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南透のネタ帳
日時: 2010/08/28 03:46:27
名前: 南透 

題名の通りです。 主にフルハウスのネタを書き込む板ですが、その他のネタも記載するものです。

別掲載の本編に関連する文体も載せるときがあるので、話はバラバラになります。

メンテ

Page: 1 |

Re: 南透のネタ帳 ( No.1 )
日時: 2010/08/28 07:00:41
名前: 南透 

星の道光の翼追加エピソード1

第61管理世界スプールス。数多くの希少生物や植物が存在する世界。

時空管理局自然保護隊が派遣されるような世界である、この世界の生物が次元世界においてかなり貴重な存在だと言う事が理解できる。

スプールスでの移動手段は管理局によって規制されており、次元港を除くエリアでは馬車か騎乗馬に乗っての移動、もしくは徒歩となっている。その為馬が一日で走破できる距離には必ず宿場町が設けられスプールスに住む人々はこの世界に訪れる観光客が落としていく資金で日々の生活を送っている。

ある場所の宿場町。その観光宿の一室には一人の男が滞在していた。

エルヌアークでフェイトとミルズの二人と戦闘をした大男、グラトニー。彼はあの後この世界に転移したようだ。もう一人の男もこの世界に居るのであろう。

グラトニーの姿は無骨な全身鎧姿ではなく、いたって普通の格好である、特徴としては大柄な体格、重い武具を扱う為に養われた筋肉が目立つ、一言でいうならマッチョマンと言うところか。



現在彼が何をしてるのかと言うと、彼と同じくモノリスの封印から解かれた男、エウリュトスとなにやら通信している様である。

「ふむ、この世界に風のプロトクリスタルの波動を感じるのは間違いは無いんだが」

「グラトニーが言うなら在るんでしょうけど……私では波動を感じる事ができないんですよね……」

エウリュトスの泣き言に近い返事にグラトニーは困ったものだ、という表情を見せたが、すこし考え意見を述べた。

「確か……この世界には風竜がいたな? 奴ならプロトクリスタルを手元に置きたがるのではないか?」

グラトニーが言う風竜とは、この世界の象徴とも言える存在であり、名をリンドピオリムという。

普段は一般人が到底入る事ができない夢幻の回廊という場所におり、ごく稀にスプールスの大空を飛ぶ。

グラトニーの意見に通信相手の緑髪の男はなるほどね、というニュアンスの返事を返してきた。

「あー、つまりそいつから奪って来いと言うんだね? グラトニーも人使いが荒いね、まぁいいや行って来るよ」


エウリュトスは通信を切った。

通信が切れると筋肉の大男は今まで座していたベッドから立ち上がり、地図を手にしてつぶやいた。

「まずはラースの行方を探さんといかんな……」

ギシッ! と部屋の床板が彼の体重を支えきれないよ、と言うような悲鳴に近い音をあげた。


メンテ
Re: 南透のネタ帳 ( No.2 )
日時: 2010/08/28 07:40:59
名前: 南透 

星の道光の翼追加エピソード1−2

七罪の番人、グラトニーは1日歩き続け彼が封印されていた同形のモノリスがある所に到着していた。その場所とは、管理局によって立ち入り禁止に指定されている森林の奥深い場所、通称迷い家の森。

辺りはすっかり暗くなっており大男はランタンを手に持ち二つのモノリスを見つめていた。彼の表情はとても穏やかなものであり微笑んでいる、とも取れる感じだ。

「フフ……相変わらず仲が良いのだな」

モノリスに描かれている画。一つ目は小さな少女がほぼ全裸に近い状態で胸の中央にハンマーと思えるペンダントがかけられている画。

もう一つの方は少年で、少女の画と同じようにほぼ全裸に近い状態で右手に湾刀状の剣を握っている。

かなりの時をこの場所で過ごしてきたのであろう。

モノリス自体に蔓や草が絡みつき部分的に苔まで生えていたりする。その邪魔な物を丁寧に払いのけた。

「ラースにグリードよ、今おこしてやる、長い休眠は終わりだ」

グラトニーが指先に魔力を込める、右の人差し指が金色に光り出す。

ぶつぶつと魔法の詠唱をしだす筋肉男、やがて詠唱が完了したのかモノリスに六角形の魔法陣を器用に描いていく。

モノリスが金色に輝き始め、描かれていた画が立体化してモノリスから出てきた。

モノリスから分離をした二つの立体は完全に人と言える状態になる。

男の子と女の子の二人は静かに閉じていた両目を開いた。

「ここは……どこですわ?」

女の子の方が喋るとグラトニーは二人にマントをかぶせて話す。

「ラース、今は喋るな、後でゆっくり話してやる」





夢幻の回廊では、風竜の無残な死体が転がっていた。

緑髪の男の手によって命を絶たれたのであろうか。

リンドピオリムの身体の各所には弓矢で射抜かれた跡が多数あった。弓士エウリュトスの壮絶な技をその身に受けた為に出来た跡。

エウリュトスは死体の一番上で座している。

右半身に大きな緑色の弓を抱えてグラトニーと通信をしていた。

「ああ、グラトニーの言う通り、風竜が持っていたよ」

貴方のご推察の通りです、という返事をしながら弓士は回廊の最深部に存在している緑色の水晶体を見つめていた。

風のプロトクリスタルは、こうして七罪の番人の手に入った。
メンテ
Re: 南透のネタ帳 ( No.3 )
日時: 2010/08/29 11:12:27
名前: 南透 

星の道光の翼追加エピソード2

スプールスの夢幻回廊内部、七罪の番人であるグラトニーは、一般人が到底入れないこの場所に二人の子供を抱え楽に入ってきた。

子供二人はモノリスから封印を解かれたばかりで体力そのものを消費しすぎているのか、大男の腕の中で眠りについていた。

「おかえり」

大男を迎えたのは緑髪の長身の男エウリュトス。

幾重にも結界が張られ魔力探査が不可能なこの場所を彼らはアジトとして使う事に決めたようである。

グラトニーは風のプロトクリスタルの側に足を進めると、マントに包まれた少女を床に静かに横たわらせた。エウリュトスは彼の行動を注意深く見守る。

「風のプロトクリスタルに力を分けて貰えれば、グリードはともかく、ラースは目を覚ますであろう」

「グリードの対応してる力は雷……だったっけ?」

エウリュトスの問いかけに頷くグラトニー。

番人とプロトクリスタルはかなり密接な関係があるのであろうか?

「私は、闇のプロトクリスタルが力を解放させたおかげで覚醒する事が出来たが……他の番人達は、この様子だと未だ覚醒に至ってないと見るべきだろうな……それと他のクリスタルの存在場所も突き止めねばいかん、仲間が必要だな」

