノ「・・・これを見てくれ」

裕里「は、はい」

    美月の視線を受けたクロノは空中にモニターを出し何かの映像を映し出した。

美月「昨日の戦闘の映像よ」

    美月の説明を受けながら裕里は映像を見続けているとあのなのはたちが吹き飛ばされるシーン・・・

    つまり自分の記憶が無い部分が流れ始める・・・それを見て裕里は驚愕の顔になった。

裕里「・・・・これ・・・僕?」
   
    力なくうなだれていてエラスムスに魔力弾を撃たれそうになっていた自分が突然、エラスムスを

    吹き飛ばしたかと思うと背中に翼が現れ・・・銀髪の天使としか形容できないような姿へと

    変わったのだ。

裕里「・・・・・・」

なのは「・・・・・・」

フェイト「・・・・・・」

アジフ「・・・・・・・」

    裕里とさらに気絶していたので裕里の姿が変わるところを見ていなかったなのはとフェイト、アジフもその
 
    映像に驚き固まっていた。

クロノ「これが昨日の戦闘時の映像だ・・・」

    クロノはモニターを消しながらそう裕里たちに言うと美月のほうを向き

クロノ「この能力について・・・・説明をしていただきましょうか?」

    そう言った。

美月「・・・・ええ分かったわ」

    そして美月は裕里の身に起きたことについて説明を始めた。

美月「あれは私が作った魔力制御システム・・・「ルシファードシステム」よ」

    美月の説明の内容はこうだった。

   
    ルシファードシステムとは裕里の中に眠る強大な魔力が何らかの影響で暴走したとき

    無理やり制御するような形で魔力を押さえ込む・・・だがその代わりとして性格や

    魔力の質に影響を及ぼし魔力が切れるまで止まることの無い、美月が裕里のもしものときのために
 
    作った苦し紛れの魔力制御システムであると・・・


美月「裕里くんの魔力は正直、私も未知数なの・・・そして何の制御もなしに暴走すれば・・・町の・・・

   いいえ・・・もしかしたら世界の一つや二つ軽く消し飛ぶかもしれない・・・だからルシファード

   システムをデバイスのモードとしてつけておいたのよ」

    美月は説明が終わるとまわりを見渡し「質問とかある?」と全員に言った。

    すると待っていたようにリンディは美月に質問をした。

リンディ「では裕里くんは魔力が暴走すれば常にあの状態になるのですか?」

美月「・・・・・・そうね」

    リンディの質問に美月は少し考えるような仕草をとると話し出した。

美月「魔力を暴走させれば確かにあの状態になるわ・・・でも自分で魔力を完全に制御できるように

   なれば・・・」

裕里「・・・なれば?」

    裕里は思わず美月にそう聞いた・・・やはり自分のこと・・・気になるのだろう。

    美月は口を一度閉じたがそんな裕里を見て「まあいいか」と言う感じの顔をするとこう言った。

美月「逆にルシファードシステムを自分で起動させてわざと魔力を暴走させることによって自由意志であの状態に

   なれるわそれどころか自我や魔力の質を保ったままあの状態になれる・・・もともとあの力は裕里くんの魔力

   そのものなんだから」

    さらに美月は「ただの制御システムだしね」とも付け加えた。

裕里「・・・・・・・」

    だが美月の話を聞いていた裕里は・・・あまり嬉しくなかった。
   
    確かにあの強大な力を使えるようになればどんな敵にも負けないだろう・・・だが

    暴走と聞くとどうしてもあのときの・・・昔、魔力を暴走させてしまい

    死にかけたときのことを思い出す。

裕里「(自分だけならまだいい・・・でもなのはちゃんたちを暴走に巻き込むのは・・・いやだ)」

    そのとき裕里の考えていることが分かったのか美月が裕里に優しく微笑む。

美月「裕里くんあなたなら大丈夫よ・・・これを見て」

    美月はそう言いながらモニターを今度は自分で操作し先ほどの映像の続きを映した。

裕里「こ、これは・・・」

    その映像はなのはが裕里に抱きつきそれと同時に裕里の魔力が止まったシーンだった。

美月「裕里くん・・・あなたは本来止めることのできないはずのルシファードシステムを停止させた・・・

   一時的だけどあなたに強力な制御能力が・・・・ん?」

    美月は説明をしている途中・・・裕里となのは、さらにフェイトの様子がおかしいことに気づいた。

裕里「な、なのはちゃんに抱きつかれて///」

なのは「ふ、ふえぇぇぇぇええ///」

フェイト「・・・・・(なぜか・・・・ムカムカする(怒))」
  
    裕里となのはは今映像を見て照れておりフェイトは・・・よく分からない怒りがからだの奥から沸いてきていた。

アジフ「・・・ふっ」

リンディ「あらあら」

クロノ「もし自分だったら恥ずかしいな・・・」

    アジフたちも先ほどの重い空気はまったくなく裕里たちを笑いながら見ていた。

    そんな光景を見ながら美月も

美月「(ふふ・・・やっぱり聖人くんと春音ちゃんの息子ね・・・どんなときも笑っていられる強い子だわ・・・

   まあ相変わらず話題が入れ替わってるけど・・・・)」

    微笑みながら裕里たちを見ていた。

美月「それにしても停止したのはやっぱり「心奏」の力・・・と言うことは・・・裕里くんも「奏者」・・・か」

    そして最後に誰にも聞こえないような声でそうつぶやいた。

    ・
    ・
    ・
    ・
    ・

裕里「(制御・・・か、どうすればいいんだろう・・・)」

    あのあと部屋にいるのが恥ずかしくなり先ほどの部屋から少し離れている廊下にいて壁にもたれかかって

    いた裕里はルシファードシステムについて考えていた。

    たしかに前よりは確実に出来るようになった制御・・・だがどれだけ時間がかかるのか不安で仕方ない・・・

    もしなのはたちを傷つけるようなことがあれば・・・僕は・・・

裕里「・・・・・ん?」

    そこまで考えていると突然目の前に誰かの影がさした。

    裕里は影が伸びているほうを見るとそこには

フェイト「・・・・えっと」

裕里「フェイトちゃん?」

    フェイトがおり裕里をじっと見つめていた。

フェイト「裕里・・・今いい?」

    そう言ってきたフェイトに裕里は「いいよ」と微笑みながら返事をするとフェイトは

    少し照れたような顔をしながら裕里の横のまで来て壁にもたれかかった。

裕里「それで・・・なにかな?」

フェイト「その・・・・助けてくれてありがとう」

裕里「へ?」

    裕里はいきなりそう言われ一瞬何を言われたか分からなかったが「ああ」と思いついた。

裕里「僕だけが助けたわけじゃないから・・・それに怖い目にあわせちゃった」

    裕里がそう言うとフェイトは首を振って小さな声で「違うよ・・・」と言うと

    裕里の手を握って真剣な顔になった。

フェイト「それでも・・だよ・・・それに聞いたの・・・一昨日の戦いのときも裕里が一番私を

     助けようとしてくれてたって・・・」

裕里「・・・でも」

    フェイトは裕里の手をさっきよりも強く握る。

    そして顔を赤らめながら裕里を見つめる。

フェイト「裕里・・・王子様みたいだったよ///」

裕里「え!・・・・えっと///」

    フェイトの「王子様」と言う言葉に裕里も顔を赤くする。

フェイト「・・・・・・えっと」

裕里「・・・・・・その」
 
    そして見つめあう裕里とフェイト。

    ・・・・だが2人は気づいていなかった。

    廊下の曲がり角から・・・

なのは「・・・・・・・」

    漆黒のオーラを纏っているなのはさんが覗いていることを。

    だがそのとき唯一危機を察知したのが・・・

    ≪≪caution!!!≫≫

裕里「エリュシオン!!!?」

フェイト「バルディシュ!!!?」

    優秀なデバイスたちでした。

    ゾク・・・

裕里・フェイト「「!!??」」

    そこでようやくその恐ろしい気配に気づいた裕里とフェイトはそちらを向く

    そして裕里は後に後悔することとなる「あのとき逃げればよかった」と・・・

なのは「裕里くん・・・フェイトちゃん・・・見つめあったりして何してるの?」

裕里「いや!!なにも!!!」

フェイト「(コクコク!!!)」

    なのははゆらりと角から現れると裕里とフェイトに声は優しげだが全然優しくない目で

    裕里とフェイトを見ていた。

なのは「手なんか握っちゃって・・・それに一昨日なんかお姫様抱っこまで・・・お仕置きが必要だよね」

    なのははぶつぶつ何かをつぶやき・・・何を思ったかフェイトに近づいた。

なのは「・・・フェイトちゃんこれ見てくれる?」

フェイト「う、うん!」

裕里「・・・・(いやな予感がする)」

    なのはとフェイトがなにかこそこそと話しているのを見て裕里はいやな予感がした。

    最近はあまりなかったが・・・おもに女装させられるときに感じる・・・いやな予感。

なのは「ね?・・・本物、見たくない?」

フェイト「///・・・・みたい・・・かも」

裕里「(確実に女装させられるな・・・これ)」

    今の会話と時々ちらちら顔を赤くして見てくるフェイト見て裕里はすでに感づいていたが

    いたって冷静だった。

    それは何故かと言うと・・・

美月「うふふ・・・」

アジフ「くくく・・・」

エイミィ「にゅふふふ・・・」

クロノ「・・・艦長命令なんだ・・・許せ」

    すでに後ろに・・・絶対逃げられない障害物・・・もとい人物たちがいらっしゃったからだった。

裕里「(誰か・・・助けてぇぇぇえええええ)」

    裕里は心で叫んだ。

    ・
    ・
    ・
    ・
    ・

美月「はい・・・できたわ♪」

    あのあと全員に捕まりリンディの部屋に連行された裕里は抵抗むなしく服をはがされ

    美月が極秘裏に製作していた裕里女装用の服に着替えさせられていた。

エイミィ「裕里くんナイス!!」

リンディ「ふう・・・いい眺めだわ・・・」

なのは「///」

フェイト「お、おそろい・・・って言うのかな///」

アジフ「しゃれにならんな・・・」

アルフ「まったくだね・・・」

クロノ「い、いや・・・でもあいつは男で・・・だ、だが・・・」

ユーノ「死んでも・・・いいかも・・・」
   
    女装は終了し・・・おのおのが感想を言い合っている中・・・裕里は

裕里「・・・・・・・・」

    またもやいろいろと終わっていた。

    ある意味で今までで最強の女装をさせられた裕里・・・ちなみにその格好とは

美月「作っておいてよかったわ〜♪フェイトちゃんのバリアジャケットコスチューム(裕里くん専用)♪」

    つまりだ・・・あのきわどい・・・スク水よりもある意味できわどい服を・・・男なのに

    着させられ裕里は完全に精神が崩壊していた。

美月「写メ♪写メ♪」

なのは「///」

裕里「・・・・・・・・」

    パシャ!パシャ!

    そして美月となのはに更なる弱みを握られた裕里なのでした。
    

    ちょうどそのころ・・・


ヘルメス「ふん・・・エラスムスは死んだか・・・」

    ヘルメスは憤っていた。

    勝手に裕里たちを襲いに言ったエラスムスの監視をしていたメルクリウスから

   「エラスムスは奴らに殺された」と言う報告を受けたからだった。

ヘルメス「死ぬなら死ぬで一人でも道づれにでもすればいいものを・・・」

アリストテレス「まあまあ・・・抑えなさいヘルメス」

    そんなヘルメスをなだめるアリストテレス。

アリストテレス「(まったく・・・一番悲しんでるくせにね・・・)」

    素直じゃないヘルメスにアリストテレスはため息をついた。

アリストテレス「(それにしても・・・本当に裕里さ・・・いえ空咲裕里がエラスムスを殺したのかしらね・・・)」

    アリストテレスはメルクリウスの報告を聞いたが半信半疑だった。

    正直エラスムスを殺すことに利益はないむしろ生かしておいて捕虜にでもすればいろいろな情報が

    聞きだせるはず・・・それを管理局さらにあの白銀の賢者が見逃すわけがない。

    それに子どもが・・・たとえウイルスだとしても人となんら変わり無い姿をしたエラスムスを殺せるだろうか?

    いや・・・そもそもあの空咲裕里が殺すだろうか?

アリストテレス「(・・・・直に聞いてみればすぐに分かるんだろうけどね・・・・空咲裕里はくだらない嘘は絶対に

        つかない人だから・・・)」

    アリストテレスは裕里のことをよく知っているように・・・実際よく知っているのだろう・・・

    そう思ったのだった。
   
    キイ・・・

    そのとき扉が開いた。

アリストテレス「あら?・・・パラケルスス?」

パラケルスス「ああ・・・ちょうど良かったアリストテレス」

    入ってきたのはパラケルススだった。

パラケルスス「一応だが”あの娘”の調整がすんだよ」

    パラケルススの「調整がすんだ」と言う言葉を聞いたアリストテレスは少し悲しい顔になった。

アリストテレス「・・・そう・・・それでこれからどうするの?」

    パラケルススはアリストテレスの言葉を聞くとなんとも言えない様な顔をした。

パラケルスス「ウイルスを生み出してもらう・・・ウイルスは下級だって数は有限・・・そしてウイルスは

      ”ホムンクルス”にしか生み出すことはできないのだから・・・」

    パラケルススはそう言うと「じゃあそれだけだから」と部屋を出て行こうとする。

アリストテレス「でも紛い物でしょう?生み出せるウイルスの強さはかなり低下する・・・しかもただの魔力に

        魂を融合させただけなんて・・・下級のウイルスのほうがまだマシな出来をしてるわ・・・それに

        無理に生み出させれば”あの娘”は消えてしまうかもしれないのよ?」

    呼び止めるようにパラケルススに話しかけたアリストテレス。

    パラケルススはアリストテレスの言葉にまるで自分を責めるような声でこう言った。

パラケルスス「仕方ないさ・・・」

    パラケルススはそれだけ言うと部屋を出て行く・・・そして一人になるとつぶやいた。

パラケルスス「空咲裕里・・・君だけが頼りだ・・・君だけが・・・」

    そして研究室と書かれている扉を開け部屋に入っていった。

       

   


                            魔法少女リリカルなのは 白銀の魔法使い


                        


              第十八話「今回は題名が思いつかなかったのでこのままこの文を題名にしてみた・・・悪いか?、なの」完














あとがき

ようやく終わった!!!十八話!!

ふう・・・今までこんなに時間空けたことなかったのに・・・

いつも読んでくださるみなさんすみませんでした!

そして次の十九話・・・たぶんはやてを出します。

たぶんと言うか絶対出します!

メアドまで教えたのに一回も出ないの変ですからね・・・

それと今回出てなかった音夢と純一も出して少しくらい

音夢の記憶関係のことを書きたいとも思っています!


じゃあそろそろこれで!

それでは〜〜
メンテ
Re: 白銀の魔法使い ( No.27 )
日時: 2009/04/18 02:52
名前: ふぁんふぁ 

ウェスト「エルザァ〜〜!!!」

エルザ「博士うるさいロボ」

裕里「うるさいぞウェスト」

なのは「うるさいよウェスト」

はやて「うるさいでウェスト」

リイン「うるさいです〜ウェストさん」

フェイト「うるさいから消えてウェスト」

アジフ「目障りだ」

エアリス「暑苦しいです」

トリス「・・・・存在自体がいらない」

音夢「邪魔ですよキ○ガ○科学者」

スカリィ「邪魔だ!消えろ!!と言うか死ね!!!!」

ウェスト「み、みんなひどいのであ〜る!!!と言うかスカリィエッティ!貴様こそ邪魔だ!死ね!!消えろであ〜る!!!」

スカリィ「私と科学者キャラが被ってるんだよ!!!!行け!ガジェットたちよ!!」

ウェスト「お前が被ってるのであ〜る!!!さあ行くのであ〜る!!破壊ロボ「俺、この戦いが終わったら結婚するんだ・・・

     だからお前も結婚式・・・来てくれよな!!!(死亡フラグ)」号!!」

全員「「「「「「「「「「よそでやれ(です)」」」」」」」」」」






              

   
                             魔法少女リリカルなのは 白銀の魔法使い



     
                         外伝「”ヤンデレ”・・・レの左にノを付け足すと”ヤンデル”」



   
                                      始まります







裕里「で・・・いつもの通りか?」

エルザ「いつもすまないロボ、マイダーリン」

裕里「お前のダーリンになった覚えなど無い」

    いきなりわけのわからない展開になっていて本当にすまないな・・・空咲裕里だ

    俺の仲間にはJS事件の首謀者であるスカリィことスカリエッティって奴と

    俺の世界で仲間になった・・・と言うか捕らえたら何故かいつの間にか仲間になっていた

    ウェストことドクターウェストって奴が居るんだが・・・

ウェスト「ドリルは男のロマンであ〜る!!!」

スカリィ「ビームこそが男のロマンだ〜〜〜!!!」

    この二人いつも下らんことでいがみ合っているんだ・・・どうもキャラ的にだだ被りだからお互いの存在が邪魔らしい・・・

    しかも二人とも変態で変人だが異常なほど天才であるがゆえに始末が悪い。

    でもまあここはいつもの通り・・・

なのは「いつも通り・・・いくよ!レイジングハート!!」

    ≪Yes≫

    これで終わるだろ。

なのは「全力よりちょっと下ぐらいのスターライトブレイカー!!!!!」

ウェスト「なぁ!?グギャァァァァァアアアア!!!!!!!!」

スカリィ「ええ!?ミギャァァァァァアアアア!!!!!!!!」

    チュド〜〜〜〜〜〜〜ン!!!!!!!!・・・・・・・・・・キラッ!

    いつものことだから手馴れてきたな、なのは。

    丁度いいくらいのぶっとび具合で飛んでいったぞ。

リイン「ようやく終わったです〜」

はやて「よし!みんな仕事や仕事!」

エルザ「みんなほんとにすまないロボ」

フェイト「いつものことだし・・・でも裕里をダーリンって呼ぶのだけはいただけないかな?」

エアリス「うふふ・・・相変わらず心がお狭いかたですね」

フェイト「・・・・・・潰すよ?」

エアリス「いつでもどうぞ?」

フェイト・エアリス「「・・・・・・」」

アジフ「まったく・・・汝らはよく毎日同じことをやっていて飽きんな」

トリス「裕里は今から私と泊りがけで任務・・・・・・」

フェイト・エアリス「「ああん!?!?!?」」

音夢「もう!!あおっちゃだめじゃないですか〜〜〜!!!」

トリス「くふふ・・・・・・・」

    みんなまたもいつものように吹き飛ばされるのを見終わると仕事に行くために散っていく・・・見世物だなあいつら

    だが・・・うう〜む・・・なんだかな〜

なのは「どうかしたの?裕里くん?」

裕里「ああ・・・スカリィとウェストな・・・またなにか迷惑なことをたくらんでるような気がするんだ」

    そうだ・・・今までは何かにつけてなのはのスターライトブレーカーを防ぐための発明品とやらを

    出しては破壊され出しては破壊されを繰り返していたのだが・・・今日はそれがなかった。

なのは「そういえば・・・」

裕里「面倒なことにならなければいいが・・・・」
    



    そして次の日・・・俺の考えは的中することになる・・・はあ・・・




裕里「・・・・どういう状況だ?・・・これ」

トリス「・・・・さあ」

    任務も無事終了し丁度、正午ぐらいに六課に帰ってきてみれば・・・まさに死屍累々?

    隊員の皆さんがあちらこちらで倒れてる・・・倒れてるんだが・・・

隊員1「うへ・・・うへへへへ・・・・」

隊員2「なんぼのもんじゃ〜い・・・・」

    様子がおかしい・・・全員傷だらけなだけで死んではいないんだが・・・

裕里「どうした?・・・何があった?」

隊員3「うう・・・・」

    一人の隊員に近づいて抱き起こすとその隊員は苦しそうに唸った後・・・カッ!と目を見開いた。

隊員3「そ、空咲将軍!!お逃げください!!!!!す、すずえもんとファリえもんが・・・・・・・・・・・がく」

    そして言うだけ言って気絶した。

裕里「・・・・・・・」

トリス「?・・・すずえもん?ファリえもん?」 

    ああ・・・なにかめちゃくちゃとんでもないことを聞いた気がする・・・・すずえもん?ファリえもん?

    あの二人か?あの二人を模したのか?確実に死亡ルートだろ?俺どこかで選択肢ミスったか?

トリス「? 裕里どうしたの?震えてるよ?」

裕里「ああ・・・いや・・・」

    さて・・・・心配しているトリスにどう説明するべきか・・・・

    白い魔王を超える紫の魔王?金色の死神を超える紫の死神?・・・・いやあえて言うなら破壊神?邪神?

???「誰が・・・破壊神なのかな?邪神なのかな?」

???「ホントですよね」

裕里・トリス「「!?」」

    バッ!!

    声が聞こえた方を振り返る。

すずえもん「えへへ・・・」

ファリえもん「うふふ・・・」

裕里「・・・・・・」

    ・・・・地獄ってこう言う状況のことを言うんですか?

すずえもん「対象確認♪・・・ようやく見・つ・け・た♪」

ファリえもん「うふふ・・・逃・が・さ・な・い・ぞ♪」

    そこにいたのはすずかとファリンに瓜二つの少女・・・もといたぶんロボット・・・

    いや・・・ロボットだな・・・すずか似の奴は右手がチェーンソウ、ファリン似の奴は左手がドリル

    ガチャン!!

    その手で何してきたのか知らんがその手が反転し普通の手になる・・・・見てると怖いよ!?

    と言うか誰だ!!!こいつら作ったのは!!!!!

    潰す!!こいつら作った奴潰す!!!・・・そんなことを決意していたとき

   「ぐふ・・・」「がふ・・・」と足元から声が聞こえた。

ウェスト「くくく・・・これで今度からぶっ飛びキャラは返上である・・・」

スカリィ「ははは・・・我ら二人の発明の集大成だ・・・ざまみろ・・・」

    そこにいたのは巻き込まれたのかボロボロになっているウェストとスカリィ・・・

裕里「て言うかお前らかい!!!こいつら作ったの!!!いらんところで結託すんな!!!」

トリス「・・・・死ね」

     ドガ〜〜〜ン!!!!!

ウェスト・スカリィ「「ごぎゃ〜〜〜〜!!!!!・・・・・・・(キラッ!)」」

    相変わらずのすばらしいぶっ飛びっぷり・・・お前たちは永久にそのキャラだよ・・・

    ヒラリ・・ヒラリ・・・

    ん?なんだ?

    奴らが飛んでいくと同時に一枚の髪が目の前に落ちてくる。

裕里「これは・・・すずえもんとファリえもんの・・・・・説明書!?」
   
    もしやこれに停止させるための方法とか書いてあるんじゃないか!?

    えっとなになに・・・すずえもん基本性能・・・・「ヤンデレ」

裕里「ぶ!!!ごほごほ!!!ヤ、ヤンデレ!?」

    い、いらん性能つけやがって!!

裕里「(じゃあファリえもんは・・・)」

    ファリえもん基本性能・・・「明るく元気な性格の・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ヤンデレ」

裕里「おお〜い!!?最終的にどっちもヤンデレ!!?怖い!怖いよ!?あの二人をヤンデレって改めて認識すると余計に怖いよ!!?」

    すでに病んでいる感じの二人を元に作ったヤンデレって・・・・

    ま、まあいい・・・・気を取り直して他の記述は・・・「以下省略!!!」・・・・・・・マ・ジ・デ・ス・カ・?

すずえもん「スク○ルデ○ズなんて・・・・甘いよ?」

    な、なに言ってんの〜〜〜!!!!

トリス「裕里・・・離れて」

裕里「は?」

    トリスはそう言った瞬間手に五枚のトランプが現れる・・・ああそうそう一応説明しておくがトリスは基本的に

    魔力でトランプを作り出してそれを投げつけたりすることで魔法を使う・・・その魔法自体は「心奏」だ。

    まあ俺も使えるが「心奏」はレアスキ「行くよ・・・」・・・・・・・なに?

トリス「・・・・フラッシュ」

裕里「まだ説明中・・・って!トリス!?お前それ広範囲殲滅魔法・・・・」

    ギュンギュン!!!

裕里「まて〜い!!魔力溜めるな〜!!」

    あれはヤバイ!!!下手したら起動六課が消えるぞ!!!

    だってイメージ的に巨○兵の口から出るあれだし・・・

トリス「裕里を守る・・・」

裕里「いやいやいや!!!俺も巻き込まれるからね〜!!!」

    ちい!!仕方ない!!俺が止めるしか・・・

すずえもん「あはは!!そんなの甘いよ!!!」

ファリえもん「と言うか撃たせないですよぉ♪」

トリス「早い!?・・・・く!仕方ない・・・」

    微妙にナイス!

    今ので魔法止まっ・・・

トリス「これ邪魔・・・(ポイ)」

    ドギャ〜〜〜ン!!!

隊員123「「「にぎゃ〜〜〜〜!!!!!」」」

裕里「ちょっとまて〜〜!!?何やってんの〜〜!!?」

    トリス〜〜〜!!!いくら何でも今まで溜めた魔力をそこらへんに投げる捨てること無いだろ〜〜!!!

    なんか悲鳴とか聞こえてたし!!!

    そして何もなかったかのようににらみ合うトリスとすずえもんとファリえもん・・・哀れ名もなき隊員たち・・・

トリス「裕里は私の物・・・」

すずえもん「違うよ?私のおもちゃだよ?」

ファリえもん「なに言ってるんですか?私の食べ物ですよ?」

    ええ〜〜!?なんだそれ!?人ですらなく物!?と言うか最後は特におかしいだろ!?

裕里「なあ!?俺の人権は!?」

3人「「「そんなもの無い」」」

裕里「・・・・・・あ、そう」

    なんかも〜いろいろとどうでも良くなってきた・・・・・・ん?

裕里「複数の魔力と・・・・強力な殺気と近づいてくる?」

    気が立っていてまだ3人は気づいていないようだが・・・この殺気は・・・

なのは「・・・・・」

フェイト「・・・・・」

はやて「・・・・・」

リイン「・・・・・」

音夢「・・・・・」

アジフ「・・・・・」

    あえて何も言うまい・・・・・・

    3人はようやく殺気に気づいたのかなのはたちの方を向く。

トリス「!?」

    トリスは驚愕の表情になるがすずえもんとファリえもんはバカにしたような表情になる。

すずえもん「あれ〜?確か隊舎ごと破壊したはずなのに・・・」

ファリえもん「ゴキブリ並みの生命力ですね〜」

    ああ・・・言ってはならんことを・・・

トリス「・・・やばい」

    トリスはどうやらまだ正常な思考をしていたらしくその場から離れた。

    ・・・そう言う俺も離れよう・・・俺は寿命で孫と子どもに看取られながら死にたいしな・・・

なのは「覚悟はいい?・・・レイジングハート・・・ブラスター3」

フェイト「許さないよ?・・・バルディシュ・・・ライオットザンバー」

はやて「よくも!よくも〜〜〜!!!始末書、書くの私なんよ〜〜〜!!!!行くで!!リイン!!ユニゾンインや!!!」

リイン「了解です!!はやてちゃん!!!」

    ≪ユニゾン・イン!!!≫

音夢「あなたたちを消しますよ?答えは聞いてませんけど・・・・アジフ、マギウス・スタイル」

アジフ「・・・すでにシャイニングトラペゾへドロンの準備も完了している」

    ≪マギウス・スタイル!!!≫

    そしてそんななのはたちを見ながらすずえもんたちは・・・

すずえもん「あ、あはは!!む、無駄だよ!!!(ガクガク)」

ファリえもん「う、うふふ!!こ、今度こそ存在ごとけ、消してあげますよ!!!?(ガクガク)」

    ・・・どこからそんな強気発言が?と言うか動揺してるじゃん・・・いやよく見ると足も震えてる・・・

    それにどちらかと言うとこいつら作ったスカリィとウェストを粛清するべきじゃ・・・

なのは「スターライト!!!」

フェイト「ライオットザンバー!!!」

はやて「響け終焉の笛!!!」

    ≪行け〜です〜!!!≫

音夢「荒ぶる螺旋に刻まれた神々の原罪の果ての地で」

アジフ「血塗れて磨り減り、朽ち果てた聖者の道の果ての地で」

音夢・アジフ「「我らは今、誓約を果たす」」

音夢「深き暗き恩讐を胸に」

アジフ「その切実なる命の叫びを胸に」

音夢「埋葬の花に誓って」

アジフ「祝福の花に誓って」

音夢・アジフ「「我は世界を紡ぐ者なり!!!!」」
 
    うわ〜お・・・本気だよ・・・

トリス「(ブルブル)」

    あのクーデレ萌え〜とか他の隊員に言われている滅多に感情を顔に出さないトリスが

    本気でおびえた目してるし。

すずえもん「・・・・・」

ファリえもん「・・・・・」

    すずえもんとファリえもんにいたってはもう声すらも出てない・・・

裕里「なあ・・・これ以上は・・・」

    さすがに止めないと本当に起動六課なくなるんですけど・・・はやても言ってる事とやってることが

    正反対なんですけど〜〜〜

なのは「裕里くんは黙ってて」

裕里「・・・・・・はい」

    はい、有無を言わさず黙らせられる〜〜〜・・・・・・俺って一体・・・・・・

なのは「・・・・・終わりだよ」

すずえもん「イ、イヤ〜〜〜!!!!?」

ファリえもん「助けて〜〜〜!!!!?」

    なのはの最終勧告にすずえもんとファリえもんが悲鳴を上げた・・・そのときだった!!

スカリィ「待ちたまえ!!!」

ウェスト「待つのであ〜る!!!」

すずえもん・ファリえもん「「!?」」

    そこに現れたのはさっきトリスに飛ばされたウェストとスカリィ。

    二人は庇うようにすずえもんたちの前に立った。

    と言うか何ゆえに無傷?いつも思うが科学者キャラって無駄に生命力高いな、おい。

ウェスト「どうか許してやってほしいのである!!!」

スカリィ「この娘達はまだ生まれたばかりの赤ん坊も同然・・・なにも分からなかったんだよ!!!」

なのはたち「「「「「「・・・・・・」」」」」」

    スカリィとウェストの涙の訴え・・・まったく感動できないのはなぜだか分からないが

    なのはたちも動きを止めた。

すずえもん「うええ〜〜ん!!ごめんなさい!!!」

    すずえもんは泣きながら謝っている。

    なのはたちはそんなすずえもんを見て武器をおろし始めている。

    相変わらず甘いな・・・

    だがまあ・・・俺の予想だがたぶんこれだけじゃすまないだろうな・・・特にウェストとスカリィあたりが

    とんでもない目にあうのはお約束を通り越して必然だと思うのは俺だけか?

    俺がそんなことを考えてると次はファリえもんが泣きながら・・・

ファリえもん「ごめんなさ〜い!!博士たちに言われて”仕方なく”やったんです!!!」

ウェスト・スカリィ「「へ?」」

    やっぱりお約束か・・・そんなことを叫んだ。

    なのはたちもそれにあわせるように標的をウェストとスカリィにあわせる。

なのは「そうだよね・・・作った本人たちがそういう風に作らないとあんなことしないもんね・・・」

アジフ「万死に値するぞ・・腐れ科学者ども・・・」

ウェスト・スカリィ「「ひぃ!!!!」」

    恐ろしい殺気を浴びせられ悲鳴を上げるウェストとスカリィ。

ウェスト「も、元はと言えば貴様が作ろうとか言い出したのであ〜る!!!」

スカリィ「な!さ、先に君がなにか復讐しようとか言い出したんじゃないか!!!」

    見苦しい罪の擦り付け合いが始まる・・・すでに無駄だと思うが・・・

トリス「・・・・終わったね」

    そしてトリスがそう言った瞬間・・・

なのは「ブレイカー!!!!!」

フェイト「カラミティ!!!!」

はやて「ラグナロク!!!!」

音夢・アジフ「「シャイニングトラペゾへドロン!!!!!」」

ウェスト・スカリィ「「あぎゃぁぁぁぁ〜〜〜〜〜・・・・・・・・・・・・・・・(キラッ!)」」

裕里・トリス「「・・・・・・・」」

    ウェストとスカリィは時空の彼方に消えた・・・・

    ・
    ・
    ・
    ・
    ・

・食堂

裕里「ふう・・・・」

トリス「裕里・・・大丈夫?疲れた?」

裕里「いや・・・大丈夫だ」

    ちなみにあのあとすずえもんとファリえもんはたまたまそこにやってきた美月さん(俺たちの状態を見て大爆笑)

    に回収されていろいろといじられた結果・・・

すずえもん「オーダー入りま〜す!!!」

ファリえもん「お待たせしました〜〜〜!!!」

    なぜかウェイトレスロボットへと生まれ変わり奇跡的に大丈夫だった六課の食堂で働いている。

    だが時々帰り道に危険な視線を感じるのは気のせいだろうか・・・気のせいじゃないだろうな・・・

    美月さんならヤンデレ設定はそのままの可能性がある・・・そのうちなのはたちと話していただけで

    背後から殺られそうな気がするのは俺だけか・・・

すずえもん「裕里くん!トリスちゃん!おまたせ〜!!!」

裕里「ああ・・・どうも」

トリス「ありがとう・・・・」

    そしてあれ以来ウェストとスカリィを見た人間は・・・

ウェスト「ジンギスカン定食はまだであるか〜〜」

スカリィ「私のカツカレーはまだか〜い」

ファリえもん「はいは〜い!もう少しで出来ますよ〜!」

    いた・・・と言うかあれから次の日にはすでにいた。

    あいつら体内にロストロギアでもあるんじゃないか?

ウェスト「スカリィどちらが早く食い終わるか勝負であ〜る!!!」

スカリィ「ふふん望むところだよ!!!」

裕里「・・・・・・・」

トリス「・・・・うるさい」

    恐るべし科学者・・・・だな。

     



     

                             魔法少女リリカルなのは 白銀の魔法使い



     
                        外伝「”ヤンデレ”・・・レの左にノを付け足すと”ヤンデル”」完















あとがき

おはようございます!こんにちは!!こんばんは!!!ふぁんふぁです!!!!

今回は本編書かずに外伝書きました・・・何やってんだ?自分・・・

まあ実は今回の外伝はなのえもんよりも前に書いていた奴でして

それを修正や書き足しをして今回投稿しました。

修正する前はとんでもないほど分けのわからない物でしたが

なんとかお見せできるくらいに修正しました・・・自信ないですけどね。

そして今回も出てきた新キャラたち・・・外伝は基本的に実験的に

新キャラを出して見て良かったら投稿する悪かったら消去する・・・

みたいにしているのでここに出てきたキャラたちは一応、本編にも

出る予定ですので楽しみにしていただけていると幸いです。

それでは次こそ本編でお会いしましょう!
メンテ
Re: 白銀の魔法使い ( No.28 )
日時: 2009/04/27 00:23
名前: ふぁんふぁ 

美月「じゃあ今日はお休みね」

裕里「え?」

フェイト「ふえ?」

純一「へ?」

音夢「はえ?」

アジフ「うゆ?」

さくら「にゃ?」

   朝、美月さんはリビングに入ってくるといきなりそう言いました(ちなみにアルフさんは散歩中でいません)

   会いかわらず唐突です。

美月「だってずっとお休みなんてなかったでしょ?今のところウイルスの動きも特にないし・・・気分転換や休息も

   必要よ?」

裕里「は・・・はい」

   確かにそうだけど・・・そもそもウイルスなんて頻繁に出ないからエラスムスとの戦い以外は

   特に忙しくなかったしなんと言うか・・・訓練はしてたけど基本的にだらだらしてたし・・・・

美月「じゃあそう言うわけだから・・・私は寝るわ」

   そして部屋に戻っていった美月さん、そう言えば昨日遅くまで電気がついていたな・・・

   そう言えば最近「とらいあんぐるハート」とか言うゲームにはまっているとか言ってたっけ・・・

   きっと徹夜でゲームしてたんだろうな・・・と言うか自分の都合?・・・いや今さらか。

さくら「お兄ちゃんはお休みどうする〜〜?」

純一「そうだな・・・」

音夢「どこかお買い物行きますか?アジフ」

アジフ「買い物か・・・そう言えば買いたいものがあったな」

   みんなもいつものことだと理解しているのか特に気にしている様子もないし。

   と言うか美月さんも音夢ちゃんわざわざアリサちゃんの家から通ってるんだから

   電話してあげればよかったのに・・・

フェイト「あ・・あの・・・ゆ、ゆう」

   ピロリロリロ!

裕里「? メールか」

   そのとき丁度メールが来て差出人を見てみると

裕里「八神?あ!はやてちゃんか」

フェイト「・・・・はやて?」

   初めて会って以来時々だがメールが来ていた八神はやてちゃんからメールが届いていた。

   えっと・・・内容は・・・




    




                                  魔法少女リリカルなのは 白銀の魔法使い 



                                    第十九話「降り始める雨、なの」


                                      
                                            始まります










   『裕里くん♪今日、10時に公園であわれへんかな?』


   はやてからのメールにはそう書いてあった。

裕里「(そう言えばあれ以来あってないもんな・・・よし!じゃあ「いい・よ」と・・・返信よし!)」

   早速裕里は、はやてに返信した。

   ピロリロリロ!

   すると10秒もたたずメールが帰ってくる。

裕里「早!?え、えっと内容は「じゃあ待ってる♪」か、じゃあそろそろ用意をしないといけないな・・・・・・(ぎゅ)ん?」

   裕里が自分の部屋に戻ろうとすると誰かに服をつかまれた。

フェイト「・・・・・」

   服を掴んだのはフェイトだった。

   そしてフェイトは裕里のの顔をじっと見つめる。

フェイト「・・・外に女を作ってたんだね?」

裕里「へ?」

   そして静かに何か怒っているように裕里にそう言ってきた。

裕里「(外に女?作ってきた?・・・どう言う意味だろう?)」

   もちろんフェイトの言っていることの意味が分からない裕里。

フェイト「・・・・・・」

   そして裕里の服をぎゅっと握り放そうとしないフェイト。

裕里「あ、あの・・・フェイトちゃん・・・そろそろ放してくれないと・・・」

フェイト「・・・・・・放してもいいけど条件があるよ」

   フェイトはそう言うと裕里の目の前に来て自分の頬を突き出した。

フェイト「キスしてくれたら・・・放す」

   先ほどとは打って変わり顔を真っ赤し何かを期待するかのように目をつぶるフェイト。

裕里「へ?・・・・いいよ?」

フェイト「え?」
 
   チュ・・・

   そしてキスをすんなりとやってしまう裕里。

フェイト「ふえ・・・・ふええ///」

   顔を真っ赤にして驚きながら「む、無理だよ!」と言いながらオタオタする裕里を想像していたフェイトは

   まさかの裕里の行動に自分が顔を真っ赤にしてしまっていた。

   皆さんお忘れかもしれないが基本的に裕里はどこか抜けているところがある。

   特に「女の子とお風呂に入る」や今回の「キスをする」と言った普通の男の子なら絶対に恥ずかしがることをまったく

   恥ずかしがらないのだ。

   そうなってしまった理由は主に母親の影響だったりするのだが・・・

裕里「じゃあ着替えてくるね」

フェイト「う・・うん」

   裕里は満面の笑みでフェイトに微笑みかけながら自分の部屋に向かっていく。

   そんな裕里とフェイトのやり取りを見ていた純一たち。

音夢「裕里くん・・・やりますね」

アジフ「さすがはフラグ製造機だな」

純一「あいつの未来は恐ろしいことになりそうだな」

さくら「お兄ちゃんも人のこと言えないけどね♪」

   口々に今の裕里とフェイトの出来事に感想を述べているみんなだったが

純一「・・・・・なんだって?」

さくら「にゃはは♪」

   純一は未来の自分を知っているであろうさくらの一言に自分の将来が少し不安になった。

   
   一方そのころ・・・


なのは「む〜〜・・・・・」

撫子「どうしたの?なのは」

すもも「なんか怒った顔してるよ?」

   楽しくおしゃべりしていた途中で急になのはの顔が変わったので心配になる撫子とすもも。

なのは「裕里くんがフェイトちゃんになにかした気がする・・・・」

撫子・すもも「「へ?」」

   なのはは裕里がフェイトにキスしたことを感じ取っていたのだった。

   ・
   ・
   ・
   ・
   ・

・海鳴公園

裕里「えっと・・・どこかな・・・」

   現在午前10時・・・裕里は、はやてに会うために公園に来ていた。

???「あら?・・・あの男の子じゃない?はやてちゃん」

???「あ!ホントや!!裕里く〜ん!!」

裕里「ん?」
  
   しばらく探していると何処からか自分を呼ぶ声が聞こえる。

   あたりを見渡すと少し離れたベンチにはやてとその隣に見知らぬ金髪の女性が佇んでいた。

はやて「裕里く〜ん!こっちや〜!!!」

裕里「あはは・・・はやてちゃん元気だな〜」

   元気一杯でこちらに手を振っているはやてを見て裕里は苦笑しながら近づいていく。

はやて「えへへ・・・久しぶりやな///」

   はやては顔を赤くする。

裕里「うん初めて会って以来メールだけだったもんね」

   裕里はそう言いながらはやての隣にいる女性に目を向けた。

裕里「それで・・・あなたは?(まさかはやてちゃんのお母さん?・・・そんなわけないか)」

   さすがにはやての母親ではないだろうと裕里は思った。

   なんせまったくと言っていいほど似ていない。 

   そして裕里がそう聞くとその女性は裕里を見ながらにっこりと笑う。

???「私の名前はシャマル、はやてちゃんの・・・親戚よ」

裕里「あっと、僕の名前は空咲裕里です」

   その女性・・・シャマルは自己紹介をし、それにつられるようにして裕里も自己紹介した。

   するとシャマルは「あなたのことははやてちゃんから聞いているわ」とだけ言った。

はやて「よ〜し!それじゃ裕里くんとシャマルの自己紹介も済んだことやし・・・・何しよか?」

裕里・シャマル「「(ズルッ)」」

    思わずこける裕里とシャマル。

裕里「な、なんにも考えてないの?」

はやて「うん・・・裕里くんに久しぶりに会いたいって思いつきで電話してみただけやったから・・・」

シャマル「は、はやてちゃん・・・」
 
    そんなはやての言葉に裕里は「あはは」と笑いながら一つこれから何をするか提案をした。

裕里「じゃあ今日はお散歩しない?買い物って感じでもないし・・・お昼ご飯はどこかで買うとかしてさ」

    はやては裕里の提案を聞くと少し思案したあとにっこり微笑むと

はやて「じゃあ・・・二人で公園デートや♪」

    裕里の提案に賛成したようで公園デートをすることとなった。

裕里「あはは・・・うん!」

シャマル「あの〜はやてちゃん?裕里くん?私もいるんですよ?」

はやて「あ・・・忘れとったわ」

裕里「あ・・・忘れてました」

シャマル「ひ、ひどいです!!」

    そして3人でのんびりと歩きだしたのだった。

    
    そのころ・・・


???『つまり・・・あなたがくれた情報の中にあった”ホムンクルス”がどこかにいると言うことね?』

美月「ええ・・・そうよ」

    美月は自室で誰かと連絡を取っていた。

    モニターには老齢の女性が映っている。

美月「管理局のほうでも一応だけど対策を取っておいたほうがいいと思うわ」

???『それは大丈夫、すでに取ってあるから』

    美月はその女性の言葉を聞くと苦笑する。

美月「うふふ・・・・相変わらず用意周到ねミゼット」

    美月は女性のことを「ミゼット」と呼んだ。

ミゼット『あら?あなたに言われたくはないわ、昔からあなたのほうが一枚上手だったんだから』

    ミゼットと呼ばれた女性は美月に意地悪そうにそう言う。

    美月はさらに苦笑しながらも話を続ける。

美月「まったく・・・あなたはおばあちゃんになっても昔となにも変わらないわね」

ミゼット『それはあなたもでしょう?あなたは昔から性格もそれに外見も何も変わってないもの』

    久しぶりに連絡を取ったのか昔話に花を咲かせる二人。

    だがそのとき「ピー」とどこからか音が鳴った。

ミゼット『あら?・・・そろそろ時間みたいね』

    どうやらミゼットに仕事が入ったようだ。

美月「あ〜あ・・・それじゃ仕方ないわね」

    美月は心底つまらなそうな顔をする。

ミゼット『また連絡するわ、そのうち会いましょう』

美月「ええ、そのときはラルゴくんもレオーネくんも一緒に会いたいわ」

ミゼット『一緒に休暇が取れたら呼んでおくわ』

美月「よろしくお願いするわ♪・・・じゃあまたね」

    美月は次に会う約束をするとモニターを切ろうとする。

ミゼット『あ!・・・そうだ』

    だがちょうどそのときミゼットが声を上げる。

ミゼット『ラルゴにあなたに会うなら伝えておいてくれって頼まれていたことがあったのよ』

美月「ラルゴ君から?何かしら?」

    そしてミゼットはラルゴに頼まれていたことを美月に話した。

ミゼット『ラルゴがね・・・心くんに借りたままの物があるらしくてあなたに渡したいらしいんだけど』

美月「!?・・・そ、そう」

    美月は「心」と言う名前を聞くと珍しく動揺した。

    そんな美月の様子を見たミゼットは悲しみを含んだ表情になりながら美月に話しかける。

ミゼット『美月・・・あなたまだ・・・』

美月「・・・・・・」

    ミゼットは美月を気遣うようにそう言う。

ミゼット『今すぐ立ち直れなんて言わないけど・・・そろそろ心の整理をつけたほうがいいんじゃない?』

美月「・・・・それは」

    その言葉に美月はうつむいてしまう。

ミゼット『まあ辛くなったらいつでも連絡しなさい・・・あなたは一人で抱え込むところがあるから、話くらいなら聞いてあげるわ』

美月「うん・・・・ありがとうミゼット」

    ミゼットはそれだけ言うと「じゃあね」といってモニターから消える。

美月「・・・・・」

    そして一人になった美月は今までうつむいたままだった顔をあげると自分の机に立ててある写真を見た。

    そこには美月と一人の男性が写っている。

美月「心くん・・・・」

    美月はその写真を見ると悲しそうな声で一言そうつぶやくのだった。

    ・
    ・
    ・
    ・
    ・

はやて「イヤや〜!!まだ裕里くんとお話したいんや〜!!」

シャマル「もう!ダメですよ!!これから病院なんですから!!!」

    しばらく散歩をしたりお昼ごはんを食べたりなどのんびりした休日を過ごしていたのだが

    どうやらはやてはこれから病院に行かなければならないらしく帰らなければならないらしい。

裕里「病院だったら仕方ないよ・・・また今度遊ぼう?ね?」

はやて「うう〜・・・裕里くんがそう言うんやったら・・・」

    裕里の言葉にはやてはしぶしぶだが了承したらしく何とか引き下がった。

シャマル「はやてちゃんそろそろ時間よ?」

はやて「ぜったい!!ぜ〜ったい!!!また遊ぼうな!裕里くん!!!」

裕里「うんまた今度、絶対ね」

    そして手を振りながらシャマルに車椅子を押されて去っていくはやて。

はやて「ぜ〜ったいやで〜〜〜!!!!!」

裕里「あはは・・・・」

    最後にそう叫んではやては帰っていった。

裕里「う〜ん・・・これからどうしようかな・・・訓練でもしようかな・・・・・ん?」

    裕里ははやてを見送ったあとこれから何をしようかと考えていると丁度目の前に

純一「・・・・ず〜ん」

音夢「そう落ち込まれてしまっても困るんですけど・・・」

さくら「元気出してお兄ちゃん!音夢ちゃんもそのうち思い出してくれるよ!!!・・・・たぶん」

アジフ「そうだ別に記憶が消去されたわけではないのだ時間が経てば必ず思い出すはずだ・・・たぶん」

    また落ち込んでいる様子の純一と自分が一番関係しているので気まずそうにしている音夢

    さらに落ち込んだ純一を慰めているさくらとアジフがいた。

裕里「あの・・・何があったの?」

    裕里はなんとなく予想はついているが一応話しかけることにする。

さくら「うにゃ?裕里くん?」

アジフ「汝こそどうしてここに?」

裕里「うん・・僕は用事が終わったから・・・それにしても、またいつものあれ?」

    裕里がそう聞くとさくらとアジフはさっと顔をそらす・・・どうやら裕里の予想は正解だったらしい。

裕里「それにしても・・・なかなか記憶戻らないよね」

さくら「う〜んそうなんだよね〜」

アジフ「まあ確かにな・・・最近はほとんど一緒にいるのだからそろそろ純一が兄であることくらい

    思い出してもいいと思うのだがな・・・」+
   
    一向に進展しない音夢の記憶喪失問題といちいち落ち込んでしまい当初の性格が微妙に崩壊しつつある純一

    のことに頭を悩ませる2人と一冊。

    だがそのとき・・・そんな微妙に平和な空気を一瞬で破壊してしまう存在が現れる。

裕里「う〜ん・・・・・・!?みんな!!ウイルスがここに来る!!」

    裕里は突然、まわりの空気が変わったことを感じ取った。

さくら「にゃ!?」

アジフ「!? 何!?」

音夢「え!?」

純一「・・・・・へ?な、何なんだって!?」

    そして突如、目の前の空気がゆがんだかと思うとそこから

ウイルス「・・・・・・・」
   
    大量のウイルス・・・そして

ヘルメス「ふふふ・・・・」

    特級ウイルスの一人であるヘルメスが現れる。

裕里「・・・・ヘルメス」

音夢「あなたは・・・あのときの!」

    裕里たちは警戒しながらヘルメスを見る。

ヘルメス「まあ本来ならあんな奴の敵討ちなどしたくはないんだがな・・・・」

裕里「?」

純一「いったい何のことを言っているんだ?」

アジフ「・・・敵討ちだと?」

    ヘルメスの言ったことの意味が分からない裕里たち。

    だがヘルメスはそんな裕里たちを無視し

ヘルメス「エラスムスの仇はここで討たせてもらう」

ウイルス「!!!」

    ヘルメスがそう言うと同時にウイルスたちが突然こちらに向かってくる。

裕里「・・・エリュ!!!」

純一「オートクレール!!ゲットセット!!!」

さくら「ダカーポ!!」

音夢「行きますよ!!アジフ!!」

アジフ「応よ!!」

    問答無用で向かってくるウイルスを見て裕里たちは瞬時にデバイスを起動させる。

ウイルス「!!」

裕里「はあ!!!」

ウイルス「!!!!」

純一「せい!!!」    

    裕里と純一は向かってくる下級ウイルスを次々に切り裂いていく。

    技量が上がった裕里たちにとって見れば下級ウイルス程度なんと言うことはないらしい。

さくら「行くよ!!」

    ドキュン!!ドキュン!!

    さくらは後ろから裕里たちの援護をしてどんどんウイルスを撃ち抜いて行く。

音夢「・・・・・・」

ちびアジフ「行くぞ・・・ねむ」

    そして最後に音夢は・・・

ヘルメス「ふふふ・・・敵討ちと言った手前こんなことを言うのも変だが・・・今日こそのちっこいのを

     もらっていくぞ!!!」

    ヘルメスと因縁の対決を始めようとしていた。

ちびアジフ「ね、ねむ!!あやつをここで必ず討て!!死とかとは別の意味で身の危険を感じる!!!」

    アジフはヘルメスの熱い視線を受けて半分錯乱しながら音夢にそう叫ぶ。

音夢「はいはい・・・クトゥグア!!イタクァ!!」

    音夢は軽く聞き流しながら両手に拳銃を召喚するとヘルメスに向ける。

音夢「・・・・行きます!!!」

ヘルメス「ふ・・・来い!!!」

    ドキュン!!ドキュン!!ドキュン!!

    音夢はまずイタクァを引き金を引くと追尾弾を放つ。

    キィン!!カキィン!!キュイン!!!

    だがヘルメスはそれを見越していたのか剣で銃弾を叩き落した。

ヘルメス「ふ!!・・はあ!!・・せや!!・・・ふう・・・相変わらず厄介な銃だなそれは」

音夢「それが分かっているからこその攻撃ですから」

    まるで練習中の会話をしているようだがどちらとも気を抜いてはおらずすぐにでも

    攻撃できる態勢だった。

ヘルメス「では・・・お返しとして次はこちらから行かせてもらう!!!」

    ヘルメスはそう言うと残像を残して消えた。

音夢「!」

ちびアジフ「!! ねむ!!左だ!!!」

    ヘルメスはこの間の戦いのときとは比べ物にならない速度で音夢に近づくといつの間にか

    左におり剣で切り裂いてきた。

ヘルメス「ふん!!」

    ギュン!!

音夢「!! エルダーサイン!!!」

    ガキィィィィン!!!

音夢「きゃあ!!」

ちびアジフ「にゃ〜!!」

    音夢はとっさに防御魔法を展開し防御したが勢いを押し殺せず吹き飛ばされてしまう。

ヘルメス「次!!」

    ヘルメスはそれを見てさらに追撃しようとする・・・だが

音夢「・・・・まだです(ガチャ)」

    音夢は空中で一回転すると逆さまになり落下しながらヘルメスに銃を構え次はクトゥグアをの銃弾を放った。

    ドゴォン!!ドゴォン!!ドゴォン!!ドゴォン!!ドゴォン!!ドゴォン!!

ヘルメス「くっ!!」

    ヘルメスは咄嗟に避けたが今の攻撃は読みきれておらず腕を銃弾が掠めていた。

ヘルメス「ふふ・・・前よりもはるかに戦い方が増しになったな」

    スタッ

音夢「どうもありがとうございます」

ちびアジフ「ふふん!ねむはあれ以来訓練を欠かすことはなかったからな!!あたりまえだ!!!」

    ヘルメスは満足そうな顔をし音夢は着地しながらお礼を言うが無表情、アジフは勝ち誇ったような表情をしていた。

ヘルメス「そうか・・・ならばそろそろ本気を出してもいいな?」

音夢「!?・・・・はい」

ちびアジフ「くっ・・・なんと言う殺気」

    ヘルメスはさっきまでとは違いすぎるほどの殺気を出すと

ヘルメス「はあぁぁぁああああ!!!!」

    何の工夫もない・・・だが恐ろしい闘気を放ちながらただ剣を構えて向かってくる。

音夢「やあ!!」

    ドゴォン!!ドゴォン!!ドゴォン!!

    音夢はクトゥグアを向け次々に銃弾を放つがヘルメスはまるで気にしないかのように向かってくる。

ヘルメス「ふ!!」

    カキィン!!

    そして自分に当たろうとする銃弾は確実にはじき落としてくる。

ちびアジフ「ねむ!!銃ではダメだ!!ロイガーとツァールを召喚せよ!!!」

音夢「く・・・・はい!」

    音夢はクトゥグアとイタクァを空中に放り投げ消すとすぐさまロイガーとツァールを召喚し構える。

    そしてヘルメスと音夢の距離は・・・・

ヘルメス「はあぁぁぁぁあああああ!!!!」

音夢「くぅうう!!」

    ゼロになった。

   ガキャァァァァン!!!!

音夢「きゃあああああああ!!!!」

ちびアジフ「にゃ〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!」

    ヘルメスの渾身の一撃を受け砕け散るロイガーとツァール・・・そして吹き飛ばされる音夢とアジフ。

    ドゴッ!!

音夢「かは・・・・」

ちびアジフ「きゅ〜〜・・・・」

    そして地面に叩きつけられ先ほどの衝撃も重なりまったく動けなくなる音夢と気絶しているアジフ。

ヘルメス「ふふ・・・貴様はなかなか強かったがまだまだ、だったようだ・・・もう少し強くなっていればもう少し面白

     かったかもしれんが・・・まあ最もこれ以上強くなることは出来んがな」

    ヘルメスは倒れている音夢を見てそう言うと剣を構える。

ヘルメス「私の最強の一撃を持って・・・同胞たちとエラスムスの下に向かえ」

    ヘルメスの持つ剣に強力な魔力が集まっていく。

音夢「・・・・うう・・・ここで・・・終わり?」

    音夢は避けようにも体が動かず避けることが出来ない。

音夢「アジフだけでも・・・」

ちびアジフ「うみゅ・・・・」

    音夢は痛む体を起こしアジフをそっと持ち上げると庇うように抱きしめた。

音夢「(せめて・・・アジフが無事でありますように)」

    音夢はそう言って覚悟を決めると目を閉じた。

ヘルメス「はあ!!!」

    ギュン!!!

    丁度それにあわせたように音夢に向けて放たれるヘルメスの渾身の一撃。

ヘルメス「(獲った!!)」

    ヘルメスがそう思った・・・そのとき!

純一「音夢ぅ〜〜〜!!!!!!」

音夢「・・・え?」

ヘルメス「!? 何!?」

    純一が突然、現れ音夢の前に立ち

純一「がはぁ!!!」

音夢「!?」

    音夢を庇いヘルメスの魔法の一撃をその身に受けた。

純一「ぐ・・・・・」

音夢「いったい何してるんですか!・・・・・と!」

    崩れ落ちる純一・・・それを慌てて支える音夢。

ヘルメス「く・・・邪魔をして!・・・まだだ・・・まだ終わらない!!!」

    ヘルメスは勝負の途中で割り込まれたことに憤怒し次は純一ごと音夢を切り裂こうと音夢たちに迫ろうとする。

    だが・・・・そんなヘルメスをさえぎる者がいた。

裕里「これ以上は近づけさせませんよ」

ヘルメス「!? ち、空咲裕里!!」

    それはまわりにいた大量のウイルスをすべて倒した裕里だった。

裕里「さくらちゃん!!純一くんのところに行って!!」

さくら「う、うん!!」

    裕里はさくらに純一のところに行くことを伝える。

    そしてヘルメスを見定めるとゆっくりとエリュシオンを向けた。

裕里「次の相手は僕です・・・行きますよ!!!」

ヘルメス「貴様!!私の戦いに無理やり割り込んできたことを後悔させてくれる!!!」

    チャキ!!

裕里・ヘルメス「「はあぁぁぁぁあああああああ!!!!」」

    裕里とヘルメスはお互いの武器を構えると真っ向から向かって行った。

    
    ちょうどそのとき・・・


さくら「お兄ちゃん!!しっかりして!!」

音夢「・・・・・・」

純一「うう・・・・」

    純一は意識がなくそんな純一に音夢とさくらは美月に教えてもらっていた回復魔法をかけていた。

純一「・・・く」

さくら「お兄ちゃん!?」

音夢「・・・・・・」

    そして回復魔法のかいもあってか何とか純一は意識を取り戻す。

純一「・・・音夢」

音夢「・・・・・・」

    すると音夢の名を呼びじっと見上げると・・・頬を触った。

純一「・・・・無事か?」

音夢「・・・・はい」

    純一は音夢の無事を知ると本当に安心したような顔になり安堵のため息を吐いた。

純一「はぁ・・・良かった」

    すると音夢は不機嫌そうな顔をしながら純一を見る。

音夢「・・・・どうして」

純一「ん?」

    そして音夢は一番疑問だったことを聞いた。

音夢「なんであそこまでして・・・私を庇ったんですか?」

純一「なんでって・・・そりゃお前」

    純一は「何言ってんだ?」と言った顔になると当たり前のような顔をして言った。

純一「音夢が俺の妹だからだ、それ以外に何もない・・・と言うか言っただろ?お前は泣き虫なんだから俺が護ってやるって

   それにいったいなんのためにその首の鈴をお前にやったと思ってるんだ?お前が何処にいてもすぐに俺が駆けつけてやる

   ためだって前に言っただろうが」

音夢「!?」

    音夢は純一の言葉を聞き突然、うつむくとプルプルし始める。

音夢「・・んの・・・に・さ・の」

純一「?」

さくら「ね、音夢ちゃん?」

    今まで純一と音夢の様子を見ていたさくらは音夢のおかしな様子を見て話しかける。
 
    そしてさくらが話しかけた次の瞬間!!

音夢「兄さんの馬鹿ぁ!!!」

純一「!?」

さくら「うにゃ!?」

    音夢は叫んだ。

音夢「ばかばか!!兄さんの大馬鹿ぁ!!!」

メンテ
Re: 白銀の魔法使い ( No.29 )
日時: 2009/04/27 00:25
名前: ふぁんふぁ 

純一「ね、音夢・・・お前記憶が」

    純一は音夢が自分のことを記憶をなくして初めて「兄さん」と呼んだことに驚き記憶が戻ったのではないかと話しかけた。

音夢「ええ!!戻りましたよ!!!さっきいつも通り考えなし突っ込んで私を庇って兄さんが私の代わりに魔法を受けたときに

   一緒に戻りましたよ!!!!ホントいつもいつも考えなしなんですからバカ兄さんは!!!」

    案の定、記憶は戻っていたが純一は今の音夢の言葉にカチンと来たのか言い返す。

純一「お、おい!お前ばかばか言いすぎだろうが!!仮にもお前を助けるためにだな・・・」

音夢「それが余計なお世話なんです!!!他にも方法があったでしょう!!」

純一「な!!お前それはないだろうが!!!あの瞬間に思いついたのがそれしかなかったんだよ!!!」

音夢「だから馬鹿なんです!!」

    売り言葉に買い言葉・・・大声で口げんかをする音夢と純一。

    さくらはそんな様子を見て苦笑いをしながらいつの間にかほっとかれている気絶したアジフを抱っこする。

さくら「にゃはは・・・子どもの時でも相変わらずだね・・・・」

ちびアジフ「うみゅ・・・・・」

    さくらは「後ろでは本気で戦ってるのにな〜」と裕里に申し分けなく思ったのだった。

    ・
    ・
    ・
    ・
    ・

ヘルメス「やあぁぁ!!!はあぁぁ!!」

     ビュ!シュ!

    ヘルメスは自分の剣で何度も一撃を放つ。

裕里「・・・ふ!・・・は!」

    だが裕里は的確にヘルメスの攻撃を避けヘルメスは一撃も入れることは出来ない。

ヘルメス「くう!!貴様ぁ!!ちゃんと戦えぇぇ!!!!」

    ヘルメスは避けるだけでまともに戦わない裕里に業を煮やしどんどん別の方向に瞬間的に移動し攻撃する。

ヘルメス「せやあぁぁぁあああ!!!」

裕里「・・・・せい!」

    だがそれだけヘルメスが攻撃しても裕里はすべて避けてしまう・・・まるですべて見えているかのように。

    そしてそんな業を煮や集中力を失ったヘルメスは裕里にとって見れば隙だらけのなんと言うことはない敵・・・

    そして今度は裕里から仕掛けた。

裕里「行きますよ!!・・・・氷刃!!一閃!!」

ヘルメス「!?・・・ふん!そんな攻撃!!!」

    ヘルメスは裕里が放って来た攻撃を難なく避ける。

    だがそれが・・・致命的な隙だった。

裕里「業を煮やし集中力を失ったところで簡単に避けられる攻撃をして見せて敵を安堵させ一時的に集中力を戻す

   ・・・ですが生き物は一度切れた集中力をすぐに戻すことは出来ません。そして急激な精神の変化は大きな

   隙を与える・・・つまりは」

ヘルメス「!?・・・なん・・だと?」

    裕里はいつの間にかヘルメスの懐におり・・・

裕里「こういうことになるんですよ!!鉄斬旋!!!」

    ギュン!!ズシャア!!

ヘルメス「ぐはぁぁあ!!」

    ヘルメスは裕里の一撃を受け空中に舞うと・・・

    ドシャ!

ヘルメス「ぐ・・・う・・・・・」

    地面に落ちて動かなくなった。

裕里「ふう・・・なんとか気絶させることが出来た・・・でも少しやりすぎたかな・・・」

    裕里はそうつぶやきながらも美月に念話をした。

裕里「(美月さん?裕里ですけど)」

美月「(裕里くん?なにかウイルスの気配を感じてたんだけど・・・その様子だとどうやら終わったみたいね)」

    美月はすでにウイルスを裕里たちが倒したことを分かっているようで特に驚くこともなかった。

裕里「(はい、特級ウイルスの一人を気絶させました)」

美月「(え!?・・・ホントに!?)」

裕里「(はい)」

    だが裕里のその言葉には驚いたようだった。

裕里「(それと純一くんと音夢ちゃんが負傷したので出来ればアースラに運びたいんですけど・・・)」

美月「(え?そうなの?・・・・分かったわ・・・今から私も行くからそれまでウイルスを任せてもいいかしら?

    ウイルスはアースラに連れて行くとアースラが危険だからね)」

裕里「(分かりました)」

    そう言って裕里は連絡を取ると

裕里「それじゃあ・・・ヘルメスをバインドして・・・純一くんと音夢ちゃんの仲裁でもするかな・・・」

    裕里は先ほどから聞こえていた・・・後ろの大喧嘩の仲裁をしに行こうと音夢たちに近づいていく。

純一「お前が鈍くさいからだろ!!」

音夢「兄さんが考えなしだからです!!」

さくら「お兄ちゃ〜ん!音夢ちゃ〜ん!そろそろケンカやめようよ〜!!!」

ちびアジフ「う・・・う、うにゅ?・・・・わ、妾はどうしてこんなところで寝ているのだ?」

裕里「はあ・・・・」

    面倒なことになりそうだと裕里はため息が止まらなかった。

    ・
    ・
    ・
    ・
    ・

・???

杉並「これが・・・まったく面倒なことになりそうだな・・・」

    現在、杉並は”ある場所”に潜入していた。

    その場所とは・・・

杉並「ふっふ〜んそれにしてもウイルスの拠点というのも意外と簡単に潜入できるものだなまったく張り合いのない・・・

   まあ潜入など俺にしてみれば造作ないことだがな♪」

    なんと杉並はウイルスたちの拠点へと潜入しておりいろいろな情報を探っていた。

    そしてそこで重要なものを見つけたのだ。

杉並「だが・・・まさかホムンクルスとはな・・・・作られたホムンクルスは3体で終わりではなかったと言うことか・・・」

    杉並はそれだけつぶやくとそそくさと出口に近づく。

杉並「それでは・・・そろそろ脱出するとしますか・・・それとそこに隠れているウイルスさん情報どうもありがとう」

    シュン

    杉並はそう言って部屋を出て行く。

    すると杉並が出て行ったと同時に物陰から出てくる人影が一つ。

パラケルスス「ふふ・・・やはり杉並は厄介だね・・・完全に気配を消していたのに気づかれるとは」

    物陰から出てきた人影・・・パラケルススは苦笑しながら立ち上がる。

パラケルスス「それにしても・・・どうやらヘルメスが捕まったみたいだね・・・まあこれも予定どおりだが」

    パラケルススはそうつぶやくと先ほどまで杉並が見ていた巨大なガラスケースのようなものに近づく。

少女「・・・・・・・」

    そのガラスケースの中には一人の少女が無表情で座っていた。

パラケルスス「・・・・・」

    パラケルススはその少女を見つめると本当にすまなそうな顔をする。

パラケルスス「すまないね・・・君には何の罪もないはずなのに」

    パラケルススはそう言うと最後に何かを・・・

パラケルスス「どうか・・・この哀れな少女を・・・「アリシア」を救ってやってくれ・・・裕里」

    心のそこから祈るようにつぶやいたのだった。

    

    

    

               

                                   魔法少女リリカルなのは 白銀の魔法使い 



                                    第十九話「降り始める雨、なの」完










あとがき

ようやく十九話終わりました!!

今回はラストへ向けていろいろお話が進みましたね・・・

一応あと三話か四話ぐらいで第一部は終わる予定です!

原作とはかなり違った終わり方をすると思うので

ぜひ読んでみてくださいね!!


それではまた次のお話でお会いしましょう!!
メンテ
Re: 白銀の魔法使い ( No.30 )
日時: 2009/05/04 01:01
名前: ふぁんふぁ 

・アースラ

裕里「それでリンディさん、音夢ちゃんと純一くんの怪我の状態はどうだったんですか?」

    こんにちは空咲裕里です。

    今は前回の戦いで怪我を負ってしまった音夢ちゃんと純一くんをアースラに連れてきています。

リンディ「音夢さんは打撲とかすり傷・・・純一くんは処置が早かったおかげで特に大きな傷もなし・・・

     だけど安静にしてないとダメね」

    どうやら心配しないといけないような大きな怪我もないらしく大丈夫だそうです。  

さくら「良かったよ〜〜!!」

うたまる「うにゃ〜〜!!」

美月「ホントよかったわ」

    リンディさんの報告を聞いたみんなが安堵の表情を浮かべていた・・・ちょうどそのときのことでした。

クロノ「艦長!艦内に侵入者です!!」

裕里「ええ!?」

美月「次元空間にあるアースラに・・・侵入者?」

    突然のクロノくんの報告にみんな驚いた表情をしていました。

リンディ「侵入者!?それでその侵入者はどうしたの!?」
   
    珍しく慌てた様子のリンディさんがそうクロノくんに聞くとクロノくんはなんともいえないような表情をして・・・

クロノ「いえ・・・すでに捕らえた・・・と言うか自ら捕まったと言うか・・・」

リンディ「は?」

    珍しくあいまいなクロノくんでしたが・・・そのときなぜかモニター越しに僕を見ると

    確かめるような口調でこう言いました。

クロノ「なあ裕里・・・「未知の探求者」って知ってるか?」

裕里「・・・・へ?(ま、まさか・・・)」

    そう聞いてきたクロノくん・・・僕は正直関わり合いになりたくありませんでしたがどうせすぐに分かることなので

    諦めて侵入者である”奴”の名前を聞いてみました。

裕里「もしかして・・・杉並って人ですか?」







                           魔法少女リリカルなのは 白銀の魔法使い



                              
                               第二十話「大粒の雨、なの」


 
                                     始まります





裕里「はぁ・・・・イヤだな・・・・」

なのは「にゃはは・・・」

フェイト「まあ・・・確かに変人だったしね・・・」

アルフ「右に同じだね」
http
    裕里は杉並の名を出した瞬間、クロノに「すぐ来てくれ!!僕にコイツの相手は無理だ〜!!!」

    とモニター越しに叫ばれてしぶしぶだったがクロノたちがいる食堂になのは、フェイト、アルフと向かっていた。

裕里「さてと・・着いたね」

    そしてとうとうたどり着いてしまう食堂・・・

なのは「じゃ、じゃあ入ろうか?」

裕里「・・・・うん」

    シュン

    そして扉を開き入ってみると・・・

杉並「美味くもないが不味くもない・・・・以上!!」

???「以上よ」

クロノ「ただ飯食っておいてなんだその態度は〜〜〜!!」

    ちょうどご飯を食べ終わったのか箸をおき手を合わせている杉並と見慣れぬ少女・・・そして今の発言に

    怒りをあらわにしているクロノだった。

裕里「・・・・・はぁ」

なのは「にゃはは・・・・」

    なんとなくこの状況を予想していたのか裕里たちは呆れながらも臆することなく近づいていく。

クロノ「ああ!!裕里ようやく来たか!!この男をどうにかしてくれ!!!」

    クロノは裕里たちが来たことを待ちわびていたのかすぐに裕里たちに気づくとうれしそうに声をあげた。

    ちなみにそのときアルフは「コイツ・・・身長だけじゃなくて器もちっちゃいね・・・」と思ったらしいがそれは秘密だ。

杉並「おお!My同志・空咲!!久しいな!!」

???「ダディ・・・テンション高すぎ・・・」

    さらに杉並もハイテンションで裕里に声をかけそれを隣の少女に指摘されている・・・

杉並「そんなことはないぞハズキ!!俺はまだ足りないと思っているほどだ!!!!」

ハズキ「はぁ・・・そうだね・・・ダディには何言っても無駄だったね・・・」

    どうやら今この場では誰一人として杉並のテンションを抑えることが出来るものはいないようだった。

    無論、裕里も例外ではない。

裕里「・・・・・あの・・・・それで用件はなんですか?」

    裕里は杉並のいつもどおりのテンションにすでに気疲れし始めていたのでさっさと用件を聞いてお帰り

    いただこうと単刀直入に用件を聞いてみた。

    すると杉並は待ってましたと言わんばかりの顔をする。

杉並「ふふ〜ん!!!よくぞ聞いてくれた!!皆の物!!聞いて驚け!!」

ハズキ「見て笑え」

フェイト「・・・・なにを?」

    杉並とハズキと呼ばれた少女の突然のよく分からない漫才に全員を代表してフェイトが突っ込んだ。

    杉並はその突っ込みに落胆した表情になる。

杉並「いかん・・いかんぞ!テスタロッサ嬢!!!この場合突っ込むのではなくノらなければ!!!!」

ハズキ「ノリが悪い」

フェイト「え?え?え?」

    杉並とハズキに注意されたフェイトは「私が悪いの?」と裕里たちに表情で訴えかけた。

裕里「大丈夫・・・フェイトちゃんは悪くないから・・・・それと杉並さん!!話を脱線させないでください!!」

    杉並は裕里の注意に「なんだ・・・つまらん」と一言言うと今度はどうやらちゃんと用件を言うのか

    珍しくまじめな顔になった。

杉並「確かに脱線しすぎたな・・・・実を言うとだなお前たちに重要な情報を持ってきた」

裕里「重要な情報?」

    思わず聞き返した裕里に杉並は「そうだ」とうなずくと

杉並「ウイルスたちの居場所が分かった」

全員「「「「「・・・・・は?」」」」」

    本当に重要な・・・裕里たちがもっとも欲していたことを言った。

裕里「ええ!?」

なのは「ふえ!?」

フェイト「な!?」

アルフ「なんだって!?」

クロノ「何ぃ!?」

    もちろん予想もしていなかった情報に驚く裕里たちだが杉並は気にせず話を続ける。

杉並「ウイルスたちは以外にも高町嬢たちの住んでいる海鳴町にいた・・・もちろん人目につかない場所・・・海鳴の町外れに

   ある廃ビルの地下にご丁寧に絶対に気配を察知されない効力のある結界をはり、さらに若干地下の空間を通常の空間からずら

   すことによって二重のセキュリティをかけているときたもんだ・・・まあ、一杯食わされていたわけだ普通に考えれば敵の近

   くにアジトをつくろうなどと思わないだろうからな」

    杉並の持ってきた情報・・・正直信じられないようなことだが杉並のいつもと違う本気の様子から嘘ではないことが分かる。

裕里「そ、そんなところに!?」

なのは「ふえ〜ん!!昨日まで疑いがある世界を探しまくってたわたしたちの苦労っていったいなんだったの〜!!!」

フェイト「あはは・・・」

    そして杉並の情報に裕里は驚き、なのはは「苦労して探してたのに・・・」と落胆し、フェイトはそんな、なのはの様子を

    見て苦笑いしていた。

杉並「ちなみに内部の地図なども完璧にそろえてきた・・・・どうだ?すごいだろう!!!」

ハズキ「ダディ・・・自分で言ったらダメでしょ・・・」

    ちなみに杉並の持ってきた地図は完璧と言えるほどに詳細に書かれていた。

クロノ「どうやってこんな詳細な地図を・・・」

杉並「無論、潜入だ♪」

裕里「だろうと思いましたよ・・・・」

    裕里はなんとなく杉並の行動が読めるようになってきている自分に自己嫌悪しつつも地図に目を通す。

裕里「うう〜ん・・・結構、一本道が多いですね・・・」

杉並「ああこうも簡単な作りだとは思っていなかった・・・潜入されやすい構造だが逆に潜入する側も隠れる場所がなく

   潜入しにくい・・・大方相手さんは潜入されても大丈夫なんだろうさ」

    簡素な部屋の配置だからこその強み・・・相手はは数の多さで言えば圧倒的・・・ウイルスたちには最適な作りなのだろう。

裕里「確かに潜入は難しいですね・・・て言うか杉並さんはどうやって潜入したんですか?」

杉並「ふっふ〜ん♪企業秘密だ♪」

    どうやら答える気はないらしく不敵に笑っている杉並。

裕里「はぁ・・・・それにしても・・・なにか潜入方法でもないかな・・・・」

    裕里は呆れながらもどうやって潜入しようか頭を悩ませていた。

なのは「潜入・・・か・・・」

フェイト「難しいよね・・・・」

クロノ「ふむ・・・・」

アルフ「そうだね・・・・」

    他のみんなも頭をフル回転させてどうしようか悩んでいた・・・・そのとき

???「もう!!簡単じゃない!!」

???「そうさね!!!」

裕里「はえ?」

    突然、後ろから声が上がったかと思うとそこにいたのは

美月「一番簡単な方法があるでしょう?」

エイミィ「そうそう!!」

    結託した美月とエイミィ・・・ある程度予想できたお方たちでした。

クロノ「それで・・・なんとなく予想出来るのが悲しくなってくるが・・・その方法とは?」

    クロノは予想できているらしく2人に呆れたような顔をしながら聞く。

美月「も・ち・ろ・ん♪」

エイミィ「突撃〜〜!!!だよ♪」

裕里・なのは・フェイト「「「ええ〜!?」」」

杉並「ほう!」

クロノ「やっぱりか・・・・」

    美月たちの突撃宣言に驚く裕里となのはとフェイト、楽しそうに声を上げる杉並、そして予想が正解し落胆しているクロノ。

美月「でも実際それが一番ベストな方法でしょう?それにようは負けなければいいのだから簡単よ!」

    そしてさらに楽しそうに説明を始める美月。

クロノ「まあ・・・確かにそれしか方法がないのは確かなんだが・・・なんだかな〜」

    なんだか釈然としないクロノだが実際、美月が言うとおりそれがもっとも良い方法でもあるのだ・・・

    下手に潜入などするよりも真正面から乗り込んでいったほうが後で敵に気づかれて追い詰められるよりも

    先に自分たちの存在を敵にばらしておいたほうが精神的にも楽だ・・・体力的にはかなりキツイが・・・

美月「リンディちゃんにもすでに念話で伝えてあるから今から作戦会議よ!」

クロノ「リ、リンディちゃん!?・・・ま、まあいいでしょう・・・それじゃみんなも会議室に来てくれ」

裕里「はい」

なのは「はい!」

フェイト「うん」

アルフ「ああ」

杉並「俺は帰るがな!」

ハズキ「右に同じ」

裕里「そう言えば杉並さんと一緒にいる女の子は誰なんですか?」

杉並「おおっと空咲、それは今のところは禁則事項だ♪」

ハズキ「禁則事項」

裕里「はあ??」

    ぞろぞろと食堂を出て行く裕里たち・・・

クロノ「おおっとそうだ・・・エイミィ僕たちは急ぐから代わりに代金払っておいてくれ」

    そのときクロノはおもむろに後ろを向くとエイミィにそれだけ言って食堂を後にする。

エイミィ「ええ!?なんで私が!?」

    もちろんエイミィは抗議の声を上げるが

    シュン

    誰一人としてエイミィに答える者は誰もおらず・・・全員食堂を出て行った。

エイミィ「・・・・・にょろーん」

    そして食堂にはエイミィの物悲しい言葉が響いたのだった。

    ・
    ・
    ・
    ・
    ・

裕里「ふぅ・・・・それにしても早速、明日突入か・・・」

    作戦会議は終わり美月の「思いたったが吉日」の一言で明日、早速突入することとなった。

裕里「でも「思いたったが吉日」って思いついたその日に決行する意味じゃなかったかな・・・・」

    裕里は特に意味もないことを考えながらある場所に向かっていた。

    その場所とは・・・

裕里「医務室は・・・と、ここだ・・・純一くんと音夢ちゃん元気かな・・・」

    裕里が向かっていた場所は医務室だった。

    シュン

純一「ん?ああ、裕里じゃないか」

音夢「あ・・・裕里くん」

アジフ「ん?おお、裕里」

    裕里が入ってくるとベットから出てイスに座りお菓子を食べながらお茶を飲んでいる純一たちがいた。

裕里「もう起き上がっても大丈夫なの?」

純一「ああ怪我もほとんど治ってるしな」

    元気そうな純一たちに裕里は「良かった」と安堵しているとアジフが

アジフ「おぬし何か伝言があって来たのではないのか?」

    何かすでに感づいているのか裕里にそう聞いてきた。

裕里「よ、よく分かったね・・・まあ、お見舞いしに行こうとしてたら「ついでに♪」って美月さんに頼まれたんだけど・・・」

    裕里はお見舞いついでに美月に伝言を頼まれていた。

    その内容とは

裕里「実は明日ウイルスの本拠地に突入することになったんだ」

純一「と、突入!?」

音夢「しかも明日ですか!?」

アジフ「・・・・・」

    自分たちが寝ている間に決まっていたことに驚く純一と音夢・・・アジフはなんとなく分かっていたのかまったく動じていない。

    裕里は驚く純一たちを見ながらさらに話を続ける。

裕里「それでね・・・ここからが本題なんだけど・・・・今回は純一くんと音夢ちゃんを置いていくことになったんだ・・・怪我

   もほとんど癒えているとはいってもまだ昨日の今日だから・・・て」

純一「・・・確かに・・・な」

音夢「今の状態で行ったら足手まといになりそうですしね・・・」

アジフ「ふん・・・そんなことだろうと思っていた」

    今の自分たちでは無理だと言うことを理解しているのか特に何もいい解しては来ない純一たち・・・アジフが若干、

    不機嫌だが音夢が心配なのだろう・・・特に何も言っては来なかった。

裕里「うん・・・無理して大怪我したらいけないからだって」

    裕里はすまなそうにそう言う。

純一「裕里のせいじゃないだろ?」

音夢「そうですよ」

アジフ「うむ」

裕里「うん・・・あ、そう言えば音夢ちゃん」

音夢「ん? なんですか?」

    そのときちょうど、裕里は思いついたというか前々から思っていたことを音夢に聞いてみた。

裕里「なのはちゃんや美月さんも心配してたんだけど・・・大丈夫なの?アリサちゃんのに連絡取らなくても?」

音夢「ああ・・・そのことですか」

    そうなのだ・・・音夢は最近は裕里たちと共にウイルス討伐を行っていたため学校には行っていなかったのだ。

    裕里は桃子に許可を取っているし純一は現在は美月さんが保護者なので大丈夫なのだが・・・音夢は今でもアリサの家から

    毎日、通って来ており今日なども丸一日検査などで連絡する暇もなかったであろうから心配だったのだ(現在PM11:00)

音夢「大丈夫ですよ・・・アリサちゃんにはさっきメールしましたし・・・それにアリサちゃんがこう言ってくれたんです」

  

    『何があるのかわかんないけど・・・それがあんたの為になるなら何も聞かないで送り出してあげる・・・

     だからあんたがやりたいようにやりなさい・・・でも必ず帰ってきなさいよ』



音夢「それが条件・・・って」

    そのアリサらしいものいいと優しさに裕里は思わず笑ってしまう。

裕里「あはは・・・アリサちゃんらしいね」

アジフ「まあ・・・あの小娘は妾のことを受け入れたくらいだったからな」

    ちなみにアジフのバニングス家での呼び名は「ロリー」(アリサの父命名)

裕里「と、明日も早いから僕はそろそろ帰るよ」

純一「ああ・・・」

音夢「はい、もう遅いですしね」

アジフ「うむ」

    そう言って部屋を出て行こうとする裕里。

純一・音夢・アジフ「「「裕里(くん)!」」」

裕里「へ? な、何?」

    だが部屋を出る寸前に呼び止められる。

純一「明日・・・がんばれよ!」

音夢「必ず帰ってきてくださいね!」

アジフ「死ぬなよ」

    純一たちの応援に裕里は満面の笑みを浮かべると

裕里「うん!必ず!!」

    そう元気に答えて部屋を出て行ったのだった。




http
    そして次の日・・・・・・・・





・廃ビル

裕里「ここですか?」

美月「ええ・・・ここよ」

フェイト「・・・ここが」

さくら「にゃ〜・・・」

    次の日、裕里たちは敵の本拠地である廃ビルに来ていた。

クロノ「・・・確かに敵の本拠地にはもってこいの場所だな」

なのは「うん・・・」

ユーノ「それに近づいてみたら分かったけど、イヤな魔力も感じられる・・・」

アルフ「ああ・・・」

すもも「なんか・・・怖いね」

撫子「そうだね・・・ひつじくん離れたらダメだよ?」

ユキちゃん「う、うん!」

    杉並が敵の本拠地だと言った場所は異様な雰囲気をかもしだしており不気味だった。

美月「じゃあ入るわよ・・・みんなデバイスを起動させて」

    美月の言葉に裕里たちはデバイスを起動させる。

裕里「エリュ!!セットアップ!!!」

なのは「行くよ!!!レイジングハート!!!!」

クロノ「S2U・・・セットアップ!!!」

すもも「起きて!カリン!!!」

さくら「行っくよ〜♪ダカーポ♪」

    ≪≪≪≪≪stadby ready,set up≫≫≫≫≫

フェイト「バルディシュ!ゲットセット!!!」

    ≪Get set≫

撫子「蛍・・・ゲットセット」

美月「アクエリアス・・・」

    ≪≪Anfang≫≫

    みんなが次々とデバイスを起動させている中・・・

ユーノ「・・・僕たちデバイスないからなんだかさびしいね」

アルフ「・・・まったくだね」

ユキちゃん「そうだな・・・・」

    デバイスなしの3人?は何故かむなしさを感じていた。

    ・
    ・
    ・
    ・
    ・

    美月は全員を見渡しデバイスを起動したのを確認すると

美月「それじゃあ準備万端ってことだけど・・・実は重要な質問をするのを忘れていたわ」

    突然、深刻な顔をしてそう言った。

裕里「重要な質問・・・ですか?」

美月「ええ・・・とっても重要な質問よ」

    美月は深刻そうな顔をして裕里にうなずくと・・・

美月「は〜い!トイレに行きたい人〜!」

裕里「ぶふぅ!!」

    明らかに場違いなことを言い裕里は噴出する。

裕里「今その質問!?」

クロノ「遠足のノリ!?」

    裕里とクロノのツッコミが炸裂するが・・・

なのは「実は・・・我慢してました///」

フェイト「・・・・・・///」

さくら「ボクも〜!」

すもも「私も・・・・///」

撫子「・・・・・私も」

ユーノ「僕も・・・我慢してた」

裕里・クロノ「「おお〜い!?」」

    以外にもトイレに行きたい人だらけでした。

美月「裕里くん仕方ないでしょ!生理現象なんだから」

裕里「まあ、そうですけど・・・」

    裕里は「確かに・・・」と納得、だがクロノは納得いかないらしく

クロノ「だ、だが今この状況でトイレなんて・・・」

    と反論した。

    そんなクロノの言葉に

美月「ま、まさかクロノくん・・・我慢できなくなったらそこら辺でしろと?女の子もいるのに?・・・・ま、まさか見たいの!?」

アルフ「エロいね」

裕里「ホントですね」

ユーノ「エロノだね」

さくら「エロノくんだ」

なのは「クロノくんが・・・そんな人だったなんて・・・」

フェイト「・・・・近づかないで!!」

すもも「・・・・ナコちゃ〜ん!!」

撫子「すももに近寄ったら・・・斬る!!!」

ユキちゃん「寄るな!変態!!」

    美月も含め裕里たちは驚愕の表情になってドン引きしていた。

クロノ「だ、だれもそんなこと・・・・・・」

    もちろんクロノは反論しようとするが

美月「さあ、ちょうどあそこにトイレがあるからいってらっしゃい」

みんな「「「「「「「「「は〜い」」」」」」」」」

クロノ「僕の話を聞け〜〜〜!!!!」

    みんなもちろん無視・・・そしてこのときからのクロノのあだ名は「エロノ」となった。

    ・
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    ・
メンテ
Re: 白銀の魔法使い ( No.31 )
日時: 2009/05/04 01:02
名前: ふぁんふぁ 

美月「それじゃ・・・今度こそ突入するわよ!!」

    みんなトイレを済ませてようやく突入することとなった。

クロノ「どうせ・・・どうせ僕なんて・・・」

    だが先ほどのことで落ち込んでいるクロノ。

裕里「あはは・・クロノくん冗談だよ」

クロノ「笑えない冗談だよ・・・・」

    一応、さっきのは美月さんはみんなの緊張をほぐすためにそんなことを言ったのだが・・・クロノにとってみれば

    しゃれになっていなかった。

ユーノ「まあ僕は冗談と思ってないけどね」

なのは「ユーノくん・・・最低」

フェイト「・・・最低」

ユーノ「ええ!?冗談だよ!?」

    ちなみにユーノが言うと冗談と取られません。

美月「あはは・・・やりすぎたわね・・・・でもほら!もう突入なんだから元気出して!!!」

クロノ「・・・・はい」

    美月は何とか体育座りをしているクロノを立たせると

美月「じゃあ・・・・行くわよ!!みんな気を引き締めてね!!」

みんな「「「「「「「「「「はい!」」」」」」」」」」

    美月の号令で敵の本拠地に突入した。

    ・
    ・
    ・
    ・
    ・

裕里「!?・・・・ウイルスの魔力の気配が・・・」

美月「ええ・・・しかもかなり濃いわね」

    地下に入りしばらく進んでいるとウイルスの気配がしてきた。

なのは「あ!曲がり角!」

    そして目の前にはお約束とばかりに曲がり角。

クロノ「はあ・・・どうせ曲がり角を曲がったら大量のウイルスがいる・・・とかだろな」

撫子「・・・・うんウイルス自体には気配がないけど魔力の気配が独特だから分かる・・・・いっぱいいるよ」

    そして曲がり角を曲がった先にいたのは・・・

ウイルス「・・・・・・・」

ウイルス「・・・・・・」

ウイルス「・・・・・」

すもも「・・・・なに・・・これ」

さくら「多すぎ・・・じゃない?」

    角の先にいたのは見渡す限りウイルス・・・狭い一本道なわけだが道が異常に長いので下手すれば1000体ぐらい

    いるかもしれない。

裕里「・・・・確かに多いですね・・・・でも」

美月「ええ・・・広い空間ならまだしも一本道でこれだけいたとしても無意味だわ」

    そう裕里と美月は言いながらもデバイスを構える。

なのは「行くよ!レイジングハート!!!」

    ≪Yes≫

    なのはも何かに気づいているのかレイジングハートを構える。

裕里「エリュシオン!ジャッジメントバスター!!!」

美月「行くわよアクエリアス・・・・ボレアス!!!」

なのは「ディバイ〜ン!!!!バスター!!!!」

    ≪Judgment Buster≫

    ≪Boreas≫

    ≪Divine Buster≫

    ドゴォ〜〜〜〜〜〜ン!!!!!!!!!!

