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〜遅すぎた愛〜
日時: 2010/12/01 01:02:36
名前: うめ酢 

この度リハビリに短編描いてみました!
短いですけど、だから「短編」っていう訳だし?(オイ

最初に断っておきますが、暗いです!
うめ酢の主成分9割がギャグでできてますけど、今回は残り1割のシリアスを雑巾の如く振り絞りました!
「こんなん梅の作品じゃねー!」と思われる方もいるかもしれません。
暗い話が苦手な方は回れ右でおねがしします<(_ _)>
メンテ

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Re: 〜遅すぎた愛〜 ( No.1 )
日時: 2010/12/01 01:03:44
名前: うめ酢 








意識を取り戻した時、最初に感じたのは浮遊感だった。

暗い……。
意識は覚醒したはずなのだ。目蓋の裏からでもわずかな光が瞳に入るはずだ。
しかし、一点の光も感じない。
あるのは、全身を襲う浮遊感とどこまでも広がる暗闇だけ。

目を開けてみた。
それでもそこには闇しかない。
彼女は盲目ではなかった。にも関わらず眼に何も映らないのは、彼女のいる場所が本当に闇に包まれている証なのだ。

夢なのだと思った。
これが夢なら全ての説明がつく。
光の差さない闇の世界、原因不明の浮遊感、全て説明がつくではないか。

………その期待もあっさりと打ち砕かれる。
突然、強烈な咳が自分の身体に襲いかかる。そして、口元に当てた手には赤い液体がこびりついていた。
いっそ、これが夢やあの世ならどんなに楽な事だろう。
現実こそが最大の悪夢とは、これ以上ない皮肉だった。




記憶を手繰り寄せる。自分は何者で、なぜこんな状況下に置かれているのか。

最初に浮かんだのは愛しい愛娘。
わがままで、優しくて、素直で明るい自身の全てを捧げる事も厭わない、最愛の娘。

次に浮かんだのは、娘と似て非なるもの。
姿形は瓜二つで、それでいて明らかに娘とは違うもの。
なまじ似ているが為、そこには憎しみにもにた感情が湧きたっていたのを覚えている。





順に浮かぶインスピレーションから、自分が何者かを自覚してゆく。

―私の名はプレシア・テスタロッサ…………。













        魔法少女リリカルなのは
          〜遅すぎた愛〜












……なぜ自分がこんな状況に置かれているのか、少しずつ思い出す。

きっかけは、愛娘の死。
言葉にすると、なんと簡単なのだろう。
しかし、その簡単な言葉とは裏腹に それこそが自分の人生を大きく変えていった。





受け入れる事など、出来なかった。
この世の誰よりも愛情を捧げてきた たった1人の愛娘。
理不尽な事件をきっかけに、それが一瞬の間に失った。
どうしてその事実を受け入れる事が出来よう。
『娘さんがお亡くなりになりました』 紙1行にも満たないそんな報告に、どうして納得など出来よう………!

それから私は娘を蘇らせる。それだけを糧に生きてきた。
自身の身などどうなろうと構わなかった。愛娘の笑顔、そのためなら何を捧げても惜しくはなかった。

その結果辿り着いたのは、『別の入れ物に娘の記憶を移す』というものだった。
人格・魂とは、言ってしまえば、その記憶によって成り立つものだ。
例え身体は別物でも、記憶さえ受け継ぐ事ができるなら、それはひとつの命を蘇らせるのと同義。

その考えは、いとも容易く覆されてしまった。
『入れ物は』正に娘のそれ。記憶も確かに移したはずだった。
なのに、利き手や嗜好、性格すらも娘とは似ても似つかわない『失敗作』だった。
当初こそ、それらの全てを受け入れて娘を愛しようとした。
だが、そんな心とは裏腹にわずかな差異が『これは娘ではない』という気持ちを強くしていった。

そんな気持ちが憎しみに変貌してゆくのに、時間はかからなかった。
娘と同じ姿をし、娘とはまるで別物。
その存在が娘を冒涜されている様な気さえして、苛立ちが止む事はなかった。

娘の為に全てを費やしたこの身体は、残す時間が限られていた。
限られた時間。偽物の娘。滞らない実験。
全てが苛立ちに拍車を掛けさせた。

思えば、数えきれない犯罪に手を染めたものだ。
実験の発展の為ならば他人の不幸など視野にすら映らなかった。
自分の望みに添えない『失敗作』に全ての憎しみを注ぎ込んだ。






その末にある希望に辿り着いた。
古代遺産(ロスト・ロギア)ジュエルシード。
その特性は『持ち主の願望を読み取り実現させる』事。
もちろん、それで娘が易々と蘇るなどとは思っていない。
着目すべきはジュエルシードのもうひとつの特性『暴走の際に小規模の次元震を引き起こす』という点。
その特性さえ利用すれば、娘を蘇らせる秘術の眠る“アルハザード”へと辿りつけると確信した。

思えば、それがきっかけだったのかもしれない。


『失敗作』の能率が極端に悪くなった。
元々、要領の良い方ではなかったが、仮にもその技術と魔力は1流のそれ。
それに輪をかけて効率が悪くなった。
その要因が“迷い”である事に気づくと、憎悪は更に膨れ上がった。
『道具』が『人形』が『失敗作』が、1人の人間のように感情を持つ事に苛立ちを感じないはずがなかった。
娘は……娘は、その迷いを持つ事すら許されないというのに、なぜこんな『人形』が感情を持つ事が許されるのか……っ!