ラースの反応を心配そうに見つめているグラトニーは弓士の男に答え、まずは他の番人達を集めないといけない事を進言した。

「あの時の反動のせいで、クリスタルは次元世界に散ってしまったからね」

エウリュトスは自身の弓を身に背負い腕を組んで大男に言う。

「これは骨が折れそうだよ……さっきの戦い(リンドピオリム戦)で結構魔力を使ってしまったから、私は寝るとするよ、おやすみ」

グラトニーが回廊に来るまでに何処から調達したのか、エウリュトスは奥に生活するのに必要な物資を手に入れてきていた。当然寝具等もそれに含まれている。

「グリードは此方で預かるよ、雷のクリスタルを見つけないと目を覚ましそうに無いしね」

マントに包まれた少年を大男から預かると、緑の弓士は奥に消えていった。

風のプロトクリスタルの側に横たわる少女の顔色が僅かに赤みを帯びてくる。

じきに呻き声をあげ身体をよじらせた。

少女の反応を見た大男はホッとした表情を出して大人用のシャツを手に取った。

「そろそろ目を覚ませ、ラース、力も戻りはじめているのだろう?」

少女の側に寄った大男はしゃがみこみ、ラースに話しかけた。

「う、う〜ん、わっち……何だかすごく長い時間、夢を見ていたような感覚ですわ」

ラースという少女は思い切りノビをして身体を起こし、グラトニーからシャツを受け取ると身に纏った。

「おはようですわ♪ グラトニーさん」

大人用のシャツを着た少女はニコニコの笑顔を大男に向けた。


メンテ
Re: 南透のネタ帳 ( No.4 )
日時: 2010/08/31 13:26:36
名前: 南透 

星の道光の翼追加エピソード3

スプールスにある夢幻回廊は、七罪の番人達のアジトとなっている。

金色の四角い魔方陣が夢幻回廊の床に現れると、魔法陣の上に、三人の人物と土のプロトクリスタルが実体化した。

「たっだいまなのですわ〜」

巨大な黄金のハンマーを持った少女が、だれも居ない回廊にただいま、と大きく声をだす。

三人の目の前に青い髪のオールバックの男が何もない空間から現れた。

「もどったか? 回収も済んだようだな、ご苦労」

「スロウス、わっちがたただいまって、いったのですわ、おかえりと返すのが常識ですわ……」

ですわ少女ラースは、オールバック男の返事に突っ込みを入れる。

「そうか、それはすまないな、以後気をつけるとしよう」

スロウスと呼ばれた男も七罪の番人の一人である。


大男グラトニーは土のプトロクリスタルを風のプロトクリスタルが安置されている場所に移動させ固定する。

先ほど覚醒した女騎士とスロウスという男も大男と一緒についていく。

「既に、三つ揃えたのですか?」

クリスタルが安置されている空間をみて、エンヴィーはグラトニーに問いかけた。風、土そして紫の光を放つプロトクリスタル、雷のプロトクリスタルが存在していた。

管理局が、プロトクリスタルの発する固有パルスに気がつく前に、もう一つのプロトクリスタルを番人は手に入れていたのだ。

「もっと早く回収したいのだがな、時空管理局という新手の勢力が今は存在していてな、我々でしか感じ取れないはずの波動をキャッチできる装置を作り出したようだ」

グラトニーはエンヴィーに今の次元世界の状況を伝え、エウリュトスが居ない事に気がつく。

「エウリュトスはどうした?」

オールバックの男が大男の質問に答え様と声を出そうとすると、彼の後ろから少年の声が聞こえた。

「コキュートスに出向いたぜ? 氷のクリスタルを回収しにな」

ラースと変わらない身長の少年、グリードは大人三人に答え、手に持ったリンゴをかじり言った。

「グラトニー、俺も覚醒したんだ、邪魔な組織があるならぶっこわしてやる、さっさと遊びに行かせろよ!」








メンテ
Re: 南透のネタ帳 ( No.5 )
日時: 2010/09/01 06:29:36
名前: 南透 

星の道光の翼追加エピソード4

情報整理と別隊の編成に人員を分けたアースラチーム。

シャマルはクロノと共に別部隊に参加、ヴィータも同行する。

はやて、ザフィーラ、シグナムは居残り地球に、フェイト、ミルズ、ユーノは本局待機となっていた。

「じゃあ、今日はここまでです」

教導隊制服を着た高町なのはは、今日の訓練の終わりを宣言していた。

「ありがとうございました」

教え子が声を揃えて敬礼をする。小学校のほうは今日から夏休みに突入し、今まで以上に魔導師としての仕事に力をいれていた。

教導官補佐という割に、高町なのはには補佐すべき人物が居ない。実質の所、教導隊も人手不足でなのはの様な補佐官も一人で教導を行わねばならない。


制服から私服に着替えるためにロッカー室に向かう高町なのはに、見知った人間が声をかけて来た。

「あら? 今日はもうあがり?」

声がした方になのはが振り向くと、レティ・ロウランが分厚い紙の書類を腕に抱えて歩いてきた。

「レティ提督、お久しぶりです」




レティと別れたなのはは、少し表情を曇らせていた。

彼女からアースラスタッフの、今回の出動結果について知らされた事を考え。親友達の心配をする。

(フェイトちゃんとはやてちゃん、大丈夫かな)











一方、此方は夢幻回廊、プロトクリスタルの放つ五色の光が混ざり合う。

番人達はひとつのモノリスの所に集まっていた。氷の世界コキュートスに在ったモノリスである。

エウリュトスがクリスタル回収に出向き、グリードとスロウスが後を追って出かけたわけだが、スロウスが其処でコレを発見していたのである。

描かれている画は、フェイトと同じ様な感じのツインテールの女性であった。女性とは言っても色々タイプがあるわけで、エンヴィーが成人、ラースが少女とするなら、画に描かれた彼女は女子高生と言った所か。

グラトニーが、ラースとグリードを実体化させた時と同じように、金色の六角形の魔方陣を指で器用に描く。

六角形と言ったが、正確には、ミッド式の円形の中に描かれている紋様がペンタグラムであり、ベルカ式の様にペンタグラムが円の中でゆっくりと時計回りに回転している物である。その魔方陣はモノリスの封印を解いた。

「プライドがこれで覚醒か、残るはラストのみだな……」

エウリュトスがぼそりと呟いた。






ユーノと別れたミルズは一人、アースラスタッフが待機できるデータベース室にいた。

ディスプレイには彼個人が集めた情報が羅列されている。そのデータを見つめ、考えを巡らす。

モノリスに書かれていた女王のメッセージ。生まれ出る命(うまれいずるいのち)の時間。

七罪の番人とは、失われし都と呼ばれたアルハザードにおける、死刑執行人という存在である等。

クロノ達が知りえない事柄が刻銘に載っている。

シグナムと戦ったエンヴィー、フェイトと戦ったグリード等、番人達の戦闘パターンから癖を見抜き攻略法を練っている時に突然閃いた。

(今までクリスタルの回収にかち合った七罪の番人は……ひょっとすると、{天}なのか?)


ミルズは天と言う単語を考えた後にクロノ達の事を考える。

(もし、番人が天だとしたら……エルヌアークの再調査は彼等だけでは危うい……クロノ、死なないでくれよ?)

既にエルヌアークに向けて出発したクロノに生きて戻って来いと願う、黒翠色の騎士だった。


ミルズが撃墜された。ミルズを連れ去ったリィンフォースに酷似した女性の消息も掴めず数日がたった。

なのはも巻き込まれた形となった今回の事件。管理局は、七罪関係を”セブンギルティアサルト”と呼称する。

番人達は現在、蒐集行為を次元世界を渡りながら巻き起こしており、管理局はその対応に追われていた、神出鬼没でいたる世界に現れては蒐集を繰り返す。闇の書事件でシグナム達が行ったものが可愛く見えるほどだった。



クロノ達アースラ組は、まだエルヌアークから戻ってはいない。

フェイト達も連日の対応に日々を送っていたが、今日は休みを貰っていた。さすがのフェイトたち優秀な魔導師といえど、たまには休みを取らないと体が持たない、それに今日は約束の日でもある。そう速人との。


「それじゃ、今日の夜には戻れると思うからフェイトもしっかりね?」

リンディは通信を切る。義娘となったフェイトからの定時通信を済ませ。

「フェイトがデートか、なにか微笑ましいわね」

リンディスペシャルティーを飲み干すリンディ、家が近いのでリンディも飛鳥姉弟とは顔見知りであるし、速人の事を少しは知っていた。

(あの子となら、いいわよね)










通信を終えたフェイトはミルズにあった十字架状の痣が気になっていた。

(もし、ミルズが速人だとしたら、私はどうしたらいいんだろう……)

フェイトは考える。

速人がミルズなら、リンカーコアを、それもAA+クラスの強いのを持っているはず、それに念話も受信できるはずだ、仮に応答しなくてもチャンネルが繋がれば私には解る。

今しがた、義母さんと話した魔力光とリンカーコアの色の話し……人の性格と一緒で、この二つは一生変わることが無い。私が金色なのはが桜色であるように、速人がミルズなら、黒いはずだ……。

私は今日、それを確かめることにする。

(でも……できれば)


――魔法少女リリカルなのは 星の道光の翼――
メンテ
Re: 南透のネタ帳 ( No.6 )
日時: 2010/09/02 19:54:18
名前: 南透 

星の道光の翼追加エピソード5

爽やかな風が吹く、若草が辺り一面を緑一色に染め上げる広大な土地。

遥か遠くまで見渡せる丘。陽炎の様に三本の尖塔が遠くで揺れる。

その緑一色の丘に、月下麗人という表現が一番に当てはまる一人の女性が、大気の澄んだ青い大空を見上げている。

下腹部を重そうに、細い両手で支えながら立っていた。

お腹の大きさから察すると妊娠8ヶ月に相当する大きさか?