    3人は合わせたように同時に砲撃魔法を放った。

ウイルス「!?!?・・・・」

ウイルス「!!!!!?・・・・・・」

すもも「うう・・・すごい光」

フェイト「目が開けられない・・・・」

    そしてウイルスたちは強力な光の前に飲み込まれる。

    シュ〜〜〜・・・・・・・・

    そして光が収まるとそこに大量にいたはずのウイルスたちは嘘のようにいなくなっていた。

裕里「ふう・・・・」

なのは「はあ・・これで進めるね」

美月「ざっとこんなもんね」

    裕里たちはウイルスが消えたのを見ると満足そうに顔をしながら進んでいった。

    そしてそれについていく一行・・・だが

クロノ「相変わらず・・・規格外の魔力だな・・・」

ユーノ「おしっこちびりそうになっちゃったよ・・・」

アルフ「あんたホント、デリカシーが皆無だね・・・・」

    クロノ、ユーノ、アルフは何故かそこから動こうとしない。

裕里「?・・・クロノくんたちどうしたの?」

    気になった裕里がそう聞くとクロノたちは後ろを向いたままこう言った。

クロノ「・・・どうやらウイルスはすべて倒したわけではないらしい」

裕里「!・・・・うん」

ウイルス「・・・・・・・」

    クロノがそう言うと何処からともなく現れ始めるウイルスたち。

裕里「よし・・・蹴散らしましょう」

美月「はあ・・・面倒ね」

    それに気づいた裕里たちもデバイスを構えウイルスに近づこうとするが

クロノ「待った・・・ここには僕とユーノとアルフが残ろう」

アルフ「ああ」

ユーノ「そうだね」

裕里「え?」

    それをクロノが遮ると突然「自分たちは残る」と言いウイルスに向き直った。

美月「そう・・・じゃあ頼めるかしら?」

クロノ「ええ、任せてください」

なのは「で、でもそれじゃあ」

すもも「危険だよ!?」

フェイト「あぶないよ」

    残るといったクロノたちを心配する、なのはとすももとフェイトだがクロノたちは安心させるような顔をする。

クロノ「大丈夫だ、下級程度のウイルスに遅れを取るような僕たちじゃないさ」

ユーノ「そうだよ、ここで出てくる奴らを蹴散らしてるから安心して行って来て」

アルフ「そう言うことだよ・・・全員がんばって行ってくるんだよ!」

    そしてそれだけ言うともう何も言うことはないのかウイルスほうに顔を向ける。

裕里「よし・・・行こう!クロノくんたちの思いを無駄にしないためにも!!」

なのは「・・・うん」

撫子「・・・・さようならクロノたち」

クロノ「お〜い、僕たちは死んでないぞ〜・・・と!スティンガースナイプ!!」

    ≪Stinger Snipe≫

    最後にクロノのツッコミむとわらわら近づいてきているウイルスに向けて魔力弾を放つ。

クロノ「さあ!さっさと行け!!」

裕里「うん!がんばってね!!」

ユーノ「おう!」

    そして最深部まで急ぐ裕里たち。

    そして裕里たちが行ったのを見届けると

クロノ「やっと行ったか・・・さあ!ウイルスども!!ここから先には通さないぞ!!!」

アルフ「さ〜て・・・久々に腕が鳴るね!!」

ユーノ「ちなみに僕は攻撃魔法苦手だから・・・攻撃よろしく!!」

クロノ・アルフ「「役立たず」」

ユーノ「ひど!?」

    3人はウイルスに向かって走り出したのだった。

    ・
    ・
    ・
    ・
    ・

フェイト「・・・・ここが最深部?」

裕里「うん・・・そうみたいだね」

    杉並の地図通りに進んでいくと最深部らしき扉の前までたどり着いていた。

美月「それじゃあ入りましょうか?」

    ギイィィ

    美月の言葉に全員うなずくと美月が扉を開ける。

    するとその先には以外にも広いホールのような空間がありその一番奥に

パラケルスス「ああ、よく来たね」

アリストテレス「あら?」

プレシア「・・・・フェイト?すももちゃん?」

    パラケルススと裕里たちには見覚えのない女性、そしてプレシアがいた。

フェイト「母さん!!」

すもも「プレシアさん!!」

裕里「あの人がフェイトちゃんのお母さん・・・」

    裕里はプレシアを見たが少し疲れたような顔はしているが特に外傷もなく無事な様子だった。

    そしてまず無事を確認した裕里はいまや人質となっているプレシアに危害が加えられないように

    パラケルススたちに話しかけることにした。

裕里「プレシアさんを放してくれませんか?」

パラケルスス「ああ、いいよ」

なのは「へ?」

    パラケルススはあっさりと開放する意思を見せるとプレシアを魔法で浮かせると裕里たちの前に降ろした。

フェイト「母さん!!!!!」

すもも「プレシアさん!!!!」

    すぐにプレシアに駆け寄るフェイトとすもも。

    そのパラケルススの行動をいぶかしむ美月。

美月「なんのつもり?」

パラケルスス「つもりも何もないですよ・・・私たちはむやみに人に危害を加えたりはしません・・・それに・・・」

    パラケルススはフェイトたちの方向を見る。

フェイト「母さん!大丈夫!?」

すもも「プレシアさん怪我はありませんか!?」

プレシア「・・・大丈夫よ、心配ないわ」

    フェイトたちに様子を見て満足したようにうなずくと

パラケルスス「私たちの勝手とは言え母親を誘拐したのですから特に何も要求せずに返す・・・丁度いいのではないですか?」

美月「まあ誘拐した時点ですでにアウトだけどね・・・・」

    パラケルススは美月のツッコミに「違いない」と微笑みながら言う。

パラケルスス「・・・ほう」

裕里「?」

    そしておもむろに裕里を見ると感嘆の声を上げる。

パラケルスス「どうやら前に会ったときよりもさらに強くなっているようだね・・・さすがはエラスムスを殺しヘルメスを捕らえた

       だけのことはある」

裕里「・・・え?」

    パラケルススの言葉に裕里は引っかかるものがあった。

裕里「僕が・・・エラスムスを殺した?」

    裕里にはもちろんそんな覚えはない。

    エラスムスと最後に戦ったときは確かに殺すとはしたが寸前でなのはが止めてくれたおかげで殺すことはなく

    たしか逃げられたはずだった。

パラケルスス「おや?違うのかい?・・・・まあそんなことだろうとは思っていたけどね、なあアリストテレス」

アリストテレス「まあ・・・そうでしょうね」

裕里「・・・なんのことを言っているんですか?」

    パラケルススとアリストテレスのよく分からない納得のしあいに疑問を浮かべる裕里。

パラケルスス「ん?いやこちらの話だよ・・・さて」

    パラケルススは突然、立ち上がると何もない空間から光輝く剣を出した。

パラケルスス「空咲裕里・・・君にはやってもらわなければならないことがある・・・だが今の君の「心奏」では

       無理だろう・・・だから今回は君に「心奏」を見てもらう」

裕里「・・・・「心奏」?」

なのは「何それ?撫子ちゃん知ってる?」

撫子「ううん・・・知らないよ」

    裕里たちは聞きなれない単語に困惑する。

    だが美月はどうやら違うらしく驚きの表情を見せるとパラケルススに話しかけた。

美月「・・・・まさかとは思っていたけどあなたたち・・・特級ウイルスの中でもとても少ないと言われる「心奏」の

   力を持ったウイルス・・・なの?」

    美月の様子を見たパラケルススはにこやかに微笑みながら

パラケルスス「まあ・・・そう言うことです・・・・ではそろそろ始めましょうか」

    そうパラケルススが言った瞬間。

    ゴウッ!!

裕里「!?・・・・くっ!なんて魔力なんだ!!」

    まわりに強力な魔力が渦を巻くようにエラスムスのまわり舞う。

美月「みんな!!気をつけて!!!この2人エラスムスやヘルメスとは桁違いの強さを持っているわ!!!!」

    美月は全員にそう注意を促す。

美月「裕里くん・・・行くわよ!!」

裕里「はい!」

    裕里に共に戦う指示を出し・・・

美月「それとなのはちゃんたちはプレシアさんをお願いね?」

なのは・フェイト・すもも・撫子「「「「はい」」」」

    なのはたちにプレシアを護るように指示を出すとすぐに美月はアクエリアスを構える。

美月「さあ・・・覚悟しなさい」

パラケルスス「ふふ・・・・来い!!!」

裕里「!!」

    その瞬間、裕里は一瞬で加速するとパラケルススに切りかかる。

裕里「そこぉ!!!」

    ビュン!!

パラケルスス「ふっ!」

    カキン!!

    渾身の力をこめた一撃だったが簡単に防がれてしまう。

    裕里は「チッ」と舌打ちをすると距離を置きながら

裕里「フォースセイバー!!!!」

    ≪Force saver!!≫

    フォースセイバーを放つ。

美月「やあ!!」

    それに会わせたように追撃とばかりに美月が攻撃をする。

    パラケルススは美月の攻撃すらも軽くいなし弾き飛ばすと裕里と美月に向かって右手を出す。

パラケルスス「さあ・・・これはどうかな?」

    そしておもむろに剣を一振りする。

    かなり離れた位置でのその攻撃に裕里は警戒する・・・そのとき!!

美月「裕里くん!!危ない!!!」

裕里「え!?」

    ドン!
 
    美月が突然、裕里を突き飛ばした。

    すると今まで裕里がいた空間が

裕里「な!?」
 
    ギュウゥゥゥ・・・・

    ・・・・ねじ切れた。

裕里「こ、これは・・・」

美月「裕里くん・・・今のが「心奏」の力よ」

裕里「い、今のが・・ですか?」

    裕里は驚愕しながら美月に聞く。

美月「ええ・・・「心奏」はね・・・自分が心で思い描いたことを現実化させる能力・・・あんな風に空間をねじ切ったり

    することも出来る強力な力・・・」

パラケルスス「そう・・・「心奏」とは心を具現化する力・・・その気になれば存在すら消滅させる・・・つまりあった物の存在を

http   ”なかったこと”にすら出来る強力な魔法だよ・・・まあ存在の消滅が出来るのはよほど強い「奏者」じゃないと

httphttp無理だが・・・」

    美月の説明に合わせるようにパラケルススも説明を始める。

パラケルスス「そしてこの力は・・・君も持っている」

裕里「な!?」

美月「・・・・・」

    パラケルススの言葉にさらに驚愕する裕里。

パラケルスス「そして君にはこの力を完全に使いこなす・・・とまでは行かなくてもある程度使えるようになって貰わなければ

http   ならない・・・」

美月「それが裕里くんに「やってもらわなければならないこと」なの?」

    美月はパラケルススにそう聞くがパラケルススは「ふむ・・・」と少し考えるような仕草をする。

パラケルスス「確かにそれも一つではある・・・まあ詳しいことは言えませんが」

    そしてあいまいに言いながらパラケルススは美月を見る。

パラケルスス「さて・・・それではそろそろ再開するとしましょうか?天城美月・・・いや・・・あなたの本当の姓は天城ではない」

美月「!?・・・・なぜあなたがそれを!?・・・く!待ちなさい!!それ以上はまだ言ってはダメ!!」

裕里「・・・・天城が美月さんの本当の姓じゃない?」

    そしてパラケルススは美月の静止を無視し・・・美月が今まで隠していた秘密を暴露した。

パラケルスス「天城はあなたの旧姓・・・そうでしょう「空咲美月」?それに正体を隠すのは結構ですが自分の「孫息子」にまで

       正体を隠す必要はなかったのではないですか?」

美月「・・・・・・」

裕里「え?・・・空咲?・・・孫息子?」

    裕里は一瞬パラケルススが言ったことの意味が分からなかった。

パラケルスス「ふふ・・そうだ裕里・・・「空咲美月」は君の・・・死んだと教えられているはずの「祖母」だ」




    
http
    ちょうどそのころ・・・・・・・






・時の庭園

メルクリウス「ほう・・・これがジュエルシードか・・・・」

    裕里たちがパラケルススと戦っていたときメルクリウスは時の庭園にいた。

    そしてプレシアの部屋に置かれているジュエルシードを見つけるとそれに手をかざす。

メルクリウス「・・・・・・」

    怪しく光る手のひら・・・しばらくすると光がやむ。

メルクリウス「よし・・・・これでいい」

    やるべきことは終わったのか、かざしていた手を元に戻し後ろを振り向く。

    そこにはアリシアの体があった。

メルクリウス「器が在っても魂がなくては生き返ることはないと言うのに・・・なんとも悲しい話だ」

    メルクリウスは複雑な表情をしながら・・・

メルクリウス「まあ利用させてもらうぞ?ここでジュエルシードを暴走させれば必ず空咲裕里はやってくるだろうからな」

    最後にそう言ったのだった。

http






                             魔法少女リリカルなのは 白銀の魔法使い



                              
                               第二十話「大粒の雨、なの」完












あとがき

ふう・・・ようやく二十話を書き終わりました。

だんだん最後になるに連れて文章の量も増えてきてしまい終わる

と決めてから書くと、どうしても終わると決めた話数で終わらないと

いけないから大変です。

さて次はとうとう二十一話です!

今回いろいろ発覚したことやメルクリウスの暗躍など要素がいろいろあって

大変ですが・・・がんばりたいと思いますのでどうぞまた更新しましたら

目を通して見てくださいね!


それでは〜
メンテ
Re: 白銀の魔法使い ( No.32 )
日時: 2009/05/08 00:39
名前: ふぁんふぁ 

なのは「・・・・・え?」

    私は、今聞いたことが信じられませんでした。

    いろいろ何か言い合っていたことは知っていましたが何を言っているかうまく聞き取れなかったのに

    その部分だけはまるでヘッドホンで聞いているかのようにはっきりと聞こえました。

なのは「美月さんが・・・・裕里くんの「お婆ちゃん」?」

    正直、驚きました。

    何か秘密はあるんだろうな、とは思っていましたがまさか血縁者だったなんて。

すもも「え?え?・・・でもどっちかと言うとお母さんだよね?」

撫子「・・・・うん」

ユキちゃん「・・・・見た目は二十代前半だよな」

さくら「う〜ん・・・ボクはあえてノーコメントで♪」

フェイト「・・・・・」

    すももちゃんや撫子ちゃんユキちゃん、フェイトちゃんもとても驚いています。

アリストテレス「・・・・・・裕里さま・・・平気かしら」

なのは「(裕里・・・さま?)」

    そして何故かあのアリストテレスと言う女性は無意識なのか裕里くんの名前を「様付け」で呼んでまるで

    「恋する乙女」の目で見つめています。

なのは「(・・・・裕里くんって・・・・年上にモテるのかな・・・・)」

    一瞬、そんなことを考えましたがそんな場合ではないので頭を振って考えを消すと

    もう一度、裕里くんと美月さんのほうを見ます。

裕里「で・・・でもお父さんとお母さんは・・・・僕が生まれてすぐにお婆ちゃん死んじゃったって・・・・」

    裕里くんはまだ混乱しているみたいで何かを言っているみたいですが微動だにしません。

なのは「裕里くん・・・・・・」

    私は裕里くんがとても心配です。







                              魔法少女リリカルなのは 白銀の魔法使い



                                  第二十一話「土砂降り、なの」



                                        始まります








裕里「み、美月さん・・・・・本当なんですか?」

美月「・・・・・それは」

    まだ戦闘中だったが裕里は美月にそう聞かずにはいられなかった。

    裕里には今、母方の「白道」の祖父しかおらず父方の「空咲」の祖父と祖母は死んだと伝えられていたのだ。

    それにあのときの父親と母親の悲しそうな顔は忘れたことがない。

    そしてさらにもう一つ気になることがあった。

裕里「それに・・・・なんで僕にもあの「心奏」って力が使えるんですか?」

美月「・・・・・・」

    心奏と言う力・・・正直、あの説明だけでは分からない・・・それに何で自分にもその力が使えるのか・・・

    裕里は美月なら知っている気がしていた。

美月「・・・・・・・」

    だが美月はなんと言おうか迷っているのかうつむいたまま何も話してくれない。

裕里「(・・・・・待とう)」

    裕里は何を聞いても答えてくれない美月がちゃんと教えてくれるまで待とうと考えた・・・・そのときだった。

    ゾク・・・・

裕里「!!?・・・・な・・・何?」

美月「!?・・・・これは」

パラケルスス「・・・・・まさか」

    そのとき裕里は強い寒気を感じた。

裕里「・・・・こ、この感じは・・・・もしかして」

    そしてこの感じを裕里は知っていた。

    そうイヤと言うほど知っていた・・・なぜなら”自分が一度身を持って体験したこと”だったからだった。

裕里「ま、魔力が・・・どこかで魔力が暴走してる!?」

    裕里がそう言った瞬間にアースラから通信が入った。

エイミィ『裕里くん!!聞こえる?!』

裕里「はい!何かあったんですか!?」

    慌てた様子のエイミィ。

エイミィ『うん!次元座標:876C44193312D6993583D1460779F3125で強力な魔力の暴走を確認したの!!これは次元震が

     起こるレベルの暴走だよ!!!』

裕里「え!?」

美月「次元震が!?」

    裕里も・・・そして今まで黙っていた美月も驚く。

    だがそれ以上に・・・驚愕の表情になっている者がいた。

フェイト「そ・・・その次元座標って・・・・」

すもも「も、もしかして・・・」

プレシア「時の庭園!?」

    それはフェイトとすもも、さらにプレシアだった。

    そして座っていたプレシアは突然、立ち上がると

プレシア「ア、アリシア!!!」

    ダッ!

フェイト「え!?」

なのは「ふえ!?」

    「アリシア」と叫ぶと同時に走り出したのだ。

フェイト「母さん!」

すもも「プレシアさん!!」

ユキちゃん「ぼ、僕も行くよ!!」

    そして突然、走り出したプレシアを追って走り出すフェイトとすももと本に乗って追いかけるユキちゃん。

なのは「フェイトちゃん!?ま、待って〜!!」

撫子「すもも!!」

さくら「みんな待ってよ〜!」

    さらにそのフェイトたちを追って走り出すなのはと撫子とさくらの3人。

裕里「・・・・・く!」

    もちろん裕里も追いかけたかったが追いかけることが出来なかった。

    それは当たり前だろう・・・なぜなら裕里はまだ”戦闘中”なのだ。

パラケルスス「・・・・ふむ」

アリストテレス「・・・・ふう」

    裕里がパラケルススたちのほうを見るとパラケルススはなにやら考えるように、アリストテレスは

    ため息をついていた。

パラケルスス「ふ〜む・・・・仕方ないか・・・な」

    そしてパラケルススは不意にこちらを向く。

パラケルスス「空咲裕里・・・いや裕里くん・・・あの娘たちを追って行きなさい」

裕里「・・・・え?」

    パラケルススの言葉は予想外だった。

    裕里はパラケルススの真意が分からず「どうして・・」とつぶやくとパラケルススは優しく

    微笑みながら裕里にこう聞いた。

パラケルスス「あの娘たちが心配なんだろう?なら私たちにかまわず行きなさい」

裕里「・・・・・・」

    裕里は罠なのかそれとも本心からそう言っているのか分からずどうしようか迷う。

美月「・・・・裕里くん、行きましょう」

    だがそのときおもむろに美月がそう言ってきた。

裕里「え?美月さん?」

美月「今はフェイトちゃんたちを追うほうが先よ・・・ね?」

裕里「・・・・はい」

    何とか納得した裕里を見て美月はうなずくとパラケルススのほうを向く。

美月「それじゃあ私たちは行くわ」

パラケルスス「ええ・・・それと気をつけてください、この魔力の暴走には特級ウイルスが絡んでいるはずです」

裕里「え?特級ウイルスが・・・・でも」

    裕里はパラケルススのほうを向く。

    パラケルススは裕里の視線に苦笑しながらばつの悪そうにする。

パラケルスス「ああ・・・実はね・・仲間の一人に私たちの手に負えないのがいてね・・・独断行動ばかりする奴なんだが

       今回の暴走もそいつがやったんだろうね」

アリストテレス「・・・・まあ仕方ないわ・・・・彼はウイルスにある闘争本能が強すぎるから」

    パラケルススたちは本当に困っているのだろうめんどくさそうな顔をする。

美月「分かったわ、情報ありがとう・・・じゃあ裕里くん急ぎましょう」

裕里「は、はい!」

    美月はもう話すことはないと思ったのか裕里に先を急ぐようにせかす。

パラケルスス「裕里くん・・・強き心を奏でる奏者になるんだよ」

アリストテレス「・・・・・ご無事で」

裕里「・・・・・・」

    パタン

    裕里は最後にパラケルススたちの言葉を聞きながら部屋を後にした。

パレケルスス「・・・心配かい?アリストテレス」

アリストテレス「それは・・・ね・・・・でもあなたも心配でしょう?」

パラケルスス「ふふ・・・君ほどでもないかな・・・裕里ならば大丈夫だよ」

    パラケルススは本当に信頼した顔で「大丈夫」と言う。    

アリストテレス「・・・・そうね」

    パラケルススの言葉にアリストテレスはそう呟くのだった。

    ・
    ・
    ・
    ・
    ・

    タッタッタッタッ

裕里「・・・・・・ま、まだ先でしょうか?」

美月「・・・う〜ん・・・そうね〜・・・」

    部屋を出た裕里と美月はプレシアを追って行ったフェイトたちとと付いていったなのはたちを追っていた。

なのは「フェイトちゃん!裕里くんたちが来るの待ってたほうがいいよ〜!」

フェイト「で、でも!!」

クロノ「そうだ!・・・それに魔力の暴走が起こっているならむやみに転移魔法を使うのは危険だ!」

裕里「(なのはちゃんたちの声だ!)」

    そのとき曲がり角・・・と言うかクロノたちと別れたところからなのはたちの声が聞こえる。

裕里「なのはちゃん!!」

なのは「あ!裕里くん!!」

    裕里は角を曲がると同時になのはに声をかける。

    そこにはなのはやフェイト、クロノたちはいるのだがプレシアだけはいなかった。

裕里「プレシアさんは?」

クロノ「それがな・・・」

すもも「プレシアさん転移魔法で時の庭園に行っちゃったんです!!!」

    すももは慌てた様子で裕里にそう言う。

美月「無茶なことをするわね・・・・」

    美月はあきれたようにため息をつく。

裕里「じゃあ追わないと!!」

なのは「うん!でもむやみに転移したりすると危険だからって裕里くんと美月さんを待ってたの!」

美月「なるほどね・・・まあ懸命な判断ね」

    美月はうんうんとうなずくとみんなのほうを向いた。

美月「確かに普通に転移すると危険よ・・・だからこれから私の「心奏」で時の庭園まで転移します」

裕里「え!?美月さんも使えるんですか!?」

    裕里は驚いて美月のほうを向く。

    すると美月も裕里を見つめる。

美月「裕里くん・・・あとで必ず、今まで隠していたことも「心奏」のことも「奏者」のことも説明するわ・・・だから

   それまで待っていて欲しいの」

裕里「はい・・・分かりました」

美月「・・・ありがとう」

    美月は裕里にお礼を言うと同時に右手を空中に上げる。

    それと同時に・・・ありえないほどの魔力が空中に渦を巻き始めた。

クロノ「く!・・・なんだ!この強大な魔力は!」

    クロノは今まで感じたことのない強力な魔力に後ずさっている。

美月「みんな!一気に飛ぶわよ!!動かないでね!!」

    そう言った瞬間・・・・

裕里「へ?うわ!」

なのは「きゃ!」

フェイト「!!」

さくら「うにゃ〜!」

すもも「ナコちゃん!ゆ、ユキちゃんが!」

ユキちゃん「うわ!」

    ガシッ!

撫子「すもも!!ひつじくん捕まえたよ!!」

クロノ「視界が・・・揺らぐ!」

アルフ「なんだいこれ!?」

ユーノ「船酔い気分だよ〜・・・」

    全員、この場から一瞬で消えたのだった。

    ・
    ・
    ・
    ・
    ・

・時の庭園

    シュン!ドゴン!!

    むぎゅ!にゃあ!きゃあ!うにゃ!うわ!のわ!ぐぎゃ!ほわ!きゃ!ぐは!

美月「さあ着いたわ・・・・みんな大丈夫?」

裕里「み、美月さ〜ん!助けてくださ〜い!!」

なのは「ゆ、裕里くん動かないで〜!!くすぐったいよ〜!!!」

裕里「あっご、ごめん!!」

    むにゅ

フェイト「きゃあ///」

アルフ「こら!裕里!!なにフェイトの胸触ってんだい!!」

裕里「ええ!!そ、そんなこと言われても何にも見えないんです!!」

フェイト「裕里だったら・・・いいよ///」

なのは「む〜!!!(ギュウ!!)」

裕里「イタイ!痛いよ!なのはちゃん!!」

なのは「知らない!!」

さくら「うにゃあ!き、きついよ〜!!」

クロノ「う、上から降りていくんだ!早く!!」

ユーノ「(は!!もしかしてアクシデントとか理由つければ裕里みたいに・・・)」

すもも「!? な、ナコちゃ〜ん!!なんか下からイヤな気配を感じるよ〜!!」

撫子「・・・・すももに触れたら・・・斬る!!」

ユーノ「すいませんでした・・・・・」

ユキちゃん「・・・・僕は人形だから重くもなんともないけどね」

    裕里たちは美月の「心奏」によって安全に時の庭園に転移してきた・・・までは良かったのだが・・・

    落ち方に問題があったらしく裕里が一番下で重なるように落ちてきてしまったのだ。

美月「テヘ♪・・・失敗ね♪」

裕里「「テヘ♪」じゃな〜い!!」

    


    それから・・・十分後・・・




裕里「・・・・疲れた」

クロノ「無駄な時間だった・・・」

美月「ほらほら元気出して!これからが本番よ!」

    すでに疲労困憊な感じの裕里たちに美月は活を入れる。

なのは「ふ〜んだ!」

フェイト「///」

ユーノ「いいな・・・裕里」

さくら「うにゃあ・・・・・」

すもも「はあ・・・」

    ゾク・・・・

全員「「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」」

    だがそのとき・・・突然、元気のなかった裕里たちの目つきが変わる。

裕里「――――なにか来る!」

なのは「うん!」

フェイト「・・・・・」

    気配を感じ全員デバイスを構えた。

美月「(へ〜・・・やっぱりやるときはやるのね)」

    美月は先ほどまでとまるで違がう裕里たちを満足そうに見ると自分もデバイスを構えた。

    そして・・・・いつものあいつらが現れる。

    ブォン!

ウイルス「・・・・・」

ウイルス「・・・・・・」

ウイルス「・・・・・・・」

    何処からともなく現れたウイルスはざっと見渡してみても100はいる。

さくら「はあ・・・簡単には通してくれないみたいだね」

なのは「うん・・・それにたくさんいるね」

裕里「あの〜二人は一緒にしゃべらないほうが言いと思うよ?」

さくら・なのは「「え?なんで?」」

すもも「だって2人とも声がそっくりだからどっちが言ってるのか分からなくなるんだもん」

さくら・なのは「「そうかなぁ?」」

全員「「「「「「「「そうそう」」」」」」」」

美月「(で、でも・・・相変わらず緊張感がないと言うか・・・ね、まあ人のこと言えないけど〜)」

    ザシュ!

ウイルス「!?!??・・・・」

美月「まあ・・・確かに下級ぐらいだったら遅れを取ったりはしないけど・・・油断禁物ね」

    美月は後ろにいたウイルスを見ることもなく切り裂く。

美月「それじゃあ裕里くん!みんな!そろそろおしゃべりはやめてこのままプレシアさんのいる部屋まで突撃よ!!」

裕里「はい!」

みんな「「「「「「「「「はい!!」」」」」」」」」

    そして全員に号令をかけるとウイルスを蹴散らしながら駆け抜けていくのだった。

    ・
    ・
    ・
    ・
    ・

裕里「やあ!!「覇嵐」!!!」

ウイルス「!????!?・・・・」

撫子「・・・・シュトロームヴィント!!」

     ≪Strom Wind≫

ウイルス「!!!!!!!・・・・・・・」

ウイルス「!!!????!・・・・・・」

フェイト「・・・・そろそろ母さんの部屋に着きます!」

美月「ふう・・・結構長かったわね」

    あれからフェイトの案内で出てくるウイルスたちを蹴散らしながらプレシアが向かっているであろう

    プレシアの部屋に向かっていた。

クロノ「向こうは確かに僕たちよりも早く来ているだろうが一人だ・・・断然僕たちのほうが進むペースは速い」

ユーノ「そろそろ追いついてきてるはずだよ・・・少し前に魔法を使った形跡もある」

アルフ「ああ」

    ユーノの言うとおりそこら彼処に煙が上がっており寸前にウイルスと戦っていた形跡が残っていた。

裕里「どうにか追いつかないと・・・奥にはたぶん特級ウイルスがいる!」

なのは「うん!」

さくら「当たれ〜!!」

    ドキュン!ドキュン!

ウイルス「!??!??・・・」

ウイルス「!??!???・・・・」

    無限とも思える数のウイルスを蹴散らしながら進むと

ウイルス?「・・・・・・」

ウイルス?「・・・・・・・」

    目の前にやけにはっきりした体を持つウイルスらしきものが数十体ほど立っていた。

クロノ「ん?・・・なんだ奴は」

ユキちゃん「なんか・・・少し今までのウイルスと感じが違うような」

    警戒しながらだったが全員近づこうとした。

美月「待って!」

裕里「うん・・・待ったほうがいいよ」

なのは「え?」

    だが美月と裕里は全員をすぐに止める。

美月「あいつらは・・・・上級ウイルスよ」

裕里「・・・・僕が一回戦った奴ですね・・・負けそうになりましたけど」

クロノ「そうか・・・奴らが」

    そう・・・今まで戦ってきたウイルスは高くても中級程度のウイルスたち・・・

    上級は滅多に現れることはなく今まで現れたのは裕里が一度負けそうになったとき一回だけだったのだ。

美月「上級は特級ほど感情表現がうまくないけどかなり高い知能と強い力を持っているわ」

フェイト「く!・・・もう少しなのに!」

    フェイトは焦っているのか悔しそうに言う。

美月「・・・・・そうね」

裕里「? 美月さん?」

    美月はそんなフェイトを見ながら何かを考えるような仕草をする。

美月「(よし・・・決めたわ)」

    そして考えがまとまったのか全員を見渡し口を開いた。

美月「ここには私が残ります!・・・それとクロノくん、ユーノくん、アルフさんまたで悪いけど一緒に残ってもらえるかしら?」

クロノ「はい!了解です!」

ユーノ「防御や回復なんかは任せてください!」

アルフ「ああ!」

    美月の言葉にうなずくクロノとユーノとアルフ。

美月「それとそれが終わったら私がここで次元震を少しの間抑えるから・・・裕里くんみんなをよろしくね」

裕里「はい・・・美月さんもご無事で・・・フェイトちゃん!急ごう!!」

フェイト「うん!・・・・・・美月さんありがとうございます」

美月「いいのよ♪さあ行きなさい!!・・・・ジュデッカ!!」

    ≪Judecca≫

    そして美月が作った隙を突いて走り抜けていく裕里たち。

美月「・・・強き心を奏でるのよ裕里くん・・・それが「心奏」なんだからね・・・」

    美月は裕里の後姿を見ながらそう呟いたのだった。

    ・
    ・
    ・
    ・
    ・

フェイト「ここだよ!」

    美月たちと分かれてしばらく走っているととうとうプレシアの部屋の前に着く。

裕里「よし!早く入ろう!プレシアさんが心配だよ!」

なのは「うん!」

さくら「OK!」

    そして扉の前に立とうとした瞬間だった。

上級ウイルス「・・・・敵」

上級ウイルス「人間だ」

上級ウイルス「魔力をもらうぞ」

    そこに上級ウイルスたちが現れる。

裕里「あと少しなのに!」

フェイト「・・・邪魔をするな!」

なのは「通らせてもらいます!」

さくら「空気読めない子にはお仕置きだよ?」

    裕里とフェイトとなのはとさくらはさっさと倒してしまおうとデバイスを構える。

    だがそのとき裕里たちの前に立つ者たちがいた。

すもも「裕里くん、フェイトちゃん、なのはちゃん、さくらちゃん・・・先に行って!」

撫子「ここは私たちが抑えるから」

ユキちゃん「うん!」

    すもも、撫子、ユキちゃんだ。

裕里「すももちゃん、撫子ちゃん、ユキちゃん・・・ありがとう」

    いつもの裕里ならば「自分も一緒に戦う」と言うところだが今は緊急事態。

    あえてそこですももたちの提案を受け入れた。

フェイト「すもも・・・無茶だけは絶対ダメだよ?」

すもも「うん!ナコちゃんもユキちゃんもいるから大丈夫だよ!」

なのは「撫子ちゃんも無理は禁物だよ?」

撫子「うん・・・無理はしないよ」

さくら「ユキちゃんもだよ?」

ユキちゃん「うん!・・・と言っても僕は戦わないけどね」

    なのはとフェイトとさくらは裕里と同じであえて止めはしないがすももたちに絶対に無理しないようにだけ言う。

裕里「・・じゃあ行こう!」

なのは「うん!」

フェイト「・・・うん!」

さくら「うん♪」

    ギイィィ・・・バタン!

    そして裕里、なのは、フェイト、さくらの4人は扉の前に立ち臆することなく部屋に入った。

プレシア「はあ・・はあ・・はあ・・」

???「・・・・やっときたか・・・待ちわびたぞ」

    すると目の前には裕里たちとそれほど差がなかったのか、まだ息が荒いプレシアと

    裕里を見て「待ちわびた」と言う見慣れぬ男・・・そして

フェイト「・・・・・え?」

なのは「・・・なに?あの娘?」

裕里「・・・フェイトちゃんにそっくりだ」

さくら「ホントそっくりだね〜」

    奥には水槽のようなものがありそこにはフェイトに瓜二つの少女が浮いていた。

    だがそれはまるで死んでいるかのような・・・いや実際死んでいるのだろう。

プレシア「はあ・・はあ・・・メルクリウス!その娘から離れなさい!!」

???「ふふふ・・・愚かだな・・・いつまでも死んだ娘に執着するなど・・・」

プレシア「うるさい!!」

フェイト「え?・・・・・・娘?」

     フェイトはメルクリウスと呼ばれた男がプレシアに言った「娘」と言う言葉に反応する。

メルクリウス「そうだ・・・そのかわいそうに水槽に浮いている少女はそのプレシア・テスタロッサの――――」

プレシア「黙れ!!」

     ドギュン!!

メルクリウス「おっと・・・」

     メルクリウスはプレシア「黙れ!」の言葉と共に飛んできた魔力弾をいとも簡単に避けプレシアを見ると

     唇の端を持ち上げるようにして笑った。

メルクリウス「ほう・・・まがい物の娘に愛着でも湧いたか?」

プレシア「く!」

裕里「・・・・まがい物?」

フェイト「どう・・・言うこと?」

     そしてまだ状況を飲み込めていないフェイトにメルクリウスは告げた。

メルクリウス「貴様のことだフェイト・テスタロッサ・・・貴様はその水槽に浮いているアリシア・テスタロッサのクローン

       として生み出されたプロジェクトF・A・T・Eの産物にして・・・出来の悪い失敗作だ」

フェイト「・・・・え?」

     言われたことの意味が分からないフェイト。

フェイト「何を・・・何を・・言って・・る・・の?私は母さんの・・・プレシア母さんの・・・娘・・だよ?」

     信じられない話に理解する事が出来ないフェイト。

     だがメルクリウスは何の感情も出していない顔でさらに追い討ちをかける。

メルクリウス「理解できないか?なら何度でも言ってやる・・・・貴様はな・・・アリシアとして生み出されたが失敗した

       まがい物・・・アリシアになれなかった出来損ないなんだよ!」

フェイト「嘘だ・・・嘘だ!」

     フェイトはイヤイヤと頭を振る。

フェイト「嘘だよね?・・・母さん」

プレシア「・・・・・・」

     フェイトはすがるような目でプレシアに聞くがプレシアは何も答えず目も合わせようとしない。

フェイト「イヤだよ・・・そんなのイヤ・・・母さん嘘って言って・・・」

プレシア「・・・・く!」

     フェイトの必死の懇願にもプレシアは何も言わなかった。

フェイト「嘘って言ってよぉ!!!!!」

     信じていたものに裏切られ顔を絶望に染めながらフェイトは崩れ落ちる。

裕里・なのは・さくら「「「フェイトちゃん!!!!」」」

     事の成り行きを見守っていた裕里となのはとさくらは崩れ落ちるフェイトに駆け寄る。

メルクリウス「あはははは!・・・まったく滑稽だな!!・・・所詮は失敗作か!!」

     崩れ落ちるフェイトを見て大声で笑うメルクリウス。

プレシア「メル・・・クリ・・ウス・・・・メル・・クリウス!!!!!!!貴様ぁ!!!!!!!!」

     今のメルクリウスの一言に怒りが頂点に達したのかプレシアは怒りの形相でメルクリウスに向かっていく。

メルクリウス「はは・・・まあ・・・なんとも愚かなことだ・・・・安心しろ貴様もすぐに死んだアリシアのところに送ってやる」

     メルクリウスはそう言うと同時空中に右手を掲げる。

     そしてプレシアを見下すような目で見るとこう告げた。

メルクリウス「俺の「心奏」の前に散れ・・・プレシア・テスタロッサ」

裕里「心奏!?プレシアさん!!行っちゃダメだぁ!!!」

     裕里はメルクリウスの「心奏」と言う言葉を聞きプレシアに大声で叫ぶ・・・だがすでに遅かった。

メルクリウス「死ね」

     ドシュ!グシャ!
   
プレシア「な!?が!?はぁ・・・」

     ドン!!
   
     メルクリウスのその言葉と共に・・・プレシアはまったく反応出来ず、空間を切り裂いて現れた槍に串刺しにされる。

メルクリウス「まあ・・・普通に死ぬのは面白くない・・・そこで磔られたまま無様に死んでいくといい」

フェイト「え?・・・・母さん?イ、イヤァァァァァァァァ!!!!!!!!」

     フェイトの悲痛な叫びが部屋に木霊したのだった。



     



                                   
                                 魔法少女リリカルなのは 白銀の魔法使い



                                   第二十一話「土砂降り、なの」完












あとがき

ふぁんふぁです!今回のお話はどうでしたか?

お気に召したでしょうか?

とうとう明かされたフェイトの正体・・・ですが原作とは

違いおかしくなったプレシアさんから明かれるのではなく

メルクリウスから・・・と言うことにしました!

物語的におかしくなかったでしょうか?それだけが心配です・・・

それと一応、次の第二十二話が最終話で次にエピローグ

で第一部終わります!確定しました!

ぜひ次の最終決戦も楽しみにしてくださると幸いです!!


それでは〜!!
メンテ
Re: 白銀の魔法使い ( No.33 )
日時: 2009/05/14 22:50
名前: ふぁんふぁ 

メルクリウス「ふん・・・・他愛無い」

    メルクリウスは面白くなさそうにプレシアを一瞥する。

裕里「プレシアさん!!く!・・メルクリウス!!あなたはなんてことを!!」

    裕里はアリシアの水槽の隣に磔にされたプレシアを見て悲痛な表情を浮かべながらメルクリウスに向かって叫ぶ。

なのは「フェイトちゃん!!」

さくら「しっかりして!!」

フェイト「イヤ!!・・イヤァ!!!」

    隣では錯乱したフェイトをなのはとさくらが落ち着かせようとしていた。

メルクリウス「くくく・・・裏切られてもまだプレシアを母親と呼ぶか・・・浅ましい執着だな、まあ私も人のことは言えんが」

    メルクリウスは自重するようにつぶやくと・・・ふいに裕里を見る。

メルクリウス「空咲裕里・・・私と戦え」

裕里「は?い、いきなりなんですか!?」

    そして裕里に自分と戦うように言ってきた。

メルクリウス「いきなりなどではない・・・わざわざジュエルシードを暴走させたのも貴様を呼び出すためだったのだからな」

裕里「な!?」

    メルクリウスの発言に裕里は怒りをあらわにする。

裕里「あなたはそれだけのために・・・そんなことのためにジュエルシードを暴走させたって言うのか!?」

メルクリウス「そんなこととはひどい言い様だな・・・私の生きがいは強い奴と戦うことだ、そのためならその程度のこと

       些細なことでしかない」

    言い切るメルクリウスに裕里は

裕里「(・・・狂ってる)」

    その一言しか浮かんでこなかった。






                            魔法少女リリカルなのは 白銀の魔法使い


                             
                             第二十二話「やまない雨はない、なの」



                                      始まります





メルクリウス「さあ・・・どうする?」

裕里「・・・・・」

メルクリウス「まあもっとも・・・貴様は断ることは出来ないと理解しているはずだがな」

裕里「く!」

    まさにその通りだった。
  
    正直な話、裕里は特級ウイルスは無視してさっさとプレシアだけ連れて逃げるつもりだったのだ。

    次元震が起こりいつこの空間が崩壊するか分からない今、特級ウイルスと戦っている暇はなかったのだが・・・

プレシア「・・・ぐ」

アリシア「・・・・・・」

    メルクリウスの後ろにはかろうじて生きているものの瀕死の状態の磔にされたプレシアと水槽に浮かぶ少女アリシア・・・

    ある意味人質をとられているこの状況でもちろん見捨てる気など万に一つもない裕里には戦うしか選択肢はなかった。

裕里「・・・・・分かりました・・・戦いま「待って!!」・・え!?」

    「戦います」と裕里がメルクリウスに了承の意を伝えようとしたとき誰かに遮られた。

    裕里は慌てて後ろを振り向く。

フェイト「そいつは・・・私が倒す!!!」

    するとそこには怒りの炎を眸に宿したフェイトが立っていた。

なのは「フェイトちゃん!!ダメだよ!!!」

さくら「アイツと渡り合えるのは今は裕里くんぐらいしかいないんだよ?!」

    まわりの二人は必死にフェイトを止めようとする・・・だがフェイトは怒りでまわりが見えていないのか

    二人の言葉を完全に無視して飛び出した。

フェイト「やあぁぁぁぁああああ!!!」

裕里「フェイトちゃん!!」

    フェイトは裕里の呼びかけにも答えずバルディシュを振りかぶり向かって行く。

メルクリウス「親子そろってここまで無様だとは・・・笑えんな」

    メルクリウスは軽蔑した目で向かって来るフェイトを見ると手で軽く空を切る・・・・その瞬間

    パキィィィィン!!!

裕里「な!?」

    突然、ガラスが割れるような音と共に裕里がいた場所からメルクリウスがいる場所までの空間がずれる。

フェイト「!?」

    ドゴォォォン!

    そして止まることなど考えていなかったフェイトはメルクリウスをすり抜けそのまま壁に激突した。

なのは「ど、どうなってるの?」

さくら「い、今すり抜けた!?」

    驚き戸惑っているなのはとさくら。

メルクリウス「ふう・・・今、俺は心奏を使って貴様たちがいる空間と俺と空咲がいる空間を少しずらし特殊な結界を張った・・・

       故に貴様たちはこちらが見えていたとしても手を出すことは出来ないし俺が許可しなければこちらに話かけることも

       出来ない・・・よって前者に該当する行為をしたフェイト・テスタロッサはすり抜けたのだ」

    それを見かねたのかメルクリウスは親切に説明してくれた。

なのは「な、なるほど〜」

さくら「なんとなく分かったよ〜」

    たぶんよく分かっていないなのはとIQ160は伊達ではないのか大体分かっているさくらだった。

メルクリウス「貴様はあえて殺さないでおいてやる・・・そこで見ていろ」

フェイト「くう!!」

    そんななのはたちを尻目にメルクリウスは壁に激突したフェイトにそう言い放つと裕里のほうを向いた。

メルクリウス「いろいろ邪魔が入ったが・・・・・」

    メルクリウスは何処からともなく裕里の身長の倍はあるであろう大剣を出す。

裕里「・・・・・」

    それと同時に裕里もエリュシオンを構えた。

    そしてメルクリウスはそんな裕里を満足そうに見ると声高らかに叫んだ。

メルクリウス「さあ・・行くぞ!!!!空咲裕里!!!見せてみろ!!貴様の力を!!!!」

裕里「・・・・行きます!!!」

    そして裕里とメルクリウスは互いに武器を振りかぶった。

    ・
    ・
    ・
    ・
    ・

クロノ「く!一体ウイルスはどれだけいるんだ!!!やあ!!」

ウイルス「!?!?・・・・」

    クロノは悪態をつきながらウイルスを消し飛ばす。

アルフ「さあね!!文句言ってる暇があったら戦いに集中しな!!!ふん!!」

    アルフは軽くクロノを注意すると目の前のウイルスを拳で粉砕する。

ユーノ「・・・・がんばれ〜」

    特に防御なども必要ないので誰かが怪我でもしない限り役立たずで応援くらいしか出来ないユーノ。

    そしてもう一人・・・ここに残っているはずの美月はと言うと

美月「ジュデッカ!!」

    ≪Judecca≫

上級ウイルス「が!!!」

    ちょうど上級ウイルスの最後の一体を倒したところだった。

美月「ふう・・・たいしたこと無かったわね」

ユーノ「(それはあなたが強すぎるんですよ?)」

    ユーノは心の中でツッコんだ。

美月「んん〜・・・・それにしてもまだまだ多いわね・・・・面倒だしやっちゃいますか」

    美月何かをつぶやくとはおもむろのクロノたちの方向にデバイスを構えた。

美月「クロノくん、アルフさん・・・離れないと一緒に消滅するわよ?」

クロノ「!? た、退避〜!!!」

アルフ「!? い、いきなりかい!?」

    そして美月はアクエリアスを握り締め大声で叫ぶ。

美月「アクエリアス!カートリッジロード!!!」

     ≪ja!≫

クロノ「カートリッジだと!?」

    クロノが驚く中、アクエリアスはカートリッジをロード、そして強力な魔力が先端に集結する。

美月「ふふふ・・・くらいなさい!ボレアス!!!!」

    ≪Boreas≫

    ドゴォォォォォォオオオオン!!

    前に使ったときよりもカートリッジのおかげではるかに強力になった砲撃魔法は敵を一瞬で飲み込み

    そこらへんにいた無限とも思えるウイルスの一角を消滅させる・・・そして。

美月「まだまだ!!!」

    美月はさらにその砲撃を保ったままデバイスを動かしまるでウ○ングガン○ムゼ○のように敵を

    消滅させていった。

クロノ「・・・・・・」

アルフ「反則だよ・・・あれ」

ユーノ「僕たち要らなかったんじゃ・・・・」

    唖然としているクロノたち。

美月「ふう・・・ほとんど消えたわね」

    美月がそう言って砲撃をやめると目の前に大量にいたはずのウイルスたちは数体ほど運よく生き

    残ったもの以外は綺麗にいなくなっていた。

美月「じゃあクロノくんたち!残った奴を倒したら後はその場で待機・・・!?」

    美月はクロノたちに指示を出そうとしたそのとき突然、驚きの表情になった。

美月「(まさか・・・もう!無茶なことするんだから!!)」

クロノ「? どうかしたんですか?」

    突然、黙った美月にクロノは心配になりどうしたのかと聞く。

    すると美月はクロノたちのほうを向いて

美月「みんな・・・ここは任せるわ!」

クロノ・アルフ・ユーノ「「「はい?」」」

    唐突にそう言うと走り出した。

クロノ「ちょ!何処行くんですか!?」

    クロノは慌ててそう聞く。

美月「ちょっと迎えに行ってくる!!」

    すると美月はそれだけ答え裕里たちが曲がった角の”反対”の角を曲がっていったのだった。

    ・
    ・
    ・
    ・
    ・

裕里「やあ!!」

メルクリウス「ふん!!」

    ガキィン!

    裕里とメルクリウスの戦いが始まって十分ほどが立っていた。

    その間は共に魔法や剣術を駆使して互角の戦いをしており今のところは力が拮抗していのだが・・・

    とうとうその状態が崩れようとしていた。

メルクリウス「この状態はそろそろ飽きてきた・・・・空咲、受けてみろ・・・俺の心奏を!」

裕里「!・・・・く!」

    メルクリウスはそう言うと同時に自分の剣の平に手を乗せると目を閉じる。

    裕里はそれが自分にとって危険な行為であることをいち早く察知し距離をとった・・・だが

メルクリウス「無駄だ!・・・どんなに離れようと俺の心奏からは逃れられん!!」

    その一言と共にメルクリウスは「ギュォン!!」と大剣を一閃。

    何をやったかは分からないが相手は奏者・・・何を仕掛けてくるか分からない。

裕里「それなら!避けなければいい!!!」

    ならばと裕里は不用意に動くことをやめエリュシオンを正眼に構えると同時に「神眼」を使う。

裕里「(読むんだ・・・どんな攻撃にも動きはある・・・・)」

    集中する裕里・・・そのときかすかな空気の動きを感じ裕里は「そこだぁ!」とエリュシオンを渾身の

    力をこめて振る。

    ギャキィン!!!!

裕里「くう!!・・・・やあ!!」

    裕里は何とかメルクリウスの不可視の一撃を消し去る。

メルクリウス「ははは!さすがだな!!まさか見切るとは!!」

    メルクリウスは愉快だとばかりに笑うと「だが・・・」と一言付け加える。

メルクリウス「だが・・・残念だが見落としがあったようだな」

裕里「え?・・く!」

    メルクリウスの言葉に裕里が一瞬あっけに取られていた瞬間・・・裕里は後ろから悪寒を感じ瞬時に伏せる。

    ギュン!!

裕里「!?」

    すると丁度伏せた瞬間に裕里の頭上を何かが通過して言った。

メルクリウス「ほう・・・今のも何とか避けたか・・・だがまだ終わってはいないぞ」

裕里「ちぃ!」

    メルクリウスの言うとおり先ほどまで気配すらなかった不可視の刃が次々に裕里を襲う。

裕里「せや!!はあ!!せい!!」

    ガィキン!!

    ヒュ!

    キィィィン!!

    裕里は何とか避け、かき消しを繰り返してやり過ごしていたがだんだんと疲労も蓄積されていき

    動きも鈍くなってくる。

裕里「(はあ・・はあ・・くそ!!)」

    だがそんな間もメルクリウスは攻撃の手を緩めることはない。

メルクリウス「子どもにしてはたいした体力だが・・・不可視の刃だけを気にしていると俺に斬られるぞ?」

    それどころか今度は自分から裕里に向かってくる。

裕里「エリュシオン!!シャインバレット!!!」

    ≪Shine bullet!≫

    裕里は魔法を使いメルクリウスを牽制しようとするがメルクリウスはまったく気にしないかのように

    裕里に向かってくる。

メルクリウス「その程度に攻撃魔法では俺に傷一つ付けられん!!」

    そしてとうとうメルクリウスは裕里の寸前までやってくると

メルクリウス「これを!!どう防ぐ!!」

    メルクリウスは大きく・・・それでいてまったく隙のない構えで剣を振りかぶった。

    もちろん裕里に逃げる時間などない。

裕里「くそ!!・・・・とは言いませんよ?」

    だが裕里は「しまった!」と言う顔はせずまるで子どもが悪戯を仕掛けたときのような顔をして

    ニヤリと笑みを浮かべる。

メルクリウス「!? 何!?」

    メルクリウスはそのときようやく気がついた・・・裕里がすでに地面にエリュシオンを

    突き立てていたということを。

裕里「エリュシオン!!氷陣!!!」

    ≪Judecca≫

    裕里は無数の氷の刃を地面から出現させるとメルクリウスに向けてすべて放つ・・・その数約200。

    あまりの氷の多さにメルクリウスの姿が見えなくなる。

裕里「気配は消えてない・・・でも相手もこれだけの攻撃を受けたんだから無傷ではないはず・・・・」

    裕里はそう考えたたとえ特級ウイルスだろうが奏者だろうがこれだけの数の攻撃に無傷でいられる

    はずがないと・・・だが

メルクリウス「ふふふ・・・・確かにこれがエラスムスやヘルメスならば無傷ではないだろうな・・・」

裕里「!?」

    突然、聞こえるメルクリウスの声。

    ドゴォォォォオオン!!

裕里「く!」

    それとほとんど同時に回りに飛び散る氷。

    そしてその中から出てきたのは

メルクリウス「だが・・・俺には傷一つ付けることは出来ないぞ?」

裕里「な・・・に!?」

    無傷のメルクリウス・・・裕里は驚愕の表情に変わる。

    そしてその裕里の隙を見逃すメルクリウスではなかった。

メルクリウス「その隙は命取りだ!!―――――レクイエム・ディス・イレ!!」

    ドガァァァ!!

裕里「ぐあぁぁ!!!」

    メルクリウスはあえて剣ではなく左手の拳に魔力を集めた一撃を裕里の腹部に向かってアッパーの要領で入れ

    裕里を殴り飛ばした。

    ドゴン!

裕里「がはぁあ!!!!」

    裕里は壁に叩きつけられる。

    その際、何かこちらに向かって叫んでいるなのはたちを見たが気にしている余裕はなかった。

メルクリウス「さあ空咲・・・これで終わりなわけではないよな?」

裕里「く・・・」

    メルクリウスは本当に戦いを楽しんでいるようだった。

    だがそんな中、裕里は壁に寄りかかり苦しそうにしながらも

裕里「(さっき・・・・どうしてメルクリウスは心奏を使わなかった?)」

    すでに先ほどのメルクリウスの攻撃について考えていた。

    正直、あれが心奏であったならばこれぐらいで済んでいるとは思えなかった。

    まだ自分には使えないが心奏とは心を具現化する力だと聞いている・・・それなのに先ほどの

    攻撃がメルクリウスの心奏だとは思えなかったのだ。

裕里「(・・・わざと?・・・いやそんなことをする意味はないはず)」

    メルクリウスがもし先ほどの攻撃は一切、心奏を使わず普通の魔力を使っていたのなら・・・

    なにか心奏と言う力には裏があるはず・・・・・・そしてある考えに至った。

裕里「(もしかして・・・・心奏を何回も使えないのか?)」

    裕里は強力な力には何かしらの反動みたいなものがあるのではないかと考えたのだ。

    そしてその考えは的中しているのだが・・・このことは後に美月によって語られることとなる。

裕里「(だったら・・・”あれ”を使えば・・・でも)」

    そう”あれ”を使えばこの強大な敵にも勝つことが出来るだろう。

    だが裕里は考える・・・正直、まだ使える自身はない。

    だが今の自分がメルクリウスと心奏に対抗するには使うしかない。

裕里「(そうだ・・・前のようにいつまでも逃げてはいられない!)」

    今、ここで引くわけには行かないのなら・・・そしてまだ自分にやれることがあるのなら・・・

裕里「僕は・・・制御してみせる!!」

メルクリウス「ふふふ・・・立ち上がるか」

    メルクリウスは立ち上がる裕里を見て嬉しそうに笑う。

    そんなメルクリウスを裕里は一瞥すると声高らかに叫んだ。

裕里「エリュシオン!!ルシファードモード・・・起動!!!」

    ≪King...I believe you......Luciferd mode start up!!!≫

    ・
    ・
    ・
    ・
    ・

なのは「あれは!もしかして!!」

    なのははあれがなんだか知っていた。

    なぜならあれはあのとき自分が止めたものだったからだ。

フェイト「・・・・・あれは」

    もちろんフェイトもその場にいたので知っている。

さくら「え?え?・・・なんなの?」

    唯一、分かっていないのはさくらだけだった。

    するとあるとき、裕里の顔が苦痛にゆがみ始めた。

なのは「裕里くん!!」

フェイト「裕里!!」

    なのはとフェイトは無駄だと分かっていても結界ギリギリに寄って裕里に叫ぶ。

    それしかメルクリウスを倒す方法がないのも分かっていたから・・・

    止める言葉ではなく裕里にかける言葉はたった一つ。

なのは・フェイト「「がんばってぇ!!!!」」

    ・
    ・
    ・
    ・
    ・

裕里「ぐ!・・があ!!」

    裕里は暴れ狂う魔力に苦しんでいた。

裕里「ぐう!!(まさか・・これほどまで・・・だったなんて・・)」

    想像を絶するほどの苦痛と膨大な魔力。

    制御なんて簡単に出来るはずがなかった。

裕里「く・・・そぉ!やるん・・だ!!心を静めて・・・」

    ゴオォォォォ!!

裕里「うわぁぁぁああ!!」
    
    制御しようとしても魔力は静まるどころかさらに勢いを増し裕里の襲い掛かる。

裕里「(やっぱり・・・僕には無理・・・なのか?)」

    精神的にも磨り減り次第に諦めの表情になってきたそのとき。

???『無理なんてことはないさ』

    苦しみの中で聞こえる優しい男性の声。

裕里「え?」

    ギュ・・・

???『さあ・・・ちゃんと立ってエリュシオンを握りなさい』

    震える裕里の手に重なる大きな手。

裕里「・・・誰?」

    その声をどこかで聞いたことがある気がしたが思い出せない。

???『誰・・・か・・・ふふ「親友」だ』

裕里「しん・・ゆう?」

    裕里が「親友」と言う言葉を繰り返した瞬間・・・苦しみが突然なくなる。

裕里「こ・・れは?」

???『今、私の力で暴走を一時的に抑えた・・・でも長くは続かない』

    さらに男性は「だから・・・」と続ける。

???『だから君が自分で制御するための手助けをしよう・・・』

裕里「手助け?」

    すると突然、裕里の頭にかすかな声が入って来た。

   『り・・・・ぇ!』

裕里「これは・・・」
  
    かすかにしか聞こえないがよく知っている声。

   『ゆう・・ばってぇ!!』

裕里「・・・・・そうだ・・・僕は」

    だんだん大きくなる・・・必死に叫び続ける声。

   『『裕里(くん)!!!がんばってぇ!!!!』』

    自分を呼ぶ・・・そして「がんばって」叫ぶなのはとフェイトの声。

裕里「まだ・・・諦めちゃダメだ・・・」

    そして・・・そのとき誓う。

裕里「無理なんてことは絶対ないんだ!!!!」

    ≪Luciferd mode perfect Control≫

    視界が開けると

???『やれば出来るじゃないか・・・裕里』

    ・
    ・
    ・
    ・
    ・
メンテ
Re: 白銀の魔法使い ( No.34 )
日時: 2009/05/14 22:50
名前: ふぁんふぁ 

メルクリウス「・・・・様子が変わったな」

    メルクリウスは裕里の様子を傍観していた。

メルクリウス「それにしても・・・恐ろしい力を持っているな・・・空咲」

    荒れ狂う魔力・・・その膨大な量・・・

    メルクリウスは「心奏なしで・・・人がこれほどの魔力を出せるものなのか?」と

    驚き・・・さらに楽しみになった。

メルクリウス「だがようやく決着がついたようだ・・・制御したか・・・まあどちらでもかまわないが」

    暴走するにしろ、しないにしろ戦えることだけは分かっていたからメルクリウスはどちらでも

    良かったようだ。

    キュォォォォ!

メルクリウス「ん?」
 
    そのとき・・・目の前でさらに変化が起こる

メルクリウス「ふふ・・・姿が変わるか・・・・」
 
    光がまわりを包み込み。

    裕里の背中から漆黒と純白の翼が現れると裕里を包み込む。

メルクリウス「さあ見せてみろ・・・ルシファー・・・・地獄の王の名を冠するその力を!!」

    ドゴォン!!

    そして・・・・翼が開く。

    そしてそこには

    美しい銀髪と―――すべてを見透かすであろう翡翠の瞳を持ち―――

    純白の聖衣を身に纏い―――黒と白の十枚の翼を広げる―――

裕里「・・・・・・・」

    ―――白銀の魔力を持つ天使が君臨していた。

メルクリウス「あははは!いいぞその力ぁ!!さあこれからが本番だ!!存分に楽しもうじゃないか!!!!」

    メルクリウスは大剣を構えて嬉しそうに叫ぶ。

裕里「俺にそんな時間は無い・・・」

メルクリウス「貴様に無くとも俺にはある!!付き合ってもらうぞ!!」

    すでに裕里の言葉など聞く気も無いのか剣を持ち向かってくるメルクリウス。

裕里「ならば――――十秒で終わらせる」

    裕里はエリュシオンを上に向ける。

裕里「エリュシオン・・・・・”ハガル”」

    ≪H A G A L≫

    そしてエリュシオンの声が響いた瞬間。

    漆黒の力がエリュシオンに収束する。

メルクリウス「無駄だ!どんな攻撃でも!!俺に傷を付けることは出来ない!!!」

    メルクリウスは大剣を大きく振りかぶる。

メルクリウス「この空間において俺に勝つことは容易ではないぞ!!」

    絶対の自信を見せるメルクリウス・・・裕里は鼻で笑った。

裕里「はは・・・”俺に勝つことは容易ではない”か・・・くだらん、貴様はすでに負けている」

    裕里はエリュシオンを一閃させる。

    ギュン!

    するとエリュシオンに集まっていた漆黒の魔力は強力な一本の閃光となり

    ズシャア!!

裕里「分かっているんだよ・・・・不可視の刃のことも傷を付けられない理由もな」

メルクリウス「・・・なん・・だと!?」

    メルクリウスを貫いた。

裕里「貴様の心奏の正体は”空間の支配”・・・・空間を支配しているならそりゃあ自分の攻撃を不可視にすることも、

   攻撃を受ける前に空間をずらして攻撃を受け流すことだって出来るだろう、だがそれを封じられれば・・・貴様は

   エラスムス程度の力しか持たない・・・」

    ドサッ!

メルクリウス「・・・ぐ」

    閃光が消えると同時に地面に倒れ伏すメルクリウス。

    だが裕里は微塵も気にしていないのかエリュシオンを血払いの要領で一振りすると話を続けた。

裕里「そして「ハガル」は俺が切りたいと思ったものだけを確実に切り裂く収束魔法剣技・・・故に自分の都合

   のいい空間でしか戦うことの出来ない貴様はこの状態の俺にとって雑魚だと言うことだ・・・”今はな”」

    なぜか裕里は「今はな」を強調し話す。

    それにメルクリウスは反応した。

メルクリウス「ふふふ・・・そうだな・・・”今の”俺は弱いな・・・・・・分かるか?」

    メルクリウスは倒れ伏しながら自嘲するように語る。

裕里「ああ・・・貴様は何らかの要因で本当の力を出し切れていない・・・だから」

    裕里は一度、メルクリウスをじっと見つめると吐き出すようにこう言った。

裕里「今回は見逃してやる・・・貴様を捕えている時間はないし、それに・・・ハガルのせいで

   エリュシオンも限界のようだ」

    ≪sorry...≫

    裕里が言う通りエリュシオンには至るところにヒビが入りこれ以上の戦闘は無理そうだった。

メルクリウス「いいのか?・・・ここで見逃せば俺はいつでも貴様に戦いを求め現れるぞ?」

裕里「かまわない・・・いつでも来ればいいさ・・・だから俺の気が変わらないうちにさっさと失せるんだな」

    裕里の突き放した言葉を聞きメルクリウスは「はは・・」と笑うと立ち上がり魔法陣を展開する。

メルクリウス「貴様は・・・やはり甘いな・・・まあ・・・だからこそ母上も貴様に懐いたんだろうが」

裕里「・・・何? 貴様、何のことを言っている?」
   
    裕里は今のメルクリウスの物言いが気になり聞き返したが

メルクリウス「今は知らなくていい、未来で分かることだ・・・それでは・・・さらばだ」

    ビュン!

裕里「おい!」

    メルクリウスは”未来で分かる”とだけ言うと・・・消えた。

裕里「・・・・・エリュシオン、ルシファードモードを停止させてくれ」

    ≪Luciferd mode drive over≫

    ゴウ!!

    その瞬間、背中の翼がはじけ舞い散る。

裕里「ふう・・・・エリュシオン大丈夫?」

    ≪Continuing has difficulty with a battle≫<戦闘継続は困難です>

    すると裕里は元の姿に戻り、変化していた性格も元に戻ったようだ。

なのは「裕里くん!!」

フェイト「裕里!!」

    突然、聞こえた声に裕里はそちらを向くと駆け寄ってくるなのはとフェイトがいた。

裕里「なのはちゃん!?フェイトちゃん!?・・・てことは・・・ちゃんと戻してくれたんだ」

    メルクリウスは以外に義理堅かったらしくちゃんと結界と空間を元に戻してくれたようだった。

さくら「みんな!撫子ちゃんとすももちゃんが来てくれたよ!!」

    何故かいなかったさくらはどうやら丁度入ってきたすももたちの相手をしていたらしかった。

すもも「みんな大丈夫?!」

ユキちゃん「大変だった・・・」

撫子「それにプレシアさんと・・・あの娘は?」

    すももと撫子とユキちゃんはすぐに駆け寄ってくると自分たちの心配といつの間にか刺さっていた

    槍が消え地面に倒れ伏しているプレシア、さらに水槽に浮いている少女を見て驚いていた。

フェイト「・・・・あれ?思ったよりも出血が少ない?」

    いつの間にやらプレシアに駆け寄っていたフェイトがプレシアの傷の具合を見てそう言う。

裕里「あの人は・・・たぶん僕が本気で戦うように仕向けたかっただけだから・・・多少、お芝居してたのかも」

    裕里はなんとなく理解していた・・・本気で戦ったからこそ分かる。

    メルクリウスは純粋に戦いたかっただけで無関係のものを殺す気などなかったのだ・・・あの垣間見えた残虐な部分も

    純粋すぎるが故の狂気だったのだろう・・・

なのは「じゃあ戦いも終わったし・・・早くかえ「ゴゴゴゴゴゴ!!!」な、なに!?」

    なのはが帰ろうと言おうとした瞬間、大きな地響きが起こる。

    ゴゴゴゴゴゴ!!!!!!

裕里「!? こ、これは!!いけない!!フェイトちゃん!!!!」

フェイト「え!?」

    裕里がフェイトに向かって注意した瞬間だった。

    ドゴォォォォン!!!!

裕里「く!」

フェイト「!!」

ユキちゃん「うわ!!」

なのは「きゃ!」

さくら「にゃあ!!」

すもも「きゃあ!!」

撫子「くう!!」

    ものすごい轟音と煙に裕里たちは目を閉じる。

    カラ・・・カラ・・・カラ・・・

裕里「収まった・・けど前が見えないな・・・」

    轟音は収まるが部屋に充満した煙のせいで視界が悪かった。

裕里「そうだ!フェイトちゃん大丈夫!!!!」

    裕里はまず離れていたフェイトの無事を確認する。

フェイト「う、うん!・・なんとか!」

    どうやらフェイトは無事なようだった。

    だが・・・轟音の後で部屋に充満していた埃の煙が晴れるとそこに広がっていたものは

なのは「え・・・これって・・・」

すもも「床が・・・ない?」

    すると裕里たちとフェイトとプレシアがいる場所までの床が消えていた。

    だがそれだけではなくその崩落した部分の様子がおかしい。

ユキちゃん「? なんか下が変じゃない?」

プレシア「・・・・虚数空間よ」

裕里「!? こ、これが!?」

    そう・・・プレシアが言う通り虚数空間が広がっていた。

フェイト「母さん!気がついたんだね!!」

    フェイトが駆け寄る。

プレシア「・・・・・フェイト」

フェイト「?」

    プレシアはフェイトの名を呼ぶ。

プレシア「・・・転送」
 
フェイト「・・・・え?」

    ビュン!

    突然、プレシアはそう言うと魔方陣を展開――――フェイトとアリシアの体を裕里たちの元に転送させた。

フェイト「な、何を母さん!!」

    もちろん驚くフェイト・・・・その瞬間だった。

    ゴォォォォォン!!!!

裕里「!? プレシアさんのまわりの床が!?」

    先ほどの崩落で弱っていたのか床がさらに崩落する・・・その下には案の定、虚数空間。

プレシア「私は・・・もう無理よ・・・・私を置いて早く行きなさい・・・・」

フェイト「なに言ってるの!?母さん!!そんなこと出来るわけがないよ!!!」

    フェイトはプレシアに悲痛な声で「出来るわけない」と叫ぶ。

プレシア「(裏切っていたことが分かっても私のことを「母さん」って呼んでくれるなんて・・・まったく・・・

      ホント出来損ないね・・・ホントに困った私の”娘”・・・)」

    そしてプレシアはフェイトを見る。

プレシア「フェイト・・・正直、あなたにジュエルシード探索を頼んだとき・・・私はあなたのことをアリシアの代替品だと

     思っていたわ・・・・」

フェイト「・・・・え?」

    フェイトは驚くがプレシアはさらに話を続ける。

プレシア「でも・・・そうね・・・あれはすももちゃんが来てからかしら・・・・」
 
すもも「へ?」

    突然、自分が話題に出て驚くすもも。

プレシア「すももちゃんを見てると何故かアリシアを思い浮かべてしまっていたの・・・でもそれはそのうち変わって言ったわ

     ・・・あのまったく笑わなかったフェイトがすももちゃんが来てから笑うようになって・・・・楽しそうに話している

     2人を見ていたらね・・・・もし私に娘が2人いたら・・・こんな風に姉妹で楽しくお話して―――――」

    ゴォォォォン!!

裕里「プレシアさん!!床が!!」

    さらに崩れる床・・・裕里が呼びかけるがプレシアは答えない。

プレシア「――――そろそろ時間ね」

    プレシアは話をやめるとフェイトたちを見据え・・・まずなのはの方を向いた。

プレシア「なのはちゃんだったかしら・・・・フェイトをよろしくお願いね」

なのは「そんな!プレシアさんも一緒に帰りましょう!!」

    プレシアはなのはに答えることは無く次はさくらの方を向く。

プレシア「あなたのことは良く知らないんだけど・・・フェイトを頼めるかしら?」

さくら「オッケー!!・・・て言いたいけどプレシアさんが一緒に帰ってくれたらオッケーします!!!」

    プレシアはさくらに笑いかけると次は撫子の方を向いた。

プレシア「あなたがすももちゃんが探していた撫子ちゃんね・・・・出会うことが出来て良かったわ・・・」

撫子「ありがとうございました・・・・・すももを大事にしてくれて」

    プレシアは「大事にしていたかは微妙だけどね」と言うと次はユキちゃんの方を向く。

プレシア「・・・・何故かしらね・・・・ひつじ君には殺意が芽生えるのよね・・・(石蕗くんだからかしら・・・ね)」

ユキちゃん「はい!?(て!なんで俺の正体知ってるんですか!?て言うかなぜに石蕗だから!?)」

    プレシアは途中から念話で話し最後に「(ごめんなさいね)」とだけ言うと次は裕里の方を向いた。

プレシア「あなたとは一度ちゃんと話してみたかったんだけど・・・・ちなみに孫は男の子と女の子、両方欲しいわ」

裕里「・・・・なんのお願いですか?」

    プレシアは何故か裕里にそんなことを言うと次はすももの方を向く。

プレシア「すももちゃん・・・フェイトとこれからもお友達でいてあげてね」

すもも「プレシアさん!!一緒に・・・・一緒に帰ろうよぉ」

    プレシアは涙で顔がグシャグシャのすももに「優しい心を忘れないでね」と言うと最後に・・・フェイトの方を向く。

プレシア「もっと話したいことがいろいろあって・・・捕まってるときにあなたとやりたいこといろいろ考えてたんだけど・・・

     もう無理みたいだわ・・・」

フェイト「私は・・・・」

    プレシアの言葉にフェイトはこう言った。

フェイト「あなたの娘で幸せでした・・・母さん」

    フェイトの言葉にプレシアは一筋涙を流す。

プレシア「フェイト・・・アリシアを・・・あなたのお姉さんを頼むわね・・・出来れば生き返らせてあげて」

    ゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!!!!

    そして最後にその言葉を残し

    ドゴォォォン!!!!

    虚数空間に落ちていった。

すもも「プレシアさ〜ん!!!!!!」

撫子「すもも!!」

    泣き崩れるすももを支える撫子。

裕里「(・・・なんて言えばいいんだろう)」

    裕里はなんと切り出せばいいか分からなかった。

    「もうここは危険だから離れよう」その一言を言わなければならないはずなのに

    言うことができない。

裕里「(みんなを美月さんに頼まれてるんだ・・・でも・・・言い出せない・・・・)」

    裕里は悩んでいた・・・だが意外な人物がその悩みを吹き飛ばした。

フェイト「・・・・早くここから離れよう」

なのは「フェイトちゃん・・・」

    その人物とはフェイトだった。

フェイト「私は母さんに頼まれたことがあるんだ・・・だから」

    フェイトはそう言って横たわるアリシアの体に自分のバリアジャケットの上着をかけると

    をおんぶする。

    それを見た裕里はなのはたちの方を向く。

裕里「行こう・・・・美月さんたちが待ってる」

なのは「・・・うん」

さくら「・・・・・オッケー」

すもも「・・・・う、うん」

撫子「うん」

ユキちゃん「分かった」

    裕里の言葉になのはに続きみんなもうなずく。

裕里「フェイトちゃん・・・・行こう!」

フェイト「うん!」

    最後に裕里はフェイトに了解を取ると一番初めに部屋を出て行く。

    それに続いて出て行くなのは、さくら、すもも、撫子、ユキちゃん。

    そして・・・最後に出ようとしたフェイトは出る寸前で部屋を見て

フェイト「さようなら・・・大好きだった母さん」

    プレシアに別れの言葉を言うと部屋を後にした。

    ・
    ・
    ・
    ・
    ・

プレシア「ちゃんと逃げたかしら・・・・」

    プレシアは落下しながらフェイトたちの無事を考えていた。

プレシア「それにしてもあの裕里くんと言う子・・・あの方にそっくりだったわね」

    プレシアは裕里を見て過去に出会ったある人物を思い返していた。

プレシア「顔なんかにあの方の面影があるわ・・・性格は正反対だけど・・・」

    『あん?ああ・・・プレシアじゃねえか』

プレシア「最低な人だったけど・・・でも初恋相手だったしね・・・まあかなわなかったけど」

    『おい!プレシア!!見てみろ!!俺の彼女の写真だ!!どうだ!!かわいいだろ?名前は美月って

     言うんだ!!それにしても名前、綺麗だよな・・・美しい月って書くんだぜ?な!綺麗だろ?』

プレシア「本当に人の気持ちが分からない鈍感野郎だったから・・・・そう言えば裕里くんも似たような感じだったわね・・・」

    『今日でお別れなんだ・・・て!!おいおいそんな悲しい顔すんな!!・・・また会いに来てやるよ!!だから笑え!

     お前は笑ってるほうがかわいいんだからから!!な!!』

プレシア「”心さん”に似てる男の子か・・・・きっと苦労するわよ?・・・・フェイト」

     そして目をつぶるプレシア。

プレシア「あの子たちが優しい世界で暮らせますように・・・・」

     そしてプレシアは永久に虚数空間を落下していく・・・はずだった。

     ドゴォォン!!

プレシア「!?・・・あれは!?」

     突如、目の前に現れるのは巨大な船・・・いや戦艦だった。

     そしてその戦艦はプレシアの真下に恐ろしい速度で移動するとプレシアをネットのようなものでキャッチする。。

プレシア「なんなのかしらねこれは・・・虚数空間では如何なるエネルギーも無効になるはずなのに・・・・ん?

     あれは・・・この船の名前・・・かしら?・・・・・・ヴァル・・・ハラ?」

     その”ヴァルハラ”言う名の戦艦はプレシアの前に来るとハッチを空ける。

     そこには一人の男が立っていた。

プレシア「あなたは・・・」

     プレシアはその男に見覚えがある気がした。

???「お久しぶりですねプレシアさん、十年ぶりです・・・いやあなたにとってはほんの少し前なのかもしれませんが」

プレシア「・・・なんのことを言っているの?」

     男はプレシアのことを知っているらしい・・・だがいろいろと意味深なことも口に出す。

     そして男はプレシアを見据え・・・こう言った。

???「”フェイト”と”アリシア”があなたを待っています」

プレシア「!? なんですって!?」
 
     フェイトとアリシアの名前が出てきたことに驚くプレシア・・・さらに男は続けてこう言った。

???「私は、時空守護機関八総統直属 特殊戦術部隊ガーディアンフォース ナンバー04”白銀の死天使”・・・あなたを

    お迎えにあがりました・・・」

     この出来事は裕里たちのまだ来ぬ未来へと続いていく事となる・・・・





    

     
                             魔法少女リリカルなのは 白銀の魔法使い


                             
                             第二十二話「やまない雨はない、なの」完







あとがき

ようやく終わった〜!!!!

第二十二話・・・はあ・・・苦労した。

何回も書き直しましたよ・・・はい。

そのせいで他の方の小説が次々に更新されていく中

まったく読むことが出来ず・・・ホントすいません。

それと一応、この後エピローグで裕里たちが部屋から出た

後のことなどを裕里の追想と言う形で書きたいと思っています!

本当ならば二十二話とエピローグは一緒に出したほうが言いいのかなー

とも思いましたが今回は別々と言うことで!

それといろいろ他にも・・・書かないといけないことがありますしね・・・

それでは次のエピローグでお会いしましょう!!