……無茶をし過ぎたのだろう。
とうとう、管理局に足取りをつかまれた。
雑兵相手ならまだしも、直に熟練の魔道師が自分を追い詰める事など明白だ。

覚悟を決めた。
手元にある元来の半分にも満たないジュエルシード。
それを暴発させてアルハザードへ行くしかない。可能性は低くとも、もう自分にはそれしか残されていない。

そんな最期の手段ですら、管理局は阻止してしまう。
もう、全てがお終いだった。






そんな時、目の前に現れたのは『使い捨てた人形だった』



「……あなたに言いたい事があって来ました」

何を………何を今更言おうというのだろう。
自分を見限った私に、全てに憎しみをぶつけてきた私に…………











「……母さんに笑ってほしい…。幸せになってほしいって気持ちだけは本物です」



…………何を……何を言っているのだろう………っ!
本気なのか 正気なのか 自分が何を言っているのか分かっているのか………!!
誰に対して……それを言うのか………!?












「私の……フェイト・テスタロッサの…………本当の気持ちです」

――――あぁ、そうだった。
『これ』は    『こいつ』は          『この子』は
   ………馬鹿なのだ。

知っていたではないか。
どれだけ罵声を浴びせようとも、どれだけ痛めつけようとも
『この子』は………馬鹿の一つ覚えの様に、ただ

   母さん   母さん     母さん    と
自分の事を慕っていたではないか……………!









「………くだらない」

そう、くだらない。
今になって、そんな当たり前の事に気づくなんて………。
今になって、この子に情を寄せるなんて

全てが遅すぎた。










「言ったでしょ……私はあなたが大嫌いだって…………」




















――――――走馬灯なのだろうか
娘に誕生日のプレゼントをリクエストした時の記憶が蘇る。

あの子は……何を言ったのだっけ?



「う〜んとね……あっ、私――――……」


そう、『妹』を催促されたのだった。
年甲斐もなく、耳まで真っ赤になったのを思いだす。

その動機は『留守番も寂しくない』、『私の手伝いもいっぱい出来る』という可愛らしいもの。
可愛らしい要求に、恥ずかしさが混じり合い、とても照れくさい気分だった。





そうだ  あの子は     フェイトは―――――……

アリシアの望んでいた『妹』ではないか
―――どうして今になって気づいてしまったのか、気づかない方がよっぽど楽だったのに…………

















そこで、記憶は途切れていた。
推察するにこの場所は、次元の狭間。


どの次元にも干渉しない、闇が占める世界。
これが、罰なのだろうか?
娘の望んだ『妹』を痛めつけた事への 目的の為に多くの人々を不幸に陥れてきた事への





「アリシア……私、ダメな母さんで………ごめんなさい」

懺悔など意味のない事は分かっていた。
それでも、この何もない世界 誰も聞いていない世界 それくらいしても良いではないか……


『も〜っ!謝るのは私にじゃないでしょ?』


――――――っ!

「アリシア!?アリシア!?………いるの!?」

しかし、そこには何の返事も返ってこない。
幻聴……あるいはあの世からの声だったのだろうか。
どちらにせよ、自分の死期はもう間近に迫っているらしい。




そうだ。あの子に、フェイトに言わなければいけない、でも今更言う資格のない言葉。
本人の前で言う事など出来ない。それを言うには私は道を誤りすぎた。

――せめて、この場所でなら言っても良いのだろうか。
誰も聞いていないこの場所で、懺悔する事は許させるのだろうか。









「…………ごめんなさい」

迷いに迷って、いつの間にか口から洩れてしまっていた。



「………ごめん……ごめんなさい………っ!ごめん………ごめんね………フェイトぉ………!!」

泣きじゃくった。
もう良い。どうせ誰も見ていないのだ。どうせ誰も聞いていないのだ。

もう、自分の心に素直になっても、良いではないか…………。










闇しかない世界に彼女の泣き声は響き渡った。
せめて、彼女があの世で娘と再開できる様に、来世で今度こそ幸せな家庭を築ける事を

あなたも一緒に 祈りませんか?
















あとがき

この話は、見る人が見れば分かるでしょうけど劇場版を見て衝動的に書きたくなった作品です(^^
リハビリも兼ねてってことでやっちゃいました!
カっなとなってやった 今は反省してるってやつですw(ぇ

ぶっちゃけ、原作見てる時ってあんまりプレシアに感情移入できなかったんですよね
それが改めて劇場版をみると、あら不思議!(古っ…
どんどんプレシアに感情移入しちゃうじゃないですか 奥さん!(ダレだよ!

更にぶっちゃけちゃうと、プレシアがこんなに簡単に反省するなんてないですよね
人の考えなんて、そうそう変わるもんでもないですし。
だからこの作品は、『こう思ってたら良いなぁ』という私の願望の詰め合わせです。
でも私は『こうだったら良い』と思うし、思いたいんです。
そんな願望を思うだけじゃなく、形にしてしまいました(^^;

何度でも言います! カっとなってやった今は反省しているw
メンテ

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