「この子が生まれたら、あなたは、良いおねいちゃんになってくれるのかしら?」

月下麗人が【自分】の方に優しい微笑みを投げかけ、問いかけた。

突然、月下麗人の顔が光だし、辺りの景色も白い闇に変換されていく。

徐々に白い闇が晴れていき、薄暗い部屋の景色を映し出した。

「……今のは、夢……ですわ?」

ベッドに寝かされていたラースは目を覚ました、同じように隣ではグリードが寝かされている。

水のプロトクリスタル奪取時、管理局勢力に二度もダウンを奪われ、今まで意識を覚醒する事が出来なかったのだ。

今居る場所はラース達、番人のアジトである夢幻回廊内部。

ラースが目を覚ましたタイミングで、番人の一人がやって来た。

黒い衣装を普段から着用する男、スロウス。彼はラースが目を覚ましているのを確認すると彼女に話しかけた。

「目が覚めたか、早速で悪いが出かけるぞ」

未だ目を覚ましていないグリードの身体を揺すり、目を覚まさせるスロウス。

ラースはスロウスに問う。

「出かけるって、どこにですわ?」






速人が”力”を発現させてから二日が経った、あれから速人は死んだように眠り続けている。

フェイト・テスタロッサ・ハラオウンは家の中の魔法系治療室で眠り続ける速人の所にいた。

ハラオウン家の司令室兼リビングではエイミィとエルヌアークから戻ったクロノで、その内容を確認している最中。

「しかし、凄いねこれは……」

エイミィは、レイジングハートとバルディッシュから受け取った速人のデータを見て驚嘆の声を上げていた、クロノも凝視している。

「魔力流の流れだけでフェイトのところまで飛んだのか……」

「さらに、デバイスを素手でとめるんだもんね」

ミッド人の彼等には理解しがたい映像のオンパレードである、エイミィはさらに番人の二人を攻撃した光の槍の画像を選んでクロノに見せる。

「とどめはこれだよ、この光の槍の攻撃さ威力換算SSSはあるよ?」


「本人の魔力ランクは計り知れないな……この世界の人たちは規格外もいいところだな、だが……このままじゃ速人の命に関わるぞ、この発現方法は危険な使い方だ」

映像をみて、瞬時に命に関る危ない使い方と見抜くあたり、さすがにアースラの最終兵器の異名をとるクロノ・ハラオウンである、速人の異常なまでの魔力放出に表情が険しくなっていた。
メンテ
Re: 南透のネタ帳 ( No.7 )
日時: 2010/09/04 18:35:22
名前: 南透 

星の道光の翼追加エピソード6

スプールス夢幻回廊。

淡い金色の球体の中に、裸で体育座りの格好で眠りについている少年と少女。

二つの球体を見つめる青い騎士甲冑を身に纏う女性剣士エンヴィー。

三人からやや離れた所で雑談を交わすオールバックの男と筋肉質の大男。

ラースとグリードのデバイスであるグリンタンニとイモータルシミターから、速人の発言させた【力】の映像を見ていた。

「ふむ……魔法というより、エナジーストライク(魔力打撃)というタイプのものだな」

大男グラトニーがスロウスに語る。スロウスも頷くが疑問も同時に投げかけた。

「エウリュトスが言っていたイレイザーの力ではないな? これはアルハザードの一般兵士がよく使う類のものだぞ」

二人の雑談に加わる人物が現れる。弓士エウリュトスは、槍士スロウスの疑問に答えた。

「この少年の手首には十字架の痣があったのだろう? それは間違いなく【世界を消去する存在】スターロードイレイザーである証だよ?」

エウリュトスは速人の画像をみて、長年探していた物を見つけた! と言わんばかりに嬉々とした表情を見せていた。彼の右手には分厚い黒い本が持たれている。

「この本の禁書目録部分の起動までは、放置しておいてもいいさ、居場所の特定が出来ただけでもかなり違うよ」

グラトニーは分厚い黒い本を見てすこし表情を曇らせる。反対にスロウスは何処吹く風で弓士に聞いた。

「蒐集の残りページ数は?」

本を広げ確認するエウリュトスは、残り残数を答え、蒐集対象となる属性の魔力を告げる。

「残りは350さ、光属性の魔力でないと受け付けないから少し厄介だね」



再び夢幻回廊。
 
グラトニー、ラース、グリード、エンヴィー、スロウス、ラスト、エウリュトス。

この七人が、各々円形と三角形の魔方陣を展開しその魔力が中心に居る人物に送られている。中心で魔力を受ける彼女の魔方陣は、グラトニーがモノリスの封印を解除した時と同じもの。円形の魔方陣の中がヘキサグラムのものである。最も色は彼女の髪の色と一緒である赤色だが。

赤い長いツインテールと茶色のブレザー紅い短いスカートを着けた女性。名をプライド、番人の中で最も魔法に精通し番人中最大の魔力を有する炎の魔法使い。

シンフレアを炎の海にしたのは彼女の魔法によるものだ。やがて全員の魔方陣が消えていく。

「何かわかったかい? プライド」

エウリュトスがプライドに聞く。彼ら全員の魔力を使っての探索魔法、これで何を探していると言うのだろうか?

プライドは閉じていた目を開く、その瞳に光は無く虚ろだ、エウリュトスの問いかけに暫くの時間を使った彼女は声を出して答えた。

「探し物は……アルザス……」

彼女の答えに、グラトニーが反応した。

「ほう、あの竜召喚一族の居る世界か……相手はティアマットか……」

グラトニーの言葉に、エウリュトスは苦い表情をした。もう竜退治はごめんだという感じである。

「ティアマットならば、光属性の魔力をふんだんに持っていましょう……」

虚ろな瞳のプライドの一言が、七罪の番人達に蒐集目標は真龍と定めさせた。

番人のリーダー格である大男グラトニーが言う。

「本調子でないラースとグリードを残し、後の者はアルザスに向かうとする」






メンテ
Re: 南透のネタ帳 ( No.8 )
日時: 2010/09/07 14:28:29
名前: 南透 

星の道光の翼追加エピソード7

フェイトは速人に魔法の使い方を教えるべく、色々な文献を引っ張り出し、ミッドチルダ式がどういったモノなのかを再確認していく。

速人自身がミッドに適正があるのか、ベルカに適性があるのか、まだ未知数である。フェイト自身はミッドチルダ式を扱うためまずはそれから試してみようと言う事になる。


魔法の特訓初日。

ハラオウン家の住むマンションの屋上でフェイトの使い魔アルフが結界を作った。フェイト、クロノそして速人の合計四人が結界内に存在する。

「じゃあ、まずはリンカーコアの発現の仕方からいってみようか?」

フェイトの優しい声が結界内部に響く。リンカーコアを体内から外に出す。この行為は魔導師としてまず覚えないといけない事であり。これが出来ないと次のステップである魔方陣の構築すら出来なくなる。

「速人、心を静かにさせて、自分の胸の中に意識を集中させてみて? 中に光をイメージしてみるとやりやすいかも?」

フェイトのアドバイス通りに行動を起こす速人。直立不動の体勢で自分の中に光をイメージする。その行為を注意深く観察するクロノとフェイトと犬形態のアルフ。

すると、速人の両手が自然と自分の胸の辺りまで動きソフトボール大の広さを作った所で止まる。やがてその空間の中に、白金(プラチナ)色の小さな光の球が出現した。

「へぇ、速人の魔力光は白金か、珍しいね」

声を出したのはアルフ。通常の魔力光と言うのは色の三原色に習ったものであり、フェイトの様な金色というのは変換資質をもった者が発現させる色である。中には、はやての様な例外も存在するのであるがミッドチルダ式魔導師においては今までに例が無い。

「なんらかの変換資質を持っていると言う事か……」

クロノは速人が出現させた色に感想を漏らす。

フェイトは、まず第一段階をクリアした速人を見つめて微笑む。およそ10分間、速人のリンカーコア取り出しの練習は続いた。フェイトがコアをしまっていいよ、と声をかけて、訓練終了を言い渡す。

「ふう……」

速人は一息ついた、全身から汗をかいている、慣れない事をしたために、体がかなり緊張していたのであろう。

「今日はこれで終わりなの?」

少し物足りないと言う感じの少年の意見に、クロノが口をだす。

「あまりあせっても仕方が無い。覚える事は山ほどあるが、基本をしっかり覚えないとな、そのうちに嫌って言うほど特訓させてやる、今はまだ適正判断の時だからな物足りなくて当然だ」

クロノの物言いに、そうですか、と少し残念そうに言う少年。そんな速人にクロノは課題を出した。

「どうしても、と言うなら、そうだな……君がいま勉強している物理を今から見てやろう」

「え? 物理!」

クロノの意見を聞いた速人は青ざめる、速人はどちらかと言うと物理はあまり得意じゃない方である、夏休み入って課題は出ているが、毎回物理は後回しにしている教科であった。

「此方の物理が、ミッドの魔法習得に大いに役に立つんだ、なのはも、フェイトも物理においては優秀だぞ?」 

お前の基礎力を見てやる、というクロノの意見にフェイトが賛成意見を出した。

「そうだね、物理を理解できれば魔法の使い方も覚えやすいから、速人、クロノにみてもらおう?」

好きな子にそう言われてはイヤです、とはいえなくなった速人だった。すこしトーンを落として返事をする。

「よろしく、おねがいします」

こうして初日を終え、その後4時間。クロノとマンツーマンで物理の勉強をした速人であった。正直こっちの勉強の方が彼にとってはきつかった。


こんな感じで適正判断を下していきながら魔導師速人の訓練が始まったのである。








その日の夜遅く、ハラウオン家リビングで、色々なデータや本を取り寄せ必死に魔法初心者の為に教えるマニュアルを作っていく。約束した以上は全力で教える。フェイトは親友のなのはから、全力全開の意味を嫌と言うほど学んでいたからだ。