それでは〜
メンテ
Re: 白銀の魔法使い ( No.35 )
日時: 2009/05/19 00:22
名前: ふぁんふぁ 




「なのはちゃ〜ん、もう行くよ〜」

「ま、まって〜!」


    こんにちは。僕、空咲裕里です。

    実は今からちょっとお出かけするんです。

    一応、僕となのはちゃんと後もう一人の女の子と。   


「あ、裕里、すももが来たよ」

「ホントだ〜おはよ、すももちゃん」

「おはよう〜」


    すももちゃんです。


「なのはちゃ〜ん、すももちゃんも来てるよ〜!」

「ごめ〜ん、もう終わるから〜!」


    お寝坊さんななのはちゃんは現在、急いで支度中してます。

    それにしても……はぅ、平和です。


「(なんだか、数日前の戦いが嘘みたい)」

 
    あの戦いから既に数日。

    一応、ウイルスの活動も一時的でしょうが落ち着きジュエルシードに
    関しても全てではないですが一応、終わりを迎えてようやくいつも通りの日常に戻れました。


「お待たせ〜準備出来たよ〜」

「じゃあ早速、行こうか。たぶん、もう待ってるよ」

「……うん!」


    なのはちゃんの準備もようやく終わって今から公園に向かいます。


「じゃあ、行ってきます。桃子さん」

「行ってきま〜す」

「は〜い、行ってらっしゃい」


    あ、そう言えば。

    あれから、僕たちがプレシアさんの部屋から出て何があったか誰も知りませんよね?

    結構大変だったり他にもいろいろあったんですが、そうですね〜

    ここから僕の追想と言う形でお話したいと思います。




                            
                           


                             魔法少女リリカルなのは 白銀の魔法使い



                               エピローグ「晴れ渡る空から始まる」



                                     始まります







「くっ、崩壊が酷くなって来てる、急がないと!」

「フェイトちゃん大丈夫? おんぶしててキツくない?」

「ん、大丈夫」


    プレシアの部屋を出た裕里たちは美月たちと合流して崩壊する時の庭園から脱出するため急いでいた。

    崩壊の状況もかなり酷くなってきており一刻を争う状況であった。

    しかしそんな中、裕里たちの行く手を遮る者が現れる。


「グルルル……」

「……気をつけてウイルスだ」

「ええ!?」


    メルクリウスが忘れていったのかウイルスがまだ残っていたらしい。

    目の前に数体のウイルスが現れる。

    ランクは中級程度のようで獣型である。   

    
「エリュ……戦えないよね」

≪...It is all right≫
<……大丈夫です>

「大丈夫な分けないよ、それに僕自身あまり戦えそうにないし……」

「私も、もう魔力が殆ど無い……」

「私も空っぽかな……」


    裕里はエリュシオンの損壊状況とメルクリウスに与えられた傷、
    さらにルシファードモードで急激に削られた魔力のせいでまともに戦える状態では無く。

    たった二人で上級ウイルス数体を相手にしていたすももと撫子も体力的にも魔力的にも危うい状態であった。


「私は……」

「フェイトちゃん、無理はダメだよ?」

「……ん」


    フェイトにいたってはアリシアを背負っているのだ。

    いつもならば誰かに預ければ良い所だが、
    手が空いている裕里、撫子、すももは体力ではおんぶし続けるのは、まず無理。

    人形のユキちゃんは例外。

    と、来ればアリシアを必然的に護らなければならないので戦闘参加は不可能。

    身軽という部分でもフェイトが一番、適任なのだ。

    そうなってくると残っているのは二人。


「私たちで何とかするしかないね」

「そうだね〜まあ、どっちとも遠距離タイプっていうのがキツいにゃ〜」

「それは言わない約束なの」

「にゃはは、ごめんごめん。よ〜し! じゃあ全力全開でがんばるぞ〜!」

「それ私の台詞〜!」


    こうなる事は必然的だったりした。

    格闘が苦手な二人だけに近くに寄られたら……皆の不安が募る。

    だが意外にもそれはある人物たちの介入によって解決する事となった。


「炎は全てを焼き、新しきものを生み出す――焼き尽くせ!」

≪Explosion!≫

「ギャァ!?」


    現れるは炎の柱。

    それはウイルス全てを包み込み一瞬で焼き尽くした。


「ほえ〜……」

「にゃ〜……」


    唖然とその火柱に焼き尽くされていく自分たちが倒す予定だったウイルスを見つめるなのはとさくら。


「皆、大丈夫ですか?」

「うむ、どうやら無事のようだな」

「……その声は……まさか」


    裕里は聞き覚えがある声に振り向く。

    するとそこに居たのは――


「ふう、初めてだったけど意外と上手く出来たなオートクレール」

≪ja≫

「良かったです〜」

「だから心配ないと言っていたではないか、音夢よ」

「そんなこと言って『皆、大丈夫であろうか……心配だ』とか言っていたじゃないですか」

「なぁ!? そ、そのようなこと妾は言っておらん!」


    なんとアースラに待機していたはずの純一と音夢とアルの三人の姿が。


「……なんで三人がここに?」

「それは私から説明するわ」


    当然の疑問を述べる撫子の呟きに答える声が。

    全員が聞こえた方を向く。

    そこに居たのはいつも大体こんな丁度、良いタイミングで現れる天城美月であった。


「はあ……もしものことがあったらどうしようか思っちゃった……ホント良かった」


    とても心配していたのかとろけきった顔をして裕里たちの無事を喜んでいるようだ。


「それで、何でお兄ちゃんたちがここにいるんですか〜?」

「おっと、そうだったわね、あまりの嬉しさに忘れるところだったわ」


    さくらの質問の声にはっとなって美月説明を始めるのであった。

    
     
    
    …




「つまり……心配になって、いてもたってもいられなくなりアルちゃんの力を使って強制転移してきたと?」

「そう言うこと」


    一通りの説明を受けた裕里たち。


「た、助かったよ。ねぇ、フェイトちゃん!」

「え!? う、うん、ありがとう……あはは」

「まあ、ピンチだったしね〜……さくらちゃん」

「久々の出番、奪われたのは許せないけどにゃ〜……なのはちゃん」


    裕里たちは呆れていいのか素直に助けてくれたことを感謝していいのか分からず乾いた笑みを浮かべる。

    唯一不満があるのは出番を奪われたなのはとさくらの二人だ。


「もう、ここはビシッと怒ってあげないとダメよ! まったく無茶なことするんだから……」

「うぐ、すいません」

「ご、ごめんなさい」

「……ふん」


    と、純一と音夢が素直に謝る中一人鼻で笑ったアルを見てニコリと笑顔を向ける美月。

    ちゃんと笑っているのだがその笑顔から発せられるプレッシャーは怒気に満ちており凄まじかった。


「アル?」

「ひぃ! ごめんなさい、ごめんなさい!」


    悲鳴を上げるアル。

    向けられた殺気がよほど怖かったらしくガタガタ震え始める。

    美月にはさすがのアルもやはり敵わないようであった。

    
「ふう、まあ良いよ。もう、済んだことだしね。それにしても……」

「?」

    
    そんなアルにため息を吐く美月はふとまわりを見渡し首を傾げた。

    と、裕里の耳元に顔を近づけ、


「裕里くん……プレシアさんは?」

「っ!?……それは」


    既に何かを感づいているのか裕里にだけ聞こえる声で美月はプレシアのことを聞いてきた。

    苦い顔をして裕里は何と伝えればいいか迷う。

    今はまだ言葉にしたくなかった。しかし、自分には伝える義務がある。

    そう考えて裕里が口を開こうとすると美月が手で制した。


「いいえ、ごめんなさい。今は何も言わなくていいわ。それよりも早く帰らないと……ね?」

「……はい」

    
    そして優しい笑みを作ると裕里の頭を撫でてくれたのだった。

    


    …




    それからはクロノくんたちと合流してすぐに美月さんの心奏によって脱出しました。

    純一くんたちが来てくれたことには驚きましたが助けに来てくれたことはとっても嬉しかったです。

    と、こうして脱出できたわけですが、その後もいろいろと問題がありました。

    と言いますかこれからがさらに大変だったんです。

    まずは、アリシアちゃんのことでした。




    …




「つまりアリシアちゃんを管理局に預けてしまうと、どうなるか分からないと?」

「……ああ」


    裕里はクロノにアリシアの今後について話を聞いていた。

    なんせアリシアは腐らないようにしてあったが死人に変わりはない。

    なのでアースラに置いておくわけには行かず管理局側に預けるにしてもあのプレシア・テスタロッサの娘だ。

    何をされるか分かったものではない。


「正直、僕や母さんの力じゃ、どうしようもないのが現状だ。そこで頼みがある……美月さんに」


    クロノは美月の方を向いた。


「ま、なんとなく予想していたけどね」


    美月は不意に立ち上がると、
    今まで一言も発さず心配そうに話を聞いていたフェイトの頭を優しく撫でる。

    困惑したまま頭を撫でられ続けるフェイトであったが次第に安心したような顔になった。


「分かりました、じゃあ私が責任を持って預かりましょう……だから心配しないでフェイトちゃん」

「……ありがとうございます」


    フェイトは美月に向かって満面の笑みを浮かべた。




    …




    アリシアちゃんのことに関しては何とか決着がつきました。

    まあ最終的には美月さんがどうにかしてくれたんで良かったです、さすが美月さんと言うところですね。

    何かと不思議な人でさらに僕のお婆ちゃん……実感が湧かないです。

    と、その話は置いておいてどんどん行きましょう、

    次はヘルメスさんのことです。




    …




「は〜い、今日から一人家の住人が増えま〜す」

「は?」

「うにゃ?」

「へ? と言っても僕はこの家の住人じゃないですけど」


    それは事件が終わり各自自分の家に帰った二日後。

    美月に見せたいものがあるの、と呼び出された裕里は朝から天城家に来ていた。

    どうやらその見せたいものがようやく登場するらしい。

    得意げな顔の美月はリビングの扉を勢いよく開いた。


「どうぞ〜」

「う、えっと……その……お世話になります」

「「「へ?……ええええ!?」」」


    そこに居たのは何と敵対していたはずのウイルスの一人、ヘルメス。

    まさかの人物の登場に驚く三人。当然であった。




    …




    驚きました。

    まさか美月さんがヘルメスさんを家に連れてくるなんて……と言うか今まで何処にいたの?

    ま、まあ、美月さんはいろいろと謎な人なのであまり突っ込まない方がいいと思います。怖いし。

    それに僕が『逃げちゃったりしないんですか?』って聞いたら『大丈夫よ、逃げられないから。逃げたら……ふっふっふ」

    ってまるで新しいおもちゃでも見つけたかのような顔をして……そのときのヘルメスさんの表情が頭から離れません。

    何したんだろう……きっとろくでもないことだけど。
    
    あっと次も話さないといけませんね。

    一応これで最後、心奏と奏者のことです。

    


    …




「ああ!」

「な、何ですか?」


    ある日のこと突然、美月は大声を上げた。

    驚いて後ずさる裕里。


「裕里くんに心奏の事とか話すの忘れてた」

「ああ〜……僕も忘れてました」

    
    そして美月の説明が始まる。


「まあ説明と言ってもパラケルススたちが話してくれたことが殆どだから……
 う〜ん、他にあるとすれば奏者は裕里くんの世界の人間、さらに特級ウイルスしかなれないと言うことぐらいかな?」

「え? 僕の世界の住人しか使えないんですか?」

 
    裕里は気になった単語を聞き返す。

    自分の世界の人間もしくは特級ウイルスしか使えないとは思っていなかったからだ。


「ええ、そうなの、あの世界の住人にしか発現しないのよ。まあ何故かとかは分かってないんだけどね」

 
    美月自身理由は分からないらしく困ったような顔をする。


「あ、そう言えば僕から聞きたいことが……心奏って使いすぎるとどうにかなるんですか?」

「ん? ええ、まあそうだけど……なんでかな?」


    裕里はメルクリウスとの戦いのことを美月に話した。

    あの時メルクリウスは心奏をあまり連発はしてこなかった。
  
    もし連発されていたら自分は一溜まりもなかっただろう。

    故にあれがずっと引っかかっていたのだ。


「ふむ、なるほどね……」


    そして美月はうんうん、と頷いた。


「……まあそうよ、心奏はよほど強い奏者じゃないと
 連続発動は出来ないの。あまり使いすぎると心を壊してしまう恐れがあるから」

「心をですか?」


    意外な言葉に裕里は思わず聞き返した。

    心を壊す。

    まさかそんな答えが帰ってくるとは思っていなかったのだ。


「ええ、私は直に心が壊れた瞬間見たことあるけど、悲惨以外の何ものでもなかった……」


    美月は嫌な場面でも思い出しているのか顔をしかめる。

    その場面を見たことは無いが、美月の表情からよほどの事だと言うのは容易に想像出来た。


「まあ裕里くんは今の所は気をつけなくて
 いいかもだけど注意はしておいてね。いつ奏者として覚醒するかは人それぞれだから誰にも分からないから」

「はい、肝に銘じておきます」

    
    裕里は美月の言葉を肝に銘じておこうと誓った。

    

    
    …
 



    心奏。

    それはあまりにも強大すぎる力。

    まだ自分の魔力もまともに制御できない僕が覚醒するのは

    正直、ご免被りたいのですが……でも、もう簡単には逃げないと誓いましたからね。

    それに早く制御できるようになってお父さんにもお母さんにも春風ちゃんにも会いたいですし。
 
    でも、制御できるようになるってことはなのはちゃんたちと――


「裕里くん!」

    
   

    …




「へ?」

「裕里くん、どうしたの? さっきからぼ〜として……もう公園着いたよ?」

「大丈夫?」


    気がつくとそこは海鳴公園。心配そうになのはとすももが裕里を見つめている。

    どうやら追想している間に既に目的地にたどり着いていたようであった。

    
「あはは〜大丈夫だよ。あ、そうだフェイトちゃんは何処かな?」


    とりあえず手を振って大丈夫だと伝えると辺りを見渡す。

    と、少し離れたところに見慣れた金髪のツインテールの少女を見つけた。

    後姿で直ぐに誰だか分かった。


「フェイトちゃ〜ん!」


    なのはが呼ぶと少女フェイトはこちらを振り向き微笑んだ。

    裕里たちはフェイトに駆け寄る。


「ごめんね、待たせちゃったかな?」

「ううん、裕里。私も今、来たところだよ」

「そうなんだ〜……待たせなくて良かった」

    
    たぶん嘘だろうな、と思いながらもあえて言葉をあわせておくことにした。

    フェイトなら約束の時間よりも早く来るだろうと考えたのだ。

    もしかしたら一時間前には来ていたかも知れない。

    それに見た感じでもついさっき来た風には見えなかった。


「良かった〜。私、寝坊しちゃったから一杯待たせたらどうしようかって思っちゃった」

「(あはは……)」


    しかし鈍いのかフェイトの言葉を鵜呑みにするなのはを裕里は内心で苦笑する。


「それにしても……フェイトちゃん不安じゃない?」

「? 何が?」

「だってフェイトちゃん、これから裁判受けないといけないんだよね?」

「うん」


    それは裕里がフェイトに会ったらまず聞いてみたいことだった。

    フェイトはこれから裁判を受けることになっている。

    やはり、この事件に関わり管理局側の敵として対立したフェイトにはお咎め無しとは行かなかった。


「だけど私は助かったのに、フェイトちゃんが裁判受けることになるなんて……」

「それは仕方ないよ……すももは次元漂流者だし。ただ協力してただけなんだから」


    そう、すももは無罪と言うことになった。

    本来なら次元漂流者とは言えど少なからず犯罪に手を貸したのだから何も無しとは行かないのだが


「美月さんの口利きらしいけど……やっぱり凄い人なんだね美月さん」


    裕里の呟き通りすももを無罪にしたのは美月だった。

    美月がすももならギリギリで助けられる、とすももだけは管理局側に話を付けなんとか無罪としたのだ。

    守護機関と言われる組織のトップの一人だそうだが流石の権力と言える。


「でも、良かった……」

「え?」
    

    フェイトの唐突な言葉に裕里は呆気にとられる。


「もし来てくれなかったらどうしようかって思った……」

「大丈夫。フェイトちゃんのお願いだもん、絶対来るよ」

「うん、私も」

「もちろんだよ」


    裕里の言葉に頷くなのはとすもも。

    フェイトは、それを見て嬉しそうに微笑んだ。


「今日ね……来てもらったのは、言いたいことがあったからなんだ」

「言いたいこと?」


    裕里が聞き返すとフェイトは頷き――なのはの方を向いた。


「最初に言いたいことはお返事……貴女に」

「ふえ? 私に?」

「あなたが言ってくれた”友達になりたい”てこと」

「あ……うん!」

    
    なのははフェイトの言葉にはっとした表情になる。


「私でいいなら、私に出来るならって……だけど私、どうしていいか分からない」

    
    友達なんて出来たことがない

    フェイトにはどうすればいいか分からないのだ。


「だから教えて欲しいんだ……どうしたら友達になれるのか」


    フェイトはとても辛そうな表情となる。

    だが、そんなフェイトの質問に初めに答えたのは、なのはではなかった。


「それは……酷いよ」

「え?」

    
    突然、悲しい顔で呟いたすももにフェイトは驚く。


「私、初めてすももって名前で呼んでもらったときから友達だと思ってるよ?」

「……すもも」

「それにフェイトちゃんは誰かと友達になる方法……もう知ってるはずだよ」

「私が……もう知ってる?」

 
    裕里の言葉に疑問符を浮かべるフェイト。

    そんなフェイトになのはは優しく答えた。


「初めは名前を呼ぶだけ……それだけでいいの。
 君とかあなたとかそう言うのじゃなくて、はっきり相手の目を見て、はっきり相手の名前を呼ぶの」

「……」

 
    なんと呼んでいいのか言い淀んでいるフェイト。

   
「私、高町なのは、なのはだよ」

    
    なのはは苦笑しつつも自分の名を告げる。

    フェイトは恐る恐るなのはの名前を呼んだ。


「な……のは?」

「そう」

「な……の……は」

「うん」

「なのは」

「うん!」


    涙声になりながらもフェイトの手を取るなのは。


「ありがとう……なのは」

「……うん」


    頷くなのは今にもあふれ出しそうなくらい目に涙を溜めていた。


「君の手は暖かいね……なのは」

「うぅ……ふえ」


    そしてとうとう我慢出来なくなったのか流れ出すなのはの涙。

    フェイトはなのはの涙をぬぐいながら自身も目に涙を溜めていた。


「少し分かったことがある……
 ううん前から分かってたんだ……友達が泣いてると自分も同じように悲しいってこと」

「フェイトちゃん!」


    なのはは言葉を聞いてフェイトに抱きつく。


「私には、もういたんだね……すもも……それに裕里も」

「えっぐ、ひっく……うん!」

「……うん」


    今までことの成り行きを見守っていた裕里とすももの方を向くフェイト。


「私には友達いたんだ……そしてなのはも友達」

「うんうん!」


    フェイトもいつしか泣きながらなのはを抱きしめている。

    だが、そんな優しい時間は長くは続かなかった。


≪boss,it is time≫
<ボス、そろそろ時間です>   

「……そろそろみたい」


    とうとうお別れの時間が来てしまったようだ。

    残念そうに俯く裕里たち。


「……」

   
    と、何を思ったかなのはは髪を結っていた桜色のリボンを解き始める。

    それをフェイトの前に差し出した


「思い出とかに出来るもの……こんなのしかないんだけど」

「じゃあ……私も」

   
    それを見たフェイトは自分の黒いリボンに手をかける。

    フェイトも同じようになのはにリボンを渡す。


「ありがとう、なのは」

「うん、フェイトちゃん」


    二人は大切そうにリボンを交換し合うと微笑みあった。


「フェイトちゃん……私も」

「え?」


    その姿を眺めていたすももはフェイトにあげる物を
    何か用意していたらしくポケットから透明で筒状の中に何かの液体が入っている小さなペンダントを取り出す。

    それをフェイトの前に差し出した。


「これ、お守り」

「っ!? これってもしかして星のしずく?」


    フェイトは中に入っている綺麗に光る液体に見覚えがあったようだ。

    星のしずく。

    それはステラスピニアと呼ばれる人たちにしかすくうことが出来ない空から降ってくる特殊な液体であった。

    事前に話を聞いていたのかフェイトは頭を横に振る。


「ダメだよ、こんな大切なものもらえない」


    もちろん受け取れない、と返そうとするフェイト。

    しかし、すももはそんなフェイトの手をやんわりと押し返した。


「ううん、貰って……星のしずくは一つじゃないし、また集めればいいんだから」


    フェイトの手に星のしずくを握らせるすもも。

    目を閉じた。
   

「流れ星じゃないけど、フェイトちゃんが元気でありますように……」

「……すもも」


    すももはフェイトの手を握ったまま願い事をする。

    まるで流れ星にお願いするように、静かにすももは呟いた。


「ありがとう……すもも」

「元気でね」

「ん」

    
    感動的な場面だ。

    しかし、その様子を見ながら頭を悩ませているのが一人。


「(やばい……僕、何にも用意してない)」


    裕里である。

    まさかこう言う展開になるとは思っておらず何にも用意してなかった裕里。

    隣ではなのはが『次は裕里くんの番だよ』的な視線を送ってきているが……正直、気まずい。

    だが何にも用意してなかったことの謝罪と送り出す言葉ぐらい言おうと前に進み出る。


「……フェイトちゃん」

「裕里?」


    いつの間にかすももと離れていたフェイトは呼ばれて裕里の方を向く。

    綺麗な瞳に思わず言葉を詰まらせるが、自分の過失なのでとりあえず頭を下げた。


「ごめんなさい」

「へ?」


    いきなりの謝罪に呆気に取られるフェイト。


「僕……フェイトちゃんにあげるもの何にも用意してなかった」

    
    何か手元にあるものは……、と色々探すがあるのはエリュシオンくらいだ。

    裕里はエリュシオンをじっと見つめる。


≪...king?≫


    エリュシオンは少し怒ったような声で裕里を呼ぶ。

    慌てて目をそらすとフェイトの方を向いた。


「何か無いかな〜……う〜ん」

「そんな、いいよ。こうして来てくれただけでも十分だから」

「でも〜……あ、じゃあこうしよう。フェイトちゃん何かして欲しいこととか無いかな?」

「……して欲しいこと?」


    裕里がそう提案を出すとピクッと反応するフェイト。

    じっと裕里を見つめ始めた。


「……どんなことでも?」

「ふぇ? うん、僕で出来ることならなんでもいいよ」


    特に何も考えず頷く。

    
「じゃあ、お願いがあるんだけど……そこから動かないでくれるかな?」

「ん? うん、分かった」

  
    と、フェイトはトコトコ歩き出すと裕里の前に立った。

    何するんだろ? と裕里は疑問符を浮かべる。


「じゃあ……これは私からのお礼の意味も込めて、えい」

「ほえ?」

「「おー似合ってる」」


    可愛らしい掛け声と共に頭を触られる裕里。
  
    その光景に声を上げるなのはとすもも。
 
    何事かと二人の方を向くとなのはとすもも何故か呆然としている。

    フェイトの方を振り向くと笑顔だ。

    裕里は何となく頭に触れてみる。

    それが何なのかは直ぐに理解できた。
    

「えっと……リボン?」

「このリボンなら裕里にも似合うかと思って……ふふ、かわいいよ」

「あ、ありがとう……で、でも、貰ったの僕の方じゃない?」

「この姿を見られただけでも、私は本望かな」

「そ……そう……」


    純粋なフェイトの良心が痛かった。

    いつもであれば嫌がる裕里も流石に何も言えなくなる。

    と、フェイトはくるりと方向転換する。

    裕里たちから少し離れると足元に魔方陣が。


「また……会おうね」


    フェイトは光の中に消えていった。


「そんなに……似合ってる?」

 
    二人に尋ねてみると勢いよく頷かれた。

    そこまで似合っているのなら見てみた気もするが……と、タイミングよくなのはから鏡が差し出された。

    自分の姿が鏡に映る。

    そこには、大きな真紅のリボンでポニーテールになっている少女が一人自分と向かい合っているではないか。

    思わず、可愛いと思ってしまうほど可憐な姿。

    ……と言うか自分以外の誰ものでもないのだが。

        
「認めたくない、認めたくない、認めたくない、認めたくない、認めたくない」

「……強く生きて欲しいの」

「……ごめんね、可愛いのは仕方ないんだよね」


    なのはとすももに肩を叩かれる。

    思わず泣きそうになる裕里。

    そして、そんな裕里にさらなる追い討ちをかけるように、
    
      
「いっそのこと……認めるのはどうかな?」

「すずかちゃん、衣装ケースは準備万端ですよー」

「へー……リボンも中々いいじゃない」

   
    聞いたことのある声が。

    顔面蒼白になって裕里は声がした方に振り向いた。

    そこには……すずかとファリン、アリサの姿が。

    もう、理解していた。

    自分のこれからの運命も。

    逃れようとしても無駄だと言うことも。


「ふふ……新しいお洋服を用意したの」

「……逃げてもいいですか?」

「逃げてもいいですけど〜……追いかけますよ、何処までも」

「ですよねーファリンさんー」


    絶望の淵に立たされる裕里。

    しかし逃げられないと分かっていてなお、己の尊厳のために……。


「僕は自由を勝ち取るんだ〜!」


    少年は逃げた。命がけで。


「あら……無駄なのに」

「もー全くですね」


    そんな逃げる裕里を見てすずか朗らかにファリンは元気よく、、
    笑みを浮かべるといつもの姿からは考えられないような速さで裕里の後を追いかけ始めた。


「「「……」」」


    呆気にとられながら三人を見送るなのはにすももとアリサ。


「……そう言えば自己紹介してなかったわね、アタシはアリサ・バニングスよ」

「あ、はい……秋姫すももです」

「じゃあ呼び方はすももでいいかしら?」

「うん、じゃあ私はアリサちゃんと呼ばせて貰います」


    何故だか自己紹介を始めるアリサとすもも。

    なのははと言うとちらりと裕里たちが走っていったほうを振り向き、


「ここからなら、まだ追いつけるはずなの……ダッシュ!」


    なんと三人を追いかけ始めたのだ。

    アリサとすももはそれを見送りつつため息を一つ吐くのだった。

    一方、逃げる裕里はと言うと……


「うわぁ〜ん、追いかけてこないでよ〜!」

「私、狩猟ゲーム好きなんだ」

「ちょっ!? 狩猟!?」


    必死の形相で走る続ける裕里。しかし段々と距離が縮まっていた。
   
    すずかは凄まじい運動神経の持ち主だ。

    ファリンは知らないが見たところすずかとそれほど変わりないように見える。
  
    さすが月村家のメイド。

    いくら鍛えている裕里と言えどあの反則気味な運動神経には敵わないのだ。

    剣を持てば別だが。    

    と、その時だった。目の前に見覚えのある少女が立ち止まった。


「……」

「あ、アルちゃん?」


    それはアルであった。

    何故かアルは裕里を睨みつけている。

    そして息を大きく吸ったかと思うと、   


「裕里! お前は妾の玩具だ!」

「ちょっ! ええ!? 何そのカミングアウト!? しかも、今!?」

「……お前を、苛めたかった。ずっと」

「神妙な顔つきで何、言ってるの!?」


    裕里は突然のアルの叫び声に驚く。

    そして裕里は気がついた。

    目の前に走っていっても危険だということに。

    つまり早い話が道を塞がれてしまい逃げるに逃げれなくなってしまったと言うことだ。

    
「あら? 裕里くん、どうかしたんですか?」

「ん?」

「朝からランニング〜?」


    と、アルに続き音夢、純一、さくらの姿も。

    どうやら散歩をしていたらしい。


「お願い! 助けて!」


    裕里は必死に叫ぶ。

    だが音夢たちは裕里の後方を見て顔を青ざめると瞬時に物陰に隠れた。


「何だかよく分からないが頑張れー」

「人間やれば出来ますよー」

「裕里くん男の子だからにゃー」

「何その理屈!?」


    早速、純一たちに見捨てられた裕里。

    どうしようかと悩む。

    しかし時間は悩むことすら待ってはくれなかった。

    裕里は肩に手をかけられた。嫌な汗が背中を伝う。


「じゃあ……行こっか?」

「うっ!」

「最近は抑えてたつもりだったんですけど……そんなリボン見ちゃったら……」

「うう、何でタイミングよすぎるんですかー」


    裕里はすずかとファリンにその細腕からは考えられないような力で哀れ引きずられる。

    万力のような力は解くことすら出来なかった。


「イヤ〜助けて〜!」

     
    必死に助けを求め手を伸ばす。

    と――手を掴まれた。

    期待を込めた視線を前に向ける。するとそこに居たのは、アル。

    とりあえず裕里は悲観に暮れた。どちらにしろ逃げられないこの現状に。

    着せ替え人形にされるか玩具として遊ばれるか。

    ある意味、極限の選択である。


「待てぇ、すずかぁ! コイツは妾の玩具だと言ったであろうが!」

「……さっきから僕の扱い何気に酷いよね、皆」

   
    アルが裕里の手を引っ張り出す。

    しかし、それを遮る者が。


「待ってアルちゃん。……大丈夫だよ」

「む?」


    もちろんすずかであった。

    一瞬、アルは身構えるがすずかは手を差し出す。

    そしていつものような優しい笑みを浮かべて、    


「アルちゃんは、裕里くんを下僕にして遊んでていいから……一緒に行こ?」

「急ぐぞ裕里! さっさと歩けぇ!」

「痛い痛いよ! アルちゃん! しかも乗せられてるよぉ!」


    問答無用で連行されることになった。

    アルに足で蹴られながら裕里の目には既に涙が溜まっている。

    ずるずる引きずられていく様はまさに某子牛が売られていく歌のようだ。


「おお〜何だか面白そうな事をやっているぞハズキ」

「……関わりあいになりたくないよ、ダディ」

    
    何処からか現れる杉並、ハズキ。

    裕里を見て一方は笑い、一方は引いている。


「私はあれに負けたのか……」

「……どんまい」

「アル……ふふふ、教育が実ってきたわね」

「はぁ、はぁ、はぁ……もう……走るの無理なの……がく」


    更にはヘルメス、撫子、美月まで。

    しかし皆、裕里が連れ去られていく様子を見ているだけで助けてはくれないらしい。

    なのはの方は追いついたは良いが、どうやら限界のようで地面に突っ伏す。

    ……誰も助けてくれない。

    裕里はその現実に絶望しながら――最後に叫んだ。


「誰か助けてぇ〜!」

                          
    




                                魔法少女リリカルなのは 白銀の魔法使い


                            

                                           fin






あとがき


ふっふっふ〜ようやく第一部終わりました。

長かったような短かったような……まあ短かったですね。

ですが実はすでに第二部も構想は出来上がってます。

と、言うかほとんど続きなんでそれほど変わらないと思いますが、どうなることやら。

さて……それではみなさん。

駄文で読みづらい私の小説をここまで読んでくださり、ありがとうございました。

さて一応、次はサイドストーリーを書こうと思っているので次は

そこでお会いしましょう〜


それでは〜


(※後に少し修正しました)
メンテ
Re: 白銀の魔法使い ( No.36 )
日時: 2009/05/23 01:56
名前: ふぁんふぁ 

    ジリ・・ジリ・・


「・・・・イヤなの分かってますよね?」


    こんにちは?かな?僕は空咲裕里です。

    いきなりですが誰か助けてください。

    
    ジリ・・ジリ・・


「いいえ〜分からないわ♪ねえすずかちゃん♪」


    ジリ・・ジリ・・


「はい分かりませんね〜♪裕里くん、観念♪観念♪」


    ジリ・・ジリ・・


「裕里くん!これ着て欲しいです!あとこれとこれとこれと―――――」

「にゃはは・・・」

「いつも大変ね・・・」


    こんな感じでしょっぱなからピンチな僕です。


「逃げ場はないのよ?裕里くん?」


    ジリ・・ジリ・・

    はいそうですね・・・


「裕里くん・・これはもはや運命だよ♪」


    ジリ・・ジリ・・

    そんなことに運命語られても・・・


「そうですよ♪と言うか裕里くんの女装が似合いすぎるのがいけないんですよ♪・・・あ!あとこれも着て欲しいです♪」
   

    ジリ・・ジリ・・

    しかもそこで僕のせい?僕が悪いの?て言うかファリンさん・・・何着持って来てるんですか?


「はあ・・・・」


    いつもながらトンデモなお願いと言うか・・・相変わらずと言うか・・・

    僕は断固として拒否を続ける構えですが――――


「おお!見てみろ朝倉!!My同志が何か楽しそうなことやってるぞ!!」

「またか・・・裕里も災難だな」

「にゅふふ・・・(ぜひ見たい!!)」

「ユーノくん・・・顔が怖いです」

「・・・女装か・・・見てみる価値はありそうだな(わくわく)」

「おもしろそうだね〜!!」


    なんかわらわら人も増えて来てるし・・・・僕には切り抜ける方法が見つかりません・・・・


「こうなったら・・・強行手段に出るわよ!!」

「「アイアイサー!」」

    
    ホントどうしよ・・・・






                         

                               魔法少女リリカルなのは 白銀の魔法使い


                          
                        
                          外伝「女装・・・一度みんなやってごらん?癖になるかもよ?」




                                        始まります








「ちょっとぉ!!い〜や〜!!!!や〜め〜て〜!!!!!!!」

    
    とうとう捕まってしまった裕里・・・やはり逃げ場なんてなかった。


「よいではないか♪よいではないか♪」

「は〜いズボンを脱ぎ脱ぎしましょうね〜♪」


    すずかに羽交い絞めにされ・・・尚且つズボンにセットされるファリンの手。


「はいは〜い♪お着替えシーンは覗いちゃダメよ〜♪」

「ええ!!そんな〜!!」


    そこで美月は着替え終わるまで見せたくないのか裕里の前にカーテンを置く。

    一人だけ嘆くユーノ。


「いにゃあ〜!!!!!!」


    そして響き渡る悲鳴・・・そしてそれと同時に流れ始める謎の音。

    ドン!!ひゃん!!ゴン!!ヒュン!!パンツぬがさないで〜!!!ピロリロリロ!!ダメ〜!!チャンチャン!!

    シャンシャン!!しょれダメ〜!!リンリン!!ダメにゃの〜!!ワンワン!!うにゃ〜!!チュンチュン!!

    ガオー!!みぎゃ〜!!ホ〜ホケキョ!!ブヒ〜!!ゆるして〜!!ウホウホ!!いにゃ〜!!ダンシング!!


「なんだろう・・・この音?」

「う〜ん・・・なにかしら」  

「途中から・・・明らかに生物の鳴き声だったよね?」

「うん」


    アリサとなのはははいきなり聞こえてきた妙な音に顔を見合わせあう。


「と言うかみんな、気づいてやろうぜ・・・・ところどころにあった裕里の悲鳴に」


    だがその音の合間合間にあった裕里の悲鳴に誰もツッコまないことに純一がツッコんだ。


「え?アジフ、さくらちゃん、杉並くん・・・悲鳴なんて聞こえましたか?」

「さ、さあな・・・(わくわく・・・)」

「ううん?聞こえなかったよ?・・・ダンシングって何?」

「うん?ああ聞こえてないな♪」

「嘘つくな」


    どうやら裕里の悲鳴に気づいたのは純一と杉並だけらしかった。


「・・・何も聞こえなくなったな」

「うむ」

    
    そしてとうとう聞こえなくなる裕里の悲鳴にいぶかしむ純一と杉並・・・だが未だに目の前ではカーテン越しに

    服のすれる音が聞こえてくる。

    ごそごそ!パサ・・・がさがさ!シュル・・・


「・・・・ごく」


    ――――そのときだれかが息を呑んだ。

    それは何故か?答えは簡単!カーテンに映る裕里のシルエットを見たから♪


「なんか・・・いけない気持ちになってくるね」

「・・・同感よ」


    微妙に大人の階段を上ったなのはとアリサ。


「これはこれで・・・いいかも///」

「あ〜・・・・・///」


    喜びをかみ締めているユーノとアジフ。


「・・・兄さん見ちゃダメです!!」

「お兄ちゃん見ちゃダメ!!」

「うお!!何するんだ!!!」

「そうよ〜!!子どもにはまだ早いわ〜!!!」


    純一の目を隠す音夢とさくらと何故か女性口調の杉並。

    ・
    ・
    ・ 
    ・
    ・

    そしてそんな女装タイムから十分後・・・人は何かになれる!!!ことを全員が知ることとなる。


「は〜い!!裕里くん登場で〜す!!」

「みんな!!活目せよ〜!!!!」

「あああ///・・・裕里くんはやっぱりどんな服でも似合うな〜///」


    美月、すずか、ファリンの3人は満足する服に着替えさせることが出来たのか

    満足そうにカーテンを思いっきり開く。

    そして・・・そこから出てきた裕里の服装とは・・・・


「えぐ!・・・ひぐ!・・・うえ〜ん!!見ないで〜!!!」


    大泣きしている裕里・・・だがその服装は・・前だけミニスカの巫女服姿!!

    その姿には全員絶句・・・そして男女関係なく顔を赤くする。そりゃそうだろうさ・・・なんせ目の前にいるのは

    男女関係なく「かわいい」と絶対思ってしまうほどの美少女――――たぶんこのときみんなの心は「守ってあげたい」

    とシンクロしたことだろう。


「これまた・・・すごいの///」

「ぐう!いけない・・・いけないわアリサ・・・心を落ち着かせるのよ!!」

「嫁!!!僕の嫁!!」

「ユーノの分際で何が「僕の嫁」だ!!死ね!!死んでしまえ!!!と言うか妾の嫁だ!!!!」

「アジフ!?矛盾してますよ!?」

「裕里・・・すまない・・・思わず見とれちまったよ」

「お兄ちゃん・・・変態」

「ふふふ・・・は〜っはっはっはっは!!!!!空咲ぃ!!!」

    
    そんな中何故か裕里の前に進み出てくる杉並。


「ふぇ〜・・・え、えう? な、なんですか?」


    ものすごい気迫の杉並を涙目の上目遣いで見る裕里。


「がはぁぁぁあああああ!!!?」

    
    ブシュ〜〜〜〜〜〜〜!!!!!
    
    あまりの破壊力に杉並は鼻血を噴水のように放出・・・・杉並撃沈。

    
「ふわあ!!!」


    驚く裕里は後ろに後ずさる・・・その勢いでめくれそうになるミニスカ、

    だが何故かギリギリで見えることはない。


「み、美月さん!!あれは・・・ま、まさか!?」

「ええ・・・そうよすずかちゃん・・・あれが伝説の――――”何故か見えない中身”!!!!」

「ああ・・・いいですね・・・いい眺めですね・・・」

 
    その光景に悶えまくっている元凶3人たち。


「ぐうう・・・まだだ!!俺はこんなところで終われんのだ!!!!」

「あ、起き上がった」


    撃沈していた杉並はなんとか気力で立ち上がる。

    そしておもむろに裕里の前にやって来ると肩に手を置いた。

 
「??? どうかしたんですか?」

「・・・空咲」

    
    杉並は目を瞑ると・・・突然、カッ!目を見開く。


「ちょ〜とモロッコまで行ってきて肉体かいぞ?!「死ね!!」ごはぁ!!!」

「うわ!?・・・なに!?え?ハズキちゃん?」

「・・・・・」

  
    杉並の言葉をさえぎるように現れたのは謎の少女ハズキ。

    
    ガシ!!

「ダディ帰るよ」


    ハズキは蹴り飛ばした杉並に近づくと首根っこを掴み引きずっていく。


「まて!まってくれ相棒!!まだMy同志に話があるんだぁ!!!」

「うるさい!!黙ってろ!!!」

    ゲシッ!

「ぎゃふん!!」

 
    さらにハズキは杉並の頭を蹴り飛ばし黙らせると・・・何故か裕里を睨む。


「ダディは・・・・渡さないんだからね!!!!」

「へ?」

「なんて言ってみると・・・萌える?」

「はえ?」

   
    意味が分からないハズキの言葉にはてなマークしか出すことが出来ない裕里。

    基本的に杉並の相棒と言う時点でこんな感じになるのは仕方ないだろう。   


「・・・相変わらずノリが悪い」

   
    ハズキはそう言い残すと杉並を連れて去っていったのだった・・・・


「・・・・なんだったんだろう」

「あんまり気にしないほうがいいと思うよ?」

「あたしもそう思うわ」

  
    なにがしたかったんだろう?と疑問を抱く裕里に気にしないように言うなのはとアリサ。

    たぶん気にしたらいろんな意味でおしまいだと思う。


「・・・・・・」

    
    と・・・そのとき誰も気づいていなかったが部屋の隅から現れる灰色の生物。


「・・・・チュ〜」


    それはねずみ・・・美月さん家の住人?NO.6 ねずみのタマちゃん(1歳と3ヶ月)ちなみに

    天敵はうたまるだ、なんせ食料ですから。

    そしてその存在は美月とうたまるだけが知っているタマちゃん・・・実は今回の裕里の女装大会に

    おいて重要な任務を美月に与えられているのだ。

    その任務とは――――


「(タマちゃん!・・・今よ!!今こそ裕里くんの服の中に潜入するのよ!!!)」

「チュ!」

   
    敬礼するタマちゃん・・・とんでもない任務だった。

    ちなみにタマちゃんは美月の実験によって高い知能と多少の魔力を持っており念話が通じたりする。

    
「・・・・・・チュ〜」

    タタタタ!
  
「そろそろ服ぬいでもいいですか?」

「ダメ!!裕里くんは自分の意思で服を着替えちゃダメ!!!」

「そうです!!すずかちゃんの言うとおりです!!!」

「ええ!?」

    
    近づいていくタマちゃん・・・まったく気づいていない様子のソファーに腰掛けている裕里。

    そしてタマちゃんはソファーの端に飛び乗ると


「チュ〜」

    ピョン!

「ひょわあ!!!」

「にゃ!!どうしたの!?裕里くん!!!」

 
    裕里の服の中に・・・潜入した。

    そして服の中を移動しまくるタマちゃん。


「チュ〜〜〜〜〜!!」

    ごそごそ!

「ほにゃあ!なんか服の中に入って来てる〜!!く、くしゅぐったい!!くしゅぐったいよ〜!!!」


    裕里はそのくすぐったさに堪らずソファーから転げ落ち服の中に入ったタマちゃん
     
    を取り除こうとする。


「チュウ!」


    だがそんな裕里の手をたくみに避けるタマちゃん。
     
     
「ひゃあ!!!も、もう出てってよ〜!!!」


    裕里は服をはだけさせながらも必死に捕まえようとする。

    乱れる髪・・・はだけている胸元・・・まくれ上がりかけているミニスカ・・・

    その光景は正直――――かなりエロい。


「・・・・わたしのものにしたいの///」

「・・・・妾のものにしたいの///」

「・・・・僕のものにしたいの///」

   
    そのときその光景を見ていたなのはとアジフとユーノがとんでもないことをつぶやく。     
   

「なのは!?あ、あんたなに言ってんの!?」

「あんなの見たら普通思うの・・・それにアリサちゃんもそう思ったでしょ?」

「う!!そ・・・それは///」

   
    アリサはなのはの言葉に反論することが出来ない。

   
「反論できないってことは自分もそう思ったってことなの」

「ち、違う!・・・あたしに限ってそんなことは!!」

   
    なのはの追撃とばかりにアリサを攻め立てる。必死に反論しようとするアリサ

    だったがうまく言い返せない。


「あるよね?」

「ぐ・・・ほ、ほんの少しだけ///・・・その・・・うん///」

「ほらみろなの」


    なのはの悪魔のささやきにとうとうアリサ陥落。

  
「アジフもなに言ってるんですか!?」

「・・・・妾のものなの」

「正気に戻ってください!!」

    
    その横では音夢がアジフの肩を掴み揺すっていた。

    音夢は壊れかけているアジフを必死に元に戻そうとする。


「妾のものなの・・・誰にも渡さないの」

「アジフ〜!!!」

  
    だがうつろな目のアジフは音夢の呼びかけにも答えることはなかったのでした。


「いや、と言うかユーノは男だろ?」

「男の子だよね?」

「純一!さくら!君たちは分かってない!!愛に男なんて関係ないんだぁ!!!」

 
    さらにその横では純一とさくらが淫獣ユーノをかわいそうな目でみながら
 
    その言動にツッコんでいた。


「いや、愛じゃないだろ?お前かわいければ何でもいいんだろ?」

「ぐう・・・・・そ、そうだよ!!ホントはそうだよ!!かわいければいいよ!!!何が悪いんだよ!!!!」


    純一に攻められて言い返せない淫獣はとうとう開き直った。


「いや、悪いだろ」

「ユーノくん最低だにゃ〜・・・・・」


    やはり淫獣は最低なんだと改めて確信していた純一とさくら・・・ですが別にキライと

    言うわけじゃないんですよ?


「ぐはあ!!」

「!? す、すずかちゃん!?」

  
    そしてそこから少し離れた場所で裕里の様子を見ていたすずかは突然、倒れた。

    慌てて駆け寄るファリン。


「はあ・・はあ・・あはは・・・すごすぎるよ〜・・・あれ」

「すずかちゃん!!しっかりして下さい!!!」


    すずかは苦しそうにしながら裕里を指差す。確かに苦しそうではあるが顔は幸せそうな表情だ。


「もう少し・・・あれを見ていたかった・・・・・・・・がく」

「す、すずかちゃ〜ん、カムバ〜ック!!!!!」


    まさかのすずか昇天・・・・響き渡るファリンの叫び声。

    正直、今現在の美月の家の中は死屍累々・・・・カオスそのものだった。


    パシャ!パシャ!

「いいわ〜!!すごくいいわ〜!!!」


    だが・・・そんな中で唯一、まったく動じず・・・と言うか裕里のことを最新のカメラで激写し続けながら

    さらにビデオカメラ設置し回し続けているお方が一人。


「うっふっふ〜♪これは永久保存物ね〜♪」

   
    天城美月さんだ・・・

    
「チュ〜!!」

「くしゅぐったい〜!!!」

「はあ〜・・・満足満足」

  
    ようやく満足したのかカメラから目を離す美月。


「うふふ・・・裕里くん・・・タマちゃん・・・」

    
    そして最後に一言・・・裕里を見ながらこう言い残したのだった。


「グッジョブ!!!」

    ・
    ・
    ・
    ・
    ・

    そしてそれから次の日・・・


・アースラ

    
    ピピ!

「ん? 私の端末に・・・メール?」

    
    そのときたまたま訓練から帰ってきていて部屋にいたフェイト。

    自室にある端末にメールが来たことなど今まで一度もなかったので驚きながらも

    メールを開けた。


「美月さんから?・・・・えっとなになに・・・「このフォルダを開けて中の映像を見てみて♪」か・・・これかな」

    
    そして美月の指示通りにメールに添付されていたフォルダを開け映像データをダブルクリックする。

    その瞬間流れた映像とは――――


『く、くしゅぐったい!!くしゅぐったいよ〜!!!!』

    
    もちろんいろんな意味で多数の被害者を出したあの場面の映像。


「!?・・・・これって・・・もしかして裕里?」


    その映像が誰なのか一早く気づいたフェイトは・・・


「・・・・・じ〜」


    裕里を凝視する。

    そしてポツリとつぶやいたのだった。


「・・・・私のものにしたいな///」


    

    

    



                              魔法少女リリカルなのは 白銀の魔法使い


                          
                        
                        外伝「女装・・・一度みんなやってごらん?癖になるかもよ?」完










あとがき


あははは!!いろんな意味でヤバイな今回の外伝!!

ですが今まで一番自信があるような・・・

ちなみに今回は第二部ように書き方を変えたものにしてみました!

どうでしょうか?これでもいいでしょうか?

それだけが心配です・・・はい。


それではみなさん次は第二部プロローグでお会いしましょう!
メンテ
Re: 白銀の魔法使い ( No.37 )
日時: 2009/05/23 17:26
名前: ふぁんふぁ 

魔法少女リリカルなのは 白銀の光をもたらす者


PS事件が終わりを向かえひと時の平穏を向かえていた裕里たち――――
だがそれは嵐の前の静けさでしかなかった。

新たに現れる敵・・新たに現れる仲間・・・

「僕は・・・何があっても絶対に目をそらさないよ」

これは空咲裕里の運命と誓いの物語・・・・
メンテ
Re: 白銀の魔法使い ( No.38 )
日時: 2009/05/23 17:33
名前: ふぁんふぁ 

第二部 人物



オリジナル



空咲裕里


年齢 9歳

誕生日 11月22日

血液型 A型

魔導師ランク AAAランク相当(ルシファードモード発動時は測定不能)

「氷結」の魔力変換資質持ち。


なのはとの運命的?な出会いを通して自分の力のことを知りまたいろいろな仲間との出会いを通して苦労の末に
ある程度の制御を身に付けた。

自分では気がついていないが意外とかっこいいため学校にファンクラブが出来たことがあったが
すずかが壊滅させたらしい。だが誰も気がついてはいないがどうやら男子で作られたファンクラブもある模様。

ちなみに女装させると超がつくほどの美少女へと変身する。



天城美月


年齢 ?歳(年齢は誰も知らず調べようとしたものには大いなる災いが降りかかるらしい)

誕生日 4月2日

血液型 AB型

魔導師ランク SS+ランク相当(心奏使用時は未知数)

裕里と同じく「氷結」の魔力変換資質持ち。


海鳴町に裕里を連れてきた張本人。
だが裕里をいろいろなところで助けてくれる心強い女性。

”時空守護機関”の最高指導者「八総統」の一人である。

そして最終決戦時になんと裕里の実の祖母であることが発覚したが裕里には今のところ
何の説明もない。

ちなみに最近の趣味はもっぱら裕里を女装させることらしい。




パラケルスス


年齢 ?歳(ウイルスには年齢と言う概念がないが本人曰く裕里よりも年下らしい)

誕生日 不明

血液型 不明

魔導師ランク S+ランク相当(心奏使用時は未知数)


ウイルスを統括している最高ランクの特級ウイルスの青年。
驚異的な戦闘能力を秘めていると思われるが今だ見せたことはない。

つかみどころのない性格をしており裕里を追い詰めたと思いきや逃がしたりや
裕里に心奏を覚えさせようとしたりなどその行動には謎が多いがなにやら目的がある模様。




アリストテレス


年齢 ?歳(パラケルススと同様)

誕生日 不明

血液型 不明

魔導師ランク Sランク相当(心奏使用時は未知数)


パラケルススといつも行動を共にしている特級ウイルスの一人。
今だ戦ったことはないが心奏が使えるらしく戦闘能力は未知数。

特にいつも自己主張することはないが裕里のことを様付けで呼ぶなど
なにやら裏がある模様。




メルクリウス


年齢 ?歳(パラケルススと同様)

誕生日 不明

血液型 不明

魔導師ランク AAA+ランク相当(心奏使用時は未知数)


戦うことを生きがいとしている特級ウイルスで第一部では裕里たちと最終決戦で戦った。
心奏を使用し主に空間を支配することに優れている模様。

あまりにも純粋すぎるためか自分の願いのためなら多少の無茶やまわりを巻き込むことなど
まったく気にしない。だが以外にも義理堅い性格をしている。




ヘルメス


年齢 ?歳(パラケルススと同様)

誕生日 不明

血液型 不明

魔導師ランク AAAランク相当


裕里のたちの前に立ちふさがった特級ウイルスの一人である女性。
だが裕里に倒されて以来、美月がどこかに捕らえていたらしいがあるとき天城家の
新たなる住人として連れてこられる。どうやら逃げられない何かをされているらしい。

性格は早い話がツンデレでいつもは戦い命!みたいな性格をしているが意外とかわいいものが
大好きで初めてちびアジフを見て以来、執拗に我が物にしようと狙い続けている。



タマちゃん


年齢 1歳

誕生日 3月31日

血液型 分かりませんです・・はい

魔導ねずみランク Bランク相当


普通のねずみ(オス)・・・だが美月の実験によって高い知能と長い寿命さらには魔力をもち
念話で会話することも出来る。

だがその存在を知っているのは美月と天敵であるうたまるだけであり
うたまるには見つかるたびに追いかけられている。






D.C.〜ダ・カーポ〜




朝倉純一


年齢 9歳

誕生日 12月28日

血液型 A型

魔導師ランク AAAランク相当

「炎熱」の魔力変換資質持ち。


パラケルススたちの手によってこの世界に連れてこられた男の子。
音夢の危機を機に魔法を使って戦うことを決意する。

戦闘面においては裕里に比べれば剣術などは全然だがそれでも高速戦闘になれば
裕里並みの強さを持つ。

ちなもに音夢の兄でさくらのいとこであり表にはあまり出さないがどちらも
とても大切にしている。



朝倉音夢


年齢 9歳

誕生日 12月28日

血液型 O型

魔導師ランク アジフとユニゾン時のみAAAランク相当


朝倉妹その1であり純一と同じくパラケルススたちの手によってこの世界に連れてこられたが
その際何らかの要因によって記憶を失っていた。だがある出来事によってユニゾンデバイスである
アル・アジフと契約「マスター・オブ・ネクロノミコン」となってしまい戦闘に参加するようになる。

記憶に関しても純一が身を挺して自分を庇う姿を見て完全ではないが記憶が戻る。

戦闘に関してはアジフとのユニゾンによって脅威的な身体能力を手に入れており
さらに多彩な武器で敵をなぎ払っていく。



芳乃さくら


年齢 16歳

誕生日 9月4日

血液型 O型

魔導師ランク AAA+ランク相当


朝倉妹その2でありまたまた純一と同じくパラケルススたちの手によってこの世界に連れてこられた。
だがそんな事実にも意外とポジティブで特に気にしていないらしく純一が居ればいい様子。

当初は戦いに魔法を使うことを嫌がっていたが裕里たちの戦う姿を見て少し考え方を変えたのか
戦いに参加するようになる。

さらには一応、16歳なので魔導師ランクも裕里より高くさらに射撃能力とスナイプに関しては
今のところ右に出るもの無し。



杉並


年齢 ?歳

誕生日 秘密

血液型 AB型

魔導師ランク ?ランク


未知の探究者であり変人・・・それしか言い方が見つからない人物で
パラケルススたちも呼んだ覚えがなく「何故いる?」と思っているほどの謎な人。

ちなみに戦闘をしたことは今のところないがたぶんかなり強いだろうと予想される。



うたまる


年齢 年齢!?知ってる人いるのか?

誕生日 誰か教えてくれ〜!!

血液型 え?血液型?・・・さあ?

魔導ねこランク そもそも戦わないから


白い仔猫でマスコット的、存在だが若干空気。

時々出てきては場を和ますのが仕事。

ちなみに今のところ目標はタマちゃんを捕まえていつか食べること。






ななついろ☆ドロップス




秋姫すもも

年齢 16歳・・・だが見た目は何故か9歳。

誕生日 3月29日

血液型 O型

魔導師ランク AAAランク相当

パラケルススたちによってこの世界に呼ばれた少女で天才的なステラスピニアでもある。
PS事件ではフェイト側にいて撫子を探し自分の世界に帰るために戦っていた。

今現在は撫子と一緒に美月の家に仮で住んでおりフェイトの裁判が終われば
撫子とともにハラウオン家に行くつもり。

戦闘スタイルは援護ならびに砲撃だがステラスピニア時のレシピも使える模様で
本気で戦うとどうなるは分からない。



八重野撫子


年齢 17歳・・・だがすももと同じく見た目は9歳。

誕生日 4月25日

血液型 O型

魔導師ランク AA+ランク相当


すもも同様パラケルススたちによってこの世界に呼ばれた少女・・・たまたま飛ばされたのが
アースラだったためアースラに乗りながらすももを探していた。

今のところそんなに出番がないため分かりづらいところが多々あるが薙刀を習っていたため
接近戦では無類の強さを誇る。

ちなみにかわいいものが好きだったり少女マンガが好きだったりと意外と乙女チックな部分がある。
そのことにおいてはヘルメスとかなり仲がいい。



ユキちゃん(石蕗正晴)


年齢 16歳

誕生日 12月9日

血液型 A型

魔導師ランク Aランク相当・・・だと思う。


羊のぬいぐるみ・・・になってしまったままパラケルススたちに呼ばれてしまった不運な羊。
だが何故か異世界に飛ばされてからは元の人の姿に戻らなくなった。
そしてなのはたちの世界では日付的に確実に戻れる期限をオーバーしているが特になんともないので
気にすることをやめた模様。

第2の淫獣・・・だが基本は誠実なのでユーノに巻き込まれる形で淫獣となってしまう。

ちなみに戦闘能力は未知数。






その他




アル・アジフ


年齢 不明(見た目4歳ぐらいだが裕里たちよりは年上らしい)

誕生日 美月さんなら知ってるかも

血液型 美月さんなら知ってるかも

魔導師ランク AAAランク相当


美月によって生み出された特殊なユニゾンデバイスで魔力を持たないものでも魔力を使えると
言うことをコンセプトに生み出された・・・だが魔力波長の同調率が99%以上の者としか
ユニゾンすることが出来ないため今のところ同調率100%の音夢と製作者である美月のみ
ユニゾンすることが出来る。

ちなみに名前がいろいろあり「ネクロノミコン」や「死霊秘法」とも呼ばれることがある。

戦闘時は基本は音夢とユニゾンしちびアジフとしていつも音夢の肩か頭の上に乗っているが
単体でも戦うことが出来る。



ハズキ


年齢 不明

誕生日 不明

血液型 不明

魔導師ランク 不明


杉並と行動している謎の少女・・・これ以上は今のところありませんです。
メンテ
Re: 白銀の魔法使い ( No.39 )
日時: 2009/05/23 18:07
名前: ふぁんふぁ 






プロローグ




「……行くのか?」


    青年は悲しみを含んだ瞳で目の前の女性を見つめた。

    女性は、その青年の顔を見て微笑んだ。

    優しい、本当に優しい笑顔で。

    その顔を見て、青年は俯いてしまう。何も言えなくなってしまったのだ。

    笑顔すら全てを覚悟しているように思えてしまって。

    己の無力さに打ちひしがれる。


「はい、私は行きます。それがやるべきことなので」

「……お、俺は」

「貴方が気に病む必要はありません。これも予定調和、変えてはならない事」


    俺は何をやっているんだ。

    青年は、自分の弱さに憤り気づかないうちに手を強く握りしめていた。

    血が滴り落ちそうなほどに。

    女性はそれに気がついたのかそっと青年の手を握るとゆっくり開く。


「ダメですよ。怪我してしまうではないですか」

「……アリス。俺に出来ることは何も無い……か」

「そんなこと無いです」


    女性――アリスはふるふる、と首を横に振って青年の言葉を否定。

    手を握ったまま視線を合わせて、言葉を続けた。


「ずっと笑っていてください。いつまでも貴方らしい姿でいて下さい。それが私の幸せです」

「アリス……そうだな、こんなのらしくないか」

「そうです」


    と、コンコンと何かを叩くような音が。

    青年とアリスは聞こえた咆哮に視線を向ける。

    そこには真紅の瞳が特徴的な青年の姿があった。

    どうやら自分の存在を知らせるために壁を叩いたらしい。


「おっと、お邪魔だったかな」


    その青年は、口の端を持ち上げながら笑っている。

    ん?、とよく今の自分の姿を見直してみる青年。

    アリスに手を握られ、見詰め合っている。

    一瞬の間のあと、状況を理解したのか青年は頬を赤く染め飛びのくようにその場から離れた。

    それが気に入らなかったのか口を尖らせるアリス。不満たらたらのようであった。


「……本当にお邪魔でした」

「おっと、これは済まなかった。今度、私がデートにでも誘うよ」

「いいです、遠慮しておきます。貴方とデートなんて考えるだけでも鳥肌がたちます」

「はぁ……最後の最後まで相変わらずか……ははっ」


    ため息を吐く青年。

    先程までの悲しい雰囲気は既に無く、最終的には可笑しそうに笑っていた。

    そして、一度頷くと懐に手を入れ二枚のカードのような物を取り出し二人の目の前に差し出す。

    アリスに手渡されたのは蒼のカード。真紅の瞳の青年に手渡されたのは紅のカード。

    まるで呼吸でもしているかのように淡く点滅していた。


「それは餞別だ。まあ、必要だったら使ってやって欲しい。その子たちもそれを望むだろうから」


    青年は二人がカードを受け取るのを確認してから、表情を引き締めた。

    その変化に怪訝そうな表情を浮かべる二人。      


「二人とも」

「……どうかしましたか?」

「ん? なんだい?」

「俺は二人の未来を知ってる。だから正直、

 こんなこと言うのはどうかと思ったんだが。言わないと俺が耐えられないんだ始めに言っておく許してくれ」


    青年は一度、深く息を吐くと言葉を続けた。

    それが、悲しみしか産まないことを知っていて尚、言わずには居れなかったのだ。


「……また、会いたい」


    一瞬、場を沈黙が支配する。

    だが、それは長くは続かなかった。     


「……ふっ、気にするな。私も同じ気持ちだ」

「はい……きっといつか、生まれ変わっても貴方と出会える未来……信じます」


    誓い。

    それが守られることは恐らくゼロに近かった。

    いや、ありえないことであろう。

    でも、それでも三人は出会える未来を望む。

    深く強い絆と共に。


「じゃあ、そろそろ時間だ……行って来る」

「……行って来ます」

「ああ、行ってらっしゃい」





    これはとある青年達の誓いの物語。そしてこの誓いは……





「裕里く〜ん。早く、学校行こ?」

「はーい。了解であります、なのはちゃん」

「にゃはは、変なのー」





     ――ある少年達の運命の物語へと繋がっていくこととなる。
















あとがき


はい、第二部のプロローグ出来ました!

いろいろ意味深かなプロローグになりましたがどうでしょうか?

微妙に書き方を変えてみたのですが、見やすいでしょうか〜?

それと一応、このプロローグの意味は後に必ず分かることなので。

あえて今は気にせず次の第一話をぜひお目を通してみてください!


それでは皆様、これからもよろしくお願いします!
メンテ
Re: 白銀の魔法使い ( No.40 )
日時: 2009/05/24 01:20
名前: ふぁんふぁ 



白銀の魔法使いクロス「春の風が吹く丘で」


登場人物




空咲春風


年齢 8歳

血液型 O型


本作の主人公であり裕里の妹で超ブラコンでありどこかに行ったまま帰ってこない兄を
待ち続けている女の子。

性格はぽやぽやした感じだが兄とは違いかなり鋭い。

春見町に仕事で来ていた神王とシア、魔王とネリネに出会い神族と魔族のことを知る。




空咲聖人


年齢 31歳

血液型 A型


春風と裕里の父親であり朱薙流――正式名称「朱薙天嵐流」の正統継承者でもある。

とても優しい性格をしており裕里の性格は確実に父親譲り。

ちなみに昔、通っていた学校であったダブルミスコンでは女装をして出て三年連続一位に
なった経歴を持つ。




空咲春音


年齢 31歳

血液型 O型


春風と裕里の母親で専業主婦である。

聖人と同じく優しい性格をしているが・・・多少腹黒く春風は徐々に性格が感化されつつある。

ちなみに裕里を変なところで鈍くした張本人でもあり本人はわざとやったらしい。



白道光太


年齢 55歳

血液型 AB型


春風と裕里の祖父でありいつもニコニコしている好々爺・・・だが神王と魔王は光太のことを
かなり恐れている。

その理由は神王と魔王曰く「あの人・・・いろんな意味で容赦ないんだもん」らしい。

ちなみに世界的企業である「スタースカイ」の社長兼代表取締役




水上将斗

年齢 10歳

血液型 B型


春風の親戚の男の子で俺様的な性格だが基本は面倒見のいいお兄さん。シアとネリネにも優しくに接する。

ちなみに弱点は蜘蛛で目の前にいただけで泣き出すほど苦手。

ちなみに裕里とはかなり仲がよく裕里も「将にぃ」と呼んで慕っている。




リシアンサス


年齢 8歳


通称”シア”

神界のプリンセスであり元気はつらつ明るい性格の女の子。
神王の仕事についてきており春風の家に少しの間滞在することになる。



ネリネ


年齢 8歳


通称”リン”

魔界のプリンセスであり病弱な体の少女でだが今回はどうにか来ることが
できてシア同様、魔王の仕事についてきており春風の家に少しの間滞在することになる。



リコリス


年齢 ?歳


春風が祖父の会社にシア、ネリネと探検しに行った時に迷った春風が出会ったネリネ
そっくりの女の子。

ちなみに自分と会ったことは秘密らしい。






年齢 8歳


春風がシアと話していたとき突然、性格が変わって話しかけてきた女の子で
”もう一人のシア”らしいがこのことは秘密らしい。





神王&魔王


神界と魔界の王でとても仲がいいが多少ずれたところがあり娘至上主義である。
いろんな意味で怒らせると怖い。

だがそんな彼らにも恐怖の存在がおり幼少時にいろんな恐怖を与えられたらしい。

ちなみにその存在の名は「天城美月」「空咲心」「白道光太」
メンテ
Re: 白銀の魔法使い ( No.41 )
日時: 2009/05/27 00:05
名前: ふぁんふぁ 




・プロローグ



「あれ〜? あのおじさんたち誰だろ〜?」


    とある冬の日のこと。

    自分の家の庭で遊んでいた少女、空咲春風は家の前を行ったりきたりしている二人の不審者を見つけた。


「な〜……マー坊……俺、会いたくね〜よ」

「仕方ないよ神ちゃん、仕事で来てるんだし……それに会わないと何されるか……考えただけでも恐怖だよ」


    不審者たちは恐怖に顔を歪めながら春風ちゃんのお家の鉄格子の門の前でぶつぶつ何か言っている。


「もう、お父さん! 早く入ろうよ! リンちゃんも疲れてるんだし!」

「だ、だがなシア……」

「そ、それは分かってはいるんだがね?……ごめんねネリネちゃん」

「お父様……私は大丈夫ですよ」


    その不審者の後ろには二人の少女がいた。


「女の子だぁ……私とおんなじくらいかなぁ?」


    春風は興味津々のようだ。

    一人は元気はつらつな感じの少女、もう一人は少し物静かな感じの少女。

    目の前の不審者を「お父さん」「お父様」と呼んだところから見ると二人の娘らしい。


「相手は下手すれば神界と魔界の両方を滅ぼしかねないほどの御仁でな……」

「ああそうなんだよ……だからもう少し心の準備を……」

「もう、二人とも男らしくないんだから……え〜い、チャイム押しちゃえ!」

「「ああ、待ってぇ〜!」」


    シアと呼ばれた少女は業を煮やしたのか、
    インターホンを押してしまいそれを見た不審者は情けない声をあげる。

    しかし、言葉むなしく音が響く。不審者二人はうな垂れた。


「お客さんだったんだ〜……そうだ、早く出ないと」


    春風はお客さんを待たせてはいけないと門のところまで走っていく。

    そして早速話しかけてみた。


「どちらさまですか〜?」

「「ビクゥ!」」

「女の子だ……」

「はい……私たちと同じくらいでしょうか?」


    驚き固まる不審者と春風に気づいた女の子たち。


「な、なんだ……子どもかよ……驚いちまったぜ」

「ああ〜びっくりした……それはそうとお嬢さん、この家の子かい?」


    不審者は違う人物だったことを認めると安堵の表情になると春風に話しかけてきた。


「は〜い、空咲春風って言います!」


    春風の名前を聞いた不審者さんは目を丸くする。


「春風って〜と……おい、まー坊」

「ああ……彼らの娘だね……そうか……こんなに大きくなって」

「?」


    不審者なお客さんは春風ちゃんのことを知っているようだ。

    と、そのとき……


「あら?……はあ、ようやくいらっしゃいましたね」


    春風のお家のドアが開くと中から一人の女性が現れる。


「あ〜ママー」


    ママ、と呼びながら足に抱きつく春風。

    女性は優しそうに春風の頭を撫でる。

    気持ちよいのか春風は猫のように目を細めた。


「ん? お、春音じゃね〜か!」

「おっと、久しぶりだね、春音ちゃん。元気にしていたかい?」

「ええ、ホントにお久しぶりですね……神くん、マーくん」


    不審者と女性……春音と呼ばれた人は知り合いのようだ。

    すると女性は直ぐに攻めるような視線になる。


「それにしても遅いじゃないですか。ずっとお父さん待ってますよ?……もう五時間程前から」

「なあ!?…………お、俺、死にたくね〜よ!」

「ああ……悪夢だ」


    絶望に顔を染める不審者二人。

    そうなってしまった理由は自分達にあるので自業自得。弁明の余地は無い。


「さあ、行きましょう? お父さんには私と春風ちゃんから言っておきますから……ね?」

「ん〜? なんだか分からないけどいいよ〜」


    天使の笑顔で微笑む春風。

    それを見た不審者二人は覚悟を決めたようで互いに顔を見合わせ頷きあう。


「こ、こうなりゃ男は度胸だぜ、マー坊!!」

「そうだね! 男らしくかっこよく散ろうじゃないか!」

「嫌だ〜!」

「私も嫌だよ〜!」


    泣き顔で叫びながら走って家に入っていく不審者二人。

    そんな父親を見てシアとネリネは呆れたようにため息を吐いていた。

    春音もその後に続くように家に入っていく。

    その姿を春風も驚きながら眺めていたが、丁度強い風が吹いて我に返る。

    外はまだ寒い。お客さんをそのままにしておくのは良いことではないだろう。

    とりあえず春風は二人に近づくと手を差し出す。


「ねえ……お家入ろ」

「ふえ?」

「え?」


    シアとネリネは春風に突然話しかけられキョトンとしていた。

    だが、直ぐに笑顔になるとシアは元気よくネリネはおずおずと春風の手を取る。


「うん!」

「は、はい!」

「あは、お部屋まで案内するねー」


    やはり二人の手は冷たくなっていて、
    早く温かい部屋に連れて行こうと春風は笑顔で二人の手を引っ張った。

    ……この出会いから始まるのは、もう一つの運命の物語である。












あとがき


何だ、このプロローグ?

まあ不審者が誰なのかは丸分かりですね……

そしてとうとう始まったもう一つの第二部!

本編であやふやになりそうだった裕里の妹ちゃん「春風」が

主人公のお話です……そして前々から入れたいけど本編で書き

きれないだろうな〜と入れてなかったシャッフルをYUさんの後押しもあり

クロスさせます。因みにこの二つの第二部は第三部で一つとなる予定

ですのでどうかこちらのほうも読んでみて下さい!!

それと今回のプロローグ……何度か書き直したんですが

あんまり自信ないのでおかしかったら言ってください。

と言うか何処で終わらせていいのか……迷いましたです。

延々と続きそうでしたので少し考えて途中で切りましたよ……はあw

プロローグって難しいですね。


それでは〜


(後に少し修正しました)
メンテ
Re: 白銀の魔法使い ( No.42 )
日時: 2009/05/31 23:28
名前: ふぁんふぁ 




・???


    ここはとある場所の一室。

    そこらかしこによく分からない装置やら液体の入ったビンなどが置いてあり足の踏み場もない状態だった。


「むう〜……やっぱりシステム面にいろいろと無駄があるわね〜……消しちゃお」


    正直、ごちゃごちゃしていて人が入るような

    スペースはないように思えるがそこにはとある一人の女性があった。


「やっぱりユスティにエクセルは絶対に必要だし、
 アルフィーには狙撃方型と剣型に加えて砲撃型、クローリスは全体的な強化と、
 星詠には、まさかり付けないといけないし、あの娘もリミット外すのはいいとしてやっぱり前に作ってた
 武装を追加してあげないといけないわよね〜、しかもほとんどにあれとあれを搭載……ああ結構、お金がかかるわ〜……」


    女性の名は天城美月。

    彼女はコンピュータの画面とにらめっこしながらぶつぶつ何かを呟いている。

    どうやら何かを製作中のようだ。


「んん〜! ふう……面倒ね〜……なかなかプランが決まらない」


    美月は疲れたのか背伸びをする。

    そしてふと自分の目の前にあるモニターとは別のモニターを見た。

    そこには立体で表示されている一振りの剣のようなものが写っていた。


「これは結構、簡単に設計できたのになぁ〜……まあ当たり前かぁ」


    美月はそこに表示されているものを、
    嬉しそうに眺めると自分のデスクの上に乗っている銀色のクリスタルを撫でる。


「ソレイユはすでに製作段階……よ〜し! ウイルスに動きがある前に、さっさと全部、仕上げましょうか、レギンレイブ」

≪oui≫
<はい>


    美月は気合を入れると共にまたコンピュータに向かって何かを打ち始める。

    丁度、窓から夜が明けたのか日の光が部屋に差し込み始めていた。








                             魔法少女リリカルなのは 白銀の光をもたらす者



                                     第一話「裕里……散る」


                                          始まります





・裏山


「よ〜し行くよ、裕里くん! 今日こそジュースおごらせるんだから!」

「うん、僕より多く缶に当てられたらね……出来るかな?」

「出来るもん!」


    ここは神社に程近い裏山のとある場所。

    そこでは早朝にもかかわらず小学生位の一組の男女がいた。


「でも、なのはちゃん僕よりも四十回くらい、いつも下だよ?」

「そ、それは……ゆ、裕里くんが上手くなるのがいけないんだよ!」

「えぇ! 悪いの僕!?」

「そうだよ!」


    男の子の名前は空咲裕里、女の子の名前は高町なのは。

    仲良くじゃれあっているが若干、裕里はなのはに尻に敷かれ気味のようだ。


「ふう……じゃあ気を取り直して行くよ! 数えるのお願いねレイジングハート」

≪Leave it to me≫
<お任せください>

「がんばってね、なのはちゃん」

「あ……えへへ、うん!」


    その前に二人はこんな早朝からこんなところで何をやっているのかと言うと


「えい!」


    なのはは宙に缶を放り投げる。

    と、次の瞬間、なのはの足元に魔方陣が現れると同時に目の前にピンク色の球体が現れる。

    球体は重力に引かれ落下してきていた缶に向かっていくと缶を弾き始めた。


「……む〜!」

≪30、31、32...≫

「おー今日の魔力弾の制御は昨日より上手いよ」


    早い話が魔法の訓練だったりした。

    実際、男女二人っきりなどおいしい展開のはずだが、


「ちなみに僕の今日の最高記録は257回ね」

「も〜! なんでそう言うこと言うかな〜!」 


    まだ子どもの二人にはあまり関係なかったようだ。


「その前に、もう帰らないと時間的に危ないよ?」

「ええ〜! あと、ちょっとなのに〜!?」


    まあ、単ににいつも一緒にいるからなんとも思わなくなっているだけなのかもしれないが。




    …




「ふんふ〜ん、ようやく焼けました〜」


    時を同じくしてここはバニングス家。

    朝早くから鼻歌交じりでオーブンから鉄板を
    取り出しているのは首のチョカーとアンテナ……もといアホ毛が印象的な少女、朝倉音夢である。

    何でも音夢はキッチンを借りて何か料理を作っていたようだ。どうやら綺麗に出来たらしくとても機嫌が良い。    


「あら? こんな朝っぱらからなに作ってんの、音夢?」


    と、いつも通りの時間に起きてきたアリサ・バニングスはそんな音夢に気がついて声をかける。

    音夢はにこやかに振り向いた。


「あ、アリサちゃん、これはですね……クッキーです」

「クッキー? へえ〜よく出来てるじゃない……おいしそうね」


    焼きたてで鉄板の上に乗っているクッキーはとても綺麗に出来ており美味しそうであった。

    朝食がまだであった、アリサは少し小腹が空いているようで物欲しそうな目でクッキーを見つめている。


「そうですか? じゃあ、お一つどうぞ」

「そう? じゃあエンリョなく〜……」


    音夢は褒められたことが嬉しかったのか出来たてをアリサに差し出そた。

    アリサはクッキーをためらいなく受け取ると直ぐに口に運ぼうとした――その時。


「きゃあ! な、何!? あ、足?」


    突然、足を捕まれたアリサは悲鳴を上げた。


「……やめろ」


    それと同時に足元から聞こえてくる不気味な声。

    アリサは顔が真っ青になった。


「(な、何? ま、まさか朝っぱらからゆ、幽霊!?
  ……そんな分けない。幽霊なんているもんか……いない、いない……幽霊なんていない〜!)」


    やはりいくら勝気なアリサと言えど幽霊は怖いようだった。

    だが基本的にアリサは勝気で好奇心旺盛な性格。

    故に見てみたいという気持ちもあった。


「(で、でも……幽霊なんて、そうそう見る機会無いし……)」


    思案するアリサ

    時間にすれば三十秒ほど。

    考えた末、最終的には好奇心が恐怖を勝ったらしくアリサは足元に恐る恐る視線を落とした。

    するとそこには……紫がかった銀髪の美しいロリっ娘が苦しそうにしながらもアリサの足を掴んでいた。

    ちなみにそのロリっ娘はアリサの良く知る人物、もとい古本少女アル・アジフであった。


「ア、アル!? アンタそんなところで何してんのよ!?」

「ぐふ……」


    アリサは驚きながらもぐったりしているアルを抱き起こした。


「ねえ、なにがあったの?」

「アリサよ……それを食べてはならん……それは……危ない」


    アルはアリサが手に持っているクッキーを指差して警告する。

    あまりの必死の形相にアリサは顔が引きつる。


「で、でもこれ……おいしそうよ?」

「見た目にだまされるでない! それは既に大量殺戮へい!? ぐはぁ!」


    途中まで何か言いかけ突然飛来した物体で後頭部を強打しアジフ沈黙する。


「アル!? い、一体何が…って……じ、辞書?」


    アリサは何事かとアルの頭を見てみるとそこには何故か広○苑。

    飛んできた方向から察するにそこには音夢がいたはずだ、とアリサ思い出す。

    と言うかそちらの方向からなにやら危険なプレッシャーを感じる。

    アリサは怖かったが音夢の様子を確かめるために恐る恐るそちらを――向いた!


「ふふふ……うふふふふふ……あはははははは!」

「ひぃ!?」


    そこには真顔で笑う音夢の姿。アリサは思わず悲鳴を上げる。


「うふふふ……アリサちゃん、早く食べてみてください」


    早く食べるようにアリサを急かす音夢。


「へ?……えと……その……やっぱりアタシ遠慮して」

「早く!」

「は、はいぃ!」


    拒否すればいいのだがアリサは音夢のあまりの迫力に恐怖でしたがってしまう。


「(で、でも大丈夫よ! たかがクッキー、一つでこのアリサを
  倒せるとでも思ってるのかしら! ふふふ、大丈夫大丈夫……じゃないわよ〜!………でも)」

「うふふふふ…………」

「(笑ってこっちを凝視してるし……よ、よし、こうなったら仕方ないわ)」


    アリサはとうとう決心する、見た目普通のプレーンクッキーを食べることを。

    そしてそのまま恐る恐るクッキーを口に


「(ええい! ままよ!)」


    ……放り込んだ。

    目を瞑ったまま口だけ動かす。   


「ん?……別におかしくなんてないじゃない」


    しかし、以外に普通の味に疑問符を浮かべるアリサ。

    そんなに悪い味ではない。

    むしろ美味しいくらいだ――甘かった。リンディ茶並に甘かった。


「ん!? ぐう! ぐぐ!?」


    アリサは突然襲ってきた不可解な味に苦しみだす。

    その味とは想像を絶するような……と言うか想像出来た奴がいたらそいつは人間じゃないと思えるような味。

    ……そもそも味と表現できるようなものじゃなかった。


「んん!……んんん〜!?……きゅう」


    アリサは少しの間苦しんだ後。

    ――散った。


「またですか、うう〜ん、なんでなんでしょうか……今度は兄さんと裕里くんにでも食べさせてみましょう……」





    さらに時を同じくして天城家――





「っ!?……なんか寒気がする」


    ちょうど朝ごはんを食べようとしていた朝倉純一は突然悪寒を感じた。

    純一は感じ取ったのだ、大量殺戮兵器の気配を。  


「うにゃ、寒気? よ〜し、じゃあボクが温めてあげるよ〜」


    純一の呟きを聞いて抱きついてこようとするのは純一のいとこの芳乃さくらだ。   


「あーうざい……でも、待てよ?」


    その時ふと、思いつく。

    この感じ前にも何処かで、と。

    そうだ、音夢が包丁を見ながら壮絶な笑みを浮かべていた時に感じた寒気と同じものだ。

    ……つまり、音夢が料理を作った?