「あまり根を詰めると、君が持たなくなるぞ?」

砂糖の入ったココアを義妹の為にいれてやった義兄クロノはそれを差し出し、飲めと勧める。

「あ、ありがとう……クロノ」

フェイトはココアを口にする、クロノも同じようにココアを飲んでいる。フェイトの作っているマニュアルにサッと目を通した義兄は、自分のポケットから待機状態のデバイスを取り出し、彼女の手書きのマニュアルの上に置いた。

「クロノ……これって?」

差し出された物は、彼が自分で組んだストレージデバイス、ジュエルシード事件、闇の書事件の時に使っていたデバイス「S2U」だった。クロノにとって見ればグレアムから凍結の杖、デュランダルを託される前まで愛用していた。思い出のある一品。

ココアを飲みきったクロノは義妹に考えを述べる。

「速人が、何系統の魔法が得意なのか? 現状では分かっていない、君はバルディッシュを扱わせるつもりなんだろうが、それだと返って速人がデバイスに振り回されるかもしれない、こっちのS2Uの方が初心者には扱いやすいはずだ」

確かにクロノの言うとおりである。魔力は大きいと予測される速人であるも、魔法を使うとなるとズブの素人の位置なのだ。高町なのはのように、いきなりインテリジェントデバイスを扱える、という天才はそうは居るわけが無い。

フェイトはクロノを見つめた、血はつながっていなくとも、未だ兄妹関係の日が浅くてもクロノはやっぱり自分の義兄、それとなくサポートをしてくれているのだ。

今日の特訓を終えた速人の帰り際の言葉を思い出すフェイト。

物理の特訓を受け終わり、ゲンナリした速人が靴を穿き、一言いった。

「クロノってさ、いい兄貴だよね? 僕には兄と呼べる人が居ないから、フェイトがうらやましいよ」

「そうかな……」

速人の意外な一言に少し言葉を詰まらせるフェイト。速人はそんなフェイトに笑いかけ言う。

「きっとさ、クロノ待ってるよ、フェイトがお兄ちゃん、って言ってくれるのをさ?」

クロノとフェイトの関係は速人も理解していた、養子に入ってまだ半年。フェイトの性格から直ぐに言い出せないことも分かっていたが、それでも勧めてみたのは、クロノとマンツーマンでやった特訓からクロノの想いを見抜いたのであろう。

速人の後押しも在った為か、フェイトはクロノにお礼を言う時にいつもと違う返事をした。

「ありがと、お兄ちゃん」

クロノにとってみればこれは完全な不意打ちであった、飲みきったココアのカップを手から落とし、そのカップが自分の右足の小指にクリーンヒットした。

「ーーーーーーーー!」

彼(クロノ)の声にならない叫びが聞こえそうだ。小指を押さえて悶絶する義兄。

「わたし、変な事いったかな?」

頭に疑問符をつける義妹のキョトンとした表情は痛みをこらえる義兄の悶絶表情とは対象的であった。




魔法特訓の方も順調に進んでいく。

「じゃあ今日は、今までのおさらいね、まずは魔方陣の展開から」

フェイトに言われ、速人は魔方陣を構築する、白金(プラチナ)色のミッド式魔方陣が出来上がる

危惧していた方式のほうは、クロノとのマンツーマン物理特訓の成果かミッド式魔法陣を構築出来るまでになっていた。

今は、ミッドでも基本的な魔法を習得しソレを運用展開と言う所まで進んでいた。

「次は移動系の練習ね? 500m先の目標まで0.1秒で動けるようにね?」

「次は空をとぶよ?」

フェイトの訓練は物言いはやさしいが、その実スパルタだ、日に日にクリアのハードルが高さを増していく、速人も必死にそれに応える。

フェイトはミッド式魔道士の中でも近距離と中距離を得意としているが、遠距離、長距離は得意じゃない。なので、あの少女が登場となる。

「なのはが……教えるの?」

速人は聞く、それはもういやそうに、まるでフェイトとの二人の時間を邪魔するな的な視線を送って。

「わたし、これでも管理局で先生役なんだけどね?」

速人をいじめれる、もとい教育するのも姉貴分の仕事だといわんばかりの視線を浴びせる。

「ごめんね速人、わたしは、接近戦とか教えれるけど、クロノが教導専門のなのはにも見てもらった方がいいって言うから」

フェイトが申し訳なさげに言うと、速人はあきらめた感で「おねがいします……」と答える。

「じゃあバリアジャケットつけてはじめようか」

なのはが訓練開始を告げる、フェイトもなのはもバリアジャケットを着ける。

「うん……」

速人もバリアジャケットを着用するのだが?

「……」

暫しの沈黙の後、なのはが彼の格好をみて笑い出す。

「アハハ、速人君、それにあってない〜」

げらげら笑い出す。速人に対しては遠慮というものをしない、それが高町なのは、腹を抱えて盛大に笑う。

「なのは……速人も気にはしてるんだよ?」

フェイトは速人の心中を察する。なのはにフォローを入れ、笑いの元になってる少年の方を見る、ムスッとしてる速人。速人がつけたソレはクロノがつけてるソレだ。

急遽の借り物デバイスなのでジャケットの換装もしていないわけだ。速人は思った。

(直ぐにデバイスの変換式も組めるようになってやる! 待ってろよ、なのはめ!)

姉なのはに対し、変な所で対抗心を燃やす弟速人であった。


――魔法少女リリカルなのは 星の道光の翼――
       兄と妹 姉と弟
メンテ
Re: 南透のネタ帳 ( No.9 )
日時: 2010/09/09 10:08:24
名前: 南透 

星の道光の翼追加エピソード8

ハラオウン兄妹からミッドチルダ式という魔法の使い方を教わる飛鳥速人。

学校での成績は中の上の辺りであるが、美術や工作等の成績はダントツであった。しかしミッドチルダ式魔法と言うものは、此方で言う科学の部分も入ってくる。

大別して文系な彼は理系教科に強くなかった。

だが、人間面白いもので、窮地に立たされると火事場のくそ力が発揮されるのであろうか? 英会話も出来ない日本人が、なんの頼りも出来ない状況下で必死に英会話を覚えて行き、ひと月で会話等が出来るようになってしまう。または、子供特有の興味が沸くと苦手な物も好きになりどんどんと力を付けていく。

こんな現象が現在の彼、飛鳥速人の近況だった。

七罪の番人は速人を襲撃してから、この地球の存在する世界には来ていない。というか、時空管理局本局の有する、全次元航行艦隊の捜査網に引っかかることが無かったのである。

執務官であるクロノ・ハラオウンは本局に行き来する傍ら、速人の物理の勉強を専門にみつつ、クロノの補佐という立場のフェイトは、クロノよりは時間的余裕があったため、殆どは彼女が教えるというスタイルになっていた。

現在はクロノの部屋での物理の勉強中。勉強の最後にクロノが試験問題をだし、合格点を取らなければまたやり直しという、実にスパルタな事をしている。

最初に行った時は、様子見で4時間という時間が使われ、2回目は合格点が取れずに半日の間クロノの部屋に缶詰になったのだ。

このとき、速人はクロノに言われた。

「お前、自分の命がかかってるのに、そのやる気の無さは何だ?」

クロノにこういわれる程。彼の物理はお粗末過ぎたのだ。仮に教えるのがフェイトなら。

「此処の問題は、この公式を使えば解けるとおもうよ?」

等の助言があり、物理自体の理解力は増えたかもしれない。しかし、物理の勉強は、あくまで魔法の構築を理解するために学ぶものであり、魔法の基礎とされるものである。基本が理解できていなければ応用など出来るわけも無く。他人の手助けがあってはいけないのだ。

2回目の特訓後にクロノは速人に課題を出していた。今回はそれの確認をしているわけである。

速人に渡したS2Uに監視機能を付加し、ちゃんと課題をしていたかと言う事も確認できるようになっている。尤もその監視に関しては速人本人は知りえない事であるが。

提出された課題を厳しい表情で見つめるクロノ。20ページにわたる物理の問題集の回答を眺めていく。クロノの厳しい表情が驚きの表情に変わっていった。全部の回答をチェックした彼は、目の前の椅子に座る銀髪の少年を見つめた。

S2Uの監視映像でもズルをしているところは無く、ちゃんと全部自力で解いていた。

「お前、前回の授業から四日しかたっていないのに、なんでコレが解けるようになったんだ?」

クロノの予測では、できて2〜3割であろうという所だったのだ、それが全問正解という結果に驚いたのだ。

クロノの驚く表情とは裏腹に速人は終始ニコニコで答える。

「いやさぁ、僕もよく分からない」

速人の答えに、は? と言う顔をするクロノは自分の現在のデバイス。デュランダルを起動させようと待機状態のカードを取り出した。それをみた速人はまてまて、クロノ。ちゃんと言うからという風に両手を彼の方に上げる。

何で急に理解できるようになったのか、その時のことを話しだす。クロノが出した課題を自分の部屋の机に広げウンウンとうなってる時の事を。

「クロノの出された宿題を見てて、最初絶対出来ない! って自信があったよ? 正直、投げ出して寝ちゃったさ……」

速人の物言いに、そりゃそうだろうな、選んだ問題はフェイトでも時間がかかった問題ばかりだしな、とクロノは選択問題の難易度を思い返す。

「でもね、寝てる時に声を聞いたんだ、物理と考えるからいけない、魔法として考えてみなさいってさ……魔法として理解しようとするなら手を貸せる、その声はそう言ったんだ」

彼の言葉に耳を傾けながら、それで? という表情をするクロノ・ハラオウン。

「起きて問題集をやり始めたらね、頭に声がそのまま聞こえてて、その問題の解き方がスラスラと出てくるようになった。例えば最初の問題、ある理論を使えば解けるよね? その理論を声が教えてくれるというか……」

「……」

速人の答えにクロノは押し黙る。今言った速人の答えが釈然としなかったのだ。。

「速人、その声は今でも聞こえてるのか?」

「うん、意識を集中させれば聞こえる」

もし、速人の言った通りであるとすれば、声の正体はかなり魔法に精通してる存在である。なので彼は、此方の世界の大学院で使う様な問題を突発で出してみる事にした。

「今から出す問題をここで解いてみろ、それが正解なら、お前の話を信じよう」

「わかった」

結果から言うと、速人は速攻で正解を導き出した、正解に至るまでの公式の運用のしかた等もきちんと理解していた。

目の前で問題を解かれたクロノは、速人の言う事を信じざる得なかった。

「此れならまぁ、実戦魔法の運用に進んでもいいかもな、声に感謝するんだな速人」

クロノの最後の言葉がこれだった。クロノの物言いにちょっとムッとした速人だった。









その日のクロノとの学習を終え。今度は、ハラオウン家リビングで、フェイトからデバイスの中に組み込む魔法のセッティングを教えてもらっている。

今までの基本的な魔法運用から、実戦的な形式に移る為の前準備と言うところか。

「でね、魔法は予めデバイスに組み込んでおいて発動させる事もできるんだ。というより、今は呪文詠唱で発動させるほうが珍しいかも。バルディッシュ、リストアップ」

フェイトは自分のデバイスであるバルディッシュを起動させて、中に組み込んである魔法の術式を
展開させるように頼む。

<yes sir>

短いバルディッシュの発声の後に、術式のリストがズラズラと空間ディスプレイに流れ出す。フォトンランサーの術式から始まり、かなりの多種多様な術式が速人の目の中に飛び込んでくる。

「うあ……こんなに、バルディッシュの中にはいってるの?」

<My capacity still remains.>{私の記憶容量はこんなものではありません}

速人の驚きの声に、バルディッシュが失礼な! 馬鹿にしないでほしいな。という感じで返事を返す。
まだまだ魔法を蓄えれるぞ! と言わんばかりだ、そういえば、金色球の本体部分が心なしか赤みを帯びている。

そのやり取りを終始にこやかに見てるフェイト。

速人は、バルディッシュの変形シークエンス術式を見ながら、何気なしに彼女と彼女の愛機に質問した。

「ねぇ二人とも、この術式ってS2Uとかにも組み込めるの?」

彼の質問ももっともである。バルディッシュは、インテリジェントといわれるタイプ。デバイスの中でも高性能機である、対して彼がクロノから預かってるS2Uはストレージデバイスといわれ、ミッド式魔法を使う魔導師には一般的なものである。

速人のいう【組み込める】という意味が【変形シークエンス】に関してなのか? それともフェイトのいう【魔法】に関してなのか? 両方に取れる。

なのでフェイトはこう答えた。

「君が使っているS2Uは、バルディッシュの様に形状変化は起こせないよ? でも、魔法を新しく作ってその術式を組み込む事はできるよ」

彼女の答えに、ふぅん、という気の無い返事をした少年は、ハッ! と何かに気がつき、フェイトに言った。

「僕でも、S2Uに術式、組み込めるってこと?」

「うん、組めるよ?」

速人の質問に、これから私が教えるのはそれなんだけど? という感じで返事をしたフェイトだった。









ハラオウン家で今日の魔法特訓を終えた速人は、自室にて、S2Uを起動させ、フェイトより伝授された魔法の組み込みをしていた。元来こういう作業は好きな性格であり、物理の勉強よりも遥かに集中して魔法の構築式を書き出し組み込んでいく。

「うん、この術式なら問題ないかな〜」

時刻は丁度午後7:00、ちょっと休憩しようとテレビをつけた速人。現在飛鳥家には彼一人である、姉のエナは翠屋でまだ仕事中である。出掛けに彼女が作り置いてあったサンドイッチを頬張りながら、テレビの番組をボーっと見る少年。

見ているのは現在小学4年生の間で流行ってるアニメである。テレビからアニメのキャラクターの声が聞こえてくる。

「水でもかぶって、反省しなさい!」

そう、彼が見ているのは美少女戦士セー○ー○ーン丁度、水星の戦士が決め台詞を言った所だった。

「この戦士の声って、なにげにリンディさんに似てるよね」

誰も居やしないのに声を出す速人。続いて水星の戦士の技が華麗に決まるシーンが映し出された。


「シャボンスプレー!」


「そういえば、S2Uもリンディさんの声だよね……」

速人の頭の中ではある事が思い立った。テレビを見つつニンマリとする彼の口元。

「いいこと、思いついたぞ」

あまり知られていないのだが、思い立つと後先考えずに突っ走る行動を起こすのがこの少年の悪い癖である。3歳の時に、なのはとともに電車にのって遠くに行こうという事を思い立ち、特急にのり120kmはなれた都市までキセル乗車をした実績がある。

当然、保護者である高町夫妻が鉄道会社から呼び出しを受け、往復運賃を払った経緯がある。その金額子供二人で約1万円。この金額で済んだのは子供のやった事だと、鉄道側の優しさが有った為である、本来なら運賃+特急料金の全区間三倍を請求される。これを代表にして他にも数えるときりが無い。

なのはが姉として振る舞い始めたのも、この速人の暴走癖を律するが為なのである。事実として生まれた時間も若干、なのはの方が早く生まれている、時間にして2時間くらいだが。

「忙しくなってきた!」

誰も居ない家で、大きく叫ぶ速人は、S2Uに本格的に【改造】を施し始めた。









次の日、ハラオウン家のマンション屋上。

今回は、初の実戦形式訓練、前になのはが来たのは速人の適正を見るためであり、本格的な教導は行ってはいなかった。

訓練スペースに居るのはフェイト、なのは、速人、そしてクロノの四人。

「じゃあ早速、始めるとしようか、まずは……」

クロノが訓練開始を宣言すると、速人がまったをかけた。

「ちょっとまってよ、クロノ」

全員が速人に注目すると、彼は話し出す、初の実戦の前にミッド式魔法がどのように展開運用されるのか、この目でまず見てみたいと。基本的な使い方はフェイトから教え込まれているが、戦ってる最中の使い方にも何か秘訣があるなら、それを見て盗んでみたいという事をはなした。

「ふむ、速人の言う事にも一理あるな」

速人の意見に筋が通ってると言う感じで納得するクロノ。

「そうだね、だったらわたしとなのはで、一回模擬戦してみた方がいいのかな?」

模擬戦訓練が好きなフェイトは、なのはと勝負ができる! と言う感じで言い出した。

しかし、速人はフェイト意見を突っぱねた、なのはの遠距離魔法は自分には無い部分で参考にはならない、参考にしたいのはあくまで中距離での魔法の展開運用であると。

「となると、僕とフェイトか?」

クロノの発言にコクコクと頷く速人。その行動を傍から見ていた高町なのはは、頭に大きな疑問符を浮かべた。

(なんだろうな、なんか大事な事忘れてるような?)