「(まさか……そ、そんなはずないよな。
  ははは……ないない……絶対ね〜よ。あったとしても俺には関係ない、関係ない……)」


    抱きついてこようとしているさくらを軽くいなしながら現実逃避を決め込む純一だった。

    トラウマは時に超能力と言ってもおかしくないほどの力を人間に授けるようであった。

    恐るべし、トラウマである。


「んぐんぐ……なんで私が朝食を作らないといけないのだ……」


    その隣でヘルメスは朝ご飯を食べながら納得いかないような声で呟く。

    そう、ヘルメスはこの家に来て直ぐに美月に家事担当と、
    笑顔の威圧で従わせられ朝、昼、晩の食事と掃除、洗濯などを全て行っていたのだった。

    もう、扱いがメイドである。恐らく美月の趣味であった。


「でも、ヘルメスさんの作るご飯おいしいです!」

「うん、すももの言う通り」

「うんうん」


    さらに隣で朝ご飯を食べていた現在とある事情で
    天城家の隣に一時的に住んでいる秋姫すもも、八重野撫子、ユキちゃんの姿が。

    ヘルメスの作った料理を褒めながら美味しそうに食べ進めている。

    思っても見ない言葉だったのかヘルメスは頬を赤く染めた。


「そ、そうか? あは、あははは、その実はパラケルススたちは
 食生活が崩壊していてな……仕方なくいつも私が作ってたんだ……そうか……おいしいか……」


    ひそかに料理を食べてもらうことに喜びを感じ始めたヘルメスであった。


「じゃあ、ヘルメスさんが作る前はウイルスさんたちはどんなものを食べてたんですか?」


    すももはヘルメスが言った『パラケルススたちの食生活の崩壊』に興味が出たようだ。

    するとヘルメスは考え込むようにしながらポツリポツリと話し始めた。   


「ああ、そうだな……主にコンビ二弁当に始まりカップ麺に
 出前と言うのが少しの間続いて、最終的にはパラケルススが『栄養さえ取っていれば、おいしいなんて不要だ!』
 とか言いはじめてな。カロリーメ○トとかウ○ダーインゼリーとかになっていった」

「それは……その」

「なんと言うか……」

「ダメ人間……じゃないダメウイルス?」


    すももたちは思わず自分たちの天敵のあまりの食生活に呆れ返る。


「私もそう思う……メルクリウスは『カロリーメ○トフルーツ味は最高だ! 旨すぎる! さすがだ!』
 と満面の笑みで叫びながら水分なしで喜んで食べていた。私はどちらかと言うとチョコレート味が好きだけど」

「ふえ〜……あの人って一体……」

「深く考えるなすもも。アイツらは日常生活は無能なんだ。考えるだけでも馬鹿らしい」

「は、はい」


    ヘルメスはすももに取りあえず考えないように注意だけすると立ち上がり食器を流し台に運んでゆく。

    どうやらそのまま洗い物をするようであった。
    

「あ、そう言えば……」

「お兄ちゃ〜ん! ギュ〜!」

「さくら、抱きつくな〜! 鬱陶しい!」

「嬉しいくせに〜」

「なぁ! そ、そんなことないんだからな!」

「……美月さんは何処に行ってるんですか?」


    そしてすももに続くようにそう言えば……、と

    バカップルな純一たちを軽くスルーしそう言えば居ない美月のことをヘルメスに聞く撫子。


「美月さん? ああ、昨日、出て行ったきり帰ってないな」


    自分の食べた分の食器を片付けながらヘルメスは撫子の問いに答える。


「ああ、純一、さくら早く食べてしまえ、食器が片付かない」

「は〜い、お兄ちゃん早くたべちゃお」

「お前のせいで食べられなかったんだよ!」


    ヘルメスの言葉で朝ご飯を口にかき込む純一とさくら。

    そんなヘルメスを見てすももたちは一言。


「「「(お母さんだ……)」」」


    完全に家事を仕切っているヘルメスを見てそう思った。




    …




・学校


「おはよー。……あれ?」

「どうかしたの裕里くん?」

「あーうん。いつもならこのタイミングでアリサちゃんが挨拶してくれるのになーって」

「そう言えば……んー教室にはいないみたい」


    朝の訓練後、登校して来た裕里はなのはと共に教室に入ると、直ぐに違和感に気がついた。

    いつもならば真っ先に声をかけてくるアリサがいないことに気づいたのだ。

    辺りを見渡してみるが姿はない。


「おはよ、音夢ちゃん。アリサちゃんがいないけど、どうかしちゃったの?」


    少し心配になった裕里は席に座って

    何かの袋を机に置いたまま窓の外を眺めていた音夢にアリサのことを尋ねてみた。


「ああ、裕里くん、おはようございます……。今日はアリサちゃん気分が悪いそうなのでお休みです」

「へえ〜、珍しいね、大丈夫なの?」

「はい、なのはちゃん。大したことは無いそうなので明日には来れると思いますよ?」

「そっか、よかった」


    たいしたことがないと言う音夢の言葉に安堵する裕里となのは。   

    ……知らないって幸せだ。


「裕里くん、なのはちゃん、おはよう」

「あ、すずかちゃん、おはよう」

「おはよ〜!」


    音夢と話していた裕里たちに挨拶してきたのは裕里たちの親友でもある月村すずか。


「ねえ……裕里くん」

「ん? なに?」


    そして挨拶が終わるなり裕里に目の前まで来るすずか。


「いつになったら一緒にお出かけしてくれるの? 私ずっと待ってるんだけどな……」

「え? あ〜……そう言えばそうだったね」


    前に約束していたデートの件について聞いてくる。    

    因みにこの質問は既に百回以上されているのだが未だに返事を返していない状況だった。

    以前の裕里ならば即実行だったはずなのだが。


「……裕里くん、すずかちゃんとデート行くの?」

「え、うん、約束したし……ね」

「そうだよね、約束だもんね、仕方ないよね……」


    何故か毎回なのはが悲しそうな顔をするので直ぐに返事を出せないでいた。


「(うう〜……なのはちゃんの顔見てるとなかなか決めきれない〜。でも、もうひと月も経ってるし……危ないよね)」


    毎回あいまいにしていた裕里だったがさすがにそろそろ行かなければならない。

    まあ、毎回返事を曖昧にしていた理由はどちらかと言えば無意識の恐怖によるものなのかも知れないが。

    実際、デートと言うのは名ばかりだと思われる。


「うん、じゃあ今度のお休みにのときに……行こうか」

「じゃあ……楽しみにしてるね」

「……はぁ」


    すずかは満面の笑みを浮かべて心の底から喜んでいることが分かる。

    その様子を見ていたなのはは誰にも気がつかれないようにため息を吐いた。




    …




「裕里くん、ご飯食べよ」

「うん、分かった〜」


    そして所変わってお昼休み、もといお弁当タイム。

    お昼休みに入りご飯を食べにいつものように屋上に行く裕里たち。


「あ、僕ちょっとトイレに行きたいから先に行っててくれる?」

「うん、じゃあ先に行ってるね」


    裕里は行くため先に行っていて欲しいとなのはに告げると早速トイレに向かう。


「う〜ん、なんだか寒気がしたらトイレ行きたくなっちゃった……何でなんだろ〜」


    そう、裕里は昼休みに入って途端、寒気を感じたのだ。

    だからと言ってウイルスの気配を感じたとか魔力を感じたとかそう言う訳でもない。

    体調にも別段異常は無いので風邪を引いた訳でもないようだ。

    首を傾げつつ、トイレに急ぐ。

    ……しかし、この時裕里は知らず知らずのうちに察知していたのだ。

    これから自分に起こる残酷な運命を。


「皆、お待たせ〜、何だかトイレ込んでて遅くなっちゃ……って、み、皆どうしたの?」


    裕里は手早くトイレを済ませなのはたちの元に向かう。

    が、何故か皆の表情が暗い。その微妙な空気に思わずたじろいだ。


「ゆ、裕里くん!」

「ああ、裕里くんだ〜!」

「……ふふふふふふ」


    なのはとすずかは裕里が来たことを見つけると安堵の表情になる。

    だがその隣では音夢が不気味に笑っていた。

    それを見た裕里はなにかある、とすぐに感じ取ったが

    下手に警戒するのも危険だと思いなのはたちの元に近寄っていった。


「ねえ、ゆ、裕里くん! その、こ、これ食べてみて!」

「へ? これは……クッキー?」


    なのはが慌てるようにして差し出してきたのはクッキー。

    不信そうに裕里はそれを受け取る。

    見たところなんの変哲もないクッキーはとてもよく出来ており正直おいしそうだった。


「綺麗に出来てるねー……誰が作ったの?」

「私ですよ」


    音夢の作ったと言うクッキーを裕里はまじまじと見つめる。

    匂いもかいで見るが特におかしいところはない。

    なのはたちの慌てようからすると実は食べると変な味がするとかだろうか?

    様々なことを考えてみるが最終的にはやはり食べてみないことには分からない。


「じゃあ、いただきます………」

「どうぞ」


    考えるのも面倒になった裕里は一応食べてみることにする。

    一つ摘んで口の中に放り込んだ。


「(特に変な味なんてしないけど……なんだったんだろ?)」


    クッキーの味を確かめてみるが別段おかしいところなどない。

    ――はずだった。


「もぐもぐもぐう!? ぐ……ううう!?」

「裕里くん!?」

「やっぱり!?」


    裕里は突然口の中を暴れまわり始めた今まで体験したことのない脅威の味に苦しみだす。

    めくるめくカオスパーティーの始まり。

    声すら出せずに地面に手を突いた。

    そんな裕里に駆け寄るなのはとすずか。


「ぐう!? うぐぅぅぅぅぅ!?……きゅう」


    しばらく喉を押さえ苦しんだ後、裕里は地面に崩れ落ちた。

    顔は真っ青のままで体は時折、痙攣している。


「ゆ、裕里くんが倒れちゃったよ!?」

「ああ〜! やっぱりアリサちゃんからのメールは正しかったんだ〜!」


    叫ぶなのはとすずか。

    ちなみにすずかの手には携帯電話が握られておりそのディスプレイにはこう書かれてあった。

    『クッキー絶対食べるな………食べると地獄を見る………以上 byアリサ』

    と言うかなのはとすずかは知っていながら裕里を生贄に捧げたわけだが。

    何気に扱いが酷かった。


「またですか……なんでなんでしょうかね〜特におかしなものとか入れてないのにな〜……」


    その後ろで殺人クッキーを作った張本人は皆が倒れる理由が分からず考え込んでいた。

    ちなみに音夢の殺人クッキーは後に純一にも

    本人じきじきに手渡され裕里、アリサ、アルと同じ運命をたどったそうな。




    と、ちょうど裕里が殺人クッキーにやられていたその頃―― 




・???


「じゃあ……行ってくる」


    ピンク色で髪をポニーテールに結んでいる女性がちょうど、どこかに出かけようと玄関に立っていた。

    だが遊びに行くような雰囲気ではなくその表情は真剣そのもの。


「ええ、でも無茶はしないでね、あなたに何かあったらあの娘が悲しむんだから」


    そんな女性を心配そうな顔で見送っているのは金髪で少し短い髪の女性。


「肝に銘じておこう……それでは主を頼む」

「ええ、今日は私だけじゃなくてヴィータちゃんもいるから、安心して行って来て」

「ふっ……そうだな」


    そう言い終わるとポニーテールの女性は突然光に包まれると同時に消えていった。


「頑張ってね……さてと、じゃあ私はカートリッジのストックでも作っておこうかしら」


    見送りが終わり自分もやることがあるのか家に入っていく女性。

    その家の表札には『八神』と書かれていた。






                         魔法少女リリカルなのは 白銀の光をもたらす者





                               第一話「裕里……散る」完 









あとがき


ようやく第二部の一話かき終えました〜……ふぁんふぁです。

今回は取り合えず前回からのキャラを数人除きみんな出してみたんですが……

はあ……なんか上手く書けないことに若干、暗くなってます。

正直、なんだこの第一話ですからね。

ネタは山のようにあるのにな〜……なんでだろ。

まあそう言っても第一部が上手かったかと

言われればまったくそんなことないんですが。精進あるのみです。


そして次はたぶんもう一つの第二部の一話を書くと思います。

出来ればそちらのほうも読んでくださると嬉しいです。


それでは〜


※(後に少し修正しました)
メンテ
Re: 白銀の魔法使い ( No.43 )
日時: 2009/06/06 17:06
名前: ふぁんふぁ 


「とうとう・・・来ちゃったね・・・神ちゃん」

「ああ、来ちまったぜ・・・まー坊」

「・・・・はあ」


    そこは大きなお屋敷の廊下・・・そこにはまわりをきょろきょろし警戒しながら歩いている

    大柄な男性とその前を一人の女性が歩いていた。

    コツコツコツ・・・・コツ    

    そしてあるところで先頭を歩いていた女性・・・空咲春音は歩みを止める。どうやら目的の部屋に着いたらしい。
    

「さあ、着きましたよ」

「神ちゃ〜ん、怖いよ〜!」

「お、俺も怖え〜よ〜!!!」

      
    聳え立つのは巨大な扉・・・その前では案内されてきた2人の大柄の男性・・・神王と魔王が情けない声をあげていた。


「はあ・・・お父さんは怒らなですから大丈夫ですよ・・・それに前から悪乗りしたとき意外

 は何もしなかったでしょう?」

「その悪乗りしたときが怖え〜んだよ!!」

「そうだよ!!」
  
    
    そして神王と魔王は昔、自分がやられたいじめ・・・もとい愉快な遊びについて回想を始めた。
   

「ああ〜昔、お馬さんごっことか言って「走れぇ!! 馬車馬のように走れぇ!!」っていいながら
 
 本気で鞭で叩かれて走らされたことが昨日のことのようによみがえってくるよ〜!!」

「俺なんて「ユーストマにはどんなイスが一番効くかな?」とか言われて磔にされたままイスでたこ殴りだぜ!?」

「あはは・・・・昔のお父さんは楽しいことには容赦、ありませんでしたからね〜・・・」

   
    言っていることは笑い事ではないが正直、聞いているほうは笑うしかない。

    と言うか笑う以外にどうしようもなかった。

    





                             白銀の魔法使いクロス 春の風が吹く丘で


                               
                                第一話「神様と魔族のお友達」



                                     始まります
    

    



「「し、失礼しま〜す!」」

「もう、腰が引けてますよ?」


    神王と魔王、春音が部屋に入る・・・その部屋はとても大きな部屋・・・そしてその奥には大きなイスが一つあり

    そこには一人の老人にこやかに微笑み優しそうにな表情をしながら腰掛けていた・・・

    その老人は威厳と言われればあまりないように見え体もそんなに大きいわけではない・・・だがその瞳に宿って

    いる力強さはまさに王者のまなざし・・・その人物こそ、神王と魔王が心のそこから恐れる人物の一人

    ――――白道光太その人だった。


「おお、ようやく来たか・・・久しぶりだね、ユーストマ、フォーべシィ・・・いや、神王さまと魔王さまと

 呼んだほうがいいのかな?」


    そしてにこやかな笑みを浮かべて目の前に来た神王と魔王に話しかける。だが2人は光太の言葉を即座にぶんぶんと首を

    振りかなりのオーバーリアクションで全身を使い否定した。

        
「そ、そんなのい、いいですよ!!」

「ま、まー坊の言うとおりだぜ!光太のアニキにさま付けなんてしてもらうなんてお、恐れ多い!!」


    神王ユーストマと魔王フォーべシィは目の前の優しそうなおじいさん・・・光太に内心ビビリながらも
  
    何とか言葉を搾り出す。

    どんなことがあっても怒らせないようにしようと思っているらしい・・・2世界の王も形無しだった。

    そして春音は、ほんとに王様ですか・・・と2人の姿を見て呆れる。

    もしこんな状態のユーストマとフォーべシィを普通の人に見られでもしたら宗教革命が起こるのも

    間違いないだろう。


「いや・・・さすがにもうあんなことはしない”かも”知れないから安心してくれ」

「”かも”なんですね・・・」


    春音は確証のない光太の言葉にさらに何度目か分からないため息をついた。

            
「それはそうと・・・どのぐらいこっちにいられるんだい?」

「うん? う〜む・・・どのくらいだったけか?」

「多くて二週間くらいだよ神ちゃん、さすがにその世界の王が一ヶ月も自分の世界を開けるわけにはいかないからね」

「まあ、確かにそうだな、まださすがに俺たちがこの世界に長期的に留まるのは今のところはそのぐらいが限界か」


    魔王と神王の言葉に「なるほど」と光太と春音もうなずく、まあ当たり前のことだろう。

    長期的に王が国にいないとなると国家的にもいろいとと問題が出てくるのは目に見えている。

    そう言うことも考えていくら仕事といえどまだまったくと言っていいほど交流も行われていない

    世界に留まるのは多くて二週間くらいが限界だと言うことなのだろう。

    まあ・・・交流が始まれば、どうなるかは分からないが・・・特に未来とかで。


「(意外と自分の世界のこととか考えてるんですね・・・・あ、そう言えばお昼ご飯どうしようかな〜・・・・)」

    
    春音は意外な2人の一面に感心しながら、暇なのか、まだ作っていなかったお昼ご飯もどうしようかと思案し

    始めたのだった。ちなみに現在一時半。

    ・
    ・  
    ・
    ・ 
    ・

「うう〜ん、ママがここに居なさいって言ったから着たけど・・・遅いな〜」

   
    春風は、シアとネリネを案内しようとした際に春音に「居ても暇だと思うから、リビングにでもいなさい」

    と言われシアとネリネを連れて普通の家よりもはるかに大きいであろうリビングに来ていた。


「うわ〜・・・これなんだろうね〜!」

「テレビですよ、シアちゃん」

    
    ちなみにシアとネリネは初めて来た家に興味津々なのか目をキラキラさせてあたりを

    興味深そうに見回している。ちなみに自己紹介は済んでいたりする。


「シアちゃんとネリネちゃん?・・・テレビ見たことないの?」

「うん、神界にはこんなのないよ」

「魔界もです」

「ほえ? 神界? 魔界?」


    春風ははてなマークを浮かべる。

    2人が言った神界、魔界など聞いたことがなく初耳だったからだ。


「そんな町、近くにあったかな〜?」
 
「へ? ええっと・・・ど、どうしようネリネちゃん」

「ええ!? 私に振るんですか!? ええっと、そうですね〜・・・あの、春風ちゃん」

「ん? な〜に?」

    
    ネリネは春風の名前を呼ぶと一呼吸おいて少し真剣な目をして話し始めた。


「春風ちゃんは今から私が言うことを・・・誰にも言わないでくれますか?」

「え?」


    一瞬あっけにとられる春風だったが、すぐに笑顔になる。


「うん! ネリネちゃんがそう言うんだったら絶対に言わないよ」

「・・・・・じゃあ、お話しますね。私たちのことを」


    ネリネはそう言うと、目をつぶり少し考えるような表情をしていきなりこう言った。


「私とシアちゃんとお父様たちは・・・人間じゃないんです」

「・・・・ふえ?・・・・・・・・・ふえ〜〜〜〜!?!?!?」

     
    春風は驚き叫んだ。

    ・ 
    ・
    ・
    ・
    ・

「じゃ、じゃあシアちゃんは神族・・・神様でネリネちゃんは魔族・・・はなんなのか分からないけど、すごい人なの!?」

   
    説明を受けた春風は興奮したようにシアとネリネを見る。


「う〜ん、すごいかどうかは分からないッス」

「はい、私たちは、そうですね・・・耳が長いことと魔法が使えること以外は人間界の方と何も変わりませんよ」

「そうなんだ〜・・・・でも魔法?」

    
    驚いていた春風だったが唯一、一つ”魔法”と言う言葉に引っかかりを覚えたようだ。


「はい、魔法です。人間界では物語とかで出てくるだけで使えないって習いましたけど・・・」

「うん、お話とかでは出てくるけど・・・でも春風、魔法使えるよ?」

「「え?」」

   
    春風の言葉にシアとネリネは驚く。

    今まで人間は魔法が使えないと習ってきた二人にしてみれば驚くのも無理はない。


「でも、こんな力だよ?」

   
    シアは手を掲げるすると手が光輝き初めそれをそのまま春風の手にかざした。

    すると春風の手には心地よい暖かさが広がっていく。たぶん回復魔法か何かなのだろう。

 
「うわぁ〜、あったかくて気持ちいいね〜・・・でも、これとは少し違うかな〜・・・」


    春風はシアの魔法がよほど気持ちいいのか目を細める。だが自分の使う魔法とは少し違うらしい。

   
「ホントはママにも秘密にしてるんだけど・・・2人も秘密を教えてくれたから見せるね!」
     
     
    そう言うと同時に春風は自分の胸に手を当て、目をつぶり集中し始める。

    すると突如春風の胸の部分が光り始めた。


「・・・・・・・」

「!? む、胸が光ってきたよ!!ネ、ネリネちゃん!!!」

「ほ、ホントに魔法!?」


    2人が驚いている中、春風はゆっくりと目を開けると光を包むように手に持ちそのままシアと

    ネリネの手をゆっくりと握った。

    
「はい・・・これでどうかな?」

「・・・・あったかい」

「とても優しい感じがしますね・・・・」


    シアとネリネはその暖かさと優しさにとても心が落ち着いた。

    よく分からないが春風が魔法と言った力はとても安心できるのだ。


「春風ちゃん、すごいね!」

「えへへ、そんなことないよ」

「でも、その魔法はなんなんですか?」
 
「えっとね〜・・・・春風にも分からない♪ でもいつの間にか使えてたんだ♪」

    
    いつ使えるようになったかは本人もよく分からないらしい。


「でもこの力のことは秘密だよ?」

「了解ッス!」

「はい、分かりました」


    初めて会ったとは思えないほど仲がよさそうに笑いあう3人・・・・秘密の共有で仲がぐっと

    深まったようだった。


「・・・・・・・」


    だがそんな3人をドアの隙間から覗いている人物が一人。


「・・・・ふう、裕里くんといい春風ちゃんといい何で隠すんでしょうね・・・・お母さんは悲しくなってきます」


    覗いていた人物は春音。

    ちょうど春風にお昼ご飯は何がいいかを聞きにきていたのだ。


「それにしても、やっぱり、使えるんですね・・・裕里くんと同じように”魔法”を・・・いえ春風ちゃんのは”心奏”かな・・・」


    そして春音は、春風が使った力を見ながら何故か悲しそうな表情を浮かべる。


「美風ちゃん・・・私は心配です、あの力があの娘に破滅を呼ばないといいんですが・・・」

    パタン・・・


    春音は誰かの名前を呟くと3人に気づかれないようにそっとドアを閉めた。

    ・
    ・
    ・
    ・
    ・

「ふう、ようやくついた・・・・俺んちからは遠いんだよな・・・ここは」


    丁度、そのころ春風の家の前には春風よりも多少、年上に見える男の子が一人立っていた。

    
「春風に、父さんからもらったコイツを早速、見せないとな・・・」

  
     男の子は自分の指にはまっている少し大きな指輪を嬉しそうになでる。


「ジークルーネ、自己紹介はちゃんと自分でしろよ?」

    
    そして男の子は何を思ったか指輪に話しかける。


    ≪Yes,My contractor≫<はい、契約者>


    するとなんとその指輪は返事をしたのだ。

    
「さ〜て、じゃあ行くか」

    ≪I am a pleasure≫<楽しみですね>

    
    男の子は指輪の返事を聞いて満足したのか早速、春風の家のインターホンに手を伸ばしたのだった。






        


     

                             白銀の魔法使いクロス 春の風が吹く丘で


                               
                                第一話「神様と魔族のお友達」完










あとがき


ようやく書いた第一話・・・ははは、まさか最後まで書いてからすべて書き直すと言う

暴挙に二回も出るとは・・・思いもしませんでした。

ちゃんと展開も考えていたというのに・・・春風のキャラを書くのが難しかったです。

書いていると裕里に似てくるんですよね〜まあすでに似ている気もしないでもないですが

まあ書き直したせいで春風以外のキャラがおかしくなってる可能性もあります・・・

M.O.さんとYUさんさらにはSHUFFLEキャラのことよく知っていらっしゃる方がた・・・・

シアとネリネ、さらには神王と魔王がおかしくないか確認していただけると幸いです。

それとシアがネリネのことを「リンちゃん」と言っていないのは仕様です。

なぜならまだこのときのネリネはリコリスにその呼び名をもらっていないはずですから。

まあその部分もかなり変える気ではいますけどね・・・もしかしたらリコリスじゃない

別の人物に付けさせるかも・・・です。



それでは今度は本編か今、なんとなく考案中のサイドストーリーでお会いしましょうです!
メンテ
Re: 白銀の魔法使い ( No.44 )
日時: 2009/06/07 03:11
名前: ふぁんふぁ 


・???

    ここは秘密の研究室・・・薄暗い部屋の中にはそこらじゅうに分けのわからない

    機材が並んでいる。実はそこであるものが製作されていたのだ。


「うっふっふっふ・・・・」

    
    そしてそこには不気味に笑う女性が一人いた。 
     

「これがようやく完成ね・・・」


    目の前のものを見て満足そうに笑みを浮かべる。

    その目の前には液体の入ったタンクがありその中には金色の不思議な物体が浮かんでいた。


「データは取り終えたのであ〜る」

「起動実験の結果も大成功ですよ」

    
    すると女性の後ろから2人の科学者のような服装をした男性が女性へ報告にやってきた。


「ごくろうさま・・・じゃあそろそろ本格的に起動させましょうか」

「「らじゃ〜」」


    そして女性は目の前のタンクの下のほうについているボタンに手を伸ばしたのだった。







                               魔法少女リリカルなのは 白銀の魔法使い



                               外伝「・・・・いろんな意味で違うだろ?」



                                        始まります




・起動六課


「よっし・・・じゃあ今日は解散だ」

「「「「あ、ありがとうございました〜!!!」」」」


    ここは起動六課の訓練場・・・そこでは今の今まで訓練が行われていた。

    だがどうやら今日はもう全日程を終えて訓練終了のようだ。


「さ〜て、俺は食堂にでも戻ろうか・・・・」


    そして教えていた者の名前は空咲裕里。

    見た目はそれほど強くなさそうな感じだが「白銀の死天使」と言う異名を持ちもしその逆鱗に触れるものなら

    塵すら残らないと言われ恐れられている・・・主に娘関係で。ちなみにもう一つの異名は「俺は娘のためなら世界の

    一つや二つ滅ぼしてもいいと思うよ、と本気と書いてマジで言っていた奴」byヴァイスである。


「裕里さん!!」

「きゅ〜!!」

「うん? なんだキャロとフリードか・・・どうした?」


    自分の部署に戻ろうとしていた裕里は呼び止められ後ろを振り向く。するとそこにいたのは

    ピンクの髪で肩に白いトカゲ・・・もとい竜のフリードを乗せた起動六課のフォワードメンバーの

    一人である少女キャロ・ル・ルシエだ。

    裕里はその声に気づくと一生懸命、自分に向かって走ってくるキャロを優しそうな目で見ながら待つ。


「あ、あの! あのあの!」

「なんだか分からんが落ち着けキャロ、な? ほら深呼吸〜」

「は、はい、す〜・・・はあ〜・・・」

   
    裕里は目の前に来てすぐ慌てて何かを話しはじめようとしたキャロを深呼吸で落ち着かせる。


「どうだ? 落ち着いたか?」

「は、はい」


    そして裕里はキャロが落ち着いたのを確認するとキャロに先ほどのことについて聞いてみる。


「で、なんだ?」

「あ、あの・・・お願いがあるんです」

「お願い?」


    あまり自己主張してこないキャロがお願いなどと言うとは珍しいと裕里は思った。


「私に・・・お、お料理教えてくれませんか?」

「は? 料理?」

    
    予期していなかった言葉に驚く。

    キャロはあまりお願いなどしてこない性格・・・なのでなにか重大なことでもあるのかと
   
    思っていた裕里は多少、拍子抜けした。


「まあ、いいが・・・いきなりどうしてだ?」

「ある人に・・・その・・・お料理を作ってあげたいんです」


    キャロの話を聞いてふむ・・・と考える。

    確かにキャロはすでに10歳・・・料理の一つや二つ出来てもいいころだろう。


「いいぞ、まあ誰に作ってやるのかはあえて聞かないでおいてやろう」

  
    そして快く了承する。  
 

「は、はい! ありがとうございます!」

「きゅ〜くる〜♪」

 
    ホントに嬉しいのか満面の笑みを浮かべているキャロを裕里はほほえましく見ていた。

    ・・・と言う感じで平和ストーリーが展開されていた中・・・突如あるものの飛来により

    平和は混沌と化すことになる。

   
    ブゥ〜ン・・・

「ん?・・・・・・・何か来るな、キャロ離れるなよ?」

  
    裕里はどこからか聞こえてきた虫の羽音のようなものに反応しあたりを警戒し始めた。    


「え? も、もしかして敵ですか!?」

「いや・・・たぶんもっと面倒なものだ―――――――――――そこかぁ!」


    キャロの問いを否定し気配を感じたほうを向くとそこには・・・


「・・・・なんだあれは」


    ブラスタービットが・・・いやブラスタービットのようなものを羽根のようにしてつけているレイジングハートを見つけた。

    と言うか見た目はレイジングハートのコアに先端の部分が2つ並んでいるようにしか見えない。


「なのはさんの新魔法でしょうか?」

「いや・・・あれはたぶん、美月さんの仕業だ――――ですよね? そこにいるのは分かってます」


    裕里がとある方向を向くとそこから出てきたのは・・・


「さすが裕里くんね〜、今来たばっかりなのにもうばれちゃった♪」


    やはりトラブルメーカー天城美月だった。


「それはいいとして”あれ”はなんですか?」

「あれはね〜私とウェストくんとスカリィくんの3人で作った新型兵器――――「なのはゼクター」よ!!」

「なのはゼクター?」

「・・・・・はあぁぁぁぁ」

  
    美月の発表?にキャロはかわいらしくはてなマークを浮かべ裕里は頭を抱えた。


「ツッコミどころが万歳過ぎてどこからツッコンでいいか分からないんですが・・・ゼクターじゃないでしょあれ?」


    ゼクターて虫をモチーフにしてるだろ? と裕里はなのはゼクターなるものを指差す。


「いいのよ、細かいことは! あえて言うならあれは何故かいなかった蝶よ!それよりも裕里くん、これあなたのベルトね」

「そう来ると思ってましたよ・・・・まあ、どうせ断っても無駄でしょうからね・・・・・・」


    裕里は美月が差し出してきた銀色のベルトを見て心底嫌そうな顔をしながらも受け取った。

    そしてしぶしぶ自分の腰に巻く。


「じゃあ、本物みたいに変身すればいいんですか?」

「ええ、裕里くんは話が早くて助かるわ〜♪」


    裕里は美月に逆らうことの無意味さを知っているので文句も言わず従う・・・まあいろいろと弱みを握られているので

    簡単に逆らうことが出来ないのだ。おもに女装とか女装とか女装とか・・・・・


「キャロ・・・料理は明日でいいか?」

「はい・・・裕里さん、がんばってください!」

「きゅくる〜!」

「ああ、じゃあ――――”逝ってくる”!」

  
    最後にキャロに冒頭部分で約束していた料理のことを明日に引き伸ばしてもらうと

    キャロとフリードの声援を受けながら裕里は上に手を掲げ―――変身する!


「俺は、天の道は行かないが・・・来い! なのはゼクター!」

  
    裕里の言葉に反応したなのはゼクターは裕里の手に飛来し裕里はそれを掴み取る。


「変身!」

 ≪Henshin nano!≫

    デン!デンデンデン!←変身するときに流れる音楽

  
    裕里は言葉と同時にベルトになのはゼクターをセット、そしてなのはゼクターから発せられる若干原作と違う

    電子音のあと裕里の体をマスクドフォームの装甲なのか金色と白とピンクのレイジングハートカラーの装甲が全身

    を覆い変身は完了する。


「・・・・・変身完了です」

「よっし! 成功だわ! うんうん! よく出来てる!」


    美月は成功したことに大喜びのようでばんばんと裕里の体を覆っている装甲をバンバン叩く。


「じゃあ、次はキャストオフね!」

 
    そして早速、次の段階に進むように急かしてくる。

    早く先がどうなるのかが見たいのだろう・・・迷惑な話である。


「はいはい・・・キャストオフ」

 ≪cast off nano!≫

「きゃ!」

「きゅうぅ〜〜!」


    裕里がなのはゼクターのレイジングハートの翼のようになっている部分を広げるとマスクドアーマーは

    あたりにはじけ飛ぶ・・・何故か仲間に当たらないのも原作通りである。


 ≪Change nanoha nano!≫

「・・・・特になにも起こらないってことは成功だな」

    
    そして無事、キャストオフも終わりなにか不具合でも起こるんじゃないかと思っていた裕里は

    少しほっとする。


「へ!? あ、あ、あ、あ・・・・・・」

「きゅう〜?」

「?」

    
    だが何故かキャストオフした自分を見て指を差して驚くキャロと鳴き声をあげるフリード。

    そんな一人と一匹を見てはてなマークを浮かべる裕里。
     

「・・・・美月さん、どうですか? 自分じゃ見えないから心配なんですけど?」


    少し自分の姿が不安になってきた裕里は美月に自分の姿がどうなっているか聞いてみた。


「成功よ! ほら〜!」


    美月は早速、キャストオフをした裕里の姿を見せるため鏡を裕里の前に差し出す。

    その・・・裕里の姿とは・・・


「・・・うそ・・・だろ?・・・だってこれって・・・・な、なのはのまんまじゃないですか!?」

   
    裕里は自分の姿に驚愕する・・・なぜならその姿は高町なのはの姿・・・コスプレとか

    のレベルじゃなく鏡に映るのは良く知っている栗色の髪、良く知っている整った少し童女のような顔立ち、

    そして身を包むのは良く知っている白いバリアジャケット―――つまりそのまんまだったのだ!

    唯一違うと言えば白いバルディシュみたいなレイジングハートを持っていると言うところだろうか。


「そうよ〜だからなのはゼクターなんだもの♪ まあちゃんと説明するわね」


    当然よ、なに言ってんの? 的な顔で見てくる美月はなのはゼクターについて説明をし始める。


「なのはゼクターは『誰でもSLBぶっ放そうぜ!』をコンセプトに作られた一種のデバイスなの! でも本人に

 変身できたら面白いじゃない? だからやってみました! ちなみに武器はレイハザンバーよ」

「いろんな意味で面白すぎるな、こん畜生!」

「でね、裕里くん、それはね――――スリーサイズまで完全になのはちゃんなのよ! さあ、これを聞いた

 男の子!どうする?」

「いや、どうもしません」


    速攻で否定された美月はなによつまんない・・・、と下を向いていじけている。

    まあ、裕里はいろいろな教育上、男にある衝動てきなものが欠落している部分が大人になってからも

    未だにあるので仕方のないことでもある。


「じゃあそろそろ変身を解きますよ? こんな姿、なのはに見られでもしたら・・・確実に遊ばれる」

「裕里さん・・・」

「は〜い、私はそれでもいいですの〜マイスターを弄るの楽しいですの♪」

「どわあ! る、ルクス!?」

「なんですの? マイスター?」


    裕里は目の前の妖精ように小さい少女に出現に驚く・・・ちなみにこの少女の名は

    リインフォースlux・・・通称”ルクス”だ。


「いや、突然現れたから驚いただけだ・・・まあいい、じゃあ変身かい『わ、私が・・・いる?』――――な、なんだと?」


    そのとき聞こえてきたのは聞き覚えのある声に裕里は振り向く――――案の定そこに居たのは


「な、なのは・・・か?」

「え? もしかして・・・ゆ、裕里くんなの?」

 
    高町なのはその人だった。

    どうやらなのはのほうも声を聞いてもう一人の自分が裕里だと気がついたようだった。


「うふ、うふふふふふ! あ〜はっはっはっは!」

「!?」

   
    そのとき何故か突然、美月さんは大声で笑い出した。

    そして裕里は気づく・・・なのはが何故ここに来たのか・・・その理由を。   


「ま、まさか美月さん・・・念話でなのはのこと呼びましたね!」

「うふふ、今更気づいても遅いわ! さあ、なのはちゃん! 裕里くんはね、なのはちゃんに変身してあんなことや

 こんなことをしようとしていたのよ!」

「なに捏造してんだ〜!」

  
    美月の暴挙に叫ぶ裕里・・・そして当のなのははと言うと・・・


「・・・これをダシに使って・・・裕里くんで愉快な遊びとか・・・にゃはははは・・・♪」


    遠い世界へ旅立っていた。と言うか裕里の予想通りだった。


「マイスターはルクスのお父さんですの〜! なのはさんには渡さないですの!」

「いや、なのはもおかしいがルクスもそこはおかしいだろう? まあ確かにお前を作ったのは俺だが・・・はあ、

 これだけの人数をツッコムのキツ・・・」

  
    裕里はおかしな言動をしているなのはとルクスにツッコむ。

    だがその顔には精神的な疲労の後が見えてきていた。

    基本ツッコミ担当ではなくどちらかと言うとボケたり弄られたりするタイプなので

    一人では荷が重いのだ。


「(そろそろ捌ききれなくなってきたな・・・それに面倒になってきた・・・・)」


    そしてそろそろいろんなことに対して面倒になってきた裕里。

    これを終わらせたい・・・もう帰りたい・・・春愛とヴィヴィオに会いたい、会いたい、会いたい、会いたい。

    なので――――行動に出た。


「はあ・・・まあ変身解除」

   
    裕里がゼクターをはずすと変身は解除される。

    しばらく外したゼクターを見つめる裕里。

    そしてため息をつき、なのはゼクターにすまない、と呟く。

    そして裕里は何故かエリュシオンを起動させ正眼に構えさらに何故かゼクター

    を宙に放り投げた。


「美月さん・・・いろいろと面倒になってきました」

「へ? ど、どう言うこと? ちょ、ちょっと怖いわよ?」


    美月は目が据わっている裕里を見て若干の不安を覚えた。

    と言うか何でエリュシオンを構えているのかと、不安を通り越して恐怖も感じ始めていた。


「だから――――いらないものは処分しましょう」

「えええ!? まってぇ〜! だ、だ〜め〜!」

   
    美月は裕里がやろうとしていることをすぐさま理解したのか止めに入る。

    だがすでに構えた裕里を止めれるはずもなく・・・


「朱薙流斬滅剣技「鳳(おおとり)」!」

   
    まるでスローモーションのようになのはゼクターに吸い込まれていくエリュシオンの剣先。

    手を伸ばす美月。

    でも間に合わない。美月は若干半泣き状態だった。

    でも裕里はそんな美月を完全に無視、

    あまりにも無慈悲に、あまりにも無表情で、だが渾身の力を込めて問答無用に―――突き刺した。

    ゴスゥ! と言う愉快な音がまわりに響き渡る。

    その瞬間美月、固まる。   
   
    そしてなのはゼクターは裕里の放った突きよって串刺しになり大爆発を起こしながら四散した。


「いやぁぁぁぁああああ!」


    このとき・・・美月の半年のかけた苦労は水の泡と消えたのだった。

    ・
    ・
    ・
    ・
    ・

「裕里さん、お疲れですね・・・料理を教えてくれるのはいつでもよかったのに・・・」

「きゅ〜」

「いや・・・約束は守る、正直、キツイがな」


    次の日、裕里は約束どおりキャロに料理を教えていた。

    あの後、裕里がゼクターを破壊したため、美月がキレて一時、やっと修復が完了した

    起動六課がまた崩壊しそうになったり、なのはも何故かキレて裕里をレイジングハートで殴りつけ

    てくるという暴挙に出たりと、大変だったのだ。ちなみに崩壊はしなかったが半壊したので

    無関係なのに始末書を書かされているはやてはご愁傷様である。


「それにしても・・・俺が教えることなんてないんじゃないか? 料理、出来てるじゃないか」

「あ、はい、時々フェイトさんのお手伝いとかしてるんで・・・でも、裕里さんのお料理はおいしい

 ですから、ぜひ教えて欲しかったんです!」


    キャロの料理の腕前は初歩的な部分はほとんど完璧で、あとは自分の腕を上げるだけ・・・

    ぐらいまでの腕前はあった。


「ふむ・・・まあ、確かに”これ”はミッドでは作り方を教えてくれる人はあまりいないだろうからな」

「はい、そうなんです」


    裕里が下を見ると皿に盛ってあるものは・・・日本ではポピュラーな家庭料理である肉じゃがだった。


「あの・・・裕里さん・・・」

   
    するとキャロは少しはずかしそうにしながら裕里を呼ぶ。
 

「うん? なんだ?」

「その・・・・味見してくれませんか?」

「ああ、いいぞ、まあ間違いないだろうがな」


    味見をして欲しいというキャロに快く了承して裕里は早速食べようとした。

    まあわざわざ味見をしなくても見ただけでおいしそうだと分かるぐらいよく出来ていたのだが・・・

    それと一応、補足しておくとこの考え方は音夢レシピには適用されません。


「あ! 待ってください!」

「ん?」


    だがキャロはそんな裕里を制止すると何を思ったか自分の箸で肉じゃがをつまむと

    裕里の前に差し出してきた。


「その・・・あ、あ〜ん」

「ん? 食べさせてくれるのか?」

「は、はい」


    そして裕里はキャロの差し出してきた肉じゃがを食べる・・・ジャガイモは程よく柔らかくなっており

    牛肉もちょうどよく味がしみこんでいてとてもおいしく出来ていた。


「お! おいしく出来たじゃないか! 初めてにしては上出来だな」

「あ・・・ありがとうございます!」

「きゅくる〜きゅ〜♪」


    キャロは幸せそうに笑ったのだった。

    ちなみに食べて欲しかった人が誰だったかは、最後まで秘密だ。

    








      

                              魔法少女リリカルなのは 白銀の魔法使い



                              外伝「・・・・いろんな意味で違うだろ?」完











あとがき


速攻で仕上げた外伝・・・どうでしょうか?

今回もやってしまった感があり、なんか表現が

おかしくなってるところとかもあるような気がしてなりません・・・心配だ。

ご指摘がありましたらご指導の程よろしくお願いいたします。

ちなみに新キャラのルクスを出したのは出したかったからです!

それと補足しておくとキャロとルクスは裕里に恋愛感情は持ってません

あんなことさせておいて言わせておいて何だそれ!見たいな感じになると思いますが

一応、違います。そしてそれは第三部で書くことになると思います。

それにルクスに関して言えば裕里がお父さんですからね・・・

それと最後まで謎だった食べてほしい人・・・ふふふ、何故わざわざ教えてもらう人に

裕里を指名したかで分かりますよね♪ こっそり教えてほしかったんでしょう〜♪


それでは次は本編の第一話でお会いしましょう!
メンテ
Re: 白銀の魔法使い ( No.45 )
日時: 2009/06/14 03:35
名前: ふぁんふぁ 




時空守護機関とは?


・時空守護機関とは丁度、管理局が出来てから少したって生まれた軍隊で主に次元犯罪の鎮圧
 そして古代遺物「ロストロギア」の回収を目的とした軍隊であり特に管理局との違いは見ら
れないが唯一ある大きな違いは見つけたロストロギアの破壊と異世界への不介入、そして戦争行為
である。


ロストロギアの破壊

・何故ロストロギアの回収ではなく破壊を行うのかと言うとたとえ持っていたとしても有益になるものは少なく
 危険であるためらしい。八総統の一人曰く「危険な爆薬を使わないのにいつまでもそばに置いているのはおかしいでしょ?
 だから破壊するのよ・・・二度とだれも使わないように」らしい。


異世界への不介入

・異世界の不介入とは守護機関の考え方では「世界はその世界の者たちによって守られなければならない」と言うものが
 あるため異世界で次元災害が起こったとしても基本不介入だがもし異世界にイレギュラーが紛れ込んだ場合は介入
 することが認められておりそのイレギュラーを排除できれば速やかにその世界を離れる。



戦争行為

・もし敵対する戦力が現れた場合、やむなしと八総統が判断すれば戦争を行うこともありえる。そしてその場合は殺人許可も
 出るためたとえ重要な人物を殺したとしても罪としない。



なお、管理局には考え方の違いなどで一方的に嫌われており何度か潰されそうになったこともあった。だが管理局を遥かに
超えるといわれる最高指導者「八総統」のおかげもあり何度もその危機を回避、または逆に大きな被害を与え返したこともある。


さらに三提督は守護機関との同盟を結んだほうがいいと言う意見を述べている。
メンテ
Re: 白銀の魔法使い ( No.46 )
日時: 2009/06/16 02:16
名前: ふぁんふぁ 




・高町家


「フェイトちゃん、元気そうで良かったね」

「うん」


    裕里となのははフェイトからの

    ビデオメールを見ながら満面の笑みで顔を見合わせていた。

    あの日以来、遠く離れてしまっているフェイトとはビデオメールを通して連絡を

    とっており、届いたビデオを今、丁度見終わったところなのだ。


「早く会えといいね」

「うん、早く会いたいな」

 
    裕里は遠く離れてしまった友達に思いを馳せる。

    そんな裕里に続いてなのはも目をつぶりフェイトのことを思い返し始めたようだ。 
 

「早く会えるといいな、なんで裕里くんのほっぺにキスしたか聞かないと」

「うん……ん?」


    だがなのははまったく別のことを考えていたらしい。

    裕里もキスのことを思い出したようだ。

   
「ふむ、そう言えばそうだね。フェイトちゃん、なんでキスしたんだろ」

「……」


    と、なのははフェイトにキスされたことを

    まったく気にしていない裕里が気に入らなかったのかぷく、と頬を膨らませた。


「……何だか、かわいがってたペットをとられたような悔しい感じがするの。裕里くん晩御飯なしなの」

「なんで!? あと、ペットってもしかして僕!?」


    機嫌が悪いなのはの理不尽な発言に驚く裕里。

    やはり尻に敷かれているようだった。

    そんな二人の様子を見ていた存在が二つ。

    
 ≪is deplorable...King≫
 <王よ……情けないです>

 ≪Master...≫
 <マスター……>


    二人の意思を持つインテリジェントデバイス。

    エリュシオンとレイジングハートだ。


 ≪I have a hard time each other Elysion...≫
 <お互い苦労しますね、エリュシオン……>

 ≪...Raising Heart≫
 <……レイジングハート>


    情けない主たちの姿を見たデバイス二機は大きなため息を吐くのであった。







                          魔法少女リリカルなのは 白銀の光をもたらす者



                               第二話「はやてちゃんのごとく」



                                      始まります







「ふ〜んだぁ!」

「なのはちゃ〜ん! なんだかよく分からないけど、もう許してよ〜」


    あれからずっとふてくされているなのは。

    裕里はそんななのはに必死に謝り続けていた。

    そのままにしておくと物理的な意味ではなく精神的な意味で後が怖い。

    特に一緒に住んでいるため家の中でも睨まれ続けるなど耐えられたものではないのである。

    と、丁度そんな時だった。

    裕里のポケットから携帯の着信音が流れる。


「ん? あ、メールだ」


    ポケットに入れていた携帯にメールが届いたらしく、裕里は携帯電話を取り出した。

    
「……なのはちゃん、メール見てもいい?」

「勝手に見ればいいじゃない、ぷん!」


    一々なのはに了承を取らなくてもいいはずだが、

    これ以上機嫌が悪くなるといけないので一応なのはに了承を取ってから裕里は早速メールを開いてみる。

    そのメールの差出人はと言うと……、


「あ、はやてちゃんからだ」


    差出人のところには『八神はやて』と書かれてあった。


「……はやてちゃん?」


    後ろでなにやら不穏な空気を纏い始めた

    なのはに裕里は全く気づくことはない様子ですぐにメールを確認し始める。

    『裕里くんに会いたいわ〜。だから今日会えへん?』

    一言そう書かれていた。

    ふむ、と考える。今日は特に予定はない。どちらかと言えば暇である。

    すずかとのデートは明日の日曜であり、今日は土曜日。

    特にやることなんて何もないのだ。

    まあ唯一ある予定としては、隣に居るなのはに何とか許して貰う事くらいだが……


「まあ、久しぶりだしいいかな」


    だが久しく会っていないはやての方をあえてなんとなく選択する裕里。

    やはりフラグ製造機であったか。


「はやてちゃんか……かわいい女の子なんだろうな〜……きっと……にゃはは」

≪Please do not grasp me master!≫
<私を握り締めないでください、マスター!>

「久しぶりだし楽しみだな」

「くぅ!」

≪It is broken!≫
<壊れる〜!>


    そして後ろで黒いオーラを放ちものすごい力で、

    レイジングハートを握り締めているなのはには全く気づいていなかったのだった。

    


    …




・海鳴公園


「『前に待ち合わせしたとこに来てや』か……」

    
    そして所変わって海鳴公園。

    あの後、なのはを何とか説得しようやく約束の場所まで来ていた。

    約束の時間より前に来れたことに安堵する。


「それにしても……家に帰るのが怖いなぁ」

    
    実は出かける際なのはに了承を取ってみると

    『行って来ればいいじゃない! ふ〜んだぁ!』と

    一応、許してはくれたのだが、とてつもないほど怒りを顕にしながら

    わざわざ恨みがましい視線で送り出してくれたので家に帰るのが恐怖だったりしている。


「今度、何かしないとな……なのはちゃん変に根に持つし」


    そう心に決める裕里。

    意外と裕里はアフターケアを忘れない性格だったりした――やはりフラグ製造機。

    とは言えそこまで頭が回るのはやはり一緒に住んでいて一番仲の良いなのはだからこそなのだ。


「ええと、もう来てるよね……あ」


    キョロキョロ、とあたりを見渡す裕里。

    と、ある場所に見覚えのある車椅子に座っている少女と金髪の女性を発見する。


「あ、はやてちゃん、あそこにいるの裕里くんですよ」

「ホントに? ああ〜裕里くんや」


    そして車椅子の少女、八神はやてと金髪の女性、シャマルも裕里の存在に気づいたらしい。

    裕里に向かってぶんぶん大きく手を振ってくる。


「相変わらず元気だな……でも、はやてちゃんらしい」


    裕里は元気なはやてを微笑ましく思いながらゆっくり近づいていく。


「あ、シャマル! 私、髪型おかしくないか!? 顔になんかついてないか!?」

   
    と、そのとき何故か急に焦りだすはやて。

    どうやら身だしなみを気にしているようだ。

    そこはやはり女の子、元気なはやてもやっぱり気にする。
  

「大丈夫です、はやてちゃん……と言うか、もうそれ五回目ですよ?」

「だ、だってぇ〜……友達にみっともない姿見せたないんやもん」


    なにが心配なのか情けない声を上げるはやて。

    こっちにまる聞こえなのになー、と裕里は苦笑しながらはやての前にたどり着いた。


「大丈夫、はやてちゃんは何処もおかしくないよ」

「ほ、ほんまか? 良かったわ〜……」


    本当に心配だったのか安堵の息を吐くはやて。

    隣ではシャマルがそんなはやてのことを見て笑っている。


「それで、今日はどうするの? まさかまた何にも考えてない?」

「ふっふっふ……」


    もしや、と裕里がそう尋ねると

    はやてはなにやら不敵に笑みを浮かべちっちっちっ、と指を振る。


「大丈夫やで〜今日はちゃんと計画してきたんや」

「っ!? え、えっと……はやてちゃん?」


    そう誇らしげに言うとはやては突然、裕里の手を掴んだ。

    驚く裕里。

    シャマルははやての隣で苦笑していた。


「今日は私の家にご招待や」

「あはは……だそうです」

「へ?」

   
    

    …




・八神家


「ふえ……ここがはやてちゃんのお家か〜」


    だらしなく口を開けてはやての家を見ている裕里。

    と言っても、少し大きいくらいのいたって普通の家なのだが。


「早く家に入ってや〜。いろいろ用意もしてるんやで?」

「はっ! う、うん、じゃあお邪魔します」

    
    だらしなく口を開けていた裕里ははやてに急かされ我に帰ると家に足を踏み入れた。

    
「えっと、靴を揃え……て……え?」


    そして家に入って靴をそろえようとした瞬間。

    ふと顔を上げた裕里は目の前にいた存在を見て驚愕した。

    何故なら目の前では、


「あふ〜……あ?」

「あ、あ、あ、あ、あ……お、狼ぃ!?」


    何と巨大な狼がだらしなく大欠伸をしていたのだ。

    それはそうであろう。

    目の前に巨大な狼が大口を開け何でも貫きそうな

    鋭い牙をこれでもかと見せつけていれば誰だって恐怖するはずである。

    と、直後はやてとシャマルが引きつった顔をしながら裕里の前に立ちふさがった。

    まるで狼を隠すかのように。


「い、いえ、違いますよ裕里くん。あれはその……そう犬です!」

「そ、そうや! ザフィーラは犬やで裕里くん!」

「あ……犬か……そうだよね。まさか狼なんているわけないよね〜……始めましてザフィーラくん」

「……わん」


    適当な理由を付けて説明するはやてとシャマル。

    納得する裕里。
 
    目の前の狼が、がっくり肩を落としたように見えたが見なかったことにした。




    …


    

「じゃ、じゃあ、気を取り直して……。裕里くんには、私の料理をご馳走するで〜」

    
    つまりはそう言うことだったらしい。

    なんでも裕里に自分の料理を食べて欲しいから家に連れてきたそうなのだ。


「はやてちゃん、お料理出来るんだね」

「ええ、そうなんですよ」


    感心したように言う裕里にシャマルは補足するように言う。

    それを聞いた裕里はさらに感心しながらそれなら、と行動に移った。


「じゃあ、僕もお手伝いするよ」

「え?」 


    裕里の申し出にはやては驚く。

    直ぐに申し訳なさそうな表情に変わった。


「嬉しいけど裕里くんはお客さんなんやから、なんか悪いわ〜……」

「大丈夫だよ。僕もお料理するの好きだし」

   
    料理が出来ると聞いたはやては目を大きく見開く。

    
「そ、そうなん?。……じゃあ、お願いしてもええかな?」

「うん、もちろん」


    そう言うわけで仲良く料理を作り始めた裕里とはやて。

    そんな二人を見ていたシャマルとザフィーラ。


「はやてちゃん、あんなに嬉しそうに」

「そうだな……時にシャマルよ」

「なに? ザフィーラ?」


    なにやら苦い顔をしたザフィーラを見てきょとん、とするシャマル。

    因みに裕里は料理作りに集中しているためザフィーラが話していることに気がついていない。


「あの少年は、大丈夫なのか?」

「……そうね」


    シャマルはザフィーラの顔を見てすぐに理解する。

    ただ主が心配なのだろう。

    自分もいつも心配しているし他の仲間もいつも同じ顔をしているから尚更、理解できるのだ。


「あの少年には魔力があるな。それも尋常ではないほど強力な」

「……うん。制御はまだ、不安定みたいだけど」


    シャマルはコクッ、と頷く。

    どうやらザフィーラ共々、裕里の魔力に気が付いているようだった。


「……それに裕里くんが首にかけてるネックレスはたぶんデバイスよ」

「やはりか……。シャマル、あの少年は我らの行動の障害になったりしないか?」


    ザフィーラの言うことも最もである。
 
    強力な魔力を持ちデバイスを持っていると

    言うことは管理局の人間である可能性も高いということだからだ。

    少し考えるような仕草をするシャマル。

    どうやら自分の考えを纏めているようだ。


「うん」


    しばらくして、ようやく結論が出たのかザフィーラに向かい合うと静かに話し始めた。


「あの子は、まずはやてちゃんのお友達よ」

「うむ」

「そしていつも無邪気でホントに純粋で、それに……それにね」


    そこでいったん話を区切るとシャマルは途端に優しい笑顔を浮かべた。


「裕里くんの笑顔を見ているとね、

 例えそうだったとしても大丈夫な気がしてならないのよ……なんでかしらね……」


    ザフィーラはそんなシャマルを見ながらそうか……、と

    自身もはやてと楽しそうに料理をする裕里の方をじっ、と見つめるのだった。

    


    …




「それじゃあ、今日はもう遅いから帰え」

「イヤや!」

「……はう」

    
    あれから裕里は、はやてと仲良く料理を作り出来た料理を

    シャマルとザフィーラも交え仲良く食べた後、沢山お喋りをしたりなど楽しい時間を過ごした。

    だが、ふと時計を見るともう結構、遅い時間。

    冬なので日が落ちるのも早く外はもう暗かった。

    そろそろ帰らないといけない時間だな、と思い立ち上がるとその瞬間はやてに手を引っ張られた。


「イヤやぁ〜裕里くん今日はこのまま泊まって行ってやっ! まだ帰ってきてない子らもおるんやで〜」

「は、はやてちゃんたら……」

「あはは……」


    本気で言っているはやての顔を見て裕里とさらにシャマルも苦笑する。

    でもこれ以上遅くなると高町家のみんなも心配するので帰らないといけない。

    裕里ははやての手を笑顔で優しく握る。


「はやてちゃん、また遊びにくるよ。じゃあそのときにでもお泊りしようかな」

「え?」

    
    そして次、遊びに来るときの為の約束をした。   

    当のはやてはまさか今日じゃないと言え

    『お泊りする』と言ってくれるとは予想していなかったのだろう。

    とても驚いた表情となっていた。


「裕里くん、ほんまに今度お泊りしてくれるん?」

「うん、本当に」

    
    と、はやては裕里の体から名残惜しそうにしながらも静かに離れていった。

    
「じゃあ……今回は我慢したる。でも次はぜったい、ぜ〜たいやで?」

「うん、絶対に」


    はやては裕里の”絶対”と言う言葉を聞いて満面の笑みを浮かべる。

    そんなはやての笑顔を見て裕里は素直にかわいいと思ったのであった。

   
    

    …




「はあ〜……裕里くん帰ってしもうたな。寂しいわ〜……」

「もう、はやてちゃんたら……もうすぐシグナムたちも帰ってきますから」

   
    裕里が帰った後。

    はやては寂しそうに玄関のほうを向いていた。

    そんなはやてにシャマルは苦笑しながらも優しく車椅子を押してリビングに連れて行く。

    はやても仕方ないと言う風にため息を吐いてはいたがシャマルに身を任せている。


「そうか……我は犬か……犬……」


    ちなみにザフィーラは裕里が来たときに言われた『犬』という言葉を連呼しながら黄昏ていた。

    まあ仕方ないであろう。

    シャマルは哀れね……、とザフィーラの後ろ姿を見つめていた。


「あ、そう言えば〜」

「はい? どうしましたはやてちゃん?」


    と、はやてがシャマルの方を向く。

 
「最近は皆、外出が多いな〜……。もしかして私に隠れて何かやってるんとちゃう?」

「むぐっ」


    そう言えば、と最近のシャマルたちの外出の件について聞いてくる。

    しかしもちろん言うわけにはいけないシャマルは案の定、焦った。


「そ、そんなわけないじゃないですか〜あはは〜もう〜……」


    す、鋭い……。
 
    はやての鋭い発言にシャマルは冷や汗をかく。

    なんだかんだ言っても八神家の主でありお母さんであるはやてはかなり鋭いところがあるのだ。

    故にいきなり今みたいなことを聞いてくるので恐ろしい。


「ほんまに……ほんまか?」

「ほ、本当ですよ〜……」


    シャマルははやての追求から逃れたい一心で助けを求めるようにザフィーラのほうを向く。
 
    だが当の本人は窓の外を見つめてため息をつきまくっており役に立たない。


「(……何か、丁度いい言い訳は……えっと……うう〜んと……)」


    最終手段として適当に嘘でもついてごまかそうかと考え始めた丁度そのときだった。

    家の扉が開く音が聞こえる。

「お」

「あら?」

「犬……犬……わんわん」
 

    と、ドタドタと元気の良い足音が聞こえてきた。

    部屋へのドアが勢い良く開かれる。


「ただいま〜! はやて〜!」

「ただいま戻りました主はやて」


    部屋に入ってきたのは

    活発そうな赤い髪の小柄な少女とピンク色の髪をポニーテールにしている背の高い女性だった。


「あ、お帰り〜ヴィータ、シグナム」

「お、お帰りなさ〜い!」

   
    丁度、外出していた八神家の住人たちが帰ってきたらしくはやての興味がそちらに向く。

    シャマルは安堵の息を吐いた。

    
「はやて、今日の晩御飯はなんだ?」

「今日はシチューや」

「やた〜!」


    ヴィータと言われた少女は

    はやてに晩御飯のメニューを聞いてよほど嬉しかったのか万歳して喜んでいた。


「まったくヴィータは……」

  
    その後ろでシグナムはヴィータのことを見ながら呆れている。


「シグナム、今日はどうだった?」


    と、シャマルはその女性に駆け寄る。

    はやてに聞こえないように早速今日の成果について聞いてみた。


「今日はそこそこだな。まあ、まだ全然であることに変わりはないが……」


    シグナムはふう、とため息を吐きながら報告をする。

    あまり成果が上がらなかったことに対して思う所があったのだろう。


「と言うか……ザフィーラは一体何をしているのだ?」


    シグナムはおかしなことを呟くザフィーラを指差す。

    するとシャマルはうつむいて哀れむような表情になった。

    はやても後ろで苦笑している。   


「それについては触れないであげて……」

「あはは〜……」

「……ま、まあいいか。で、では私は風呂に入ってくる」

「ええ、分かったわ。じゃあ、シグナムがお風呂を上がってからご飯にしましょうか?」

   
    それを聞いたヴィータが抗議の声を上げた。


「ええ〜! 先にご飯食べようぜ〜アタシお腹ペコペコだよ〜」

「まあ待て、風呂が先だ」

「別にいいじゃんか、お風呂くらい」


    と、シグナムがじろりとヴィータを睨む。

    どうやら今のヴィータの発言が気に入らなかったらしい。

    
「……その発言、取り消せヴィータ」

「あんだよシグナム、アタシは取り消さね〜ぞ、ご飯が先だ」

「……仕方あるまいな。風呂を侮辱した罪、その身で償ってもらおうか!」

「上等!」


    瞬時に距離をとるシグナムとヴィータ。

    睨み合う。


「もう、喧嘩はあかんで2人とも」

    
    と、そこではやてが仲裁に入った。

    シグナムとヴィータは睨み合うのをやめる。


「し、しかし主はやて」

「けどよ、はやて〜」

「ダメなものはダメや〜……それとも私の言うこと聞けんの?」

「「ぐぅ!?」」


    しかしはやてに口で勝てるはずもなく言いくるめられてしまう二人。

    はやてはしゃあないな、とため息。

    その様子を見ていたシャマルは苦笑いを浮かべた。


「もう、ヴィータちゃんならまだしもシグナムまで……仕方ないんだから」


     ふとシャマルは思った。

     この平和な日常。

     いつまで続くのだろうか?

     いつかは消え去ってしまうのだろうか?

   
「大丈夫よね、きっと。……私もみんなも居るんだし」

     
     シャマルは頭を振ると、キッチンに向かって歩いていく。

     いずれ終わりは必ず来る、それは自分たちと人間との差で。

     でも、それでも終わりが来る日までずっと主のそばに居たい。

     その為ならどんなことだってやってみせる。

     そう心に誓うのであった。
 
      

     
 


                            魔法少女リリカルなのは 白銀の光をもたらす者



                               第二話「はやてちゃんのごとく」完









あとがき


ようやく終わった本編第二話。

若干、最後あたりが詰め込みまくっている感がありまくりですが

それは作者の腕のなさだと思ってご了承ください、はあ。

ところで今回は、はやてに会うというストーリーだったんですが

まあ、これで大丈夫かな?、と思っています。

今の状態は裕里のみはやての知り合いと言うことですが、

これからこの関係の影響がどうストーリーに出てくるのか

作者自身もまったく分かりませんがどうにかおかしくない程度に

書きますのでどうぞ読んでくださると幸いです。


それでは今回も読んでいただきありがとうございました

次はクロスのほうでお会いしましょうです〜。


※(後に少し修正しました)
メンテ
Re: 白銀の魔法使い ( No.47 )
日時: 2009/06/29 01:51
名前: ふぁんふぁ 



    コツ、コツ、コツ、コツ・・・・・

「今からお昼ご飯って言うのもなんですから・・・何かお菓子でも作りましょう」

   
    春音はあの後―――さすがお昼ご飯を作るのもに遅いと考え、おやつの時間に合わせてお菓子でも
   
    作ろうと廊下を歩きながら思案していた。

    いつもなら春風と光太、仕事から帰ってきているときには夫の聖人の分くらいしか作る機会がないのだが

    今日はシアやネリネ、ユーストマやフォーベシィもいる・・・特にユーストマは見た目通りたくさん召し上が

    られるお方なので若干気合が入っているらしい。

    と、ちょうどそんなとき・・・

   
    ピンポーン!

「あら? お客さんね、誰かしら?」

    
    チャイムの音に気がついた春音はキッチンとは正反対の方向にある玄関に向かうために

    くるりと方向転換をする。


「・・・ふう、でも良かったです、キッチン遠いからここでチャイムの音が聞けて」


    キッチンからだと玄関は遠いので若干安堵しながらいそいで玄関に向かう。

    そして春音はすぐに玄関にたどり着き扉を開け巨大な門のほうを見た。

    するとそこにいたのは一人の少年・・・


「あら・・・こんにちは♪」

「こんちは〜!!」

 
    挨拶をするとそれに元気よく返事を返してくる目の前の少年、春音はその元気の良い挨拶に

    思わず笑ってしまう。


「ふふふ・・・春風ちゃんなリビングにいますから、どうぞお入りになってください」

「はい! じゃあお邪魔します!」

  
    少年はさらに元気よく返事をすると、どたどたと家に上がっていく。

    そんな少年の後ろ姿を見ながら春音は思う。


「最近はよく来てくれますね〜・・・なんだかんだ言っても春風ちゃんを心配してくれていますから・・・」


    昔から家族ぐるみの付き合いがあったとは言え兄妹でもない裕里と春風をいつもぶっきらぼう

    に言いながらも心配してくれている少年に春音はいつも感謝をしていた。


「あ・・・そうだ・・・あの子も来ましたし、お菓子をもっとたくさん作らないと♪」


    さらにお客さんが増えたことで作る量が増えたお菓子にさらに気合を入れながら

    ゆっくりとキッチンに向かうのだった。
  

    



                               白銀の魔法使いクロス 春の風が吹く丘で




                                  第二話「”俺様”水上将斗」



                                        始まります






「よ〜し、ロイヤルストレートフラッシュ!!!」

「ロ・・・ロイヤルストレートフラッシュ〜〜〜〜!?!?」

「・・・・春風ちゃんには・・・・か、勝てませんね・・・・」


    春風とシアとネリネはあのあといつまでたっても誰も来ないので暇になりポーカーをしていた。

    ちなみに結果は春風たちの会話を見ての通りである。


「うう〜・・・さっきから春風ちゃんのカードはフルハウス以下を見たことがないッス・・・」

「ふっふっふ〜トランプでは負けたことないんだよ〜♪」

「はあ・・・結構自身あったのですが・・・」

   
    春風の鬼のように強い意外な特技が発覚しそれにシアとネリネは完膚なきまでに

    叩きのめさせられていた――――丁度そのときだった。

    バン!と言う音と共に部屋の扉が勢いよく開かれる。

    それに驚き春風たちは入り口のほうを振り向く。


「・・・・・・・・・・」

 
    そこにいたのは春風たちと同じ年代くらいの少年――――目つきは鋭く、髪の毛は

    つんつんでぱっと見た感じの色は金色に見える明るい茶髪だ。

    さらに纏っている空気はなんとなくとっつきにくそうな感じで

    シアとネリネは少し怖いと感じる・・・

    だがそんな2人を尻目に春風は嬉しそうにその少年に駆け寄っていく。


「しょーくん!! こんにちは♪」

「おう、いい子にしてたか? 春風」

「むぅ! 春風はいつもいい子だもん!!」

「はっはっは、そうだったな!」


    頬を膨らませる春風・・・少年はそんな春風を見て笑う。

    そんな光景をシアとネリネは見ながら固まっていた。


「だが・・・・それにしても・・・・」


    と、少年はそのまま後ろで固まっているシアとネリネをもの珍しそうにじろりと見る。

    その視線にさらに固まるシアとネリネ、目つきが悪いのでにらまれているように見えるのだ。

    さらに面と向かって男の子と話したことなどもないのかもしれない、固まっているだけでなく

    顔も若干引きつっていた。


「なあ・・・・お前ら・・・・誰だ?」

「・・・・(うう〜睨まれてるよ〜!)」

「・・・・(どうしましょう・・・)」


    そしていきなりコイツら扱いで話しかける始末・・・

    2人は余計に固まる・・・と言うかすでに泣きそうだった。


「・・・? おい、お前らなにか言ったらどう(ビシッ!)痛てぇ!」


    話しかけても何の反応も示さない2人に業を煮やしたのか少年が少し強く話しかけようとした・・・
    
    その瞬間!春風が少年の頭をぺしん!と叩いた。

    それが結構強かったのか少し痛がるそぶりを見せると春風を睨む。 


「いきなりなにすんだ春風「めっ!」・・・はぁ?」

「しょーくん、め〜なの!! そんな風に話しかけたら2人とも怖くてお話できないでしょ!」

「は? い、いきなり何を・・・」 

「それにしょーくん、ただでさえ目つきが悪くて話かけづらいのにぃ!」

「!?・・・そ、そう・・・なの・・・か?・・・・・そ・・うなの・・・か・・・・そう・・・か」

   
    春風に言われたことが結構ショックだったらしくズーンと擬音が聞こえてきそうなくらい

    に落ち込んでいく少年。

    それを見たシアとネリネはさすがに可哀想だと思ったのか苦笑いを受かべる。


「あはは・・・・・・え、えっと、あ! そ、そうだ! お名前教えてほしいッス!」

「そ、そうですね! まだ聞いてませんでしたね!」 

    
    と、そこで何とか話題を切り替えようとシアとネリネはそうだ!とそう言えば

    まだ聞いていなかった少年の名前を聞いてみることにした。


「・・・ん? 俺の名前?」 

「そうッス!」

「(コクコク!)」

「そう言えばまだ名前、言ってなかったな・・・・・・俺の名前は水上将斗(みずのかみしょうと)だ」

「しょーくんだよ♪」

「じゃあ、私はしょーくんで行くッス!」

「私は・・・その水上くんと呼びます」

「ああ、好きな風に呼んでもらってかまわない」


    そして自己紹介と呼び方も決まりうまいこと話をそらす事にシアとネリネが成功したところで

    将斗は何か思い出したらしく、そうだった・・・と自分の指を前に出した。

    それにつられて将斗の指を見る春風とシアとネリネ、そこにはその指に似つかわしくない

    程の綺麗なダイヤモンドのような宝石が装飾された大きな指輪がはまっていた。


「そう言えばこいつを見せに来たんだった・・・」

「わぁ〜綺麗な指輪だね〜♪」


    春風はキラキラした目でその指輪を見つめる、隣のシアとネリネも同様だ。

    そこはやはり女の子、綺麗な指輪などに興味があるのは仕方がないのである・・・だがまあ

    シアとネリネはもちろんのこと春風も本物の指輪でも簡単に手に入りそうな気もするが・・・

    そんなことは考えもしていないのだろう。


「ふっ・・・コイツをそん所そこらの指輪と一緒にしてもらっては困るな・・・」

「へ? どう言うこと?」


    将斗は自慢げに指輪をひとなでするとニヤニヤしながら


「おい、ジークルーネ、挨拶しろ」


    なんと指輪に向かって話しかけたのだ。

    そんな将斗を見た春風たちはどうかしてしまったのかと驚く。


「しょ、しょーくん?・・・・ど、どうしたの? もしかして頭でも打った<Yes>・・・へ?」


    突然聞こえる声・・・春風はその声が聞こえてきたほうをたどる・・・必要もなかった。

    なぜならその声は目の前の将斗の指輪から発せられたからだ。

 
「はは、驚いたか? コイツの名前はジークルーネだ」

 ≪Nice to meet you≫
 <始めまして>

    
    将斗はしてやったりといった感じで、ニヤリと嬉しそうに笑みを浮かべながら

    指輪「ジークルーネ」の紹介をし「ジークルーネ」と呼ばれた指輪自身も挨拶する。


「・・・・ど・・・・どうなってるの!?」

「ゆ・・・指輪がしゃべってるッス!!!」

「に、人間界の科学力はホントにすごいんですね!」

  
    それには3人とも目を見開いて驚いた。まあ・・・無理もないだろう。

    喋るロボットくらいなら春風も、もしかしたらシアとネリネも見たことが

    あるかもしれないが喋る指輪など普通ありえないからだ。


「こいつは何でも”インテリジェントデバイス”?とか言う奴らしくてな、父さんが「いつか必ずお前を

 助けてくれるはずだから持っていなさい」って言ってくれたんだ」

「ふえ〜・・・すごいね〜・・・・」


    もう驚くしかない春風たち・・・と言うか興味津々であった。

    
「まあ、そんなわけで・・・俺の用はジークルーネの紹介で終わりなんだが・・・」

「ええ! しょーくん、ルーネちゃん見せるためだけに来たの!?」

「ああ、まあな・・・・・・と言うかルーネちゃん?」

 ≪...rune?≫
 <・・・ルーネちゃん?>

「ルーネちゃん・・・私もそう呼ぶッス!」

「かわいいですね♪」

 ≪....Yes,Thus is it good≫
 <・・・・はい、それでいいです>

「な!? お、おい! ホントにいいのかジークルーネ!? 嫌な事は嫌って言ったほうがいいと思うぞ!?」

 ≪...I do not dislike it?≫
 <・・・別にキライじゃないですけど?>

「だったらさっきの間はなんだよ、おい」

 ≪Is it the promise that I do not say...contractor≫
 <それは言わない約束です・・・契約者>

「約束してないし! そもそもお前と会ったの今日が初めてだしぃ!!」


    こうしてシアとネリネは水上将斗と不思議な指輪ジークルーネと出会った。

    そして後にこの出会いは重要な意味を持つこととなるのだが・・・


「あは♪ とってもいいコンビだね〜♪」

「あはは、ホントッス♪」

「ホントですね♪」

「・・・若干不服だ」

≪...Similarly≫
<・・・同じく>


    それはまだ、未来のお話・・・

    ・
    ・
    ・
    ・
    ・

「ママの作ったお菓子はやっぱりおいしいね♪」

「本当においしいッス!」

「・・・お料理・・・ううう、おいしい・・・なんで私は出来ないんでしょう・・・」

「もぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐ・・・・・」

「やるじゃね〜か坊主! 俺も負けてらんね〜な! ガツガツムシャムシャ!!」

「・・・神ちゃん、大人気ないよ・・・」

     
    そんなわけであの後、春音がお菓子が出来ましたよ〜と呼びに来たので現在はみんなでティータイム。

    異常な量のクッキーやケーキはたまたプリンやゼリーを食べていた。

    まあ、将斗とユーストマは恐ろしい勢いでお菓子を貪り食っているがそこはスルーだ。


「そうだ・・・春風ちゃん、シアちゃん、ネリネちゃん君たちに言っておかなければならないことがあるんだ」

「「「?」」」


    と、そのときイスにすわり紅茶を飲んでいた光太が何か言っておくことがあるらしく

    そうだ・・・と、春風たちのほうを向く。

    そして3人はお菓子をほおばりながらはてなマークを浮かべる。


「さっきシアちゃんのお父さんとネリネちゃんのお父さんと話し合ってね」

「「「話し合って?」」」

「実は、今日から二週間、四人がこの家に滞在することに決まったんだ」

「「「!?」」」

 
    それを聞いて驚く春風、シア、ネリネの3人。

     
「そうなんだよ、二週間も長期滞在するならやはり知り合いの家に泊まったほうがいいだろうと思ってね」


    それに続いてフォーベシィが補足を入れる。


「もぐもぐもぐもぐもぐもぐ!!! ま・・・・負けねえ!!!!」

「がつがつがつむしゃむしゃむしゃ!!! 俺も負けねえぞ、坊主!!!!」

「・・・・はあ、急いで食べなくてもまだたくさんありますよ?」


    さらにその後ろでは漢の戦いが繰り広げられており春音はため息をつきながら様子を見守っている。

    そんな中で驚きながらも顔を見合わせていた3人だったが・・・すぐに顔が笑顔に変わる。


「じゃあ・・・今日からよろしくね、シアちゃんネリネちゃん♪」

「はい! よろしくお願いしますッス!」

「こちらこそ・・よろしくお願いします♪」


    嬉しそうに手を握り合う3人・・・そんな様子を見ながら漢の戦いを繰り広げている2人以外は

    優しそうな笑顔でその光景を見つめているのだった。


    




    

  




                               白銀の魔法使いクロス 春の風が吹く丘で




                                  第二話「”俺様”水上将斗」完











あとがき

 
・・・・あとがきです。

ヤバイ今回はヤバイ・・・時間かけすぎました。

しかも二度最初から書き直す始末・・・なにやってんだという感じです。

そして結構無理やりな感じになっていますが・・・ご了承ください。

そして話は変わりますが今回はタイトルどおり将斗くんを出しました!

ちなみに指輪「ジークルーネ」は・・・まあなんなのか分かりますよね(笑)

それと近頃悩みすぎで読んでいるのに他の作家さんの感想がかけていないので・・・

これを機に一気に書こうと思っております!

分けが分からない方もいらっしゃるでしょうが作者の申し訳ない気持ちを書き

表したかっただけなのでご了承ください。


それでは今回もここまで読んでいただきありがとうございました!
メンテ
Re: 白銀の魔法使い ( No.48 )
日時: 2009/07/02 18:52
名前: ふぁんふぁ 

 心奏と奏者について


・心奏とは裕里の世界に生まれた人間のみにまれに覚醒する特殊な魔法レアスキルであり使うものは絶対的な力を手に入れる
 ことが出来る・・・だが強い力であるが故にその反動も大きく使いすぎれば心を崩壊させたり死に至る事もある。さらにそれ
 だけでなく最悪の場合、自らの世界を消滅させることも十分にありえる。
 
・心奏の別名は「破滅を呼ぶ力」でその昔、裕里たちの世界のとある国は心奏の暴走によって一夜で跡形もなく
 消滅し、奏者以外の人間はその国があったということすべて忘れた、と言う事件があったほど。

・心奏は多くても一日に最高5回が限度。

・心奏は人によって異なり万能の力と言うわけではない。

・精神力の強さ=心奏の強さ、である

・心奏は心の具現化であるためどこかで自分の使える力に対するイメージがある。
メンテ
Re: 白銀の魔法使い ( No.49 )
日時: 2009/07/17 02:31
名前: ふぁんふぁ 



・高町家道場


「ほにゃ〜……」


    ある日曜日の朝、高町家の道場ではため息をついている一人の少年がいた。


「あれ? どうしたの裕里くん」

「なんか元気がないな?」


    その名はもちろん空咲裕里。

    目の前で修練をしていた高町家の長男である恭也と長女である美由紀が修練を途中で止め

    心配そうに裕里の様子を見つめている。

    そんな心配してくれている二人に裕里は少し疲れたような、と言うか少し怖がるような

    表情をしながら二人のほうに顔を向けた。


「うう〜……実は昨日からずっとなのはちゃんに睨まれてるんです……」


    そして不意に手を後ろに回し道場の入り口のところをほら……と、指差す。

    それにつられてそちらのほうを向く恭也と美由紀。

    するとそこには、


「「っ!?」」

「……む〜」


    恨みがましそうな目をしたなのはがじ〜とこちらをのぞいてた。
 
    背後にはなにやら不吉な黒いオーラがあり、正直、かなり怖い。 


「な、なの……は?」

「ま、まさか妹がいたことに気がつかなかったとは……ふ、不覚だ……」


    二人とも気がついていなかったらしく驚くというかビビる。

    恭也にいたっては若干剣士としてのプライドが傷ついたようだった。


「なんででしょうか……」

「うう〜ん、なんでかな〜……そう言えば裕里くんって今日どこかにいくんだよね?」

「え? あ、はい、すずかちゃんと……その……『お出かけ』らしいです……あはは〜……はぁ」

「あはは、なるほど……」

「なんでだろうな〜……何か悪いものでも食べたのか?」


    裕里のため息に原因を突き止めた美由紀は、裕里くんもいろいろ大変だね、と内心

    で苦笑するがもちろん言葉には出さない。

    ちなみに後ろでは恭也が未だに気がついていないらしく検討違いのことを口に出しながら悩んでいたのだった。

   
     


      



   
                           魔法少女リリカルなのは 白銀の光をもたらす者




                      第三話「美少女とデートが出来るからと言って勝ち組とは限らないのです」
                  


                                      始まります 








・海鳴公園


「う〜ん……なんか最近、公園来る回数が半端ないような気がするよ……昨日も来たし」


    朝ごはんを食べ逃げるように海鳴公園に走ってきた裕里。

    すずかとの待ち合わせの場所はここだと本人よりメールが来たのだ。

    ちなみにメールの内容は

    『裕里くんへ(は〜と)日曜日、海鳴公園に

     朝十時に来てくださぁい もし来なかったらぁ〜……あははははははははぁ』

    こう言うものであった。

    
「(早い話が……来なかったら、死?。いやいや、それはないな確実に……。

  逆に死なれると楽しみが無くなるとか言われそうだし。それもいろんな意味でやばいけど……うう……)」


    そうこうしているうちに、裕里は見覚えのある紫色に見える髪色をした少女の後ろ姿を見つける。

    見たところ反対方向をじっと見つめて微動だにしない……訳でもなく若干プルプルしている。
    
    たぶん裕里が来ていることに気がついているのだろう。

    もう、どうせ逃げられる訳もなく、

    無論、逃げるつもりなんて微塵もない裕里はとりあえず話しかけることにした。


「……すずかちゃん、こんにちは」

「あ! 裕里くん、待ってたよ」

   
    裕里が声をかけると、少女すずかは嬉しそうに裕里に駆け寄って行く。

    それを裕里も笑顔で待つ。

    なんだかんだ言っても裕里はすずかのことがキライではない、むしろ大切な友達なのだ。


「あはは、じゃあ今日は何処に行くの?」

「えっと、それはね」

  
    と、ようやく2人が待ち合わせ場所で会ったところで

    裕里とすずかは気がついていないようだが二人がいる場所からそんなに遠くない

    木の陰に――なにやら怪しい五つの影。


『こちらF、これより追跡行動に入りますです、アルちゃん。オーバー』

『了解、こちらA……妾もこれより追跡任務に入るぞ、ファリンよ。オーバー』


    と言うか名前がバレバレ。

    五つの人影のうちの二人は名前を頭文字で呼んでいる意味がないことに気がついていないファリン、アルである。

    しかも距離にして十センチ内でトランシーバーを使っているがもちろんこれも意味がない。 


「はぁ……なにやってんのかしらねこの2人は……」

「あははは……」

「にゃはは……こ、ここまでするんだ……」


    さらにその後ろではダメだコイツらホントにどうにかしないと、と頭を抱えているのは

    五つの影のうちの残りの三人――無理やりつき合わされているアリサと音夢。

    さらに裕里とすずかのデートを追跡すると連絡が入り一応来てみたがその方法に若干引き気味のなのはだ。


「あ、二人はどうやら移動するみたいですよ!」

「気づかれないように、追跡だ!」


    そして移動し始めた裕里とすずかを今の距離を保ったまま追っていく二人。

    まるで某蛇のようなスニーキングである。


「あ、待ちなさいよ!」

「置いていかないでくださ〜い!」

「は、早いよ〜!」


    そんな2人に置いていかれないようにとアリサと音夢となのはも慌ててファリンたちを追いかけていくのだった。




    …




「……ふむふむ、やっぱり」

「ん? どうしたのすずかちゃん?」

「え? ううん、何でもないよ」


    裕里は待ち合わせ場所ですずかとあった後、早速案内されて目的地に向かっていた。

    なんでも目的地は何箇所かあるらしいのだが今のところは秘密とのこと。

    いつもならすずかに秘密、とか言われると恐怖なのだが今回は何故か

    すずかの笑顔から悪意、と言うか女装させようとするときのあの恐怖感が感じられない。

    故に裕里は少し安心していたりした。

    ちなみに何処に連れて行かれるかが分からないので完全に安心したわけではない。


「と、さあ、着きました」

「……」


    そして言葉通りすぐ目的地についた。

    裕里はその場所を見て一瞬言葉を失う。


「え? ホントに……ここ?」

「そうで〜す」


    すぐに我に返り裕里はすずかに聞き返すがどうやら本当にここが目的地らしい。

    その裕里が連れてこられた場所とは……


「か、カラオケか〜。良かったよ〜……」


    なんとカラオケ。普通のカラオケ。以外にもカラオケ。

    まさかの普通さに裕里は若干拍子抜けした。

    いつもよりはすずかから感じる恐怖感がましとはいえとんでもないところに

    連れて行かれるんじゃないかと内心ひやひやしていたので余計にそう思う。

    それほど裕里の中では女装がトラウマ化していたのだ。そのうちさらにとんでもないことを

    させられるんじゃないか、とかも考えてしまっている。

    特にあのスク水はやばかった、と昔を思い出し今更ながらに思う裕里。

    だが、安心したせいか油断していたようだ。すずかの目がキラリ、と光る。    


「あれれ〜? もしかしてぇ〜期待してたの? お着替えタイム?」

「ええ!? いやいやいやいや! ま、まさか、あはは……」


    ちなみに裕里がお着替えタイム を全力で否定したのは言うまでもない。

    いろいろやられたがまだ男としての尊厳は捨てたつもりはもうとうないのだ。

    そしてこれからも捨てるつもりはない、と思いたい。


「あはは、冗談だよ冗談」

「(冗談に聞こえないのです……)」

「こんなところで話してるのもなんだし早く入ろう?」

「う、うん」


    そんなこんなで店内に入っていくすずかと裕里だった。




    一方、そのころ




「……カラオケ店に入って行きましたね」

「カラオケ?……からおけ……ふむ、新しいからあげの一種か?……は!? 

 それとも、も、もしかして唐傘お化けオンリーのお化け屋敷!? そんなのイヤだぁ〜!」


    裕里たちがカラオケに入っていくのをじっと物陰から覗いているファリン。

    その後ろでは背が低いアルが見えないためファリンの言葉を聞いて妄想しながら分けが

    分からないこと叫んでいる。と言うか後者はかなり無理がありすぎる解釈。

    トラウマなんだろうか、顔が引きつっている。唐傘お化けに。


「ん〜……アルちゃんが、何を言っているのか

 よく分からないけど、カラオケって言うのはね、お化け屋敷じゃなくて歌を歌うところだよ?」

「なに!? う、歌? そうか歌か、唐傘お化けじゃないのか……」


    親切にアルに説明してあげるなのは。

    お化けが嫌いなのか心底安心したような表情を浮かべているアル。


「ねぇ、まさかここで出てくるの見張るつもり?」

「それはそれで、なんとも辛いですね……」


    さらにその後ろではうんざりした様子のアリサと音夢。

    すでに疲れているらしく少し休みたいらしい。

    ちなみに全員物陰に隠れながらぶつぶつ小声で話しているので他の通行者からは奇怪な目で見られているが

    まったく気がついていないのはなのはたちらしい。変なところで鈍感である。


「うむぅ、確かに少し疲れたな」

「うん、歩きっぱなしだったもんね……」


    そんな奇怪な目で見られていることなど露知らず

    アルとなのはもアリサたちにうなずく。

    歩きっぱなし、さらには隠れながらなので神経を常に尖らせていなくてはならず余計に疲れるのだ。


「じゃあ、私たちも入りましょうか? どうせカラオケなら二人とも一時間くらいは居るでしょうし」

「はい〜……」

「そうしましょ……」

「はい……」


    ファリンの言葉に同意するなのはとアリサと音夢の三人。

    そんなこんなでなのはたちも裕里たちに続き休憩もかねてカラオケに入って行くのだった。




    …




「なに歌う? すずかちゃん?」

「う〜ん、と。……裕里くんは?」

「えっと僕はね〜……」

    
    部屋に案内されて早速なにか歌おうと番号が書いてある本を見ている裕里とすずか。

    一緒に仲良く一冊の本を見ている。本は二冊あるのに。

    さらに二人の距離は、かなり近いのだが裕里はまったく気にしていないらしく、

    すずかにいたってはたぶん気づいているが満面の笑みを浮かべているだけだ。

    ……何故かすずかの鼻息が少し荒いような気がするのは気のせいだと願いたい。


「じゃあ、これにしよ」

  
    ピポパポとリモコンを操作し番号を入力する裕里。

    入力し終わると一曲目なのですぐに曲のイントロが流れ始める。


「あ、始まったよ」

「うん、じゃあ歌うね」

    
    そして裕里がイントロにあわせて歌を歌い始めた。


『慰めながら、不謹慎だけど〜泣いてる顔も、綺麗であせるよ〜 

              友達の距離、少し縮めたら〜君は愛しい、壊れ物だった〜』

「……うわ……」


    すずかは裕里の歌を聴いて驚く。とても上手いのだ。


『挫けず、夢を見ることは〜自分と、戦ってること〜 

              日ごとに、増える擦り傷を〜自慢してもいいくらいさ〜』

「……すごい……」


    とても澄んだ声。

    綺麗な歌声に思わずすごいと声を上げてしまったほどだ。   
    

『空は飛べないけど〜翼ならあげよう〜……』

「……とっても上手……」


    そのまますずかは裕里の意外な特技に驚きつつ歌を静かに聴き入っていったのだった。

    

   
    そしてもちろん忘れてはいけない、そのころのなのはたちはと言うと。




『あなたが〜いてくれるなら私は笑顔でいます〜元気です〜』

「そうにゃんでしゅよ〜! ひっく……あにゃたがいてくれるなら元気にゃんでしゅ〜!」

「なんでぇ〜なのだ〜! そんなにおもちゃにされりゅのがいやにゃのか!」

  
    なのはは普通に歌っていた。

    そしてファリンとアルは全力全開だった。

    それはもういろんな意味で全力全開、顔をまっ赤にしておりろれつも回っていない。

    早い話が全力全開で酔っぱらっていた。

    と言うかもう愛とか関係なしでいろいろ危ないだけだと思うのだが……。


「……どうにかして」

「と言いますか、何故に酔っているんでしょうか、確か普通の飲み物だけ頼んだはずですよね?」


    このカオスに頭を抱えているアリサと音夢。

    今日だけですでに何回頭を抱えたことか――二人とも、もう覚えてすらいない。

    もうご愁傷様としか他に言いようがないのだがこんな状況でも放って帰ろうとしないのは

    さすがとしか言いようがなかった。

    ちなみに伝票に、

    『ウーロン茶×2(ふはははは! 杉並参上! 俺からのサービスだ、ウーロンハイにしておいた!)』

    と書かれてあったのだが誰一人として気がついてはいなかったのだった。

   
 

    …




「はー。今日は歌ったねー」

「うん、裕里くんたくさん歌ってたね」

「あはは、歌いすぎて喉がいたいよ」


    あの後、二人合わせて十五曲くらい歌ったところで終了時間が来てしまい

    カラオケを出た裕里とすずか。

    今現在はまた別の場所に向かっているのだがやっぱり目的地は秘密らしく

    裕里はすずかに案内されながら一緒に仲良く歩いていた。

    だが案内されながら、なんとなく覚えのある道だと気づく、たしか一度、通ったことがある。

    あの時は確か音夢の付き添いをアリサに頼まれなのはと三人で一緒にこの道を通ったはずだった。

    まあ、そのあといろいろ戦闘やら音夢さんのアル無双があったりして大変だった記憶があるが、

    それは心の中に仕舞っておく。理由は怖かったからそして敵とはいえウイルスが哀れだったから。

    それからしばらく歩く、と特にたいした時間もかかることなくすぐに目的地に到着する。


「今日はすずかちゃん……図書館にご用があるの?」

「うん」

  
    その場所とはもちろん図書館。

    因みに裕里がはやてと初めて出会った場所でもあったりする。


「実は借りたい本があるの」

「そうなんだ。じゃあ僕もちょっと本を読もうかな」

     
    借りたい本があるらしいすずか。

    裕里も久しぶりに行くので興味が出てきたようだ。


「じゃあ、入ろ」

「うん」      

    
    
    一方そのころ。

    やっぱり忘れてはならない、なのはたちはと言うと。



「スタッフ〜! スタッ〜フ〜!」

「古いぞ〜ファリンよ〜……ひっく……」


    まだカラオケにいた。と言うかまだ酔っ払っていた。


「誰か止めて……お願い……」 

「……疲れた」

 
    そんな酔っ払い二人を見ながら

    頭を抱えるというか心身ともに疲れ果ててイスに伸びているアリサと音夢。


『大人になっても忘れない〜。My Love めぐり会えた日を〜』


    なのははひたすら歌い続けていたのだった。

    

    …



「……その本は、何かな?」


    ここは図書館の中のとある一角。

    主に学術書や料理、服のことなどが書いてある書物が置かれている箇所だ。

    そんな中で裕里はすずかが持っていた、とある本を見て絶句した。


「ん? これ? これは、『させようやらせよう愉快で素敵な女装大全集、そのとき君は何かに目覚める!」だよ」

「……それを借りて、どうするの?」

「え? それを聞くの? もう、分かってるくせに〜」


    分かる。分かるからこそ確かめたい。だが考えるだけでも恐ろしい。

    でも、やられるときは絶対にやられる。なら心構えが出来ているほうがいい。

    なので思い切って聞いてみた。


「それ、僕を女装させるための本?」


    それを聞いたすずかがニヤリ、と笑う。

    だがそんなすずかに裕里は気がついていない。

    そう、ハメられたのだ。

    
「え? そう言うつもりじゃなかったんだけど……そう、して欲しいんだね、自ら望んでいるんだね」


    すずかはうんうん、とうなずく。

    
「ま、まさか! そんなことあるわけないよ! 絶対ない絶対〜!」

「あ〜、楽しみ、今度は裕里くん本人からお許しが出てるから思う存分出来る〜」


    それに対しもちろん裕里は首を横に振って否定するが、

    すずかは裕里の言葉を無視するようで、勝手な妄想をし始める。

    裕里はその姿を見て床に手をつきやってしまった、と落胆するのであった。

   


    …




「ごめんなさい〜だからもう落ち込まないで? ね? でも、やるけど」

「うう……それフォローになってないよ……」

    
    図書館からの帰り道。裕里は先程のことを引きずって落ち込んでいた。

    まあ、仕方のないことではある。何故なら弄られるのが確定事項となってしまったからだ。

    そのうち女装がエスカレートして何かとんでもないことをさせられるんじゃないかと

    危機感を抱いていたところでその仕打ち。落ち込むのも無理はない。

    と、そんなときだった。前の方からになにやらぎやかな声が聞こえてくる。

    裕里は気になってそちらの方を向いた。

    その姿をみて見て大きく目を見開く裕里、そして何やらため息を吐くすずか。


「ぐふぅ……頭が痛い……」

「あぐ!? むぐぐぐ、妾としたことが酒にやられるとは、無念」

「あんたたちは、自業自得でしょうが」

「あ〜なんかモヤモヤしてたけど歌ったらスッキリした〜」

「なのはちゃんも大変なんですね……主にストレスとか……」

   
    そこには、とてつもなく見覚えのある集団。

    その集団は裕里たちに気がついていないのかこっちに向かって歩いて来るではないか。

    
「……何故?」

「ふむ、いないと思ったらカラオケで留まってたんだね」

   
    呆けたまま前方を眺める裕里の隣でずすかがボソッ、と呟く。


「え!? カラオケにいたの!?」


    すずかの呟きを聞いた裕里はもちろん驚いた。

    自身では全く気がついていなかったらしい。


「うん、でもカラオケからじゃなくて最初待ち合わせしたところからずっとね」

「……」


    唖然とする裕里。そして心にちょっぴりの傷跡。理由は恭也と同じ。

    で、前から来るということは、確実に出会う運命な訳で。


「それにしても、裕里くんとすずかちゃんは何処にいったんで……しょ……あ」

「ん? ファリンよ何を驚い……て……あ」


    まあこんな感じになるのも必然? だった。


「……な、なんで! なんでここに!?」

「わ、妾たちのス二ーキングは完璧だったはずなのに!? くっ、ダンボールは何処かにないか!」


    顔を引きつらせているファリンとアル。
 

「あれ? 裕里くんだ〜。やっほー!」


    何やら機嫌が良くはつらつとした表情のなのは。


「あ〜ホントだ。……見つかったってことはようやく終わりねー……疲れた……」

「良かった〜……。早く家に帰ってお風呂は入りたいです……お昼寝したいです……」


    ようやく終わる、と心のそこから喜んでいるアリサと音夢。
  
     
「途中からス二ーキング出来てないけどね。……ふぅ。もう、仕方ないなぁ」

「気づかなかった。修練で気配とか読む訓練もしてるのに……」


    それを見て呆れて苦笑しているすずか。

    少しどころかとてつもなくショックだったようで今までの自分が分からなくなり地面に手をつく裕里。


「ふう……ファリン、アルちゃん」

「は、はいぃ!? な、なんでしょうかすずかちゃん!?」

「くぅ……分かっている。腹はくくった……なんだすずかよ?」


    そしてすずかはため息をつくと二人の名前を呼ぶ。    

    そんなすずかに声を上ずらせて返事をするファリン。

    もう諦めているらしく震えながらも堂々としているアル。

    だがすずかの口から発せられた言葉は二人にとって予想外のものだった。


「これからなのはちゃんたちも一緒にお買い物に行こっか 実はまだお買い物はしてないんだ」

「「へ?」」


    ほのぼのした表情でそんなことを言うすずか。

    ファリンとアルはあまりにも見当違いの言葉だったため呆気に取られる。

    一方、なのはたちはと言うと、

    
「うん、行く〜」

「ええっ!? ち、ちょと待ちなさいよ! ま、まだどっか行くの!? アタシはイヤよ!」

「お風呂〜! お昼寝〜!」


    なのはは元気よく手を上げて賛同。

    カラオケで歌いまくってからテンションが上がったままでいるらしい。

    しかし、そんな、なのはとは正反対なテンションのアリサと音夢はげんなりした表情で抗議の声を上げる。

    
「よ〜し。じゃあ行こう〜」

「お〜」

「「って、はいぃぃ!?」」

    
    だが、もちろん無視。


「ねぇ、ちょっと! あんた達聞いてる!?」

「無視ですか!? シカトですか!? 無視はイジメの始まりなんですよ!?」

「だが断る!」

「しかし断る!」


    もちろん聞く耳なんて持つ訳なんて無く。

    これと決めたら突き進むのが乙女なんです、と言わんばかりにハイタッチをするなのはとすずか。
    
    
「うう、すずかが。あの大人しかったすずかが修復不可能なくらい壊れた……」

「仕方ないです……行きましょうかアリサちゃん。さっきよりは大丈夫ですよ……たぶん」

「そうね……さっきよりはマシなはずよね……たぶん」

 
    そして諦めの境地に達したのか仕方ないとついて行くことを決めるアリサと音夢。

    二人とも帰ればいいのに、もう仏としか言いようがない。


「じゃあ、行くよ、ファリン、アルちゃん」

「へ? は、はい」

「ん? あ、ああ」


    今まで呆けていた二人もすずかに促されて後をついていく。

    二人はすずかの態度に何んで機嫌がいいんだろうと思わすにはいられなかった。


「(ふ〜今日は楽しかった。よ〜し、今日借りたこの本で

  裕里くんを何処に出しても恥ずかしくない淑女に仕立て上げるだから!)」

「ふう、修練がんばろ……」

   
    ちなみにこういう理由だったらしい。

    その隣では裕里も何とか立ち直って決意を新たにしていたのだった。




    …




・???

    薄暗い部屋。

    そこにはいろんな研究機材が置いてあったり散乱していたり、まさに研究室と言うに

    ふさわしいような場所だった。

    そんな部屋の真ん中、唯一まともなテーブルがある場所に一組の男女の姿があった。


「ふむ、下級ウイルスの数、思った以上に少ないかな」

「そうみたい……ふう、エラスムスとメルクリウスが予想以上に使ってくれちゃったしね」


    男性の名はパラケルスス。女性の名はアリストテレス。

    共に裕里たちの敵として数ヶ月前まで争っていた者たちだ。

    そしてまだ決着がついたわけでもなく今も何らかの作戦を練りながら来たる対決のときのために

    準備を行っていたところだった。


「……ん?」

「ん? なにかあった?」

 
    とそのときパラケルススが手に持っていた資料を見ながら何かに気づく。


「ふむ、面倒なことになりそうだな……」

「どうかしたの? あ、確かその資料、海鳴市近辺の魔力測定の結果が書かれた資料だったわよね?」


    ため息ををついているパラケルススを見て今パラケルススが見ていた資料を横から

    覗き見るアリストテレス。

       
「ああ、そうなんだが……ふう、どうやら奴が……サトゥルヌスが動き出したようだ

 測定値に特級ウイルスが現れた時の反応がある」

「っ!? そう……」


    アリストテレスは『サトゥルヌス』と言う名を聞いて驚く。

    更に、何か因縁でもあるのか苦い顔をする。


「でも、その反応ヘルメスってことは……ない……か、あの娘は賢者様が預かっているから」

「ああ、ヘルメスは基本あの場所から動かない。それに動いたとしても追跡できるから居場所はすぐに分かる、

 でもこれは今まで測定したことがない物……新たな特級ウイルス、それはもう奴しかいない」


    パラケルススも話しながらその『サトゥルヌス』と言う者が嫌いなのかアリストテレスと同様に苦い顔をした。


「奴は、確実に闇の書を利用するだろう」

「ええ、彼はあの強大な力を秘めたロストロギアを放っては置かないでしょうね……」

  
    二人は顔を見合わせ『闇の書』と言う物について意見を出し合う。

    何かとてつもなく危険な物らしい。表情が真剣そのものだ。

   
「なんとしても阻止しないければ……」


    一言そう言うとパラケルススはとある方向。

    ……なにやら部屋の隅にある別の小さな部屋の方を一瞬だがちらっと向く。表情は少し心配そうだ。


「ええ、だから早めに裕里様たちと守護騎士たちを共闘させなければならないね」

「そうだね。あと今回はメルクリウスにも言っておこう。彼は奴をを一番嫌っているから」

「うん、そっちは任せた……私はそうね……アリシアちゃんを守ってる」

「ああ、何が起こるかわからないしこれからは毎晩交代で番をしようか。今日は頼んだ」

「任せて」


    二人はうなずきあうとパラケルススは部屋の外へ。
  
    そしてアリストテレスは先ほどパラケルススが一瞬見た部屋の隅にある小さな部屋に向かう。

    その小さな部屋は前面がガラス張りで出来ておりそこには一人の少女が無表情で座っていた。


「必ず、あなたを守ってあげるから、そしていつか必ず元に戻す……それが約束、誓ったこと。ね、グリムゲルデ」

≪Yes sir≫

  
     アリストテレスはポケットから青いカードの状態で待機しているデバイスを取り出すと

     静かに……だが決意をこめた目をしてその少女を見つめたのだった。


     


     




                            魔法少女リリカルなのは 白銀の光をもたらす者




                      第三話「美少女とデートが出来るからと言って勝ち組とは限らないのです」完
                  

    







    

あとがき


……終わったよママン。

ようやく書き終わった第三話、大変でした〜……はぁ。

まさか、ミスで一度消してしまうとは思いませんでしたです。

そして今回の第三話はどうでしたでしょうか?

今更ながら語るんですが、実は当初の構想では女の子だったのです裕里くん。

なので第一部では男の子に変えたから恋愛も入れないとやばいかな〜

と思って入れてみたんですが、最近入れなくても良かったな〜と

思い始めていたり。でも恋愛を絡めるといじりやすいんですよね〜

いじられ主人公としてはやはり恋愛を避けられないのか!

うう〜今回デート編でかなり苦戦させられてしまったので若干そんな風に

考えてしまいました〜……

それと第二部から読み始めた人もいるかもしれませんので一応補足しておくと

この作品のすずかさん他+αかなり壊れている部分があります。

今回はその部分が如実に出ているのですがあまり気にしないでください 無理かw



それでは今回も読んでくださりありがとうございました。
メンテ
Re: 白銀の魔法使い ( No.50 )
日時: 2009/08/01 02:47
名前: ふぁんふぁ 



・空咲・白道家


「よう、今日も遊びに来たぞ」

「あ、しょ〜くん、こんにちは〜」

「こんにちはッス!」

「こんにちは♪」


    シアとネリネたちが春風の家に滞在することになった次の日。

    春風は今日まで学校も休み。なので朝から仲良く3人で家の庭で遊んでいたのだが

    そこに昨日に引き続き将斗が遊びにやってきた。


「二日連続で遊びに来てくれるなんて珍しいね〜」

「ん? ああ、まあな……なんとなくだ」


    なんとなく……と言う将斗を見て春風はほくそ笑んだ。

    たぶん本当の理由はシアとネリネの2人と早く仲良くなりたいとかそんなこと

    なんだろうなと春風は思う。基本面倒見のいい将斗はそう言うところに気を使ったり

    出来る見た目に反してとても優しい性格をしているのだ。


「……なんだよニヤニヤして」


    将斗は笑っている春風をキッと睨み付ける。

    そんな将斗に春風はなんでもないよ〜、と笑ったまま後ろに手を回す。

    それになんだか釈然としないような表情をする将斗だったが口で春風には勝てないことを

    知っているので特に何か言い返してきたりはしなかった。


「っとそう言えば気になってたことがあったんだ、シアとネリネに」


    と、そのとき将斗はなにやら気になっていたことがあったらしくシアとネリネに話しかける。


「ふぇ? なにを?」

「なんでしょうか?」


    突然話しかけられて驚きながらも反応するシアとネリネ。

    そして将斗はなにやら腕を組み考え込むような仕草してからしばらくして顔をあげる。


「なんで2人って、耳が長いんだ?」

「「……へ?」」


    

    
                                  白銀の魔法使いクロス 春の風が吹く丘で

    
                                         
                                         第三話「桜ノ丘」

 

                                            始まります





「……しょ〜くん、今更?」

「あん?」


    呆れてジト目で見る春風になんのことだよ?、と分けのわかっていない将斗。


「なんだよ、お前は知ってるのかよ」

「うん、知ってるよ〜」


    春風の態度がなんとなく面白くなかったのか少し不機嫌に知ってるのか?、と聞く将斗。    

    無論春風は昨日聞いていたので知っていると正直に答えた。


「むむう」    


    春風は知っていた。つまり自分だけが知らない……そのことに納得いかない将斗はさらに不機嫌になる。

    そんな将斗を見て春風は仕方ないな〜とため息をつくとシアとネリネに向かってどうしようか?、と目配せした。

    それを見たシアとネリネは顔を見合う。

    
「あはは、しょ〜くんになら大丈夫かな……」

「そ、そうですね、じゃあ私が説明します」


    仕方ないのでシアとネリネは将斗にも自分たちのことを説明することにしたのだった。

    ・
    ・
    ・
    ・
    ・

「つまりが、神様と悪魔?」

「いいえ、悪魔じゃないんですが……」


    自分たちが神族と魔族であることを説明したシアとネリネ。

    説明を受けた将斗はしばらくの間呆けていたが我に変えるといろいろと質問し始めた。

    輪っかはないのか? 羽はないのか? 空は飛べるのか? などその他いろいろだ。

    そんな質問に一つ一つちゃんと答えていくシアとネリネ。

    まあ男の子、しかも元来の性格が好奇心旺盛なので仕方ないといえば仕方がないのかもしれない。

         
「ううむ、ゲームのやりすぎなのか俺?」

「でも、この世界じゃあそう言う風に見られるのも仕方がないのかもしれないッス」

「そうですね、この世界のお話とか読んだりもしましたが

 大体、今水上くんがおっしゃったことと同じようなことが書かれていましたし」


    世界が違えば認識の違いが出てくるのは仕方のないこと。

    たぶんそんなことをすでに習っていたのだろうシアとネリネは苦笑いしながらも

    質問に対して特にショックを受けているような感じはなかった。


「そう言えばよ……神族と魔族には魔法が使えるんだよな?」

「うん、使えるよ?」


    それを聞いて将斗は少し考えるような仕草をし頭を下に下げてうんうん唸る。

    それを見てなんだろう?、と思う春風、シア、ネリネの3人。

    だがとうの将斗は、すぐに答えが出たのだろう頭を上げた。


「じゃあさ……ちょっとシアとネリネに見て欲しいものがあるんだ……春風はまあ、いいか」

「?……いいですけど」

「なんだか私の扱いだけ雑だよ……」


    春風は抗議するが将斗はそれを無視。 

    自分の指にはまっていたジークルーネを外し手に取ると目を閉じそのまま上にかざした。


「ジークルーネ、あれになってくれ」

 ≪Roger≫
 <了解しました>


    と、その瞬間、突然ジークルーネが光始める。

    目の前の光景に驚き目を見開く春風とシアとネリネ。

    将斗はその光の中心にいるがまったく動じておらず目をつぶっている。

    ……しばらくして光がやむと将斗の手には一振りの子どもの体躯には似つかわしくない

    美しい装飾がされた巨大な剣が握られていた。


「「「……ほにゃ〜〜〜……」」」


    唖然としている3人娘。

    
「と、まあこんな感じなんだが……これって魔法?」


    そして将斗は大剣となったジークルーネを一振りしシアとネリネに尋ねる。

 
「うう〜ん、私たちが知っている魔法とは少し違うと言いますか……」

「全然違うッス、うう〜だから、それが魔法なのかなんなのかは分からないの。ゴメンね、しょーくん」


    どうやらシアとネリネにも魔法かどうかは分からないらしくすまなそうな顔をする。


「いやいいんだ、分からないことを聞いた俺が悪い」

「でも魔力は感じました、だから確信はありませんが魔法だとは思います」


    ネリネの言葉におお〜、と春風が声を上げる。


「じゃあ、しょーくん、魔法使いなんだね〜」

「ま、だからなんだって感じなんだがな」

「でも、人間界の方で魔法が使える人って結構いるのですね……

 教科書に載っていることばかりが真実じゃないんだと言うことですか……勉強になりました……」

「まったくッス……」

   
    以外にも魔法が使える人間が何人もいたことにいろいろと思うところがあるらしいシアとネリネ。

    教わっていたこととまったく違う事実にいろいろとためになったようだった。


「(まあ、私も使えるけど〜、でも秘密♪)」


    ちなみに春風は将斗に自分も魔法が使えることは秘密にするらしい。


「あ、そう言えば〜なんでルーネちゃんは大きな剣になったの?」


    と、そのとき春風はジークルーネのことを思い出しもっともな疑問を将斗にぶつけてみる。

    将斗に魔法が使えることは分かったがジークルーネが大剣にになったことに

    何の意味があったのかが分からなかったのだ。


「ああ、なんでもジークルーネ曰くデバイスとは魔導師が

 魔法を使う際の補助具であり武器なんだそうだ、何のことかまったく分からなかったけどな……」


    難しいことは分からないから考えるのはやめた……と将斗。

    もちろん春風にも何のことだか分かるはずもないのでそんな将斗のことを笑って見ているだけだった。

    だが今、平穏な今この時にはまだ分からなくてもいいことなのかもしれない、なぜなら春風や将斗が
 
    デバイスを本当の意味で、魔導師として必要とすることになるのは未来の話なのだから。

    ・
    ・
    ・
    ・
    ・

「ケーキおいしかった〜春風、ママの作ったお菓子大好き♪」 

「あら、ありがとう春風ちゃん♪」

    
    先ほどの将斗のデバイスの説明の後、春音に呼ばれた春風たち。

    そこに向かうとテーブルにはおいしそうなケーキがなんと10ホール。

    しかもすべて違う種類と言う気の配りよう。

    将斗はよだれが出そうな勢いでそのケーキを見つめており、春風はまったく、と呆れていた。

    春音はそんな春風たちを見て優しそうに微笑みながらどうぞ、とケーキを配り

    みんなで少し早いおやつをおいしく食べた。

    そしてケーキも食べ終わり今現在は、お茶を飲みながらまったりしているところだった。


「あ、そうだ〜、私シアちゃんとネリネちゃんを連れて行きたいとこがあったんだ〜」

    
    と、そのときのほほんとした口調の春風が唐突にそう言った。


「連れて行きたいところですか?」

「どこにー?」

「あは、秘密だよー」

   
    シアとネリネが何処に行くのか聞くがどうやら秘密らしい。


「・・・はぁ」
 
  
    だがどうやら将斗は知っているらしく後ろでまたかと、ため息をつく。

    そんな将斗に気がつきなんともむぅ、と少し機嫌が悪そうに将斗を見る春風。

    そしてたまたま春風と目が合った将斗は、しまったと感づく。

    だが時すでに遅し、ジト目で睨まれている。慌てて目をそらす将斗だったが無意味。

    何故なら今の状態はまさに蛇に睨まれた蛙の理論、将斗に勝てる確立など万に一つもなく。


「しょーくんは場所知ってるからお留守番ね」

「うぇ!? な、なんでだよ!」

「……分かった?」

「!? イ、イエッサーであり……ます……」


    ニコニコ笑顔であまりの仕打ち。

    将斗はず〜んと擬音が聞こえてきそうなくらい落ち込む。気難しそうな顔の割りに意外と

    傷つきやすいと言う素敵な性格をしているので落ち込み度も結構なものだった。

    それを見た春風はさすがに悪いと思ったのか苦笑いをしながら将斗に駆け寄り

    肩をぽんぽんと叩く。悲しそうに顔をあげる将斗。それを見たシアとネリネ、笑いをこらえる。


「もう、冗談だよ〜、一緒に行こ?」

「……うん」


    まだ少し落ち込んでいるが嬉しそうにうなずく将斗を見て一安心の春風。

    伊達に付き合いが長いわけでもないのでいじめ加減もちゃんと心得ていたりする。

    なら初めからいじめなければいいのにと、思われるかもしれないがそこは幼馴染同士の

    スキンシップみたいなものなのだ。最も将斗本人にすれば迷惑な話だろうが。


「よーし、じゃあ気を取り直してついて来て〜」

「今から行くのはいいですけど遅くならないようにするんですよ?」

「はーい、ママ」

    
    元気に返事する春風。春音はそんな春風見て優しそうに微笑む。

    そして春風はみんなを連れてとある場所に向かう。
  
    と言ってもどうやら外に行くわけではなく玄関とは正反対の家の裏のほうに進んでいく春風。

    シアとネリネは不思議に思いながらもなんにも言わずについていく。

    将斗はさっきのこともあり無言でついて来ている。

    と、春風が向かう方向になにやら古い鉄格子の門が見えてくる。どうやら家の裏門か何からしい。

    
「じゃあここから行きま〜す」


    春風は扉の前に立つと早速その鉄格子の扉を押す。

    するときぃ、と軋む音を立ててゆっくりと扉は開いた。

    
「こんなところに扉があったんですね、気がつきませんでした」

「少し影になっている場所にあるから分かりづらいしね〜」


    ネリネが興味深そうに扉を見つめているのを見て笑う春風。

    ちなみに扉を開けた先は石段になっていた。

 
「結構階段長いけど……みんな大丈夫?」

「私は大丈夫ッス! でもネリネちゃんは……体、大丈夫?」

「はい、最近は調子がいいので大丈夫です」


    と、そんなシアとネリネの会話にはてなマークを浮かべる春風。

    
「病気なの?」


    春風の言葉に将斗も反応する。


「どこか悪いのか?」


    二人そろって心配そうな表情でネリネを見つめる。 


「あ、いえ、何処が悪いと言うわけではなくて、あんまり体が強くないのです」


    でも、今は全然大丈夫なんですよ?、とネリネ。

    だが春風と将斗は心配そうな表情を崩さない。


「……分かった、じゃあきつくなったら言え」

「はい、ありがとうございます」

「う〜んでもそうだな〜じゃあ、おてて繋ごうか♪」

 
    春風はネリネに手を差し出す。


「おてて繋いでたら少しは楽かもよ〜?」

「あ、はい♪」

「じゃあもう片方は私が繋ぐッス♪」


    ネリネの右手に春風、左手にシアが手を繋ぎ、仲良く階段を上がり始める。


「じゃあ、俺は……ううむ、後ろからついていくか」


    ちなみに将斗は一人さびしく後ろからついていくだけだった。


「あ、しょーくん、スカート覗いたら突き落とすから♪」

「みねえよ! しかも殺人だよ!」

「でも、しょーくんなら見そう」

「シアひどっ!」

「えと、見ないでくださいね?」

「ネリネまで……うう、俺って信用ないな……」

「それは元からだよ〜」

「おいぃぃぃぃ!」


    と、こんな風にみんなで話をしながら仲良く階段を上がって行く。

    そしてしばらく階段を上り続けると


「あ、もうすぐだよ〜」


    もうすぐ頂上らしく階段の終わりが見えてきた。


「結構長い階段でした……」

「でも急じゃないから良かったね〜」

「おじいちゃんが、急じゃなくなるように作ったらしいけどその代わり段数が多いんだよね〜」

「……別の意味で疲れた」


    そしてに頂上にたどり着く4人、そこでシアとネリネはあれ?、と首をひねった。

    なぜなら……


「……今って冬だよね?」

「うん、そうだよ〜」

「えと……でも、あれって確か、桜?」

「ああ、そうだな」

  
    そこには小さな泉がありその畔になんと満開の桜があったのだ。

    
「ヤマザクラだから白くて綺麗だろ?」

「うん、綺麗だね♪……って、そうじゃなくて! なんで冬に咲いてるの!?」

「(こくこく)」

「知らん、それに冬だけじゃない一年中咲いている、ただ……物心ついたときにはもうあったな」


    桜を指差すシア。

    その隣ではネリネもぶんぶん首振ってうなずいている。

    そんな2人に即答する将斗。

    春風はその光景を見て笑いながらシアとネリネに説明する。

    
「あはは、あれはね魔法使いの桜らしいよ〜だから枯れないの一年中♪」

「「魔法使いの桜……?」」

「うん、そう、昔、銀髪の魔法使いがここにこの桜を植えたって

 おじいちゃんが言ってた。それ以来この丘は『桜ノ丘』って言われてるんだって。それとこの桜と

 同じようなのがもう一つ初音島って所にもあって、そこはその桜の影響か分からないけど島全体が一年中桜満開なんだって♪」


    不思議だね〜、と呟きながら春風は大きな桜の木を見つめる。
   
    この桜をシアとネリネにぜひ見てもらいたかったのだろう。  


「それにさ、細かいことは抜きにしてもこの桜、綺麗だろ? なら、別にいいじゃんか色々気にしなくても」


    さらに将斗が付け加える。


「……そうですね、いろいろ気にするよりもこの桜を見ていたいですし」

「そうだね♪」

「そうだそうだ」

「よ〜し、じゃあのんびりしようか〜ここって寒くないし〜」

 
    と、そのときだった。


「ん? 春ちゃんかい?」

「ほえ?」

 
    春風は突然、後ろから名前を呼ばれて振り返る。

    もちろんシアとネリネ、将斗も同様だ。

    そこにはまだ二十代前半くらいに見える一人の男性がいた。

    見た目はとてもやわらしい感じがする優男。

    だがその目はしっかりと前を見据えており弱々しくはまったく感じられない。

  
「あ、パパだ〜〜♪」


    その男性を見て「パパ」と言いながら嬉しそうに走り寄っていく春風。


「こんにちは〜!」

「え、パパ?」

「じゃあ、春風ちゃんのお父さん……ですか?」


   元気よく挨拶をする将斗。

   春風のパパ発言にその男性をじっと見つめるシアとネリネ。


「はい、こんにちは将斗くん、それと、えっと君たちは……ああ」


     シアとネリネを見て男性は耳に目が止まる。何か心当たりが合ったらしい。

     そしてにこやかに微笑むと


「なるほど2人がシアちゃんとネリネちゃんだね、始めまして空咲聖人といいます」
                           

     どうやらすでにシアとネリネのことは知っていたらしく

     よろしく、と手を差し出し自己紹介。


「あ、はい、私はリシアンサスです、よろしくおねがいします♪」

「私はネリネと申します、よろしくお願いしたします」


     シアとネリネもその差し出された手を握り返しながら自己紹介した。


「そう言えばパパ〜、どうしてここに〜?」


    と、そのときいつの間にか聖人の太ももに引っ付いていた

    春風がなんでここに?、と質問。

    聖人はそれを聞いて一度ぐるっと辺りを見渡し、ポツリと呟いた。


「ああ……それはね、久しぶりにここの様子を見ておきたかったんだ、いろいろと大切な場所だしね」

「大切な場所?」

「うん、そうだよ……春ちゃんにはいつか教えてあげようかな」

   
    そう語る聖人の目は少し悲しそうだった。

    それを見た春風はそれ以上聞けなかった。大好きなお父さんが悲しい顔をするのはいやなのだ。


「そうだ! 春風、この後どうするんだ?」

   
    そのとき将斗が突然、話題をふる。

    こういうときに将斗はなんとなく場の雰囲気を読んで対処してくれる、

    気配りが出来る性格だったりする。


「ふむ、春ちゃんたちは何をしようとしていたんだい?」

「えっとね〜、今からここでのんびりしようかな〜って♪」

「そうか〜じゃあパパも一緒にのんびりしようかな〜」

「やた〜パパも一緒にのんびりしよ〜♪」


    そう言って仲良く、手を繋いで桜の木の下に歩いていく春風と聖人。


「仲いいッス♪」

「そうだな……」


    その光景をほほえましそうに眺めながらその後に続くシアと将斗。

    と、そんな中ネリネだけは別のことを考えていた。


「(あれ?……どうしてだろう……なんだか、この桜の前に来てからいつもより体が軽いような気がする)」


    体がいつもより軽く、調子がいいことに気がつくネリネ。

    初めての感覚に戸惑いすら覚える。それほど快調なのだ。

    
「あれ〜? どうしたのネリネちゃん? 早く行こ〜♪」


    そんなネリネの様子に気がついた春風はネリネに近寄る。

    そして手を差し出した。


「あ、はい♪(ま、気のせいですよね)」

「あは♪」


    ネリネは考えることを中断。そして春風の手を握る。

    それを見て春風はニコニコ笑顔になるとネリネと共にみんながいる桜の下に歩いていくのだった。




    


    


                                   白銀の魔法使いクロス 春の風が吹く丘で

    
                                         
                                         第三話「桜ノ丘」

 

                                       

  
     





あとがき


ふぁんふぁです、ようやく第三話書き終わった〜♪

最近遅れ気味の執筆速度に若干危機感を覚えておりますです……

と、まあこんなお話はもうやめよう(笑)

さて、今回のお話はどうでしたでしょうか?

とうとうパパさんを登場させたのでこれからどうして行こうかと楽しみです。

次はたぶん季節はずれのお祭りでも書くと思うのでいろいろとご指摘のほど

よろしくお願いしますです〜。


それでは次は本編の第四話でお会いしましょう!
メンテ
Re: 白銀の魔法使い ( No.51 )
日時: 2009/08/21 01:17
名前: ふぁんふぁ 




「フェイトちゃん、今頃どうしてるかな〜」


    はあ、とため息をつく裕里。


「そうだね……」


    同じくため息をついている、なのは。


「あんたたち毎日それ言ってるわよね」

「あはは、心配なんだね〜」

「私も心配ですから……仕方ないかと」


    その後ろでは、アリサは呆れており、すずかは笑い、音夢は顔には出していないものの、心配そうであった。


「ま、もうすぐ会えるし心配することも特にないと思うんだけど……

 すももちゃんたちも一昨日からフェイトちゃんの所に行ってるらしいからさびしくはないだろうし」


    あの、すずかとのお出かけから数日。

    あれから特に大きな出来事もなく、平穏に暮らしている裕里。

    唯一の心配事と言えば、もうすぐ裁判が終わるフェイトのことぐらいで

    他にやっていることと言えば魔法の訓練や小さいときからずっとやっている剣術の修練。

    いつ何時ウイルスたちが活動し始めても良いように自分を鍛えているくらいだった。

    まあ、実際はそれしかやることがないので仕方ないのだが。


「と、そろそろ授業始まるから準備しなきゃ」

「あ、本当だね〜」


    チラッと時計を見るともう後2分で授業が始まる時間。

    裕里は鞄の中にある教科書を出してトントンとそろえ机の上におく。

    そしてふぅ〜、とため息をつくと一言。


「そう言えば、4限目は、体育でドッジボールだったっけ――どうなるんだろ僕」  

「めちゃくちゃになるんじゃない? アンタ球技無能だし」


    たまたま聞いていたアリサに突っ込まれた。




    
    
                           魔法少女リリカルなのは 白銀の光をもたらす者


    

                               第四話「振り返れば”奴”がいる」


             
                                      始まります






    4限目の授業が終わり、今は昼休み。

    辺りはお弁当を食べるために移動している生徒達や食べ終わったので遊びに行くのだろう
 
    ボールや遊具を持った生徒達で溢れ返っていた。
  
    そんな中をトボトボと歩く生徒が一人。


「ぐふぅ……すずかちゃんたち、容赦なさすぎる……」

  
    それは4限目の体育の授業でボロボロにされた空咲裕里。

    体育の後だったので喉が渇き、飲み物を買いに行っているところだった。


「はぁ……今日はいつも以上に酷かった……」


    そして歩きながら壮絶だったなぁ、と思い返し始める。
 




    気がついたら一人だった。

    あれぇ?、とまわりを見渡すと自分の陣地には誰もいない。

    外野のほうを見ると十数人あまりの仲間達。

    と、よく見てみると何故か同じチームである、なのはも含めて自分以外の全員がこちらを向いて拝んでいた。

    何がなんだか分かっていない裕里だったが、なにやら敵チームの方から何か黒いオーラを感じる。

    そこで気が付く裕里、恐る恐る前を向く。

    するとそこにいたのは――壮絶な笑みを浮かべてボールを持っている、敵チームのすずか、並びにアリサ、音夢の3人。

    しかもその3人以外の敵チームは邪魔にならないよう、隅っこに集り、

    なんと敵である自分に向かって仲間達と同じように拝んでいるではないか。

    裕里は、危険を感じなのはに助けてと視線を送る……目をそらされる。

    その瞬間、顔が真っ青になった。

    ……それからはお約束。

    逃げ回る裕里。そんな裕里を狙い悪鬼のようにボールを刺すように放ってくる3人。

    向こうにしてみれば敵陣には裕里1人なので狙われるのは仕方ないのだがそのボールの威力が凄まじかった。

    熊も殺せるんじゃないかと思うほどの破壊力を感じる。

    裕里は必死に待ってぇ!、と叫んだ。

    しかし関係ないよ敵なんだから、と閃光のようなボールの雨は止まらない。

    それをなんとかギリギリで避け続ける裕里。

    だがしばらく経つと、いくら修練をしている裕里とはいえ体力に限界も出てくる。

    足もふらふらで立っていることすらやっとの状態だった。

    もう限界と、当てられるのを覚悟して動くのをやめる裕里。

    すずかから放たれたボールは、恐ろしいスピードで裕里に迫る。

    何もせず立っているだけの裕里。
  
    当たっちゃう〜! 遠くで見ていたなのははそう思った……が。

    ありえない軌道で逸れた。裕里に当たる直前で急カーブ。右にそれるボール。

    ボールを呆然と見送る裕里。

    そんな裕里に対して最後にすずかの一言。


「考えてることくらいすぐに分かるんだからね、じゃあ次行ってみよ〜」


    容赦なかった。





「ふぅ、今日はお弁当食べれそうにないよ〜……」

   
    逃げまくった末、最後の最後で軽くボールを当てられて終わった裕里。

    未だに胸がムカムカしている状態で昼食を食べる元気はなかった。

    と、その時ふと気がつく。

    
「ん?……魔力?」


    魔力を感じた。

    そんなに強くは無いようだが、気になる。


「見に行ってみようかな……」


    多少の好奇心から、その魔力を確かめてみることにする裕里。

    進路を魔力が感じられた方向へと変更、そちらに向けて歩き出す。


「魔力か〜……でも、普段は隠してるし、何かの魔法を使ってるってことかな?」

 ≪There is the possibility≫
 <その可能性はありますね>

     
    エリュシオンもそう答える。  

    そしてしばらく進むと、そこは家庭科室。

    裕里は扉に近づくと耳を済ませてみる。

    中から鼻歌が聞こえた。

    何か作っているようだ。
  

「誰か居るみたい……でも、気がついているのは僕だけみたいだな〜」


    なのはから念話が来ない所を見ると魔力を感じているのは自分だけのようだった。
 
    なんでだろう?、と不思議に思いつつそのせいか余計に中が気になりだす。


「危ないかも知れないけど、扉を少し開けてみようかな」


    確かに危険かも知れないが、

    例え犯罪者の魔導師がいたとしても管理外世界とは言え管理局の目が無いわけではない。
 
    昼間っから攻撃魔法を使ったりはしないだろう。

    そう楽観的に考えた裕里は、少しだけ家庭科室を覗いてみることにする。


「杉並さんじゃないけど隠密行動、初めて」

「呼んだか?」

「いえ、名前を言っただけで……へ?」


    そのとき誰かに肩を叩かれた。

    聞いたことがある声。
  
    しかも返事までした。

    裕里には思い当たる人物が一人しかいない。

     ――後ろを振り向いた。

    
「久しいなMy同志、空咲」

「な、な、なんでここに居るんですか杉並さん!」


    そこにいるはもちろん杉並。

    生粋のトラブルメーカー、通称”奴”こと杉並である。


「ふっふ〜ん、お前が俺を呼んだから出てきてやったのだ」

「確かに名前を呼びはしましたけれども……と言うか何処から出てきたんですか?」


    一応、聞いてみる裕里。

    杉並は不敵に笑った。

    
「何処からともなくだ! さらに言えば仕様だ!」

「……そうですか」


    なれって怖いなぁ、と裕里は思う。

    
「むむぅ? なんだつれないな……」

    
    裕里の冷めた反応につまらなさそうにする杉並。

    今更、杉並の特殊能力に色々反応するのも疲れるので冷めてしまうのも仕方ないことなのである。

    と、その時だった。

    杉並は突然、何かに気がついたように家庭科室のほうを向く。

    顔がいつもの余裕のある表情ではなく真剣なものに変わっていた。

   
「これは魔力か……」


    どうやら杉並も魔力を感じたようだった。


「はい、僕も魔力を感じてここまで来たんですけど、気がついてなかったんですか?」

「これだけ微弱だとな。まあ、空咲は気配や魔力に敏感だから気がついたんだろうが」

「ふむむ……」

 
    確かにそうかもしれないと思う裕里。

    裕里がやっている剣術『朱薙流』は”感じる”や”読む”ことに特化した剣術である。

    故に本来普通の人にはない”魔力”を感じることが出来る裕里には

    それを読むことにも特化していると考えておかしくはないのだ。


「うう〜む、だが気になるな。一体中では何が行われているのやら……開けてみるか」

「そう考えてたんですけど、どうします?」


    その瞬間、杉並の眼がキュピーンと光る。
  
    それを見た裕里はあ〜開けるんだ、とすぐに理解した。


「男は度胸! 行くぜ相棒!」

「相棒なのはイヤです」


    そして杉並は扉に手をかけると、勢いよく開いた。


「……」

「ふんふ〜ん……ん?」

「ごふぅ……」


    言葉を失う裕里。

    なんと中に居たのは音夢と、苦しそうに倒れふしているアジフ。


「あ、丁度良かった。裕里くんと何で居るかは知りませんが杉並さん、実はこれ作ったんです、味見してくれませんか?」


    音夢が差し出してきたのはプリン。

    気泡も無く綺麗な出来栄えだ。

    しかし――

    
「(見た目は綺麗だけど……なんだろう、プリンから感じるこの異様なプレッシャーは……)」


    冷や汗を掻く裕里。

    何故、昼休みに家庭科室でプリンを作っているのかは

    この際、無視するとしてこのままここに居るとただではすまない事だけはすぐに理解できた。

    そのことはどうやら杉並も理解しているらしく、裕里が顔を覗いてみると珍しく青ざめ引きつっていた。


「杉並さん」

「空咲」


    と、二人は顔を見合わせあう。

    目で合図したのだ。

    何故か?

    それはもちろん――


「「退避〜!」」


    逃げるために。  

     
「あっ!……逃げますか、そうですか……ふふ……ふふふふ、逃がしませんよ?」


    音夢は逃げ出す二人を見ながら

    邪悪な笑みを浮べると静かに扉に向かって歩き出す。


「わ、妾は……放置……か? 音夢よ……がく」


    そして何故か居たアジフは放置された現実に絶望し崩れ落ちたのだった。




    …




「じゃあアンタ、お昼に戻ってこないと思ったらあの変人に付き合わされたの?」

「付き合わされてたというか……いや、どちらかというと今回に関しては協力?」

「にゃはは……」


    放課後、裕里は昼休みの出来事をなのはたちに話していた。

    だが音夢のことは黙っておく、下手に話すと殺られそうだから。

    因みに追跡者、音夢からは何とか杉並との連携によって逃げ切ることが出来た。


「ふふふふふふ……今回は許してあげましょうか……」

「ね、音夢ちゃん?」

「どうかしましたか? すずかちゃん?」

「へ? ううん、なんでもないよ」


    どうやら音夢は今回は諦めたようだ。

    ”今回は”だが。

    すずかは若干黒くなっている音夢に戸惑ているようだった。


「でも、せっかく待っててあげたのに来ないからねぇ……色々理由があったにせよ埋め合わせしてもらうわよ?」

「うう……分かりましたです」

  
    しまったなぁ〜、と裕里。

    実は昼休み、音夢を覗いたなのはたち三人は裕里が帰って来るのを待ってくれていたらしいのだ。

    それに関しては嬉しかったのだが、やはり代償は結構大きかった。

    今のところ埋め合わせに関しては未定。

    しかし何をやらされるのか、と裕里は若干憂鬱になる。

    最近こんなことばかりだとも思い返す。

    
「(はあ……考えるのやめよ、余計に憂鬱になる)」

  
    これ以上落ち込むのはイヤなので無理やり考えるのをやめる。

    どうせ悩んだ所で何かが変わるわけでもないのだ。

    と、そこで目の前に車があることに気づいた。

    よく見てみるとそれは良く知るアリサの家の車だった。


「なに、ボ〜っとしてるのよ」

「ふえ? あ、もう校門前だ」

 
    どうやら気づかないうちに校門前にいたようだ。

    
「早く乗りなさい、置いてくわよ?」


    アリサが早く乗るようにせかす。

    だが裕里は首を横に振った。


「僕、今日は美月さんに呼ばれてるんだ。だからこのまま美月さんの家まで歩いていくよ、ここからだと結構近いし」

   
    それは裕里が今朝、丁度学校に行く前のこと。

    珍しく美月から念話が来て

   『今日、学校が終わったら私の家に来てくれないかしら? 少しご用があるの』

    と、呼び出されており今から美月の家に向かうことになっていた。

    それに一度家に帰るよりここから向かったほうが
 
    幾分か近いので学校が終わったらそのまま歩いて行くつもりだったのだ。


「もう、そう言うことはもっと早く言いなさいよね」

「うん、ごめんね」

「ま、いいわ、じゃあまた明日ね」

「また明日〜」


    それだけ言うとアリサはさっさと車に乗り込んで行く。

    と、そこですでに車に乗っていたなのはがウィンドウを開け顔を覗かせた。


「早く帰ってきてね裕里くん、あんまり遅くなるとお母さんが、いじめちゃうぞ〜って言ってたよ」

「あはは〜……はぁ、うん出来るだけ早く帰るよ」


    苦笑いで返す裕里。

    桃子が言ういじめは、洒落にならない。

    そうインプットされている裕里は早く帰ろうと心に誓う。


「じゃあ、後でお家でね」

「うん」


    そしてなのはたちは車で去っていく。

    手を振りながら見送る裕里。

    しばらくしてなのはたちの姿が見えなくなりそれを見とめると美月の家の方向に歩き出す。

    と、そこで裕里はあること気付いた。


「……でも早く帰りますとか言ったら美月さんにも……ヤバイ、もしかしてピンチ?」

          
    天城美月……彼女は桃子と同列の存在。

    早く帰ることなど告げれば逆に何かされそうな予感がする裕里。

    楽しいこと大好きな美月なだけに、いじめとなると……

     
「気づかれないように、出来るだけ

 穏便に帰りますと言おう……なんて伝えるべきかな、下手な言い訳だと気付かれるし」

  
    色々言い訳を考えながらトボトボと歩き出す裕里。

    その道中、言い訳とは別のことも考える。


「美月さんって、僕のお婆ちゃんなんだよね……」


    美月は自分の祖母だと言われているが未だ実感が湧いていない裕里。

    死んだと聞いていたのでなおさらだった。
  
    何故自分を死んだことにしておいたのかは

    いつか話してくれるそうだが今の所、その様子はない。


「うむむ……謎の人だよね……性格は良く知ってるけど」

    
    それからしばらく歩き続けること10分。

    美月の家があるマンションの前に到着する裕里。

    オートロック付き6LDKの高級マンション……意外とお金持ちである。


「えっと……これで良いんだよね」


    そして早速インターホンに手を伸ばそうとした―――その瞬間だった。


「(じゃあ転移♪)」

「へ?」 


    突如、聞こえる声。さらに足元に魔方陣。
 
    それは自身も良く知るミッド式のもの。

    いきなりのことで頭が回っていない裕里は混乱して状況を把握できていない。

    表情は唖然としている。


「な、な、な、なな……ふぇ!? なんだか足元がふわふわして!?」


    そして若干の浮遊感を覚えた次の瞬間。


「ぐえ!」

  
    顔面から頭を強打した。

    とても痛かったらしく顔を抑えてうずくまる裕里。

    
「ぐにゅうううう! な、何が起こったの〜!?」


    と、下をよく見てみると顔をぶつけたのは普通の床だった。

    さっきまで外にいたはずなのに。

    それに気がついて裕里はすぐに頭を上げる。

    すると……


「うにゃ」

「……うたまるくん?」


     目の前には良く知る仔猫うたまるの姿があった。

     


     …




「ぶすぅ……」

「あはは〜ごめんね〜」

「うにゃにゃ〜」

「お兄ちゃん、あれっておいしいのかにゃ〜……じゅるり」

「さくら、コマーシャルの猫缶見て涎たらすな」


    不貞腐れている裕里。

    謝る美月。

    鳴き声を上げるうたまる。

    仲良くテレビを見ているさくらと純一。


    ……どうしてこういう状況になっているかと言うと


「痛かったですよ……涙でたんですよ……それもこれも美月さんが強制転移なんてするから」

「ホントにゴメンね〜まさか顔面から落ちるとは思わなかったから」


    つまりはそう言うことだった。

    裕里が突然、浮遊感を感じ顔面を強打したのは美月のいたずら。

    強制転移で裕里を自分の部屋まで転送したことによるものだったのだ。
  
    故に裕里は怒っているわけである。


「うう〜……はぁ……もう、良いです……」

「えへへ、ごめんなさいね」


    だがいじけていても話は進まないのでそこで許してしまう裕里。

    いくら言ったところで美月が聞くわけはないし

    このまま続けるのも面倒だからと言うこともあった。


「それで、お話ってなんですか?」


    それに今日は早く帰らなければいけない。

    なので単刀直入に今朝、言われた用事のことについて質問する。

    すると美月は


「あ〜うん、それについてはね純一くんとさくらちゃんにも関係があるから」

「うん?」

「うにゃ?」

  
    と、そこで自分たちの名前が挙がったことに反応して

    今まで会話にまったく入ってきていなかった純一とさくらがテレビから目を離してこちらを向く。

    それを確認した美月は一度うなずくと、リモコンを手に取りボタンを押す。

    すると、空中にモニターが現れた。


「じゃあ3人とも聞いていてね……実は、三人のデバイスを強化しようかなと思っているの」

 
    それを聞いて目を見開く裕里と純一たち。
 

「3人のデバイス……まあ、正確に言うとすももちゃんと撫子ちゃんのデバイスもなんだけど……」


    モニターを操作し、ある場面を映し出す美月。

    そこには3つのデバイスの姿。

    何処となくエリュシオン、オートクレール、ダカーポに似ているが部分部分がまったく違うものになっている。

    
「……これは?」

「これが新しいデバイスよ」


    美月は裕里の質問に答えると

    さらに説明を続ける。


「あなた達が今、使ってるデバイス達はね。製作段階から最低限の機能だけ持たせて作ったデバイスなの。

 それにフレームも結構前の物だったりで、たぶんこれから起こるであろう戦いにはたぶん耐えられない」

「……」


    それを聞いて裕里は思う。

    ウイルスたちとの戦いはまだ終わったわけではない。

    今はまだなりを潜めており平和であるがそれがいつ終わるは誰にも分からない。
  
    ただ1ついえることは遅かれ早かれ戦いは起きるということだ。

    それに……


「それに……エリュシオンはルシファードシステム使用時とは言え

 完全に制御された裕里くんの魔力に耐え切れなかったみたいだしね、これは完全に私の誤算よ」


    美月の言うとおりなのだ。

    最終決戦でエリュシオンは自分の魔力に耐え切れていなかった。

    今までは暴走によって強大な力を生み出していたルシファードシステム。

    でも実は暴走しているが故に無駄に魔力を放出してしまうと言う欠点もあったのだ。

    だが、その暴走し無駄になっていた分の魔力に裕里の魔力制御の向上が加わり多少の指向性が生まれた。

    それによって密度が高まりその魔力にエリュシオンが耐えられなくなってしまっているのだ。


「これの改善、さらに裕里くんや純一くん、さくらちゃんたちの

 魔法技術の向上に伴って新型デバイスとして新たに作り上げることにしたの」

「すご〜い」

「そうだな……」


    美月の説明にさくらと純一も感嘆の声を上げる。
   
     
「まあ、まだ完成はしていないんだけどね、コアだけ入れ替えるようにしてあるわ」


    そしてこれで説明は終わりなのか美月はモニターを消した。

     
「新型もあと少しで完成する予定だからそのときはデバイスを

 預けてもらうことになると思うの。そのとき、また家に呼ぶことになると思うから」

「はい……でも次来るときは転移はやめてくださいね」

「あはは〜……肝に銘じておきます」


    そのとき裕里はちらりと時計を見る。

    すると結構遅い時間だった。

    美月の家にいると伝えてあるから心配はしていないと思うが


「( そろそろ帰らないと危ないかな……)」

     
    多分9時くらいまでなら遊びではなく

    用事で呼び出されていることを知っていると思うので大丈夫だろうが早く帰ることに越したことはない。

    
「美月さん、僕そろそろ帰らないと」


    そこで、そろそろ帰ることを美月に伝えようとした―――その時だった。


「!?」


    突如、感じる違和感。

    思わず身構える。


「……こ、これは……結界?」


    周囲に結界が張られたことを感知したのだ。

    裕里は美月のほうを向く。


「美月さん」

「ええ、間違いなく結界ね……これは、また厄介なことになりそうだわ……」


    美月も険しい顔をして窓の外を見ている。


「でも、この魔力はウイルス……じゃないのか?」

「う〜ん、ホントだ、確かにウイルスの魔力じゃないね〜」

「そうね……ウイルス特有の独特な魔力を感じられないし……今のところは違うみたい」


    だが感じる魔力はどうやらウイルスのものとは違うらしい。

    ウイルスは感じる魔力が独特であるため居るか居ないかがすぐに分かるのだ。

   
「すぐに管理局が来てくれるとは思うけど一応向かいましょうか。なにか起こったら遅いし」

「「「はい」」」


    美月の言葉に裕里も含め皆、うなずく。

    今まで何度も経験しているから分かる。

    起こってしまってからでは遅いのだ。


「よ〜し、じゃあ急いでガスの元栓を締めてこよっと」

「……まあ、確かに大切なことではあるがな」

「ふむ……結界があるから見られる心配もないみたいだし飛行魔法で屋上から行きましょうか」


    そしてみんながせわしなく出かける準備をし始める。

    と、そんな中で裕里は一人ある人物がいないことに気がついた。


「あ、そう言えば今更ですけどヘルメスさんが

 いませんね、もしかして、すももちゃんたちと一緒にフェイトちゃんのとこに行ってるとか?」


    それを聞いた美月は意地悪そうな笑顔を浮かべた。


「あ〜ちょっとね特別任務中なのよ、ふふふ」

「ほえ〜」

  
    ちなみにその頃ヘルメスはと言うと……


「謀ったな〜! 天城美月〜! と、ここはあ〜で、こ〜で うぁああああ〜!」


    美月の策略によって本人に代わり真面目にデバイスを作らされていたのだった。












                             魔法少女リリカルなのは 白銀の光をもたらす者




                                  第四話「振り返れば”奴”がいる」完







あとがき


はい、第四話どうでしたでしょうか。

いろいろ試行錯誤しながら書き方を少しずつ変えたりなど

やってるんですが……ふむ、完璧に納得が行くものは

なかなか書けないですね。

まあ、書くのが上手くない私が何、語ってんだ〜なんですが。

と、まあ話は変わりますが

今回はストーリーがようやく進展しました!

新型デバイスに原作A's第一話でもあった結界。

さあ、裕里くんたちの運命やいかに!

まあ、これから何度か敗北してもらう予定ですけどね♪


ではでは今回も読んでくださりありがとうございました。

次は、本編か春の風かサイドストーリーで会いましょう〜

そのときの気分でどれかを書きます♪
メンテ
Re: 白銀の魔法使い ( No.52 )
日時: 2009/09/04 20:54
名前: ふぁんふぁ 




「(じゃあ、なのはちゃんはもう向かってるんだね)」

「(うん、なんだか私のほうに反応が向かってきてるみたいだし……)」


    なのは連絡を取りながら進む裕里と美月たち。

    結界が張られたことを察知した後、急い用意を済ませ今は現場に向かっている所だった。


「(気をつけてね……何かあったら心配だから)」

「(うん、了解)」


    なのはにそれだけ告げると念話をやめる裕里。

    それと同時に美月のほうを向く。

    
「美月さん、なのはちゃんが向かっているそうなので急ぎましょう」

「オッケー、じゃあみんな少し飛ばすわよ」

「うにゃ〜!? これ以上無理〜!」

「情けないな……」


    急いでなのはの元に向かおうとスピードを上げる。

    魔力を感知した場所からそれほど遠いわけではないが出来るだけ急ぐ。

    まだ反応が危険分子なのかは分からないがもしそうだとすればなのはが危険だ。

    裕里は早く駆けつけたい一心で自身が出せる最高速度で飛行する。

    ……ちなみにそんな自分の前を平気な顔で飛行している美月に、

    若干突っ込みたくなったが今はそんな場合ではないとぐっと堪える。

    それからしばらくして


「もう少しかな……」
 
    
    後、少しで到着する辺りまで来た……そのときだった。


「っ!」


    別の魔力を感じる裕里。

    それは、良く知っている体にまとわりつくような不気味な魔力。

    そしてその独特な魔力の波動、忘れるはずが無い。

    何度も戦ってきたのだから。

    ……それは目の前に現れた。


「……」

 
    漆黒で染まっている体、だがそんな闇の中に唯一見える不気味な口。

    安定しておらず影のように揺らめくいている。

    それは裕里たちを見とめるとニヤッと笑った。


「……ウイルス」


    裕里は名を呟くと同時に

    エリュシオンを構え、目の前の相手に切っ先を向けた。

    

                              



                            魔法少女リリカルなのは 白銀の光をもたらす者
  
                                      


                                      第五話「開戦」

  

                                       始まります







「久しぶりに見たけど……やっぱり慣れないね、見た目」

「慣れたら、慣れたで怖いけどな」


    さくらと純一もウイルスを見て、嫌悪感を示している。

    それほど気味が悪い姿をしているのだ。


「下級は作りが適当だから仕方ないわ。

 ……よしよし、結構ウイルスも増えてきたみたいだからそろそろ……でも、そうね。ん〜」


    美月は自身のデバイス『アクエリアス』を片手で構えながら口元に指を当て思案し始める。

    
「このまま4人でも良いけど、急がなくちゃいけないし……」


    こちらは4人だがなのはは1人。

    そのうち管理局、来てくれるであろうが直ぐには無理だろう。


「じゃあ私とさくらちゃんがなのはちゃんの所にこのまま向かうから、あれの相手、裕里くんと純一くんでお願いできる?」

  
    ウイルスを指差しながら美月。
    
   
「分かりました。じゃあ僕たちで」

「了解」


    下級くらいなら2人でもどうにでもなる。

    そう判断し裕里は了承。純一も同様だ。


「お願いね。じゃあさくらちゃん、飛ばしていくから背中に掴まって」

「? は〜い?」


    美月は2人に笑顔で返すと、さくらに背中に掴まるように指示。

    さくらはよく分かっていないようだが、言われたとおり背中に掴まる。


「しっかり掴まっててね。じゃ、飛ばすわよ」

「にゃ?」


    そのとき美月の右足と左足に現れる円環型魔方陣。

    なんだろう、と裕里はその光景を見つめる。

    と、それがゆっくり光を放ち始めたかと思ったその瞬間。

    ――空気が爆発した。


「にゃあ!? ぐぎゅ!」


    さくらの首がぐきっと音を立ててに後ろにそれる。


「後で応援寄こすからね〜」

「にゃあぁぁぁぁあああああああああああ〜!……」


    美月は平気な顔で、背中のさくらは絶叫を上げながら

    いつもの数倍出ているであろう恐ろしい速度で飛んで行き――空の彼方に消えた。


「「……」」

    
    それを唖然と見送る裕里と純一。   

    一体どうなったのかと言うと……

    美月の足にあった魔方陣。

    それに美月が膨大な量の魔力を限界ギリギリまで集めた後、それを一気に放出。

    すると、どうなるか? 答えは簡単。空気をパンパンになるまで入れた風船と同じである。

    風船の口を緩める要領で魔力を放出。

    それは強力な推進力となり爆発的なスピードを生む。

    さらにその放出される魔力を飛行魔法の魔力としても使う。

    よって通常の数倍の速度で飛行出来たわけだ。

    
「そう言えば、最近新魔法作ったって美月さん言ってたような……」

「あれ、耐えられるなら良いけど。耐えられないと地獄だね」

「ああ……さくら強く生きろよ」

  
    合掌。


「と、こんなことしてる場合じゃなかったね」

「おっと、そうだった」


    当初の目的を思い出し後ろを振り向く裕里。

    するとそこには先ほどよりも遥かに数が多くなったウイルスが。


「増えてるね。数は五十くらいみたい」

「ああ……ふぅ面倒だなこれは」

「うん……」


    2人で疲れたような顔をしながらも、デバイスを前に構える。


「……よし、じゃあ行こうか」

「オーケー、じゃあ俺は左を」

「ラジャー」


    純一と別の方向を向く裕里。

   
≪Wind move≫

「!?……」


    その刹那、機械的な声が響くと共に一番手前にいたウイルスの首が飛んだ。

    掻き消えるウイルス。

    と、先程までウイルス居た場所にはエリュシオンを一閃させた後の裕里の姿が。
   
    裕里は高速移動魔法を使い一瞬でウイルスの手前まで移動したのだ。

    
「よ〜し、先手必勝でまず一体」


    裕里はエリュシオンを肩に置きながら辺りのウイルスを見渡す。


「上級か中級はいないよね……いたら危ないからこんなこと出来ないし」

   
    見渡すが回りに居るのは今の所、下級のみ。

    それを確認した裕里は肩に置いていたエリュシオンを構えなおす。


「……まず、右」


    呟くと同時にまたも一瞬で数体のウイルスの目の前に。
  
    しかし今回はウイルスも予測していたのだろうか、

    タイミングを計ったかの用に鋭い爪を裕里に向かって振り下ろしてくる。

    だがそれを難なく避ける裕里。

    空振ったウイルスは勢いを付け過ぎていたのか体制を崩す。

    その隙を見逃すはずも無くウイルスの首にエリュシオンを突き刺し二体目。

    間をおかず続いて裕里は振り向きざまに一閃。

    考えなしにこちらに向かってきていたウイルス三体の胴を一気に切断、ウイルスは掻き消えた。

    
「これで五体……後、二十体……多いなー」


    
    一方そのころ純一はと言うと



「なんか前よりガード固くなってるような……気のせいか」

「!……」

   
    独り言を呟きながらウイルス一体の顎の部分を蹴り上げ同時にオートクレールを切り上げる。

    
「ま、美月さんの訓練のおかげで下級ぐらいなら

 どうってこと無いけど……あの人の訓練、全然厳しくないのになんでか成果が上がって行くんだよな」

  
    約一月前の戦いの後、美月に訓練を受けていた純一。

    だが美月の訓練は何と言うか特別厳しい分けでもなく、特別疲れることもなかった。

    しかし徐々に出来なかったことが出来るようになって行ったりと強くなっている実感は湧いてくるのだ。


「なんでなんだろうな……と!」

「!?」

「これで六体か……敵に集中しないとな」


    純一は身の丈ほどある長剣を一度振ると腰を屈め剣先をウイルスに向けるように構える。

    そして一度深呼吸した後、ウイルスに向かっていった。

    ちなみに美月は訓練に効率を求める。

    無駄なことは省き、苦痛を感じさせないようにすることを第一に考えている。

    無理やりに教えても意味がないことは百も承知なのだ。

    無理やりは無駄。

    ならばと純一が一番集中できる訓練方法を考えそのメニューにしたがって訓練を行っているだけなのである。

    実際は結構すごい量の訓練をこなしているのだが、純一はそれにまったく気がついていなかった。

    無論、美月が悟られないようにしているのだが。


「よし、これで十体だ!」

    
    そこで十体目を倒し終える純一。

    剣を下ろし少し乱れた息を整える。


「ふぅ……結構倒したけど、下級なら魔法使うまでもないなぁ……ん?」


    そのとき純一は何かの気配を感じた。

    それに魔力と……異様な寒気。

    
「なんだ、この感じ……」

 
    不気味だ。

    何か起こるのか、と辺りを見渡す。

    と、次の瞬間。


「な!? 結界!?」


    純一の目の前に結界が張られる。

    しかもかなり強力な。

    突然の出来事に驚きながらも結界に近づく純一。

    一応、オートクレールで叩いてみるがやはりびくともしない。

    さらにその結界を見てあることに気がつく。


「まさか……裕里と俺を引き離したかったのか?」


    よく見てみれば自分と裕里を分断するように結界の境界がある。

    焦る純一。

    どちらかを、もしくはどちらともを潰すためにやったとしか思えない行為。

    だが今の所、自分の近辺にはなんの気配も感じない。

    そこで裕里のことが心配になった純一は裕里が居るはずの方を向く。

    顔が驚愕に染まった。


「上級が……十体だと!?」


    裕里に襲い掛かる十体の上級ウイルスの姿があったのだ。




    …
    



「くっ……下級を倒し終わった途端に出てきて襲い掛かってくるなんて、動きも統制されてる。てや!」

「シヲ……」


    裕里は突然現れた上級ウイルスたちに苦戦していた。

    結界が張られたと思った瞬間に転移の兆候も無く攻撃して来たのだ。

    それに少し反応が遅れ攻撃を避けきれず足に傷を負っているので動きも若干鈍い。

    出血も酷いため止血したかったがそんな暇すら与えてはくれない。

    焦ってはいなかったがこのままだと色々危ないのは明白だった。


「……マリョクヲ」

「そうだった。ウイルスって魔力食べるんだ」


    本能に忠実なんだなぁ、とのんきに考えながらも目の前のウイルスを蹴り飛ばす。

    
「特級とは大違いだよっ氷刃!」

≪Antenora≫

「ゴガッ……」


    怯んだ隙を見逃さずに魔法による攻撃。ウイルスの腕が飛ぶ。

    だが顔は苦痛に歪むことは無く無表情。

    さらにそれでは倒しきれなかったらしく、

    すぐに体制を立て直すと他のウイルスらと共にこちらにじり寄ってくる。

    その光景に裕里はぞっとした。

    下級とは違いハッキリとした体躯と顔だち、

    人間とほとんど変わらないので痛々しくて見ていられなかった。

    それでも相手は敵なので躊躇ったりすることはないが。


「ガアアア!」

「ちっ!」


    と、そのとき一体が突進して来た。

    裕里は舌打ちしながらエリュシオンを目の高さまで構える。

    そしてそのまま一回だけ息を吐き集中する。

    同時に目を閉じる。視覚は反応が遅れる。

    故に見ない、感覚で放つ。

    間近に迫るウイルスは腕を振り上げた。

    
「『鳳』」


    その呟きと共に特別早いわけでもない突きを放つ裕里。

    しかし先に飛び掛っていたウイルスのほうが

    明らかに早い……どちらが落ちるかは明白なはずだった。

    裕里とウイルスがぶつかり合う。

    それと同時に轟音と共に何かが壁に叩きつけられる。


「ゴガア……」


    なんとそれは胸に巨大な風穴を開けたウイルス。

    霧となって消える。   

    裕里はその光景を空中から見下ろしていた。


「くぅ……1人じゃヤバイなこれ……」


    辛そうに残り九体のウイルスを見る。

    向こうは今のところ静かに停止しているがそれが余計に不気味だ。    

    さらに足の怪我も慣れない回復魔法を

    かけ続けてはいるが動くので傷口がすぐに開き血は一向に流れ続けたままとなっている。

    
「エリュ……足に血が止まるくらいのバインドをかけてくれないかな」

≪Yes≫
<はい>


    仕方ないので無理やり止血すると裕里はエリュシオンを構えなおす。


「さてと、いつ応援が来るか分からないけどそれまでがんばろうか」

≪Roger≫
<了解>


    そして空を駆ける。

    このまま長く戦闘を続けていても意味は無い。

    向こうは九体、数的にも体力的にもこちらはキツイ。

    ある程度の怪我することは分かっている。

    ならば――


「特攻!」

   
    自身の最速で突っ込んでいく裕里。

    一番得意なのは接近戦、ならばそれに持っていく。

    遠距離でもいいがそれは効かない可能性が高い。

    相手は下級や中級ではない、上級ウイルス。

    特級ほどではないにしろ高い知能と魔力とポテンシャルを持っているのだ。


「エリュ! 最大出力のフォースセイバーを!」

≪Force saver!≫


    上にスライドする刀身、纏われる魔力刃。

    目の前に迫るウイルス。

    ウイルスも戦闘態勢に入る。

    
「やぁあああ!」


    一閃。

    渾身の力を込めて放つ。

    同時に砕け散る音が響いた……砕け散る音?

    それに何かを断つ感触も感じられなかった。

    だからと言って自分の体に傷があるわけでもない。

    裕里は不自然に思いながら、ふとエリュシオンを見る

    するとそこには


「エ、エリュ?」


    刀身がへし折れたエリュシオンの姿があった。

    それ以外にも所々に亀裂が入っている。

    唖然とそれを見つめる裕里。

    何が起こったのか状況に頭がついて行っていないのだ。


≪...Caution≫
<...危険です>

「……え?」


    一瞬でも目の前にウイルスがいることを忘れるほどに。


「シヲ!」


    ウイルスは腕を振り上げ、動かない裕里に振り下ろす。


「しまっ! がぁ!」

  
    勢いのついているウイルスの一撃。

    腕で頭から殴られ、裕里は吹き飛ばされる。

    そのまま地面に叩きつけられた。

    コンクリートは砕け、陥没する。塵が舞う。


「ぐぅ……ごほっ!……」


    その中心で裕里は頭から血を流しながらうずくまる。


「マリョクヲ」
    
「(うう、これが本当のピンチって奴か……

  こんな時って逆に冷静になるよね、どうするべきか……あ、ダメだ意識が朦朧としてきた)」


    まだ生きていることを確認したのか向かってくるウイルスたち。
  
    この状況を以外にも冷静に考えながらも血の流しすぎか視界が真っ暗になり始める裕里。

    生き残る方法は……

    考える。

    頭に浮かんでこない。

    
「(もうこの際、悪魔でもウイルスでもいいから誰か助けてくれないかなぁ……死にたくはないし)」


    だが無常にもウイルスは裕里の目の前までやってくる。

    今度は仕留めるつもりなのだろういつの間にか腕には魔力が纏っていた。

    躊躇うことなく腕を振り上げるウイルス。


「ハ!」

「(終わり?)」

   
    ウイルスの腕を見ながらそう頭に浮かぶ裕里。

    静かに目をつぶる。


「(……む? なんだか遅い?)」

 
    しかし一向に来る気配が無い。

    疑問に思い少し目を開く。
    
    するとそこには裕里の前に立ち、ウイルスと対峙している人の姿が2つ。


「情けない……」

「大丈夫?」


    聞き覚えのある声。

    後姿にも見覚えがあった。

    
「……ヘルメスさん? 撫子ちゃん?」

「応援に行けと言われて来てみれば……ボロボロだな、まったく」

「うん、ごめん。遅くなった」

    
    なんと、それはヘルメスと撫子の2人。

    尚、裕里を殺そうとしたウイルスはヘルメスの剣によって絶命している。 

 
「まったく貴様は曲がりなりにも私を倒したのだろう? こんな場所で倒れてどうする」

「あはは〜……油断しました……」

「少し待って。今、回復魔法を」


    ヘルメスはウイルスたちを睨み付け。

    撫子は裕里に駆け寄り傷を治し始める。

    まさか、本当に助けが来るなんて……

    驚きつつ、助かったと安堵する裕里。


「お前はそこで寝ていろ。コイツらは私と撫子で倒す」

「ヘルメスさん、撫子ちゃん、あ……りがとう……ございます……がく」

「自分でがくっとか言うな、まったく……そう言うところは天城美月にそっくりだな」

「でも、本当に気絶してる……」




    …




「ううん……むにゃ?」


    目を覚ます裕里。

    上を見上げると見慣れぬ天井があった。

    さらに辺りを見渡すが見慣れない風景。

    自分の部屋でないことは確かだ。

    
「ここ……どこ? アースラかな?」


    場所が分からない裕里は確認しようと起き上がる。

    
「っ痛!」


    頭に走る激痛。

    突然の出来事に頭を抑えながら何事かと頭を触るすると布の感触がした。


「む?……包帯?」


    疑問に思った裕里は部屋を見渡し壁にかけられていた鏡を見る。
 
    するとそこには包帯で所々巻かれている自分の姿が。


「何故に?……あ、そうだ僕、ウイルスにやられたんだった……

 そして応援に来てくれたヘルメスさんと撫子ちゃんに助けられて……気絶しちゃったのか」


    自分に起こった出来事を思い出す裕里。

    さらにもう一つ重要なことも思い出した。


「そうだ……エリュは」


    そう、壊れてしまったエリュシオンのこと。

    辺りを見渡す。

    だが何処にもエリュシオンの姿は無い。

    
「……また壊しちゃった」


    裕里は壊れたエリュシオンの姿を思い浮かべながら申し訳ない気持ちで一杯になる。

    デバイスは魔導師のパートナーなのだ。

    いつも共にいる友達。

    その友達を壊してしまった。しかも2度。


「美月さんが持ってるのかな、無事だよね……」


    心配になる裕里。

    と、そのとき部屋の扉が開く。

    慌てて扉のほうを向くとそこから部屋に入ってきたのは


「あら、目が覚めたのね裕里くん」

「美月さん」

  
    手に果物の入ったバスケットを持っている美月。

    どうやら裕里のお見舞いに来たようだ。

    美月は裕里のベットのすぐ傍まで来ると

    バスケットを部屋の真ん中においてあるテーブルに置き裕里を見据えた。


「怪我は大丈夫? 痛くない?」

「えと、動くと少し痛いです。それ以外は大丈夫です」


    心配そうに裕里を見つめる美月。

    そして裕里の手を握ると少し力を込めて握る。

    
「ごめんね……私がもう少し早くエリュシオンの新型を完成させていれば……」

「いいえ……僕が悪いんです。エリュの限界を察せ無かったから……」

「……エリュシオンはね。コア以外は古すぎるの……劣化も激しいからもう、あなたの魔力に耐えられない」

「……」

   
    裕里は無言でうなずく。

    あの時見たエリュシオンの様子は

    外側から壊れたというよりも

    内部から壊れているように見えた……つまりは美月の言う通りなのだろう。

    そもそもデバイスは故意に破壊されるならまだしも当てたくらいで壊れるような代物ではないのだ。


「だからこそ新型を作った。そしてすでにほとんど完成しているわ……だからあんまり自分を責めないで? ね?」

「……はい」


    美月に優しく頭をなでられる裕里。

    とても安心できた。

    やっぱり自分のお婆ちゃんなんだ、と感じる。

    
「あ、そうだ。もう一つ伝えないといけないことが……あ〜忘れてた」

「へ?」

「2人とも、入っていいわよ」


    美月が扉に向かって声をかける。

    するとそれと同時に扉が開き入ってくる二つの影。


「裕里くん、起きたんだね……良かったよ〜」


    それは裕里の様子を見て安堵の表情を浮かべているなのは。

    そして――

 
「良かった……」


    さらにその隣にいるのはフェイト……フェイト・テスタロッサではないか。

    裕里は目を見開く。


「……フェ、フェイトちゃん?」

「うん、久しぶりだね」


    裕里が名を呼ぶと微笑むフェイト。

    久しぶりに見たフェイトの笑顔に先ほどまで暗かった裕里の顔もほころぶ。


「……また、会えてよかったフェイトちゃん」

「ん」


    あの別れからの再会。

    まだ出会えた……そのことを心のそこから喜ぶ裕里だった。









                          魔法少女リリカルなのは 白銀の光をもたらす者



                                 
                                   第五話「開戦」完















あとがき


はい、ようやく第五話書き終わりました。


今回は裕里くんに惨敗してもらったんですが、どうでしたでしょうか?

微妙だったかも知れないと今更ながらに思っているのですが……あんまり自信が無い〜。

ストーリーも大して進んでいませんし……悩むな〜、これからの展開が。

まあ大筋は決まっているのでそれに従いつつ思い付きと合わせて書いていくだけですけど。


それでは今回も読んでくださりありがとうございました。

次はどれを書くかは決めていないのですが春の風じゃなく、こちらを書くかもしれませんです。


それでは〜
メンテ
Re: 白銀の魔法使い ( No.53 )
日時: 2009/09/22 18:47
名前: ふぁんふぁ 




「じゃあ、なのはちゃんとフェイトちゃんも戦って怪我してたの? 大丈夫?」

「うん、裕里くんほど酷かった訳じゃないからもう平気。……二日も目を覚まさないから心配したんだよ?」

「……面目ない」


    次の日。

    完全でないとは言えある程度傷がいえた裕里は医師の了承も出て退院することとなった。

    元々鍛えているので頑丈なのかほとんど打撲で済み、

    未だ一番ひどかった頭に包帯は巻いているが体に異常は無かったらしい。


「美月さんも、心配して泣いてた」

「……え?」

    
    美月さん……が?

    フェイトの言葉に驚く裕里。

    あの一番泣いたりしなさそうな美月が泣いたというのだ当然だ。

    それと同時にいろんな人に心配かけた、と申し訳ない気持ちで一杯になる。


「そんなに落ち込まないで、無事だったから別に良いんだよ……裕里が元気ならそれで良い」


    落ち込む裕里の頬に手を当て撫でてくれるフェイト。

    暖かい手……とても安心出来る。

    
「……ありがと」


    久しぶりに会っても変わらない

    フェイトの優しさに微笑んでお礼を言う裕里。

    そして頬を撫でてくれているフェイトの手を握り返した。


「「……」」

    
    何となく無言で見つめあう裕里とフェイト。


「「(なにを話そう……)」」

    
    昨日は再会の後、検査などで話をする時間も無かった。

    だが、いざ機会が巡って来ると

    何を話して良いかわからず結局2人で見つめ合うしか無くってしまったのだ。
 
    ちなみにそんな中、なのははと言うと


「(話に入っていけない……それになんだか最近私の存在、確実に忘れ去られてる時あるよね? 何となくだけど空気だし……)」


    2人の話に入って行けずさらに最近の自分について本気で悩み始めるのであった。

   
    

  
    

                              魔法少女リリカルなのは 白銀の光をもたらす者


                         
                              第六話「療養とか説明とか再会とか色々ですよ」



                                          始まります





「おっとっと……まだ少しふらふらする……」


    病室を出た裕里。

    多少のリハビリも兼ねて少し辺りを歩くことにしたのだった。

    医師にはもう歩いても差し支えないとは言われているので問題は無い。

    それに現在地はなんとアースラではなく

    時空管理局の本局らしいので少し見て回りたいと言う気持ちもあったのだ。

    無論1人ではないが。


「気をつけてね、裕里くん。まだ完治じゃないんだから」

「なのはもね」

「なのはちゃんもね」

「……は〜いなの」

    
    もちろん隣には付き添いとしてなのはとフェイト。

    
「じゃあ、この辺りを少し歩こうか? なのはちゃんとフェイトちゃんはそれで良い?」

「うん」

「いいよ」


    3人で並んで歩き出す。


「おお〜なんだか線みたいなのが光ってる」


    歩きつつ機械的な内装に興味心身な様子で辺りを見回す裕里。

    裕里にとって本局やアースラの内部も外部も含めて目に映るものすべてがSFの世界の物。

    故に歩くだけでも楽しいのだ。

    その光景を後ろから見ていたなのはとフェイトは


「にゃはは元気だね、裕里くん」

「ふふ、あんまり無茶しちゃダメだって言ったのにね。でも元気になって良かった……」

「うん、ホントに……」
    

    元気になった様子の裕里を見て安堵していたのであった。

    ――それから、しばらく歩き続けること数分。

    本局内を適当に歩き回っていた裕里たちが丁度廊下の曲がり角に差し掛かった時だった。

    見覚えのある女性が裕里たちよりも先に角を曲がってきた。

    女性は疲れたように顔を俯かせている。

    裕里は女性に気がつくとすぐに声をかけた。


「ヘルメスさん」

「む?」 

 
    ヘルメスと呼ばれた女性は裕里の声を掛けられると顔を上げた。


「なんだここに居たのか……ずいぶん探したぞ」

   
    少し機嫌が悪そうに近づいてくるヘルメス。
  
    言葉からどうやら今の今まで裕里たちのことを探し回っていたらしい。


「ふぅ……部屋に居ないから何をしているかと思えば」

   
    じろりと裕里の隣に居るなのはとフェイトを見る。


「美少女2人を侍らして逢引か?」


    嫌味ったらしくそんなことを言うヘルメス。

    探し回るのに無駄に時間を使ったので文句の一つでも言いたかったのだろう。

    しかしそれに対する裕里たちの反応はと言うと


「へ? 侍らす? 逢引?」

「どう言う意味だろうね、フェイトちゃん?」

「えと……分からないかな」


    まじめに頭を悩ませ疑問符を浮かべる3人。

    最近の小学3年生なら言葉の意味が分かる者も居るかも知れないが

    裕里たち3人は今時、珍しいほど純粋なので何のことだかまったく分からないのだ。

    
「……いや、すまない。私が悪かった。気にしないでくれ」

「「「?」」」

   
    それに気がついたのかヘルメスは顔を少し

    赤く染めながら仕切り直すためかこほん、と一つ咳払い。

    裕里は裕里で何故、顔を

    赤くしたのか分からずさっき言葉の意味も含めて

    なんだったんだろう?