なのはの疑問は間違っては居なかった。過去に彼女は、少年の暴走に嫌と言うほど巻き込まれている。しかし、7年という歳月が過ぎたためにこの時彼女は、暴走に気がつくことが出来なかったのだ。

「でね、クロノ、S2Uでフェイトと模擬戦してほしい、このデバイスで僕も実戦形式覚えるから、これでしてもらった方がより参考になるとおもうんだけど」

カード状態のS2Uをクロノに渡す速人。

「ふむ、そうだな、久しぶりにフェイトとやるのもいいかもな」

最近管理局の仕事に忙殺されて、訓練らしい事をしていなかったクロノも、義妹との訓練は丁度いいと感じたのであろう、S2Uを受け取った。

昔のなのはなら、ここで気がついたであろう、速人が黒い笑みをしていたのを。だが残念な事に彼女は気がつけなかった。速人の策略が進む中で模擬戦は開始される。


「よし、始めるぞ、よく見ておくんだぞ? 速人」

速人に目線を向け、S2Uを起動させたクロノはいつもの黒いバリジャケット姿になった。フェイトの方も黒い死神を模したバリアジャケット姿だ。

「準備はいいか? フェイト」

「うん、お兄ちゃん」

フェイトの発言に少し照れたクロノであったが、模擬戦前なので直ぐに平静を取り戻す。

なのはが、模擬戦開始を叫ぶ。隣では速人が既に笑いを堪えていた。

「では、レディ〜ゴー!」

先に仕掛けたのはフェイト、一直線にクロノに近づきバルディッシュの一撃を見舞おうとする。クロノは義妹の突込みをシールドで受けて回避行動を取ろうとS2Uに魔力を送った。

そこで異変が起こったのだ! 普段なら予め組んだ魔法を選択しない限り、S2Uが喋ることは無い。だが、喋ったのだ。

「マーキュリークリスタルパワー、メ〜イクアップ!」と

クロノの魔力に同調しリンディの声を大きく発するS2U。

その瞬間、高町なのはは気がついた、隣の少年の仕業であると。脇を見ると、黒い笑みでクロノを見ている少年が居た。

突然のS2Uの発生に突っ込みをとめたフェイトは義兄の変身を見つめている。そう、声だけでなく、アニメさながらに、水星の戦士にクロノが変身し始めたのだ。

「これは、なんだ?」

一番面食らったのはクロノ本人だろう。いまの声はすでにリンディの声そのままなのだ。

水色のセーラー服、そして顔までも水星の戦士ソックリそのままで、声もリンディのソレ、アニメから実体化した感じの完璧さだった。

「やった、僕の術式は完璧だ! クロノを完全に変身させたぞ! どうだクロノ! 僕だけの力でこの魔法組んだんだ、声だけの力じゃない!」

大きくガッツポーズをとる速人がそこに居た。

昨日の物理の実力考査時のクロノの言葉を根に持った速人の仕返しでもあった。模擬戦を中断し、ボーっとクロノの見つめるフェイトが一言。

「クロノが、亜○ちゃんになちゃった?」

「フェイト、前に一緒に見てた時いってたよね、手合わせしてみたいってさ! 今ならできるよ! 思う存分にね!」

自分の構築した術式の完璧さに自信満々に声をだす速人。

「お前、何かんがえてるんだ!」

リンディ声のクロノが叫ぶ。

昨日思いついた事とはこの強制変身魔法の構築だった、完璧に水星の戦士の姿に【男】であるクロノを変身させたあたり、ある意味凄いのではあるが、方向性が完全に間違っているこれはもう立派な暴走だ。



隣の物凄い魔力の高まりに気がつかない程に飛鳥速人は自分の組んだ魔法に酔いしれていた。弟の久しぶりの暴走をみた姉は低い声で語りかけた。

「は・や・とく〜ん、少し頭冷やそうか?」

ゴゴゴゴゴゴと黒いオーラを放つなのはは、暴走した速人に有無を言わさず魔力でのノックダウンを狙った近距離砲撃を放った。

ガッツポーズのまま、桜色の閃光に身を晒した飛鳥速人は、幸せな笑顔で気を失った。




後日談を語ろう、実はこの強制変身魔法の他に、シャインアクアイリュージョンという中距離射撃魔法が存在していたのであるが、結局クロノがすべてを消去し、S2Uの改造が出来ないようにパスワードを設定し速人が弄くれない様にしたのは言うまでも無い。

さらに、弟速人のこの暴走を姉なのはがその上を行く暴走で止めた事を明記しておく。

なのはが放った近距離砲撃は、ハラオウン家屋上の結界を突き破り破壊、夏真っ只中の海鳴市に綺麗な桜色の花火を打ち上げたのだった。




























ピピッピピッっとスムーズ機能の付いた目覚まし時計の音が鳴り響く部屋。六畳の和室にある自作の木製ベッド。窓から入り込む心地の良い風が少年を眠りから覚ます。

現在の時刻は朝4:30。冬ならまだ太陽など出てはいないだろうが、今海鳴は夏真っ盛り、この時間から明るくなりはじめる。

段々と音を大きくしていく目覚まし時計のボタンを押し音を切ると、飛鳥速人はベッドの上で大きく伸びをして、自分の意識を覚醒させた。

ねまき等を着ないで下着で寝る彼は、スポーツウェアにモソモソと着替えだし洗面所で顔を洗うと鏡に写った自分に一言話した。

「さてと、姉さん起こさないように出かけるとするか」

玄関でスニーカを履いて、心地の良い風が吹く海鳴の大地を大きく蹴った。

早朝の体力トレーニング、魔導師になる前から続けている彼の日課である。高町の家に預けられた時から始まった、この朝の散歩と称したランニングは齢を重ねるごとに距離を伸ばし、現在は3kmさきの海岸まで続く。

海岸の公園に着くとストレッチ等を済ませて背中に背負い込んでいたちょっと長い木刀を取り出す。

「さてと、父さんや母さんのやっていた武術の基本を、もう一度やり直そうか」

海鳴に戻る前から続けている鳳凰の太刀の鍛錬、本格的な修行はしていないが、姉から基本的な鍛錬方法を聞いており、よほどの事が無い限り毎日続けている彼の朝の習慣であった。

ここで約2時間を彼は過ごす。時を同じくして、なのはやフェイトも、各自朝の訓練は自分達だけで行っている。だれからも強要されていない自己鍛錬の時間。魔導師達の朝は結構早いのである。まぁ速人に至ってはまだ卵であるが。

自己鍛錬を終え。朝食を済ますと、家が近いハラオウン家の在るマンションに通うのが最近の彼の新しい日課となっている。



基礎となる部分をクリアした速人は、早速魔法の実践を開始する事になる。

始めての魔法陣構築から飛翔魔法の習得等、乾いた大地が水を直ぐに吸ってしまう様な勢いで速人は魔法の使い方を覚えていく。

なのはを交えた訓練では。

「382……383……389」

コン、コンと小気味よい空き缶の鳴る音が響く練習空間。

「そう! それを500まで続けて! 500回1セットを後4セットやるよ〜?」

と言う様な感じで誘導制御を中心に行っている。

今までの訓練で速人の適正は中距離の射撃。それと誘導制御にかなりの適正を示している。

近接も剣士の家柄のためそつがない適正だ、もっともフェイトの様に多種多様な技があるわけでないが。

飛行特性もあり空も飛ぶ、なのはの様に足元に羽は作らずフェイトと同じような飛び方をする。

空間把握能力はかなり高いのだが、遠距離とアウトレンジはからっきしだった、簡単にまとめると中距離戦闘型に分類される。

本人が練習の虫になっているためにどんどん教えることを吸収していった。なのははそれが嬉しく、フェイトはそれが頼もしかった。


なのはに砲撃された五日後の出来事である。魔法の構築も出来るようなった速人は、二人を訓練スペースに呼び出した。

いつもの訓練はハラオウン家の住むマンションの屋上でありそこに三人が登場する。呼び出した理由を少年は言い出した。

「僕さ、ちょっと考えてる魔法があるんだけどね?」

相変わらずジャケット換装はしていないのであるが、なのはも笑うのは止めた様である、飽きてきたと言う方が正解か。


なんだろう? と二人が聞くと。

速人が説明しだす。自分の得意分野である誘導系、なのはのアクセルシューターをベースにしているがそれだと弾速が遅い。そこでフェイトの直射型のプラズマランサーの式を掛け合わせて見る事を考えたと。

「う〜ん、でもそれ可能なのかな?」

なのはが、速人の考えに疑問を持つ。少なくともアクセルとランサーではその魔法の性質が違うため掛け合わせるというのが理解が出来ない。

「でも、やれそうなんだよね」

自分の考えを主張する弟速人の表情は成功できる! という感じの自信が満ち溢れている。

「やってみても、いいんじゃないかな?」

その表情を見たフェイトがそう言った。親友の肯定的な意見に、姉なのはも試させてみて欠点があるなら諦めさせよう、という考えに至るのである。

「そうだね、じゃあ見せてみて?」

なのはが教導官の顔になりレイジングハートを起動させてバリアジャケットもつけた。

わかった! と速人がいい、なのはがシューターを十二発ほど出して待機する。

速人は足元に白金のミッド式魔方陣を作り出し。次に、回りになのはと同じ球形のアクセルシューターを出現させる。速人が現在完全制御できる数十二個。

「じゃあいくよ?」

なのはと速人、同時に操作開始させる。

速人は意識を集中させる、桜色とプラチナの球が空中を飛び交う様は、さながらロケット花火を打ち合う感じで縦横無尽に入り乱れる。

「そこ!」

瞳を閉じコントロールに集中していた速人が瞳をカッ! と見開き声をあげる。持ち前の空間認識能力の高さからか、なのはのシューターのコントロールの癖をつかみ取り、十二個の桜色球が一瞬止まる時を狙って自分の魔法を使い出した。