    そう思ったが様子から見て聞くと後が怖そうなので口にはしなかった。

    
「実はお前達を呼んできて欲しいと美月さんに頼まれたんだ。何でも用事があるらしくてな」

「あ、そうだったんですか」

「場所は私が今から案内してやる。

 だが早く向うぞ。結構時間が経っているから何をされるか分かったものではない」


    それを聞いて顔が青くなる3人。

    美月のことだ、遅れすぎると何かされるに違いない。

    顔を見合わせあう。
     

「裕里くん! 早く行こ!」

「裕里、急ごう!」

「イエッサー!」


    走り始める裕里となのはとフェイト。

    
「おい、場所が〜……って、もう居ないか。どの部屋か分からないだろうに……それにしても、走れるくらいには治ったのだな」



    そして1人廊下に取り残されたヘルメスは

    元気に走る裕里の姿を見て、ほんの少しだけ

    嬉しそうに口の端を持ち上げ微笑むと裕里たちの後を追いかけるのだった。




    …




「部屋はここだ。では私はまだ用事があるのでな。これで失礼する」

「はい、ありがとうございました」

「ふぅ、ふぅ、はぁ、はぁ……裕里くんもフェイトちゃんもヘルメスさんも早いよ〜……はぁ、はぁ」


    ヘルメスにとある部屋の前まで案内された裕里となのはとフェイトの3人。

    用事があるらしいヘルメスとは部屋の前で別れ、後を見送ると早速部屋に入った。
    

「遅れました」

「ごめんなさい、遅れました」

「はぁ、はぁ、はぁ……お、遅れました……です……はぁ、はぁ」


    遅れたことを謝りながら部屋に入る裕里たち。


「全然大丈夫よ〜……あら、もしかして走ってきたの? 別に急がなくても良かったのに〜」


    部屋の中に居た美月は裕里たちの様子を見て苦笑していた。


「……と言うか裕里、君まだ怪我人だろ? 走ったらダメじゃないか」

「クロノの言うとおり無理したらダメだぞ? まあ、そのときはそのときで僕が優しく回復魔法を」

「あ〜分かった分かった。それ以上言うんじゃないよ。気持ち悪いから」

 
    と、そこには美月の他にもクロノ、ユーノ、アルフの姿が。

    
「アルフさん、お久しぶりです」


    裕里は早速アルフに挨拶する。

    クロノとは美月関係でちょくちょく会っていたし

    ユーノは最近まで高町家で一緒に住んでいたので久しぶりと言うわけでもない。

    なので特に挨拶はしなかった。


「ああ、久しぶりだね裕里。元気にしてたかい?……と言っても怪我してるから元気って聞くのはおかしいかもね」

「えと〜……その〜……すみません……」


    もう、謝ることしか思いつかない裕里。

    アルフは仕方ないねぇ、と苦笑している。

    と、そのとき突然フェイトがふらりと前に歩み出た。

    続いてなのはもフェイトと同様に前に歩み出る。
  
    裕里がなんだろう?、とその後を目で追うと

    そこにはひびが入りボロボロになっているデバイスが2つ。

    レイジングハートとバルディッシュ。

    なのはとフェイトのデバイスだ。


「ユーノ、破損状況は?」


    クロノはなのはとフェイトを見ながらユーノにデバイスたちの状態を尋ねた。

    ユーノは少し苦い顔しつつもモニターを見ながら答える。


「正直、あんまり良くない。今は自動修復を掛けてるけど基礎構造の修復が済んだら一度再起動して部品交換とかしないと」

「そうか……」


    クロノはそれを聞いて残念そうな顔をする。

    
「そういえばさぁ……あの連中の魔法って、なんか変じゃなかった? どこかで見た気もするんだけど思い出せないんだよね」


    う〜ん、とアルフは首を傾ける。

    ああ……とクロノはうなずいた。


「あれはたぶん……ベルカ式だ。そうですよね、美月さん」

 
    クロノはアルフに答えると同時に美月のほうを向いた。

    美月はクロノを見返しながらうなずく。

    
「ええ、ベルカ式ね」

「ベルカ式?」


    裕里は聞きなれない言葉に疑問符を浮かべた。

    
「その昔、ミッド式と魔法勢力を二分した魔法体系だよ」

「遠距離や広範囲攻撃をある程度、度返して対人戦闘に特化した魔法で……優れた術者は騎士と呼ばれる」

「確かに……あの人、ベルカの騎士って言ってた」


    ユーノが補足を入れ、それにクロノが続く。

    フェイトもどうやら心当たりがあるようだ。


「そして最大の特徴はデバイスに組み込まれた、カートリッジシステムって呼ばれる武装」

「儀式で圧縮した魔力を込めた弾丸をデバイスに組み込んで、瞬間的に爆発的な破壊力を得る……危険で物騒な代物だな」

「なるほどね……」


    神妙な顔つきでベルカ式についての説明を終えたユーノとクロノ。

    聞いていたアルフの表情も少し硬い。

    その様子を見ていた美月は苦笑した。


「そう言われるとなんだか私まで物騒な人みたいじゃない」

「い、いえ、そう言う意味で言ったわけでは、ないのですが……」

「?」


    焦るクロノ。
    
    何のことだか分かっていない裕里。


「裕里くん、私が魔法使う時の魔方陣の形覚えてる?」

「あ、はい、あの三角形みたいな魔方陣のことですよね?」


    そう言えば、と思い返す。

    美月が魔法を使うときは、自分達の使う円形の魔方陣とは違い三角形の魔方陣なのだ。    

    確か純一や撫子も同じだったはず。


「ええ、あれがベルカ式の魔方陣なの。

 つまり私は一応ベルカの騎士ってこと。まあ実際、騎士なんて大層なものでは全然ないけどね」


    本人は自分が騎士とは本気で思っていないのだろう。笑っているだけの美月。

    
「それと、まだ話があるんだ」

    
    と、クロノは前に歩み出る。

    そしてモニターを操作し何かの映像を映し出す。


「あ……」


    裕里はそれが何の映像かすぐに気がついた。

    あれは……僕がウイルスと戦ってた時の映像だ……

    何故なら倒れている自分。

    回復魔法を掛けてくれている撫子。

    ウイルスと対峙しているヘルメスの姿があったからだ。


「これは撫子くんに裕里の救出に行った際、デバイスを使って撮って来て貰った映像なんだが……不可解な点が多いんだ」


    クロノは映像を指差す。


「一月前まではウイルスが現れる所には必ず

 特級ウイルスが共に居た。しかし今回は誰もおらず特級ウイルスの反応も無かった」

「確かに……」

 
    裕里はクロノの話を聞いてうなずく。

    今までウイルスが現れる所にはヘルメスたちが必ず居た。


「だが今回、相手は今まで滅多に出てくることの無かった上級ウイルスを十体も使って力と数で攻めてきたんだ。

 本気で裕里を消しに来ていたんだと思う……だからこそ僕はあのパラケルスス達がこんなことをするとは到底思えない」


    今まで上級ウイルスが出てきたことは滅多に無い。

    最終決戦の時も数体出てきた程度だったはずだ。

    それに裕里自身もパラケルスス達がやった事とは思ってはいなかった。

    あの人達なら必ず自ら出てくるはずだ……と。    
    

「私もクロノくんと同じね。パラケルスス達がやったとは思えないわ。

 彼は裕里くんが心奏に目覚めるまで殺さないと言っていたし、目的もあるようだからそれを覆す事は無いと思うの」


    さらに美月の言う通りパラケルススは目的があると言っていたのだ。

    突然、殺しにかかるとは思えない。


「何か別の……見えない勢力でも居るのかしらね……」


    顎に手を当てて思案する美月。


「ふむ……一応、僕の方でも調べてみます」

「ええ、お願い。私も色々調べておくわ」


    と、美月は徐に立ち上がり一つ背伸びをする。            
  

「ん〜……ふぅ。よし、それじゃあある程度話も終わったから今日はそろそろ解散ね。

 あとフェイトちゃんはこの後面接があるからついて来てくれる? ゴメンね、面倒でしょうけど」

「いいえ、そんなこと無いです」


    フェイトはそのことを予め聞いていたのかうなずく。

    それを見とめた美月は笑顔でフェイトにうなずき返すと次に何故か裕里となのはの方を向いた。


「それと裕里くんとなのはちゃんも少しいいかな?」

「「?」」




    …




「私も君と同じ世界の出身でね。イギリス人だ」

「え〜!? そうなんですか!?」


    驚きの声を上げるなのは。


「あの世界の人間は魔力を持たないが稀に居るんだよ。高い魔力資質を持つ人間が」

 
    なのはの目の前には初老の男性の姿が。


「ほへ〜……」

「ふふ、裕里口開いてるよ?」

「はっ!」


    その隣で口を半開きにしながら話を聞いている裕里と笑いながら指摘するフェイト。

    ……実は今現在、裕里となのはは美月、クロノに連れられフェイトの面接に立ち会っており

    その関係で保護監察官である、ギル・グレアムと言う人物と話していた。

    何でもそのグレアム氏はなのはと

    同じ世界の出身らしく、更になのはと同じような境遇で魔法と出会ったそうなのだ。


「フェイトくん、君はなのはくんの友達なんだね」

「はい」


    と、グレアムは手に持っていた資料を目の前にテーブルに置くとフェイトを見据えた。


「約束して欲しいことは唯一つだ。友達や自分を信頼してくれる人は

 決して裏切ってはいけない。それが出来るなら私は君の行動について何も制限しないことを約束するよ……出来るかね?」


    フェイトは凛とした表情でうなずく。


「はい、必ず」

「うむ、いい返事だ」


    グレアムは笑みを浮かべ満足そうな声を上げた。

    
「ほへ〜……」

「にゃはは、裕里くん口が開いてるよ?」

「はっ!」


    そんな中、裕里はまた口を半開きのまま

    ぼ〜としていたようで今度はなのはに指摘を受ける。

    
「おっと、すまないね。君には関係の無い話題だったから退屈だっただろう」

 
    それを見かねのかグレアムが笑顔で裕里に語りかける。


「いいえ、そんなこと無いです。お話を聞いてるだけでも退屈じゃなかったです」


    あはは〜、と裕里。

    実際に別段退屈ではなかったのだが入れるような

    話題でもなかったので聞いているうちにまたその状態になっていたらしい。


「君は確か……空咲裕里くんだったね」

「はい、そうです」


    と、グレアムは裕里を見つめる。

    裕里は戸惑うが目を逸らすのも何となく変なので逸らさずに見つめ返す。


「……似ている」

「へ?」


    ポツリと呟くグレアム。

    一瞬なんと言われたのか分からなかった裕里は疑問符を浮かべる。


「えと……」

「ん? ああ、いや。すまない独り言だよ」


    グレアムは気にしないでくれ、と苦笑する。

    聞かれたくない事だったのかな?

    何となくグレアムの見てそう思った裕里はそれ以上聞かないことにした。

    誰にだって聞かれたくないことがあると言う事くらいさすがに理解している年齢なのだ。


「それじゃ、そろそろお暇しましょうか。裕里くんもなのはちゃんもフェイトちゃんも怪我人なんだから」

「ええ、そうですね」


    と、今まで会話に入ってくることが無かった美月が立ち上がる。

    クロノも同様に裕里たちを気遣ってか美月に同意すると扉のほうに近づいた。


「じゃあ行こうか。それと裕里はこれから大事をとって退院前の精密検査があるから僕が連れて行くよ」

「うん、分かった」


    クロノの言葉にうなずくと裕里も扉の前に移動する。

    なのはとフェイトも裕里に続いた。

    
「それでは失礼します」

「「「失礼しました」」」

 
    頭を下げて部屋を出て行くクロノと裕里たち。

    それを見送るグレアム……それに美月。


「……天城総統。裕里くんは、よく似ておられますな」

「あら、私に? 嬉しいわね」


    グレアムは美月を見据えると微笑しながら頭を振る。


「確かにあなたにも似ていますが……空咲総統にです」

「……」

    
    美月はうつむく。

    一方グレアムは美月の返答を待っているのか何も話そうとはしない。


「「……」」


    ……しばしの沈黙の後、美月が顔をあげた。

    
「ええ、性格は正反対だけど外見も中身も心くんにそっくりよ」


    怖いくらいにね、と自嘲気味に笑みを浮かべる美月。

    
「あまり無理をなさらぬよう。貴方は1人で抱え込まれるところがある」

「あら? 貴方に言われるとは思っていなかったわ」


    と、美月は扉に近づいていく。

    
「グレアムくん。今回私はまた闇の書に関わる事を決めたわ」

「……」

「あなたが何を考えているのかまでは分からない。

 でも、あの時闇の書が暴走したのも……クライドくんが死んだのも決して貴方のせいじゃない。それだけは覚えておいて」


    部屋を出て行く美月。

    それを見送るグレアム。

   
「……そう言うわけにも行かないのです。美月総統」


    1人になったグレアムは先ほどの美月と同じように自嘲めいた声でそう呟いた。
 


    


    



                            魔法少女リリカルなのは 白銀の光をもたらす者


                         
                            第六話「療養とか説明とか再会とか色々ですよ」完









あとがき


はい、ようやく書き終わりました。

前の更新からどれだけ経ってるんだろ……

……えっと今回は若干オリジナルも混ぜつつ原作に沿わせて見ました。

意外な接点などこれからの伏線的なもの大量放出です♪

これからも伏線を色々出しつつ書いていきたいと思います。

もちろん最後にはちゃんと解決していきますよ?

……第三部とかサイドストーリーに続きそうだけど。

それにしても原作、オリ、他作品キャラ合わせてみるとかなり多いな〜出しすぎですね。

反省しているのですが今更どうしようもないので何とか頑張っていきます。

あと今回は色々用事の重なりすぎで中々書く暇が無く、

一度に書けなかったのでおかしな所があるかも知れません。

その際はご報告ください。


それでは今回も読んでくださりありがとうございました。

次は春の丘を書きますのでそちらでお会いしましょ〜
メンテ
Re: 白銀の魔法使い ( No.54 )
日時: 2009/10/25 03:36
名前: ふぁんふぁ 




「お祭り行こぉ〜!」

「「へ?」」

   
    桜ノ丘に行ってから二日後。

    学校から帰ってきた春風は叫びながら

    部屋でまったりしていたシアとネリネの手を掴んだ。


「お、お祭りですか?」


    ネリネは春風のテンションの高さに若干顔が引きつっている。

    もちろんシアもネリネと同様……


「お祭り!? ふっふっふ……これはテンション上がるッス!」

「シ、シアちゃ〜ん……あはは……」


    と、言う分けでもなく不敵に笑っている始末。

    ネリネはそんなシアを見て少し苦笑を浮かべた。

    
「うん、そう! 今日、近くの神社でお祭りがあるんだ〜っとぉ、そうだ!」

「ふっふっふ……お祭り、お祭り……」

「あ、春風ちゃん?」

  
    と、春風は何か思い出したのか部屋から急いで走り出る。

    シアとネリネを放置して。


「お祭りなら浴衣だよね! 今、十二月だけど。……よく考えるとお祭り自体季節はずれだしね……ま、いいか〜」


    細かいことは気にしない。

    楽しいことなら別にいいのだ。

    春風は広大な家の中を駆ける。

    そうしてようやく自分の部屋の前にたどり着こうとしたその時だった。

    
「確か三着くらいあったはず〜シアちゃんとネリネちゃんも浴衣に着替えて〜」

「ちょっと待った春風ちゃん、それには及ばないよ」

「え?」

    
    誰かに呼び止められる春風。

    聞き覚えのある声に後ろを振り向く。

    するとそこには魔王フォーベシィの姿が。

    手には何故か三着の浴衣を持っている。

    春風は自分の持ってるのとは違う浴衣だな、とその浴衣を見つめた。

    それを見た魔王は得意げに笑う。


「気づいたかい? ふっふっふ、これはね一昨日から私と春音ちゃんが持てる力、全てを

 使って今日の為に作り上げた最高傑作の浴衣なのだよ! 思わず作り直してしまったから六着ほど出来てしまったけどね!」

「ほぇ〜……」


    誇らしそうに浴衣を掲げる魔王。

    春風は口を開けてぽかんとしていた。

    なんとリアクションして良いのか、まだ小学二年生には分からなかったのだ。


「イヤイヤイヤ、そんなに驚くほどのことではないよ!

 娘達への愛があればこの程度、造作ないさ!……ま、神ちゃんはお裁縫、出来ないから見てるだけだったけどね」


    魔王は意気揚々とシアたちが居る部屋へと歩き出す。

    春風も後ろから着いて行く。

    と、春風は後ろからなにやら暗い視線を感じた。

    視線?

    気になって後ろを振り返って見た。


「マー坊の野郎……今に見てやがれっ! 俺だって裁縫くらいすぐに覚えてやらぁ! そして必ずシアに究極の浴衣をぉ!」

「神くん、落ち着くんだ。君にはああいった細かい仕事は無理だよ。こう、性格的に」

「そんなこたぁねぇ聖人ぉ! 漢ならやんなきゃなんねぇ時があんだよぉ!」

「……あは、気のせいかな」


    ……何も見なかったことにした。


    


                              白銀の魔法使い外伝 春の風が吹く丘で


                              第四話「親バカも行き過ぎると病気です」


                        
                                      始まります





「はい、着付け終わりましたよ。ネリネちゃん」

「ありがとうございます、春音さん」

    
    ネリネは春音に着付けをしてもらい浴衣に着替えていた。

    すでに春風とシアは着付けが終わっており、ネリネで最後なのだ。


「素敵な服……いえ、浴衣ですね。こんな、かわいい浴衣が着れて嬉しいです」


    着付けが終わりネリネは自分が着ている浴衣を眺めながらくるりと一回転する。

    春音はそんなネリネを見ながらやさしく微笑んだ。


「ふふ、その浴衣もネリネちゃんに着て貰って嬉しそうですよ?」

「え!? そ、そんなこと無いです……」

  
    恥ずかしかったのか顔を赤くするネリネ。

    
「ネリネちゃんすご〜くかわいいよ〜」

「そうだよ〜」

「シアちゃんもね」

「ええ!? えっと……あ、ありがとう春ちゃん」


    春風は着付けが終わるのを確認するとネリネの隣に立つ。

    紫色の布地に紫陽花の刺繍が施してある浴衣を着ているネリネ。

    ネリネの雰囲気とも相まって良く似合ってると思った。

    同じく赤で紅葉の刺繍がされた浴衣を着ているシアも浴衣が良く似合っており、

    二人にちゃんと合わせて作ったんだろうな、と浴衣を作った魔王と春音の凄さに尊敬した。

    ちなみに春風の浴衣には白地に桜の花びらの刺繍がされている。

     
「よ〜し、それじゃあ写真を撮るからポーズをよろしく」


    と、部屋にはいつの間にか見るからに高級そうなカメラを構える魔王の姿が。

     
「え? え?」

「あは〜なんだかね、浴衣姿のお写真撮るんだって〜」

「記念らしいッス」


    春風はネリネの腕を取ると元気よくピースサインを作る。

    ネリネは良く分からないまま春風に釣られてピース。

    シアも同じくピース。

    魔王は満足げに頷いた。

     
「うんうん、いい笑顔だ! いい笑顔だよ! それじゃあ、はいチーズ〜」


    カシャとシャッターの音が鳴る。

    二回鳴る三回鳴る四回鳴る五回鳴る六回鳴る七回鳴る……


「お、お父様? 少し撮りすぎでは……」


    それにはさすがのネリネも口を挟んだ。

    魔王は、カメラを顔から放すとぶんぶんと勢いよく横に頭を振る。


「いいや、そんなことは無いよネリネちゃん! 

 今の年齢の浴衣姿を写真に取れるのは今回限りだろうからね、まだフィルムはあるから沢山写真に収めないと!」

「ふぅ……まーくん」


    テンションが上がっているのか鼻息が荒い魔王。

    それを見兼ねたのか春音はため息を吐くと魔王に近づいた。

    魔王の肩に手をかける。

    そして耳元に顔を近づけるとそっと呟いた。


「……いい加減にしないと前みたいに外しますよ? 全身の関節を」

「ひっ!?」

     
    と、魔王は突然その場から飛び退く。

    顔が蒼白に染まっていた。


「は、春音ちゃん、私が悪かったよ! だ、だから許して〜!」


    過去に何かあったのだろう。

    見っとも無く滝のように涙を流し、床に手を突き土下座して謝る魔王。


「「「……」」」


    その様子を一部始終、眺めていた春風たち三人は

    大の大人が土下座している姿を見て絶対にあんな大人にはなるまい、と心に誓うのであった。


  
     
    …




「なんだか音楽が聞こえてきたね〜」

「にぎやかですね〜」

「毎年ここのお祭りは異常なくらい楽器を

 かき鳴らしてるから賑やかだよ〜エレキギターとか何故だか良く分からないけどリコーダーとか」


    神社への階段を上がる春風たち。

    シアとネリネは日本のお祭りが初めてなので興味津々のようだった。


「……ず〜ん」

「神くん……その……ご愁傷様」

「あっはっは〜仕方ないよ。神ちゃん、昔からお裁縫とか苦手だし」

「……得手不得手と言う前に仮にも一世界の王が家事大得意と言うのも私はどうかと思うんですけど?」


    その後ろから歩いて来るのは三人の保護者たち。

    落ち込む神王、慰める聖人、大笑いしている魔王、呆れている春音の四人だ。

    そして階段を上り終える。


「「ふわ〜……」」


    シアとネリネは目の前の光景を見て感嘆の声を上げた。

    
「あは、二人とも口が開いてるよん」

「「ほわ!?」」

  
    春風の指摘を受けすぐさま口に手をあてがう二人。

    そんな二人を見て笑う春風。

    だが二人にとって見れば始めての風景だったのだ。

    大げさだったかも知れないが二人の反応は仕方なかったのかもしれない。


「驚きました……日本のお祭りって綺麗なんですね」

「まったくッス」


    二人の目の前に広がるのは大勢の人々、多くの屋台、中心には大きな舞台。

    その上では大きな和太鼓を軽快に叩く男性と正座して真面目な顔でリコーダーを吹いている将斗の姿が。

    ……ん?

    春風、さらにシアとネリネも疑問符を浮かべた。


「しょーくんが居る〜?」

「リコーダー吹いてるッス」

「な、なんだかとてもシュールですね……」

   
    と、将斗が丁度こちらを向いた。

    その瞬間、顔が驚愕に染まる。

    どうやら春風たちに見られたくなかったらしい。

    将斗はすくっと立ち上がると舞台を降りようと舞台袖に駆け寄る。

    しかし周りの大人たちに止められてしまい、

    またも舞台に上げられると無理やり正座させられリコーダーを吹かされ始めた。
  
    よく見ると泣いている。


「……何があったんだろうね」

「えと……極力見ないようにして、そっとしておきましょう」

「あははぁ……しょーくん哀れッス」


    哀れすぎて悲しくなってくる。

    せめてもの情けとして顔を逸らしてあげる春風。シア、ネリネも同様に。

    と、春風は顔を逸らすと同時に付近がガヤガヤ騒がしいことに気がついた。

    今までも賑やかではあったがそれとは何か違う感じの騒がしさ。

    何事かと春風は辺りを見渡す。

    そこには――


「そこの美しいお嬢さん……どうかな、この後お茶でも」

「おらぁ! 射的は得意なんだぜぇ!」

「相変わらず賑やかですね、聖人くん……」

「そうだね春音ちゃん……そうだ、今から二人でお祭り見て回ろうか?」

「はい、そう言ってくださるのを待っていました……ふふ、久しぶりのデートですね」


    つい先程まで後ろから階段を上って来ていたはずの保護者たちがいた。

    保護者のはずなのに子どもを放っておいて遊んでいた。

    呆れるほど、はしゃいでいた。

    そして明らかに目立っていた。

    子どもたちはため息を吐く。

    
「……よ〜し、気を取り直してお祭り回ろう!」

「了解ッス!」

「はい、楽しみです」


    そんな訳で春風たちは自分たちだけでお祭りを見て回ることにしたのだった。


「まずは〜……お祭りと言えばかき氷だよね!」

「え!? け、結構寒いですよ!?」

「う〜ん、それはさすがに遠慮したいッス〜……」

   


    …
   



「で、色々回ったわけですが〜……ネリネちゃん戦利品は〜?」

「えっとですね……

 ヤキソバ、タイヤキ、たこ焼き、焼きイカ、焼きトウモロコシ、りんご飴、わた飴……それが三セットです」

「春ちゃん〜もしかしなくても買いすぎ?」

「大丈夫だよシアちゃん! 人間やる気があれば何でも出来ますからぁ!」

「……滅茶苦茶心配ッス」

  
    適当にお祭りを回り、一息ついていた春風たち。

    手には三人では絶対に食べきれないであろう量の食べ物が握られていた。

    
「それにしても……こんなに楽しかったお祭りは初めてです」


    と、ネリネがポツリと呟く。

    春風は首をかしげた。


「あれ? そうなの?」

「はい、シアちゃんも同じでしょうけど、

 お祭りに行くときはいつも護衛の方が付いてらっしゃいましたので……そんなに自由はありませんでした」

    
    そう言えば二人はお姫様なんだよね、と春風は思い出す。

    立場的にも護衛が付くのも仕方ないのだろうが見張られていては楽しめるものも楽しめないだろう。

    王族特有の不自由さがやはりあるのだ。

    ……なら、せめて今この時だけでも楽しんでもらいたいな。

    春風は何か何かないかと考える。

    お祭りと言えば――


「……そう言えば、まだアレがあったな〜」

   
    どうやら何か思いついたようだ。

    シアとネリネの方を向く。


「あのね、二人に着いてきて欲しい所があるんだけど……いいかな?」

「へ? は、はい構いませんけど」

「でも、どこに〜?」


    春風は二人に向かってニコリと笑った。


「桜ノ丘だよ」

「今から桜ノ丘に行くのですか?」

「うん、でも少し急がないとダメだから、すぐ行こ」

「了解ッス!」


    春風はシアとネリネを連れて神社を後にする。

    言われるがまま春風について行く二人。


「桜ノ丘に何かあるんですか?」

「ん〜? あは、秘密〜」


    それからしばらく歩き続けること数分。

    目的の場所にたどり着いた。

    
「はい、到着〜」


    桜ノ丘の頂上である。

    頂上からは夜の街全体を見渡すことができ、先ほどまでいた神社も見えた。

    神社は未だに賑わっているようで賑やかな音が聞こえてくる。

    それに頂上には春風たち以外にも人がいた。


「ふふ、やっぱりここに来ましたね春風ちゃん」

「待ってたよ」

「あ、ママ〜パパ〜」

「ネリネちゃんも楽しかったかい?」

「はい、とっても」

「シア〜! 俺だってなぁ、やれば出来るんだぜぇ!」

「うわ〜お父さん、すごい景品の山〜」


    子どもそっちのけで遊んでいたはずの保護者たちだ。

    さすが親と言った所か。

    子どもたちの行動は丸分かりのようだった。

    そしてさらに――


「……しょーくん、生きてたんだね」

「ああ、かろうじて……」


    将斗の姿もあった。

    顔は疲労困憊といった感じでテンションはいつもより低い。

    一応、笑ってはいるが笑顔になっていなかった。

    よく見れば涙の跡も見受けられる。

    何がどうしてあんなことになったかは知らないが将斗はご愁傷様だ。


「さすがにやりすぎだと思ったから連れてきちゃったよ」

「あ、パパが連れてきたんだね〜」

   
    どうやら見かねた聖人が連れてきたようだ。

    優しい人である。

    誰も救おうとしなかったのに。


「さてと〜……そろそろですよ春風ちゃん」

「ホントだねママ〜」

「あ、そう言えば本当に何があるんですか?」


    不意に春風は神社の方向を指差した。

    釣られてシアとネリネはその方向に顔を向ける。


「「え?」」


    同時に、二人は目を見張った。

    大きな音と共に空に美しい一輪の花が咲き誇ったのだ。

    
「は、花火?」

「うん、そうだよシアちゃん。ここはね一番、花火が綺麗に見える場所なんだ〜」

  
    花火を眺めながら驚くシアに答える春風。

    顔は満足げだ。


「不思議な風景です……桜が舞う中で花火なんて……」

   
    ネリネは幻想的な風景にうっとりしている。

    
「あ、そだ〜この間、言うの忘れてたんだけど〜この桜の木の噂」

「……噂ですか?」


    と、唐突に桜の噂とやらについて語り出す春風。

    ネリネは少し興味があるのか聞き返した。


「うん、この桜の木にはね『真摯な願いだったら叶えてくれる』って噂があるんだ〜……」


    花火が上がる中、枯れない桜の隣に立つと幹を撫でる春風。

    
「でも……もし、お願い叶えてくれるなら……」

「……叶えてくれるなら?」

「あ……ううんシアちゃん、なんでもないよ」

  
    途中まで言いかけて止めてしまう春風。

    表情にはどこか寂しさのようなものがあった。

    それを感じたのかシアもそれ以上聞いてくることはなかった。


「え〜と、そ、それにしても花火、綺麗だね〜」


    と、話題を変えるためか春風はわざと大きい声を出し花火を指差す。


「はい……打ち上がるたびまったく違う形の花火が上がって……とても綺麗です」

「うん、こんな綺麗な花火見たことないッス」


    シア、ネリネも同意する。

    花火にとても感動しているようだった。

    そんな二人を見た春風は空に手を伸ばし花火を掴むような仕草をするとそのまま二人の方を向いた。


「また……必ずここで一緒に花火見ようね」

「はいッス!」

「はい、また必ずここで」


    二人の返答に満面の笑みを浮かべる春風であった。

    ちなみに――

  
「……神ちゃん、日本の花火職人、数人拉致しようか?」

「おお! そいつは言い考えだなマー坊! よし早速、神族最強特殊部隊を編成して片っ端から花火職人を拉致」

「……お父さんに言いつけますよ?」

「「すいませんでした〜! ホントすいませんでした〜! つい出来心でぇ! だから言わないでぇ〜!」」

「「「……」」」


     春風たちは自分たちの隣で頭を地面に擦り付けて

     土下座する神王と魔王を見て再度絶対にこんな大人になるまい、と心に誓うのだった。








                               白銀の魔法使い外伝 春の風が吹く丘で


                              第四話「親バカも行き過ぎると病気です」完






あとがき


はい、第四話終わりました。

今回は季節外れのお祭りと言うことで、どうでしたでしょうか?

連続して本編を進めたので

久しぶりに書いたために設定が間違ってるかもしれません。

その際は雑談でもいいのでご一報を。

一応、確認してはいますが、もしかしたら見落としがあるかもしれませんので。


それでは今回も読んでいただきありがとうございました。

次は本編でお会いしましょう〜
メンテ
Re: 白銀の魔法使い ( No.55 )
日時: 2009/11/04 00:25
名前: ふぁんふぁ 





「ふぅ〜……精密検査ようやく終わった〜」

 
    退院に伴う、精密検査を終え

    裕里は自分の病室に戻ろうと廊下を歩いていた。


「それにしても……あの女医さん、ハアハアしてたけど何だったのかな……」

 
    先程の精密検査で担当してくれた女医の雰囲気が怪しかったことに疑問符を浮かべる裕里。

    名前も知らない人だったが少し怖かった。

    
「触り方もなんだか……ん?」


    ふと前のほうから人の気配を感じ、裕里は視線を向ける。

    
「あ、純一くん」

「っ!……裕里」


    目の前には純一がいた。

    純一は裕里に気がついていなかったらしく驚いた表情を浮かべている。

    しかし、どうやらただ驚いたと言うわけではないようだ。

    俯き少し落ち込んでいるような空気を纏っている。

    裕里はそんな純一の様子が気になり近寄った。

    
「どうかしたの? 元気ないよ?」

「……」

   
    裕里が声を掛けるが純一は無言。

    と、無言のまま裕里の肩に手を掛けた。

    
「……ごめんな」

「へ?」


    

                               魔法少女リリカルなのは 白銀の光をもたらす者


                                        第七話「家に帰ります」


                                              始まります




「な、なんで謝るの?」


    突然、謝られ裕里は戸惑う。

    特に何かされた覚えはないし

    そもそも先日のウイルスとの戦闘後は純一に会っていなかったからだ。


「俺、お前が死にそうになってるの見てることしか出来なかった」

「あ……」

   
    その一言で裕里はようやく理解した。

    純一は結界に阻まれ何もすることが出来なかったことに対して謝ったのだ。


「純一くんは何も悪くないよ、油断してた僕のほうが悪いから」

「裕里……」

   
    と、俯いていた純一は顔を上げると肩に手を掛けたまま裕里を見据えた。


「次は……俺がお前を守る」

「……え?……あ……そ、その……うん」


    純一の発言に顔を赤くする裕里。

    幾ら男であろうとあんなこと誰かに言われれば照れるのは必須だった。

    しかし。

    裕里と純一は気がついていなかった。
    
    実はその場面を覗いていた者達が居たと言うことに。


「……に、兄さん!?」

「……男の子同士でぇ!?」

「「!?」」


    突然の叫び声に驚き聞こえた方を振り向く裕里と純一。

    そこに居たのはなんと音夢となのはであった。

    二人の顔は驚きに染まっていると共に

    なのはは顔を真っ赤にし音夢は何故だか不機嫌。

    どうやら先程の会話を聞いた上で盛大に勘違いしてしまったようだった。

     
「兄さん……ほほう、そうですか……男の子が好きだったんですね」

「お、おい、ちょっと待て音夢! 落ち着け!」

「も、もしかしてこれがボーイズラブ!? け、けしからんなのぉ!」

「な、なのはちゃん、言葉がおかしくなってるよ?」

    
    音夢となのはのおかしな言動に戸惑う裕里と純一。

     
「兄さん、少しお話があります……ついて来なさい。分かりましたね?」

「うう……分かった」

「で、でも裕里くん、男の子同士はやっぱり〜……で、でも愛の形って沢山あると思うし」

「うん、なのはちゃん。少し落ち着こうか」


    有無を言わさない雰囲気の音夢にしぶしぶ着いて行く純一。

    裕里はなのはを落ち着かせつつそんな純一の冥福を心から祈った。

    と、純一が音夢と共に廊下の曲がり角に

    消えたの見送ったのと同時に角を曲がってくる少女がいた。

     
「あれ? 裕里となのは、こんなところで何してるの?」

「フェイトちゃん」


    その少女はフェイトだった。

    裕里たちの前まで駆け寄ってくる。

     
「でもでもユーノくんも怪しかったし……くうぅ、裕里くん、意外と男の子にモテモテなのぉ!」

「……なのははどうしちゃったの?」

「あ、気にしないで。混乱してるだけだから、一時の気の迷いだから」

「え? わ、分かった……」


    フェイトは顔を引きつらせながら頷く。

    
「あっと、そうだ。私、裕里に言わないといけない事があったんだ」

「へ? 何かな?」

 
    と、フェイトは裕里に何か伝えることがあるらしい。

    少し嬉しそうな顔のフェイト。

    何か良いことなのかな?、と裕里は少し楽しみになった。


「私、明日から海鳴に住むの、なのはと裕里の家の近くに」

「え……えぇ!?」


    全く予想していなかった

    フェイトの発言に驚きの声を上げるのであった。


    

    … 




「うわ、すご〜い! すごい近所だ〜!」

「ホント? なのは?」

「うん、ほらあそこが私の家なの、フェイトちゃん〜」


    翌日。

    フェイトの住むマンションを見に来ていた裕里となのは。

    高町家とマンションが思いのほか近かったことになのはとフェイトの二人ははしゃいでいた。

    その二人を眺める裕里とリンディ。

    
「それにしても僕が検査してる間にそんなことが決まってたなんて……」

「ごめんなさいね、裕里さんの検査がとても長引いてたから先に言っちゃったの」


    そうなのだ。

    実は裕里が精密検査をしている間に今回のことについて説明が行われていたらしいのだ。

    何でも今現在アースラが整備中で使えないため海鳴に臨時の駐屯所を置いたとのこと。

    本局から闇の書とウイルスを追うにも

    転送に時間が掛かり現場に来る頃には逃げられている可能性が高い。

    さらに言えば他の船が空いておらず仕方なくと言う理由もあった。

    最もリンディは別のことを考えてあえて海鳴に駐屯所を置いたのかもしれないが。

    
「精密検査、ホントは二十分くらいで終わるはずだったのよ」

「えぇ!? 三時間、掛かりましたよ!?」


    あの女医が何をしたかったのか……気にはなったが裕里はあまり深く関わらないでおこうと思った。

    多分あまり宜しくない事だと最近、弄られ過ぎて鍛えられた勘がそう告げている。

  
「……うん、忘れよう。人間、綺麗サッパリ忘れることも大切だよね」

「裕里くん、どうしたの? 一人で頷いてるけど」

「あは〜何でもないよ、すももちゃん、うん全然問題なし!」

「?」


    心配して話しかけてくれたすももに感謝しつつ忘れることを心に誓う裕里。

    この世界に来て数ヶ月。

    裕里も色々成長しているのだ。

    ……悲しい成長だが。
 
    ちなみにすももと撫子、ユキちゃんの三人は

    フェイトたちと一緒に住むらしく今まで仮で住んでいた美月の家の隣から引越しだったりする。


「裕里、なのは、フェイト、友達が来てるよ」

「ん? 友達?」

   
    と、クロノが裕里たちを呼びに来る。

    しかし裕里は何のことだか分からない。

    何のこと?、となのはの方を向く。


「あ、裕里くんには言ってなかったね、アリサちゃんとすずかちゃんが来ることになってたんだよ〜」

「……なんだか僕、何にも知らないよね」

「ごめんね〜今日の朝、電話したから伝えるの忘れてて」

  
    えへへ、となのははチロリと舌を出す。

    その仕草に裕里が少しドキッとしたのは秘密だ。


「もう……あれ? それにいつの間にかアルフさんも小さくなってる?」


    ふとフェイトに目を向けると腕の中に小さいアルフが居た。

    大きさで言うと仔犬くらいだ。


「どうだい? この仔犬フォーム。中々いいだろ?」

「……うん、かわいいですね」

「アンタって、結構ストレートに言うよね……照れるじゃないか」

  
    裕里は仔犬アルフを見て顔がふにゃける。
  
    アルフはその顔を見て照れながらも苦笑していた。

    それから裕里たちが玄関に向かうとアリサとすずかと音夢が待っていた。


「こんにちは〜」

「来たよ〜」

「こんにちはです」

「アリサちゃん、すずかちゃん、音夢ちゃん!」

  
    アリサとすずかを見てなのはとフェイトは駆け寄る。

    裕里はゆっくりと後ろから近づいていった。


「初めましてってのも何か変かな?」

「ビデオメールでは何度もあってるもんね」

「うん、でも会えて嬉しいよ、アリサ、すずか」


    顔を綻ばせるアリサとすずか。

    フェイトも同じく微笑んだ。

    
「フェイトさんお友達?」


    と、家の奥からリンディがやって来る。

    リンディは裕里の隣にやってくると電話の子機を差し出した。


「それと裕里くん、美月さんから電話よ」

「あ、はい、分かりました」


    裕里は子機を受け取ると、

    部屋の中に引き返し受話器に耳を当てる。


「もしもし〜」

『あ、裕里くん? 急にごめんなさいね。実は聞いておきたいことがあって」

「聞いておきたいことですか?」

『うん……裕里くんって学校で男の子の友達居る?」

「うぐ……居ないです」


    痛いところを突かれる裕里。

    そう、裕里にはクラスに男友達が居ないのだ。

    話をする人間なら数人居るが、友達を呼べるほど仲が良いわけではない。

    恐らくいつもなのはたちと一緒にいるからだろうが

    裕里自身、積極的に作ろうとしている訳でもないので苦労はしていなかった。

    しかし、一人くらいは欲しいというのも本音だったりする。


「それがどうかしたんですか?」

『ええ、少しね……ふふふ、よしよし』

「……また何か企んでるんですね?」

『あら、何のこと? じゃあ用件はそれだけだから、じゃあね』

「あ、ちょっと」


    ガチャン、と切られる電話。

    裕里は受話器を眺めながらふう、とため息を吐いた。


「……次は何があるんだろうな〜」


    せめて自分に被害がないことを切に願う裕里であった。



      
    …




「アンタのこと何処かで見たことあるような気がするのよね〜……」

「く、くぅ〜ん……」


    あの後、リンディの提案で

    ゆっくり話しでもしよう、と言う事になり翠屋に来ていた。

    リンディはなのはの両親に挨拶に行っている。


「あ、そう言えば音夢ちゃん、今日アジフちゃんは?」


    ふと裕里は疑問に思っていたことを音夢に質問する。


「アジフは美月さんに呼ばれてるとかで今日、来てないんです」

「そうなんだ〜」

 
    アジフは基本的にいつも音夢と一緒にいるので今回のようなことは珍しいのだ。

    と、突然テーブルに影がさす。

    
「ちょっといいかな」

「ん? あ、アレックスさん」

 
    振り向くとそこにいたのはアースラのオペレータのアレックスだった。

    腕には少し大きな白い箱を抱えている。


「どうかしたんですか?」

「ああ、フェイトさんに渡す物があって。これリンディさんからだよ」

「……私に?」


    フェイトはアレックスから箱を受け取る。

    
「開けてみて」

「はい」


    アレックスに言われるがままに箱を開けるフェイト。

    刹那、フェイトの顔が驚きの表情に変わった。


「こ、これって?」

「うん、それはリンディさん本人から聞いたほうがいいかな」


    それだけ言うとアレックスはやることがあるから、と家に帰っていった。

    見届け終わると皆がフェイトに集まる。


「これって聖祥の制服じゃない」


    そう箱に入っていたのは裕里たちが通っている聖祥の制服だった。


「じゃあじゃあ、もしかしてフェイトちゃん聖祥に通うの?」


    なのはが期待を込めた目でフェイトを見つめる。

    
「んと……えと……リ、リンディさんに聞いてみる」


    フェイト自身も何のことだか

    分かっていないようでリンディに聞きに行くためか席を立った。

    他の皆も同じく席を立つ。

    
「はい、実は……あら?」

  
    店の中に入ると丁度、士郎と桃子に向かって何か言いかけていたリンディ。

    扉が開いたことに気がついてこちらを向いた。


「あ、あのリンディてい……リンディさん」

「はい、なあに?」


    笑顔でフェイトを見つめているリンディ。

    フェイトは箱の中身を見つつ、しどろもどろになりながら呟く。

    
「あの、これ……これって」

「転校手続き取っておいたから、週明けからなのはさんのクラスメイトね」


    リンディの言葉に動きを止めるフェイト。

    それに気がついた裕里は苦笑しながらフェイトに近寄るとそっと肩に手を置いた。

    ビクッと体を震わせフェイトは隣に立っている裕里の顔を見つめる。


「良かったね、フェイトちゃん」

「う、うん……その、ありがとうございます」

「いいえ、どういたしまして」


    顔を赤くして礼を言うフェイトの頭を優しく撫でるリンディであった。




    一方その頃……




「さて、どうやらサトゥルヌスがウイルスを通して裕里に接触したようだね」

「接触というよりも……あわよくば殺す気だったようだけど」

「……」


    そこには話し合いをしているパラケルスス、アリストテレス、メルクリウスがいた。

    部屋はいつもの研究室のような部屋だ。


「ふぅ、どうするべきかな」

「対策か……」


    思案し始めるパラケルススとアリストテレス。

    と、メルクリウスが突然立ち上がった。


「奴が何をしようと関係ない。母さんの為に俺は奴を殺す」

   
    話し合いがつまらなかったのか部屋を出て行くメルクリウス。

    メルクリウスを見送りながらパラケルススとアリストテレスは苦笑する。


「ふふ、もちろんさメルクリウス。君に言われずとも奴は殺すよ、母様と裕里のために」

「ええ、お母様と裕里様を傷つける彼を生かしては置かない」

  
    二人は微笑しながら、扉に向かってそう呟く。

    しかし目は冗談を言っているような目ではない。

    殺意を抱いてる目であった。

    

    


    
                                  魔法少女リリカルなのは 白銀の光をもたらす者


                                        第七話「家に帰ります」完








あとがき


はい、第七話終わりました。

結構苦戦しました……日常を原作と混ぜるの難しいです。

少しオリジナルも混ぜてますけどね。

さて、今回はあんまりストーリーは進んでないですね。

六話に引き続いて原作の第三話ですし。

次はストーリーも進むと思うので

是非お目を通して下さると嬉しいです。


それでは今回も読んでくださりありがとうございました。
メンテ
Re: 白銀の魔法使い ( No.56 )
日時: 2009/11/09 00:21
名前: ふぁんふぁ 





「フェイトちゃんは、職員室に行ってるんだよね」

「うん、リンディさんと一緒に朝から挨拶に行くって昨日、言ってたよ」


    次の日。

    裕里となのはは、通学バスを降り教室へと向かっていた。

    着くまでの話題はもちろんフェイトのこと。

    今日から同じ学校、同じクラス。

    嬉しくない訳が無かった。

httpしかし、裕里にはフェイトのこと以外にも気になる事が一つだけあった。

    それは――


「……ねぇ」

「なんだ?」


    左隣を歩いている少年の事である。

    少年は若干、不機嫌そうだ。


「純一くん、なんで聖祥の制服着てるの?」

「……ああ」


    少年の名は朝倉純一。

    裕里の友達であり現在、学校には通っていない筈だった。

    なので本来ここにいるはずが無いのだが……


「……昨日の夜、美月さんが『明日から学校ね』って笑顔で制服くれたんだ」

「そっか……なら仕方ないね」

「にゃはは……」


    裕里は仕方ない、と頷くしかなかった。

    右隣のなのはも苦笑している。

    実際、美月のやることはもう、その一言で片付けるしかないのだ。

    
「(それにしても、この事だんだろうな……昨日の電話)」


    そして昨日、美月に電話で聞かれたことは

    これだったのだろうと思わずにはいられない裕里なのであった。







                                  魔法少女リリカルなのは 白銀の光をもたらす者


                                            第八話「転校生現る!」


                                                始まります






「は、始めまして、フェイト・テスタロッサと言います。よろしくお願いします」

「朝倉純一です、よろしく。あと一応、そこにいる朝倉音夢の兄もやってるんで」

 
    二人がぺこりとお辞儀をするとクラス中から拍手が沸き起こった。
    
    現在、丁度フェイトと純一の転校生の挨拶が行われている最中であった。

    明らかに緊張しているフェイトと面倒くさそうな純一。

    対照的な二人の態度に裕里は思わず微笑む。

    
「(ねぇ、裕里くん)」

「(ん? 何、なのはちゃん?)」


    と、念話で話しかけてくるなのは。

    珍しいな、と思いながらも裕里は返事を返す。


「(……音夢ちゃん見て)」

「(へ? う、うん)」

   
    なのはに言われたとおり音夢の方を向く。


「(ぶふ!?)」


    裕里は、噴出すと共に血の気が引いた。

    
「……ふ……ふふふ」

「(不機嫌だよね、裕里くん)」

「(うん、確実に不機嫌だね、なのはちゃん)」


    見ただけで分かった。

    音夢は明らかに不機嫌だ。

    眉毛がピクピク動いている。

    ついでに頭のアンテナも動いている。

    恐らく何も聞いてないですよ?、とかそんな理由であろう。


「(美月さんの陰謀だよって教えてあげたいんだけど……)」

「(音夢ちゃん、魔力ないから念話出来ないの……)」

    
    音夢も美月が関わっていると知れば

    少しくらいは苛立ちを納めてくれるのであろうが休み時間に入ったらたぶんアウト。

    裕里となのはが追いつく前に純一は連行されていくだろう。

    それに純一から美月のことを言ったとしても無駄か逆効果の可能性大である。

    何とか助けてあげたい。

    しかし、二人にはどうすることも出来なかった。

    念話が出来ないならば内容を書いたメモを渡す方法もあるが、それには少し席は離れすぎている。

    打つ手無し。

    と、来れば二人に出来ることはただ一つ。


「「(無事でいてね……)」」

   
    心の底から無事を祈ることだけであった。

    それからフェイトと純一の挨拶も順調に進んだ。

    終わりを迎えるとすぐ一限目の授業。

    そして――


「はい、それじゃあ一時間目はここまで。号令の人〜」

「きり〜つ、礼」

 
    すぐに休み時間となったのであった。
  
    裕里となのはは授業が終わると同時に純一の方を向く。

    と、そこでは予想外の自体が起こっていた。

    純一とフェイトの周りに集まる人の山。

    転校生特有の風景。

    つまり質問攻めである。

    一方、音夢はと言うとその様子を見て

    純一を連行するのを諦めたらしくため息を吐いて人の山を見つめていた。


「音夢ちゃん」

「あ、はい、なんですか?」

  
    その隙に音夢に近寄って事情を説明する裕里。

    
「なるほど……美月さんの仕業ですか……」

「うん、そうなんだ〜」


    多少は納得した様子の音夢。

    
「でも、それならそれで朝から連絡すればいいんですよ……」

「いや、それは〜……うん、そ、そうだね、あはは〜……」

  
    だがやはり無傷はなさそうだ。

    多少、不機嫌は残っている様子。

    裕里は顔を引きつらせながらも

    先程、人の山に埋もれていたはずのフェイトと純一の方を向く。

    と、そこにはアリサの姿があった。


「ちょっとアンタ達、並んで一人ずつ質問しなさいよね」


    質問攻めに困った様子のフェイトと

    うんざりしている純一を見かねてかクラスメイト注意しているようだ。

    それを見た裕里と音夢は一言。


「アリサちゃん、やっぱり優しいね」

「はい、ツンデレですからね」

「ちょっと! ツンデレって言った奴、誰よ!」

「にゃはは……」

「あはは……」


     と、地獄耳なのか裕里と音夢の会話が

     聞こえたらしい怒って叫ぶアリサに離れて見ていた、なのはとすずかは苦笑するのであった。



     
     …




「……やばいな、勉強がまったく分からん」

「あ〜……純一くん学校行ってなかったからね〜」

「いえ、元々兄さんは勉強出来なかったと思います。おぼろげですけどそんな記憶が」

「お前……記憶、完全に戻った訳じゃないのに変なところは覚えてるんだな……」


    昼休み。

    裕里はいつものメンバーに新たにフェイト、純一を加えて昼食を食べることとなった。

    今はいつもの屋上に移動中だ。


「フェイトちゃん始めての学校の感想はどう?」


    と、歩きながらすずかはフェイトの方を向く。

    フェイトは困ったように微笑んだ。


「歳の近い子がこんなに沢山いるの初めてだから何だかもうぐるぐるで……」

「大丈夫、すぐに慣れるわよ……純一の方はどう?」

「俺? ん〜……」

 
    アリサはすずかと同じように純一の方を向いた。

    純一は少し考えるような仕草をする。


「俺は……そうだな……特に変わりは無いかな。ま、新しい学校は新鮮だけど」

「ふ〜ん、アンタは学校行ってたんだもんね。まぁ、何処もそんなに変わりは無いってことか」

「そう言う事だ」

 
    そんな二人の会話を見ていた裕里はふと思った事を口にしてみた。


「アリサちゃんと純一くんって、仲いいよね」

「そう?」

「そうか?」

「む……」


    顔を見合わせて疑問符を浮かべるアリサと純一。

    音夢はピクッと反応する。


「そう言えば最近よく会うな、だからだろ?」

「そうね、買い物中とか公園とかで、だからじゃない?」

「むむ……」


    二人の妙に息の合った会話に何か引っかかるものでもあったのだろうか。

    段々と顔が険しくなって行く音夢。

     
「音夢が世話になっているからな、見かけたら挨拶も兼ねて話しかけるだろ、友達だしな」

「純一は音夢のお兄ちゃんだからね、見かけたら話しかけるわよ、友達だしね」

「確かにそうだね〜」

 
    裕里も頷く。

    自分もそうすると思ったからだ。

    
「……他に理由はないんですよね?」

  
    と、音夢は険しい顔のまま確認するように二人に質問した。

    先程と同じく顔を見合わせるアリサと純一。

    二人は首を傾げた。


「ん〜? 無いな」

「え? 無いわよ」

「……ほっ」


    安堵している様子の音夢。

    誰の目が見ても明らかであった。

     
「そもそも……理由ってなんだ?」

「そうそう、何のこと音夢?」

「え!? い、いえ、何でも無いんです何でも〜あはは〜……はぁ」

「「?」」


    音夢は誤魔化そうとしてか手を突き出しぶんぶん振る。

    アリサと純一は音夢の行動に疑問符を浮かべたままだ。

    その様子を見ていた他の四人。


「音夢ちゃん、バレバレだよね」

「にゃはは……」

「うん、確かに……」

「……」


    裕里となのはとフェイトは音夢の様子を見て苦笑する。

    しかしすずかはどうやら違うようだ。

    音夢ではなく裕里となのはの事を見ている。
    

「裕里くんとなのはちゃんって、自分たち以外のことにはすぐに気が付くよね……」

「ああ……確かに二人はそうだね」


    すずかが小さな声で呟く。

    その呟きが聞こえていたらしいフェイトも頷いた。


「すずかちゃん、何か言った?」

「フェイトちゃんも〜」

「ううん、なんでもないよ、裕里くん」

「あはは……うん、なんでもないよ、なのは」

「「?」」


    すずかが呆れ、フェイトが可笑しそうに笑っている。

    その理由が分からず、アリサと純一と同じように首を傾げる裕里となのはであった。




    …




「それじゃ、アタシ達は帰るわ」

「お邪魔しました」

「また明日ねアリサちゃん、すずかちゃん」

「うん、また明日、裕里。音夢もあんまり遅くならないように帰ってきなさいよ」

「分かりました」


    放課後。

    裕里たちはフェイトと純一を連れなのはの家で美由紀と恭也も交え談笑していた。

    が、そろそろ時間も遅いという事でアリサとすずかは帰宅。

    音夢はもう少し残ることとなったのだった。


「でも、まさか音夢がブラコンだったなんてねぇ」

「なぁ!? そ、そそそんなことあるわけ無いじゃないですかぁ!」

「あはは、アリサちゃん酷いよ〜」

「アンタも笑ってるじゃない、すずか」


    顔を真っ赤にして反論する音夢を見て

    アリサは満足げな顔をしながら、すずかは笑いながら帰って行った。

    
「うう〜……苛められました」

「大丈夫、音夢?」

「全然、大丈夫じゃないですフェイトちゃん……それもこれも兄さんのせいで」

「ちょっと待て、なんで俺のせいなんだ?」

「仕様です」

「……理不尽だ」


    あまりの理不尽さに地面に両手を突く純一。

    裕里はそんな純一に向かって一言。


「純一くん、世の中って理不尽だらけなんだよ。ある日突然、女装させられたりね」

「お、お前が言うと説得力があるな……」


    少し引き気味の純一。

    女装ばかりさせられている裕里の一言は妙に説得力があるのだ。


「さてと、じゃあ純一くんと音夢ちゃんは僕の部屋に来るんだよね?」

「ああ」

「はい、私は兄さんが裕里くん襲うかもしれないので見張っておきませんと」

「……昨日も言ったが俺はホモじゃないぞ?」


    なのはとフェイトは

    なのはの自室に行くとの事で途中で別れ、三人は裕里の部屋に向かう。

    と、裕里は部屋の前に立った瞬間、中から気配を感じた。


「……ん?」

「どうかしたんですか、裕里くん?」

「中に誰か居るみたい……人の気配を感じる」

「何だと?」


    裕里の言葉を聞いて純一と音夢も警戒し始める。

     
「どうする、裕里」

「……開けてみよう、そうしないと何も解決しないし」

「そうですね……」


    ドアノブに手を掛ける裕里。

    一度、深呼吸。

     
「……よし!」

    
    掛け声と共に勢い良く扉を開いた。

    ――瞬間、部屋の中を見た裕里は絶句した。

    純一と音夢も固まった。

    部屋の中に居たのはなんと


「おお、MY同士、遅かったな」

「待ちくたびれた」

「な、なんで杉並さんとハヅキちゃんがここに!?」

 
    杉並は裕里のベットに寝そべりながら雑誌を、ハヅキは携帯電話をいじっていた。

    裕里は急いで杉並に駆け寄る。

  
「どうだ、MY同士。お前もヌーを読んでみないか?」

「遠慮しておきます! それより何で僕の部屋の中に居るんですか!」


    面白いんだが、と

    少し寂しそうに杉並は呟きながら雑誌を畳むとビシッと人差し指を裕里に突きつけた。

    
「気を取り直して! はっは! 実は弄りに来た!」

「帰れ」

「と、言うのは嘘で本当は忠告に来た! 騙されたな空咲!」

「騙してないでしょ!?……って忠告?」

「ああ、そうだ」


    忠告?、と裕里が繰り返すと杉並は急に真面目な顔になる。

    冗談を言う雰囲気では無くなった杉並を見て、裕里も思わず真剣な表情になった。


「特級ウイルスは今現在パラケルスス、アリストテレス、メルクリウス、ヘルメスの他にもう一人居る」

「え?」

「……何だって?」

「聞いたこと無いですね……」


    裕里は驚き今まで話しを聞いていただけの純一と音夢も反応する。

    杉並は珍しく険しい表情だった。


「奴は危険だ、狂気しか持っていないからな……
 
 故に他の特級ウイルスからも敵とみなされている、お前たちも気をつけておくといい」


    それだけ言い終わると杉並は窓に向かって歩いていく。

    裕里たちは何も言うことが出来ずそのまま見送る。

    と、ハヅキが裕里に近づいて来ると肩にぽん、と手を載せた。


「ダディの忠告、聞いておいたほうがいいよ。

 三人……ううん、今回ウイルスに関わった人全員の生死に関わるから」


    ハヅキはそれだけ裕里に言うと、杉並の隣に立った。

    杉並はニヤニヤした顔でハヅキを見る。

    
「お前もなんだかんだ言ってお節介だな、ハヅキ」

「ほっといて」

「相変わらず素直じゃないなぁ……それではさらばだ、空咲、朝倉兄妹」


    窓を勢い良く開くと飛び降りる杉並とハヅキ。

    裕里はなんとなく窓に近づいて下を覗き込むがすでに二人の姿は無かった。

    
「……今のこと、美月さんにも言ったほうがいいのかなぁ?」

「そうだな、他の人には言うなとかは言ってなかったし、いいんじゃないか?」

「ですね、重要なことですし」


    三人は顔を見合わせると、頷き合うのであった。

    


    と、その頃……




「よし、調整完了したわ」

「……つ、疲れた」

  
    場所は研究室。

    そこでは美月とヘルメスがコンピュータに向かい何か作っているようだった。


「お疲れ様。ごめんなさいね、手伝わせて」

「いや、大丈夫です。それに一度作り始めた物は完成するまでやらないと気がすまない」

「ふふ、あなたはいい娘ね」

「なぁ!? そ、そんなこと……無い!」


    顔を真っ赤にして照れるヘルメスを笑顔で眺めながら美月はコンピュータに目を移した。


「相互魔力同調システム……通称『ユニオン・スペル』」

「これを新型デバイス全機に搭載するのでしょう?」

「ええ……これは、これからの戦いの切り札になる。絶対に」

「ふむ……」


    ヘルメスもモニターに目を移す。

    ……しばらくその状態が続いた後、美月がかけていた椅子から立ち上がった。


「それじゃ、ご飯を作りましょうか、今日は私が作るわ」

「はい、ではお願いします。そろそろ純一も帰ってくるでしょうし、さくらもお腹を空かせているでしょう」


    出口に向かって歩き出す美月。

    ヘルメスも同様に部屋を出るために立ち上がった。

    
「あ、そうだ」

「ん? なんですか?」

「ヘルメスは今日、何が食べたい?」

「そうですね……今日は寒いのでシチューが良いですね」

「了解、楽しみにしててね」


    美月は今日の晩御飯のメニューを

    ヘルメスに聞きつつ部屋の照明のスイッチを切り部屋を後にするのだった。






                                    魔法少女リリカルなのは 白銀の光をもたらす者


                                            第八話「転校生現る!」完






あとがき


はい、第八話終わりました〜

何とか書き終えることが出来た〜……良かった。

今回は前回と同じく原作よりのストーリーになりました。

学校には原作同様フェイトとオリジナル展開として純一が転校生として参加。

これからどうなって行くのか、私も楽しみです。

次の第九話は、大変だ〜……うう。


それでは今回も読んでくださりありがとうございました。

次は、また本編でお会いしましょうです〜
メンテ
Re: 白銀の魔法使い ( No.57 )
日時: 2009/12/02 01:04
名前: ふぁんふぁ 





「今日はフェイトちゃんのお家に行くんだよね〜」

「うん、それから少し訓練するんだよ〜」


    学校からの帰り道。

    裕里となのははアリサたちと別れた後、フェイトの家に向かっていた。

    フェイトが海鳴に来て以来、高町家とハラオウン家を

    交互に行き来して放課後に遊んだり訓練をしたりするのが最近の三人の習慣になりつつあった。


「じゃあ今日は、すももちゃんたちも一緒に訓練?」

「えと……今日はリンディさんたちと出掛けてるから一緒は出来ないかな」

「そっか」


    因みにハラオウン家に行った日は

    すももと撫子の二人も誘っていつも五人で訓練を行っている。

   
「ユキちゃんは……」

「あ、ユキちゃんは居ると思うよ、人目に付きやすい所には出来るだけ行きたく無いみたいだから」

「にゃはは、確かにばれると騒ぎになるもんね。動く人形だ〜って」


    三人はとりとめ無い話をしながらしばらく歩き続ける。

    家出の出来事、今日の学校であったこと、自分が見た些細な出来事など沢山だ。

    それから数分後、目的の場所にたどり着く。

    ハラオウン家があるマンションである。

    階段を上り家の前まで来ると直ぐにフェイトは鞄から鍵を取り出しドアのロックを外した。


「じゃあ、どうぞ」

「「お邪魔します〜」」


    にこやかな笑顔でフェイトはドアを開けてくれる。

    二人は元気良くフェイトに返事をすると早速、家に足を踏み入れたのであった。



    


    


                                  魔法少女リリカルなのは 白銀の光をもたらす者


                              第九話「今更ですけど男湯に入ることなんて既に諦めてます、まる」


                                              始まります




「行くよ、フェイトちゃん!」

「うん、なのは!」


    現在、裕里たちがいるのはマンションの屋上。

    フェイトの家に来てしばらくしてから、結界を張り訓練を行っていた。

    なのはとフェイトは二人で魔法の訓練。

    裕里は剣術の訓練中である。


「おわぁ! ゆ、裕里、危ない危ないって!」

「あ、ごめんユキちゃん」

 
    一人、家に居たユキちゃんは

    ずっと家の中と言うのも退屈らしく暇つぶしに裕里の隣で訓練風景を眺めている。


「冗談で当てようと思ったらホントに当たりそうになっちゃった」

「当てる気だったのかよ!」

    
    それからしばらく黙々と素振りを続けていた裕里。

    だがある時、不意に振りかぶっていた木刀を下ろした。


「う〜ん……よし、久しぶりに奥義の練習でもするかな」

「奥義?」


    裕里はユキちゃんに頷き返す。


「うん、そんな風に言われてる技があるんだ〜
 
 で、まだ習得出来てない奥義があるからそれの練習をしておこうと思って、最近は怪我で全然出来なかったし」


    言い終えると裕里は目を閉じ木刀を片手で下段に構える。

    息をゆっくり吐き呼吸を整えると、

    刹那、目を見開き同時に足元にいつの間にかあった空き缶を宙に蹴り飛ばした。

     
「行きます!」

 
    掛け声と共に裕里は未だ空に上り続けている空き缶を見ること無く木刀を一太刀、斬り上げる。

    ――瞬間、辺りに暴風が吹き荒れた。

    それは、まさに嵐が如く。


「おわぁぁ! 飛ぶ! 吹き飛ぶ〜!」

「あ、ユキちゃん!」

「きゃ!」

「……く、黒なの!?」


    飛ばされそうになるユキちゃんを寸での所で抱き寄せる裕里。
  
    離れた所に居たフェイトは強い風で捲くれ上がる

    スカートを必死に抑えており、なのはは何故かフェイトの方を凝視していた。

    
「し、死ぬかと思った……えと、今の技が裕里が言ってた奥義なの?」

「うん、練習中だから一度も成功したこと無いんだけどね、さっきのも失敗みたい」


    裕里は降って来た空き缶をそのまま掴むとユキちゃんに前に差し出す。

    空き缶は中心から手で握りつぶしたように凹んでいた。

    がっくりと裕里は肩を落とす。


「本当だったら缶がばらばらになるんだけどなぁ……お父さんだったら木くらい簡単にへし折るのに」

「ねぇ……裕里のお父さんって何者?」

「え? ん〜……会社員?」

「そっか……」


    何故だか脱力しているユキちゃん。

    理由が分からず裕里が首を傾げていると後方から声が賑やかな声が聞こえて来た。

    どうしたんだろう?、と後ろを振り向くと

    何やらなのはは考え込んでおり、フェイトは顔を真っ赤にして慌てた様子である。

   
「小学生で黒……やってくれるぜなのフェイトちゃん」

「な、なのは、その……見えてないよね?」

「ううん、ばっちり見えましたなの!」

「えぇ!?」

「はっ! お、思わず言っちゃったの……」


    フェイトはなのはの発言でさらに顔を赤くしている。

    なのはも顔を赤くして必死に頭を下げていた。

    裕里はその様子を苦笑しながら眺めていると、何処からか軽快な音楽が聞こえてきた。

    
「あ、私の携帯だ……えと、リンディさんから?」


    どうやらなのはの携帯の着信音だったらしい。

    着信の相手はどうやらリンディのようだった。

     
「何か、あったのかな?」

「さあ、でも急ぎじゃないみたいだけど?」

  
    ユキちゃんの言うとおり、急ぎではないようであった。

    見た感じちょっとした用事があって電話を掛けたといった風である。

    なのはがフェイトに携帯を渡しているのでどうやらフェイトの方に用事があったようだ。

    それからしばらく電話でリンディと話していた

    フェイトであったがある時、携帯から耳を離すと裕里の方を振り向いた。

    呼ばれたのかな?、と裕里は駆け寄る。


「何かあったの? フェイトちゃん」

「うん、えと……裕里は今日は用事あるかな?」


    ふむ、と思い返してみる。

    だが今日は特に無かったはずだ。


「今日は無いよ〜」

「なら、実はリンディさんがね、今日は外食にするから裕里となのはも一緒にどう? って」


    裕里はちらり、となのはの方を向く。

    最近は目で会話出来るようになりつつある裕里となのは。

    視線を向けてみるとなのは一度、目をぱちくり見開いたが直ぐに笑顔になると頷いた。

    なのは曰くどうやら今日は家の用事も特に無いらしい。

    そんな訳で――


「全然、大丈夫だよ」

「うん、分かった。もしもし? 大丈夫だそうです、はい分かりました、はい……はいそれじゃあ失礼します」

「リンディさん、なんて?」

「もう少ししたら帰るから、先にお風呂済ませて置きなさいって」

「分かった、じゃあ戻ろっか」


    準備のため部屋に戻る裕里たち。

    フェイトはお風呂の準備をするからと風呂場に。

    ユキちゃんは眠くなったらしくリビングへと戻っていった。

    手伝うつもりが丁重に断られてしまった裕里となのはは

    特にすることも無いがリビングに行くのも何なので共に脱衣所へ。

    と、それからしばらく経ってフェイトがお風呂場の中から戻ってきた。

    
「お風呂沸いたから、裕里となのはお先にどうぞ」

「え? ううん、僕は最後で良いからなのはちゃんとフェイトちゃんの方こそ」

「そんなそんな、裕里くんとフェイトちゃんからで……」


    ……困った。

    女の子は汗を掻いたままなのは嫌だろうと

    あえて遠慮したのだが、まさか逆に遠慮されるとは。

    頭を悩ませる裕里。

    まあ、よくよく考えてみればなのはとフェイトの性格上十分予測できた事でもある。


「(いや、ここはあえて皆で一緒に入るとか? 僕はそれでもいいけど……)」


    裕里らしい考え方に行き着く。

    毎度の事ながらその考え方がおかしい事だとは思っていないようだった。

    それに他の二人も反対するどころか普通に賛成しそうなので怖い。


「あ、あの、裕里! なのは!」

「へ? 何かなフェイトちゃん?」

「ふぇ? あ、はい?」


    突然声を上げるフェイト。

    裕里となのはの二人は反射的に返事を返す。

    何処と無くフェイトは緊張しているような雰囲気を纏っていた。

    
「そ、その……もし良かったら一緒に」

    
    と、丁度その時である。

    玄関のドアが開く音が聞こえた。
    

『たっだいま〜』

「うぁ……」

「あ、エイミィさんだ〜」


    聞こえて来る明るい声。

    途中まで言いかけていたフェイトは停止してしまう。

    どうやらなのはの言うとおりエイミィが帰ってきたようだ。


「おぉ、なのはちゃんいらっしゃい、裕里くんも〜」

「「お邪魔してま〜す」」

「ただいま、フェイトちゃん」

「お、お帰りエイミィ……」

「どうしたのフェイトちゃん? 顔真っ赤だよ?」

「別に……何も……」


    と、エイミィは裕里たち三人を見渡した。


「その様子だと〜三人ともお風呂まだ?」

「はい、丁度入ろうかなって裕里くんとフェイトちゃんと言ってて」

「それはグッドタイミング!」


    エイミィは指をぱちんと鳴らす。

    同時に家のインターホンが鳴った。

        
「そしてこっちもグッドタイミング」

『こんにちは〜お邪魔しま〜す』

「あれ?」


    裕里は聞き覚えのある声だと思った。

    と言うか間違いないだろう。

    朝も会ったのだ、挨拶もしたのだ。

    疑問符を浮かべつつ名前を呟いた。


「美由紀さん?」

「その通り! 美由紀ちゃん、いらっしゃ〜い」

「えへへ、お邪魔するよエイミィ」

 
    部屋に入ってきたのはやはり美由紀。

    隣のなのはとフェイトも驚いているようだった。

    
「お姉ちゃんとエイミィさん、いつの間に仲良く?」

「いやほら、下の娘が仲良し同士なら上の娘もねぇ?」

「意気投合したのは今日なんだけどね〜」

  
    と、エイミィは何処からかチラシを出しそれをフェイトとなのはに手渡した。


「ほらこれ、美由紀ちゃんが教えてくれたの」

「え〜と……」

「海鳴スパラクーア新装オープン?」

「えっとね、要するに皆で入る大っきなお風呂屋さん。温泉とか泡のお風呂とか楽しいお風呂が一杯なの」


    美由紀の説明にふむふむ頷いている二人。

    隣で話しを聞いていた裕里はその光景を思い浮かべる。


「(大きいお風呂……良いな……)」


    やはり大きなお風呂には惹かれるものがあるらしい。

    裕里は顔がにやける。


「それで〜美由紀ちゃんと一緒に行こうって話しになって私は着替えを取りに来た訳だ」

「なのはたちも一緒に行く?」


    その一言に目を輝かせるなのはと裕里。

    期待していたのだろう顔が満面の笑みであった。

    フェイトは少し戸惑い気味のようだ。

    
「良いの? ねぇフェイトちゃん裕里くん、行こ行こ〜!」

「う、うん」

「絶対に行くよ〜!」

「アリサちゃんたちも誘ってみて良い〜お姉ちゃん」

「良いよ、なのは〜」


    そんな訳で銭湯に行くこととなった裕里たちなのであった。


「楽しみね〜お風呂」

「え?……あれ? 美月さん?」




    …




「美月さんとお風呂入るの初めてですよね」

「ホントそうよね。う〜ん楽しみ〜」


    途中でアリサたちと合流し銭湯にやってきた裕里たち。

    さっそくロッカーに向かい、着替えを済ませ今から正に入ろうとしている所だった。

    ちなみに裕里はもちろん女湯。

    お約束である。

    本人も何の疑問も浮かべていないので特に問題は無い。

   
「自分のお祖母ちゃんとお風呂に入るなんて、初めてなので嬉しいです〜」

「っ!?」

  
    と、裕里がそう話した途端、周囲の空気ががらりと変わった。

    美月の様子がおかしい。


「……い、今、なんて言ったのかな?」

「へ? えっと、自分のお祖母ちゃんとお風呂に入るなん……はっ!?」


    言葉を言い直していた途中、裕里は自分のミスに気がつく。

    しまった『お祖母ちゃん』はやばかったかもしれない、と。

    美月は自分の年齢関係についてとても敏感だ。

    探ろうとした者は地獄すら生ぬるい地獄が待っているとかいないとか。

    年齢不詳、見た目は二十代前半。しかし実年齢は恐らく……


「あの……その……」

「……」

  
    しどろもどろになる裕里。

    無言の美月に焦りながらもとりあえず謝っておこうと言う考えに行き着く。


「み、美月さん、ご、ごめんなさ」

 
    と、裕里がそこまで言いかけた次の瞬間、


「わ〜い、裕里く〜ん!」

「ほわぁ、み、美月さん!? むぐぐ〜!」


    突然、美月に抱きすくめられた。


「ようやく……よ〜うやく私をお祖母ちゃんって呼んでくれたのね!」

「むぐ! むぐぐ!? むぐ〜!」

 
    いつもの姿からだと分からなかったのだが

    脱いで見ると意外と胸が大きかったと言う事が判明した美月。

    裕里はその胸で顔をがっちりホールドされており息が出来ないのだ。

    必死に逃れようとしているがまだ子どもである裕里が美月の力に敵うはずも無い。

    次第に動きが鈍くなっていく。


「むぐ……ぐ……」

「み、美月さん! 裕里くんが大変です!」

「へ? あ……だ、大丈夫、裕里くん!」


    すんでの所でなのはが止めに入る。

    美月も顔が青くなっている裕里にようやく気がついたのか直ぐに腕を放した。


「ぶはっ! はぁ、はぁ、はぁ〜……し、死ぬかと思った」

「ご、ごめんね。すごく嬉しかったからつい……」

「い、いえ、大丈夫です。でも美月さん、僕にお祖母ちゃんって言われるのそんなに嬉しいんですか?」

「それはもちろん! 孫にお祖母ちゃんって呼ばれて嬉しくない人は居ないわよ!」

     
    当たり前と豪語する美月。

    そうとは限らないような気もするけどなぁ、と裕里は思ったがあえて口には出さなかった。 

   
「と、まあそれは置いておいて早速お風呂行きましょう裕里くん、お祖母ちゃんと一緒にね」


    と、美月が笑顔で手を差し出してくる。

    裕里は同じく笑顔でその手を握り返した。


「はい、美月さん」

「……もう、お祖母ちゃんって呼んでくれないの?」

「えと……何だか恥ずかしくて」


    仲良く手をつないでお風呂に足を踏み入れる裕里と美月。

    その様子を後ろから眺めていたなのはたち。


「仲いいよね〜フェイトちゃん」

「うん、とっても」

  
    微笑ましそうに裕里と美月の様子を見ていたなのはとフェイト。

    しかし、その隣に居たアリサは二人と反応が違っていた。

    なんと言うかとてつもなく驚いている。


「ちょっと待って、裕里のお祖母ちゃんって……マジ? って言うかあんな若い人がお祖母ちゃんなの!?」


    そう、裕里が美月のことを

    お祖母ちゃんと呼んだことに驚いていていたのだ。

    美月の外見から見ればこれが普通の反応である。


「マジですよアリサちゃん」

「ちょ! あたし聞いてないわよ音夢!? アジフとすずかは知ってた!?」

「妾は知っていたな」

「ううん、私も聞いてない……美月さん、お姉ちゃんとそんなに変わらないように見えるのに……」


    と、アリサは意地悪そうな笑みを浮かべた。

    そこには多少の怒りもあるようだ。


「裕里の奴、あたしに隠し事なんていい度胸じゃない……後でおもちゃの刑ね」

「うん、そうだね、ふふ……」


    楽しそうに笑うアリサ。

    そのアリサの隣で頷いているすずかは

    纏っている雰囲気が何だかとても嬉しそうだ。

    どうやらおもちゃの刑と聞いて、何か思い浮かべたらしい。


「す、すずかよ、おもちゃと聞いて嬉しそうな顔で頷くのは少し問題があるような気がするぞ」

「そうかな〜アジフちゃん。でもアリサちゃんも笑ってるよ?」

「いや、うむ……おぬしの場合は前科のせいで洒落にならないというかだな……」


    アジフはそんなすずかを嗜めつつ

    顔を引きつらせながら乾いた笑みを浮かべていたのであった。



  
    …




「裕里くん、お風呂、次はどれに行く〜?」

「ま、まだ行くんですか? もう10は入りましたよ?」


    美月と共に手当たり次第にお風呂を回っていた裕里。

    ハイテンションな美月のペースに顔が少しやつれていた。

    お風呂は好きだがさすがに多く入るのは結構辛いものがあった。

    意外と体力を使うのだ。


「む、少しはしゃぎすぎた見たいね。大丈夫?」


    心配そうにしゃがんで裕里の頭に手を載せる美月。

    少し恥ずかしかったのか頬を赤く染めながら裕里は頷いた。

    
「は、はい〜」

「じゃあ、端の方にでも行って休もうか」


    なら、と裕里は移動するため後ろを振り向く。

    そこには見覚えのある少女と女性の姿があった。

    少女は誰か見覚えの無い別の女性に抱きかかえられている。

    裕里は名前を呼んだ。


「……はやてちゃん?」

「へ? あ、裕里くんやないか〜」


    はやてはこちらに気がついて手を振ってくれる。

    裕里も笑顔で手を振り返すとはやてに駆け寄った。    


「裕里くんもお風呂入りに来てたんやね」

「友達と一緒に来たんだ、はやてちゃんは家族で?」

「うん、そうなんや。それにしても偶然やな〜

 あ、ちょっと待ってな、今、こないだ紹介出来んかった子達を」


    と、はやてがそこまで言いかけた時であった。


「あれ? はやてちゃん?」


    何処からかはやての名前を呼ぶ声が聞こえた。

    聞き覚えのあった声に裕里はむ?、と疑問符を浮かべる。

     
「あ〜すずかちゃんや」

「え?」

「……あれ? そこに居るのってもしかして……?」

    
    名前を聞いて思わず裕里は声を上げた。

    どうやら向こうの方もこちらに気がついたようである。

    はやてを挟んで向こう側。

    そこには良く知る友達、すずかの姿があったのだ。

    
「なんや〜? 二人とも固まってどうしたん?」

「す、すずかちゃん、もしかして……は、はやてちゃんとお友達?」

「ゆ、裕里くん……も?」


    裕里はすずかにおずおず尋ねるとすずかも同じような質問を返してきた。

    どうやら本当にそうであったらしい。   


「し、知らなかった……」

「私もまさか裕里くんがはやてちゃんと知り合いだったなんて……」

「おろ、もしかして二人も知り合いか〜? すごい偶然やな〜」


    二人ともまったく想像していなかった事実に驚く。

    まさか共通の友達が居たとは気がつかなかった。

    しかし、それは嬉しい事実でもあった。

    はやてもそのことが嬉しかったのか満面の笑みを浮かべていた。

    
「おっと、そだ、二人に紹介しとくな〜」

  
    と、はやては周りに居た家族らしき人たちを紹介してくれる。

 
「すずかちゃんは知ってると思うけど今、私を抱っこしてくれてるのがシグナム」

「シグナムと申します。主がいつもお世話になっております」

「で右に居るのがヴィータや。左のシャマルは二人とも知り合いやろ?」

「ヴィータです。よろしくお願いします」


    ぺこりと頭を下げる二人に裕里とすずかも自己紹介をする。


「あ、こちらこそ。僕は空咲裕里と言います」

「こんばんは、月村すずかです」

「二人とも仲良くしたってな〜……で、そちらの方はどなた〜?」

「はぇ?……あ!」


    裕里ははやてが視線を向ける先を追ってみるとそこには美月の姿が。

    そうだった、と思い出す。

    今まで美月はまったく会話に入って来なかったので思わず失念していた。

    
「あら、ようやく私の番?」

「み、美月さんのこと忘れてました……」

「もう、そんなことだろうと思ったわ」


    しまったな〜、と裕里。

    美月はそんな裕里を見て苦笑しながらはやてに向き直った。


「私は裕里くんの保護者で天城美月と言います。よろしくね、はやてちゃん」

「はい〜私は八神はやて言います〜よろしくお願いします、美月さん……お」

  
    と、はやては突然笑顔のまま固まった。

    視線を美月の方に向けたままで。


「あら? どうかしたのはやてちゃん? 私をじっと見たりして」


    美月も固まったはやてが気になったのか顔を覗きこむ。

    はやてはぽつりと呟いた。


「胸、おっきいな〜……」

「へ?」


    はやての言葉を聞いて自分の胸を見る美月。

    確認するようにぽんぽんと数回、自分の胸を叩いた。


「そうかな〜? 別に気にしたこと無いんだけど」

「大きい胸……眼福や〜」

「……」


    その様子を見ていた裕里。

    首を傾げながら、ふと疑問に思ったことを口にした。


「前々から思ってたんだけど、女の人にとって胸が大きいだと良い事あるのかな……」

「ん〜……大人になると大きいほうがいい見たいだよ、あと男の人は大きいほうが好きなんだって」

「む? 何で男の人が好きなの? 女の人が嬉しいんじゃ……」

「え!?……んと、えと……し、知らないよ!」


    顔を逸らす、すずか。

    耳まで顔を真っ赤にしており、恥ずかしそうだ。

    裕里はその理由が分からず疑問符を浮かべる。


「あ、そうや〜裕里くんたち、この後予定とかあるか? 良かったら晩御飯ご一緒にとか」

「えと、実は友達の家族の皆さんと外に食べに行こうって事になってるの。ね、裕里くん」

「うん、もし良かったらはやてちゃんもどう?」


    するとはやては途端に申し訳なさそうな表情を浮かべた。


「あ〜……残念、うちはもう用意してしもうてるんよ」

「鍋の中でおでんが待ってんの!」

「いいね、おでん」


    ヴィータは待ちどおしいのかよだれが垂れそうな勢いだ。

    すずかはその様子を見て微笑む。


「ん〜……ほんなら、また今度かな。ごめんな二人とも」

「ううん、急に誘ったのは僕たちの方なんだし」

「お二人とも近いうちに是非いらっしゃってください」

「はい、シグナムさん、私はいつでも都合のいい日に呼んでくれたら」


    くしゅん!

    と、その時何処からか可愛らしいくしゃみが聞こえた。

    裕里が聞こえたほうに視線を向けるとどうやらはやてのものだったらしい。

    見た感じ少し肌寒そうである。


「あっと……ここで引き止めちゃうと風邪引いちゃう。ごめんね、はやてちゃん」

「あはは〜うん、そうやね。ありがとな裕里くん、心配してくれて」

「そろそろお別れかな」

「残念やけどそやな〜」

 
    幾ら銭湯と言えど、今は冬。

    湯船の外にいつまでも居れば風邪を引いてしまうだろう。


「それじゃあね、はやてちゃん。またメールするよ」

「うん、私もメールするな、裕里くん、すずかちゃん」

「待ってるね。私からもメールするから」

「美月さんも、またお会いしましょう〜」

「ええ、はやてちゃん、また会えるのを楽しみにしてるわ」


    そして去っていくはやてとシグナムたち。

    裕里とすずかが見送りながら手を振っていると隣の美月がぽつりと呟いた。


「あ〜あ、こういう展開か〜……これは色々と面倒なことになりそう」

「どうかしたんですか美月さん?」


    様子が気になった裕里が話しかける。

    美月は心配そうな顔で裕里の肩を叩いた。


「裕里くん、これから覚悟しておいたほうがいいかもね」

「はえ?」


    何だかよく分からない美月の物言いに疑問符を浮かべる裕里。
   
    首を傾げながら、ふと別の方向に視線を向けるとそこにはなのはとフェイトの姿があった。

    そう言えば銭湯に来てから一度も二人と話していないな、と気がつく。 


「美月さん、すずかちゃん、僕ちょっとなのはちゃんとフェイトちゃんの所に行ってきます」

「了解、いってらっしゃい」

「うん、分かった〜」


    美月とすずかに断りを入れて裕里は二人の下に歩み寄る。

    丁度フェイトになのはが髪を洗ってもらっている所であった。

    と、二人は裕里に気がついたようで視線を向けると笑みを浮かべる。

   
「あ、裕里くん」

「お風呂一杯回ってきた、裕里?」

「うん、気分悪くなるくらい回ってきたよ〜」

「あはは、大変だったね裕里」


    裕里の言葉にフェイトは

    苦笑しながらなのはの髪についている泡をシャワーで洗い流す。

    
「じゃあ次は裕里どうぞ」

「はえ?」

「あ、もう髪洗った?」

「ううん、まだだけど」

 
    なのはの髪を洗い終わったフェイトは

    どうやら次は裕里の髪を洗うつもりだったらしい。

    椅子を指差している。


「じゃあ、二人で裕里くんを洗ってあげようフェイトちゃん」

「うん、そうしよっか」

「えと……じゃ、じゃあお願いしようかな」


    なのはも洗う気満々なようで断るに断れなくなり、

    そも断るつもりも無かった裕里は大人しく椅子に腰掛ける。


「知ってた? シャンプーを頭頂部からつける人は大人になって髪が薄くなりやすいんだよ?」

「そうなの!? き、気をつけておくよ」


    そう言えば、シャンプーは頭のてっぺんから洗ってたな……

    フェイトの指摘に将来が不安になりながらも身を任せることにする。

    頭に二人の手が添えられ、シャカシャカ丁度良い力加減で洗髪されていく。

    少しくすぐったいが気持ちが良かった。


「裕里、痛くないかな?」

「うん、大丈夫、気持ちいいよ〜」

「むむ、それにしても裕里くん……」


    と、なのはが突然裕里の背中を人差し指でなぞった。


「ひゃん!」


    女の子のような悲鳴を上げる裕里。

    慌てて後ろを振り向く。

    
「な、な、なにするの、なのはちゃん!?」

「だって〜撫でたくなるくらい裕里くんの肌、綺麗なんだもん」

「うん、裕里の肌すごく綺麗だね。スベスベだし真っ白だし」


    フェイトも裕里の肌をまじまじ見つめている。

    裕里は顔を赤く染めた。


「そ、そんなに見つめられると恥ずかしいんですけど……」

「あ、ご、ごめん」

「裕里くんってホント女の子みたいだね〜」

「むむむ……そんなに?」


    自分の体を見回す裕里。

    すごく男らしくは無いかも知れないが女の子らしいだろうか?

    確かめようにもここは女湯。

    男が周りに居ないのでどうしようも無い。


「そう言えば今更だけど僕、本来男湯に入るべきだよね……」

「にゃはは、まあ、裕里くんだし」

「うん、裕里だしね」

「うう〜どう言う理屈〜……ん?」


    と、その時裕里は何処からか危険を感じた。

    殺気ではないので特に危機感を抱かずにその方向を振り向く。

    そこには桶を振りかぶるアリサの姿が。

    
「や、やばい! 二人とも避けて!」

「え?」

「裕里?」

  
    が、時既に遅し。

    仕方ないので裕里はなのはとフェイトを軽く突き飛ばす。

    同時に目をつぶった。

    泡が目に入るのは嫌なのである。    

    
「うりゃぁぁぁあああ!」

「どうせ泡を流さないといけないしね、うん、丁度よか」

「あ、しまった! 裕里、避けなさい! 桶が!」

「はえ?」


    と、アリサの叫び声に裕里は閉じていた目を開いた。

    ――刹那ゴスッ、と鈍い音が辺りに響きわたる。

    
「……こ、これは予測出来なかった……よ」


    直撃だった。

    顔面に桶が。    

    桶が床に落ちると裕里は鼻血こそ

    出していなかったものの衝撃が強かった為か目を回していた。

    どうやら角が眉間に直撃したらしい。赤くなっている。


「……ぐふ」

  
    そしてもちろん落ちた。

    お約束である。


「わ〜! ゆ、裕里〜! ごめ〜ん!」

「なのは! 早く美月さん呼んでこよう!」

「う、うん!」

「そう言えばさっき露天風呂に行くとか行ってたよ! フェイトちゃん!」

「ありがとう、すずか!」


    その後、もちろん騒動になりアリサが

    爆笑している美月さんにちゃんと少し叱られすごく褒められたのは言うまでも無い。




     …




「痛たたた……」

「大丈夫? 裕里、辛くない?」

「うう、なんとか……」


    今は銭湯からの帰り道。  
  
    既に暗くなった道を裕里となのはとフェイトの三人で歩いて帰っていた。

    あの後、何とか意識を取り戻した裕里は

    同一人物とは思えないほど落ち込んだアリサに何度も謝られた。

    最終的には泣きそうになる始末。

    慰めるのに苦労したのは言うまでも無い。

    ちなみに今更だが美月が居た理由は偶々会ったエイミィに誘われたんだそうな。
 
    美月本人に帰り際、そう教えられた。


「でも、今日は楽しかったよね〜裕里くん」

「うん、色々あったけど、すごく楽しかったよ」


    それだけは言える、と裕里はなのはに頷き返した。

    最近は色々大変な出来事が多く、

    遊んでいてもいつの間にか気を張っていたりすることもあった。

    だが、今日は心の底から楽むことができたし気分転換にもなった。


「レイジングハートとバルディッシュもエリュシオンも予定より早く戻ってこれそうだし」

「うん、エリュと壊れた日以来会ってなかったからすごく嬉しいよ……」

「裕里くん……」


    そう、フェイトと言う通り

    後少しで故障していたデバイス達の修復が完了すると聞いていたのだ。

    裕里は入院から今日までエリュシオンに一度も会っておらず、ずっと心配であった。

    その様子を毎日見ていたからだろうか。

    なのはは裕里の手をそっと手を握ってくれた。

    
「……ありがと、なのはちゃん」

「うん」

  
    少し頬を赤く染めながら手を握ってくれているなのはに裕里は礼を言う。

    その優しさがとても嬉しかった。

        
「よ〜し……これからも全力全開で頑張ろう、フェイトちゃん、裕里くん!」

「うん、一緒に強くなろう、もっとずっと」

「そうだね、皆で一緒に」


    と、これからのことを思ってか

    元気よくガッツポーズを作るなのはに裕里とフェイトは笑顔で頷き返した。

    そのまま裕里はふと空を見上げる。

    空には綺麗な月が浮かんでいた。

    
「強くなる……全部は無理だとしても、せめて大切な人たちくらい守れるように」


    呟くように裕里は心にそう誓うのであった。











                                魔法少女リリカルなのは 白銀の光をもたらす者


                          第九話「今更ですけど男湯に入ることなんて既に諦めてます、まる」完










あとがき


はい、第九話書き終わりました。

今回はドラマCDが舞台です。

元は書くつもりがなかったのですが改めて

聞いてみて面白かったので急遽第九話にしてみました。

次は原作で言うところの四話になると思います。

この少し後くらいからオリジナル色が

強くなってくると思うので是非、目を通していただけると幸いです。


それでは今回も読んでくださりありがとうございました。

次は恐らく本編を書くと思いますのでそちらでお会いしましょう。
メンテ
Re: 白銀の魔法使い ( No.58 )
日時: 2009/12/25 03:21
名前: ふぁんふぁ 




「ふんふ〜ん、は〜……ふふっ」


    とある夜のこと。

    時空守護機関の無駄に広いがデスクは一つしかないオフィスに

    手に持った箱を指でつつきながら満面の笑みを浮かべている女性が一人居た。


「後二日、よしよし」


    女性は名を天城美月と言う。

    美月はカレンダーを眺めながら嬉しそうに何度も頷いていた。

    綺麗に包装された箱はどうやら手放すつもりは無いらしく手に持ったままだ。


「はぁ……半月ぶりに会えるんだもんね」


    と、美月はデスクの上にある写真立てを手に取った。

    そこには一人の青年と寄り添う美月の姿が写っている。


「叶えようとしたらたぶんダメなことなんだろうけど……でも一度くらい」


    辛そうな表情を浮かべる美月。

    そして目を閉じると願うように一言美月は呟いた。


「一緒に居たいよ」






                          魔法少女リリカルなのは 白銀の魔法使い 100万アクセス記念SS


                        「待て! そもそもミッドチルダって宗教違うだろ! 早まるんじゃない!」


                                           始まります





「今日は疲れた……」


    その日、空咲裕里は今日の仕事を終え、

    いつもの様に自室に戻るためにエプロンを脱いでいた。

    ふと、窓の外を見ると雪がちらついている。


「(どうりで寒いわけか。ま、ホワイトクリスマスとは雰囲気が出て中々いいものかな)」


    そう、今日はクリスマス・イブ。

    一年に一回の聖なる夜の前日。神様の誕生日の前日。

    ……とは言うのは建前で誰もそんなことは気にしていなかったりする。

    恋人同士でデートでもするか。

    家族で一緒にご馳走でも食べるか。

    一人寂しく全次元の恋人同士今すぐ別れろ、とか願いながら過ぎ去るのを待つか。

    そんなちょっとしたお祭りの日なのである。

    実際つい先程まで裕里の職場である機動六課食堂で大きなパーティーが行われていた。

    六課の隊員全員でのクリスマスパーティーだ。

    裕里自身は料理長という役職上、大量の料理を
    作らなければならず楽しむ余裕など全く無かったが皆が楽しんでくれたならそれで良かったと思っている。

    その代わりと言ってはなんだが、これから同僚の高町なのは達数名とささやかな食事会が行われる予定となっていた。

    食堂の照明を落とし、自室に向かう。

    食事会はそこ行われることになっている。

    パーティがお開きになってから時間もかなり経っているので他の皆も既に待っているはずだ。


「(クリスマスか。一体何年ぶりに祝うんだろう……)」


    ここ数年。

    仕事仕事でまともにクリスマスを過ごすことなど皆無に等しかった。

    プレゼントだけは必ず買っていたが

    娘のイリスと自身が生み出したユニゾンデバイスのルクスには寂しい思いをさせたと思う。

    さらに言えばなのは達とは十年ぶり。

    そんな理由もあり裕里は今年のクリスマスが少し楽しみであった。


「プレゼントは皆分買ったし、さて、夜はプレゼントをどうするか……」


    今夜の計画を練りながら廊下を歩く裕里。

    イリスとルクスの二人と暮らし始めてからは、
    サンタの要領で毎年二人が寝静まった後プレゼントを枕元に置いていた。

    今回もそれは変わらない。


「(それにしても、まさかフォワードメンバーにリインにヴィータのまで買いに行く事になるなんて……)」


    始めはヴィヴィオにプレゼントをと、
    考えていたのだがそのことを話したフェイトにそれなら、と頼まれエリオとキャロ。

    偶々近くに居たなのはとギンガに頼まれてスバルとティアナ。

    さらに偶然その場を通りかかった

    はやてに頼まれてリインとヴィータのプレゼントまで買いに行くことになってしまったのだ。

    選ぶのは自分。資金も、もちろん全額自分。

    完全にパシリである。

    一瞬だったが自分の存在意義を疑問に思ってしまった。


「まあ、いいか……」


    とは言うものの実際は別にどうでも良かった。

    むしろ喜んでくれるのなら逆に嬉しいくらいだ。

    どうせ忙しくて使う暇の無い給料は有り余っている。

    それに緊急時以外は戦闘に参加することはなく、
    教導も基本的にしないので休みを取ろうと思えばどうとでも出来るのだ。


「(それにしても俺が一生懸命選んだ物なら、みんな嬉しいはずだってどう言う意味なんだろう?)」


    何故かプレゼント選びをどうするか提案した際、なのは達にそう言われたのだ。

    当初選ぶのは手伝ってもらうつもりだったのだが結局誰も手を貸してくれず自分で選ぶ羽目になってしまった。

    裕里自身、自分にプレゼント選びのセンスがあるとは思っていなかった。

    未だに意味が分からず首を捻るばかりである。


「っと、目の前で来ていたか」


    気がつくと既に部屋の前にたどり着いていた。

    中からは声が聞こえるのでやはり皆は既に居るようだ。

    待たせたかな、と多少罪悪感を抱きつつも扉を開く。


「あ、おかえり裕里くん」

「お疲れ様、裕里」

「おかえり〜裕里くん。ご飯出来てるで〜」


    と、視界にすぐ飛び込んできたのはなのはにフェイト、はやての三人の姿であった。

    さらに部屋の中を見渡すと三人の隣には

    アリシアを筆頭として杉並と音夢に正晴、トリスにクラリア、エアリスの姿が。


「裕里、おっ疲れ様〜ふっふん、アリシアも料理作ったんだぞ〜!」

「杉並も作ったのだぞ!」

「トリスも作った……」

「ふふっ……」


    裕里は思わず噴出してしまった。

    正直こんな平和な光景、数年前までは考えられなかったのだ。

    血みどろの殺し合い、あの焼け焦げた戦場の風景。

    泣き叫ぶ人々、うずたかく積まれた二度と起きることの無い人の山。

    ……今でも忘れられない。

    あの頃は二度と平穏など来ないと思っていた。

    しかし、それが今自分の目の前にあるのだ。

    それを改めて自覚すると思わず笑みがこぼれてしまった。


「私も作ったんですよ?」

「……え゛」


    が、唯一聞き流せない一言が。

    ――今、この殺人シェフ何ておっしゃいました?

    裕里は音夢の笑顔を見て後ずさる。

    一瞬で辺りの雰囲気がガラリと変わったような気がした。

    何と言うかまるで戦場で幾度も感じた死の瀬戸際のような――つまり、今日ここで終わる?


「……ふぅ、安心してください。料理長さんに倒れられると大変ですから、今回は作りませんでした」

「……ほ、本当に?」

「こんなことに嘘ついてどうするんですか」

「本当ですよ、父上様。私とエアリスと正晴さんが命がけで止めましたから」

「お父様、ご安心くださいませ」


    クラリアの言葉に安堵しながらも音夢の目が怖かったのでばれないように息を吐く。

    夢は娘と孫に看取られながら天寿を全うして逝くことなのでこんな所で死ぬわけにはいかない。

    それに顔をよく見ると多少不機嫌のようだ。

    恐らく純一とクリスマスを一緒に過ごせないことに腹を立てているのだろう。

    これ以上この話題は危ない。裕里は身の危険を感じる。

    何故か純一が居ない時、音夢は裕里に怒りの矛先を向けてくることが多いのだ。

    例えば試食とか試食とか試食とか。


「そ、そうだ。なのは、二人は寝た?」


    そこで話を変えるためになのはに娘二人のことについて話題を振る。

    パーティーがお開きになる際、眠そうに目を擦っていたのを思い出したのだ。


「うん、ぐっすり。パーティーではしゃいでたから疲れたんだね、きっと」


    すごく可愛い寝顔だったよ、となのは。

    容易に想像できた。

    そんなところが改めて裕里は自身が親バカだと再認識させられる。

    むしろ望むところであったが。

    親バカ結構。娘命。娘に近づく不埒な輩には裁きの鉄槌を。

    最近の裕里の信条であった。

    そんなよく分からない闘志に燃えながらも裕里は何気なく皆を見渡す。


「……ん?」


    見渡してふと裕里は誰かが足りない気がした。

    こういう時、必ず自分の隣で笑っているはずの人が……


「……なあ、フェイト」

「ん? 何かな?」

「美月さんは来てないのか?」


    そう、美月が居ないのだ。

    前もって連絡しておいたはずだった。

    あのお祭りごとが大好きな美月が来ていないのは珍しい。


「あ、うん。急に仕事が入っちゃったから行けないかもって連絡あったよ」

「そうか……」


    電話で連絡した際には絶対行く!、と

    嬉しそうに話していたのを思い出すと残念だが仕事ならば仕方ない。

    美月は守護機関で最も高い権力を持つ人間の一人。緊急の仕事や会議もよくあることだろう。

    成り行きで准将になった裕里ですら忙しいのだ。美月がそれ以上に忙しくないわけが無かった。


「残念だね……」

「うん……だけど、仕方がないことだから」


    なのはも残念そうにしている。

    こんな仕事をする身になったからこそ分かる事でもあった。

    周りで聞いていた者も反論する人間は誰も居ない。

    自分達の仕事がどう言うものか理解しているが故だ。

    もし今、アラームが鳴ればこの場に居る全員はせっかく作った料理など放置してすぐさま任務に向かうだろう。

    それが当たり前だから。それが自らが望んだ道だから。

    まあ、今日に限ってはそんな空気の読めない犯罪者も居ないようであるが。


「ほらほら確かに美月さんが来れないんは残念やけど、そんな景気の悪い顔してたらせっかくの料理が台無しやで」

「ああ、そうだね。美月さんには後で俺からも連絡しておくからそろそろ食べようか」


    裕里の一言で皆、席に着く。

    グラスに好きな飲み物を各自注ぎ終ると不意に杉並が立ち上がった。

    どうやら音頭をとるつもりらしい。


「え〜あ〜各自飲み物は行き渡りましたでしょうか〜今年も〜」

「前説長い、乾杯〜」

「おぅ!? 俺の台詞が!? トリスメギストス、貴様ぁ!」


    乾杯。

    トリスの言葉と共に皆それぞれカチンとグラスを合わせる。


「杉並、詰めが甘い」

「む、無念だ……」


    地面に手をつく杉並。

    出番を取られたことよりも不覚を取られたことがショックだったようだ。

    そんな杉並を見て裕里は苦笑しつつふと、頭に浮かんだことを呟いた。


「美月さん、今頃なにしてるんだろう」




    …




「光太くんの馬鹿〜!」


    その頃、美月は自室で叫びながら書類に目を通していた。

    今日この日になって光太に山のような書類を手渡されたのだ。

    何で今日なのよ!、と抗議したが

    光太に自分が渡された二倍の量の書類を見せられてからは何も言えなくなってしまった。

    もちろん自分がどう言う役職かも理解しているので放置したりはしない。

    本気で泣きそうになってはいるが。


「早く終わらせれば、間に合うよね!」


    更にペースをあげていく美月。

    内容を頭に叩き込み、恐ろしい速度でサインをしていく。

    それでもまだ山のように書類はあった。

    紙媒体であったことを恨む。

    コンピュータの方がもっと早く出来るはずなのだ。


「このご時世に紙なんて……仕方ないのはわかるけど!」


    しかし文句を言ったところで詮無いこと。

    分かりきっていることだ。

    独り言を叫ぶ自分が惨めに思えてくる。

    目に涙が溜まっていることは鏡で自分の顔を見らずとも分かった。

    が、美月が諦めることは絶対にない。

    この機会を逃したらまた、しばらく会えないのだ。


「諦めたら試合終了とか誰かがいってたもんね!」


    美月は決意を新たに紙面に向かってペンを走らせた。

    なんとしても終わらせる。絶対に終わらせて見せる、と。




    …




「さてと、プレゼントは用意してあるから、そろそろ配りに行くかな」

「うん、じゃあ私たちの部屋で寝てるから行こうか」

「起きてないといいけど……」


    食事会が終わりを向かえ裕里はこれからプレゼントを配りに行こうとしているところであった。

    娘二人はなのはの部屋で寝ているそうなのでなのはとフェイトと共に行く。

    そうでないと女子寮には入れないのだ。

    もしも勝手に侵入しようものなら隊長達に頭を冷やされる恐れがある。

    最もたとえ裕里が女子寮に無断で入ったとしても咎めるどころか面白がって弄りそうではあるが。


「そうだ、フォワードの皆、裕里が選んだプレゼントとっても喜んでたよ」

「そうか……それは良かった」


    フェイトの言葉に裕里は安堵する。

    フォワードメンバーにはパーティーの際になのはたちにプレゼントを配って貰っていたのだ。

    さすがに四人はサンタの存在の有無は理解している年齢。

    サプライズとして枕元に置いておく方法も考えたがさすがにそれはやめておいた。

    そもそも無断でスバルとティアナやキャロの部屋に家宅侵入するのは危ない。色んな意味で。


「リインとヴィータは、はやてが枕元に置いておくんだって」

「……子ども扱いするとヴィータは怒るんじゃないか?」

「あはは、ツンデレだからね。ヴィータちゃんは」


    それからそれほど時間も掛からずになのはとフェイトの部屋にたどり着く。

    中に足を踏み入れると裕里はベットに向かう前に胸元からデバイスを取り出し、命じた。


「エッケザックス、バリアジャケットを頼む」

≪Oui,Roi≫
<はい、王>


    裕里の背中に突如、銀色の翼が現れ全身を包み込む。

    一瞬、銀色の光が辺りを優しく照らしたかと思うと同時に翼が散った。

    姿が所々変化し、具足や胸当てなどにサンタの服が混じったような衣装に変わる。


「一応、雰囲気だけでもと思って。バリアジャケットをサンタ風にしてみたんだ」

「あは、ホントだ。かわいいね」

「うん、似合ってる」


    部屋に隠してあったプレゼントをなのはから受け取るとベットに近寄った。

    ベットの上ではイリスとヴィヴィオが互いに抱き合って本当に幸せそうに眠っている。

    仲のいい姉妹そのものだ。その光景に三人は思わず微笑んでしまう。

    ほんの少し前には色々悲しい出来事やつらい出来事あったがこれから二人には幸せになって欲しいと思う。


「……どうしようなのは。俺、将来二人を誰にもやりたくないんだけど」

「ん〜それは、ほら。本人達が決めることだからね? 裕里くんも許してあげないと。ゆっくりお話しは聞かせてもらうけど」

「ゆ、裕里もなのはも、ほどほどにね?」


    気を取り直して裕里はプレゼントをイリスとヴィヴィオの枕元に置いた。

    二人の頭に手を置いて撫でるとくすぐったそうに身をよじらせる。

    大切なかけがえの無い宝物。ずっと守っていこうと裕里は改めて心に誓い直した。


「そだ、裕里くん、二人には何をあげたの?」

「ん? ああ、確か……イリスに小さい鍵のネックレスとヴィヴィオに小さいロケットのペンダントだったな」


    プレゼントのことをなのはに聞かれて裕里は思い返す。

    偶々、とあるハンドメイドのアクセサリーショップの前を通った際、目に留まった物がそれだったのだ。

    鍵があればロックをかけることが出来るロケットで対としてそれぞれ別々に売られていた。

    純銀製で所々にサファイアが埋め込まれた鍵とロケット。

    イリスとヴィヴィオには少し早い気もしたのだが気に入ってしまったこともありそれに決めてしまった。

    いつか二人が離れてしまってもまた出会えるように。二人でいつまでも仲良く居られるように。

    そんな願いを込めて。


「大切にしてくれるといいね……」

「そうだな、そうしてくれると嬉しいな」


    なのはの言うとおり大切にして欲しいと裕里も思う。

    形あるものはいつかは壊れる定め。

    だが、壊れてしまったとしても持っておいて欲しい。そう願った。


「っと、そうだ……二人とも手を出してくれないか?」

「え?……え〜と、こう?」

「うん」


    なのはとフェイトは首を傾げながらも裕里に言われた通り手を差し出した。

    裕里はそれを確認するとポケットから二つの小さな箱を取り出し、

    少し照れているのか顔を気恥ずかしそうにしながら二人の手の上にそっと箱を置いた。


「なのはとフェイトにもプレゼント。イリスとヴィヴィオ達にあげた奴の色違いと何の捻りも無いんだけど」

「「……」」


    実は色違いの純金製でルビーが埋め込まれた鍵とロケットもあったのだ。

    何となくであったがなのはとフェイトに渡す為、買っておいた。

    なのはには鍵、フェイトにはロケット。

    いつでも渡せるようにポケットに入れておいたのだが丁度、渡す機会が巡ってきた。


「……気に入らないか?」


    が、いつまで経っても言葉を発しない二人に裕里は痺れを切らせる。

    少々ありがち過ぎるプレゼントのような気もしていて少し心配であったのだ。


「ううん、そんなことない! ちょっと驚いただけだから。ありがと裕里くん」

「私も貰えると思ってなかったから……ありがとう裕里」

「いや、気まぐれだから。気にしないでくれ」


    しかし、二人の反応を見る限り気に入ってくれたようであった。

    裕里は安堵のため息を吐く。

    人に物をあげるなど滅多にしない為、自信が無かったのだが喜んでくれたのなら嬉しかった。


「でも、私たち裕里くんに何もプレゼント用意してなかった……」

「別にいいよ、なのは。俺が気まぐれで買った物だから、気にしないでくれ」


    二人に何か贈り物をしたことなど今まで一度も無かった。

    せめて一つくらい自分の自己満足で何か送りたかったのだ。

    ただ、それだけのこと。


「……裕里、大切にするね。ずっと持ってるから」

「うん、私もずっと大切にするよ、裕里くん」

「ああ、そうしてくれると嬉しいよ。フェイト、なのは」


    贈って本当によかった。

    裕里は二人の言葉を聞いて心の底からそう思ったのであった。




    …




「はぁ……失念してたね、フェイトちゃん」

「うん、ホント……」


    裕里を女子寮の外まで送り届けた後。

    なのはとフェイトは眠っているイリスとヴィヴィオを眺めながらため息を吐いた。

    プレゼントを貰えるなど、全く予測していなかったのだ。

    早速、貰った箱のリボンを外し中のものを出してみる。


「わ〜……すっごく綺麗だね。フェイトちゃん」

「うん……」


    綺麗な装飾が施された金色の鍵とロケット。

    決して豪華過ぎる訳ではない装飾だがそれがより一層二つの綺麗さを際立たせていた。

    しばし、それぞれ手に持っている鍵とロケットを眺める。

    静寂がしばらく続いた後、フェイトがポツリと呟いた。


「……お返し、何かあげたいな」

「私も……」


    フェイトの意見になのはも頷いた。

    やはりどちらも貰ってばかりなのは嫌らしい。


「よ〜し一緒に探そうか、フェイトちゃん。裕里くんが本当に喜んでくれるもの」

「うん、なのはと一緒なら心強いよ」


    物じゃなくてもいい。

    何か、裕里が今よりもっと幸せを感じてくれるものを。

    互いの手を握り合い二人はそう誓い合った。




    …




「屋上か……」


    その頃、裕里は六課の屋上に続く階段を上っていた。

    女子寮を出てから直ぐに部屋に戻った所、

    扉に『屋上に来てください』と一言だけ書かれた紙が貼り付けてあった。

    つい先程、プレゼントを配るため部屋を出た時は紙など無かった。

    少し不信に思ったのだが結局行くことにしたのだった。


「それにしても……誰なんだろうな……」


    階段を上り終えた裕里は屋上への扉を開け外に出た。

    コートを着てはいたがそれでも雪が深々と降り凍えるような寒さ。

    悪いことをしたな、と待たせた人物に心の中で謝りながら辺りを見渡してみる。

    フェンス越しに誰かが佇んでいた。

    後姿から見てどうやら女性のようだ。

    裕里は駆け足で近寄って行く。

    と、裕里の足音が聞こえた為か女性が振り向いた。


「……裕里くん?」

「……え?」


    裕里は女性の姿を見て言葉を失った。

    雪が舞い散る中、女性の銀髪がさらりと揺れる。

    翡翠の瞳で見つめられると体の体温が上がった。

    綺麗だ。その一言に尽きた。

    まるで自分と女性が居るのは違う世界かのように思えてしまうほどに。


「どうかした?」

「え? あ……いえ、その……」


    声をかけられようやく我に返った裕里は動揺しながらも女性の名前を呟いた。


「美月……さん?」

「はい、そうですよ。こんばんは」


    そう、女性の正体は天城美月であった。

    美月は裕里に名前を呼ばれるとそっと微笑んだ。

    裕里はその顔を見て何故だか急に恥ずかしくなり顔を背ける。

    何故か直視することが出来なかったのだ。

    初めてのことに裕里は戸惑ながらも美月に声をかけた。


「あ……その、屋上に呼んだのは美月さんですよね?」

「うん、ごめんね。こんな遅くに」

「いえ、俺もこんな寒い中、待たせてしまってすいません」


    とりあえず謝っておく。

    が、混乱していた為、何を話していいか全く浮かんでこなかった。

    美月も黙ってしまう。

    ……気まずい沈黙が辺りを支配する。


「ねぇ、裕里くん」

「は、はい?」


    と、しばらくして美月が口を開く。

    声を裏返しながらも裕里は何とか返事を返した。

    既に脊髄反射でしか反応出来ていなかったが。


「これ、あげる」


    美月は少し大きめの箱を裕里の前に差し出してきた。

    裕里は箱を受け取る。


「クリスマスプレゼントだよ、大した物じゃないけどね」

「そ、そんな、ありがとうございます……すごく嬉しいです」


    ようやく冷静さを取り戻した裕里は、美月に礼を言う。

    まさかプレゼントを貰えるなんて思っていなかった。

    ここ数年、あげることはあっても貰うことなど皆無だった。

    故に何の期待もしていなかったので、裕里は素直に嬉しかったのだ。


「さて、と」


    と、美月はプレゼントを渡し終えるとスカートのポケットから銀色のクリスタルを取り出す。

    裕里はそれに見覚えがあった。

    確か美月のデバイス『レギンレイブ』だったはずだ。


「ゴメンね、実は私、仕事途中で抜け出してきたからこれから直ぐに帰らないといけないの」


    そう言うと美月はデバイスを起動させる。

    美月の手に一直線に光が走ったかと思うといつの間にか銀色の槍が握られていた。

    どうやら転移魔法を使うつもりらしい。

    本当に急ぎのようであった。


「あ、そうなんですか……」

「うん……ホントはね、今日はずっと一緒に居たかったんだけど……」


    寂しそうに笑みを浮かべる美月。

    泣きそうな顔だった。

    途端に裕里は不安に駆られた。

    この人を泣かせてはならない。絶対に。

    泣かせたら後で後悔する。絶対に。

    そう思った瞬間、裕里は弾けるように飛び出していた。


「あ……」


    裕里は美月を抱きしめる。

    今、こうしないとダメだと思った。

    そうしないと壊れてしまいそうな気がして。

    それに顔には出していなかったが美月の体はとても冷たくなっていた。

    抱きしめる手に裕里は少し力を込める。


「……んと、すいません」

「ううん、大丈夫……えへへ、裕里くん暖かいね」


    美月は裕里の背中に腕を回すとそのまま胸に顔を埋めた。


「大きくなったね、裕里くん。私が海鳴に呼んだときはあんなに小さかったのに」

「それはそうですよ。十年経ちましたから」

「十年か……早いね」


    表情は伺えない。

    しかし、先程までとは違い嬉しそうな雰囲気が伝わってきた。

    裕里は安堵の息を吐く。


「裕里くん、私ね、やっぱり諦められないみたい」

「へ?……えっと、それってどう言う?」


    よく分からない言葉に裕里は首を傾げた。

    何のことか聞き返してみるが美月は何も答えることは無い。

    そして美月はゆっくりと裕里から離れた。顔は笑顔だった。

    と、美月が離れると同時に足元に魔方陣が現れる。


「んふふ、君が優しすぎるのが悪いんだからね。それじゃ」

「あ、ちょっと!」


    裕里は手を伸ばす。

    刹那、強い光が辺りを包み込む。

    ……光がやむと美月の姿は既にそこには無かった。


「……何だったんだろう」


    美月が去った後を見つめ続ける裕里。

    何が言いたかったのか最後まで分からなかった。

    気になる。気になるが今となっては確かめようが無い。

    それに思い出してみると、とてつもなく恥ずかしいことをした気がする。

    まさか自分が女性を抱きしめるとは。未だに美月の感触は残っていた。


「あ〜……俺としたことが」


    顔を赤らめながら頭をかく。

    何故あんなことをしたのか自分でも分からなかった。


「……少し頭冷やしていくか、寒いが」


    部屋に戻るのは少し後にすることに決め、

    ふと裕里は手に握っている美月に貰ったプレゼントに目を向けた。

    少し考えたが何処で開けても同じだろうと包装を綺麗に剥ぎ取り箱を開けてみる。

    中には綺麗な純白に黒いボーダーが入ったマフラーがあった。


「手作りっぽい……」


    何となく首に巻いてみる。

    マフラーはとても暖かかった。

    体だけではなく、心まで温かくなるような。そんな感覚。


「お返し、来年は用意しておかないとな……」


    来年は何か特別な物をあげたい。

    一年かけて探してみよう。

    裕里は寒空の下、早速思案し始めるのであった。




    …




「喜んでくれたかな……」


    自室に戻った美月は渡したプレゼントの心配をしていた。

    最終的に仕事が終わりそうに無かったので抜け出したのだが裕里の顔が見れただけでも美月は満足であった。

    それにまさか抱きしめてもらえるなんて。

    素直に嬉しかった。


「……相変わらず優しいよね」


    諦めようと考えていたにも関わらず

    あの優しさに触れてみればやはりそんなことは無理だったのだと理解した。

    大体その考え方は自分らしくない。

    気持ちなら誰にも負けないと言う自負もある。

    血の繋がりなんて些細なこと。

    迷うぐらいなら突っ走ってみよう。

    ダメで元々。玉砕覚悟で挑戦してみるのも悪くない。


「よ〜し、若い子達に負けないように頑張ろっかな!」


    ガッツポーズを作り美月は気合を入れる。

    闘志の炎を燃やす。

    こんなに負けたくないと思ったのは生まれて初めてだった。

    と、気合を入れなおしたところで美月は気持ちを切り替える。


「ふぅ、そろそろ仕事を片付けようかな〜」


    晴れやかな気持ちで美月はデスクに座った。

    テキパキと仕事をこなしていく。

    そこにはいつもの美月の姿があった。








                           魔法少女リリカルなのは 白銀の魔法使い 100万アクセス記念SS


                         「待て! そもそもミッドチルダって宗教違うだろ! 早まるんじゃない!」完









あとがき


はい、100万アクセス記念SSが終わりました。

どうだったでしょうか?

最後がグダグダになっているように思えますが、

ご了承いただけると嬉しいです……書き終わったのがクリスマス・イブと時間が無かったんです。

さて、これは一応、IFストーリーとなっております。

いつか書くであろう第三部とは多少変わってくると思いますのであんまり気にしないでください。

記念ですので〜。


それでは、今回も読んでくださりありがとうございました。

今度は本編の方でお会いしましょう。
メンテ
Re: 白銀の魔法使い ( No.59 )
日時: 2010/02/06 00:48:38
名前: ふぁんふぁ 




「……」

「……にゃーにゃーにゃー」

「……」

「……にゃーにゃにゃーにゃー」


    ここはとある研究室。

    辺りにカタカタとキーボードを打つ音が響く。

    そこにはコンピュータに向かう二人の人の姿があった。

    一人は不機嫌そうにしながらも恐ろしい速度でキーを軽やかに打つ真紅の髪の女性。

    もう一人は猫のような声を出しながら同じく驚異的な速さでピアノを弾くかの如くキーを叩く金髪の少女だ。

    どちらも目の下にクマが出来ており死んだ魚のような目でモニターを見続けている。

    足元には栄養ドリンクとインスタント食品の空が転がっていた。

    どうやら泊まり込んでいるらしい。


「にゃー……もう、らめだー……」

「頑張れ、さくら。後、少しで全てが終わるんだ」

「ふにゃー……」


    さくらと呼ばれた少女はダルそうに背伸び。

    肩が凝っているのか自分で肩を揉んでいる。

    そのまま視線を隣に向けた。

    そこには巨大な機械の中心で目を瞑ったまま浮いている少女の姿が。


「ヘルメスさ〜ん、アジフちゃんは大丈夫なのかな?」

「大丈夫、本来の能力に戻すだけなんだから」


    ヘルメスと呼ばれた女性は会話をしながらも手を休めることはない。

    さくらも首を振ると作業に戻る。

    と、ヘルメスは忙しなく動いていた手を止めた。


「よし、調整完了」

「おおーようやく、お兄ちゃんと裕里くんのデバイス完成だー」


    ヘルメスはキーボードのエンターキーを押す。

    それと同時にコンピュータの上にあった機械が音を立てて開いた。

    中には二つの装飾品のような物体が宙に浮いていた。

    まるで呼吸でもしているかのように静かに点滅している。

    それを手を伸ばして取り出すヘルメス。手に取った瞬間、嬉しそうに微笑む。

    が、それも一瞬。直ぐに表情を引き締め二つをテーブルの上に置くと先程と同じようにキーを叩き始めた。


「……寝たい」

「うにゃー……ボクも〜」


    二人は、ため息をつきながらまた自分の作業に没頭していくのであった。










                             魔法少女リリカルなのは 白銀の光をもたらす者


                         第十話「死亡フラグで死ななかったら、それはそれで拍子抜け」


                                       始まります






「あれ? そう言えばさくらちゃんは?」

「あ〜うん。最近、作業を手伝ってもらってるから今はヘルメスと一緒に最終調整してる」

「へ〜」


     その日、裕里は呼び出しを受け美月の家に来ていた。

     今日、ようやくデバイスが完成するそうなのだ。

     しかし、いつ完成するか分からないため今日は美月の家に泊まる事になっている。


「それにしても……まだ居たのね特級ウイルス」

「そう、杉並さんは言ってましたけど……あの人、少し変ですけど嘘はつかない方なので」

「うん、だから信頼はしてるんだけどね」


    実は今、丁度ゆっくり話す機会が巡ってきたので美月に先日杉並に言われたことを話していたのだ。

    ウイルスの情報は皆無だとはいえ存在だけでも美月に伝えておくべくだと最終的に判断した為である。

    今までの特級ウイルスの能力上、一筋縄ではいかないのは確か。

    それに認識しているのといないのとでは全く違ってくるからだ。


「一応、魔力サーチとかしてみるけど……案外出てくるまで待ったほうがいいかもしれないなー」

「……そうですね、特級ウイルスって、意外な場所に住んでいたりしますから」


    しかもかなり近くにいたりするのだ。

    パラケルススたちの前の潜伏場所を見つけたときもそうだった。

    同じ町の中とは誰も考えなかった為、無駄に時間を使ってしまった。

    この時も杉並のお陰で場所が判明したのだ。


「ま、この件は私のほうで調べておくから任せておいて」

「はい、分かりました」

「それじゃ私は一度、様子を見に研究室に行って来るから」


    話が終わると直ぐに美月は立ち上がりポケットからデバイスを取り出す。

    すると一瞬でデバイスを展開。裕里に向かって手を振ると転移魔法を使い一瞬で消えた。

    裕里はその姿を見送ると、今ままで居た美月の部屋を後にしてリビングに戻る。

    そこにはソファに座りうたまるを抱き上げ和んでいる撫子とユキちゃんを膝に乗せてテレビを眺めているすもも。

    見た目は綺麗なケーキを手に持って満面の笑みを浮かべている音夢に顔を真っ青にして後ずさる純一の姿があった。

    音夢と純一の方は命の危険を感じたので即座に判断し撫子とすももの方に歩いていく。

    舌打ちが聞こえたが気にしないことにした。


「あ、裕里くん、お話し終わったの?」

「うん、すももちゃん」

「あれ? 美月さんは?」

「ああ、うん、美月さん出かけちゃったんだ。研究室に行って来るって」


    裕里は自分に気がついて微笑んでくれたすももの隣に腰掛ける。

    撫子はうたまるを抱っこ出来ることがよほど嬉しいのか裕里のことに気がついていないようだ。


「あ、そうだ。後でなのはちゃんとフェイトちゃんここに来るって」

「そうなの?」

「うん、裕里くんがお話ししてる間に連絡あったの」


    今、なのはとフェイトの二人は裕里と別の場所に居た。

    実はレイジングハートとバルディッシュも修理が終わったらしくその受け取り。

    さらになのはのリンカーコアもそろそろ完治しているらしくその検査の為であった。


「そう言えば、すももちゃん」

「何?」

「すももちゃんっていつもその本持ってるよね」


    ふと、裕里は目に入った赤い拍子の本を指差す。

    前々から気になっていたのだが何となく普通の本ではないことは分かっていた。

    ユキちゃんが時々その本の上に乗って飛んだりしているところを見たことがあったのだ。


「うん、これはレシピの本だよ」

「レシピ? 料理の?」

「ううん、ステラスピニアの」


    聞き慣れない言葉に裕里は首を傾ける。


「ステラスピニア?」

「うん、これ」


    すももはいつも持ち歩いているのか持っていたポーチからガラスのビンを取り出した。

    中には綺麗な色をした不思議な液体が入っている。

    裕里はそれに見覚えがあった。


「これって……フェイトちゃんにあげてた?」

「うん、そうだよ」


    今でもフェイトが時々、首にかけているので覚えていた。

    裁判のため一時に別れることになったフェイトにすももが渡していたペンダントの中に入っていた液体。

    まさにそれだったのだ。


「私は、ユキちゃんをぬいぐるみに国に帰してあげるためにこれを集めてたの」

「……ぬ、ぬいぐるみの国?」


    そのあまりにもファンシーな国の名前を聞いて裕里は呆気に取られる。

    思わずすももの膝に座っていたユキちゃんに目を向けると今までユキちゃんは無言で目を逸らした。


「……それ、ホント?」

「そうだよ。ね、ユキちゃん」

「う、うん。そうだよ……あはは……はぁ」


    顔を引きつらせて乾いた笑いを浮かべるユキちゃん。

    それに気がついていないのか笑顔でユキちゃんの頭を撫でているすもも。

    何だかとんでもない勘違いをされてるんじゃないだろうか、と裕里はユキちゃんに少し同情した。


「で、ステラスピニアって言うのは星のしずくを集める人のことなの」

「そ、そうなんだ……」


    分かったような分からなかったような。

    正直、あまり理解できなかったが

    踏み込み過ぎると話しが長くなりそうだったので裕里は適当に相槌を打っておいた。

    と、裕里は自分のポケットが震えていることに気がつく。

    それが自分の携帯電話のものだと分かり急いでポケットから取り出してみた。

    ディスプレイを確認するとそこにはエイミィの名前が。

    少し嫌な予感がしながらも裕里は携帯電話の通話ボタンを押した。


「……もしもし?」

『裕里くん!? よかった〜通信機、

 美月さんの家には置いてないし何だか分からないけど電話繋がらないならどうしようかと』

「えっと、何かあったんですか?」


    慌てた様子で話しが中々先に行かないエイミィの話を裕里は途中で切り先を急かす。

    エイミィはそれに気がついたのか一度深呼吸をしたらしく息を吸う音が聞こえた後、続きを話し出した。


『実は、闇の書の反応があって』

「え?」

『外に結界張ってない? 今、管理局の人たちが守護騎士達を結界の中に閉じ込めたんだ』


    外を覗いて見ると確かに少し離れた場所に結界が張ってあった。

    まさか気がつかなかったとは。

    少し、自己嫌悪に陥りつつ裕里は少し悩んだ。

    残念ながら今、自分が行ったとしても戦えるとは思っていなかった。

    デバイスがまだ無いのだ。この状況では、まともに戦えるとは思えない。

    行った所で足手纏いになるのは目に見えている。

    武器がなければ戦えないと言うのも情けない話だが魔導師相手ではどうしようもなかった。


『だから裕里くんたちにも向かって欲しいの』

「すいません……。実は僕たちまだデバイスを受け取って」

「それについては大丈夫だ」


    突然、聞こえた声に裕里は後ろを振り向く。

    すると、そこに立っていたのはヘルメス。

    と、ヘルメスは裕里に向かって何かを差し出してきた。

    裕里はそれが何なのか見た瞬間に分かった。

    何故ならそれは自分の大切な相棒なのだから。

    ゆっくりとそれを受け取る。


「治ったんですね……」

「そうだ、あと今の所はもう一つ。純一、お前のデバイスも完成している」

「あ、ああ」


    急に話しかけられ少しうろたえながらも純一もヘルメスからデバイスを受け取った。

    渡し終えるとヘルメスは皆を見渡す。


「すまないな。急に連絡が来たから既に完成していた

 この二つだけしか持って来れなかった。他の皆はすぐに調整を済ませるからそれまで待機していてくれとのことだ」


    それを聞いて裕里は純一に視線を向ける。

    純一は、それに気づいて静かに頷く。


「……分かりました。純一くん、体調悪いかもしれないけど」

「皆まで言うな、大丈夫だ。こう見えてもあいつの兄だからな、胃腸は鍛えられてる」

「それ、どう言う意味ですか兄さん、裕里くん?」


    何故か自分にも怒気が向けられた気がしたが、

    無かったことにして裕里は窓を開けるとサッシに足をかけた。


「エイミィさん、そんな訳で今すぐ向かいます。結界の一部を開いてくれるよう連絡しておいてください」

『ラジャ! 頼んだよ!』


    携帯の電源を落とし裕里は手に握った相棒を眺める。

    待機状態に変わりはない。しかし、前にも増して力強い印象を受けた。

    裕里は隣に立っている純一と

    再度、視線を合わせると二人は合わせたかのようにデバイスを宙に放り投げる。

    声高らかに名を叫んだ。


「エリュシオン・ソレイユ! セットアップ!」

「起きろ、ユスティティア!」

 ≪≪Drive ignition≫≫


    刹那、デバイスから光が発せられ天高く駆け上った。

    そのまま光は二人を包み込む。

    光が止むと魔力で紡がれた新たなバリアジャケットを纏った姿の二人が現れた。

    さらに目の前で宙に浮いているデバイスに手を伸ばす。

    それは一振りの剣と、腕を全て覆うであろう巨大な盾。

    裕里は剣を掴み取り純一は盾を腕にはめ、すぐさま飛翔魔法で窓から飛び立った。

    それを見送るヘルメス。

    しばらく後ろ姿を眺めていたのだがある時、ふと顔を歪めた。


「(何?……ウイルスの気配が突然?)」


    ヘルメスは不安そうに空を見上げた。




    …




「純一くん! あそこに小さい穴が開いてる!」

「よし!」


    裕里と純一は結界に空けられている自分達がギリギリは入れるくらいの穴を発見する。

    しかし、速度を緩めるようなことはせず中にそのまま突入した。

    入ると同時に穴も塞がる。どうやら自分達の到着にあわせて何処からか開いてくれていたようだ。

    局員の人に心の中でお礼を言いながら辺りを見渡す。

    すると遠くでぶつかり合う光があった。

    そのうちの二つがなのはとフェイトのものであることは直ぐに分かった。

    応援に向かうためさらに速度を上げ空を駆ける。


「裕里、お前は高町の方に。俺はテスタロッサの方に向かう」

「うん!」http


    純一に向かって手を振りながら裕里はなのはの元に向かった。

    すると丁度、息を切らした様子の赤い服を着た少女と対峙しているなのはの姿が。

    裕里は速度を緩めた後、なのはの隣に降りる。

    それに気がついたなのはは裕里を見て笑みを浮かべた。


「あん? 何だお前、その白い奴の仲間か?」


    赤い服の少女は肩に乗せていた槌のようなものを向け、睨みつけてくる。

    その少女の顔を見て裕里は目を見張った。

    少女に見覚えがあったのだ。

    思わず名前を呟こうとしたがなのはが視界に入り慌てて口を塞ぐ。

    そう、ついこの間、自分はこの少女と出会っている。

    そして裕里は直ぐに理解した。闇の書の主が誰なのかを。


「(お風呂のとき、美月さんが言ってた大変なことってこのことかな……)」


    信じたくは無かったが全くの他人と行動を共にするとは思えなかった。


「二人纏めてか? いいぜ、掛かって来い! どっちもぶっ潰してやる!」


    と、目の前の少女が槌を振り被ったときだった。

    裕里は少女に殺気が向けられていることに気がつく。

    目を見開くと瞬時に飛び出し少女を抱き上げた。

    目で確認する前に体が動いたのだ。

    そのまま前方を睨みつける。

    まさかの行動に反応出来なかったのか少女は抱き上げられたまま固まっていた。


「ちょ! お、おおおおま! お前! 一体何をっ!」

「危なかった」

「な、何?」


    裕里の視線の先。

    そこには、ウイルスの姿があった。


「……なんだあれ」

「ウイルスだよ、離れてて」


    そっと少女を下ろすと裕里はウイルスに向かってエリュシオンの切っ先を向ける。

    ウイルスは見たところ下級のようだがこの前のような出来事があった手前、気を抜くわけにも行かない。

    それに気配は全く感じないが上級か中級も居るはず。

    早急に倒してしまうべきだと判断する。

    油断していなければ遅れを取ることは無いがさすがに数には勝てない為だ。


「……なのはちゃん。僕はあれの相手をするから」

「うん、分かった。でも、無茶はしちゃダメだよ?」

「了解」

「お、おい! ちょっと待て!」


    少女のことはなのはに任せて裕里はウイルスに向かい飛翔する。

    後ろから怒鳴り声で呼び止められたがウイルス優先の為、無視。

    裕里は、手に握っているエリュシオンを見る。姿も変わり頼もしく思える存在。

    一度、目を瞑り静かに息を吐くと振りかぶった。


「行くよ、ソレイユ」

≪Yes,sir!≫


    魔法は使わず手始めにウイルスに向かって一閃。

    ウイルスは防御魔法を使用する体制を取るが裕里はそのまま刃を下ろした。

    ――瞬間、裕里は目を見開いた。

    防御ごとウイルスが切り裂かれたのだ。


「……い、いくら下級だからって防御ごと切れ……た?」


    まさか切れると思っていなかった為、呆然となる裕里。

    突き崩し体制を崩そうくらいに考えていたのだが、その切れ味に驚愕する。


≪It is natural,power is different≫
<当然です、パワーが違いますから>


    消えていくウイルスを鼻で笑うエリュシオン。

    今までに見たことの無いエリュシオンの姿に裕里は若干引いた。

    ……しかし、いつまでもそうしている訳にはいけないので気を取り直し新たに気配を感じた方に目を向ける。

    そこには数体の下級ウイルスの姿が。


「それにしてもウイルスってあんな無秩序に人を狙ったりしてたかなぁ?」


    ふと、そんな疑問が頭を過ぎる。先程、少女を狙ったウイルス。

    自分やなのはを狙うのならまだ話は分かるのだが少女はウイルスの存在すら知らない様子だった。

    それなのに……


「……今はいいかな。それよりも」

≪king≫

「何、ソレイユ?」


    再度ウイルスにエリュシオンを向ける裕里。

    と、エリュシオンのコアが光る。

    どうやら何か伝えることがあるようだ。


≪Please call load cartridge≫
<カートリッジロードと命じてください>

「え?……えっと、カートリッジロード?」


    次の瞬間、エリュシオンの中心部分がスライドし撃鉄の音が響いた後、薬莢が排出された。

    それと同時に体のそこから力が湧き出るような間隔に襲われる。

    自分の手のひらを見つめ裕里は何が起こったのかを理解したのか笑みを浮かべると静かに命じた。


「……ソレイユ、ヴァリエルフォーム」

≪Sir! Valieroform DEFORMATION!≫


    その言葉と共にエリュシオンが手から離れると光と共に弾ける。

    するとエリュシオンは途端に戦斧へと姿を変化さえたではないか。

    今までになかった新たなフォームだ。

    裕里はエリュシオンを掴み取り頭上で一回転させると肩に乗せる。

    負ける気など一切していないような自信に満ち溢れた顔をしながら。


「さあ、行こう。ソレイユ」

≪...It crushes≫
<……潰す>

「こ、怖いよ……?」


    なんとなく別の意味で不安になりながらも裕里は下級ウイルスの群れに向かって行く。

    ウイルスがこれ以上、他の誰かに手を出す前に倒す。そう、誓いながら。







                              魔法少女リリカルなのは 白銀の光をもたらす者


                         第十話「死亡フラグで死ななかったら、それはそれで拍子抜け」完






あとがき


ようやく終わりました十話。

今回は前のお話から結構、時間が空いたことを反省しているところです。

次からはもう少し早く書いていきたいと思います。

ただ、書かなかっただけでもっと早く書けたはずですし。

さて、今回はとうとう新デバイスのお披露目とヴォルケンズとの邂逅。

そしてまたウイルス……ふふふ、そろそろ色々出していかないとグダグダになりそうだと恐怖している所です。

……頑張ろう!


それでは次は、本編か外伝のどちらかでお会いしましょう〜。
メンテ
Re: 白銀の魔法使い ( No.60 )
日時: 2010/03/01 02:58:51
名前: ふぁんふぁ 





「……ちっ、ウイルスか」


    純一は舌打ちして、気配を感じた方を睨んだ。

    この間の事もありウイルスには特に警戒していた為、
    驚きはしなかったがこの状況での出現は余り歓迎できる物ではなかった。


「純一、君はウイルスの方に行って。ここは私一人で大丈夫だから……それに……」


    同じく気配を感じ取ったのか隣に居たフェイトは純一に行くように言った。

    フェイトは凛とした表情で相対している女性を見つめている。

    正直ありがたい申し出だった。

    尚且つ、フェイトが何を言わんとしているかは理解出来た為、純一はすぐに頷き返す。


「分かった。頑張れよ」

「うん。純一もあんなことがあった後だし、裕里のことお願いね」

「ああ、言われなくても」


    純一はくるり、と方向転換しフェイトと女性に背を向ける。

    しかし、何も言わないで行くのも失礼だと感じたらしく女性に視線だけ向けた。


「アンタも、じゃあな。サシが良いだろやっぱ」

「……ふっ、すまんな」

「何、良いってことさ」


    礼に対して後ろ向きのままヒラヒラ右手を振ると純一は即座に飛び立つ。

    離れた場所で銀色の魔力光が見えるのを確認し裕里が既に交戦中であることが分かった。

    一度、目をつぶりゆっくり息を吐く。


「……次はヘマしないぜ。ユスティ、俺に力貸してくれ」

≪ja≫


    いつも通りに振舞いながらも無意識のうちに純一は飛行速度が上がっていた。





                             魔法少女リリカルなのは 白銀の光をもたらす者


                                  第十一話「倒れる時は前のめり」



                                         始まります






「ふぅ……また六体増えた」


    辺りを見渡し裕里はため息を吐く。

    ウイルスとの戦闘が開始して結構な時間が経過していたが、
    いくら倒しても直ぐに新たなウイルスが現れる現状に内心うんざり気味だった。

    一度に現れる数はそこまで無いのだが如何せん全く終わりが見えない。

    虫か、と思う程わらわら何処からとも無く現れる様は気持ち悪くもあった。

    ひと息吐く為、エリュシオンを肩に乗せる。

    今の所は下級だけしか出現していないのだが、
    前回の事もありそれが逆に気が抜けない現状を作り出していて心労も徐々に溜まりつつあった。

    この間のこともあり、少し身が強張っているのも分かっている。やはり多少の恐怖は拭い去れない。

    死ぬくらいだったら逃げることを選択するが、
    流石に生死の狭間で怪我の一つ負わないで帰れる自信は残念ながら裕里には無い。

    正直、己が傷つくよりも人に心配をかけることの方が耐えられなかった。

    周りには女性ばかりなので涙を見るのは精神衛生上、非常に宜しくないのだ。

    ――せめて、もう一人居てくれたら。

    仕方が無いことだと分かっていながらもつい願ってしまう。


「ま、そう都合よく行くはず……」

≪Grapple Stinger≫

「へ?」


    突然、電子音が聞こえたかと思うと視線の先の離れた場所に居たウイルスが何かに掴まれた。

    自分に何が起こったのか理解していないのかウイルスは成すすべなく引きずられていく。

    その後を目で追うとそこには純一の姿が。

    よく見ると左手の盾からワイヤーのような物が、
    ウイルスに向かって伸びており高速で巻き取られているようだ。

    それが巻き取り終わるのと同時に純一は目前まで引きずられてきたウイルスを右手の剣で両断した。

    その姿に裕里は苦笑いを浮かべる。

    美月が何を思って付けたか分からないが敵に全く容赦のない機能であった。

    無論、容赦する必要など無いのだが見ている分にはえげつない。

    と、裕里は一度背伸びをしてから表情を引き締める。どうやら早々に休憩を終えることにしたようだ。

    友人が一人頑張っていると言うのに自分だけ休んでいるなど裕里に出来るはずも無かったらしい。

    早速、純一と合流する為、移動しようとして……ふと、裕里は不自然に風が動いたのを感じた。

    本当に僅かに動いただけだ。

    しかし、辺りには自分と純一そして下級ウイルス……は最後の一体が純一によって丁度倒される。

    だが、それもおかしい。先程までなら全て居なくなることなど先ず無かった。

    倒せども倒せども、直ぐまた現れて襲い掛かって来ていたはずだったのに。それが今は静寂、それどころか無音。

    裕里は、目を閉じて意識を研ぎ澄ましてみる。

    必ずしも視覚で見えていることだけが全てではない。

    昔、裕里は父親にそう教えられたことがあった。もちろん剣術の修練中のこと。

    故に時には気配を察することが如何に大事なことか理解していた。だからこその行動であった。

    そしてそれは正解。直後、裕里は自身の周りに二つの強い殺気を放つ気配が現れたのを感じた。

    それも今までに比べても桁違いな程の強い気。

    ――刹那、裕里の頭に危険信号が点った。咄嗟に体が反応する。


≪Lumiere≫

「っ!」


    瞬時に高速移動魔法でその場から離れる。

    ギリギリだったが完璧に避けきれたと思った。

    しかし、裕里は顔を歪めることなく無表情で服が裂け血が滲んでいる腕を押さえる。

    表情こそ冷静だったが裕里は内心、動揺していた。

    裕里は、避け切れなかったことに驚いていた。

    気配を察知してから避けるまでの時間。

    今までなら絶対避けきれるはずのタイミングだった。

    それがかすり傷だとはいえ……。

    不信に思いながらも裕里は目の前の――ウイルスを見つめた。


「裕里」

「純一くん」


    声をかけられ振り向くといつの間にか純一が隣までやって来ていた。

    こちらの異常に気がついて駆けつけてくれたらしい。


「無事か?」

「うん、大丈夫……それにしても、変だよあのウイルス」


    微動だにしないが前に比べてよりいっそう不気味だ。

    純一もそれを感じ取ったのか、収めていた左腕の盾から剣を抜き放つ。

    裕里も、エリュシオンを構えた。

    と、二体のウイルスは戦う気になったのを確認したのかこちらに向かって突進してくる。

    あえて逃げるようなことはせず裕里は待ち構えた。


「裕里。一人一体、迎え撃つぞ」

「うん!」


    純一とハイタッチを交わすと裕里はすぐさまカートリッジをロード。

    戦斧の刃に魔力刃が纏われ、振りかぶる。

    近くまで迫るウイルス、裕里は合わせるように一閃。

    ――しかし、止められた。何と両手で刃を掴まれたではないか。

    一瞬、裕里は目を見張るが直ぐに頭を切り替えると魔力刃を一度、消去。

    前に体重をかけていたウイルスは予測してなかったのか体勢を崩す。

    それを好機と裕里は腹を蹴り飛ばしてその反動で距離をとり、間髪を入れずに二度目の攻撃。

    体を一回転させ遠心力を利用し渾身の力を込めて、上段から戦斧を振り下ろす。

    ウイルスはそれを危険と察知したのか防御魔法を使う体制に入った。

    ぶつかり合う刃と盾。衝撃で空気が揺れた。火花が散り、せめぎ合う。

    が、拮抗の末競り勝ったのはウイルス。驚くことに防御魔法にはひび一つ入ってはいない。

    裕里は戦慄した。

    まさかデバイスも新型になり出力も上がっているはずの一撃をいとも簡単に止められるとは。それも二度。

    今までとの能力の違いに裕里は危機感を抱く。だが、ウイルスがいる手前一々考えている暇はない。

    運良くウイルスも二手に別れ、相手にするのは一体のみ。

    この前よりも幾分かマシであることは言うまでもないのだから。


「ソレイユ、エッジフォーム!」

≪sir≫


    エリュシオンを剣の状態に戻すと間を置かずに斬りかかる。

    出来るだけなら長期戦は避けたい。早めにけりをつけるなら考えるよりもまず動くことが大事。

    それが分かっているからこその行動であった。

    ウイルスは先程と何ら変わらず、待ち構えている。

    不自然な程のゆっくりとした余裕の態度が不気味だった。

    邪念を振り払い、裕里はエリュシオンを一振り。

    今度は一撃の重みを重視した攻撃ではない。故に受け止めさせるようなことはしない。

    リーチは短くなったが裕里にとっては最も身近な距離。

    得意な間合いになった分、攻撃は速度も上がりウイルスも流石に魔法が間に合わず受け止めきれないのか腕で防御。

    やはり掠っただけではビクともしない。が、腕から血液が滴り落ちていることだけは分かった。

    だが、裕里にはそれが分かっただけでも収穫であった。

    傷がつくと言うことは攻撃が通用しない訳ではないということだからだ。


「(……なら、試してみる価値はある)」


    と、裕里は何を思ったかウイルスの懐に向かって飛び込む。

    もちろんウイルスも馬鹿ではない。バレバレの行動は軽く避けられる。

    しかし、裕里自身避けられることなど百も承知。伊達に今まで剣術の訓練をしてきた訳ではない。

    むしろ、その回避によって生まれる距離こそが裕里にとって一矢を報いる為に必要だったのだ。

    突如、ウイルスの体が鎖によって雁字搦めに封じ込まれる。その鎖は冷気を放っていた。

    途端にウイルスの体が凍りつき始める。それを見て裕里は珍しく邪悪な笑みを浮かべた。


「ありがと、クロノくん。見よう見まねだったけど設置型バインド、役に立ったよ」

≪Aeriafrom DEFORMATION≫


    そう、裕里は設置型のバインド予め仕掛けておいたのだ。

    前にクロノが使っていたものを見よう見まねで真似て。

    それが丁度、ウイルスの真後ろにあった。

    故に、わざとウイルスが必ず後方に避けるであろう行動を仕掛けバインドまで導いたのだ。

    とりあえず裕里は何処かにいるであろうクロノに礼を言うと、
    同時に主の考えを読み取ったのかエリュシオンがカートリッジを排出。

    エリュシオンが光に包まれたかと思うと両手で持つしかないほど大きな銃へと姿を変えた。

    そのまま裕里は、ウイルスに銃口を向ける。何処かで見た図であった。


「あと、なのはちゃん。これって意外とテンション上がるね」

≪Ignite Buster≫


    ――容赦なく引き金を引いた。

    膨大な光の濁流がウイルスを飲み込む。

    撃った本人があまりの威力に息を呑んだ。ただの力の暴力だ。

    いくら強くなったウイルスと言えどこれを受ければ一溜まりもないだろう。

    そう思っていた裕里は光が晴れた先を見て、ため息と共に頭を抱えた。


「……嘘だ〜」


    ウイルスはまだ、そこに存在していた。

    さすがに無傷ではないようで砲撃を受け止めでもしたのか右手が炭化し酷い状態。

    しかし、苦痛に顔を歪めることすらなく悠然とそこに浮遊していたのだ。

    こうなってくると打つ手が無い。

    映画やアニメなら、新しい武器やら力が手に入ったなら基本的に圧倒的勝利が普通。

    だが、やはり現実はそう上手くいかないものだ。

    そして、さらに追い討ちをかけるかの如く、
    今の砲撃がかえってウイルスの動きを活発化させたようでこちらに向かって来てるはないか。


「うっ……やっちゃった?」


    少し考え無しだった、と自己嫌悪に陥りながら、
    裕里は直ぐに気持ちを切り替えると迫り来るウイルスに再度、剣に戻したエリュシオンの切っ先を向けた。




    …




「……ん? 裕里の方は派手にやってんな……おっと」


    純一は、爆音を聞いて気を逸らした所に向かって来たウイルスの攻撃を盾で受け流す。

    受け流しただけで痺れた左手に顔を歪めながら少し距離をとった。


「あー……かったりぃ」


    二手に分かれてからウイルスと近接での攻防を続けていた純一。

    元より、裕里よりも更に近接特化型であるため遠距離戦が、
    あまり得意ではない純一としては現状の近接のほうがやり易いのだが、今回ばかりは一人では辛いものがあった。

    敵が人ならば体力勝負になるところだが残念ながら相手はウイルス。体力の概念があるとは思えない。

    叩き潰すしか倒す方法はないが攻めあぐねている現状を打破するには如何せん戦力が足らなかった。


「これだと援軍にもいけないし援軍も期待出来んな。……音夢たちが早めに来てくれればいいんだが」


    いつもであれば面倒、と言いながらも強気な純一も今回ばかりは少し弱気。

    が、その拮抗も直ぐに崩れることとなった。

    それは、何故か。簡単なことである。


「まさか兄さんが私に助けて欲しいとおっしゃるなんて、びっくりです」

「この状況だ。仕方あるまい」


    声と共に目の前のウイルスに向かって飛来する何か。

    何かは高速で回転しながらウイルスに直撃、弾き飛ばす。

    突然のことに唖然としていた純一だったが直ぐに理解した。まさかの援軍が来たのだと。

    何とかなった事に安堵しながら、純一はその何かを掴んだ少女に視線を向けた。


「音夢、アル」

「はい、お待たせしました兄さん」

「うむ、待たせたな」


    そこいたのは妹の音夢とその肩に乗っている相棒アル・アジフ。

    背中に刃金の翼『シャンタク』を広げ、
    手に投合した武器『ロイガー・ツァール』を握る姿は力強く、今まで感じたことのない頼もしさを感じる程であった。

    無論、恥ずかしいのでそれを純一が口に出すことはないが。


「兄さんが不甲斐無いので加勢に来ました」

「うるせー」

「あまり苛めてやるな、音夢。……さて、三人がかりならどうにかなるであろう」


    音夢は、ロイガー・ツァールを消すとウイルスに向かって両手を向ける。

    手にはいつの間にか拳銃が二丁握られていた。

    真紅の銃『クトゥグア』白銀の銃『イタクァ』

    アルが持つ武装であり、特殊な術式が掘り込まれた魔銃である。


「音夢よ。クトゥグアとイタクァも久しぶりの戦闘に疼いておるようだ。躊躇うことはない、全弾撃ち尽くせ!」

「了解しました、アル。いきますよ、兄さん」


    ウイルスに向け指差を親指す音夢。

    何事か、と純一が視線を向けると何とウイルスが糸のような物で拘束されているではないか。

    それこそアルの能力の一つ。捕縛用結界『アトラック・ナチャ』である。

    恐らく、先程攻撃した際にその隙を狙って封じ込めたのであろうが純一は妹の容赦の無さに少し恐怖した。

    もちろん本人には秘密だが。


「し、しゃーねぇな。ユスティ!」

≪apolonform≫


    声をどもらせながら、純一は己の相棒に命じた。

    ユスティティアがカートリッジを排出すると途端に光を帯びる。

    直後、右手に握っていた刀身と左腕の盾が融合し何とボウガンへと形を変えたではないか。

    純一はウイルスに先端を向け照準を合わると、
    後部にある引き金ではなく弓矢を引くようなタイプのトリガーを握り締め引き絞る。


「コイツはとっておきだ。避けられる速さじゃねえぞ」


    躊躇うことなくトリガーから指を離した。

    同時に音夢も魔銃の引き金を引く。

    ――まるで獣の咆哮のような轟音が響いた。

    全てを喰らい尽くすであろう真に純粋な破壊の力。

    逃れることなど出来ない。否、逃れる気すら失わせるのだ。

    それはウイルスであっても同じ。飲み込まれ、死に至る。

    本当に一瞬だった。

    先程までどうやっても倒すことが出来なかったウイルスの肢体が塵のように飛び散っていくのが分かった。

    轟音が終わりを告げると共に純一は、溜め込んでいた息を吐く。

    隣の音夢はアルとウイルスを倒せたことを喜んでいるようだが純一は疲労のお陰で一緒になってはしゃぐ余裕は無い。

    ……今更だが、まともに戦っていたら恐らく敗北していた。

    今回はたった二体であったから良かったもののこれがあと複数いたら。

    背筋が凍る。それほど今までに感じたことの無い強さだったのだ。


「一体、こいつらなんだったんだ……」


    ――しかし、純一の疑問に答えてくれる者は誰も居なかった。

    一方、純一がウイルスに勝利していた頃、裕里の方も決着がつくところまで辿り着いていた。

    理由は純一と同じ。援軍のお陰である。正直、その援軍の強さは異常であったが。


「ティム・フォールナ・メイ!」


    一人の少女の詠唱が終わると共にウイルスの動きが停止する。

    それと同時に上段に構えられるのは、薙刀という名の凶刃。

    渾身の力を込めてもう一人の少女は振りかぶる。

    躊躇うことなどなく、救いをこう時間すら与えることなく、脳天目掛けて振り下ろされた。

    いとも簡単に真っ二つに両断されたウイルスは霧となり霧散。

    少女は、それを確認すると薙刀を一度、払い美しい黒髪を掻き揚げる。

    それは、戦いの終結を意味していた。


「裕里、無事?」

「う、うん。ありがと、撫子ちゃん」


    その姿に見とれていた裕里は思わず生返事で返す。

    そう、裕里の援軍に来てくれたのは、秋姫すももと八重野撫子の二人。

    二人の完璧なコンビネーションはさすが幼馴染と言うべきか。

    いちいち言葉を交わす必要など無い、と言ったところらしい。


「ウイルスさんも、すごく弱ってたから」

「あははー……ものすごく頑張って少しずつ削ったんだー」


    自分の苦労が二人の前には無意味なものに思えてきて少し落ち込む裕里。

    なんせ弱らせても弱らせても倒せなかった存在が、
    いとも簡単に他の人間に斬り倒される姿を見てしまえば仕方ないことなのかもしれない。


「……さてと、純一くんたちと合流しようかー」


    だが、今はまだ戦闘中。

    裕里は考えを改めると純一たちと合流することに決めたようで移動し始める。

    純一と同じで疲労も限界のため、すももたちを気遣う気力もないようであったが。


「あ、そうだ。帰ったら美月さんにウイルスについて報告しないと……」


    とりあえず今、考えることが出来たのはそのことだけであった。

    それからしばらく飛行を続けていると裕里は、ふと人の気配が無いことに気がつく。

    辺りを見渡すと誰も居ない。どうやら前を向かずに飛行していたせいで別の方向に向かっていたようだ。


「みーつーけーたぁ!」


    と、何処からか大きな声が。

    裕里は何事か、と俯かせていた顔を上げる。

    そこには、なんと槌を振りかぶった赤い服の少女の姿が。

    しかも、自分の方に突っ込んで来るではないか。

    誰かは直ぐに分かった。守護騎士のヴィータである。

    少し前になのはと戦っていたはずの少女が何故? 裕里は戸惑う。

    が、その一瞬の思考が命取りだった。避ける動作が一瞬遅れる。


「お前ぇ! はやてに何をしたぁ!」

「えぇぇぇぇ!? な、何のこ、ごほぅ!?」


    タイミングが絶妙だったのかもしれない。

    無理やり避けようとしたお陰でヴィータの渾身の一撃が鳩尾にクリーンヒット。

    それもあまりに綺麗に鳩尾に入ったため裕里は痛みを感じる間もなく意識が遠のいていく。

    ……何だかこんなんばっかりだ。

    そう、自嘲気味な一文が頭に浮かんだと同時に裕里は意識が途切れた。





                            魔法少女リリカルなのは 白銀の光をもたらす者


                                  第十一話「倒れる時は前のめり」








あとがき


はい、第十一話終わりました。

……なんだかグダグダですねw

戦闘ダラダラ続けるのはやはり難しいと痛感しました。

最終的にウイルスを出す→倒す→喜ぶの展開ばかりな気がしてやばいなと思っているところですw

さて、それは置いておいて今回はA'sの第五話辺りのお話しでしたがどうでしたでしょうか?

と言ってもなのはさんたちはちょっとしか出てないんですけどねw

やはり日常だけじゃなく戦闘でも出していこうと思う今日この頃でした。

因みに純一くんが使ったユスティの遠距離攻撃形態はクウガのアレに似た物ですw

分かる人は分かるかとw


それでは今回も読んで下さりありがとうございました。

次は、春の丘の方を書きたいと思っているのでそちらでお会いしましょう。
メンテ
Re: 白銀の魔法使い ( No.61 )
日時: 2010/03/06 00:34:00
名前: ふぁんふぁ 






    不覚と悟った時には既に遅かった。

    絶望と混沌しか今の自分には無く、光など皆無。

    ただ彷徨い続ける自分がたまらなく哀れに思えて仕方なかった。


「くっ……自分の浅はかさには反吐が出るな」


    が、しかし、ここで果てるわけには参らん。

    自分と言う存在を、まだ終わらせるわけにはいかないんだ。

    夢もある。やりたいことも沢山ある。自分を待ってくれている人もいる。

    だからこの際、プライドなど捨てよう。

    私は、とりあえず恥をしのんで丁度そこの家から出てきた可憐な少女に助けを求めた。


「済まぬ、そこの道行くツインテールの少女」

「へ? わ、私ですか?」

「ああ、どうか私の願いを聞き入れてくれないだろうか?」

「は、はあ?」


    ああ、私をそんな無垢な瞳で見つめないでくれ。

    穢れた私を見れば少女、君が穢れてしまう。

    だが、何と心優しいのだろうか。こんな不審者の言葉を聞き入れてくれるなんて。

    私は、これ程まで人の心の温かさに感動したことはない。

    遠慮など考えていた私が馬鹿だった。もういい、言ってしまおう。

    故に、躊躇い無く言った。


「トイレを……貸してくれないか? 下腹部がエマージェンシーなんだ」

「ふぇ?」






                          魔法少女リリカルなのは 嵐を呼ぶ魔法使い達のサバト


                             プロローグ「絶望からの脱出」

                                   始まります








「いやはや、助かりました。このご恩は一生忘れません」

「いえいえ、ヴォルさん。困った時にはお互い様ですから」


    その男、名をヴォルさんと言う。

    もう一度、言っておくがヴォルさんである。『さん』も名前である。

    何人たりとも『さん』を抜かして呼んではならない。お兄さんとの約束だ。

    
「済みませぬ、実は人を探している途中で道に迷ってしまって。行けども行けども公園すら見つからず、いっそその辺で」

「ああ、そのくらいでいいですから。それでヴォルさんは一体どちらからいらしたんですか? 日本の方じゃ……」

「ロンドンです。実はこう見えても魔法使いでして、世界を滅ぼそうかと画作中なんです」


    因みにヴォルさんのと話している女性の名は高町桃子。

    ヴォルさんを救った救世主の母親である。


「あら、奇遇ですね。実はうちの娘も魔導師やってまして、巷では白い悪魔と有名なんです」

「ってぇ! 突っ込まないの!? ねぇ、突っ込まないのお母さん!? 
 世界滅すとか言ってるよ!? 真顔で言ってるよ!? 本気だよこの人! 
 その前に何さらりとばらしてるの! 人のこと悪魔とかいってるの! グレるよ! 本気でグレるよ!」


    その隣で大声をあげているのがヴォルさんを助けた救世主、高町なのはその人。

    今回の苦労人である。とりあえずは、だが。


「おっと、かの有名な白い悪魔、または魔王さまがあの子でしたか! 
 私も魔王みたいなものなんですが彼女のチートぶりには目を見張る物がありますね。流石、魔王」

「何だか知られてる!? でも、魔王って呼ばないでください!」

「魔王に魔王と言って何が悪いんですか魔王。魔王仲間なんですからもっと仲良くしようじゃありませんか魔王。
 魔王は魔王であって魔王以外の何者でも無いんですから魔王」

「少し……頭冷やしましょうか。痛いの我慢できますよね、ヴォルさん? 一瞬ですから」

「ひゃほぅ! むしろ痛いの大好きです! さぁ、カモン! ハリーハリー!」

「逆にやりづらいよ!?」

「してくれないんだったらこっちからいくんだからぁ! きょえぇぇぇぇぇぇぇ!」

「きゃぁぁぁぁぁ! 向こういけー!」


    なのはの悲鳴と共にその相棒が桜色の光を放つ。
    
    それは、断罪の光。全てを否定し、如何なる物も破滅に導く光。

    今回は変態が否定されたようだ。無論、全否定である。


「ゴチになりましたぁぁぁぁぁぁぁぁぁ〜……」


    直撃を受け空の彼方に消えたヴォルさん。

    荒い息を吐いてその消えた先を見送るなのは。

   
「あら、ヴォルさんはおかえり?」

「なの」


    とりあえず、安堵のため息を吐くなのはであった。

    しかし侮っていたのだろう。その程度でヴォルさんが終わるはずがない。

    ヴォルさんは……「いろんな意味で名前を言ってはならないあの人」ヴォルさんは……


「今日の夕食はオムハヤシでいかがですかな、士郎殿。愛しのハリーが大好きな食べ物でして得意なんですよー」

「ほう、それは美味しそうだ。楽しみにしておきましょう、ヴォルさん」

「ヴォルさんが料理上手で助かりますー」

「ちょっ!? いつの間にか住み着いてるし! 何だか親達と仲良くなってるし!?」


    とりあえず不滅である。

    そして、とりあえずなのはの苦悩はしばらく続くことになる。少女十歳の春にあった出来事。

    続く。


「続くの!?」

「プロローグじゃからのう」

「貴方、誰っ!?」





                                   完
メンテ
Re: 白銀の魔法使い ( No.62 )
日時: 2010/03/31 02:31:28
名前: ふぁんふぁ 





「……さて、と。それじゃあパパ達、少しお出かけしてくるから」

「あんまり、遅くならねぇようにするからよ。良い子にしてるんだぜ」

「では、行って来るね。ネリネさん」

「はい、お父様、おじ様方。いってらっしゃいませ」


    冬祭りの次の日。

    何処かへ出かけるという父親達を見送りネリネは部屋で一人佇んでいた。

    春風は学校、シアは夕食を作ると言う春音の手伝い。

    ネリネ本人は特にやることも無く暇を持て余していた。

    当初、自分も夕食の手伝いを申し出たのだが父親に必死の形相で止められたのだ。

    何か釈然としないものがあったが、あまりにも必死だったので仕方なく従い今に至る。

    しかし、そうなってくると必然的に一人になってしまう。

    一人で遊ぶと言う手もあるが、それは何となくやる気が起きなかった。


「魔界に居た時はそんなことなかったんですが……」


    ここ最近の生活が影響しているのだろう。

    常に誰かが周りに居て楽しいことばかりで……。

    そんな状況を作り出すのはいつも決まって一人の少女であった。

    無理やり他人を巻き込むかのように見えてちゃんと周りに気を使っている優しい少女。

    春風である。いつも太陽のように明るい笑顔がネリネは好きだった。

    同時に悩みなんて無さそうなあの少女のことを思い浮かべ少し羨ましく思う。

    無論、少しもと言う訳ではないのであろうが全く感じさせないのだ。

    そこまで考えてネリネは少し悪かったかな、と苦笑する。

    まるで春風のことを能天気と言っているようなものだと気がついたからだ。


「ふぅ……あ、もう四時?」


    ふと時計を見ると既に午後四時を回っていた。

    ネリネはいつもなら既に帰ってきているはずの春風が少し遅いことを不思議に思った。

    少し心配してしまう。

    迎えにでも行こうか、と考えネリネは部屋を出ようとするがそれよりも先に目の前の扉が開いた。

    一瞬、春風が帰ってきたのかとネリネは立ち止まる。


「あれ? 春風ちゃん、まだ帰ってきていなかったんですか」


    だが、部屋に入ってきたのは母親の春音であった。







                                    白銀の魔法使い外伝 春の風が吹く丘で


                                        第五話「待ち焦がれて」


                                          始まります






「んーそこまで心配することもないと思いますよ? 最近が少し早かったくらいですから」

「そうなんですか……」


    帰宅の遅い春風のことを心配し、春音に話してみるが特に心配はいらないとのこと。

    しかし、いつも通りと言われてもネリネは浮かない表情のままだ。

    何処となく不安が拭い去れないらしい。

    それを見た春音は苦笑してネリネの頭に手を置いた。


「なら……お迎えに行ってくださいますか? シアちゃんと一緒だったら平気ですよね?」

「え……あ、はい!」


    春音の提案を聞いて、ネリネの表情が先程までとは違い明るくなる。


「たぶん、桜ノ丘にいると思いますから」

「桜ノ丘に?」

「はい……まあ、私にはどうすることも出来ないですから……」

「?……えっと?」

「ああ、独り言です。聞き流しちゃってください。
 ……それではシアちゃんを呼んできますから、ネリネちゃんは玄関に向かっていてくださいね」


    一瞬、表情を曇らした春音に疑問符を浮かべるが直ぐに元の表情に戻っていた。

    珍しいと思いながらもネリネはそれ以上聞くことはせず、とりあえず言われた通り玄関に向かう。

    廊下を歩きながら先程の春音のことを思い出す。

    何処となく聞いて欲しくないような雰囲気を纏っていた春音。

    悔しそうな。それでいて辛そうな表情をしていたように思う。

    ――何かあったのだろうか?