白金の球がフェイトのランサー状に形態を変化させる、フェイトのランサーほど大きくなくその5分の1ほどの大きさ、それが各個の桜色球に光の速さで打ちかかりシューターを全て吹き飛ばす。

「すごいね……途中で高速直射型に切り替えるのか」

フェイトはそう言いながらも今の対決を分析する。

なのはのシューターもかなりの速度なのだが、それをすべて叩き落したスピードはすごいとしか言いようがない。

「どうかな?」

最高の結果を得られた速人が明るい表情で聞く。

「これは使えそうだね」

予想外の成果になのはも認める、教導官という立場からか仮想敵を良くする彼女であるが、此処まで見事に自分のアクセルを全部落とされた事はいままでに経験が無かった。

「よかった、僕の考えは間違ってなかったのかな」

自分のことを認めた姉なのはに喜ぶ弟速人は、ついでに聞いた。

「使ってもいいよね? この魔法」

無言で同時に頷くなのはとフェイトであるが、疑問も出来ていた。魔法と言う存在を知り、経過した時間は約2週間、その間に魔法の構築を考え出せるようになった少年に。

「でも速人君、なんで私とフェイトちゃんの魔法を掛け合わせようと思いついたの?」

言い出したなのはの疑問はもっともだ、彼女もディバインバスターのバリエーションとしてスターライトブレイカーを編み出してはいるが、その魔法でさえも速人の様に短期間で編み出したものではない。

「んー、二人から教わったモノを僕なりに形にしてみたかったから、かな?」

元々、工作の類は得意な速人である、ミッド式を理解し始めて、自分なりにカスタマイズすると言うのは当然な事としているようである。さながら模型店で売っているプラモデルを説明書通りに作るが、満足できず、自分なりに改造するという感覚なのであろう。

クロノがこの場に居れば間違い無くこう言う。

「感覚で魔法を組むってのは末恐ろしい」と。


「あ、名前かんがえてないや」

使うとなると発動キーを設定する必要も出てくるのである。速人が言うと少女二人は苦笑いする。

珍しく、彼女達のインテリジェントデバイスが会話に参加した。

なのはのデバイス、起動状態のレイジングハートが彼女特有の音を出して。

<There is a good idea for me>{わたしに、いいアイデアがあります}

次にフェイトの愛機バルディッシュ。待機状態で低くバリトンの声で。

<I also hit on a good neme>{わたしもいい名前を思いつきました}



これに驚いたなのはとフェイトは互いの愛機を見つめた。

「レイジングハート?」

「バルディッシュも?」

バリトンで話すバルデッシュは、レイジングハートと自分の考えが同じであることを主張する。

<Itis befor it perhaps the same>{おそらく同じ名前です}

「きかせて? くれるかな?」

少なくとも主人以外の事柄に首を突っ込むなんて事は今までになかった二機であるのだ。三人が興味がでるのも必然なのかもしれない。

二機は同時に一つの単語を喋った。

<DancingEdge>{ダンシングエッジ!}



少し時間を巻き戻そう、なのはとフェイトが飛鳥速人と出会う数日前の時間に。

      
新暦66年6月下旬夜。海鳴市、中丘町。

キーン(何かが飛来する)バリバリ(何かが結界にあたる)ドオン!(何かが地面に落ちた)

海鳴の八神家でド派手な音がした。

「なんや! 今の音は?」

八神はやて。時空管理局地上部隊特別捜査官補佐は、音のあった方向に急いだ、そこは庭だった。

何かが落下したところは七色の光が発光している。派手な音の割には庭にさしたる被害は無い、他の家族も集まってくる。

「どうしたのです? 今の音は何ですか?」

シグナムが一番乗りで来る。

「何だよ? 今のギガ迷惑な音は〜」

ヴィータが眠そうな目を擦りシグナムの後に続き。

「ご近所に迷惑ですよね?」

シャマルが洗い物の途中なのか、手にタオルを持ちながら、リビングの窓を開けて出て来た。

ザフィーラが同じく犬形態でシャマルに続くのだが

「……」何もいわない。

家族全員が庭に出ると、そこには一人の女性が倒れていた。長い髪黒い色のボディスーツとミニスカートをつけていた。


「うっ」

女性は意識があるようだ、全員はその姿を見て驚くそして叫んだ。

「「「「リィンフォース!」」」」

五人の叫び声が中丘町一帯にけたたましく響いた。この夜一番のご近所に迷惑な声だった。

――魔法少女リリカルなのは 星の道光の翼――
        速人の魔法



メンテ
Re: 南透のネタ帳 ( No.10 )
日時: 2010/10/11 07:29:06
名前: 南透 

星の道光の翼追加エピソード9


「カレン! きったねえぜ!」


新しい家族となった守護騎士に、この様な暴言を吐いたのは鉄槌の騎士ヴィータ。二人は現在八神家リビングに於いて同一方向に向いて座り。ある物を手に持ちTV画面に向かって真剣な表情を作り、手に持ったある物を必死に弄くっている。

先ほどの暴言もカレン本人に向けて言ったのではなく、TV画面に向けて言ったのもであった。

そう、二人が現在しているのは世間一般で言うところのテレビゲームというものである。彼女達が行っているものは俗に言う格闘対戦物。コマンド操作を行うと技が出るタイプのやつである。

「フフフ……ヴィータ、勝負に綺麗も汚いも無いのです……叫ぶ前に自分の腕の悪さを反省なさい?」

先の暴言に対し冷静な口調ではあるが、上から目線的な言葉を送ったカレン。

彼女達の対戦内容を見てみよう。ヴィータはパワーがあるプロレス風な巨漢の男を自分のキャラとして使用。対してカレンはオーソドックスなタイプの男キャラを使用しての対戦。

ヴィータの戦い方は小パンチを連打しながら得意技のスープレックスに持ち込む様な戦い、俗に言う吸い込みという技法を使っての対戦の仕方。

カレンの方は、その吸い込みを警戒し飛び道具で応戦、ヴィータの隙があればキャラのガード範囲をジャンプですり抜けガード範囲の来ない部分に攻撃を当てる。俗に言うマクリという技法を使い、更にそこから無敵技を使用するという極悪な事を行っていた。ヴィータが吼えるのも納得がいくであろう。

既にこの対戦ゲームをニ時間ほどやってる彼女達であるが、ヴィータが勝ったのはカレンが慣れる一時間の間だけであり、それ以降の対戦はカレンの勝ち星がどんどん増えて行くのであった。


カレンがこの八神家にお世話になるようになって、一ヶ月が経とうとしている午後の出来事である。

当初ヴィータは、他のヴォルケン達とは違い、カレンにあまり良い反応は見せていなかったのであるが、カレンが自分と同じゲームに興味を持ったので仕方なく教えてやったのだが。これが意外にも二人の仲を良くする原因となるとは、ヴィータ本人も思っていなかったであろう。

今では先の暴言を言える位に仲が良くなっていた。

TV画面からK.O.の文字と声が高らかに鳴り響きカレンの操作するキャラの勝利を宣言した。

「くそ〜! なんで勝てなくなった!」

正座してコントローラーを握り締め、悔しがる鉄槌の騎士。激情形のヴィータにしては行儀が良い悔しがり方である。

「ヴィータは力押しすぎるんです、もっと小技を使わなければ……おや、もうこんな時間ですね、そろそろ夕飯の支度をしなければ」

ゲームの決着をつけ、新しい家族であるカレンは夕飯の手伝いをしに台所方面に向かうためにその場を離れようとすると、ヴィータは彼女に向かって言った。

「カレン、夕食済んだら又勝負するぞ! 今度は負けねぇ!」

「返り討ちにしてあげます」

カレンは勝ち負けに拘るヴィータに微笑み言い返した、言われたヴィータも笑顔をだしていた。こんな感じでカレンは八神家に馴染んでいくのだった。





スプールス夢幻回廊。

勢揃いしたアルハザードの死刑執行人達。その名を七罪の番人という。

傲慢、嫉妬、暴食、色欲、怠惰、貪欲、憤怒の名前を冠した魔導師達。

彼等は、アルハザードの存在を脅かす様な文明世界を排除、又はアルハザード世界の支配下に入れる為に遣わされる者達である。

アルザスから戻った彼等は、炎の魔法使いプライドの広域探査魔法を使用し何かを調べているようだ。

七人の足元にはそれぞれの系統の魔方陣が展開されており、プライドの足元に魔力を送る道が出来ている。全員の魔力をその身に受けた赤髪の女性は両目を閉じている。長い時間が過ぎ、彼女の足元の魔方陣が消えると全員の魔方陣も消えていった。