    気になる。しかし、たとえ聞いたとして答えてくれるとは思えない。

    それに興味本位で聞くべきことではないことはまだ子どものネリネにも分かる。


「(部外者の私が聞いていいことではないですよね……)」


    何処か寂しい気持ちになりながらもネリネは頭を振って考えをかき消す。

    と、考え込んでいる間に玄関までたどり着いていたようだ。

    目の前には見覚えのある強大な木の扉。そこには既にシアの姿があった。

    退屈そうに扉に寄りかかっている。その姿に思わずネリネは笑みがこぼれた。


「シアちゃん、ごめんなさい。遅れました」


    とりあえず謝りながら早足で駆け寄る。

    するとシアは満面の笑みで迎えてくれた。

    退屈から開放されるのが余程、嬉しいようである。


「そんな、謝らなくていいよー。早速、春ちゃんを迎えに行きましょうッス!」

「はい、裏口から参りましょうか」


    シアと共に家の裏手に向かい勝手口から丘に繋がる階段を上る。

    冬の寒さは厳しく思わず体を震わしてしまうがそんな中であっても、
    頂上の山桜は満開に咲き誇っており未だ慣れないがその美しさにネリネはため息を吐く。

    それに何故だか分からないが桜の下に行くと、少しだが体調も良くなるのだ。

    流石に駆け上がるのは無理だが、風景を楽しみながら上ることは出来るので辛くはなかった。


「あ、手繋ぐの……」

「え? あ、大丈夫ですよシアちゃん。今は全然、辛くないですし」


    むしろ体調は良好。

    体を気にせず歩き回れるのは嬉しかった。

    そして階段を上り続けること数分。ようやく頂上までたどり着く。


「よーし、春ちゃんは何処かな」

「えっと……」


    辺りをぐるりと見渡す。

    すると丁度、桜の木の真下に人の姿があった。

    隣にはランドセルのような物が置いてある。

    目を凝らしてよく見てみれば、それは春音の言った通り本当に春風だった。

    しかし、何処か様子がおかしい。木に手をついたまま微動だにしない。

    首をかしげて、ネリネはそっと近づいていく。シアも何かに気がついたのか大声で呼んだりはしなかった。

    と、距離がある程度縮まったときネリネは春風が何か言っていることに気がつく。

    気になって立ち止まり耳を澄ましてみる。小さくはあったがある一言がはっきりと聞こえた。


「……お兄ちゃぁん」


    泣き声だった。

    ネリネは、思わず近くにあった木の陰に隠れる。

    今は近寄るべきではないと思った。

    それはシアも同様なのか、同じように隠れていた。


「春ちゃん……泣いてたよね、ネリネちゃん」

「は、はい……お兄ちゃんって」


    春風の呟きが気になった。

    お兄ちゃん、と言っていたが今まで誰かをそう呼ぶ姿を見たことがない。

    将斗も兄のようなものらしいが呼び方が違う。泣くようなことがあるとは思えなかった。

    と言う事はつまり……


「春風には兄ちゃんがいるんだ」

「っ!?」


    いきなり背後から声をかけられ驚いて振り返るネリネ。

    そこに居たのは、何と水上将斗であった。


「ど、どうして……水上くんがここに?」

「家に行ったら春風がまだ帰ってないって言われてな。ここだと思って来てみたんだが……。まあ、案の定か」


    ため息を吐きながら春風を見つめている将斗。

    伊達に長い付き合いではないらしい。幼馴染の居場所など簡単に分かるようだ。


「でも、春風ちゃんにお兄ちゃんが居るなんて始めて知りました……」

「ああ、わざと話題にするの避けてたんだろ。今、居ないから」

「……え?」

「あ、死んだとかじゃないぞ? 事情があってしばらく帰ってこれないらしい」


    苦笑しながらそう言う将斗にネリネは安堵する。

    今の言い回しだとお約束過ぎるとはいえそう言う意味かと一瞬思ってしまったのだ。

    そんな自分に少し自己嫌悪してしまう。

    と、言い終わると直ぐに後ろを振り向く将斗。ネリネは何をするのか後を目で追った。


「さて、と。それじゃちょっと俺、アイツのところ行ってくるわ」

「え? で、でも……」


    その一言にネリネは戸惑った。

    今の春風に話しかけるのは逆効果ではないか、と。

    ただでさえ泣いているという状況で自分やシアですら話しかけずらいのだ。

    将斗には悪いが正直、ネリネにはどうにか出来るとは思えなかった。


「水上くんが行っても……それよりもそっとしておいた方が」


    と、突然、将斗はネリネに向かって人差し指を向ける。

    将斗のネリネを見る目は少し怒っていた。


「どうにか出来る自信がある。お前らが行ったところで
 どうにも出来ないことでも俺になら出来る。残念だが付き合いの長さが違うんだ」


    ネリネは頭を殴られたような気がした。

    そうだ、自分はまだ春風に出会って数日しか経っていないのだ。

    だと言うのに将斗と自分を同じ尺度で計るなどおこがましいにも程がある。

    今まで情けない姿ばかりさらしていた将斗を少し侮っていたのかもしれない。

    自己嫌悪でネリネは表情が暗くなる。

    それに気がついたのか将斗はバツの悪そうな顔をするといつもの雰囲気に戻った。


「……すまん、言いすぎた。だが、まあ。どうにかして見せるさ。アイツ、泣きはじめると面倒だから、な」


    ぽん、と将斗は安心させるかのようにネリネとシアの頭を叩くと笑顔で春風の元に歩いていく。

    その後姿を見てネリネは何となく思ったことを呟く。


「水上くんって……春風ちゃんのこと、好きなんじゃ」

「……いつも嬉しそうに春風ちゃんのこと話してるから……たぶん」


    シアも同じように思ったのか同意して頷くと気になるのか春風と将斗二人の方に目を向ける。

    釣られるようにネリネも二人の様子を眺めるのであった。





    …





「よう」

「……しょーくん?」


    春風は後ろから聞こえてきた声に振り返った。

    声で誰かは分かっていた。案の定、そこにはそっけない顔をした将斗の姿が。

    将斗は、何を思ったか春風にハンカチを差し出してきた。

    何故、ハンカチを渡されたのか一度、首を傾げてはっとなる。

    顔に手をやると頬が涙で濡れていた。今の今まで泣いていたのだから当たり前ではあるが。

    とりあえずハンカチを受け取って、顔を背けると涙を拭く。


「な、何で、ここにいるのよぉ」


    泣き顔を見られたことが恥ずかしかったのだろうか。強がりを言って誤魔化そうとする春風。

    声は震えていて説得力の欠片もなかったが。


「何でって……お前がここにいるって思ったからだよ」

「しょーくん……ストーカー?」

「お、お前なぁ……わざわざ慰めに来てやったのにそれはないだろ」

「そ、そんなの必要もないもん!」


    嘘だ。

    本当は、隣にいてほしかった。


「……お前はホント、裕里がいないとダメだな」

「うぐっ……そ、そんなことないもん!」


    だが誰でも言いというわけじゃない。たった一人の兄に。

    春風自身、その考えが依存しすぎていることは子どもながらに理解していた。

    しかし、頭では分かっていても心が依存することを望んでしまうのだ。


「全く、そこがお前の悪い癖だ。もう少し他の人に頼ろうって考えないのかよ?」

「むむぅ……」


    そう言われると言葉に詰まってしまう。

    ただ、裕里以外の人に頼ったりするのが苦手なだけなのだ。

    それは自分の両親に関しても同じ。何となく春風がいつも頼ろうと考えるのは兄であった。

    正確に言えばどうすればいいか分からないのである。

    兄に頼ればいつでも何処にいても助けてくれたから。兄はいつでも守ってくれたから。

    どんなことでも聞いてくれる兄にいたずら心でつい困るようなお願いをしたことも少なくはなかった。

    難しい顔をして悩み始める春風だったがふと将斗が苦笑していることに気がつく。

    不機嫌そうにして睨むと将斗が後ろを指差した。


「とりあえずな、お前が泣いてると心配して居ても立ってもいられない奴らがいるんだよ」


    何のことか分からずに将斗の後ろをよく見てみれば、
    そこにはシアとネリネが木の陰に隠れながら心配そうにこちらを覗いているではないか。

    体はほとんど木からはみ出していて隠れている意味は無かったが。


「泣くなとかは言わないけどな。もう少し頼ってもいいと思うぞ」

「……」


    そんな二人の姿に春風は自分の顔が自然と笑顔になっていることが分かる。

    まだ友達になって数日しか経っていないのにも
    関わらず自分を心配してくれる存在がいることがたまらなく嬉しかった。

    心配をかけたことは申し訳なく思う。

    しかし、それよりも二人に元気な顔を見せたいと思う気持ちの方が大きかった。


「……私、ちょっと二人のところ行ってくる」

「おう、行って来い」


    春風は二人の下に行くことに決めると、
    片手を挙げて返事をする将斗を見てから少し顔を赤らめてそっぽを向く。

    だが、心配してくれたもう一人に何も言わないのはダメだと思ったから。


「……ありがと、しょーくん」

「っ!? お、おう……しゅ、殊勝な心掛けじゃないか」


    礼を言うことなど殆ど無いため、面と向かうのは恥ずかしいようだ。

    将斗もまさか言われると思っていなかったのか目を丸くしている。

    その姿に笑ってしまいそうになるが、
    ぐっと堪えると春風はとりあえず恥ずかしさを紛らわすため二人の元へ走り出した。





    …





「さぁ、着いたよ」


    その頃、聖人たちはとある教会にきていた。

    後ろにいる神王と魔王に目配せすると聖人は教会の裏手に向かって歩いていく。

    古びた鉄格子の扉を抜けるとそこは墓地だった。

    中に足を踏み入れ、進んでいくととある場所で立ち止まる。


「……ここだよ。この二つ」

「……」

「……」


    目の前には二つの墓標があった。

    聖人は屈んで埃が被った部分を払うとこの季節には似つかわしくない秋桜の花を供えて目を閉じる。

    神王と魔王は先程からその墓標をじっと見つめたままだ。


「……クリスくんと美風ちゃんが死んじゃうなんてね。今でも信じられないよ」

「おぅ……」


    二人はいつもの雰囲気とは違い、全身から悲しみが見て取れた。

    墓標の下で眠る人物とは親しい間柄であったらしい。それは聖人も同じようであった。


「春風ちゃんはこの二人のことをまだ知らない」

「いつ教えるんだい?」

「うん、そうだね。まだ、先かな。今、言ったところで分からないと思うし」

「だな。それが良いと思うぜ」


    同意するように頷く神王と魔王の言葉を聞いて聖人は目を開くと二人を見る。

    じっと二人を見つめたままなんと言うべきか迷っているようであった。

    しばらくして決心がついたのか口を開いた。


「それにもしかしたら、私も春音ちゃんも怖いのかもしれない……」

「怖いだ?」

「と言うと?」

「……パパ、ママって呼んでくれなくなったらどうしようって」


    一瞬面を食らった表情になる二人であったが少しの間の後、苦笑し始める。

    その様子に首を傾げる聖人。魔王が聖人の肩を叩いた。


「大丈夫だよ。春風ちゃんに限ってそんなことないと思うから」

「そうだぜ。あの嬢ちゃんはまっすぐだからな」

「……うん、そうだね」


    二人の笑顔を見て聖人も笑みを作るともう一度、墓標に目を向けて一言呟いた。


「改めて誓うよ。二人の忘れ形見は、私と……いや、私たち家族が守ってみせる。必ず」










                                  白銀の魔法使い外伝 春の風が吹く丘で


                                        第五話「待ち焦がれて」完










あとがき


はい、第五話ようやく終わりました。

本編に比べて短い気もしますがどうかお許しをw


さて、今回はどうでしたでしょうか?

こちらはあまり連続で書いていないので少々苦労したのですが、前よりはマシかなと思っているところです。

書き方とか色んな意味でもw

お兄ちゃん、いつ帰ってくるんだろうなぁw


それでは次は本編の方でお会いしましょう。
メンテ
Re: 白銀の魔法使い ( No.63 )
日時: 2010/05/11 23:32:19
名前: ふぁんふぁ 




「まさか拉致されるなんて。あの子も人騒がせねー」

「私たちもまさかの事態ですから……」


    ここは、ハラオウン宅のリビング。

    そこでは、美月とリンディ、クロノが向かい合って会議を開いていた。

    議題は色々あったようだが現在は数時間前の戦闘中に行方不明になった魔導師について。

    敵に連れ去られた可能性が高いという見解で今のところ全員一致してた。

    しかし、深刻な表情をしているリンディとクロノと対照的に美月はあっけらかんとしている。

    クロノはその姿を疑問に思ったのか、疑うような眼差しを向けた。


「……そんな、のほほんとしていていいのですか?」

「うーん、焦ったって自体は変わらないし。それに、あの子は何となく状況に適応しちゃうタイプだから大丈夫でしょ」

「……」


    信頼しているのか放任しているのか良く分からない回答に美月の意図が分からずクロノは無言のまま見つめる。

    それを意に介していないのか美月は、勝手にキッチンから急須と湯飲みを持ってくるとお茶を注いで啜り始めた。

    他にも問題が山積みでさらに厄介ごとが増え、
    正直、気が狂いそうであるというのに目の前で繰り広げられるのは呑気な光景。

    沸々と腹の底から怒りが込み上げて来るのは仕方のないことであった。

    だが、そんな心境でもクロノがマイペースな美月に怒りをぶつけないのはそれなりの理由がある。

    それは、つい先程リンディに念話で告げられた一言があったからだった。


「(名前が出るたび手が震えている、か)」


    よく見ていれば美月は表面上はいつも通りに見えるが挙動不審だったり忙しなく手が動いていたりと落ち着きがない。

    今も、飲み終わって新しくお茶を注いだは良いが
    間違えて並々と注いでしまったらしく恐る恐る湯飲みを持ち上げてゆっくりと口を付けている。

    ……いつもの美月ならばマイペースだとしても内面を見せることは絶対にない。

    見ようとしても、探らせるような隙すら与えてはくれなかったのだ。

    が、今回は考えが駄々漏れで強がっていることが直ぐに分かった。

    それは行動にも現れており、お茶のこともそうだが一つ一つの動作に何処か余裕がない。

    いつもの振る舞いが出来なくなるほど美月にとって大切な存在と言うことなのだろう。

    まあ、家族なのだから仕方ないといえば仕方ないのだが。

    クロノはそんな素直でない姿に内心苦笑しながら、
    自身も美月がらしくない動揺をするほどの原因を作った仲間の無事を願った。








                             魔法少女リリカルなのは白銀の光をもたらす者



                                第十二話「そして拉致られた……」



                                        始まります







「うぅ、あ、赤い……三倍速が……むぐぐ……はっ!」


    夢にうなされ裕里が目を覚ますとベットに寝ていた。

    窓から差し込む光を見る限りどうやら時間帯は早朝。

    むくりと起き上がり辺りを見渡してみるがどうやら知らない場所らしい。

    高町家や天城家の部屋とは違う造りで、もちろんアースラや本局のような機械的な物でもない。

    今は部屋に裕里以外、誰も居ないが物は綺麗に整頓されており持ち主の小忠実さが見て取れた。

    しかし、分からない。いつの間にこんな部屋に移動したのか。

    裕里は首を捻りつつ自分に何が起こったのか思い返してみる。


「(そう言えば戦ってたような気が……それから……んー?)」


    新たなデバイスを受け取り戦いに出たこと。

    桁違いの強さを持ったウイルスに苦戦したこと。

    すももと撫子が援軍に来てくれたこと。

    そしてウイルスを倒した後、なのはたちの下に向かう際、
    前を見ていなかった為に皆とはぐれてしまい、丁度そんな時に突っ込んできた赤い服の少女のこと。

    ……少し思い出した。

    鬼の形相で少女が振りかぶる小さなハンマー。それを避けようとして……それからの記憶がない。

    だが、とりあえず自分がどう言う状況かだけは理解出来た。何故なら、裕里はその少女のことを知っていたから。

    つまるところ、拉致されているのだ。

    拘束はされていないが神経を研ぎ澄ませて見れば部屋に何らかの結界が張ってるのが分かる。

    それに何処と無く部屋の造りが似ている気がしないでもない。


「……ここってもしかして、はやてちゃんのお家?」

「そうだ」

「ほぁ!?」


    自分の呟きに対するまさかの返答に驚いて裕里は思わずベットから飛び退く。

    恐る恐る部屋の隅を見てみれば、そこには一人の女性が佇んでいた。

    腕を組んで壁に寄りかかりながらこちらを見ている。

    凛とした姿と真っ直ぐな視線からは揺ぎない信念と自信が感じられた。

    それに、よく見てみれば右手に大きな片刃の剣を携えているではないか。

    恐らくそれが彼女のデバイスなのだろう。

    隠そうともしない魔力を感じれば女性が魔導師であることは直ぐに分かる。

    後、多少の心得はあるため挙動と雰囲気から彼女が剣士であり、相当の手練れであることも分かった。

    今の自分の腕ではまともに戦ったらまず勝ち目はないということも。


「一度、会ったことがあるな。覚えているか?」

「あ……はい。えっと確か……シグナムさんでしたっけ?」

「そうだ」


    そこでようやく思い出す。

    その女性。ヴィータと同じ日にはやてを通じて銭湯で会っている。

    はやてを抱えていた女性だ。自己紹介もされたのだから名前も忘れていなかった。


「しかし、まさかあの時の少年が管理局の魔導師とは」

「別に管理局の魔導師じゃないんですけど……まあ、いいです」


    状況が状況だったため、どうやら少し勘違いされているようだが、
    今は何を言ったところで信用してもらえるとは思えない。

    だが、こんな状況でも裕里は何処か落ち着くことが出来ていた。

    捕まるなど初めての経験であったが、
    明確な敵意や殺意を向けられているわけでもないので自然と危機感や恐怖感は沸いてこなかった。


「さて、君は今、自分自身がどう言う状況か理解しているか?」

「はい、何となくですけど……つまり、拉致?」

「……言い方は悪いがそうなるな」


    面倒くさそうにため息を吐くシグナムに裕里は拉致が意図した物ではないことは分かった。

    仕方なく連れてきたと言うような感じである。

    恐らくヴィータが大きく関係しているのであろう。何となくそう思えて仕方なかった。


「家に帰してはくれないんです……よね?」

「ああ、我らのことを知られた以上、君を帰すわけにはいかないな。諦めてくれ」


    一応、聞いてみるが返答は思っていた通りのものであった。

    まあ、当たり前だが。眠っている間に本拠地まで連れてきた敵を家に帰すなど普通はしない。

    ただ、自分の置かれている状況の再確認が出来ただけでも良かったのかもしれない。そして、すぐさま結論も出た。

    『どうしようもない』

    それだけである。そも、逃げることなど出来ないであろう。胸元を確認してみればデバイスもない。

    これなら抵抗するのも馬鹿げているし、素直に捕まっておくのが賢い選択である。

    しかし、どうしたものか。現状でたった一つだけ問題があった。

    裕里自身、それに逆らえるはずもなく。実は体が既に限界寸前という始末。

    だが、言いづらい。とても言いづらい。恥ずかしいので言いづらい。が、言わないわけにもいかない。

    我慢出来そうにない。なので、とりあえず目の前のシグナムに心の内を伝えてみることにした。


「お腹……空きました」

「……な、何?」


    冗談抜きで深刻な問題であった。

    恥ずかしいので腹が鳴らないように息を止め続けているが辛いことに代わりはない。

    食は体の基本なのだ。まだ育ち盛りの子どもにとっては重要なことなのである。

    しかし、敵に食べ物を恵んでくれるのだろうか。そこが今のところ唯一の心配事であった。

    と、シグナムはしばらくの間、呆気にとられたように無言で裕里を見つめていたが一変。

    大声とまでは行かないまでも笑い始めた。

    突然の出来事に裕里は何故、笑っているのか理由が分からずに首を傾げる。


「ああ、いや、すまない。……主やシャマルに聞いていた通りの性格のようだ」

「……はい?」

「ふっ、何でもない。では、そろそろ朝食の時間だ。リビングに連れて行こう」

「へ?」


    一瞬、唖然とする。

    まさかの一言に驚いたからだ。

    監禁生活でも送ることになるのかと覚悟していたがまさか部屋の外に出ることが出来るとは。

    逃げたりすると事態がややこしくなりそうなので今のところ何も計画はしていないが、
    シグナムのような真面目そうなタイプの人間がそれを許すとは思っていなかっため意外だった。

    その考えを読み取ったのかシグナムは裕里の顔を見て、


「別に君を信じた訳ではない。私は、ただ主と仲間を信じているだけだ」


    それだけ言うとシグナムは背を向け扉を開くと部屋を後にする。

    裕里はとりあえずシグナムの後に続こうと、慌てて廊下に出た。

    そこまで来れば、既に前遊びに来た時に一度見た風景であったので見覚えのある風景に少し安心した。


「(そうだ。一つ言い忘れたことがある)」

「(はい?)」

「(主は私たち守護騎士が蒐集していることを知らない。絶対に言わないでくれ。主が心配する)」

「(……分かりました)」


    念話でそう伝えてきたシグナムに裕里は頷く。

    本人が知らないのならば余計なことに巻き込みたくはない。

    少し強引だがはやてを使い守護騎士もろとも捕まえると言う方法も思い浮かばないこともなかった。

    はやての事だ。真実を伝えれば自ら捕まることを望むだろう。

    それに闇の書の主ははやてなのだ。守護騎士達も主の命令には逆らえないはずである。

    だが、それだとはやてが辛い思いをするのは
    目に見えているし何よりシグナムたちを裏切るような選択肢を選びたくはなかった。

    裕里自身、己の考えが甘いことなど百も承知だった。

    伝えればこれから増えるかもしれない犠牲も減るかもしれないのだから。

    しかし、まだ九歳の子どもにも譲れないものくらいある。

    自己満足かもしれないが、それでも言わないと心に決めた。


「さて、とりあえず着いたんだが……後は君に任せた」

「え?」


    気がつけば既にリビングの扉の前まで着いていた。

    と、シグナムはリビングへの扉を開きながらポツリとそう呟く。

    すると突然、裕里の背後に回り込み突き飛ばした。

    そのままの勢いで裕里はリビングに。

    全く反応できなかった裕里は倒れそうになる体を何とか持ち直して立ち止まった。

    ……同時に何処からか、突き刺さるような視線を感じる。ついでに隠す気が全く感じられない殺気も。

    ゆっくりと頭を上げる。

    そこに居たのは記憶の最後に出てきた少女、ヴィータ。

    その視線はナイフのように鋭く、顔はあの時と同じで鬼のような形相。

    顔を真っ赤にしたまま、裕里の前に歩いてくると仁王立ち。

    冷や汗を掻く裕里。


「お前ぇ……よくもアタシの前に顔を出せたもんだなぁ!」

「あ、赤い三倍速……」

「変な呼び方すんなぁ!」

「ご、ごめんなさいぃ!」


    少しトラウマにでもなっているのか裕里はヴィータの勢いに飲まれて後ずさる。

    絶対絶命かと思われた裕里であったが、そんな二人の間を遮る存在がいた。

    ヴィータもその姿を見止めると先程までとは一転、表情が和らぐ。

    キコキコと車椅子の音を鳴らせ現れたのは、はやてであった。

    はやては裕里の顔を見るとのほほんと微笑んだ。


「裕里くん、今日は朝から遊びに来てくれたん?」

「え……あ、うん」


    その満面の笑みに違うと言えるはずもなく裕里は一応、頷いておいた。

    はやては裕里が家に居たことを知らないらしい。

    後ろにいるシグナムに視線を向けると苦笑している。どうやらその通りのようだ。


「朝、私が散歩をしていた最中に偶然、お会いしたのです。それで、そのままお連れしました」

「そうなんか、嬉しいわ〜」

「そ、そう言ってくれると僕も嬉しいな。うん!」


    一片の疑いもない表情に多少の罪悪感を感じながら、裕里は笑顔を作りシグナムの話に合わせる。

    とりあえずこの問題は凌ぐことが出来たらしい。

    しかし……


「……後、ヴィータはお客さんに失礼なこと言うたから今日のおやつは抜きや」

「なぁ!?……後でボコる」

「な、何で僕の方、向いて言うの?」


    生死に関わりそうな問題に関しては未だ解決の糸口を見出すことが出来ていないようである。

    何でそこまで恨まれているのか未だに裕里には理由が分からないが聞き出す勇気などもちろんなかった。


「あ、そうや。裕里くん学校はぁ?」

「えっ!?」


    そう言えば、と不思議そうに首を傾げるはやて。

    今日は平日。時間帯も既に裕里ぐらいの子どもなら学校に行きはじめる頃だ。

    だが、行くことは出来ない。今は拉致されているのだ。学校に行くことなど無理だろう。

    しかも、これからしばらくは、はやての家に住むことになるのだ。

    ゆっくりとシグナムの方を向く。が、シグナムは申し訳なさそうな表情を浮かべるだけで言葉を発しない。

    自分が変に口を挟むのは危険と判断したらしい。

    そしてここに連れてこられる原因を作った、
    ヴィータにいたっては、殺気のこもったガンを飛ばしてくるだけだ。論外である。

    ――ならば仕方ない。

    裕里は多少、顔を引きつらせながら即席で適当な理由を考え始める。

    今はその場凌ぎの理由で誤魔化すしかないと判断した為であった。


「し、しばらくお休みすることになってるから、うん。あ、あと実は家の水道管が破裂して改築中でえーと……あ!
 か、家族も用事でしばらく帰ってこないんだー。だ、だからー」

「じゃあ、ウチに泊まっていけばいいんよ」

「えっ!? い、いいの!?」


    まさかのはやての返答。

    どうにか伝えようと思っていたこととは言えこんなに話しが、
    上手く進んでいいのだろうかと裕里は思わず驚きの声を上げてしまう。それに気がついて慌てて口を塞いだ。

    はやては慣れた手つきで車椅子を反転させ裕里と向かい合うとゆっくりとした動作で手を握った。


「言いたくないならいわなくて、ええんよ?」

「え?」

「困った時はお互い様や。気にせんでええよ。ただ、いつか話してくれると嬉しいなぁ」

「うん……ありがと」


    どうやら隠し事をしていると言うことは既にバレているらしい。

    あれだけ慌てながら話していればそれも仕方ないことだろうが。

    だが、それでもあえて深くは聞いてきたりはしないはやて。

    その優しさと握ってくれる手の暖かさに裕里は少し頬を赤くしながら笑顔を浮かべるのであった。




    …




「はぁ……」


    美月は何度目になるか分からないため息を吐く。

    つい、先程までリンディ、クロノと会議をしていたのだが
    落ち着いていないことは理解してていた為、早々に切り上げた帰ってきた所であった。

    テーブルに肘をついて手に顎を乗せて辺りを見渡せばキッチンにヘルメス、リビングには純一とさくらの姿が。

    だが、三人とも話しかけてくる様子は無い。

    リンディたちもそうだが何処と無く気を使ってくれているようで美月は己の不甲斐無さに落ち込んでしまう。


「相当、ショックを受けてる見たいですね」

「そんなこと無い」


    ヘルメスがエプロンで手を拭きながら心配そうに美月の隣に腰掛けた。

    が、声を掛けてくれたヘルメスに思わず素っ気無い返事を返してしまう。

    それに気がついて、美月はバツの悪そうな表情を浮かべるとヘルメスに頭を下げた。

    八つ当たり気味になってしまったことを悔いる。


「ごめんね……」

「いえ、気にしてはいません。ただ、純一とさくらに心配を掛けさせるのは如何なものかと」

「……うん」


    そう、指摘され美月は素直に頷く。

    大の大人が子どもに気を使わせるなど恥ずかしいことだと分かっているからだ。

    それに心配なのは誰でも同じなのだ。自分だけではない。

    行方不明だと分かったときの皆の取り乱しようは凄かった。

    特に寸前まで裕里と共に居たすもも達は見ていられないくらい落ち込んでいたほどである。

    ……少し、不謹慎かもしれないが美月はそんなに心配してくれる人達がいる孫息子のことを嬉しく思った。


「さて、美月さん」

「え? ああ、何?」

「実は話しておきたいことがあります。最初は貴女にだけ」


    突然改まった様子のヘルメスに疑問符を浮かべながら美月は耳を傾けることにする。

    しばらく難しい顔をしたまま無言であったが、ヘルメスは意を決したように言った。


「今回の事件……ウイルスに関してですが、実は我らは……最初から首謀者が誰か知っているのです」

「……何ですって?」


    美月は思わず目を見開く。

    ――首謀者を知っている。

    まさかの発言に驚かずには居られなかった。

    『我ら』とは恐らくパラケルススたちを指すのであろうが……。

    とりあえずちゃんと話を聞く為、きちんと座り直す。


「元々、我らはある目的の為に過去に来ました」

「あれ……目的って裕里くんたちの抹殺とかじゃなかった?」

「本気であれば、既に全員殺しています。
 狙う機会など幾らでもありましたし。その気になれば人質を取る事だって出来たわけですから」


    確かにそうだ。

    本気で殺すことが目的であれば手段など選んだりはしないだろう。

    美月自身、おかしいと考えたことが無かった訳ではない。

    面倒だった為、深くは考えなかったがその気になれば軽くやってしまえるだろう。

    その力の片鱗を目の当たりにすれば直ぐに分かることであった。


「話を戻します。……私達がこの世界に来たのは、ある存在を葬り去る為でした」

「ある存在?」

「はい……我らが忌み嫌う存在です」


    苦々しい表情を浮かべるヘルメスに美月は、確かな憎悪を感じる。

    それ以外に感じ取れる感情は無かった。

    しかし、露骨に感情を見せるヘルメスに余程のことがあったのだと推測出来る。

    それ程までの存在……直感的に美月は厄介な存在なのだと認識した。


「そして最近の異常な能力のウイルスはその者が放った存在なのです」

「なるほど……」

「元より、ウイルスは作られた世界以外では弱体化するのです。それは我らも同様に」

「もしかして……魔力が合わない?」

「我らは高密度の魔力から生まれた存在です。そのせいか微妙に魔力の質が違うだけで能力が急激に下がります。
 特に密度が高い上位の存在ほど。しかし、奴なら能力をある程度戻す術式を持っていたとしても不思議ではありません」


    改めて美月はヘルメスが人間とは違うのだと再確認する。

    見た目は全く人間と変わらないが、死んでしまえば死体は残らず魔力の霧となって散るのだ。

    何体も消え行くウイルスを見てきたからこそ分かる。

    それに能力が下がっているという事実も驚きであった。

    あれで全力では無いとなると……。

    裕里たちが今まで勝ち続けることが出来たのは、色々な要因が重なったからこそだったのだ。


「……何者?」


    思わず美月は名を尋ねる。何故か心のざわつきを抑えられなかった。

    ヘルメスは、一度目を瞑るとそのまま吐き出すようにゆっくりと言葉を発した。


「名をサトゥルヌス。最も最初に生み出されたウイルスであり
 最もウイルスを支配することに長けた災厄と言われたウイルスです」

「サトゥルヌス……」


    理由は分からないが……美月はその名を聞いたと同時に体中に悪寒が走ったことに戸惑いを隠せなかった。










                            魔法少女リリカルなのは 白銀の光をもたらす者




                               第十二話「そして拉致られた……」完









あとがき


はい、第十二話書き終わりました。

一ヶ月もかかるとは……ダメですね、もっとちゃんとしないと。

さて、今回はタイトルの通り拉致された
裕里くんとウイルスの新たな事実などなど色々ありました。

と言っても文量的には少ないんですがw

う〜む、色々急展開になっていく予定なので頑張っていきますw


それでは、読んでいただきありがとうございました。

次は、このまま本編の方を書きたいと思います。
メンテ
Re: 白銀の魔法使い と 錬金術士 ( No.64 )
日時: 2010/05/29 19:02:40
名前: ふぁんふぁ 





    錬金術。

    大した価値の無い卑金属を金に変えるという夢のような術。

    さらに、それだけではなく様々な物質や人の体、魂をも対象とした。

    何人もの錬金術士が生まれ、より高い次元の錬成を目指しあったのだ。

    しかし、その術が成功したという記録は無い。

    誰もが目指し、しかし生涯、完全に成功することはなかった。

    錬金術の頂点「賢者の石」を作ったと言う人物もいるが恐らく御伽噺であろう。

    そもそも、そんな魔法のような力は科学的に見てもありえないのだ。

    それでも、錬金術が現代の科学に大きく貢献したことはいうまでもない。

    だが、それはこの世界での話し。もし、別の世界があるとすれば完成した錬金術もありえるかもしれないのだ……。

    『少しでも可能性があるなら絶対に諦めない』

    これはその一言から始まる、とある錬金術士のお話である。










                                閃光の魔法使いと錬金術士


                                 プロローグ「旅立ち?」








    ここはとある、錬金術士の工房。

    部屋の中心では、巨大な釜ぐつぐつ煮えたぎっており部屋のあちこちには
    大量の書物と何に使うのかよく分からないオブジェやら壷やら植物やらが散乱している。

    物が多すぎて足の踏み場なんてない。そも、人が住めるような場所とは到底、思えなかった。

    一瞬、見ただけでは物置としか思われないだろう。部屋の主はどうやら片付けられない性格のようだ。

    そんなごちゃごちゃした部屋の中心で、一人の少女が試験管を両手に持ち難しい顔をして交互に見比べていた。

    しばし悩むと、試験管を試験管立に置いて部屋の棚に、
    手を伸ばし異様な色をした液体の入ったビンを一つ二つ取り出す。

    そして、ビンのコルクを抜くと液体を躊躇うことなく釜の中に全て入れててかき混ぜる。

    そんな作業を、少女は淡々と繰り返していた。


「ううーん……素材がギリギリー。後で取りに行かなきゃ」


    しなやかに流れる漆黒の髪に、翡翠の瞳。

    だが、時折、見せるあどけない表情を見れば綺麗と言うよりも可愛らしく写る。

    そんな少女の名は、ハルトムート・ベルン。愛称は、ハル。男のような名前だがれっきとした女性である。

    年齢はまだ十三歳と若いが、この工房の店主だ。

    残念ながら家族は既になく、一人で先祖代々受け継ぐ工房を守るべく日夜寄せられる依頼を
    真面目にこなし切り盛りしている立派な少女だった。

    しかし、ハルにはとある問題があった。

    腕はある。能力もある。むしろ天才と言われてもおかしくはない。

    インスピレーションだけである程度の物なら錬成してしまうほどなのだ。

    でも、そんな少女のことを知る人たちは大抵が爆笑しながらこう呼ぶ。

    『歴代最強の爆弾魔』と。

    よく失敗しては釜を爆発させてしまい、いつも工房を煤だらけにしていることからこのあだ名が付けられた。

    不名誉なあだ名だが、本人はそう呼ばれていることを知るよしはなく、健気に働いているのだ。


「あ……晩御飯、今日はなんにしようかな」


    この少女、根は真面目で働き者なのだが可哀想なことにあまりにも集中力がなさ過ぎるのである。

    今も釜をかき混ぜながら別のことを考え始める始末。

    さらに、本人は自覚していないが天然ボケと救いようがなかった。

    そして、今日も例外はなくミスをする。


「ご飯……そうだ、食材確認してこよう」


    何を思ったかハルは、突然、釜を放り出すとドアに向かって歩き始める。

    それは日常茶飯事のことだった。

    錬金術士としては製作中に釜を離れるなど致命的である。

    それでも今までは何とかやってこれたのだ。

    そう、今までは。

    ……今回ばかりはそうもいかなかった。


「ひゃあ!」


    足元を見ていなかった少女は床に転がっていたビンに足を捕られる。

    そのまま、後ろに倒れこみ机に激突。

    その拍子に机の上に置いてあった試験管が飛び上がると何とも絶妙な軌道で宙を舞い――釜にダイブした。

    途端に釜は、ガタガタ震えだし、煮えたぎる液体は発光しはじめる。


「痛たたた……おしり打ったー」


    だが、少女は気づかない。

    痛そうに腰を抑えながら立ち上がると、足を取られたビンを掴み取る。


「やっぱり、片付けないとダメかなぁ……机に置いとこう」


    部屋を見渡し、あまりの散らかりようにため息を吐く。

    そして、とりあえず危ないのでビンを机の上に置こうと後ろを振り返り、固まった。

    今にも噴火しそうな火山の如く。既に限界寸前となっている釜が破裂しそうな勢いで揺れ動いていたのだ。


「またやっちゃったー! ど、どどどーしよう!?」


    少女は慌てて釜に近づくと、腰のホルダーに止めてあった分厚い本を取り出しめくり始めた。

    必死に暴走を止める方法を探しているらしい。

    が、何度も何度もめくっても少女は方法を見つけられない。

    そも、失敗した時の対処方なんて普通は書いてないだろう。

    そうしている間にも光はどんどん強くなる。莫大なエネルギーが渦巻いているのが分かった。

    慌てる少女は、最終的にどうしようもなくなり右往左往。


「そ、そうだ! とりあえず、逃げないと!」


    だが、そう思い立つのが遅かった。

    出口に向かって走り出した瞬間、とうとう釜が耐え切れなくなり大爆発。

    同時に膨大な量の光が瞬時に辺りを飲み込む。

    ――少女は、自分が爆風に吹き飛ばされるのが分かったと同時に意識が途切れた。





    …





「何か……来る?」


    学校から帰宅する途中。

    ふと何かに気がついたかのように少女は、空を見上げる。

    否、気がついたのだ。

    何かは分からないが空に現れる。

    嫌な感じがして少女は、スカートのポケットから三角形のアクセサリーのような物を取り出した。

    少女の名は、フェイト・テスタロッサ。取り出したアクセサリーは相棒のバルディッシュ。

    時空管理局と言われる組織に属する魔導師であり、今までも大きな事件を二つほど体験した若きエースの一人である。

    段々と一点に魔力が濃くなってきているのが分かる。

    フェイトは、他の人間に見られないように瞬時に周囲へ結界を張ると何かが現れるときを待つ。

    魔力は加速的に集まっており、現れるのは時間の問題と思われた。

    しかも、魔力は並みの量ではない。転移魔法にしては強力すぎるとフェイトは判断する。

    一人で対処するのはとても危険かもしれない。

    フェイトは、応援を呼ぶために連絡しようとバルディッシュに命じたようとした――そのときだった。

    急に空が暗転。顔を上げると、空の一点が急激に歪み始める。

    大きく目を見開くフェイト。


「バ、バルディッシュ!」

≪Get set!≫


    突然の変化に戸惑いながら起動を命じた瞬間にさらに空は捻れ、強烈な閃光と共に弾けた。

    舞い散る砂埃と目が眩むような光にフェイトは、目を開けていることが出来ずぎゅっと瞑った。

    そして静寂。フェイトは慎重に目を開いた。


「……これは」


    地面には、大きな穴が開いていた。

    深さはそれほどまでないが、道路のコンクリートを簡単に砕くほどの衝撃。

    フェイトは警戒を解かないまま、バルディッシュを構えて穴に近づく。

    今のところは何の反応もない。だが、何もしない訳にはいかない。何か起こってからでは遅いのだ。

    軽率だと分かってはいたがフェイトは少し覗くだけだと、自分に言い聞かせて恐る恐る中を覗いた。

    途端に唖然とした表情に変わる。何故ならそこに……


「お、女の子?」

「ごめ……にゃしゃい……また、やっちゃっら……」


    目を回して服の所々を煤だらけにした少女が、ぐったりと横たわっていたのだ。

    それに何故だかは分からないがうなされているかのように誰かにずっと謝り続けている。

    フェイトは慌てて、穴に飛び込むと少女を抱き起こした。

    しかし、コンクリートを砕くほどの衝撃を作ったにしては外傷は殆どない。

    少し、服が泥で汚れてしまっているくらいだ。

    ちゃんと医者に診て貰わなければ分からないが……フェイトは安堵の息を吐く。


「それにしても、変わった服装……次元漂流者かな。……エイミィに連絡して、応援を呼んでもらわなきゃ」


    その出で立ちを見てフェイトは即座に理解する。

    この少女は、恐らく何らかの事故に巻き込まれ意図せず別の世界に飛ばされてしまった次元漂流者。

    とりあえず、フェイトは自分一人で色々と判断出来ないため応援を呼ぶことにしたのであった。















あとがき


はい、何だか書いてしまいましたw

思い立ったが吉日とはよく言いますけど、現行も終了していないと言うの私は一体何をやっているのかw


さて、今回は主人公が錬金術士の少女という設定のお話しです。

何処かのアトリエ系ゲームに似てもないような似ているような……でも、クロスではありません。

ただ、アイテムとか素材とかは使うかもしれませんけどね……w

あと、プロローグなので短いですがご容赦ください。

それでは、色々と至らないところはありますが読んでいただいた方、どうか末永くお付き合いくださいませ。
メンテ
Re: 白銀の魔法使い と 錬金術士 ( No.65 )
日時: 2010/05/29 19:07:05
名前: ふぁんふぁ 

(追記:投稿小説の方に載っているものよりもこちらの方が今のところ修正が進んでおりますー)




異世界の男の子が別世界に飛ばされてくると言うよくあるパターンのお話です。

でもその男の子には秘密があって……みたいな感じになっていきます。




第一部 「白銀の魔法使い」(読めますが全話改造中です〜……)

人物・魔法・デバイス>>1

プロローグ>>2

第一話>>3

第二話>>4

第三話>>6

第四話>>8

第五話>>9

第六話>>10

第七話>>11

飛んで第十三話>>18 

さらに飛んでエピローグ>>35←現在ここまで改造中

(こちらは修正前です)

第六話〜第八話>>10-12 
第九話〜第十二話>>14-17
第十四話〜第十八話>>20 >>22-23 >>25-26
第十九話〜エピローグ>>28-35

メンテ
Re: 白銀の魔法使い と 錬金術士 ( No.66 )
日時: 2010/05/29 19:09:33
名前: ふぁんふぁ 

第二部『白銀の光をもたらす者』

前作からの続編となっております。

さらに精進していきたいと思っているのでよろしくお願いします。



人物設定>>38

プロローグ>>39

第一話>>42

第二話>>46

第三話>>49

第四話>>51

第五話>>52

第六話>>53

第七話>>55

第八話>>56

第九話>>57

第十話>>59

第十一話>>60

第十二話>>63

第十三話>>70

メンテ
Re: 白銀の魔法使い と 錬金術士 ( No.67 )
日時: 2010/05/29 19:10:51
名前: ふぁんふぁ 

『白銀の魔法使いクロス 春の風が吹く丘で』

白銀の魔法使いのクロスと言うことで本編の主人公の妹が、今作の主人公となっております。

こちらも是非、読んでいただけると嬉しいです。


人物設定>>40

プロローグ>>41

第一話>>43

第二話>>47

第三話>>50

第四話>>54

第五話>>62


メンテ
Re: 白銀の魔法使い と 錬金術士 ( No.68 )
日時: 2010/05/29 19:27:59
名前: ふぁんふぁ 

『閃光の魔法使いと錬金術士』


勢いと閃きで書いた、新しい二次小説。

こちらの方も読んでいただけたら幸いです。



プロローグ >>64

第一話 >>69

メンテ
Re: 白銀の魔法使い と 錬金術士 ( No.69 )
日時: 2010/06/08 01:19:59
名前: ふぁんふぁ 





    錬金術。

    それは、私の家に先祖代々伝わってきた秘術。

    両親が二人とも錬金術士だったから、物心ついた頃にはもう、錬金術を教えて貰ってた。

    ママとパパが一緒になって教えてくれてたの。

    ……ううん、一緒にじゃなくていつもどちらが教えるかで喧嘩してたっけ。

    あやふやな記憶だから、あんまり思い出せない。

    何故なら私が六歳の時に、二人とも流行り病で死んじゃったから。

    それからは、ずっと一人。

    そう、私はずっと一人で……家にあった錬金術の教本を片っ端から読み漁っていた。

    それしか、やることがなかったから。

    もしかしたら、私はママとパパとの楽しい思い出にしがみついていたかっただけなのかもしれない。






                                 閃光の魔法使いと錬金術士


                                  第一話「錬金少女」






「お腹……減ったよう」


    ハルは、あまりの空腹に腹部をさすりながら目を覚ました。

    いつもならば、朝食はとらない派であるハルも流石に空腹には耐えかねる。

    疑問に思うほどの異常な空腹感に首を傾げながらむくりと起き上がると寝ぼけ眼で、目を擦りながら辺りを見渡した。

    綺麗な部屋だった。大量の本で散らかった自分の部屋とは大違いだ。

    それに見たことのないものが沢山ある。使われている素材も錬金術士として恥ずかしながら全然、分からない。

    そもそも、自分の家とは造りが全く違うではないか。

    ――これは、夢かな。

    ハルは呑気にそう判断すると、もう一度寝なおすためいつもより柔らかい気がするベッドに突っ伏した。

    そのままハルが程よい眠気に身を任せて気持ちよく二度寝を楽しもうとし始めたところで、何かが腕に纏わりつく。

    ほんのり温かくて、やわらくて、時折もぞもぞ動く。

    何事かと薄目を開けて確認してみると……目の前には綺麗な金髪の少女があどけない表情をして
    静かに寝息を立てながら眠っていた。

    まだ幼いが目鼻立ちは整っており、透き通るような白い肌は滑らかだ。

    何となくハルは手を伸ばして、少女の頭を撫でた。

    すると少女は、くすぐったそうに首をすくめる。

    愛らしい仕草に、ハルはよく分からない衝動に駆られて次は頬をつつき始めた。

    マシュマロのように柔らかく、引っ張ったら何処までも伸びそうな頬。

    だが、さすがにやりすぎたのか少女はイヤイヤと首を横に振ると隠れるように頭まで布団を被った。

    凄く精巧に出来た動く人形……寝ぼけた頭がそんな一文を作り出す。

    ……そんな分けなかった。徐々に、ハルの頭は覚醒し始める。

    人間だ。触れたときの温かさは、間違いなく人のものだった。

    ――何故?

    戸惑う、ハル。

    こんな夢はないだろう。感触があまりにもリアルすぎる。つまり、これは現実。

    ならばここは何処なのだろうか? 眠っている間に別の村にでも連れてこられたのだろうか?

    自分の家は、人里離れた場所にあり、周りに他の家なんてない。

    色々な考えがハルの頭をめぐり始めたところで――突如、頭の上方からけたたましいベルの音が鳴り響いた。


「ひゃぁぁぁ! ぐぎゅ!?」


    その音に驚いてハルは大きな悲鳴を上げると飛び上がり、そのままベットから落下。

    盛大な音を立てて後頭部を強打する。あまりの激痛に、声すら出なかった。

    うずくまって頭を抑えながら、半泣きのままハルは何とか立ち上がる。

    今ので完全に目も覚めたらしい。

    同じく隣で眠っていた少女も目を覚ましたらしく、背伸びをしながら起き上がる。

    ふと、目が合った。


「……あ、気がついたんだ。良かった」


    少女は、ハルに向けてふわりと柔らかな笑みを浮かべた。

    邪心のない純粋で綺麗な笑顔。そのあまりの眩しさに思わずハルは、目を逸らしてしまう。

    自分が汚れているとは思っていないが、この少女には敵わないと感じて真っ直ぐ見ていられなくなったのだ。


「私は、フェイト・テスタロッサ……貴女は?」

「ハ、ハルトムート・ベルンです」


    とりあえず、自己紹介する。それ以外に何を話していいのかハルは思いつかなかった。

    自分が置かれている状況が全く分かっていないハルには、軽いジョークなど言う余裕はない。

    少女を見る限り何か犯罪に巻き込まれたりした訳ではないようだが……。

    手がかりはないかと記憶を辿ってみても、自分の失敗が原因で大爆発に巻き込まれたところまでしかない。

    ただ、今回の爆発はいつもに増して酷かったので、ハルには無傷でいる自分が不思議でならなかったが。


「えっと……ここは?」

「私の家です。貴女は気絶して倒れていたんです」

「気絶……」


    気絶と言われて、真っ先に大爆発のことが頭をよぎる。

    大爆発=爆風=宙を舞う。さすがに、それはいくら何でも……と考えたハル自身、内心笑ってしまった。

    ハルが住んでいる森は広大である。

    もし、人がいる場所まで飛んだとしたら、どれくらいの距離を移動したことになるのか。

    現実的に考えてもありえない距離だ。

    もし、本当だとしたらハルにはここが天国だと言い切れる自信があった。


「えと、起きて直ぐですけど、貴女が何処から来たか聞いても良いですか?」

「え?……そ、そのー」


    そう問われて言葉に詰まる。

    なんと言っていいものかハルは迷った……いや、分からなかった。

    自分が住んでいた場所に地名なんてない。

    森は森。悲しいがそれが名前であった。

    ここが何処かも分からない以上、ハルには説明のしようもなかった。

    それにハルにとっては家と森が自分の世界であり、それ以外は行ったことも見たこともない。

    世界地図なんて便利な物は家になかったし、地名もどんな国があるかも殆ど知らないのだ。


「あの……無理しなくていいですから。混乱してると思いますし、纏まってからで大丈夫です」

「……はい、ごめんなさい」


    困っていると、フェイトがそうフォローしてくれる。

    助かったのは言うまでもないが、実際問題何の解決にもなっていない。

    どうするべきかハルが深く悩み始めたところで……何処からか間の抜けた音が辺りに響いた。

    同時にハルの額に汗が伝う。頬は真っ赤に染まっていた。

    つまりは……そう言うことだ。

    鳴ったのは腹の虫。それもハルのお腹ということである。

    残念ながらハルは自分のお腹がなる音を聞かれて、平気でいられるような少女ではない。

    むしろ人と常に接している訳ではないハルにとっては特別、恥ずかしさを感じてしまうのだ。

    しかも、聞かれた相手は初対面。ハルは首まで真っ赤に染め上げてしまっていた。

    だが、そんな羞恥心で心が折れそうになっているときでも生理現象は空気を読んではくれない。

    またも、辺りに音が鳴る。もちろん、ハルのお腹の音が。


「はうあぁ!?」

「あの……朝ご飯、食べますか?」

「……はい」


    フェイトの提案にハルは泣きそうになりながら頷く。

    正直、あまりの恥ずかしさに直ぐにでも走って逃げ出したかったが、今はとりあえずフェイトのご好意に甘えて
    ハルは朝食を食べることにする。

    そのままリビングに連れて行かれると、ハルは目の前の光景に大きく目を見開いた。

    見たことないものが――などというレベルではない。

    ここは本当に家なのかと思うほど沢山並ぶ、よく分からない物体の数々。

    棚や机、ソファならまだ理解できる。しかし、その他諸々が自動で動いているはどう言うことなのだろうか。

    極めつけは、薄くて大きい箱の中で何人もの人が話していることだ。 

    人が入ることが出来る大きさでは、まずないし小人だなんて理由で終らせようなんて思わない。

    しかも、触れてみると素材は木でも鉄でもない不思議な感触。

    徐々にハルは錬金術士としての血が騒ぎ始めるのを抑えられなくなってきていた。

    ――分解したい。

    いくらなんでも勝手に他人の持ち物を分解したりはしないが。


「(それにしても……明らかに文明のレベルが違うよ……)」


    そして、この光景には流石にハルも疑問を持ち始める。

    ハルには、これが自分の世界と同じ文明とは思えなかったのだ。

    錬金術士……物を生み出す職業だからこそ余計にそう思えてならない。

    未来にでも来てしまったのだろうか。

    記憶の終わりは、爆発に巻き込まれたところで終ってしまっている。

    ありえないようなことだが……一概にないとは言い切れない。

    錬金術は無限の可能性を秘めているとハル自身、思っている。

    恐らく、時間を掛けさえすれば錬金術に出来ないものは殆どないと言っても良いだろうから。

    ――しかし、後にその予想が大きく覆されることになるとは、このときのハルには思いもよらなかっただろう。

    しばらく経って、フェイトが出来上がった朝食を運んできた。

    手伝うべきだったと物思いにふけっていたハルは、少し罪悪感に苛まれながら急いで席につく。

    ハムエッグ、トースト、サラダにスープとよくあるメニューだが、ハルは少し感動していた。

    まだ、十三年しか生きてないがその約半分を一人で暮らして来たためずっと料理は一人で作ってきた。

    そのせいか、他の人に作って貰った料理を食べる機会なんて無いに等しく素直に嬉しかったのである。


「どうぞ」

「じゃあ……いただきます!」


    フェイトが笑顔で勧めてくれたため、おずおず手を伸ばすとこんがり美味しそうなきつね色に
    焼きあがっているトーストを取って口に運んだ。

    ゆっくりとハルはトーストの端を少しだけかじる。刹那、ハルはパンを手に持ったまま動きが停止した。

    静止すること数秒。

    フェイトはその不自然な動きに心配して声をかけようとしたところで、突然ハルは手元のフォークを掴み取った。

    ――それからはまるで嵐のようであった。

    それほどの空腹だったのだろうか、まるで高速で動く機械のように食べ進める。

    あまりの速さにフェイトは唖然としながら顔を引きつらせていた。

    だが、そんなことはお構いなし。そも、目に入っていない。まるで、解き放たれた野獣のようだ。

    少しは遠慮くらいしてもいいのではないかと思えるほど一瞬にして皿の上にあった物は
    跡形も無くハルの胃の中に姿を消してしまう。

    食べ終わるとハルは荒く息を吐いて、ナプキンで口元を拭う。


「ご馳走様でした」

「お、お粗末さま……でした」


    怯えた表情のフェイトが哀れである。

    しかし、自分が怯えさせたことなど一切気がついていないハルは、フェイトの変化に気がつくこともなく
    用意されていたオレンジジュースをゆっくり飲み干していた。


「え、えと……そ、そろそろお話しを」

「へ? あ……そうでした」


    気を取り直して、先程の続きを話すことに。

    ハルは、飲み終えたコップをテーブルの上に置いてフェイトに視線を向けた。

    それを合図に、フェイトは真剣な面持ちでこう切り出してきた。


「唐突ですけど……貴女は、もし今いるこの場所が異世界だと言ったら、信じますか?」

「え?……ま、まあ、否定はしないです」


    何を言われたのか一瞬ハルは、理解出来なかったが呆気に取られながらも頷く。

    異世界と言われてもピンとこないのが正直な意見だったが、無いとは言い切れない。

    否、ハルは無いと言い切りたくなかった。

    実は、ハルの夢の一つが異世界に繋がるアイテムを作ることだったりする。

    家の本ばかり読んでいたため、様々な物語の小説を読むことも多々あり特に主人公が異世界に
    迷い込んだりするタイプは、ハルのお気に入りの一つだった。

    だが、疑問もある。フェイトは、何故そんな言い回しをするのだろうか。

    まるで、本当にハルが異世界に来てしまったような言い回し。

    ――まさか……?


「も、もしかして……ここが?」


    地面を指差してわなわな震えながらハルはフェイトに尋ねる。

    すると、フェイトは言い辛そうにしながらもゆっくりと、だがしっかり頷いた。


「……はい」

「うぇぇぇぇぇぇ!?」


    思わずハルは奇妙な叫び声を上げてしまう。

    予想していたこととは大分違ったとはいえ、同レベルかそれ以上の出来事にハルが驚くのも無理はなかった。

    それにしても、どうやって来てしまったのだろうか。

    異世界の来るための研究なんてハルは、やったことなどない。

    そも、直前までは常連の客に依頼された簡単な薬を作っていただけだ。

    起こった出来事といえば、いつもの大爆発……そこまで思い返してはっとなる。


「(やっぱり……あの大爆発で?)」


    ハルが使う錬金術は、失敗すると何が起こるか分からないことがある。

    今までにも失敗の影響で急激に髪が伸びて部屋を埋め尽くし窒息しそうになったり、
    体が米粒くらいにまで縮んで一週間戻らず飢え死にしそうになったこともあった。

    しかし、今回に限っては今までとは比べ物にならないほどの事態。まさか、次元を超えてしまうとは。

    本来、本人が集中さえしていれば失敗など滅多に起こらないはずなのだが。

    自分の失敗の恐ろしさに今回ばかりはさすがに反省してしまう。


「あの……もしかして、何か心当たりが?」

「はい……すっごく心当たりが」


    フェイトはハルの表情から読み取ったのか、どうやって来たのかについて尋ねてくる。

    とりあえず起こった出来事を無理やり纏めてから、身振り手振り説明してみた。

    と、説明の途中フェイトは珍獣でもみたかのような表情へと変わる。

    ハルは急な変化に首を傾げた。


「れ、錬金術?」

「はい……知りません?」

「聞いたことはあるけど、成功したって話は聞いたことない……かな。それに、錬金術は不可能だって」

「へ〜……」


    どうやら錬金術はこの世界に浸透していないようだ。

    それどころか、まともに成功した事例もないとフェイトは語る。

    錬金術が使えるハルとしては何故成功しなかったのか今ひとつ疑問だが、何かが違ったのだと考える。

    パズルのようなものだ。一つでもピースが欠けていれば決して完成することはない。

    恐らく本当に些細なこと。小さな考え方の違い。ただ、それだけなのだろう。

    だが、出来上がらなければそれはただの幻想。幻想と認識されれば、それはそこまで。

    可能性は夢物語で終ってしまうのだ。

    この世界に錬金術という言葉はあれど、不可能と伝えられているのはそう言うことなのだろう。


「でも、どうやって元の世界に帰ればいいんだろ……」


    それこそ現在最大の問題であった。

    異世界に来れたはいいが、帰る方法が全く分からない。

    成功で来たのならまだしも、失敗に巻き込まれてしまったのだ。方法なんて考えているはずもなく。

    色々頭で理論を構築してみるが、浮かぶはずもない。

    元となるものすら自分では確立していないと言うのに、即席で考え付くなんていくらなんでも無茶なことだった。

    製作方法でも記された本でもあれば別だが。この世界に錬金術について詳しく書かれた本なんて無いだろう。

    なんせ錬金術が完成すらしていないのだから。

    さらに、それだけではないのだ。帰り方を探す間の住む場所や金銭もどうにかしなくてはならない。

    家はもちろん元の世界。それに世界が違うということは自分が持っている紙幣や硬貨では、まず役に立たないだろう。

    ――どうしよう。

    あまりの問題の多さに、ハルはため息しか出なかった。


「あの……一応、いつになるか分かりませんけど、貴女の住んでいた世界を探して見たいと思います」

「へ?」


    しかし、思いもよらなかったフェイトの言葉にハルは呆気に取られた。

    どうすると言うのだろうか。この世界には錬金術は無いと自分で言ったばかりなのに。

    だが、もし……もしも、錬金術に変わるような力や技術が存在するとしたらどうだろう。

    フェイトは、ハルを『異世界から来た』と明言した。

    それが分かるということは、何らかの方法を持っていると考えられないだろうか。


「私も、実は元々この世界の住人ではありません。次元を超えて、この世界に来ました」

「……どうやって?」

「魔法を使って。私は……次元を守護する組織『時空管理局』に所属している魔導師ですから」

「ま、魔法? 魔導師?」


    魔導師。

    意外な言葉だった。

    もちろん童話や文学など空想上で魔法の存在があるのは知っているが自分の世界には
    本物を使える人間がいるとは聞いたことなどない。

    しかし、否定はしない。むしろすんなり受け入れてしまっていた。

    錬金術も考えて見れば魔法のような物だ。

    無から何かを作り出せる訳ではないが、素材と道具さえあれば不可能に思えるものも作り出せるのだ。

    だからこそなのかもしれない。

    それに、時空管理局なるもの。

    名前だけでは分からないが恐らく無数の異世界を行き来できるような力を持った組織なのだろう。


「凄い……私のいた世界には魔法なんて無かった」

「錬金術がある世界も、とてもすごいです。……あ、でも、探しますけど見つかるのがいつになるのかは分かりません。
 次元世界は無限に近いほどあるから」


    まるで自分のことのように表情を暗くするフェイト。

    ハル自身、その一言には多少落胆を隠せなかったが確かにそれは仕方のないことだとも思った。

    異世界と言う存在があるのなら、一つであるはずはない。

    無数に存在していて当たり前なのだ。

    それに、フェイトが成功した錬金術を知らなかった以上、時空管理局は自分の世界に行き来はできないのだろう。

    まあ、それに関してはどうしようもないことなので後回しにする。

    今は、現状をどうにかする方が先決だった。


「……住む場所どうしよう」

「あ、それは、もう少ししたらリンディていと……リンディさんとクロノたちが帰ってくるからその時に話を」

「リンディさん? クロノ?」

「あ、家族……です」


    家族。

    ハルはその単語を聞いたのは、何だか久しぶりな気がした。

    自分には既に家族はいないため、口にすることもないのだ。

    もう、顔もろくに思い出すことが出来ない両親。

    慣れたと思っていたが今更ながらに自分が口にするのを無意識に避けていたのだと思った。


「じゃあ、助けてもらったお礼も言わないと……」

「うん、喜ぶと思いますよ。それまでは……ごめんなさい、ゆっくりしておいてください」

「はいー」


    フェイトは、申し訳なさそうに苦笑をすると食器をキッチンに運んでいった。

    気がつくと、いつの間にか自分が使った食器がない。

    どうやら片付けてくれたようだ。

    しかし、さすがに食べさせて貰った手前何もしないわけにはいかない。

    ハルは手伝うためにキッチンへ向かおうと椅子から立ち上がるが……ふと、足元に何かの気配を感じた。

    気になって反射的に視線を床に落とす。

    すると、そこには珍しいオレンジ色の毛色をした仔犬が一匹、鎮座しているではないか。

    その可愛らしい姿にハルは撫でようと、しゃがみ込んで頭に手を伸ばした。


「わーかわいい、ワンちゃん」

「違うよ、狼だ」

「……へ?」


    耳を疑った。

    今、仔犬がしゃべったように見えた。

    まさかと辺りを見渡してみても自分と仔犬以外には誰もいない。

    他に聞こえる音といえば、フェイトが食器を洗い始めたのか水が流れる音くらいでそれ以外にはない。

    聞き間違いでも空耳でもないはずだ。となると、やはり可能性は一つしかなようだ。

    思わず目の前の仔犬を凝視する。すると仔犬は、首を傾げた。


「あー自己紹介がまだだったね。アタシはアルフだ。よろしく」

「どうぞよろしくおねがいしま……じゃなくてっ! しゃ、しゃべってるよ!?」

「そりゃ、アタシは使い魔だからね。話せるに決まってるじゃないか」

「つ、使い魔……?」


    今日だけで驚いた回数はどれくらいだろう。

    ハルは自らを使い魔と称す目の前の人語を解する狼を見ながらそう思った。

    寝起きで驚愕の事実をいくつも伝えられこれが現実だと分かっていても未だに夢を見ているような感覚だった。

    そして、今回覚えた教訓としては異世界に来てしまったら何でもありだと思わなければならないらしい。

    ……それにしても、魔法使いに使い魔とはやはりお約束なのだと苦笑いを浮かべた。


「アルフ? いつ帰ってたの?」

「さっきだよ、クロノ達が先に帰ってろって言うからね」


    と、ひょこっとキッチンから顔を覗かせたのはフェイト。

    食器も、もう洗い終えたようでエプロンで手を拭いている。

    アルフは、フェイトの姿を見ると嬉しそうに駆け寄っていった。

    フェイトは、アルフを抱き上げると頭を撫でる。撫でられるとアルフは気持ちよさそうに目を細めた。


「そうだったんだ。じゃあ皆も、もう帰ってくるの?」

「ああ、もう直ぐ帰ってくるよ」

「そう……なら、ハルさん」

「はい?」

「お着替えしてきますか? 服、煤で汚れていたので昨日のうちに洗っておいたんです」


    言われて気がつく。自分の出で立ちを見ると、私服ではなかった。

    衣装は少し、ぶかぶかだったが寝間着姿になっていた。

    爆発に巻き込まれたのだから汚れていたのも仕方ない。

    わざわざ着替えさせてくれて、さらには洗ってくれたのだと思うとありがたかった。


「もう、乾いてますから。脱衣所まで案内します」

「はい、ありがとう」


    フェイトに礼を言ってからハルは後ろに続く。

    しかし、この後自分にとある悲劇が待っているとはその時のハルは思いもしなかった。






                                 閃光の魔法使いと錬金術士


                                  第一話「錬金少女」









あとがき


第一話、書き終わりました。

ふう、何だか白銀とは色々な部分でかなり違う気がするw

まあ、作品が違うし何の繋がりもないですから当たり前のことなんですけれど。


さて、今回は目覚めて自分の状況を理解しただけと何の捻りもないお話でした。

これからこれから……自分を信じて突っ走ろうw

あと気にされる方も、もしかしたらいらっしゃるかもしれないので書いておきます。

この作品において錬金術士の『士』が『師』じゃないのはわざとです。

あんまり堅くしたくなかったので漢字を変えてみましたw


その他、何かありましたら、どんどんご指摘の程よろしくお願いいたします。

投稿小説感想掲示板の方に、書いていただければよろしいかと存じます。


それでは私のSSに貴重な時間を使っていただき、ありがとうございました。

皆様、これからもどうぞよろしくお願いいたします。
メンテ
Re: 白銀の魔法使い と 錬金術士 ( No.70 )
日時: 2010/07/27 00:36:07
名前: ふぁんふぁ 



「よし、まずはお味噌汁でも作ろうかな」


    早朝、八神家のキッチンには何故か裕里の姿があった。

    冷蔵庫からパックに入った豆腐を取り出すと、蓋を開け手に乗せ包丁でさいの目切りにしている。

    裕里が、はやての家に来てから数日。

    特に何が起こるわけでもなく、平和な時間が流れていた。

    拉致されているといっても自由はあるし、はやても無理に理由を問い詰めようとはしてこないため辛くはない。

    他の皆のことが少し心配ではあったが、言っても詮無いことで余計に気になるので考えないようにしていた。

    が、そんな中ちょっとした事件が起きたのだ。

    それが今朝、裕里がキッチンに立っている理由でもあった。

    疲れが溜まっていたのか、はやてが風邪を拗らせてしまい寝込んでしまったのである。

    酷い風邪ではなかったのだが大事を取って今もシャマルの看病の元、部屋で眠っている。

    しかし、ここでとある問題が浮上してきたのであった。

    はやてとシャマルがいないとなると家事をする人間が誰もいない。

    シグナムとヴィータ、ザフィーラは基本的に家事はしないので洗濯や掃除は何とか出来るのだろうが料理だけは
    さすがに無理であった。

    そうなると、必然的に料理が出来るのが裕里だけとなり他の家事は三人に任せて現在に至っているのである。


「お前……料理出来るなんて凄いんだな」

「小さい時からお父さんとお母さんと一緒にやってたから。……そうだ、はやてちゃんの調子どう?」

「まあまあだな。今のところ熱は引いてる」


    洗濯物を干していたヴィータが、干し終ったのかキッチンに入ってくると裕里の手元を覗き込んでくる。

    素直に裕里を感心しているようであった。

    当初、目の敵にされていたヴィータも数日経てば裕里の人となりも分かったようで、言葉にトゲもなくなった。

    何でも怒っていた理由は、敵なのにはやての友達だったことに対してらしいが、裕里自身は協力はしているが
    管理局に属している気も入るつもりも、さらさら無いのでいい迷惑であったのかもしれない。


「おし、じゃあアタシも手伝う」

「え?」

「はやてのご飯も作ってるんだろ? だから手伝う」

「……うん、ありがと」

「べ、別にお前のためじゃないんだから礼なんて言うな」


    手伝うというヴィータに一瞬呆気に取られたが、頬を赤らめる顔を見て裕里は微笑む。

    本来は優しい少女なのだ。素直じゃないだけで。

    そんな少女に慕われるはやてに早く元気になってもらおうと裕里は気合を入れて料理を再開するのであった。








                            魔法少女リリカルなのは 白銀の光をもたらす者


                                  第十三話「平和な日々」


                                      始まります






「はやてちゃん……起きてるかな?」


    シグナム達との食事も終えて御盆に予め朝食とは別に作っていた雑炊を乗せよたよた危なっかしく歩みを進めながら
    裕里ははやての部屋を目指す。

    今は、シャマルにも朝食を取ってもらっておりその間は裕里が看病をすることになったのだ。

    自分が今出来ることはこれくらい。ならばと自ら申し出たのであった。

    他の皆も特に異論を言うこともなく、敵対していても自分を信頼してくれているということは嬉しかった。

    何とかこぼすこともなく部屋の前までたどり着くと裕里は、ノックをする。

    ……しかし、返事は無い。まだ、眠っているようだ。ならばと裕里は部屋の扉を開けた。

    中を覗くと案の定、はやては規則正しい寝息を立てながら眠りについている。

    部屋に入ると、お盆は机の上においてから額に手を乗せてみるが、まだ少し熱い。

    乗せてあるタオルが温くなっていたので桶の水に浸しなおし取り替えた。

    今のところ調子は良さそうで少し安心する。

    じっと裕里は、はやての顔を眺める。性別は違えど、年齢も変わらない可愛らしい少女。

    だが、自分よりも遥かにしっかりしている。

    裕里は、これまであった不甲斐無い自分の姿を思い浮かべて苦笑いする。


「……ん?……裕里……くん?」

「あ、起こしちゃった?」

「ううん、目が覚めただけやぁ……いっぱい寝たしな〜」


    丁度目を覚ましたやては寝起きのためか裕里の顔をしばらく見つめた後、いつものように
    やわらかい笑みを浮かべた。

    顔色は良い。元気もありそうだ。

    ならば、と裕里は立ち上がって机から御盆を手に取り脇に持ってくる。


「これ作ったんだけど……食べられる?」

「ん……そうやな、少しなら」


    裕里が雑炊を見せるとゆっくりと上半身だけ起き上げる。

    起き上がるのを手伝うが、はやてはまだ何処かだるそうだ。

    しかし、何も食べないのも体には良くない。

    早速、裕里はベッドの端に腰かけ御盆を膝の上に乗せると蓮華で雑炊をすくって息で冷ましてから
    はやての口元に持っていく。

    ……が、はやては蓮華を見つめるだけでいつまで経っても口をつけようとしない。

    どうしたんだろう、と裕里は首を傾げる。


「……えと、あーんってするん?」

「え? うん、病気のときはあーんだよ。……違ったっけ?」

「違うわけでもないんやけど……ちょっとだけ恥ずかしいわぁ。んと、じゃあ、あーん」


    少しだけ恥ずかしそうにしながら小さく口を開くはやて。

    確かに考えてみれば恥ずかしい。

    裕里は、内心笑いながらもそっと蓮華をはやての口に入れた。


「どうかな?」

「うん、味も薄味で食べやすいわー」

「病院の味がしないおかゆって地味に辛いからね、温いし。だからこれくらいかなって」

「うんうん、分かるわー。じゃあ、次や〜」


    味が気に入ったのかはやては口をあけて既にスタンバイしている。

    苦笑しながらも裕里は雑炊をすくう。

    食欲があることは良いことだ。早く元気になってくれればとそう裕里は心の底から思う。

    最終的にはやては美味しかったのか裕里が作った雑炊を全て綺麗に平らげたのであった。


「ごちそうさま〜」

「はい、お粗末様ー。じゃあ、僕は食器片付けてくるから」


    食べ終わったのを確認して裕里は食器を持っていこうと来たときと同じように御盆を手にして立ち上がる。

    そして部屋を出ようとはやてに背を向けると……何か後ろに引かれているような感覚がした。

    まあ、部屋には二人しかいないので後ろに引っ張る人間がいるとすれば位置的にも一人しかいないわけだが。

    振り向くと案の上、はやてが服を引いている。

    先程までとは違い、不安そうなはやての姿に裕里は面を食らう。

    どうしたと言うのだろうか?

    突然の変化に戸惑いながらも、言葉を発さないはやてに裕里は尋ねた。


「どうかしたの?」

「ごめん……一人に、せんといて」

「……はやてちゃん?」


    はやての表情は暗い。

    どうしたものか。裕里は何と言うべきか悩む。

    とりあえず、話だけでも聞いてみようと続きを待った。


「裕里くんは……自分が死んでしまうくらい辛い体験ってしたことあるか?」

「……いや、ないかな」


    昔のことで心配させるのも嫌なのでとりあえず否定しておくが、ふと思い返す。

    小さかったころ体が弱かった自分のことを。

    最近は制御が出来るようになってきたせいか忘れていることの方が多かったが、改めて思い出すと
    今だにトラウマなのだと痛感する。

    今だったらそれが異常な魔力量の影響だったのだと分かるがあの時は自分を苦しめるものを知らずただただ辛かった。

    そして、まだ小さかった自分は耐え切れずに暴走した。大怪我はしたが、よく生きていられたと思う。

    それに、今でも完全に抑えられているわけではない。

    暴走すれば今ならデバイスがどうにかしてくれるが、これから先も大丈夫だとは限らないのだ。

    さらに一見、魔力量が多いことはプラスのように思えるが実際はそうでもない。

    放出量はイコールではないからである。

    普通の人間より魔力が長持ちするというだけで特別強いと言うわけではないのだ。

    そもそも魔力を使い切る前に体力の方が尽きてしまう。

    ルシファード・システムのように使いようはあるのかもしれないが全体的に見ても今は負担にしかならないのである。


「それが、どうかしたの?」

「さっきな……怖い夢みたんや」

「怖い夢?」

「……自分が死んでまう夢」

「そっか……」


    聞き返してみるがある程度、予想できた答えが帰ってくる。

    呟くはやての肩が震えている。

    余程、その夢が怖かったのか。もしかしたら未だに治らない病気のこともあって余計に
    自分を重ねてしまっているのかもしれない。

    病気のことは裕里自身も話を聞いたことがあるが、病院で調べても原因不明らしい。

    何か別の要因があるのだろうが……裕里は思わずはやての机の上においてある闇の書の姿を見た。

    もし、魔法が関わっているとしたらこの世界の病院で原因は分からないはず。

    シグナムたちからはそんな話を聞いたことはないが、何か絡んではいるのだろうと裕里は予想を立てていた。

    しかし、だからと言って裕里が何をどうすることも出来ないし、今は様子を見るしかやることがないのだが。

    因みに、はやてによると何でも闇の書は飛んで動くらしいが、裕里はここに連れて来られてから動いているところを
    一度も見たことはなかった。


「死ぬのは一瞬なんや……夢やってわかってるしそれ自体は怖くない。それより怖かったのは……忘れられていくことや」

「忘れられることか……」

「夢でな……皆、私のこと忘れていくんや。最後にはだーれも私のこと覚えてへんようになる。
 それを見ていることしか出来ない自分がおる……怖かった」


    忘れられる。

    それがどれほど辛いものなのか。

    そこに存在している限り、人が自分以外の誰か全てに忘れられることなんてない。

    否、ありえない。

    所詮は夢の中の出来事である。

    だが、もし本当に忘れられるようなことがあったとしたら。

    親しかった人たちが誰も自分のことを覚えて居なかったとしたら。

    辛いなんて言葉だけで片付けられるのだろうか。普通の人間なら耐えられないのではないだろうか。

    自分なら耐えられない。真っ先に裕里はそう思う。

    考えるだけでも嫌になってしまうような話だった。


「でな、苦しくて辛くて、もう、ダメやぁーって、思うて目覚ましたら裕里くんがおってん……ありがとなー」

「あはは、僕、何にもしてないよ」

「一人やったら泣いてたと思うもんー」

「んー……じゃあ、素直にお礼受け取っておこうかな」


    本当に安心しきった顔で笑みを浮かべるはやてに裕里は苦笑しながらも頷く。

    特別何かしたわけではないが、はやてのためになったのならただ嬉しかった。

    そして、今ははやてが落ち着くまで隣に居ようと裕里は思う。

    誰かが隣にいるだけで、安心できると知っているから。

    せめて、シャマルが戻ってくるまでの間だけでも。

    立ったままはやての話を聞いていた裕里は、また御盆を机の上に置くとベットの端に腰をかけた。




    …




「さて……片付けるかな」


    先刻の出来事の後。

    はやてもしばらく経つと眠りにつき、裕里はそれを確認して食器を持つと部屋を後にした。

    安心したような寝顔に、自分でも役に立てたことを少しだけ喜びながらも食器を水につける。

    リビングに目を向けるとシャマルとヴィータがいるがシグナムとザフィーラの姿は見当たらない。

    蒐集には後で行くと言っていたので、今はまだ行っていないはずだ。

    昨晩もシグナム達はかなり遅くに帰ってきたようで流石に体力的にも休憩せざるをえないらしい。

    ……本来であれば蒐集は止めるべきなのだろうということは裕里自身も分かっていた。

    闇の書のページが最後まで揃ってしまえば、災厄が起こることは美月から聞いている。

    しかし、基本的に裕里はウイルス担当であるため、あまり特に気にしないことにしていた。

    守護騎士たちがそれを知っているのかは分からない。一応、伝えてみることも考えはした。

    だが、今の裕里は囚われの身。何を言ったところで聞き入れて貰えるはずもない。

    それに信念で動いている者達を止めることが出来るような言葉など裕里が持ち合わせているはずもなく。

    ――行くところまで行ってから対処すればいい。

    今はそう考えることにして裕里は、水につけていた食器を洗おうと手を伸ばす。

    と、背後から人の気配を感じとった。特に、警戒もせず振り向く。


「ヴィータちゃん?」

「おう」


    そこに立っていたのはヴィータであった。

    何処となく気まずそうな雰囲気が伝わってくる。

    それに返事はしたがそれ以上、何か言ってくることもない。

    どうしたのだろうか?

    裕里は気になって、自分から話しかけてみた。


「何かあった?」

「いや……その、だな。も、もう体とかだいじょーぶか?」

「体? うん、元気だけど……でも、突然どうして?」

「そうか……ほ、ほら、アタシがアイゼン叩きつけただろ?」

「あー……うん、大丈夫だよ。何ともない」


    どうやら心配してくれていたようだ。

    既に頭の片隅に追いやっていたことだったので、裕里は思い出しながらも頷いておく。

    しかし、何で今更そんなことを聞いてくるのだろうか。

    最初の日のように警戒はされなくなったものの、何となくぎこちなく変な距離があった。

    ふと、そう思ってヴィータを眺めていると何となくそれを感じ取ったのかバツの悪そうな顔をして、


「……ここに無理やり連れてきたし」


    思いのほかヴィータはそのことを気にしていたらしい。

    裕里は苦笑する。

    数日過ごしてみると人となりもある程度理解して、ヴィータが本当に優しい少女ということは分かる。

    それに確かに猪突猛進な所や怒りに身を任せてしまうような部分もあるようだがちゃんと考えて行動している
    ことも裕里は知っていた。


「いいよ、気にしてないから」

「……ホントに?」

「うん。だから、普通に話しかけてくれると嬉しいかな」

「お、おう……ちょ、ちょっと、はやての様子見てくる」

「うん、いってらっしゃい」


    裕里の言葉を聞いて恥ずかしそうにしながらも、笑顔で頷くヴィータ。

    そして、そのまま逃げるようにはやての部屋に向かって走り去っていく。

    その姿を微笑ましく思いながら、裕里は食器を洗い始めた。

    と、その時であった。


「裕里くん」

「はい? シャマルさん?」


    突然、シャマルに呼ばれる。ヴィータがいなくなるのを待っていたらしい。

    なんだろう、と蛇口を止めシャマルに歩み寄る。

    すると、シャマルは裕里に携帯電話を差し出してきた。

    それには見覚えがあった。と言うか自分の携帯電話である。

    しかし、どうしたと言うのか。

    今まで外部と連絡を取れないように取り上げられていたと言うのにそれを渡してくるなんて。

    首を傾げながらシャマルを見ると笑顔で、


「ごめんなさいね。勝手に内容見ちゃったんだけど、一応、裕里くんに見せておいた方がいいかなーって」

「?」


    訳も分からぬままディスプレイを確認してみる。

    見ると裕里は一瞬、驚いて……笑顔になった。

    『メールアドレス……送ります』

    その一文の下に、フェイトと書いてある。

    そう言えばフェイトは携帯電話を持っていなかったはず。

    ――携帯、買ったんだ。

    裕里は皆が元気なようで少し安心するのであった。




    …




「何で私が、ダディの買い物に付き合わなきゃならないの」

「何も言わずに行ったら不機嫌になるのはお前じゃないかよぅ! この甘えんぼさんめっ!」

「……後で酷いから」

「ふふん、楽しみにしていよう」


    ここは多くの人が行き交うなんてことはない昼下がりの商店街。

    ハズキを連れ添い杉並は、その商店街を散策していた。

    文句を言いつつ、辺りを興味深そうに眺めているハズキを見て、杉並はニヤニヤと意地悪そうに笑っている。

    その仲良く歩く姿は、仲の良い兄妹のようにも見え微笑ましくもあった。


「……ん?」


    そんな最中、杉並は本屋に立ち寄って目的の物を手に入れたのか紙袋を脇に挟んで本屋から出てくると、
    ふと眉をひそめて足を止めた。

    不自然な杉並を隣から怪訝そうに見つめるハズキ。

    それからしばらく微動だにしなかった杉並だったが、不意に目の前を指差してハズキに告げた。


「お出ましのようだ」

「む」


    その言葉と共に周囲に結界が張られる。

    が、杉並とハズキは特に身構えるようなこともせずただ待ち構えている。

    すると、それに答えるかのように前方の空間が突如歪み――何者かが現れた。

    出で立ちは、黒と白でコーディネイトされた衣服に大きなコートを腕を通さず肩に羽織っている。

    目鼻立ちは整っているが、鋭い金色の瞳と金色の髪はどこか禍々しさが感じとれた。

    なめるようにその姿を眺めて、杉並は面倒くさそうに呟く。


「中々のファッションだな、青年くん。俺も時々は学ラン以外の服が着てみたいよ」

「ダディ、それ無理」

「むぅ、大人の事情と言う奴か。……まあ、それはさて置き。すまないがオレはこれからヌーの新刊を熟読せねばならんのでな。
 君には悪いがお引取り頂きたい」

「仕事しろよ、給料泥棒」

「何を言うかぁ! 俺からヌーを奪うということは神への冒涜だぞぅ! 」


    いつものようにハズキにツッコまれて杉並はいつもにも増して大げさにリアクションをしてみせる。

    同時に杉並はちらっと確認するが、青年は表情をピクリとも動かすことなくその場に立ったままだ。

    どうやら、冗談が通じる相手ではないらしい。

    顔に手を当て、ため息を吐く。


「ふむぅ……そろそろ姿を見せる頃だと思っていたが」

「本格的に……動こうと思ってね」


    青年は笑みを浮かべると、はじめて言葉を発した。

    しかし、その笑みと言葉からは感情が全くと言っていいほど感じられない。

    やはり、どこか他のウイルスとは一線を画す雰囲気があり、正直、不気味だ。

    杉並は平常心を装いながらも、厄介だと思うしかなかった。


「で? 俺の前へ姿を見せたことに意味は?」

「特にはないよ……ただ、いつまでも姿を見せないのもどうかと思ったんだ。とりあえずは、君にはね」


    青年からは別段、何も感じられない。

    警戒を解くわけではないが、とりあえず話しを聞くだけ聞いてみることにした。


「それで、お前は、ウイルスだろう?」

「ああ……君たちが言うところの特級と呼ばれる存在だよ」

「もう一体いることは知っていたが、まさか自分から姿を見せるなんて思わなかったな」

「言ったろう、本格的に動くと……変えるんだ。私が全てを」


    最後の『全て』の一言に杉並は青年が今まで見せることがなかった感情が一瞬篭ったことを感じた。

    憎しみとも取れるような、喜びとも取れるような、曖昧なものだったが。

    何を考えているのか分からない青年の姿は、やはり何処か気味が悪い。


「変える? 何を?」

「未来を……だよ。あの偽りの未来を変えるんだ」

「ふむ……偽りね」

「もちろん知っているだろう? あの争いの始まりと過程と結末を。その立役者の一人である君ならね」


    その言葉に杉並は、何か思い出すように目を瞑った。

    何を考えているのかは検討もつかない。

    ただ、一つだけ。その表情から分かることは、それが杉並にとってあまり良い思い出ではないと言うことだ。

    ハズキはそんな杉並を、心配そうに見つめると不安そうに袖を引っ張る。

    その姿を見て我に返った杉並は笑みを作ると、いつもの自信満々な目をして青年に向けると言い放つ。


「ふっふーん! 青年よ! その野望、この杉並が必ずや地に落としてめてやろうではないか!」

「……ダディ」

「君に……それが、出来るかい?」

「もちのろんだ! ふははは! もはや万策尽きたぞ! 最も、この杉並を前にすれば如何な策を立てようとも、それ既に愚策。
 無意味だかなぁ!」


    そして最後に杉並は、こう付け加えた。


「それにだ。あの未来は俺たちが望んだもの、信じた結果だ。偽りなどと言わせるものか、決してな」

「……」


    青年は、杉並の言葉を聞くと無言のまま踵を返した。

    自分が言われたことが気に入らなかったのか。だが、感情の見えないその顔からは何も見出せない。

    それから青年は少し離れると、立ち止まり一言呟く。


「分かっていても……容認出来ないことはある」


    恐らくそれが唯一の感情表現だったのだろう。

    その言葉には、確かな感情があった。

    そして青年は、掻き消えるように姿を消す。同時に結界も崩れ、辺りに商店街の活気が戻る。

    もう気配は感じ取れない。本当に挨拶だけつもりだったのだろう。

    ――杉並は、それを確認すると盛大なため息を吐いてしゃがみ込む。疲れたらしい。

    それはハズキも同様で、その場に座り込む。


「厄介だ……後、真面目なのは疲れた」

「ダディ台無し。でも、まあ、疲れたけど」

「それはそうと……惚れ直したか? 俺の勇姿に?」

「はぅ……締まらない。毎度のことだけどホント締まらない」


    ようやく緊張が解けたのかいつも通りに戻った杉並の姿に、頭を抱えるハズキ。

    しかし、表情は脅威が去って安心したのか穏やかだ。

    杉並はそれを見て苦笑して立ち上がる。

    とりあえず、道のど真ん中に座り込んでいたため、否応無しに好奇の目に晒されているので杉並は
    この場を離れることにするのであった。


「ダディ、ごめん、腰抜けた……」

「モーシカタナイナーハズキチャンハー」

「某青狸見たいに言うな!」









                            魔法少女リリカルなのは 白銀の光をもたらす者


                                  第十三話「平和な日々」完












あとがき


はい、書き終わりました十三話。

大変でした……途中で進まなくなってしまってw


さて……とりあえずは、進んだのかな?

一応は、日常を意識して書きつつ、ラストでちょっと、と書いてみたんですけど。

今回はあんまり、表現に自信がない……途中で筆が止まれなければこんなことにはならなかったのに!w

まあ、自分のせいなんですけどね。

うーむ、これからもさらに頑張って書いていかねば……


では、今回も読んで下さりありがとうございました。

次回も、また本編でお会いしましょう。


それでは〜
メンテ
Re: 白銀の魔法使い と 錬金術士 ( No.71 )
日時: 2010/10/18 23:24:51
名前: ふぁんふぁ 

消去中
メンテ
Re: Magical Girl Lyrical NANOH ( No.72 )
日時: 2010/12/26 23:00:23
名前: fanfa 

消去
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