プライドの返事を静かに待つ面々、彼女は黒い虚ろな瞳を開け、口を開いた。

「エターナルクリスタルの精製法は手に入れた、クーザーを使用せずとも私なら作れる……ただそれのエネルギーを使うとなるとクーザーの王座で制御しないことには運用はできない」

「となると……やはり14人必要か……」

いかにもな杖、いかにもな法衣姿な老人ラストが声を出す、姿と声のマッチした老獪な存在の含んだ物言いに、エウリュトスは又面倒くさい事になったと言わんばかりのため息交じりの声をだす。

「そうですか……エインの生き残りなど、果たして見つかるのですかね……」

エンヴィーを筆頭に大人姿の番人達は、クーザーの解除キーとして存在する天の騎士エインリッターの存在をこれから突き止めなければ行けないのかと落胆する。

大人達の落胆した雰囲気を破る者がいたグリードである。

「それよりよ、イレイザーの方はどうすんだよ!」

速人に酷い目に逢わされ、ただではおかないと言った感じなのであろう。大人達の心配事を他所に子供らしいストレートな感情を顕にして利き手である右手に拳を作ってエウリュトスに吼えた。

同じ年齢の少女ラースは静かに右目を閉じ、左目だけを開け腕を組み静かにただ全員を見つめる。

とはいえ、天の騎士の一人であるミルズの存在は彼等も知りえている所だ、一度剣を交わしている剣士は鞘に収められたダインスレイフを握りながら呟く。カチャリと音を立てた愛剣。

「ナイツオブブルーともう一度というところか……」

会話に入っていなかったグラトニーがエンヴィーの呟きを聞き、海鳴に出向く準備をし始める。

「エウリュトス、ラースとグリードを使うぞ? ナイツオブブルーのいる世界に出向くとする」

「まずは、存在が分かっている所から攻めようってわけかい? いまさらな気もするけどね……でも、扉を開けるなら、アレの存在も必要なのかな?」

ほっておいても良いような口調で言うが、彼の手に握られている【完成された光天の書】を彼が持ち直し、プライドに訳知り顔の視線を送るエウリュトス。

「私も、ついていくことにしよう……」

エウリュトスの視線の真意を読み取ったプライドがグラトニーに申し出る。彼等とて馬鹿ではない、時空管理局と言う存在が、この時代にどういう影響力をもっていて、どのような行動を起こすのかは理解している。グラトニーが向かうとする世界は、水のクリスタルの回収とラストの封印解放の時に出向いた世界ではあるが、どの世界のクリスタル回収の時よりも相手の対応が早かった世界。それが管理外97番とされている地球だったのだ。

「俺も行こう」

スロウスも自分のすべき事を理解していた、ゲイアサイルを右手に携えプライドに続いた。

「では、行くとするか……」

グラトニーが行動開始を宣言する、多くは語らなくても番人達は分かっていた、ミルズの居る世界に出向くと言う事は必ず管理局という邪魔が入ると言う事を。

プライドの次元間転移魔法によりラストとエウリュトス以外の番人達は地球に存在を転移させた。

「エターナルクリスタルとスターロードイレイザー……これを手に入れて本国への帰還を果たさないとね?」

エウリュトスは小さく呟くと、呟きに応えるかのように虹色の光を一瞬はなった光天の書。


老人ラストと弓士エウリュトスの居る空間の奥には【八種類】のプロトクリスタルが其々光を放っていた。








動き出した流星のうちの二つ、シグナムとエンヴィーのリターンマッチ。まずは挨拶代わりの数回のヒットアンドウェイでの剣の打ち合いを経てお互いが静止する。

「貴女とはニ度目ですか、シグナム……」

青い剣身、ダインスレイフを右手に持ち、海上10mの所で空中に浮かんでいるエンヴィーが声をだす。

「何故……貴女が私の剣と同じなのか? 今日ここで……はっきりとさせる!」

同じ高さの所でレヴァンティンの剣先をエンヴィーに向け、シグナムも応える。

赤い流星と黒い小さな流星も先の二人と同じ様な展開となっていた。だが此方は常に動き回り度重なる衝突を繰り返す。

巨大なハンマーデバイスを両手で持ち、猛然と鉄槌の騎士ヴィータに迫る魔法少女ラース。彼女の血の様に赤い瞳に映るは鉄の伯爵。三つ編み髪のヴィータ。

「グリンタンニ! 目の前の方をかち割るですわ!」

<yes>

ラースの突っ込みのパワーにも遅れを取らない鉄槌の騎士は、前回(土のクリスタル回収失敗の時)の二の舞にはならないという意思を表に出し、迫りくる【怪力ですわ少女】と真っ向から戦いはじめる。

「この前の様にはいかねぇ、アイゼン!」

<Jawohl>





海鳴の海上では六色の流星が入り乱れ飛び交う、黒いボディスーツを着込み腰まである銀色の髪を風に舞わせながら祈るように戦況を見つめる女性、カレン。

ミルズがカレンに託したリストリングは、エルヌアークの正当なる王子が着用すべきデバイス。王子を守護する役目にあったミルズが何故ソレを使っていたのか、それはデバイスに経験をつませ着用者が危機的な状況下でも、しっかりとサポートさせる目的の為に使っていたのである。

リストリングの機動状態である黒いバスタードソードを携えた白金の魔力光を輝かせる少年を見つめ、彼がエルヌアークの王子になった事を理解したのであった。同時にミルズの存在が消えたと言う事も。

ミルズが撃墜され彼女が助け、手紙とリストリングを受け取り、二人だけで話した時の事を思い返すカレン。

「カレン、私はおそらく存在が消えると思う……生まれ出る命はまだ見つかっていないが、その器たる少年は君の目の前に居る、私はフェンリルによって7年前のこの世界に飛ばされた、その時にスターロードイレイザーを発動させようとしているこの少年を見つけた」

カレンはミルズが何故少年の姿をしていたのか本当の意味で理解した。

「そう……それでユニゾンし、その力を押さえ込んだ結果、解除できなくなったのね」

本当の意味を知ったカレンは少年ミルズを抱きしめて涙を浮かべて話す。

「ミルズ、御免なさい、私では貴方のリンカーコアの変調を修復させる事ができない……騎士団長であれば出来たでしょうに」

今は存在が知れない彼らの長ナイツオブゴールドであるグリフィンドールを想うカレン。

共に王子になるであろう速人の守護を主目的とした二人。フェンリルの気まぐれが無ければ同じ時代に飛ばされたであろう。しかし現実はそう都合よくいかなかったのだ。

7年という時間の誤差は、それほどまでに大きかったのだ。カレンに抱かれたままミルズは彼女に頼んだ。

「私が消えたら……カレン、君が王子を導いてやってくれ、頼むぞ」

防波堤で上空を見上げ、もう一度、彼女は祈る。

「ミルズ……王子を……護ってあげて」

彼女の居る防波堤に一人の少女が駆けて現れた。

「カレン! みんなはどうなってる?」

はやての掛け声のした方向に体と顔を向けて彼女は答えた。

「つい先ほど戦闘が開始されました、まだ大きな展開はありません」

「さよか」

カレンの隣まできたはやては、上空で動き回る流星を一緒になって見上げた。



無骨な全身鎧を着込んだ大男とベルカの守護獣との接近戦。

大空という限りないスペースでの戦闘であるのに男達の戦いは女性陣の派手な動きとは逆に限られた空間での間合いの見切りから始まっていた。


女系家族の八神家において犬という位置に甘んじているザフィーラであるが、やはりヴォルケンリッターの一人である。フェイトとミルズを相手にしても相手の間合いに入らせなかったグラトニー。

その人物相手に得意の格闘戦術でもって猛然と襲い掛かっていく。

無言でその猛襲を盾で防ぎ、自慢の太い右腕で剣を振りかざすグラトニー。ザフィーラはその剣閃を最小範囲の動きで交わし己の両拳で攻撃につなげていく、彼の得意技である円での動きは無限に攻撃のチャンスを生み出していく。

犬形態の時は魔法中心に行動をするが、人形態のときは逆に体術を持って事に当たるのがザフィーラの特徴でもあった。

派手な動きは無く一見すると地味ではあるが、この二人の戦いはかなり高度な戦いだ。格闘ファンが居るならば彼等の戦いに諸手を叩いて絶賛するであろう。

メンテ

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